こんにちは!世界半周でバルカン諸国に合計7か月も滞在したのぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
日本人にとっては、まだまだ馴染みのないバルカン半島の国々。
ヨーロッパに属しているとはいえ、フランスやイタリア、チェコなどの人気旅行先に比べるとどうしても知名度が低く、訪れる人はかなり少ないのが現状です。
そんなマイナーな地域にどうしてのぶよが7か月も滞在していたかと言うと、単純に素晴らしかったから。
面積が小さな国が多いものの、その歴史や文化は多種多様。
伝統的な生活が残る村や息を呑むような大自然、ほとんど知られていない珠玉の観光スポットなど、とにかく魅力的な見どころが満載のエリアだったのです。
日本語でバルカン半島エリアの旅行情報を探そうとしても、なかなか見つからないのが現状ではないでしょうか。
今回の記事では、「これからバルカン半島を旅行したい!」という人のために、のぶよが7か月間の滞在期間中に得た情報やアドバイスを惜しみもなくシェアしていくものです。
滞在に必要な基本情報(ビザ/滞在登録/気候/治安/物価など、とにかく全部)
バルカン諸国周遊旅行のプランニングのコツ
と、大きく分けて二つのテーマとなっています。
これさえ読んでおけば、謎のベールに包まれたバルカン半島の旅行もバッチリかと。
かなりのボリュームになっているので、本当にバルカンを旅したい人だけ読み進めることをおすすめします(笑)
見どころ&モデルプランは別記事で!
今回の記事は、見どころなど観光面ではなく、バルカン半島周遊旅に必要な基本情報やアドバイスを網羅したものとなっています。
各国の観光スポットやモデルプランを知りたい場合は、エリア別の周遊モデルプランについての別記事をお読みください!
そもそもバルカン半島諸国とは?
「バルカン半島諸国」の定義は少々難しいものがあるのですが、基本的には「中欧」と呼ばれるハンガリーやオーストリアなどより南の地域を指し、そのほとんど(ギリシャ以外)はかつて共産主義圏に属していた国々です。
バルカン半島西側に位置する国々の多くは旧ユーゴスラビア連邦に属していた国。
スロベニア
クロアチア
セルビア
ボスニア・ヘルツェゴビナ
モンテネグロ
コソボ
北マケドニア
の旧ユーゴ7か国と、独立を保っていたアルバニアも西バルカン諸国に入ります。
東バルカン諸国に入るのは、比較的面積が大きいルーマニアとブルガリアの2か国。
この2か国は場合によっては「東欧」に分類されることもあるようで、当ブログでもそうしていることが多いです。
地理的にはバルカン半島最南部に位置するギリシャですが、歴史や文化・経済的な結びつきの面から今回は「バルカン半島諸国」の定義には含めないことにします。
(というか、ギリシャは単体で旅した方が良いと思うので。)
以上10か国が、今回の記事で扱う「バルカン半島諸国」の定義です。
バルカン半島周遊旅行の前に!知っておくべき10の基本情報
まずは、日本語ではあまりまとまった情報が少ないバルカン半島諸国エリアを旅行する際に必要な基本情報を10項目に分けて解説していきます。
ビザや滞在登録などオフィシャルな制度面の情報
治安や物価、気候、英語の通用度など旅行・滞在に役立つ情報
食文化や人々の感じなど、旅の楽しみを彩る情報
など、のぶよが7か月間で得たあらゆる知識や体験を詰め込んでいます。
きっと現地で旅をする際のイメージがつかめるはず!
1.バルカン諸国のビザ情報&滞在可能日数
「世界最強」と言われる日本のパスポート。
観光目的であれば、事前のビザ申請などの手間なく、飛行機に乗るだけで気軽に海外旅行が楽しめることが多いです。
今回のテーマであるバルカン諸国に関してはどうかというと、全ての国がビザなしで滞在可能です。
いやあ、本当に素晴らしい。
滞在可能な日数に関しては、基本的にそれぞれの国で90日間ずつと考えてOKなのですが、微妙に複雑な国もあります。
赤:EU非加盟&シェンゲン協定非実施国
黄色:EU加盟/シェンゲン協定未実施の国
バルカン半島諸国の出入国管理状況については、上の図の通り三つに分かれます。
EU&シェンゲン協定加盟国:スロベニア・ギリシャ
→シェンゲン協定加盟国全体で180日のうち最大90日までの滞在が可能。
EU&シェンゲン協定非加盟国:セルビア・ボスニア・モンテネグロ・コソボ・北マケドニア・アルバニア
→それぞれの国で最大90日間の滞在が可能。
EU加盟国/シェンゲン協定未実施の国:クロアチア・ルーマニア・ブルガリア
→それぞれの国で最大90日間の滞在が可能。
(将来的にはシェンゲン協定実施の可能性あり)
つまり、今回紹介する国の中ではスロベニアのみ、ヨーロッパの多くの国と同様にシェンゲン協定が適用となるので気をつけなければなりません。
(もしギリシャ旅と組み合わせる場合は、ギリシャもシェンゲン協定加盟国なのでご注意を。)
反対に、その他の国に関しては一つの国に最大90日間の滞在が可能です。
(EUに加盟しているクロアチア/ルーマニア/ブルガリアも、2020年現在はシェンゲン協定未施行のため、それぞれ90日間の滞在が可能です。)
シェンゲン協定とは?
EU市民ではない外国人に対して、シェンゲン協定加盟国全体での滞在日数を180日間のうち最大90日までに制限しているもので、超簡単に言うと、「ヨーロッパの大半を占めるシェンゲン協定加盟国で周遊旅行をする際に、合計90日以上は滞在できない」という制度です。
この制度のおかげで加盟国間では国境審査が行われず、まるで国内旅行のような感覚で移動できるヨーロッパらしい旅ができるのですが、長期で旅したい人にはかなり邪魔な制度。
(例)フランス30日→ドイツ30日→イタリア15日と滞在した後に、スロベニアを訪れる場合は、
最大滞在日数の90日間-シェンゲン協定加盟国(フランス・ドイツ・イタリア)での滞在日数合計(75日)=15日間
がスロベニア滞在の最大日数となり、これを越えるとオーバーステイ扱いになり処罰の対象となってしまうのです。
2.バルカン諸国旅行に必須?な滞在登録
続いては、バルカン半島諸国の旅行情報を探しているとたまに見かける「外国人登録」や「滞在登録」の制度について。
「ただの旅行者なのに、滞在登録なんてしないといけないの?」
と思うでしょう。
日本人がよく訪れる国で、滞在登録制度がある場所はかなり少ないと思いますが、バルカン半島諸国に関しては、いくつかの国で制度上は滞在登録が必要とされているのが現状です。
バルカン諸国の滞在登録制度
滞在登録が必要ない国:スロベニア / コソボ / アルバニア / 北マケドニア
滞在登録が必要(とされている)国:セルビア / ボスニア / クロアチア / モンテネグロ / ブルガリア / ルーマニア
滞在登録制度がある国で登録をする義務がある人
・セルビア:24時間以内に宿泊先が代行
・ボスニア:3日以上滞在する場合に自身で滞在届の提出が必要
・クロアチア:宿側に義務がある
・モンテネグロ:宿側に義務がある
・ブルガリア:宿側に義務がある
・ルーマニア:宿側に義務がある
というわけで、バルカン半島諸国で滞在登録が必要とされている国は半数以上もあり、現地警察署に出向いたり(もしくは宿の人に行ってもらったり)と、かなり面倒です。
しかしながら、のぶよはそんな滞在登録なんてわざわざするようなタイプではありません。
(そもそもそんな制度があったことを知りませんでした。)
滞在登録を自分でしたこともなく、宿側の人も全くしている気配すらありませんでしたが、7か月間のバルカン諸国旅行中にそれで問題になったり、国境で質問されたりすることは一度もありませんでした。
断言することはできませんが、のぶよ的には「一応そうしてくださいね~」という形骸化した制度にすぎないと思います。
なので、したい人は別に面倒を承知でしておけば良いですし、のぶよのように「別にそんなん!いけるいける~」というタイプの人はそこまで気にしなくとも大丈夫だと思います。
日本人的には「ルールはルールだから」と気にしすぎてしまう人も多いですが、現地の人や旅行者は誰もそんなこと気にしていません。
なので、まあ大丈夫じゃないでしょうか(笑)
3.バルカン半島諸国の気候とベストシーズン
ヨーロッパの南側に位置するバルカン半島。
なんとなく暑そうというイメージがあるかもしれませんが、それは間違いではありません。
各国の気候を分類すると、だいたいこんな感じ。
夏はマイルド、冬は極寒:ルーマニア
夏も冬もマイルド:スロベニア / クロアチア / ブルガリア / セルビア / ボスニア
夏は灼熱、冬はマイルド:アルバニア / モンテネグロ / コソボ /北マケドニア
ルーマニア、特に内陸部のトランシルヴァニア地方の冬の寒さはもの凄いです。
2月に訪れた時は、最高気温マイナス10度とかありましたから。(“最高”気温ですよ?)
反対に、夏場はそこまで気温が上がることはなく、かなり過ごしやすいようなのでおすすめです。
バルカン半島南部の国の夏場の暑さは尋常ではなく、生死にかかわるほど。
特に7月のモンテネグロ内陸部の地獄のような暑さと、8月のアルバニアの湿度の高さは、体力的にかなりキツいものがありました。
格安ホステルの場合は冷房なんてないことがほとんどなので、夏場のバルカン半島旅行の際はそれ相応の対策が必要となるでしょう。
バルカン半島北部の国やアドリア海沿岸は夏も冬もそれなりといった感じ。
もちろん夏は暑くなりますが、そこまで灼熱といった感じではありません。
バルカン半島諸国を訪れるなら、夏の灼熱の暑さが引いた後の9月~10月がベストシーズン。
11月に入ると、標高の高い地域では雪が降ることもあり、移動や観光がしにくくなる場合があります。
5月~6月の初夏も狙い目なのですが、アドリア海沿岸エリアでは天候が不安定なことも多いので、注意が必要かもしれません。
4.バルカン諸国は安全?各国の治安情報
「バルカン半島」と聞くと、かつての紛争や内戦、共産主義政権のイメージが未だに根強く残っていて、治安面に不安を感じる人も多いのではないでしょうか。
結論から言ってしまうと、現在のバルカン半島の情勢はかなり安定しています。
2000年代初頭に北マケドニアで起こった民族対立→武力衝突以来、大きな衝突は起こっていません。
政治や紛争リスクよりも旅行時に注意したいのが、スリや置き引き、詐欺など旅行者を狙った犯罪。
総合的に西ヨーロッパの大都市よりも犯罪に遭う可能性は低めなバルカン半島諸国ですが、やはり治安の良さは国によって差があります。
超安全:クロアチア / スロベニア / モンテネグロ
まあ安全:コソボ / 北マケドニア / アルバニア
注意が必要な場面も:ルーマニア / ブルガリア / ボスニア / セルビア
町によって、さらには町の中のエリアによっても大きく変わってくるのが治安。
当ブログでは、各国の都市別治安情報や注意点をまとめた記事も書いているので、気になる国はぜひチェックしてみてくださいね。
スロベニアとクロアチア以外で、犯罪よりも注意したいのが野犬。
ワクチン接種されて町に放たれたもの(耳にタグをつけている)も居ますが、そうでないものも目立っていました。(特にアルバニア、ルーマニア、セルビアの地方部)
むやみに動物に触らないのは、バルカン半島だけでなく旅の基本中の基本。
万が一噛まれてしまうと、楽しい旅行がワクチン注射のための病院通いの日々に変貌してしまいます。
5.バルカン諸国はかなり安い!各国の物価情報
バルカン半島は、ヨーロッパでも最も物価が安いエリアの一つ。
西欧・中欧の国々とは比べ物にならないほど安く、中には東南アジアより断然安いような国もあるほどです。
バルカン半島諸国の物価(バックパッカースタイルの場合)
激安(¥2000以下/日):アルバニア / コソボ
かなり安い(¥2000~¥3000/日):北マケドニア / ブルガリア / セルビア
普通に安い(¥3000~¥4000/日):モンテネグロ / ルーマニア / ボスニア
ちょっと高い(¥4000以上/日):クロアチア / スロベニア
といった感じ。
最も物価が高いスロベニアでも、1日4500円ほどの予算で十分満喫することができます。
反対に、アルバニアやコソボの安さはもはや殿堂入りレベル。
1日2000円あれば、観光も外食も移動も…と、1日めいっぱい楽しんで旅できるほどです。
6.通貨・両替・クレジットカード情報
バルカン半島諸国の通貨と両替
どこの国へ行ってもユーロが使える西ヨーロッパ諸国と比べると、バルカン半島諸国の多くの国では独自通貨が使用されているため、いちいち両替する手間があるのはネック。
スロベニア、モンテネグロ、コソボの3ヵ国のみユーロで、それ以外はそれぞれ異なる通貨が使用されています。
両替に関しては、どこの国でもバスステーションや鉄道駅に併設されているので、あまり心配しなくても大丈夫。
しかしながら、日本円の取り扱いはほぼないので、ユーロの現金を持っておくのが基本となります。
カード1枚で現地通貨をGET!現地ATMでキャッシングがおすすめ!
どこでも・どんな通貨にも両替可能なユーロですが、大量の現金を持ち歩いて旅するのは、盗難・紛失のリスクを考えるとあまりおすすめできません。
日本で発行されたクレジットカードやデビットカードを現地ATMで使用して現地通貨を得る海外キャッシング機能を利用するのが一番安心だと思います。
のぶよは楽天のデビットカードを主に利用して各国のATMで現地通貨を引き出していましたが、一度も利用できなかったことはなく、全く問題なくここまでやってこれました。
メインとしてもサブカードとしても、1枚は持っておくのがおすすめです。(ポイントもたまりますし)
バルカン半島諸国のクレジットカードの通用度
バルカン半島諸国でクレジットカードが利用できるかどうかという点に関しては、国によって変わりますし、訪れる店のタイプによっても変わります。
バルカン諸国全体を通して言えることなのですが、ある程度の値段がするレストランや中級以上のホテルでは、クレジットカードが使えない場所は少数派でしょう。
反対に、現地の人が通う食堂や格安のホステル、移動時のバスの運賃などは現金支払いがまだまだ主流です。
かなり多くの観光客が訪れるクロアチアやスロベニアでさえ、クレジットカードが使用できない場面も結構ありました。
その他の国では、「カードが使えたらラッキー!」くらいに構えておくのが良いかもしれません。
注意したいのが、クレジットカードのスキミング被害。
気付かぬうちにカード情報が漏れて不正に使用され、身に覚えのない高額請求が来ているという、アレです。
のぶよはルーマニアで見事にこの被害に遭ってしまいました。
(結局カード会社によって補償してもらえたので、損害は発生していません。楽天カード、大好き!)
一方で、アルバニアやマケドニアなどバルカン半島南部の国々では「そもそもスキミングの技術すら入ってきていない」と言われるほどにポピュラーではないそうです。
しかしながら、念には念を入れた対策が必要となるのは言うまでもありません。
7.バルカン諸国の英語の通用度
今や世界共通語としての地位を得た英語。
「英語があればどこにでも行ける」と思っている人も多いですが、バルカン半島諸国での英語の通用度は国によって、また同じ国でも地域によってかなり差があります。
どこでも英語が通じる:クロアチア / スロベニア
まあ旅するには困らない: ボスニア / モンテネグロ / アルバニア / 北マケドニア
ほぼ通じない:セルビア / ルーマニア / ブルガリア / コソボ
観光客の数がケタ違いに多いクロアチアとスロベニアでは、観光で経済が成り立っていることもあって、英語が通じない場面に遭遇する方が珍しいほどです。
ボスニアやモンテネグロに関しては、観光客が多いモスタルやコトルなどの町(クロアチアから日帰りツアー観光客がやってくるような場所)では問題なく英語が通じます。
反対に地方部へ行くとガクっと通用度が落ちるのも特徴的です。
アルバニアや北マケドニアも、旅する上では問題なく英語が通じたのも意外でした。
現地語がある程度必要になるのが、セルビアとルーマニア、ブルガリアの首都以外の地方部と、コソボ全体です。
以下、各国の英語の通用度がどんな感じなのか、のぶよの経験からまとめてみました。
コソボ:英語の通用度はかなり低いですが、誰かしら話せる人がいて助けてくれることが多いので、あまり問題にはならないと思います。
ブルガリア:バスステーションやレストランのメニューなどキリル文字表記だけの場所も数多くあったので、キリル文字の読み方だけでも覚えておくとかなり便利だと思います。
ルーマニア:都市部を除いて壊滅的に英語が通じない国ですが、人々がみんな優しいのでなんとかなる場面がほとんどでした。
セルビア:ベオグラード以外での英語の通用度は限りなくゼロです。
セルビアの地方部を旅するなら、少しでもセルビア語を覚えておくとかなり便利だと思います。
8.ハードル高め?バルカン半島諸国の移動情報
日本人からすると、国内のどこへでもバスや鉄道などの公共交通機関でアクセスできるのは当たり前のこと。
西ヨーロッパや中欧諸国においてもそれは同様で、現地での移動手段に困ることは少ないでしょう。
一方のバルカン諸国では、南に行けば行くほど移動の難易度が上がってくるのが特徴的です。
鉄道・バスでどこでも行ける:クロアチア / スロベニア / モンテネグロ / コソボ
鉄道・バスでまあ快適に移動可能:ルーマニア / ブルガリア / ボスニア
移動にやや難あり:セルビア / 北マケドニア
鬼:アルバニア
バルカンの優等生・クロアチアとスロベニアに関しては、普通にヨーロッパの国々を旅する感覚で問題なく移動が可能です。
ドイツ資本の格安バス会社であるフリックスバス(Flixbus)の路線網が充実しているので、快適に安く移動できるのが嬉しいポイント。
モンテネグロとコソボではFlixbusの路線こそほぼありませんが、国土が小さくて鉄道網やバス路線が発達しているので、かなり楽に移動することができます。
ルーマニアとブルガリア、ボスニアに関しても、一度現地の交通システムさえ理解してしまえば簡単に移動することができます。
しかし、この3ヵ国で厄介なのは一つの町の中に複数あるバスステーション。
行き先や方面によってどこのバスステーションの発着かを事前にチェックしておかないと、訳の分からないところに到着したり、予定のバスを逃してしまうこともあり得ます。
セルビアと北マケドニアでの移動に関しては少しトリッキー。
バスステーションこそ一つの町に一つが原則なので分かりやすいのですが、問題は誰一人としてタイムテーブルを把握していない点。
時刻表がインターネットに対応しているわけもなく、現地の人に尋ねたり、事前にバスステーションでチェックする手間がかかります。
移動に関して最も難易度が高いのがアルバニア。
誰一人タイムテーブルを把握していないのはもちろん、バスステーションの場所すら定まっていないことが多いのです。
個人営業のフルゴン(furgon)というミニバス移動が主流のアルバニアですが、このフルゴンの発着地やスケジュールは日々変わっているそうなので、地元の人でも知らないことがあるほどです。
9.バルカン諸国旅行の楽しみの一つ!各国の食文化
バルカン半島を旅するなら、現地の名物料理に挑戦しないわけにはいきません。
国によって多少は変わってくるものの、大まかに西バルカンと東バルカンで食文化が大きく異なるのが特徴的です。
西バルカン諸国の多くの国は、かつてユーゴスラビアという一つの国だったため、ある程度共通の食文化が根付いています。
肉のグリル:セルビア
煮込み料理:ボスニア
野菜の料理:北マケドニア
というように、国によってどんな料理が美味しいかは変わってくるので、できる限りたくさんの名物料理に挑戦したいものです。
対する東バルカンのルーマニアとブルガリアは、西側に比べてあっさりとした東欧らしい風味の料理が特徴的。
ブルガリアでは地理的に近いトルコ料理の影響が強く感じられますが、ルーマニアではそこまででもありません。
独特な食文化を持つのがアルバニア。
ユーゴスラビアに属していなかったこともあり、オスマン帝国由来の食文化と地理的に近いギリシャやイタリアなど南欧の食文化がミックスしたものとなっています。
10.人は優しい?差別はある?バルカン諸国の人々について
バルカン半島諸国の人々の気質
バルカン諸国の人々と聞いて、どんな気質なのか具体的なイメージが浮かぶ人は限られているのではないでしょうか。
同じ国であってももちろん人によって変わってはくるものの、だいたいこんな感じでした。
(完全なるのぶよの主観です)
ドライ:北側(スロベニア・クロアチア)&ブルガリア
素朴な優しさ:南側(セルビア・モンテネグロ・ボスニア・北マケドニア)&ルーマニア
コミュニケーション能力お化け:アルバニア・コソボ
観光立国として多くの旅行者が訪れるスロベニアとクロアチアでは、人々がかなり観光客慣れしている印象を受けました。
これは悪い意味ではなく、「お客さんとして温かく接してくれる」と言う意味。
底抜けの人懐っこさとは無縁ですが、不愉快な思いをすることは少ないと思います。
ブルガリアの人々は少々独特で、一見不愛想に見えるものの、実は温かい人が多いという国。
こちらが少しでもブルガリア語で話そうとすると心を開いてくれる人も多くいました。
バルカン半島中部~南部のセルビア・ボスニア・モンテネグロ・北マケドニアに関しては、オスマン帝国由来のホスピタリティーが残っている地域です。
特にセルビアの地方部の人々の温かさはとても印象に残っていて、お客が来たらとりあえず名物の蒸留酒であるラキヤ(Rakija)を振舞う文化が残っています。
また、「バルカン半島で一番の怠け者」としてジョークのネタにされるのがモンテネグロ人。
良く言えばのんびりした人たちなのですが、確かにこの国に漂う「だらあ~っとした感じ」は独特かもしれません(笑)
唯一のラテン民族の国・ルーマニアの人々の温かさも特徴的。
底抜けの明るさというわけではなく、素朴な優しさに触れる機会が多くありました。
「コミュニケーション能力お化けレベル」の人懐っこさ遺伝子が脈々と受け継がれている国が、アルバニアとコソボ。
どちらもアルバニア人が多数派の国なのですが、シャイだと言われる日本人からすると羨ましいくらいのコミュ力を武器に日々を生きる、バイタリティーあふれる人々です。
バスを待っていると100%話しかけられる(アルバニア語で)
明らかに外国人なのに「このバス、○○行き?」と尋ねられまくる(もちろんアルバニア語で)
知らない人に手招きされて、行ってみるとスイカや謎の密造酒がでてくる
立ち止まって携帯の地図をチェックしていると、だいたい誰かが道案内をかって出る(もちろん無料で)
ヤンチャ若者グループの一人が、英語(中学生レベル)で話しかけてきて、後ろの仲間に「英語で話してる俺!」的なドヤ顔
など、ヨーロッパでは遥か昔に忘れ去られたような、人と人との距離の近さや人情味が味わえるディープな魅力を持つ国です。
バルカン半島諸国に残る人種・性差別
総合的にかなり温かな人が多いバルカン半島諸国ですが、差別がないと言い切ることはできません。
東洋人差別は欧米圏では根強く残っていますし、この地域でも例外ではないと思います。
のぶよ個人的な体験から言うと、この地域を旅した7か月間で一度も直接的な差別体験をうけたことはありません。
しかしながら、現地の人が集まる市場やローカルレストランを訪れると、良い意味でも悪い意味でも注目を集めることは多いです。
人種差別こそ表立って目立つことが少ないバルカン半島諸国ですが、性差別に関してはかなり根強いものがあると思います。
特に、オスマン帝国による支配が強かった西バルカン諸国では伝統的な男性社会の文化が根強く、同性愛がタブーであったり、女性が一人で男性が集まる場所を訪れるのは良いこととされない風潮が残っています。
かといって、いち女性旅行者が一人でローカル食堂などを利用できないというわけではありません。
見た目で外国人だとわかるため問題とはならないでしょうが、男性旅行者以上に注目を浴びることは覚悟しておかなければなりません。
バルカン諸国旅行の必要日数と計画のコツ
ここまで読めば、情報が少ないバルカン半島諸国に関する基本はOKなはずです。
(すでにかなりのボリュームとなりましたが)
ここからは実際にこの地域を個人で周遊する旅行をプランニングする際の注意点やアドバイスを解説していきます。
バルカン半島周遊旅行は、3つのエリアに分けてプランニング!
今回紹介したバルカン半島10ヵ国の旅行に必要な日数、何日くらいだと思いますか?
遠く離れたこの地域。地理感覚がつかみにくいのでなかなかイメージがしづらいと思います。
「1週間や2週間で6ヵ国周遊!」
「1ヶ月でバルカン半島10ヵ国制覇!」
なんて言っている旅人もいるのですが、それは旅ではなく修行です。
1か国あたり1日~3日しか滞在していないこととなり、ただ移動して各国の酸素を吸っただけの数週間となってしまいます。
バルカン半島諸国旅行のプランニングの基本は、10か国を3つのブロックに分けること。
こんな感じです。
10ヵ国それぞれの定番スポットをまわるために本当に最低限必要な期間だけで、合計2か月間となります。
つまり、これ以下の日程しか取れない場合は10か国周遊は無理。
都合に合わせて、どれか一つのブロックの国々を周遊することとなります。
正直なところ、2か月間丸々あっても、1つの国あたりたったの6日間となるので、十分とは言えないかもしれません。
(特に面積が大きく見どころが点在しているクロアチア、ルーマニア、ブルガリアや、交通機関が発展していないアルバニアなど)
先述の通り、ビザや滞在期間の心配が少ない国がほとんどなので、のぶよ個人的には3ヶ月ほどの期間をまるまる使ってのんびりと各国を周遊するのがおすすめです。
旅のルートは綿密に計画する
バルカン半島諸国、特に南側の国々では、旅のルートを事前に綿密に計画しなければなりません。
というのも、ある国に入国すると別の国の入国が面倒になったり、最悪の場合入国拒否されることがあるため。
ポイントは、セルビア・コソボ・アルバニアの3ヵ国です。
セルビアとアルバニアは犬猿の仲で、お互いがお互いの国に良い感情を持っていません。
アルバニアはセルビアへの渡航歴があっても何の問題もなく入国可能なものの、アルバニア入国歴があってセルビアに渡航する際は、ものすごく嫌な顔をされたり、国境越えに時間がかかることが多いと言われています。
(とはいえ、十中八九入国は可能ですが)
さらにややこしいのがコソボ。
セルビアはコソボを自国の領土と主張しているため、第三国(アルバニア・北マケドニアなど)からコソボに入国→セルビアに入国しようとすると、「セルビアへの入国記録がない(コソボの入国記録はセルビア的には何の効力もない)→不法滞在者」となってしまうので、100%入国を拒否されます。
コソボに先に入国してしまった場合は、第三国(北マケドニアやモンテネグロなど)を経由してセルビアへと入国しなければならず、こちらも嫌な顔をされる&国境越えに時間がかかることが予想されます。
一方、セルビア渡航後のコソボ入国は何の問題もなく可能(セルビア→コソボ間を直接国境越えも可能)ですが、この二か国の国境地帯には外務省からの注意勧告が出されているので、あえてセルビア→コソボと直接移動するメリットはありません。
南から北へと移動するルートの場合は、かなり慎重に計画をしなければなりません。
一方で、北から南へと移動するルートの場合は、アルバニアやコソボの前にセルビアさえ最初に訪れてしまえばあとは何の問題もないので、のぶよ的にはこちらの南下ルートをおすすめします。
オープンジョー航空券が便利
日本発着で、バルカン半島10ヵ国を周遊する旅行プランなら、絶対におすすめなのがオープンジョーと呼ばれる航空券の種類。
オープンジョーとは、現地で到着する都市と出発する都市が異なる航空券のことで
往路:日本発→ベオグラード着
復路:ティラナ発→日本着
のように、一都市往復の航空券よりも現地での自由度が格段に増します。
この航空券タイプなら、旅の最後にわざわざ日本からの到着地(この場合はベオグラード)に戻る時間もお金も節約できますね!
オープンジョーだからといって追加料金がかかることは稀で、単純往復の航空券と変わらない料金で購入できるため、もはやメリットしかありません。
オープンジョー航空券の購入方法
オープンジョー航空券は何も特別なものではなく、エクスペディアなどの航空券予約サイトで個人でも簡単に予約&購入が可能です。
これだけ。
実際にやってみると拍子抜けするほど簡単ですし、旅行の自由度が増しますね!
現地ツアーが意外に利用価値高し!
限られた日程でできる限り多くの見どころへ足をのばしたい!
言葉が通じない国でバスなどを乗り継ぐのは不安…
個人では交通手段がなくて行けない場所に足をのばしたい!
という場合に便利なのが、現地ツアーに参加すること。
先述の通りバルカン半島諸国では公共交通網があまり発展していない国も多く、特に地方部を訪れる際にはバスの本数がかなり少なかったりと不便を感じると思いますが、現地ツアーに参加すればそんな心配も要りません。
そもそもの物価が安いバルカン諸国なので、結構リーズナブルな料金で盛りだくさんな内容のものも多く、場所によってはかなり利用価値が高いのでおすすめです。
宿泊は現地で前日に予約でOK!
事前に全ての日程を詳細に決めて、宿泊先も予約しておく…なんてスタイルの旅行もできますが、バルカン半島諸国では正直おすすめしません。
先述の通り、公共交通機関が発展していない国では何が起こるか分からないことも多く、来るはずだったバスが来ないなんてこともあり得ます。(実体験)
長期間の旅行であまりガチガチにプランニングしてしまうと、現地で自由がきかなくなってしまいますし、プランを変更した場合に宿泊先のキャンセル料がかかってしまう場合もあります。
観光地化の波がまだ届いていないこの地域では、「どこも満室で泊まれない…」なんてことは稀。
(ハイシーズンど真ん中のクロアチアの観光都市を除く)
宿泊先の予約は前日でも全く問題ありません。
むしろ、当日の朝や移動中でもOKなほどです。
どこの国でもBooking.comやExpediaなどの宿泊予約サイトが利用できるので、宿を一軒一軒渡り歩いて寝床を探す必要もなし。
予約なしで直接宿に行くよりも、事前予約しておいた方がお得な料金で宿泊できる場合が多いのもポイント。
7ヶ月間の旅で常にBooking.comを利用していたのぶよでしたが、予約時の料金より高い金額を現地で請求されたことは一度もありませんでした。
というわけで、「宿泊は事前に予約サイトで」というのが最も便利&お得だと言えるでしょう。
各国の歴史や民族問題を理解しておく
ここ30年ほどのバルカン半島諸国は、激動の近代史の舞台となった場所。
「血で血を洗う」と言われるほどに壮絶だったルーマニア革命
ユーゴスラビア内戦からの各国独立
現在に残る民族対立のきっかけとなったボスニア内戦
セルビアvsアルバニアの民族対立が表面化したコソボ紛争
など、この地域の人々は大変な時代を生き抜いてきたのです。
現在でもバルカン半島における紛争の歴史は根強く人々の心に残っており、
「コソボ」がタブーなセルビア
「セルビア」がタブーなクロアチア
「セルビア」がタブーなアルバニア
など各国でタブーとされることも多くあります。
「別にそんなの旅行者には関係ないし。きれいな景色が見られればOK」という考え方もあるでしょうが、そんなのこの地域をわざわざ旅する意味がないと思います。
若い世代(25歳以上)が戦争経験者であることも珍しくなく、当事者から負の歴史や壮絶な体験について聞かせてもらえる機会はなかなかありません。
また、共産主義時代や紛争にまつわるミュージアムにもぜひ足を運んで、「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれたこの地域で何が起こっていたのか、自分なりに理解する必要があると思います。
近代史以外にも、誇り高きブルガリアの中世史や「ヨーロッパ最古の国」として有名なアルバニアの古代史など、各国の人々が誇りに感じている歴史や偉人の名を知っていると、現地の人々にかなり喜んでもらえることは言うまでもありません。
古くから様々な文化や国家が混ざりあい、時に紛争として爆発してきた「文明の交差点」ならではの歴史や文化を学んでおくと、旅がより味わい深いものとなることでしょう。
おわりに
7ヶ月間のバルカン半島諸国旅で得た知識やアドバイスなどを徹底的に解説しました。
これだけ知っていれば、バルカン半島を旅する準備はきっと整ったはず。
何かこのエリアの旅に関しての質問等あれば、コメントしていただければお答えします!
この地域の個人での周遊旅行モデルプランについても大ボリュームの記事を書いているので、そちらも参考にしてくださいね!
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