こんにちは!世界半周中に東欧・バルカン諸国を8か月間かけてまわった世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
90年代の紛争に次ぐ紛争の歴史を乗り越えて、現在ではヨーロッパの穴場観光エリアとして注目されるようになったバルカン半島の国々。
多くは旧ユーゴスラビア連邦に属していた国々ですが、アルバニアやブルガリア・ルーマニアなどは独立を保ってきたので、ひとくくりにするのはなかなか難しいものがあります。
バルカン半島諸国の旅行情報や観光情報はまだまだ少なく、「行ってみたいけど、何日あれば周遊できるの?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
世界半周中にこの地域を4ヶ月以上かけてまわったのぶよですが、小さな国土の国々それぞれに異なった魅力があって、旅していてとても楽しいエリアでした。
しかしながら、なかなか4ヶ月もまとまった時間を旅に充てられる人は多くないでしょう。
今回の記事では、多くの国があるバルカン半島のうち6ヶ国に絞って、定番観光スポットを訪れるモデルプランを解説していきます!
記事後半では、バルカン半島周遊旅行の注意点やアドバイスも解説しているので、この地域に旅行する人にとっては保存版のような情報盛りだくさんの内容となっています。
バルカン半島周遊旅行の必要日数 / 団体ツアーをおすすめしない理由
「バルカン諸国」の定義は若干曖昧なのですが、旧ユーゴスラビア連邦だった国々からクロアチア・スロベニアを抜いて、アルバニアを付け足した6ヶ国をまわるプランが今回紹介するものです。
バルカン諸国周遊旅行で団体ツアーをおすすめしない理由
バルカン半島の国々は、日本人にとって馴染みのない国ばかり。
馴染みがないどころか、過去の戦争のイメージのためか、「個人で行くのは危険」という先入観を持っている人も少なくはないかもしれません。
バルカン半島諸国の団体ツアーは、首都を急ぎ足でまわるものばかり。
「バルカン半島6か国10日間!」なんて謳い文句のものがありますが、絶対にやめましょう。
なぜなら、それは旅ではなくただの修行だからです(笑)
往復の飛行機で2日間と考えると、1か国1日~2日しか居られない計算になります。
いくらバルカン半島諸国が面積の小さい国ばかりとは言え、どう考えても首都だけ見て終わりになってしまうような強行すぎるスケジュールです。
はっきり言うと、バルカン諸国の首都だけ見てまわったところで、何の魅力も感じられません。
遠い日本からわざわざ訪れて、高いお金と貴重な時間をどぶに捨てるようなものです。
「言葉も通じなそうだし、日本から行く団体ツアーの方が安心かな…」
という考えもあるでしょうが、のぶよ個人的にはバルカン半島はぜひとも個人旅行で訪れてほしいエリアの一つです。
記事後半で解説していますが、治安面も問題がないバルカン諸国。
旅の醍醐味である「自分だけのプランニング」がしやすいことも、個人での周遊をおすすめする理由です。
バルカン半島6ヵ国周遊旅行に必要な日数
今回紹介する6ヵ国を訪れるのに、本当に、本っっっ当に最低減必要な日数が以下の通りです。
(これでも息つく間もない弾丸の忙しさで、かなり多くの見どころをスキップすることになります。)
セルビア:5日間
ボスニア:4日間
モンテネグロ:6日間
コソボ:3日間
北マケドニア:3日間
アルバニア:9日間
現地滞在日数合計:30日間
だいぶ削りに削ってようやく30日に収まったので、これ以上短い日程は無理です(笑)
2週間や3週間しか日程がとれない場合は、いくつかの国だけをピックアップして周遊するしかありません。
あまりバルカン半島の地理感覚がない日本人の中には、
「クロアチアも行きたい!」
「ルーマニア&ブルガリアもセットで!」
なんて人もかなりいますが、どう考えても個人旅行でこれら全ての国を1ヶ月以内で周遊するのは不可能です。
(物理的にはもちろん可能ですが、ただ移動して各地の空気を吸っただけとなります。)
ルーマニア&ブルガリア(最低2週間)
クロアチア&スロベニア(最低2週間)
は、絶対に別の機会に訪れるべきです。
(ドブロブニクだけなら、何とか今回のモデルプランに組み込めるかもしれませんが)
裏を返せば、2か月間の日程がとれるのであれば、上に挙げた国全てを周遊できることになります。
それでも毎日怒涛のような忙しさとなるので、もう少し余裕を持った方が良いとは思いますが。
というわけで、ここからは計30日間にわたるバルカン半島諸国6ヶ国の個人周遊旅行のモデルプランを解説していきます!
セルビア周遊旅行5日間のモデルプラン
古くから東西文明の交差点として繁栄し、大国の思惑に左右されてきたセルビア。
旧ユーゴスラビア連邦の中心的存在だった国で、EUやNATOには未だに非加盟と、西欧諸国からは未だに距離がある印象は否めません。
裏を返せば、観光地化が進んでいないセルビアは、穴場の観光資源の宝庫の国。
バルカン半島最大の都市・ベオグラードで悠久の歴史と現代文化を感じたり、国を取り囲む山々の大自然に身を委ねたり、ハンガリー文化を感じる可愛らしい町を散策したり…。
誰も知らない「ピュアなヨーロッパ」を五感で感じることができます。
- 1日目ベオグラード到着
- 2日目ベオグラード観光
- 3日目ノヴィ・サドへデイトリップ
- 4日目タラ国立公園観光
- 5日目モクラ・ゴラ観光
1&2日目:ベオグラード観光
バルカン半島周遊旅の始まりは、このエリア最大の都市であるセルビアの首都・ベオグラードから。
古くから東西が交差してきた歴史を持つ町は、世界中の旅行者を温かく迎えてくれる旅の始まりにふさわしい場所です。
ドイツから流れてきたドナウ川とサヴァ川の合流地点の絶景が見られるカリメグダン要塞をはじめ、多くの見どころがギュッと詰まった町です。
宿泊:ベオグラード
3日目:ノヴィ・サドへデイトリップ
ベオグラードに滞在しながら、日帰りで足をのばすことができるのが北部にあるセルビア第二の都市、ノヴィ・サド。
ハンガリー調の優雅な旧市街は、ベオグラードとは異なる魅力があって散策がとても楽しいです。
少し忙しくはなりますが、ノヴィ・サド近郊にあるスレムスキ・カルロフチという小さな町もセットで訪れることも可能。
ドナウ川の美しい流れに抱かれた中世セルビアの町がそのままに残る町で、素朴な風景を味わいたい人におすすめの穴場です!
宿泊:ベオグラード
4日目:タラ国立公園観光
セルビアの魅力は、活気あふれる大都市や中世の町並みが残る村だけではありません。
内陸国で山々に囲まれたセルビアは、バルカン半島髄一の大自然の宝庫でもあるのです。
自然スポットはいくつかありますが、比較的アクセスが簡単で感動の絶景が望めるおすすめの場所が西部のタラ国立公園。
山々の大自然や壮大な滝はもちろん、人里離れた場所に建つ修道院もあり、とにかく見どころがたくさん。
SNSで話題の「川の中の家」にも立ち寄れるので、アクティブ派には全力でおすすめしたいです。
宿泊:ウジツェ
5日目:モクラ・ゴラ観光
宿泊地となるウジツェの町からボスニアへと国境を越えることも可能ですが、ぜひ立ち寄りたいのがセルビア最西端の小さな村、モクラ・ゴラ。
セルビア人に大人気のエミル・クストリツァ監督が造成した映画村である「ドルヴェングラード」が最大の観光名所です。
また、モクラ・ゴラにはシャルガン 8(エイト)と呼ばれる狭軌鉄道が走っており、こちらも大人気。
山の中をガタゴトと走るレトロな鉄道旅とダイナミックな自然の風景には感動間違いなしです。
バスのスケジュール的に観光同日の国境越えはできないため、モクラ・ゴラに一泊して翌日にボスニアへと入国することになります。
宿泊:モクラ・ゴラ
ボスニア周遊旅行4日間のモデルプラン
ボスニア・ヘルツェゴビナと聞くと、どうしても壮絶なボスニア内戦のイメージが先行してしまうもの。
内戦について学べるミュージアムの数々や、埋められたままの地雷、未だに根強く残る民族間の対立に、この国がたどってきた悲しい歴史を感じずにはいられません。
しかしながら、現在のボスニアは未来に向かって進もうとするエネルギーに満ち溢れています。
自然と伝統が調和した町の数々と、イスラムを感じるエキゾチックな雰囲気は、きっと訪れる人の心を掴んで離さないはず。
- 6日目サラエボ到着・観光
- 7日目サラエボ観光
- 8日目モスタル観光
- 9日目モスタル近郊観光
6&7日目:サラエボ観光
セルビアからボスニア・ヘルツェゴビナに入国して、まず滞在するのは首都のサラエボ。
第一次世界大戦のきっかけとなったサラエボ事件や、壮絶なボスニア内戦など、数々の悲しい歴史を乗り越えてきた町ですが、現在は完全に安全。
観光客の姿も増えてきており、未来に向かうエネルギーに満ち溢れた町です。
とにかく居心地の良いサラエボには、見どころがたくさん。
オスマン帝国支配時代の雰囲気と、オーストリア=ハンガリー帝国支配時代の雰囲気が絶妙に調和している、世界でも類を見ない独特な町並みです。
本当は1週間くらいのんびりと滞在して、独特の雰囲気を心ゆくまで味わってほしい。と主張したいほどに、大都市でありながらも居心地の良さは抜群です。
宿泊:サラエボ
8日目:モスタル観光
ボスニア最大の観光名所である、世界遺産のモスタル。
オスマン帝国時代の石橋が有名で、観光のハイライトとなる美しい風景が町中どこでも見られます。
モスタルはサラエボから日帰りで観光も可能ですが、夕方~朝にかけての静まり返った雰囲気こそが最大の魅力なので、絶対に宿泊しましょう。
近郊にも見どころが点在しているので、充実した滞在となることをお約束します。
宿泊:モスタル
9日目:モスタル近郊観光
モスタル旧市街はとても小さく、数時間あれば観光できてしまうほどなので、9日目は近郊の見どころへとデイトリップで訪れるのがおすすめ。
イスラム教の聖地・ブラガイ
500年前の風景がそのまま残る村・ポチテリ
SNSで話題のクラヴィカの滝
など、バラエティー豊かな見どころが点在しています。
個人で全てを1日でまわるのは不可能なので、1日しか時間がない場合はモスタル発の現地ツアーに参加するのが最も効率的&安く済みますよ!
宿泊:モスタル
モンテネグロ周遊旅行6日間のモデルプラン
アドリア海の美しいビーチリゾートと、内陸部の伝統香る大自然のコントラストが素敵なモンテネグロ。
世界遺産のコトルはかなりポピュラーな旅行先となってきてはいるものの、小さな国土にはそれ以外にもバラエティー豊かな見どころでいっぱいです。
「バルカンの屋根」と称される東部~南部の山岳地帯は、隠れたモンテネグロ観光のハイライト。
小さな国に息づく伝統や地元の人々の生活に触れるのも魅力的な、バルカン諸国の観光面で今最も注目を集めている国です。
- 10日目コトル到着
- 11日目コトル観光
- 12日目ブドヴァ、スヴェティ・ステファン観光
- 13日目オストログ修道院観光
- 14日目ドゥルミトル国立公園観光
- 15日目ポドゴリツァ観光&コソボへ移動
10&11日目:コトル観光
ボスニアから国境を越えて到着するのは、モンテネグロ観光のハイライト。
世界遺産のコトルです。
フィヨルドのような地形のコトル湾沿いにひらけた宝石のような旧市街が魅力的な町で、モンテネグロを訪れてコトルへ足を運ばない旅行者など存在しないでしょう。
時が止まったような旧市街の風景や、コトル城壁からの絶景はもちろんのこと。
名物グルメや周辺へのデイトリップ拠点ともなる、万能な魅力を誇る町です。
宿泊:コトル
12日目:ブドヴァ&スヴェティ・ステファン観光
コトル観光を満喫したら、アドリア海沿いのブドヴァへと足をのばしましょう。
こぢんまりとした旧市街と、クリアブルーの海水が美しいビーチで有名な町です。
ブドヴァ観光自体は数時間で十分なので、近郊のスヴェティ・ステファンもセットで訪れるのがおすすめ。
「モンテネグロのモン・サン・ミッシェル」と呼ばれる独特な地形が特徴の町で、アドリア海の青色と赤い屋根のコントラストが絵葉書のようです。
観光後はモンテネグロ国内交通のハブとなる首都のポドゴリツァに移動&宿泊しましょう。
物価が安く、交通もかなり便利なおすすめ滞在先です。
宿泊:ポドゴリツァ
13日目:オストログ修道院観光
アドリア海沿いの町も素敵ですが、モンテネグロという国の真の魅力が味わえるのが内陸部。
伝統息づく地方部の村や、「バルカンの屋根」と呼ばれる山々の大自然など、有名ではないものの感動の旅となるはずです。
絶対に訪れたいのが、中部のオストログ修道院。
モンテネグロ人の信仰の中心的存在の場所で、崖をくりぬいて作られた白亜の修道院の姿は圧巻です。
信者たちは現在でも、山道に敷かれた巡礼路を裸足で歩いて参拝するのがしきたり。
アドリア海沿いの開放感あふれる雰囲気とは別のモンテネグロの一面が肌で感じられるはずです。
オストログ修道院観光後は、翌日のドゥルミトル国立公園観光の拠点となる北西部のジャブリャックまで移動&宿泊しましょう。
宿泊:ジャブリャック
14日目:ドゥルミトル国立公園観光
なぜか日本語の情報がほとんどないのですが、北西部のドゥルミトル国立公園は、モンテネグロ観光の真のハイライトと言えます。
初心者から登山家まで、レベルに合わせたハイキングコースが整備されているので、本格的な装備がなくても大自然を楽しむことができます。
国立公園内には、ヨーロッパで最も深い谷であるタラ渓谷に架かる橋があり、こちらの風景もとてもダイナミック。
一日でも十分に満喫することができるので、日程が限られた旅でもぜひ立ち寄ってほしい穴場のスポットです。
ドゥルミトル国立公園観光後は、首都のポドゴリツァへと戻って宿泊します。
宿泊:ポドゴリツァ
15日目:ポドゴリツァ観光&コソボへ移動
モンテネグロが誇る首都・ポドゴリツァは、「ヨーロッパで最も醜い首都」と称される町。
旅行者の多くがスキップしてしまうのですが、絶妙な居心地の良さと物価の安さを誇ります。
この日はコソボへと国境を越える移動日となりますが、時間があれば町を散策してみるのもおすすめ。
共産主義感あふれる町並みに暮らす人々の姿と笑顔は、きっと印象に残るものとなるでしょう。
宿泊:ペーヤ(コソボ)
コソボ周遊旅行3日間のモデルプラン
「ヨーロッパで最も若い国」・コソボがセルビアから独立したのは2008年のこと。
独立から年月が短いという若さ以外にも、どこも若者であふれるコソボの町には、明るい未来を思わせる独特の熱気とエネルギーが感じられます。
壮絶なコソボ紛争も、もはや過去のこと。
イスラム色が強い町や文化のエキゾチックな魅力はもちろん、観光客でスレていない地元の人々の温かさを肌で感じることができる貴重な国です。
- 16日目ペーチ総主教教会、デチャニ修道院、ジャコヴァ観光
- 17日目プリズレン観光
- 18日目グラチャニツァ修道院観光
16日目:ペーヤ~プリズレン間を移動&観光
モンテネグロから国境を越えて到着&宿泊したコソボ西部のペーヤは、活気あるバザールと美しい大自然に囲まれたコソボ第三の町。
本来は何泊かして周辺の見どころへと足を運びたいのですが、いかんせん日程が限られています。
中心街の観光はサクッと済ませて、周辺の見どころへと向かいましょう。
コソボで必見なのが、国内に4つある世界遺産のセルビア正教の中世教会群。
そのうちの1つであるペーチ総主教修道院がペーヤの郊外にあります。
ペーチ総主教修道院の観光を済ませたら、ペーヤの南に位置する二つ目の世界遺産の建造物・デチャニ修道院へと向かいましょう。
デチャニ修道院からさらに南に位置するプリズレンが本日の宿泊地ですが、その途中にあるジャコヴァに立ち寄るのもお忘れなく。
全く有名ではありませんが、実はこの町がコソボ観光のハイライトの一つと言えるかもしれません。
(のぶよは偶然発見しました。)
もはや日本の小京都にしか見えない半木造建築の町並みがとても美しく、どこからか醤油の匂いでも漂ってきそうな雰囲気です。
ジャコヴァ観光の後は、コソボ第二の都市であるプリズレンまで移動&宿泊します。
観光に、移動に…と盛りだくさんの一日に見えますが、コソボはとても小さな国なので、各観光スポットの移動時間はそれほど長くありません。
宿泊:プリズレン
17日目:プリズレン観光
のぶよがコソボを大好きになった理由の一つが、世界遺産の旧市街を持つ古都・プリズレンでの滞在でした。
世界遺産の建造物群の3つ目・リェヴィシャの生神女教会が中心街にある点や、オスマン帝国支配時代の町並みが残る美しい町並みはもちろんのこと。
プリズレンではコソボの人々の温かさに触れる機会がとても多かったのです。
時間があれば数日間のんびりと滞在したい魅力にあふれた古都。
コソボという国の魅力がギュッと詰まった場所です。
プリズレン観光後は翌日の移動に向けて、首都のプリシュティナへ移動&宿泊しましょう。
宿泊:プリシュティナ
18日目:グラチャニツァ修道院へデイトリップ
コソボの首都・プリシュティナはまだまだ発展途上な町並みにヘンテコな建造物が建ち並ぶ面白い町。
しかし観光地的なものは少ないので、時間に限りがある場合は市内観光はほどほどに済ませて、北マケドニアの首都・スコピエへと向かいましょう。
北マケドニアへと国境越えする前に、郊外にある世界遺産の建造物群最後のひとつ・グラチャニツァ修道院へのデイトリップもお忘れなく。
スコピエ行きのバスは結構遅い時間まで出ており、所要時間も2時間ほどと短いので、デイトリップ後の国境越えでも全く問題ありません。
宿泊:スコピエ(北マケドニア)
北マケドニア周遊旅行3日間のモデルプラン
アレキサンダー大王がヨーロッパからアジアにまたがる大王国を成立させてから、すでに2000年以上。
栄光の歴史は遠い過去となり、中世以降は周辺諸国にいじめぬかれてきた可哀相な国・北マケドニアは、異民族による支配の中でも人々が守り抜いてきたマケドニア正教が強く息づく誇り高き国です。
自然の美しさはもちろんのこと。
肥沃な土壌で採れた食材をふんだんに使ったマケドニア料理も旅の楽しみの一つでしょう。
国中のんびりとした雰囲気が漂う「バルカンの癒し系担当」の国は、私たちが忘れてしまったようなレトロな光景で満ち溢れています。
- 19日目スコピエ到着・観光
- 20日目オフリド観光
- 21日目オフリド近郊観光
19日目:スコピエ観光
前日の夜にコソボから国境を越えて到着&宿泊したスコピエは、北マケドニアが誇る首都。
この町をひとことで表すなら、「斜め上行くトンデモな町」でしょう。
おびただしい数の銅像や、諸外国の有名建築物をパクったハコモノの数々。
世界広しと言えども、ここまでどこを目指しているのかわからない町はスコピエぐらいだと思います(笑)
トンデモ建造物ばかりではなく、レトロなオールド・バザールや城壁などの見どころも多いスコピエ。
気が付いたときには、この町が持つ不思議な魅力にハマてしまっているかもしれませんよ。
宿泊:スコピエ
20日目:オフリド観光
北マケドニア観光の堂々たるハイライトが、西部に位置する世界遺産のオフリドです。
自然遺産と文化遺産のいずれも世界遺産に登録されているという珍しい場所で、風光明媚なオフリド湖沿いにひろがる歴史的な町並みはきっと旅の思い出を彩ってくれるはず。
のんびりとした雰囲気が魅力的な旧市街と湖沿いを散策していると、地味にもほどがある北マケドニアの隠れた魅力にきっと気が付くことでしょう。
宿泊:オフリド
21日目:オフリド近郊観光
オフリド観光を満喫したら、周辺の見どころへとデイトリップをするのがおすすめ。
オフリド湖畔にある聖ナウム修道院は、マケドニア正教の聖地のような存在の場所です。
修道院周辺には美しい湖ビーチや、聖なる泉をめぐる散策コースも整備されているので、北マケドニアの大自然と文化の両方を楽しむことができるのもポイントです。
宿泊:オフリド
アルバニア周遊旅行9日間のモデルプラン
かつては「ヨーロッパの秘境」と呼ばれたアルバニア。
近世では鎖国状態にさえあったベールに包まれた謎多き国は、山あり、海あり、伝統ありの観光資源の宝庫でもあります。
他のバルカン諸国とは異なる歴史と民族構成、文化を持つアルバニアでは、自国の歴史や伝統を愛する誇り高き人々との温かな出会いも楽しみの一つ。
旅行前に少しでもアルバニアについて知っておくと、旅がより一層思い出深いものとなることでしょう。
- 22日目ティラナ到着・観光
- 23日目クルヤ観光
- 24日目テス観光
- 25日目呪われた山ハイキング
- 26日目コーマン湖フェリー
- 27日目ベラト観光
- 28日目ジロカストラ、ブルーアイ観光
- 29日目ブトリント観光
- 30日目サランダからティラナへ移動
22日目:ティラナ到着・観光
北マケドニアのオフリドから国境を越えて到着するのが、アルバニアの首都・ティラナ。
かつての共産主義時代の雰囲気が色濃く残る町ですが、人々はどこまでも開放的で笑顔があふれます。
共産主義感を逆手に取った「ティラナ・共産主義の遺産ツアー」なんて面白い現地ツアーも開催されているほどで、かつての無機質な建物をカラフルにした「共産主義アート」なるものも見られるティラナ。
過去を負の歴史ととらえるのではなく、全てひっくるめて前に進もうとするアルバニアの人々の強さが感じられる、不思議な町です。
宿泊:ティラナ
23日目:クルヤ観光&シュコドラへ移動
ティラナ観光を済ませたら、アルバニア北部のシュコドラへと向かいましょう。
移動途中にあるクルヤという村に立ち寄るのもお忘れなく。
アルバニア人が誇る英雄・スカンデルベグが建てた城塞を中心とした美しい町で、「天空の城」を思わせる佇まいは必見です。
クルヤに立ち寄った後は、レトロな雰囲気が残る北部のシュコドラを観光&宿泊します。
翌日からは、アルバニア観光のハイライトとなる「呪われた山」エリアへ足を運ぶこととなります。
大きな荷物はシュコドラの滞在先に置かせてもらう&翌朝のミニバス(完全予約制)を手配してもらいましょう。
宿泊:シュコドラ
24日目:テス観光
アルバニア山岳部の伝統が残るテス村は、「呪われた山」の西側に位置する観光の拠点となる場所。
現世から隔絶されたような村の風景はもちろん、周辺のハイキングコースも絶景の連続です。
テスに数軒あるゲストハウスはどこも手作りの夕食&朝食のオプションがあり、アルバニア北部の伝統料理を食べられるのもポイント。
「ここに行かなければ、アルバニアに来た意味なし!」と断言できるほど素晴らしい場所での滞在は、きっとバルカン半島旅の中でも最高の思い出の一つとなるはずです。
宿泊:テス
25日目:呪われた山ハイキング
テス村でアルバニア地方部のホスピタリティーに触れたなら、いよいよ呪われた山を自分の足で歩くとき。
西側のテス~東側のバルボナまで、全長12km/高低差1000m/所要7時間というコースです。
こう書くとかなりハードルが高そうに聞こえますが、実際そこまででもありません。
のぶよはスニーカーで行きましたし、普通に歩ける人なら問題なく完歩できるでしょう。
(とはいえ、ちゃんとした装備や靴で挑むのがベストです。)
人生観が変わるほどの絶景の連続が待っている呪われた山。
テス村の滞在と合わせて、アルバニア観光で絶対に訪れるべき場所だと言えます。
宿泊:バルボナ
26日目:コーマン湖フェリー
呪われた山ハイキングを終えた翌日は、コーマン湖を走るフェリーに乗って下界へと戻りましょう。
前日のハイキングで疲れた体にも優しい2時間ほどの船旅で、こちらも絶景の連続です。
フェリー下船後は、荷物を置いておいたシュコドラへといったん戻り、翌日の観光のためにティラナかさらに南のベラトへと移動&宿泊をするのがおすすめです。
宿泊:ティラナ/ベラト
27日目:ベラト観光
「千の窓を持つ町」と称される世界遺産の町・ベラトもアルバニア観光のハイライトの一つ。
オスマン帝国風の建築様式が現地の様式と混ざった独特な家々が川沿いにずらりと並ぶ光景には、心の底から感動を覚えるはずです。
ベラトの魅力はその町並みだけではありません。
アルバニアの長い歴史を感じさせるベラト城塞や、この地域で食べられる名物料理、のんびり生活する地元の人々との触れ合いなど、1日で去ってしまうのはもったいないほどです。
これまでさんざん色々旅してきましたが、観光地としての魅力でベラト以上に完璧な町は他に思い浮かびません。
宿泊:ベラト
28日目:ジロカストラ&ブルーアイ観光
ベラトの観光を満喫したら、アルバニア南部にあるもう一つの世界遺産の町・ジロカストラへと向かいましょう。
「石の町」という異名を持つジロカストラは、小高い丘に築かれた城塞を中心に石造りの独特なスタイルの民家が建ち並ぶ町。
本来は宿泊していきたいところですが、日程に限りがあるので立ち寄るだけとなってしまいます。
ジロカストラから、宿泊先となるサランダへ移動する途中に立ち寄ることができるのが、ブルーアイと呼ばれるスポット。
数年前までは「アルバニアの秘境スポット」なんて言われていましたが、現在ではただの一大観光地となってしまっています。
個人的にはスルーしてOKなブルーアイですが、ちょうど移動途中にあるので、時間が許すなら立ち寄るのもアリかもしれません。
宿泊:サランダ
29日目:ブトリントへデイトリップ
「ヨーロッパ最古の国の一つ」と言われるアルバニアの古代史を知りたいなら、サランダの南に位置する世界遺産のブトリント遺跡は必見です。
先史時代から都市があったこの場所では、支配者が入れ替わるたびに町のリノベーションがされてきました。
古代イリュリア人、ギリシャ、ローマ…
この地を支配した古代人の足跡をたどりながら歴史が学べるおすすめの遺跡です。
ブトリント観光の後は、サランダへ戻る途中にあるクサミル島の極上ビーチに立ち寄ってみるのもおすすめです。
入浴剤を入れたかのようなコバルトブルーの海と真っ白な砂浜がとても美しく、ビーチ派ならきっと血が騒ぐはずです。
宿泊:サランダ
30日目:サランダからティラナへ移動
1ヶ月のバルカン半島周遊旅もこれで最終日。
サランダの中心街を散策した後は、各地への移動となります。
ティラナ発のフライトの場合はバスでティラナへと戻る必要がありますが、もし日程に余裕があるなら、サランダの目と鼻の先に浮かぶギリシャ領のコルフ島へと渡るのもおすすめ。
コルフ島はリゾート地として有名な場所で、LCCなどが発着する空港もあるので、ここを拠点に他の国へと飛ぶ/ギリシャを旅する/日本に帰国することも可能です。
バルカン諸国周遊旅行の注意点とアドバイス
日本~バルカン諸国の往復はオープンジョー航空券が便利!
日本発着で、バルカン半島6ヵ国を周遊する旅行プランなら、絶対におすすめなのがオープンジョーと呼ばれる航空券の種類。
オープンジョーとは、現地で到着する都市と出発する都市が異なる航空券のことを指し、今回紹介したモデルプランの場合だと、
往路:日本発→ベオグラード着
復路:ティラナ発→日本着
となります。
この航空券タイプなら、旅の最後にわざわざベオグラードに戻る時間もお金も節約できますね!
オープンジョーだからといって追加料金がかかることは稀で、季節にもよるものの最安で94,000円ほど(往復料金)で手配することができるようです。
オープンジョー航空券の購入方法
オープンジョー航空券は何も特別なものではなく、エクスペディアなどの航空券予約サイトで個人でも簡単に予約&購入が可能です。
これだけ。
実際にやってみると拍子抜けするほど簡単ですし、旅行の自由度が増しますね!
ルートは南下ルートが基本
バルカン半島6ヵ国を一度に周遊する場合に気をつけたいのが、各国を訪れる順番。
ポイントはセルビア/コソボ/アルバニアの3ヵ国です。
セルビアとアルバニアは犬猿の仲で、お互いがお互いの国に良い感情を持っていません。
アルバニアはセルビアへの渡航歴があっても何の問題もなく入国可能なものの、アルバニア入国歴があってセルビアに渡航する際は、ものすごく嫌な顔をされたり、国境越えに時間がかかることが多いと言われています。
(とはいえ、十中八九入国は可能ですが)
さらにややこしいのがコソボ。
セルビアはコソボを自国の領土と主張しているため、第三国(アルバニア・北マケドニアなど)からコソボに入国→セルビアに入国しようとすると、「セルビアへの入国記録がない(コソボの入国記録はセルビア的には何の効力もない)→不法滞在者」となってしまうので、100%入国を拒否されます。
コソボに先に入国してしまった場合は、第三国(北マケドニアやモンテネグロなど)を経由してセルビアへと入国しなければならず、こちらも嫌な顔をされる&国境越えに時間がかかることが予想されます。
一方、セルビア渡航後のコソボ入国は何の問題もなく可能(セルビア→コソボ間を直接国境越えも可能)ですが、この二か国の国境地帯には外務省からの注意勧告が出されているので、あえてセルビア→コソボと直接移動するメリットはありません。
1ヶ月間という限られた日数で、出入国時に無駄にトラブルに遭ってしまうのは避けたいですし、あえてリスクがある北上ルートで挑戦する意味もないと思います。
なので、バルカン半島周遊旅では入国に関する制限が多いセルビアを最優先に訪れる→そのほかの国へという、当記事のモデルプランのような南下ルートが絶対におすすめです。
バルカン諸国の物価は?1ヶ月旅行の費用は?
1ヶ月のやや長期間の旅行をプランニングする際に気になるのが、「いったい旅行の費用はいくらかかるの?」という点ではないでしょうか。
西ヨーロッパの国々に比べると、バルカン半島諸国の物価は格安。
観光に、移動に、名物グルメに…と散財しまくっても、かなりリーズナブルに旅行することができます。
旅行スタイルによって大きく出費は変わってくるので、ここでは
バックパッカースタイル:宿泊はホステル、移動は最安手段で、外食は1日1回→学生・一人旅向き
エコノミー旅スタイル:宿泊はホテルの個室、移動は快適に、昼と夜2回外→カップル・家族旅行向き
の二つの旅行スタイル別に、本記事で紹介したモデルプランのバルカン半島6ヵ国周遊旅行の現地でかかる費用を計算します。
セルビア旅行5日間の費用
バックパッカースタイル:1日2,600円 × 5日 = 13,000円
エコノミー旅スタイル:1日5,400円 × 5日 = 27,000円
ボスニア旅行4日間の費用
バックパッカースタイル:1日3,100円 × 4日 = 12,400円
エコノミー旅スタイル:1日7,000円 × 4日 = 28,000円
モンテネグロ旅行6日間の費用
バックパッカースタイル:1日2,900円 × 6日 = 17,400円
エコノミー旅スタイル:1日6,900円 × 6日 = 41,400円
コソボ旅行3日間の費用
バックパッカースタイル:1日2,200円 × 3日 = 6,600円
エコノミー旅スタイル:1日4,500円 × 3日 = 13,500円
北マケドニア旅行3日間の費用
バックパッカースタイル:1日2,200円 × 3日 = 6,600円
エコノミー旅スタイル:1日5,900円 × 3日 = 17,700円
アルバニア旅行9日間の費用
バックパッカースタイル:1日1,700円 × 9日 = 15,300円
エコノミー旅スタイル:1日4,100円 × 9日 = 36,900円
バルカン半島周遊1ヶ月旅行の費用合計
バックパッカースタイル:71,300円 (1日当たり2,377円)
エコノミー旅スタイル:164,500円 (1日当たり5,483円)
というわけで、バックパッカースタイルなら1ヶ月で7万円ほど、エコノミー旅スタイルなら16万円ほどで旅行できることがわかりました。
ここに日本からの往復の航空券94,000円を足すと、
バックパッカースタイル:165,300円
エコノミー旅スタイル:258,500円
となります。
1ヶ月丸々もあちこち見てまわって、航空券、宿泊費、移動費、食費全て込みでこの値段と考えると、かなりリーズナブルだと言えるのでは。
バルカン諸国の治安は?
「バルカン半島」と聞くと、90年代後半に壮絶を極めた紛争のイメージがどうしても浮かんできてしまうのは仕方がないこと。
実際に行ってみるとびっくりするのですが、バルカン諸国全体を通して、治安面で不安を感じる機会はとても少ないです。
日本人観光客がこぞって訪れるパリやローマなどの有名大都市の方が、観光客を狙った軽犯罪に遭遇する可能性が高いと思ったほど。
共産主義感が強く感じられる町並みは、一見するとあまり治安が良くなさそうな印象を受けますが、実際のところは、身の回りのものなど最低限の注意さえ払えば何の問題もなく旅行できます。
スリなどの軽犯罪と同様にバルカン諸国旅行の際に最も注意を払うべきなのが、民族間の対立&それに伴う暴動などが起こる可能性でしょう。
2002年に北マケドニアで起こったアルバニア系住民とマケドニア系住民の対立&暴徒化以降、この地域全体で2020年現在まで表立った暴力行為やテロ行為は起きておらず、バルカン半島情勢はひとまず沈静しています。
しかしながら、長い歴史や内戦などによって生まれた各国の民族対立の火種は依然として残っており、いつ何をきっかけに再燃するかはわかりません。
のぶよ個人的にはもう大丈夫だろうと思いますが、旅行の際には自分で最新の安全情報を集めるように心がけるべきでしょう。
現地ツアーが便利!
今回の記事で紹介したモデルプランですが、正直個人でまわるとなると結構な忙しさとなります。
お隣のクロアチアや中欧諸国などの観光大国に比べると、公共交通網があまり発展していない国も多く、特に地方部を訪れる際にはバスの本数がかなり少なかったりと不便を感じると思います。
限られた日数でできるかぎり多くの見どころを効率的に見たい人は、現地ツアーへの参加を考えてみるのも一つの手。
物価が安いバルカン諸国なので、結構リーズナブルな料金で盛りだくさんな内容のものも多く、場所によってはかなり利用価値が高いです。
ツアーによっては記事内モデルプランで紹介している複数の見どころを1日でまわるようなものもあるので、空いた1日で他の見どころを訪れたり、好みの町での滞在をのばしたりと、時間を賢く使うことができるのも良い点ですね。
おわりに
のぶよ自身の8か月間の東ヨーロッパ&バルカン諸国旅の体験から、悩みに悩んで練り上げた1か月間の周遊プランを解説しました。
そっくりそのまま同じプランを実行する必要は全くありませんが、1ヶ月という限られた時間でできるだけ多くの観光スポットをまわりたい人は、きっと参考となったはずです。
紹介しきれなかった見どころや町も数多くあるので、興味のある方は国別記事一覧ページへどうぞ!
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