こんにちは!トルコに3ヶ月滞在した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
世界三大料理に数えられるトルコ料理。
トルコ旅行の楽しみの一つとして考える人も多いのではないでしょうか。
「トルコ料理」とひとことで言っても、その中身は多種多様。
肉料理に魚料理、絶品のスープにじっくりと煮込まれた野菜メインのものまで、トルコは世界でも有数の豊かな食文化を持つ国として名前が上がります。
広大な国土を持つトルコでは、気候や風土はもちろん、歴史や文化も各地域によって異なりますが、それは食文化においても同様。
日本の津々浦々に郷土料理やご当地グルメの類が存在するように、トルコでも地域や町によって名物とされる料理が多く存在します。
今回の記事では、のぶよが3ヶ月のトルコ滞在中に訪れた町で食した名物ご当地グルメを紹介していきます。
その土地でしか食べることのできないものから、トルコ全土に広がったポピュラーなものまで、地域色豊かな食文化に驚くはず!
記事内では、トルコを9つの地域に分けて紹介しています。
(トルコ北東部・南東部は訪れていないので、再訪した際にまたまとめたいと思います。)
トルコ旅行でこれらの町に滞在する予定なら、絶対に見逃さないでくださいね。
イスタンブール周辺地域の名物グルメ
イスタンブール
「東洋と西洋が交差する町」・イスタンブール。
そのキャッチフレーズに偽りはなく、ヨーロッパでもアジアでもない独特の魅力がいっぱいの、トルコ最大の都市です。
イスタンブールの名物グルメは、気軽に食べられるファストフード感覚のものが中心。
街歩きがてらの軽食にはもってこいなものばかりです。
ウスラク・ハンブルゲル(濡れバーガー)
トルコ広しと言えども、なぜかイスタンブールでしか目にすることのないウスラク・ハンブルゲル(ıslak hamburger)。
直訳すると「濡れバーガー」ですが、その名の通りびっしょりしっとりした生地が特徴です。
とは言っても茹でられたわけではなく、特製の蒸し器に入れた状態で売られているので、常に濡れた状態で食べることができるのです。
びっしょりと湿った生地は、例えるなら日本の肉まんをさらにしっとりとさせたような食感。
甘酸っぱいトマトソースが染み込んでおり、具の牛肉のパテやチーズと合わせてまるでピザのような風味です。
サイズも小ぶりで軽食にもぴったりな濡れバーガー。
新感覚の食感に病みつきになってしまうかもしれません。
サバサンド
イスタンブールの殿堂入りご当地グルメと言えば、サバサンドの右に出るものはないでしょう。
現地でサバサンドと呼ばれているわけではなく、「魚のサンドイッチ(Balık ekmek)」や「フィッシュ・ケバブ」と呼ばれます。
その名の通り、イスタンブール近海で獲れたサバをグリルしたものをエキメッキと呼ばれるトルコ風フランスパンに挟んだもので、日本人旅行者にも大人気の一品です。が…
有名なサバサンド店(エミノニュ地区にある船の上で営業している数店)は激的な不味さを誇ります。
観光客だからって騙されてはいけません。
のぶよが発見した絶品サバサンドは、有名からは程遠い、屋台のようなクオリティーのお店のものでした。
「サバサンド」というよりも「サバロール」という感じでしたが、こちらが感動の美味しさでした。
もし有名店のサバサンドだけを食していたら、「サバサンド=激まず」という情報を広めていたかもしれません(笑)
これからイスタンブールに行かれる方、どうか本物のサバサンドを食べて、その美味しさに感動してください。
ブルサ
イスタンブールからフェリーでもアクセスできるブルサ(Bursa)は、知られてはいないものの、オスマン帝国始まりの町。
イスタンブールを領土とする前には首都とされていた町で、初期オスマン帝国時代の建造物や文化が色濃く残るおすすめの町です。
ブルサの名物グルメは、他地域のトルコ人にも大人気のポピュラーなもの。
これを食べずにトルコを去るなんて、ナンセンスとしか言えないほどの知名度を誇ります。
イスケンデル・ケバブ
ブルサと言えばイスケンデル。イスケンデルと言えば、ブルサ。
ブルサという町の食文化を代表するのがイスケンデル・ケバブ(İskender kebab)です。
ドネル・ケバブのように削った牛肉をピタパンの上にのせ、特製トマトソースと溶かしバターをたっぷりとかけた一品で、必ずヨーグルトが添えられます。
「これ考えた人、天才だわ…」と感じずにはいられないほど、素晴らしいハーモニーが口の中で広がる魔法の料理。
現在ではトルコ全土で食されるようになったイスケンデル・ケバブは、トルコ人におすすめのトルコ料理を尋ねるとかなりの確立で答えに挙がるほどポピュラーです。
イスケンデル・ケバブ発祥の地・ブルサでは、「自分たちが本家本元」という意識のもと、数多くの専門店が点在しているので、お好みの味を探してみるのもいいかも。
見た目の通りなかなかに重たいですが、味付けは意外に濃くないので、ぺろりと平らげられてしまいます。
ブルサ的には邪道?なタウク・イスケンデル
イスケンデルの本場、ブルサでは、「イスケンデル・ケバブ=牛肉(トルコ語で「エト(Et)」)」という暗黙の了解があります。
しかしながら、もはや全国的な知名度を誇るイスケンデル・ケバブには、鶏肉を使ったタウク・イスケンデル(Tavuk iskender)というバージョンも存在します。
牛肉独特の風味が苦手な人や、リーズナブルに済ませたい(鶏肉の方が牛肉よりも安い)人にはおすすめの一品で、トルコ全国どこでも食べることができます。
のぶよ的には、ブルサの本場のイスケンデル(牛肉)よりも、そこらへんのファストフード店で食べたタウク・イスケンデルの方が美味しい気がしたのですが、舌がおかしいのかもしれません(笑)
ピデリ・キョフテ
どうしてもイスケンデル・ケバブの影に隠れた存在となっていますが、ブルサにはもう一つご当地グルメが存在します。
その名もピデリ・キョフテ(Pideli köfte)。
キョフテとはトルコ全土で食されるミートボール(基本牛肉、地域によって羊肉も)のことで、一般的にはグリルしただけの状態で提供されるのですが、ソース大好きなブルサの人々の手にかかるとあら不思議。
「イスケンデル・ケバブのキョフテ版」といったところのピデリ・キョフテの出来上がりです。
ピタパンの上に肉をのせて、トマトソースと溶かしバターをかけ、ヨーグルトを添えるのも全く同じですが、キョフテの方が肉汁がジュワりと染み出してくるので、こちらが好みな人も多いかもしれません。
イスケンデル・ケバブよりも値段が安めなのも嬉しい点。
是非どちらも食べてみて、自分のお好みを見つけてみてはいかがでしょうか。
アンカラ周辺地域の名物グルメ
アンカラ
トルコが誇る首都・アンカラ(Ankara)。
首都と定められたのはトルコ共和国が成立した1923年のことで、都市としての歴史は長くありません。
旅行者の間では「魅力がない町」なんて言われてしまうアンカラですが、のぶよ的には「あんたら、何を見てるの?」と真っ向から反論したいです(笑)
首都だけあって、トルコ全土から人が集まるアンカラでは、各地方のご当地グルメを手軽に食べることができるコスモポリタンな食文化が根付いているのも魅力的。
(とは言ってもトルコ料理以外には選択肢は限られます)
しかしながら、大都市・アンカラにも名物グルメが存在するのは事実。
滞在中に一度は挑戦してほしいものです。
アンカラ・ドネル
アンカラの名物グルメはドネル・ケバブです。
「え、ドネル・ケバブって…トルコのどこでも食べられるのでは?」
と思う人は多いでしょう。
しかしです。
アンカラのドネルケバブはとにかく美味しいのです。
アンカラの人々は、自分たちのドネル・ケバブがトルコで一番だと誇ってやみませんし、他の町から来たトルコ人(自分の町大好き)も「アンカラのドネルはすごい!」と絶賛するほど。
そんなアンカラ・ドネル。
一番の特徴は、牛肉(Et)しか使われないことでしょう。
トルコ全土で食されるドネル・ケバブは鶏肉(Tavuk)と牛肉(Et)のどちらかを選べる場合が多いですが、アンカラではとにかく牛肉のみ。(一部全国チェーン店除く)
また、通常は肉を挟むパンの種類が選べるドネル・ケバブ。
・トルコ風フランスパンのエキメッキに挟む(エキメッキ・アラス=Ekmek Arası)
・薄い生地でロールする(ドゥルム=Durum)
などあるのですが、、アンカラではエキメッキ一筋です。
「ドゥルムはないの?」と聞くと、嫌な顔をされるか、爆笑しながら「そんなものはない!」と一掃されます(笑)
中の具も特徴的、というかシンプル・イズ・ベストなのがアンカラ流。
レタスやトマト、フライドポテトとは袂を分かち、肉と玉ねぎのみという潔さです。
もちろんケチャップやマヨネーズなども使われないので、「とにかく肉の味と脂・焼き加減を味わう」といった性格が強いのです。

他の町でドネル・ケバブを食べた後でアンカラのドネルを食べると、その肉の脂の乗り具合にビックリするはず。
牛肉本来の旨味を新鮮な玉ねぎが引き立てていて、いくらでも食べられてしまいそうです。
肉の焼き方や切り方にもこだわるのがアンカラ流。
何と言っても、店にはドネル・ケバブを回す&切る専門の人がいるくらいですから。

アンカラっ子に教えてもらった美味しいドネル・ケバブ屋の見つけ方のポイントは、
肉の切り口が均等&真っすぐで四角柱型
脂が滴り落ちていたら、なお良し
とのことでした。
星の数ほどドネル・ケバブ屋があり、しのぎを削りあっているアンカラ。
お気に入りのお店を見つけた時の嬉しさは、言葉にできないものがあります。
コンヤ
「トルコで最も信仰心が深い町」と言われるコンヤ(Konya)。
その言葉に偽りはなく、街ゆく女性の頭部カバー率は100%、お酒を売っている店は中心街外れに1軒のみという、イスラム教神秘主義(スーフィズム)が根付いた町です。
内陸部に位置するコンヤは、冬は極寒となる地。
絶品の羊料理と名物スープを食して、人々は長く厳しい冬を越すのです。
ティリット
トルコ内陸部は、他地域とは異なる羊肉文化地帯。
コンヤを代表する名物料理・ティリット(Tirit)も、羊肉をふんだんに使ったものです。
陶器の器にパンを敷き、たっぷりのヨーグルトをのせたものをオーブンで焼き、別でグリルした羊肉を大量に乗せた豪快な料理です。
「羊肉はちょっと…」という人、騙されたと思って一度食べてみてください。
特有の臭みは全くなく、牛肉よりも柔らかい絶品体験が待ち受けていますから。
ヨーグルトとの相性も抜群で、染み出した肉の脂を吸収した、底に敷かれたパンもとにかく完璧。
いったいどうやって臭みを消し、独特の柔らかい食感を出しているのか定かではありませんが、羊肉に対する常識が変わる一品であることに間違いありません。
アラバス・チョルバス
ティリットほどの知名度はないものの、コンヤのロカンタ(大衆食堂)で出されるスープの定番として挙げられるのがアラバス・チョルバス(Arabaşı Çorbası)。
見た感じはよくある豆のスープに似ていますが、実際は茹でた鶏肉がゴロゴロと入ったものです。
アラバス・チョルバスの特徴は、独特のとろみにあるでしょう。
鶏の旨味が凝縮したような深いコクと味わいはもちろん、体の芯まで温まるトロりとした食感は、トルコ広しと言えどもコンヤでしか味わえないものです。
カッパドキア
トルコ最大の観光地・カッパドキアにも、名物グルメが存在します。
観光で滞在するなら、一度は挑戦してみるのがいいでしょう。
テスティ・ケバブ
日本人の間でも有名なカッパドキアの名物グルメと言えばテスティ・ケバブ(Testi Kebab)。
トルコ語で「壺ケバブ」の意味ですが、注文してみるとびっくり。
陶器の壺がメラメラと燃え盛る炎に包まれた状態で登場するのですから。
壺は目の前で割られ、中で蒸し焼き状態にされた具が顔を出します。
店によって鶏肉・牛肉・羊肉などのバリエーションがあるようですが、牛肉が一番ポピュラーとのこと。
肉以外にも玉ねぎやパプリカ、トマトなどの野菜もたっぷりと入っていて、何だか健康的です。
カッパドキア地方のアヴァノス(Avanos)は、古くから陶器の生産で有名な町。
そのために、このような形の独特な調理法が生まれたのかもしれませんね。
カッパドキア地域の赤土で作られた陶器を使ったテスティ・ケバブは、見た目も提供時のパフォーマンスも含めて楽しめる料理。
カッパドキアの大地が作り上げた味を堪能してください。
エーゲ海沿岸地域の名物グルメ
イズミル
イスタンブール、アンカラに次ぐトルコ第三の都市・イズミル(İzmir)は、古くはスミルナ(Smirna)と呼ばれ栄えた町。
第一次世界大戦後にはギリシャ軍によって焼け野原となってしまったため、現在では歴史的な見どころはほとんど残っていないのが残念なところ。
のぶよ的にはイズミルは「トルコの大阪」。
独特のごちゃごちゃした下町らしい雰囲気が感じられる点や、人懐っこい人々との掛け合いが楽しい点のためですが、それだけではありません。
多種多様なご当地グルメに溢れている点も共通しているのです。
ミドイェ・ドルマ
イズミルに来たなら絶対に食べておきたいのが、ミドイェ・ドルマ(Midye dolma)。
「ムール貝の炊き込みご飯」といったところですが、鍋にお米と具を入れて炊き上げる日本の炊き込みご飯を想像してはいけません。
ミドイェ・ドルマはムール貝一個一個にお米を詰めて炊き上げるという、具(ムール貝)の中にお米を入れて蒸したものなのです。
まさに逆転の発想。
ムール貝一つ一つから染み出した出汁がほかほかのご飯と混ざって、それはもう絶品。
もちろん蒸したてが美味しいのは言うまでもありません。
イスタンブールでも食べられるミドイェ・ドルマですが、イズミルっ子からすると「イズミルの方が美味しいに決まってる!」とのこと。
「お好み焼きは大阪風か広島風か論争」に近いものを感じないこともありません(笑)
ムール貝が蒸されているのを見ると、立ち止まらずにはいられないのがイズミルっ子。
みんな器用に殻をむき、レモンを絞ってペロッと数個食べては去っていきます。
人と人との距離が近いイズミル。
立ち止まって不思議そうにムール貝を眺めている外国人には、確実に試食させてくれます。
いくつか屋台をまわって「これ何だろう?ごっこ」をすれば、無料でお腹いっぱいになることも可能(笑)
お店の人との掛け合いも楽しいトルコの人情の町・イズミルの名物グルメ、是非見逃さないでくださいね。
マニサ・ケバブ
イズミル地域からもう一つ、マニサ・ケバブ(Manisa Kebab)を紹介します。
イズミル近郊のマニサ(Manisa)という町発祥のケバブは、トルコ料理では珍しい棒状のケバブが使用されるのが一番の特徴。
この棒状のケバブ、かつてオスマン帝国領だったバルカン半島のセルビア料理やボスニア料理などでポピュラーなチェヴァピ(Ćevapi)とそっくりな食感&味。
当然トルコでもポピュラーかと思っていたのですが、他の町ではまず見かけることがないのが不思議です。
溶かしバターが上からかけられるのは、ブルサ名物のイスケンデル・ケバブに通じるものがあります。
添えられたヨーグルトとトマトソースはあっさりとしていて、全体的に軽めに食べられる一品でした。
チャナッカレ
「ヨーロッパとアジアを隔てる場所」と言えば、イスタンブールのボスポラス海峡が有名ですが、ここチャナッカレ(Çanakkale)のダーダネルス海峡もそんな場所の一つ。
古くから海上交通・防衛の要所となってきた地理的要因が災いし、第一次世界大戦時には激戦地となった場所でもあります。
チャナッカレの食文化は、独自のシーフード文化と、距離的に近いブルサのソース文化が共存したもの。
ブルサ名物グルメを食べることも可能ですが、せっかくなら絶品のシーフードに挑戦してみるのがおすすめです。
フライド・フィッシュ・サンドイッチ
イスタンブールで「バリク・エキメッキ(Balik ekmek=魚のサンドイッチ)」と言えばサバサンドのことですが、ここチャナッカレでは「うん…で、どの魚?」と聞き返されることでしょう。
イワシ、サバ、スズキなどの定番の魚はもちろん、イカやカレイ、タラなどとにかく様々な種類の魚を食べることができるシーフード・パラダイス、それがチャナッカレなのです。
チャナッカレのシーフード料理の特徴は、油で揚げて提供される点。
トルコの他地域では「魚料理=グリル」なので、食文化が大きく異なります。
チャナッカレには大学があるため学生も多いのですが、日々のお金に限りがある彼らにも愛される名物グルメと言えば、フライド・フィッシュ・サンドイッチ。
新鮮な魚を油でサクっと揚げたものを、エキメッキ(トルコ風フランスパン)に挟んだシンプルなものです。
レモンをかけるだけで、ホクホクの魚の身の香ばしさが引き立つのだから不思議。
地元の子にならって、絶品サンドイッチ片手に海沿いを散策するのがチャナッカレらしい過ごし方かもしれません。
アナトリア西部地域の名物グルメ
デニズリ
デニズリ(Denizli)と聞くと、「パムッカレへ行くときにバスを乗り換える町」というイメージが浮かぶのは、世界中の旅行者にとっても同じこと。
真っ白な石灰岩に溜まったコバルトブルーの温泉水が美しいパムッカレへ個人で行く場合に、100%経由することになる町です。
しかしながら、デニズリを訪れたなら名物グルメを食べないわけにはいきません。
トルコの平常運転な町並みが広がるデニズリ中心街では、名物のデニズリ・ケバブを提供するお店が点在しているのです。
デニズリ・ケバブ
トルコ人にとってデニズリとは、パムッカレの町ではなく、デニズリ・ケバブの町。
デニズリ・ケバブ(Denizli kebab)は、トルコ内陸部らしく羊肉が用いられた料理です。
一番の特徴は、その豪快すぎる作り方にあります。
羊丸々一頭を適当な大きさ(50cm四方くらい)に骨ごとぶつ切りにしたものに塩をかけ、そのまま窯に突っ込むのですから。
提供時には骨から肉だけを削いで出してくれるのが普通で、多種多様なスパイスを用いてかなり辛くするのもデニズリ流。
程よい塩気とスパイシーさが効いた肉はとても柔らかく、焼きたての香ばしい風味が食欲をそそります。
お店の人曰く、一番美味しいのは頭部の肉なのだとか。
味見させてもらいましたが(焼きたての羊の頭部から直接肉をくりぬいていた)、他の部位よりも脂がのっていて確かに絶品。
運が良ければ、羊丸ごと一頭を運んできた仕入れ先の人と、品質をチェックしつつも値切ろうとする店の人のやりとりが見られるかもしれません(笑)
エスキシェヒル
「トルコで最も自由な町」と呼ばれるエスキシェヒル(Eskişehir)。
週末になると、わざわざイスタンブールからナイトライフを味わいにやってくる人も多いほど、トルコの若者の間では人気の町です。
学生向けの格安なレストランが多く点在するエスキシェヒルは、グルメ旅にもおすすめな穴場の町。
せっかくなら、ここでしか食べられないご当地グルメに挑戦してみるのがおすすめです。
バラバン・ケバブ
エスキシェヒルの人々が愛してやまないバラバン・ケバプ(Balaban Kebap)。
「バラバン」の愛称でも親しまれています。
見た感じは、皿に敷かれたパンの上にグリルした肉をのせてソースをかけたもので、先に紹介したブルサ名物のイスケンデル・ケバブやピデリ・キョフテのよう。
これらブルサ名物とバラバン・ケバブの一番の違いは、肉の種類・ソースともに好みでカスタマイズできる点。
肉の種類は
キョフテ(ミートボール)
シシュ(串刺しの肉)
カリシク(ミックス)
ソースは
トマトソース
バターソース
ヨーグルトソース
があり、好きなものを組み合わせることが可能なのです。
ブルサのイスケンデル・ケバブのソースはかなり重ためのトロりとしたソースでしたが、バラバン・ケバブのソースはかなり液体よりなのも特徴的。
総合的に、見た目よりもあっさりとしていました。
のぶよ的には、バラバン・ケバブに一票!と言いたいところですが、是非食べ比べてみてほしいです。
チーボレク
エスキシェヒルのもう一つのご当地グルメがチーボレク(Çiğbörek)。
ボレク(Börek)とは、トルコ全土で食される具入りの重ね焼きパイのことを指し、通常は棒状であることが多いです。
エスキシェヒルのチーボレクは、そんなボレクの外見とは全く異なる、巨大な餃子のような生地が特徴的。
平たくのばした生地に具を挟み、半分に折りたたんだものを、油でサッと上げるという独特な調理法です。
しかしながら、特徴的なのは見た目や調理法だけではありませんでした。
中身、スッカスカなんです。
巨大な生地の20分の1ほどしか、具のひき肉が入っていません。
手抜き料理かと思いましたが、どうやら周りの人はそれが当たり前のようで、餃子のような生地をクルクルと丸めて棒状にして食べていました。
のぶよも真似してみたものの、ほとんどが生地の味。
肉の味はほとんどしません。
おそらくこういう料理で、生地の美味しさを味わうためのものなのかもしれません。
個人的には最後まで「…?」な料理でしたが、不思議体験をしたい人は是非!
地中海沿岸地域の名物グルメ
アンタルヤ
年間を通して温暖なアンタルヤ(Antalya)は、世界各国からリゾート客が集まるシーサイド・タウン。
しかしながらギラギラした雰囲気ではなく、海沿いの風光明媚な景色やのんびりと暮らす人々、可愛らしい旧市街の町並みなど、リゾートに興味がない人にも魅力的な町です。
ピヤズ
アンタルヤに来たなら絶対に挑戦したいのが、ピヤズ(Piyaz)。
トルコの他地域でピヤズと言うと、豆や野菜をマリネしたサラダのことを指し、主に前菜として食べられます。

しかしながら、アンタルヤのピヤズはかなり独特、というかもはや別の料理です。
何と言っても、アンタルヤではピヤズは主食としてパンと一緒に食されるのですから。

なんだか「お好み焼き+ご飯はアリ?ナシ?」論争に通じるものがあるような気もします(笑)
(個人的にはご飯をつけない意味がわかりません)
アンタルヤのピヤズは、もはや具沢山のスープのよう。
ターヒンというゴマのペーストにお酢、名産のオリーブオイル等を混ぜたもので、具は豆・野菜類にゆで卵が入っています。
肉は入っていないので、肉料理が続くトルコにおいてちょっと休憩を取りたいときにはおすすめです。
暑い地域の名物料理らしく、サラリと食べられる軽さも魅力的。
地中海の暖かい太陽の恵みを象徴するような料理です。
メルスィン
トルコ南部のメルスィン(Mersin)はトルコ人に人気のリゾート地。
海が近いので、シーフードが名物なのかと思いきや、実はトルコ全土で愛されるストリートフードの発祥の地だったのです。
タントゥーニ
トルコ、特に中部~南部に行くとよく見かける、円盤のように平べったい鉄鍋の真ん中で肉を焼いている光景。
これが、メルスィン発祥のタントゥーニ(Tantuni)を調理している光景です。
トルコ他地域の肉料理とは一線を画しているタントゥーニ。
サイコロ状に細かく切った肉(鶏/牛)を使用する
綿から採れる油で焼き上げる
スパイス多用のエスニックな味付け
の三点が特徴的です。
注文してから焼いてくれるお店が断然に美味しいのは言うまでもなく、焼きあがった肉はパンに挟むかロールした状態で提供されます。
スパイスの量はおじさんの目分量となりますが、かなりスパイシー気味になるのが普通。
苦手な人は注文時に伝えるようにしましょう。
シリア料理など中東の食文化を色濃く受け継ぐトルコ南部らしい、スパイシーで深みのある味わいのタントゥーニは、トルコ人の間でも大人気。
現在ではメルスィンだけでなく、トルコ国内の広い範囲で食べられるようになりました。
アダナ
トルコ南部に位置するアダナ(Adana)は、トルコ第五の都市。
独自の文化が色濃いトルコ南東部への玄関口となる町だけあって、その食文化はとても豊かです。
アダナ・ケバブ
アダナと言えば、アダナ・ケバブ(Adana kebab)。
それ以上でも以下でもありません(笑)
名前の通りアダナ発祥の肉料理で、羊肉を挽いたものにニンニクや玉ねぎ、ハーブなどを混ぜて棒状に固めたものです。
現在ではトルコ全土に広がったアダナ・ケバブ。
ケバブ店の入口のショーケースで、串刺しにされた棒状の肉を見たらほぼ確実にそれです。
アダナ・ケバブの調理法は様々で、単にグリルしたものやパンに挟んだだけのものから、野菜と一緒にじっくりと煮込んだものまで。
本場・アダナでは、やはりグリルしたてを味わうのが主流のようです。
アナトリア中部地域の名物グルメ
シヴァス
オスマン帝国より前の12世紀頃のセルジューク朝時代の雰囲気が残るシヴァス(Sivas)。
当時のマドラサ(神学校)が点在しており、古くから学問の中心であったことを感じさせます。
シヴァス・キョフテ
シヴァスに来たなら絶対に見逃せない名物グルメがシヴァス・キョフテ(Sivas Köftesi)。
すでにいくつか紹介した通り、キョフテとはトルコ風のミートボールのこと。
ケバブと同様、キョフテもかなり地域色豊かな料理の一つだと言えます。
ここシヴァスのキョフテの特徴は、平べったいミニハンバーグのような形と、特製のチリソースをつけながらいただくこと。

このソースがとにかくすごいんです。
唐辛子とトマト、玉ねぎなどがベースなのですが、辛味の中に何とも言えない甘味や旨味が混ざった絶品。
作り方を聞いたのですが、英語が通じるわけもありませんでした(笑)
また、シヴァス周辺地域では紙のようにぺらぺらの薄いパンが食されるのも特徴的。
肉汁が染み出すキョフテと絶品ソースの味をダイレクトに楽しむことができます。
ペスクタン・チョルバス
シヴァスの郷土料理のような位置づけなスープがペスクタン・チョルバス(Peskütan Çorbası)。
冬は極寒となるシヴァスでは、ヨーグルトと小麦粉を混ぜたペスクタン(Peskütan)という保存食が古くから作られており、こちらはそれに麦を入れてスープにしたもの。
田舎らしい素朴な味わいで、ヨーグルトの酸味はほどほどで飲みやすいのが特徴的です。
小麦粉のとろみも効いており、ほっとするような体が温まる料理でした。
カイセリ
セルジューク朝時代の建造物が残る町が点在しているトルコ中央東部。
中でもカイセリ(Kayseri)はその頂点に君臨する町かもしれません。
中心街はまるで時が止まったかのような雰囲気で、精巧な彫刻が施された石造りの建物が多く残っています。
カイセリ・マントゥ
トルコ全土で気軽に食べられるトルコ風水餃子・マントゥ(mantı)ですが、その本場とされるのがカイセリ。
一つ一つがとても小さな餃子はカイセリ・マントゥ(Kayseri mantı)と呼ばれ、トルコ全土で愛される国民食としての地位を築き上げました。
本場・カイセリでは、マントゥは家庭で食べるお母さんの味という性格が強いようで、意外とレストランを探すのに苦労します。
トルコ他地域では、茹でたマントゥにバターを加え、ヨーグルトをのせるのが一般的ですが、カイセリ・マントゥはトマト風味のスープに入った状態で提供されるのが独特。
ヨーグルトをのせるのはもちろん、ミントなど数種類のハーブをたっぷりとかけていただきます。
「水餃子にヨーグルト?」とビックリする人がいるかもしれませんが、これが意外といけるんです。
気付けばヨーグルトのないマントゥでは物足りない味覚になってしまいました(笑)
黒海沿岸地域の名物グルメ
トラブゾン
トルコ北東部、ジョージアとの国境にほど近いトラブゾン(Trabzon)は、お隣のジョージア料理の影響を受けた独特の食文化を持つ町。
周辺地域では肥沃な土地を利用した牧畜や農業が盛んなため、乳製品や野菜類を用いた名物料理がたくさん存在します。
また、トルコ人が愛してやまないチャイ(紅茶)の茶葉のほとんどは、トラブゾンを始めとする黒海沿岸地方で生産されているのもポイント。
本場のチャイはかなり香り高く、濃さの中に独特の奥深さが感じられる絶品です。
トラブゾン・ピデ
有無を言わさずに挑戦してほしい絶品グルメがトラブゾン・ピデ(Trabzon pide)。
ピデ(Pide)とは、トルコ全土で食されるトルコ風ピザのことで、薄くのばした生地を船のような形にして焼き上げるのですが、トラブゾン・ピデでは円形で耳の部分が分厚いのが特徴的。
名産の野菜やチーズなどが入った具も美味しいのですが、何よりも特別なのが大量に投入されるバター。
切り分けると溶けたバターがジュワっと滴り落ちてくるくらいです。
マイルドな味わいと具の旨味が見事にマッチして、他では味わえない唯一無二の料理。
普通のピデよりも少々値は張るものの、トラブゾンに来たなら絶対に食べてみるべき一品です。
アクサアバト・キョフテ
日本の味が懐かしくなってしまうかもしれないのが、もう一つのトラブゾン名物であるアクサアバト・キョフテ(Akçaabat köfte)。
「もうキョフテは食べ飽きた!」なんて言わずに、是非挑戦してみてください。
通常のキョフテは、ひき肉100%。入っていても玉ねぎくらいなもので、肉がギュッと詰まった食感なのですが、アクサアバト・キョフテの食感はもはや日本のハンバーグ。
ふんわりとした食感に、玉ねぎの旨味が効いています。
その秘密は、ひき肉に混ぜてこねられた小麦粉。
他地域のキョフテではまずあり得ないことなのですが、アクサアバト・キョフテでは小麦粉を混ぜることでふんわりとした食感を出すことに成功しているのです。
ウスターソースが欲しくなるのは、きっとのぶよだけではないはず。
遠い異国の地で、実家で食べるハンバーグの味を思い出すことができる、おすすめの料理です。
おわりに
とにかく何を食べても美味しいトルコ料理。
地域によって異なる歴史や風土を背景とした名物ご当地グルメの存在も、豊かな食文化に色を添えます。
各県や地域ごとに名物のグルメが存在する日本と同様に、トルコでもその土地の名物を味わうスタイルの旅ができるのは大きな魅力と言えるのではないでしょうか。
一つだけ日本と大きく異なるのは、今回紹介したトルコ各地のご当地名物グルメは、日本で町おこしのために作られたようなB級グルメ等ではない点。
いずれもその地域で長い間食されてきた、本物の名物料理といった性格が強いのです。
今回は紹介できなかったトルコ東部も、独特の食文化に育まれた食の宝庫。
再訪した際には、またまとめていきたいと思います。
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