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こんにちは!モンテネグロ滞在を満喫中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
バルカン諸国を旅して早3ヶ月。
いったいどんなスローペースで旅してるんだと自分でも不思議に思います。
バルカン諸国の旅をセルビアから始めたのぶよ。
その後ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、モンテネグロと移動して来ましたが、一つ驚いたことがあります。
それは、どこの国でも同じ言語が使われていること。
これらの国の公用語を調べてみると、
セルビア:セルビア語
ボスニア・ヘルツェゴビナ:ボスニア語
クロアチア:クロアチア語
モンテネグロ:モンテネグロ語
となっているのですが、実はこれら四つの言語は99%同じ言語なんです。
正式には「セルビア・クロアチア語 (英語:Serbo-Croatian)」と呼ばれるこれらの言語。
同じ言語なのに、どうして四つの別言語のように扱われているのでしょうか。
今回の記事では、そんな摩訶不思議なセルビア・クロアチア語の謎を解き明かしていきます。
また、のぶよが旅行中に使った実用的なセルビア・クロアチア語のフレーズも紹介しているので、これらの地域を旅行する際にはきっと役に立つはず!
一つの言語なのになんで四つに分かれているの?セルビア・クロアチア語の謎
「一つの言語が四つの言語に分かれている」と言っても、なかなかイメージが浮かびにくいのでは。
例を挙げると、
英語という「一つの言語」が、使われている国によって「アメリカ語」「オーストラリア語」「カナダ語」
と分けられているという状況。
「馬鹿馬鹿しい。英語は英語でしょ。」
と思ったあなた、まさにその通りです。
オーストラリアだろうがアメリカだろうが、英語は英語。
多少の語彙や発音の違いはあれど、お互いに同じ言語としてほぼ100%のコミュニケーションが可能です。
セルビア語、クロアチア語、ボスニア語、モンテネグロ語に関しては、英語以上に各国での差異は少なく、全くもって同じ言語であると言えます。
東京、埼玉、千葉、神奈川の言葉はほとんど同じですよね。
それと同じようなものだと考えてください。
それでは、なぜ完全に同一の言語であるセルビア・クロアチア語が、国ごとにさも異なる言語のように扱われているのでしょうか。
そこには、かつてこれらの国が属していたユーゴスラビア連邦崩壊に伴う民族対立が立ちはだかっているのです。
政治的すぎる四言語の分裂
セルビア、クロアチア、ボスニア、モンテネグロの四か国は、マケドニア、スロベニアとともにかつてはユーゴスラビア連邦という一つの国でした。
連邦の中心的役割にあったのはセルビア。
敬虔なセルビア正教の国であるセルビアでは、正教の伝統に則ってキリル文字で表記が行われ、他の国もそれに従っていました。
しかし、民族意識の高まりによる各共和国の独立運動と、それを阻止しようとした中央政府軍との間に起こった戦争(セルビアは戦争ではなく「内戦」と捉えている)によって、セルビア以外の国において反セルビア感情が高まります。
特に独立時に激しい戦闘を経験したクロアチアと、泥沼の内戦となったボスニア・ヘルツェゴビナにおいての反セルビア感情は凄まじく、現在でも尾を引いているほど。
これらの国では、セルビアとの線引きを明確にするために、キリル文字を廃止してラテン文字表記へと移行することで、自分たちの言語をセルビア語と差別化させようとしました。
一方、旧ユーゴスラビアで最後までセルビアとの連邦を貫いたモンテネグロでは、そこまでの反セルビア感情はありません。
しかし民族感情の高まりとともに「セルビア語ではないモンテネグロ語」の必要性が主張されています。
しかしながら、キリル文字で書こうとラテン文字で書こうと、結局は同じ発音と文法の同一言語。
ひらがなもカタカナも結局は同じ読み方で、どちらも日本語に変わりはないのと同じことです。
まとめると、歴史的・政治的理由によって、わざわざ別の言語とされてはいるものの、結局は四か国の言語は同じ言語なんです。
裏を返せば、四つのうち一つでも学べば、自動的に4ヶ国語話者の称号を得られるというわけ。
大変に魅力的な言語とも言えるのでは?
英語は通じる?表記はラテン文字?各国の言語状況
さて、すでに複雑さ満載のセルビア・クロアチア語ですが、ここからは各国での言語使用状況や表記方法についてもっと詳しく見ていきましょう。
各国を旅行していて感じた英語の通用度にも触れています。
セルビアとセルビア語
キリル文字強めなセルビア語
まずはユーゴスラビア時代は政治・経済の中心であったセルビア。
セルビアではセルビア語が公用語とされています。
もともとはキリル文字表記のみだったセルビア語ですが、現在ではラテン文字表記も認められています。
そう、セルビア語は好みでどちらの文字を使ってもいいという、世界でも珍しい言語なのです。
日本語にもひらがなとカタカナの二つの表音文字がありますが、どちらを使うかは単語によってほぼ決まっていますよね。
セルビア語の場合は、本当にどちらを使ってもOK。
フリーダムです(笑)
ただし、一つの文章内で二つの文字を混ぜて使用することはありません。
一般的に、若い世代はラテン文字を好み、上の世代はキリル文字を好む傾向があります。
また、セルビア正教会の敬虔な信者は、セルビア正教の象徴とも言えるキリル文字を使用することが多いようです。
町を歩いていると、キリル文字60%、ラテン文字40%とキリル文字が優勢な印象。
しかしながら、公式な書類や看板などは全てキリル文字で表記されます。
面白いのが、イスラム教徒(ボスニア人/アルバニア人)人口が多い南部のノヴィ・パザル(Novi Pazar)では表記のほとんどがラテン文字へと変わること。
それだけ「キリル文字=セルビア正教=セルビア人」としての民族意識の象徴であると言えるでしょう。
セルビア人的には、
「クロアチア語?ボスニア語?何それ、セルビア語と同じやん(笑)馬鹿じゃねーの(笑)」
とのことですが、クロアチア人やボスニア人にそれを言うとものすごく怒るのでご注意を。
セルビアで英語は通じる?
セルビアでの英語の通用度はあまり芳しくはありません。
首都のベオグラードや、観光客が多いノヴィ・サドなど北部では、ある程度英語が話せる人が多いです。
しかし、ベオグラードから南に行くともはや絶望的に英語が通じません。
本当に同じ国なのかびっくりするほど、セルビア語オンリーです。
もはやコミュニケーションにも困るレベルで通じないので、後に紹介する基本会話フレーズや数字ぐらいは覚えて行った方がいいでしょう。
クロアチアとクロアチア語
ラテン文字のみのクロアチア語
セルビアとの永遠の宿敵、クロアチア。
独立時の激しい戦闘の記憶は、現在でも両国の間に深い溝を残したままです。
そんなクロアチアではクロアチア語が公用語なのですが、こちらはラテン文字のみの表記です。
キリル文字は全くもって見かけることがありません。
カトリックが主であるクロアチアでは、セルビア正教とセルビア民族の象徴であるキリル文字とは完全に袂を分かった形です。
ラテン文字表記と聞くとなんだか簡単そうに感じますが、実際のところはすごく複雑。
キリル文字では一つの発音に対して一つの文字が存在するものの、文字数が少ないラテン文字ではそれができません。
そこでクロアチア人が編み出したのが、アクセントをつけたり文字を組み合わせることで、ラテン文字のアルファベット26文字では表記できない音を無理やり表記することでした。
キリル文字(セルビア語) / ラテン文字(クロアチア語)
ч / č 「チ」
ћ / ć 「ツ」
џ / dž「ヅ」
љ / lj「リュ」
њ / nj「ニュ」
ш / š「シュ」
ж / ž「ジュ」
一文字に一つの音が割り当てているキリル文字表記は、無理やり感が漂うラテン文字表記より理にかなっている気がします。
なんといっても、セルビア・クロアチア語のもともとの表記はキリル文字。
言語の発音に合わせて文字が生み出されたのですから、当然と言えば当然なのですが。
クロアチアで英語は通じる?
観光大国・クロアチアでは、どこへ行こうと英語が通じます。
もちろん人によってレベルは異なるものの、意思疎通が出来ないことは一度もありませんでした。
クロアチア旅行に限っては、クロアチア語を全く知らなくても問題ありません。
しかし、簡単な表現だけでも現地語で言うと、現地の人との距離が縮まること間違いありませんよ。
ボスニア・ヘルツェゴビナとボスニア語
ボスニア語はラテン文字。だけど…?
バルカン諸国で最も複雑な民族構成を持つボスニア・ヘルツェゴビナ。
人口の半分ほどはボスニア人で、残りはセルビア人とクロアチア人です。
実は、ボスニア・ヘルツェゴビナは一つの国ではなく、中部のボスニアと西部のヘルツェゴビナの連邦制が敷かれた国。
それに加えて、北部と東部にはセルビア人が多く居住するセルビア人共和国(セルプスカ共和国)なるものまであり、独自の警察・郵便システムを維持しています。
(北部と東部に広がる緑色の地域がセルプスカ共和国、その他の地域がボスニア・ヘルツェゴビナ連邦)
これだけでもすでに訳がわからないのですが、それは言語使用状況においても同じこと。
ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦で使用されるボスニア語(クロアチア人居住地域では「クロアチア語」と言われるが、結局は同じ言語)の表記は、反セルビアを表したかのようにラテン文字のみです。
しかしながらセルビア人共和国ではキリル文字とラテン文字の二つが使われており、圧倒的にキリル文字が優勢です。
セルビア人共和国では、セルビア本国以上に「セルビア人」としての民族意識が強いと感じました。
彼らが意地でもキリル文字を使う姿勢に、ボスニア・ヘルツェゴビナという国の民族問題の複雑さが垣間見えるような気がします。
ボスニア・ヘルツェゴビナで英語は通じる?
ボスニア・ヘルツェゴビナでの英語の通用度は地域によってばらばら。
首都のサラエボや南部のモスタルでは、かなり流暢に英語を話す人も多いです。
一方で地方部に行くと、若い人であっても英語が通じないことがほとんど。
簡単な表現は覚えていきましょう。
またセルビア人共和国での英語の通用度は、案の定というかなんというか、とにかく壊滅的。
下手するとセルビア本国よりも通じないかもしれません。
モンテネグロとモンテネグロ語
一応キリル文字とラテン文字の二表記ができるモンテネグロ語
最後の最後まで、セルビアと共にユーゴスラビアを守り抜いたモンテネグロ。
2006年の独立も平和的に達成されたため、他のバルカン諸国に比べると反セルビア感情は薄めです。
その証拠が、夏になると海を求めてモンテネグロに大挙してやってくるセルビア人たち。
海がないセルビアの人々。
彼らは意地でも、宿敵クロアチアの海へは行きません。
かつてのお友達(というか子分)であり、セルビア的には「良好な関係」であるモンテネグロのビーチへとへとわざわざ足をのばすのです。
そんなモンテネグロの公用語はモンテネグロ語。
こちらは、セルビア語とは方言ほどの差すらない、99.99%同言語です。
モンテネグロ語の表記はキリル文字とラテン文字の併用。
これもセルビアと同じです。
ただし、町を歩いているとほとんどの表記がラテン文字であることに気がつくはず。
モンテネグロでも、独立後は脱セルビア化が進んでおり、その一環としてラテン文字を使うことが奨励されているそうです。
また、セルビア語との差別化を図るために、“Ś”と”Ź”というセルビア語にはない文字を導入したモンテネグロ語。
しかしながら、音の差はほとんどありません。「お」と「を」みたいなものです(笑)
一方で、年代が上の人やモンテネグロ国内に居住するセルビア人はキリル文字を使用する傾向にあります。
また、モンテネグロ最大の巡礼地であるオストログ修道院周辺では、セルビア正教の伝統に則ったキリル文字表記がほとんど。
オストログ修道院はセルビア正教の聖地とだけあって、意地でもキリル文字で通す姿勢が見て取れます。
モンテネグロで英語は通じる?
モンテネグロを代表する観光地であるコトルやブドヴァなどアドリア海沿いの町では、英語が問題なく通じます。
しかしながら、内陸部に行けば行くほどその通用度は下がるモンテネグロ。
首都のポドゴリツァですら、全く英語が通じないことが多々あるほどです。
旅行で使える!セルビア・クロアチア語の表現
というわけで、各国の言語状況をお伝えしてきました。
ここからは、実際に旅行する際に使えるセルビア・クロアチア語のフレーズを10個紹介したいと思います。
いずれものぶよが各国を旅行中に毎日のように使っていたものばかり。
セルビア、クロアチア、ボスニア・ヘルッツェゴビナ、モンテネグロの四か国どこでも全く同じフレーズでOKなので、一度覚えればあっという間に四か国語話者!(笑)
1.こんにちは:ドバル ダン (Dobar dan)
コミュニケーションの基本となる挨拶。
「ドバル ダン」は日本語の「こんにちは」にあたり、昼間は常にこれであいさつします。
ちなみに、「こんばんは」は「ドブロ ヴェーツェ “Dobro veče”」と言います。
2.ありがとう:ファーラ (Hvala)
日本人的には発音が難しい、セルビア・クロアチア語の「ありがとう」。
下唇を噛みながら「ファーラ (ヴァーラ)」のように発音します。
最初はなかなか通じず、「何?」と聞き返されることも多かったです。
めげずに毎日使い続ければ、自然と上達するはず。
現地の言葉で「ファーラ」とお礼を言うと、笑顔になってくれる人も多いので、是非覚えて使えるようにしましょう。
3.はい / いいえ:ダ / ネ (Da / Ne)
他のスラブ語圏と似て、「ダ / ネ」が使われるセルビア・クロアチア語。
相手の言っていることがわかって、”Da”、”Ne”と返すと、怒涛のように現地語で話されることもあるので注意しましょう(笑)
4.~をください、お願いします:モーリム (Molim)
英語の”Please”にあたる「モーリム」。
ものすごい頻度で耳にするので、自然と覚えてしまうはず。
他にも、「ファーラ(ありがとう)」と言った時に、「どういたしまして」の意味で”Molim”と返されることも多いです。
5.何?:シュトー (Što)
お店や市場、レストランなどで、それが何かわからないときに使える疑問詞の「シュトー?」。
質問したところで現地語で説明されるので、なかなか使用する機会は少ないかもしれません。
6.いくらですか?:コリーコ (Koliko)
「いくら」や「いくつ」など量や数を聞くときの表現です。
値段が書かれていない場合には、必ず「コリーコ?」と尋ねて値段を確認するようにしましょう。
(特にモンテネグロ)
正確に「これはいくらですか?」と値段を尋ねたい時には、「コリーコ クシュタ? “Koliko Košta?”」と言うとスマートです。
ついでに1~10の数も覚えておくと便利ですよ。
7.~があります:イーマ ~ (Ima)
国を問わず、地元の人が言っているのを一日百回は耳にするであろう「イーマ!イーマ!」。
英語でいう”I have~”、”There is~”で、日本語では「~があります」にあたります。
お店やレストランで「~はありますか?」と尋ねたい時には、”Do you have~?”のように人称が変わって格変化が起きるため、
「イマーテ リ~?”Imate li~?”」となります。
ちなみに否定形は「ネーマ”Nema”」。
こちらもかなり耳にします。
8.いいですか?:モージェ (Može)
「~してもいいですか?」と尋ねる際に使うのが「モージェ?」というフレーズ。
細かい単語などわからなくても、「モージェ?」と言いながらジェスチャーすれば、大体の場合相手もわかってくれる便利な表現です。
9.すみません: サモ マーロ (Samo Malo)
「サモ・マーロ」は、道をあけてほしい時に使う「すみません」。
ぶつかってしまって「ごめんなさい」と謝りたい時などは「オプロスティテ “Oprostite”」を使います。
10.ここ:オヴデェ (Ovdje)
バスに乗っていて、どこで降りるのかわからない時には、運転手や周りの人に「オヴデェ?」と聞いてみましょう。
正しければ「ダ」、違ったら「ネ」と返してくれます。
知っていると便利なセルビア・クロアチア語の前置詞
国や地域にもよりますが、電車やバスの時刻表の表記は現地語のみであることが多いです。
また、チケットを買うときに「~行き」と言ったり、レストランで「(鶏肉、豚肉、牛肉)の~」などの材料を表したりする前置詞を知っておけば、旅行がより簡単になること間違いありません。
「~から」:オド (od)
出発地を表す“od”。
“od”の後の地名は格変化するために語尾が変わるのですが、そんなの気にしなくても普通に通じます。
(例)
“Od Zagreba”「ザグレブから」
“Od Dubrovnika”「ドブロブニクから」
「~へ」「~行き」:ド (do)
知っているととても便利な“Do”。
行き先や目的地を表す前置詞です。
Doの後に続く地名は格変化するものの、旅行者はそのままの地名をつけておけば上出来です。
(例)
“Do Beograda”「ベオグラードへ」
“Do Sarajeva”「サラエボへ」
「~と一緒に」:サ (sa)
レストランのメニューの中でよく見かける、“sa ~”は、英語でいう”with”にあたります。
セルビア・クロアチア語圏のレストランではどこも同じようなメニューを提供していることが多いので、何度も注文しているうちに自然と単語も覚えてしまうはず。
(例)
Pasulj sa kobasicom:ソーセージ入りのパスリ(豆のシチュー)
Pasulj sa pjeskavicom:ハンバーグ入りのパスリ
おわりに
日本人の間ではマイナーにもほどがあるセルビア・クロアチア語について解説してきました。
少しでも現地の言葉を理解することは、その国の文化や歴史を理解することにもつながります。
1つ覚えると多くの国で役に立つセルビア・クロアチア語。
バルカン半島を旅行するなら、ちょっとしたフレーズを覚えておくだけでもかなり役に立つこと間違いありません。
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