私がトルコを嫌いな、ただ一つの理由。

私がトルコを嫌いな、ただ一つの理由。

こんにちは!トルコに滞在してすでに1か月半、世界半周中ののぶよ(@taisuke5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)

東洋と西洋が交差する国・トルコ。

紀元前から続く長い歴史を裏付けるような古代遺跡。
大自然の中に人々の暮らしの跡が見えるカッパドキア。
無数のモスクが夕日に染まって影になっていくイスタンブール。

私たち旅行者を惹きつけてやまない魅力に溢れた素晴らしい国です。

しかしながら、ある一つの理由によってのぶよはこの国、トルコが嫌いです

正確に言うと、トルコという国に関してただ一つどうしても理解できないことがあります。

それは、観光地への入場料の高さ

今回の記事では、あまりに高すぎるトルコの観光地への入場料という観点から、トルコという国をダメにしてしまうかもしれないオーバーツーリズムについて考えていきます。

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差がありすぎるトルコの物価と観光地入場料

急激な通貨価値下落がもたらした、トルコの物価上昇

私たち日本人にとっては、「トルコ=物価が安い国」というイメージがあるでしょう。
それは間違いではなく、トルコはかなり物価が安い国です。

イスタンブールの地下鉄や路面電車は一回2.6TL(=¥49)で利用できますし、地元の人が通う食堂では15TL(=¥280)ほどあれば定食が食べられます。

スーパーマーケットの食材は尋常でないほどに安く(数日分の食材を購入しても15TL(=¥280)ほど)、靴一足が30TL(=¥560)で購入できる。
それほど安いのがトルコの物価です。

しかしながら、数年前と比べると、トルコの物価は2〜3倍に跳ね上がっているそう。
というのも、中東情勢や国内の不安定な政治などのせいで、トルコの通貨であるリラが急落したためです。

2013年には1リラ=¥55だったのが、2020年1月現在は1リラ=¥18
たった6年で、3分の1となってしまったのです。

これに伴い、トルコ国内の物価は急上昇。
通貨価値が下がったために、単純に物価を上げるという政策によるものです。

通貨の価値が3分の1になった結果として物価が3倍になろうとも、外貨換算をする私たち外国人からすれば結局は同じ値段。
しかし、現地で同じ給料額で働く人からしたらたまったもんじゃありません。

ウクライナ危機の影響で通貨価値が半分になり、その反動で物価が2倍になったウクライナと全く同じ状況だったと言えます。

通貨下落に伴う国内の物価の急騰という同じような状況に陥ったウクライナとトルコですが、一つだけ大きく異なる点があります。

それは、外貨を持つ外国人だけ別の割高な料金を設定しているかどうかという点。

↑ほとんどの料金が手書きで書き直されていたウクライナ

ウクライナの場合は、みんな同じ値段
ウクライナ人であろうと外国人であろうと観光地への入場料は同じですし、例え住民向けの割引があったとしても微々たるものです。
(そもそもの物価が激安すぎるためでもありますが)

一方のトルコの観光地では明らかな外国人専用料金があり、しかもそれが政府主導でなされているのです。

6年間で3倍になったトルコの観光地の入場料

国内の物価が上がったことで、当然ながらトルコの観光地への入場料も値上げされました。

驚くべきは、その値上がり具合
通貨価値が3分の1になったため、どこも入場料が2~3倍に上がっているんです。

こちらは、トルコの主な観光地入場料の、2013年と2020年の比較表です。

2013年2020年
トプカプ宮殿(イスタンブール)25TL(=¥1375)72TL(=¥1369)
アヤ・ソフィア聖堂(イスタンブール)25TL(=¥1375)72TL(=¥1369)
ギョレメ屋外博物館(カッパドキア)15TL(=¥825)54TL(=¥1026)
ヒエラポリス(パムッカレ)25TL(=¥1375)60TL(=¥1125)
エフェソス遺跡25TL(=¥1375)72TL(=¥1369)

※2013年は1TL=¥55、2020年は1TL=¥18で計算

通貨下落&物価上昇の影響をあまり受けていない私たち外国人にとっては、結局同じような値段である場所がほとんど。

しかしながら、トルコ人にとってはたった6年の間に単純に2~3倍になったということになります。

そう聞くと、疑問に思うのが「もはやトルコの人々は自分の国の観光地に行くことさえできないんじゃないか」ということ。
実は、そんなことは全くありません。

週末になると、有名観光スポットはトルコ人家族で大盛況。
みんな普通に、入場料が3倍に跳ね上がった観光地を見学していきます。

彼らは別に裕福な層でもなんでもありません。
物価上昇に苦しんでいるはずのトルコの一般市民が、高額な入場料が導入された観光地で楽しそうにはしゃいでいる。
そこには、あるからくりが存在するのです。

不公平すぎる?外国人向けのトルコの観光地入場料

先述の各観光スポットへの入場料は、外国人もトルコ人も同価格です。

しかしながら、この普通の入場料を払って観光地に入場するトルコ人なんて存在しません

これがトルコ政府が打ち出したからくり。
いくつかの観光地に自由に入場可能なミュージアム・パス制度のことです。

トルコには、イスタンブールやカッパドキアなどの有名観光地において、その地域内の指定された観光スポットに5日間〜7日間(地域によって異なる)入場可能なミュージアム・パス(220TL=¥4109)というものがあります。

ソース:https://muze.gov.tr/MuseumPass

また、トルコ国内全域の300ヶ所以上の観光地に15日間入場可能なミュージアム・パス・トルコ(375TL=¥7005)というものもあります。

種類や訪れる施設にもよるものの、いずれも観光地に入場すればするほど元が取れるようになっています。

これらは全て短期間でトルコを旅行する外国人向け。
私たちは「トルコの物価を考えると結構な値段するなあ」と思いながらも購入し、元が取れたら素直に喜ぶことでしょう。

一方で、トルコ人向けには、ミュゼ・カルトという似て非なるパスが存在します

ソース:https://muze.gov.tr/MuseumPass

ミュゼ・カルトは、トルコ国内300ヶ所以上の観光地に入場可能な点は外国人向けのミュージアム・パスと同じですが、違うのはその料金と有効期間。

ミュゼ・カルトの有効期間は1年で、料金はたったの72TL(=¥1345)
つまり1年以内に2ヶ所の観光スポットを訪れるなら元が取れる仕組みになっているのです。

こんな激安カードを買わずに観光地を訪れるトルコ人はまず存在しないでしょう。

のぶよは別にこのミュゼ・カルトに反対しているわけではありません。
ただ、どう考えても外国人向けのミュージアム・パスや入場料の料金設定が高すぎやしないでしょうか

のぶよが世界半周で訪れた国の中で、最も観光地化が進み、物価が高かったクロアチアでさえ、高額な入場料はみんな一緒でした。

クロアチアの場合は季節によって入場料が3倍ほどに値上げされるのですが、それはつまり「嫌なら安いローシーズンに来い」ということ。
クロアチア人であろうと外国人であろうと、それは同じことでした

トルコの観光地入場料は季節によって変わるわけではなく、国籍によって変わるわけです。
それも相当な額が。

「外国人はお金を多く持っているんだから、多く払うのは当然」とでも言うようなこの考え方には、どうしても納得がいきません。

もう一つ癪に触るのは、料金設定と表示の仕方のずるさ

通貨価値が3分の1になったことを意識してなのか、外国人向けのミュージアム・パスの料金(220TL)はトルコ人向けのミュゼ・カルト(72TL)のおよそ3倍。
ミュゼ・カルトの説明は全てトルコ語なので、詳細が分からない旅行者は、「まあ通貨価値が3分の1になったのだから、外国人が3倍ほどの料金を払うのも仕方がない」と思ってしまうかもしれません。

でも、よく考えてください。
トルコ人専用のミュゼ・カルトは料金が安いのに加えて1年間有効、しかもトルコ全土の観光スポットに入場可能なのです。
(外国人向けのミュージアム・パス(220TL)は有効期間5~7日間、指定された地域の観光スポットのみ入場可能)

トルコ語がわからない私たち旅行者は、安易に「トルコ人と外国人の物価感覚の違い」と考えてしまいますが、どう見積もっても外国人向けのミュージアム・パスは高すぎます。

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「お金を持っている外国人だから、多くとっても構わない」というロジックがもたらすもの

この高すぎる外国人用の入場料の問題点は二つ。

・外国人=金蔓という意識
・政府主導で行われていること

詳しく見ていきましょう。

外国人=金蔓という考えが奪うトルコの良さ

先述の通り、トルコの一般の物価は格安です。

トルコの人々と同じものを食べて、同じように移動して、格安の宿に宿泊して…と、予算に限りがある旅行者でも、旅が楽しめる環境がある国です。

しかしながら、この超高額の外国人用の観光地への入場料を考えると、「旅行者=お金を落としてもらうための(落とすべきの)存在」と位置付けられているのは明らか。
いわば、金蔓なわけです。

別にそれは良いんです。どこの国でも多かれ少なかれあることですから。

問題なのは、「外国人=金蔓」という意識が一般の人々の間にまで広がってしまうこと。

トルコ人のホスピタリティー(おもてなし文化)は有名で、イスラム教というお国柄もあってか、他者をもてなしたり施しをすることを良しとする文化です。
イスラム教においては、誰かに何かをしてあげるのは当然のことで、そこに対価を求めることは教えに反します。

しかしながら、トルコは宗教と政治の分離を成し遂げた世俗主義の国。
ヨーロッパに近いという地理的要因もあり、欧米の資本主義的な考え方(金がある=偉い)が入ってきているのも否定できません。

それに加えて、「外国人はお金を落としていって当然」という考えが蔓延ってしまったら(もうかなり蔓延っていますが)、トルコが本来持つ良い部分はどうなってしまうのでしょうか。

私たち旅行者の間でも、「親切にしてもらうのは嬉しいけど、トルコでは結局お金の話になる」なんて考えが普通になるのは、決して良いことだとは思いません。

いわば政府主導の外国人へのぼったくり

もう一つの問題点が、この外国人料金がトルコ政府主導で設定されていること。

経済的に決して裕福とは言えないトルコ。
国内のクルド人問題や、周辺諸国からの難民問題など、政治面でもかなり不安定な状態にあります。

そんな状況の中で、唯一好調な観光業に活路を見出そうとするのはごく当たり前のこと。

しかしながら、そのやり方があまりに強引すぎると思うんです。

トルコ政府が値上げした入場料が設定されているのは、紀元前の都市国家の遺跡だったり、初期キリスト教文化の跡が残るカッパドキアであったり、オスマン帝国の華々しい歴史を伝えるトプカプ宮殿であったりと様々。

それらは全て、トルコという国が持つ豊かな歴史や文化を私たちに伝えるものです。

トルコ国民がそれらの文化財にアクセスしやすいように、割安の料金設定をするのには全く反対ではありません。

しかしながら、自身の目でたくさんのことを見て、より多くのことを学ぶべき立場である学生など、若者に対する割引などをすることなく(トルコでは学生割引制度は存在しません)、「外国人=お金がある」と一括りにして、ぼったくりとしか思えないような差額の料金を設定するのはいかがなものでしょうか。

自身の国の魅力をより多くの人に知ってもらうことは、将来的に見て自国のためになること。

トルコを旅した若者バックパッカーに、「トルコ、ただのぼったくりだったわ」と言われてしまっては元も子もありません。

オーバーツーリズムがトルコをダメにする?

トルコの高すぎる観光地への入場料に関する恨みつらみを呟いてきたわけですが、ここまで述べてきたことの全てはある一つのキーワードに通じます。

それは、「オーバーツーリズム」。

オーバーツーリズムとは、ある場所が観光地として発展していく中で、本来受け入れられる量よりも多くの人がやってくることによって生じる一連の問題を指します。

・不動産価格の上昇によって、その土地の人が住めなくなる
・環境や自然が破壊される
・渋滞や公共交通機関の混雑によって、住民生活に支障が出る

など、観光地としての光の影にある負の部分を指します。

有名なのは、街全体がテーマパークと化したベネチアや、インスタ映えコンペティション会場としてゴミ問題に悩むプリトヴィツェ国立公園、家賃高騰により地元民が居なくなってしまったバルセロナなどが挙げられますが、ここトルコではあまり問題とされてはいません。

むしろ、観光客がもたらす経済効果に期待、というか依存している部分が大きいと感じます。

オーバーツーリズムの被害を受けるのは、常に経済的に他の国よりも一歩遅れている国。

どの国も「どうにかしなければ」と思ってはいるものの、裕福な国からの観光客がもたらす経済効果を考えると強く出られないというのが本音でしょう。

のぶよがトルコで感じたのは、とめどなくやってくる観光客が人々を怠惰にする点。
特に一大観光地であるカッパドキアにおいて、かなり顕著なものがありました。

1000年以上前の洞窟を利用した住居が点在するカッパドキア観光の中心地・ギョレメ。

ここでは、洞窟住居を所持していれば人生遊んで暮らせます

のぶよが泊まったホステルの若いオーナーがそんな感じでした。
代々受け継いだ洞窟を利用して作ったホステルを何軒か持っている彼の毎日は、寝ているか、ゲームしているか、同じような境遇の友人と飲み明かしているかのいずれか。

そりゃそうでしょう。
寝ていようとゲームしていようと、世界中から観光客が次々とやってくるのですから。

日本の小さな村が、ゆるキャラやらご当地グルメやらで必死に観光アピールしているのとは格が違います。
何の努力もしなくても、毎日のように観光客がお金を落としていくわけです。

しかしながら、こうした一流観光地の宿命ともいうべきなのか、綻びが見られたこともありました。

それは、もっと多くの人に来てもらうために、または来た人にもっと満足してもらうために、その場所をより良くしようという意識が地元の人々の間で薄れている点。

そこら辺にゴミを捨てる人、料金を書かずにぼったくり価格を行ってくる店、トルコの他地域ではまず見られない無愛想な商店、無料であるはずの展望台入口に勝手に小屋を設けてお金をとってくる人。

どれも小さなことかもしれませんが、こうしたことの積み重ねは旅行客の満足度を必ず下げることとなります。

観光客を「どうせもう二度と来ない人達」と捉えるか、「次に来る他の人を呼び寄せてくれる人達」と捉えるかはとても大きな違い。

カッパドキアの場合は言うまでもなく前者で、それはトルコ全体に言えることなのかもしれません。

「観光客がどんどんやってくる→じゃあ入場料を倍にしよう」というのは、あまりにも短絡的すぎますし、長期的に観光客が減って痛い目を見るのはトルコ自身です。

すでに行き過ぎた観光地化による悪い部分が目立ってきてしまっているトルコ。
日本のバブル期、山奥の僻地をリゾート開発しようと馬鹿な政治家が指揮をしたのと全く同じような、無計画すぎる政府主導の観光開発が現在でも続いており、伝統的な町や村の姿を変えつつあります。

ここに、政府主導の壮大なぼったくりと言える外国人用の観光地入場料が加わって、人々の間で「外国人=多くのお金を払って当然」とういう考えが定着してしまったら…。

旅行者がトルコに対して抱く印象は、現在とは全く異なるものとなってしまうでしょう。

おわりに

さて。ここまで散々トルコの悪口を書いてきました。

読んだ人の中には、「嫌なら行かなければいい」と考える人もいるかもしれませんが、のぶよはその考え方が理解できません。

トルコを嫌いだからこうしてガタガタ言っているのではありません。
この国の美しさに、文化に、人々に魅了されているからこそ言っているんです。

どこの国にも良いところと悪いところがあるのは当たり前。
そのどちらかだけを取り上げてその国を判断するのは避けるべきです。

今回触れた高額な入場料に関しても、もしトルコ人だけ超割安になるシステムがあることを知らなければ、高いと思いつつも楽しめていたでしょう。
なにしろ、この国にあるのは計り知れない歴史的価値がある一流の見どころばかりなのですから。

しかしながら、外国人観光客に対してこのような扱いを続けていれば、言うまでもなく、トルコの観光業の未来は明るくないでしょう。

のぶよ個人的には、同じお金を使うなら、観光客の上にあぐらをかいていい気になっている国よりも、「うちの国に来てくれてありがとう」と言ってもらえる国でお金を使いたいと思います。

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