こんにちは!トルコに3ヶ月滞在した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
世界三大料理に数えられるトルコ料理は、トルコ旅行の楽しみの一つでもあります。
「トルコ料理」とひとことで言っても、その中身は多種多様。
肉料理に魚料理、絶品のスープにじっくりと煮込まれた野菜メインのものまで…
トルコは世界でも有数の豊かな食文化を持つ国です。
広大な国土を持つトルコでは、気候や風土はもちろん、歴史や文化も各地域によって異なりますが、それは食文化においても同様。
日本の津々浦々に郷土料理やご当地グルメが存在するように、トルコでも地域や町によって名物料理が数多く存在するのです。
今回の記事では、のぶよが3ヶ月のトルコ滞在中に訪れた町で食した名物ご当地グルメを紹介していきます。
その土地でしか食べることのできないものから、トルコ全土に広がったポピュラーなものまで…トルコの地域色豊かな食文化に驚くはず!
記事内では、トルコを9つの地域に分けて各地の名物料理を紹介しています ▼
トルコ旅行でこれらの町に滞在する予定なら、絶対に見逃さないでくださいね!
イスタンブール周辺地域の名物グルメ
イスタンブール
「東洋と西洋が交差する町」といえば、イスタンブール。
そのキャッチフレーズに偽りはなく、ヨーロッパでもアジアでもない独特の魅力がいっぱいの、トルコ最大の都市です。
イスタンブールの名物グルメは、気軽に食べられるファストフード感覚のものが中心。
街歩きがてらの軽食にはもってこいなものばかりです!
①ウスラク・ハンブルゲル(濡れバーガー)
トルコ広しと言えども、なぜかイスタンブールでしか目にすることのないウスラク・ハンブルゲル(ıslak hamburger)。
直訳すると「濡れバーガー」ですが、その名の通りびっしょり&しっとりした生地が特徴です。
濡れていると言っても茹でられたわけではなく、特製の蒸し器に入れて蒸した状態で売られているのがポイント。
独特のびっしょり食感がいつでも楽しめるのが嬉しいです。
見た目からしてびっしょりと湿った生地は、例えるなら日本の肉まんをさらにしっとりとさせたような食感。
生地には甘酸っぱいトマトソースが染み込んでおり、間に挟まれた牛肉のパテやチーズと合わせてまるでピザのような風味。めちゃくちゃ美味しいです、これ。
サイズも小ぶりで、軽食にもぴったりな濡れバーガー。
新感覚の食感に病みつきになってしまうかも!
②サバサンド
イスタンブールの殿堂入りご当地グルメと言えば、サバサンドの右に出るものはないでしょう。
現地で「サバサンド」と呼ばれているわけではなく、「魚のサンドイッチ(Balık ekmek)」や「フィッシュ・ケバブ」と呼ばれます。
その名の通り、イスタンブール近海で獲れたサバをグリルし、エキメッキと呼ばれるトルコ風フランスパンに挟んだもので、日本人旅行者にも大人気の一品です。が…
有名なサバサンド店(エミノニュ地区にある船の上で営業している数店)は激的な不味さを誇ります。観光客だからといって騙されてはいけません!
のぶよが発見した絶品サバサンドは、有名からは程遠い、屋台のようなクオリティーのお店のものでした ▼
「サバサンド」というよりも「サバロール」という感じでしたが、これが感動の美味しさ。
もし有名店のサバサンドだけを食していたら、「サバサンド=激まず」という情報を広めていたかもしれません(笑)
これからイスタンブールに行かれる方。どうか「本物の」サバサンドを食べて、その美味しさに感動してください!
ブルサ
イスタンブールからフェリーでもアクセスできるブルサ(Bursa)は、あまり知られていないものの、オスマン帝国はじまりの町。
オスマン帝国がイスタンブールを領土とする前には首都とされていた町で、初期オスマン帝国時代の建造物や文化が色濃く残るおすすめの町です。
ブルサの名物グルメは、他の地域のトルコ人にも大人気となった全国的知名度を誇るもの。
これを食べずにトルコを去るなんてナンセンスです!
③イスケンデル・ケバブ
ブルサと言えばイスケンデル。イスケンデルと言えば、ブルサ。
ブルサの食文化を代表するのが、トルコ人で知らぬ者はいないイスケンデル・ケバブ(İskender kebab)です。
ドネル・ケバブのように削った牛肉をピタパンの上にのせ、特製トマトソースと溶かしバターをたっぷりとかけた一品で、必ずヨーグルトが添えられます。
「これ考えた人、天才だわ…」と感じずにはいられないほど、肉とパンとソースの素晴らしいハーモニーが口の中で広がる魔法の料理。それがイスケンデル・ケバブです。
現在ではトルコ全土で食されるようになったイスケンデル・ケバブは、トルコ人におすすめのトルコ料理を尋ねると、かなりの確立で答えに挙がるほどポピュラーです。
イスケンデル・ケバブ発祥の地・ブルサでは、「自分たちが本家本元!」という意識のもと、数多くの専門店が点在しているので、お好みの味を探してみるのもいいかも。
見た目の通りなかなかに重たいですが、味付けは意外に濃くないので、ぺろりと平らげられてしまいます。
ブルサ的には邪道?なタウク・イスケンデル
イスケンデルの本場・ブルサでは、「イスケンデル・ケバブ=牛肉(トルコ語でEt)」という暗黙の了解があります。
しかしながら、もはや全国的な知名度を誇るイスケンデル・ケバブには、鶏肉を使ったタウク・イスケンデル(Tavuk iskender)というバージョンも存在します。
牛肉独特の風味が苦手な人や、リーズナブルに済ませたい(鶏肉の方が牛肉よりも安い)人にはおすすめの一品で、トルコ全国どこでも食べることができます。
のぶよ的には、ブルサの本場のイスケンデル(牛肉)よりも、そこらへんのファストフード店で食べたタウク・イスケンデルの方が美味しい気がしたのですが…舌がおかしいのかもしれません(笑)
④ピデリ・キョフテ
どうしてもイスケンデル・ケバブの影に隠れた存在となっていますが、ブルサにはもう一つご当地グルメが存在します。
その名もピデリ・キョフテ(Pideli köfte)。
「キョフテ」とはトルコ全土で食されるミートボール(基本牛肉、地域によって羊肉も)のこと。
一般的にはグリルしただけの状態で提供されるのですが、ソース大好きなブルサの人々の手にかかるとあら不思議。
「イスケンデル・ケバブのキョフテ版」といったところのピデリ・キョフテの出来上がりです。
ピタパンの上に肉をのせ、トマトソースと溶かしバターをかけ、ヨーグルトを添えるのもイスケンデル・ケバブと全く同じですが、キョフテの方が肉汁がジュワりと染み出してくるので、こちらの方が好みの人も多いかも。
イスケンデル・ケバブよりも値段が安めなのも嬉しい点。
是非どちらも食べてみて、お好みを見つけてみては?
アンカラ周辺地域の名物グルメ
アンカラ
トルコが誇る首都・アンカラ(Ankara)。
この町が首都と定められたのは、トルコ共和国が成立した1923年のこと。
それ以前はただの村でしかなく、都市としての歴史はそこまで長くありません。
旅行者の間では「魅力がない町」なんて言われてしまうアンカラですが、のぶよ的には「あんたら、いったい何を見てるの?」と真っ向から反論したいです。
そのくらいに、アンカラには隠れた魅力がいっぱい。
首都だけあり、トルコ全土から人が集まるのもアンカラの強み。
広大な国土を持つトルコ各地域のご当地グルメや郷土料理が手軽に食べられるコスモポリタンな食文化が根付いているのも魅力的です(とは言っても、トルコ料理以外の選択肢は限られます)
そんな大都市・アンカラにも、ちゃんと名物グルメが存在します。
滞在中に一度は挑戦してほしいです!
⑤アンカラ・ドネル
アンカラの名物グルメ、それはドネル・ケバブです。
「え、ドネル・ケバブって…トルコのどこでも食べられるのでは?」と思う人は多いでしょう。
しかしです。
アンカラのドネルケバブはとにかく美味しいのです。
アンカラの人々は、自分たちのドネル・ケバブがトルコで一番だと誇ってやみませんし、他の町から来たトルコ人(=みんな自分の町が大好き)も「アンカラのドネルはすごい!」と絶賛するほど。
アンカラ・ドネルの最大の特徴は牛肉(Et)しか使われないことでしょう。
トルコ全土で食されるドネル・ケバブは鶏肉(Tavuk)か牛肉(Et)のどちらかを選べる場合が多いですが、アンカラではとにかく牛肉のみ。(一部全国チェーン店除く)
また、トルコの他エリアではドネル・ケバブの肉を挟むパンは二種類から選べるのが普通です。
・Ekmek Arası:トルコ風フランスパン・エキメッキに具を挟むスタイル
・Durum:薄い生地で具を巻くするスタイル
しかしながら、ドネル・ケバブの本場・アンカラではエクメック・アラス一筋。
「ドゥルムはないの?」と聞くと、嫌ぁ~な顔をされるか、爆笑しながら「そんなものはない!」と一掃されます(笑)
中の具も特徴的…というかシンプル・イズ・ベストなのがアンカラ流。
レタスやトマト、フライドポテトとは袂を分かち、肉と玉ねぎのみという潔さです。
もちろんケチャップやマヨネーズなども使われないので、「とにかく肉の味と脂・焼き加減を味わう」といった性格が強いのです。
他の町でドネル・ケバブを食べた後でアンカラのドネルを食べると、肉の脂ののり具合にビックリするはず。
牛肉本来の旨味を新鮮な玉ねぎが引き立てており、いくらでも食べられてしまいそうです。
肉の焼き方や切り方にもこだわるのがアンカラ流。
何と言っても、店にはドネル・ケバブを回す&切る専門の人がいるくらいですから。
アンカラっ子に教えてもらった美味しいドネル・ケバブ屋の見つけ方のポイントは二つ。
①肉の切り口が均等&真っすぐで、塊が四角柱型
②脂が滴り落ちていたら、なお良し
とのことでした。
星の数ほどドネル・ケバブ屋があり、しのぎを削りあっているアンカラ。
お気に入りのお店を見つけた時の嬉しさは、言葉にできないものがあります!
コンヤ
「トルコで最も信仰心が深い町」と言われるコンヤ(Konya)。
その言葉に偽りはなく、街ゆく女性の頭部カバー率は100% / お酒を売っている店は中心街外れに1軒のみという、イスラム教神秘主義(スーフィズム)が根付いた町です。
内陸部に位置するコンヤは、冬は極寒となる厳しい気候の町。
絶品の羊料理と名物スープを食して、人々は長く厳しい冬を越すのです。
⑥ティリット
トルコ内陸部は、他の地域とは異なる羊肉文化地帯。
コンヤを代表する名物料理・ティリット(Tirit)も、羊肉をふんだんに使ったものです。
陶器の器にパンを敷き、たっぷりのヨーグルトをのせたものをオーブンで焼き、別でグリルしておいた羊肉を大量に乗せた豪快な料理です。
「羊肉はちょっと…」という人、騙されたと思って一度食べてみてください。
羊特有の臭みは全くなく、牛肉よりも柔らかい。そんな絶品の食体験が待ち受けていますから。
セットで提供されるヨーグルトとの相性も抜群で、底に敷かれたパンも染み出した肉の脂を吸収したジューシー極まりないもの。
いったいどうやって羊肉の臭みを消し、独特の柔らかい食感を出しているのかはコンヤ・マジック。
のぶよの中では、羊肉に対する常識が変わる一品でした。
⑦アラバス・チョルバス
ティリットほどの知名度はないものの、コンヤのロカンタ(大衆食堂)で出されるスープの定番といえばアラバス・チョルバス(Arabaşı Çorbası)。
見た感じはよくある豆のスープに似ていますが、実際は茹でた鶏肉がゴロゴロと入ったものです。
アラバス・チョルバスの最大の特徴は、独特のとろみ。
鶏の旨味が凝縮したような深~いコクと味わいはもちろん、体の芯まで温まるトロりとした食感…
トルコ広しといえどもコンヤでしか味わえない絶品です。
カッパドキア
トルコ最大の観光地・カッパドキア(Cappadocia)にも、名物グルメが存在します。
観光で滞在するなら一度は挑戦してみるのが◎
⑧テスティ・ケバブ(壺ケバブ)
日本人の間でも有名なカッパドキアの名物グルメと言えばテスティ・ケバブ(Testi Kebab)。
トルコ語で「壺ケバブ」の意味ですが、注文してみるとびっくり。
陶器の壺がメラメラと燃え盛る炎に包まれた状態で登場するのですから。
壺は目の前で二つに割られ、中で蒸し焼きにされた具がメルハバ~。
店によって鶏肉/牛肉/羊肉などのバリエーションがあるようですが、牛肉が一番ポピュラーとのこと。
肉以外にも玉ねぎやパプリカ、トマトなどの野菜もたっぷりと入っていて、何だか健康的に思えます。
カッパドキア地方のアヴァノス(Avanos)は、古くから陶器の生産で有名な町。
名産の陶器を使用した独特な調理法が生まれたのも、必然だったのかもしれませんね。
カッパドキア地域の赤土で作られた陶器を使ったテスティ・ケバブは、見た目も提供時のパフォーマンスも含めて楽しめる料理。
カッパドキアの大地が作り上げた味、ぜひとも堪能してください!
エーゲ海沿岸地域の名物グルメ
イズミル
イスタンブール、アンカラに次ぐトルコ第三の都市・イズミル(İzmir)は、古くはスミルナ(Smirna)と呼ばれ栄えた町。
第一次世界大戦後にはギリシャ軍の占領によって焼け野原となってしまったため、現在では歴史的な見どころはほとんど残っていないのが残念なところ。
のぶよ的にイズミルをひとことで表すなら、「トルコの大阪」。
独特のごちゃごちゃした下町らしい雰囲気や、人懐っこい人々との掛け合いが楽しめることが理由ですが、それだけではありません。
イズミルにはとにかく多種多様なご当地グルメがある点も、大阪と共通している気がします。
⑨ミジェ・ドルマ
イズミルに来たなら絶対に食べておきたいのが、ミジェ・ドルマ(Midye dolma)。
「ムール貝の炊き込みご飯」といったところですが、鍋にお米と具を入れて炊き上げる日本の炊き込みご飯を想像してはいけません ▼
ミジェ・ドルマは、ムール貝の一個一個にお米を詰めて蒸し焼きにしたもの。
つまり、具(ムール貝)の中にお米を入れて炊き込んだわけで、日本人的にはまさに逆転の発想。
ムール貝一つ一つから染み出したダシや旨味がほっかほかのご飯と混ざって、それはもう絶品。
もちろん蒸したてが美味しいのは言うまでもありません。
イスタンブールでも食べられるミジェ・ドルマですが、イズミルっ子からすると「イズミルの方が美味しいに決まってるやんけ!」とのこと。
「お好み焼きは大阪風か広島風か論争」に近いものを感じないこともないかも(笑)
ムール貝が蒸されているのを見ると、立ち止まらずにはいられないのがイズミルっ子。
みんな器用に殻をむき、レモンを絞ってペロッと数個食べては去っていきます。
イズミルは、なんだか人と人との距離が近い町。
立ち止まって不思議そうにムール貝を眺めている外国人には、確実に試食させてくれます。
いくつか屋台をまわって「これ何だろう?ごっこ」をすれば、無料でお腹いっぱいになることも可能(笑)
お店の人との掛け合いも楽しいトルコの人情の町・イズミルの名物グルメを、ぜひ見逃さないでくださいね!
⑩マニサ・ケバブ
イズミル地域からもう一つ、マニサ・ケバブ(Manisa Kebab)を紹介します。
イズミル近郊のマニサ(Manisa)という町発祥のケバブは、トルコ料理では珍しい棒状のケバブが使用されるのが一番の特徴。
この棒状のケバブ、かつてオスマン帝国領だったバルカン半島のセルビア料理やボスニア料理などでポピュラーなチェヴァピ(Ćevapi)とそっくりな食感&味。
当然トルコでもポピュラーかと思っていたチェヴァピのような棒状ケバブですが、他の町ではまず見かけることがなかったのも不思議。
マニサ・ケバブには溶かしバターが上からかけられますが、これはブルサ名物のイスケンデル・ケバブに通じるものがあります。
添えられたヨーグルトとトマトソースはあっさりした風味。
全体的に軽めに食べられる一品で、とても美味しかったです。
チャナッカレ
「ヨーロッパとアジアを隔てる場所」と言えば、イスタンブールのボスポラス海峡が有名ですが、チャナッカレ(Çanakkale)のダーダネルス海峡もそんな場所の一つ。
古くから海上交通・防衛の要所となってきた地理的要因が災いし、第一次世界大戦時には激戦地となった場所でもあります。
チャナッカレの食文化は、独自のシーフード文化と、距離的に近いブルサのソース文化が共存したもの。
ブルサ名物グルメを食べることも可能ですが、せっかくなら絶品のシーフードに挑戦してみるのがおすすめです!
⑪フライド・フィッシュ・サンドイッチ
イスタンブールで「魚のサンドイッチ(Balik ekmek)」と言えば、サバサンドのこと。
いっぽうのここチャナッカレでは、「うん…で、どの魚?」と聞き返されることでしょう。
イワシ、サバ、スズキなどの定番の魚はもちろん、イカやカレイ、タラなど…
すぐ目の前が海のチャナッカレは、様々な種類の魚が食べられるシーフード・パラダイスなのです。
チャナッカレのシーフード料理の特徴は、油で揚げて提供される点。
トルコの他地域では「魚料理=グリル」なので、食文化が大きく異なるのを感じます。
チャナッカレには大学があるため学生も多いのですが、日々のお金に限りがある彼らにも愛される名物グルメと言えば、フライド・フィッシュ・サンドイッチ。
新鮮な魚を油でサクっと揚げたものを、エキメッキ(トルコ風フランスパン)に挟んだシンプルなものです。
レモンをかけるだけで、ホックホクの魚の身の香ばしさが引き立つのだから不思議。
チャナッカレっ子にならって、絶品サンドイッチ片手に海沿いを散策するのがこの町の正しい過ごし方かもしれません。
アナトリア西部地域の名物グルメ
デニズリ
デニズリ(Denizli)と聞くと、「パムッカレへ行くときにバスを乗り換える町」というイメージが浮かぶのは、世界中どの国の旅行者にとっても同じこと。
真っ白な石灰岩に溜まったコバルトブルーの温泉水が美しいパムッカレへ個人で行く場合に、100%経由することになる町です。
しかしながら、デニズリはただの「パムッカレに行くときに乗り換える町」ではありません。
この町が誇る名物グルメを人情味あふれる食堂で食べるのも、パムッカレ観光の総仕上げとなるはず。
トルコの平常運転な町並みが広がるデニズリ中心街では、名物のデニズリ・ケバブを提供するお店が点在しているのです。
⑫デニズリ・ケバブ
トルコ人にとってデニズリとは、パムッカレの町ではありません。「デニズリ・ケバブの町」です。
デニズリ・ケバブ(Denizli kebab)は、トルコ内陸部らしく羊肉が用いられたグリル料理。
一番の特徴は、その豪快すぎる作り方にあります ▼
羊丸々一頭を適当な大きさ(50cm四方くらい)に骨ごとぶつ切りにしたものに塩をかけ、そのまま窯に突っ込むのですから。
提供時には骨から肉だけを削いで出してくれるのが普通で、多種多様なスパイスを用いてかなり辛くするのもデニズリ流。
程よい塩気とスパイシーさが効いた肉はとても柔らかく、焼きたての香ばしい風味が食欲をそそります。
お店の人曰く、一番美味しいのは頭部の肉なのだとか。
味見させてもらいましたが(焼きたての羊の頭部から直接肉をくりぬいていた…)、他の部位よりも脂がのっていて確かに絶品!
運が良ければ、羊丸ごと一頭を運んできた仕入れ先の人と、品質をチェックしつつも値切ろうとする店の人のトルコらしい(?)やりとりが見られるかもしれません(笑)
エスキシェヒル
「トルコで最も自由な町」と称されるエスキシェヒル(Eskişehir)。
週末になると、わざわざイスタンブールからナイトライフを味わいにやってくる人も多いほど。
若者の間では人気の町で、町全体にただよう開放的な空気はトルコ地方部では異質なものかもしれません。
学生向けの格安なレストランが多く点在するエスキシェヒルは、グルメ旅にもおすすめな穴場の町。
せっかくなら、ここでしか食べられないご当地グルメに挑戦してみるのがおすすめです!
⑬バラバン・ケバブ
エスキシェヒルの人々が愛してやまないバラバン・ケバプ(Balaban Kebap)。
「バラバン」の愛称でも親しまれています。
見た感じは、皿に敷かれたパンの上にグリルした肉をのせてソースをかけたもので、先に紹介したブルサ名物のイスケンデル・ケバブやピデリ・キョフテのよう。
これらのブルサ名物とバラバン・ケバブの一番の違いは、肉の種類/ソースをお好みでカスタマイズできる点。
【肉の種類】
・キョフテ(ミートボール)
・シシュ(串刺しの肉)
・カリシク(ミックス)
【ソースの種類】
・トマトソース
・バターソース
・ヨーグルトソース
・全部のせ
好きな肉と好きなソースを組み合わせ、自分だけのオリジナル・バラバンを注文できるのです。
ブルサ名物のイスケンデル・ケバブのソースはかなり重ため&とろ~りととしたソースでしたが、バラバン・ケバブのソースはかなり液体よりでシャバシャバしていた点も特徴的。
総合的に、見た目よりもあっさりとしていました。
のぶよ的には、バラバン・ケバブに一票!と言いたいところですが、ぜひ食べ比べてみてほしいです!
⑭チーボレク
エスキシェヒルのもう一つのご当地グルメがチーボレク(Çiğbörek)。
ボレク(Börek)とは、トルコ全土で食される具入りの重ね焼きパイのこと。
一般的には棒状か、円形のパイを切り分けたものが主流です ▼
エスキシェヒルのチーボレクは、そんなボレクの外見とは全く異なる、巨大な餃子のような生地が特徴的。
平たくのばした生地に具を挟み、半分に折りたたんだものを、油でサッと上げるという独特な調理法です。
しかしながら、特徴的なのは見た目や調理法だけではありませんでした ▼
中身、スッカスカなんです。
巨大な生地の20分の1ほどしか、具のひき肉が入っていません。
手抜き料理かと思いましたが、どうやら周りの人はそれが当たり前のようで、餃子のような生地をクルクルと丸めて棒状にして食べていました。(結局棒状にするなら普通のボレクで良いのでは…?)
のぶよも真似して食べてみたものの、ほとんどが生地の味。
肉の味はあまりしません。
おそらくこういう料理で、生地の美味しさを味わうためのものなのかもしれません。
個人的には最後まで「…?」な料理でしたが、不思議体験をしたい人は是非!
地中海沿岸地域の名物グルメ
アンタルヤ
年間を通して温暖なアンタルヤ(Antalya)は、世界各国からリゾート客が集まるシーサイド・タウン。
リゾート地ではあるもののギラギラした雰囲気ではない点が◎
海沿いの風光明媚な景色やのんびりと暮らす地元の人々、可愛らしい旧市街の町並みなど、リゾートに興味がない人にも魅力的な町だと思います。
⑮ピヤズ
アンタルヤに来たなら絶対に挑戦したいのが、ピヤズ(Piyaz)。
トルコの他地域で「ピヤズ」と言うと、豆や野菜をマリネしたサラダのことを指し、主に前菜として食べられます ▼
しかしながら、アンタルヤのピヤズはかなり独特。というか、もはや別の料理です。
なぜなら、アンタルヤでは「ピヤズ=メインディッシュ」。
パンやサラダなどと一緒に食されるスープ料理のような扱いなのです。
なんだか「お好み焼き+ご飯はアリ?ナシ?」論争に通じるものがあるような気もします(笑)
アンタルヤのピヤズは、もはや具沢山のスープのよう。
ターヒンというゴマのペーストにお酢、名産のオリーブオイル等を混ぜたもので、具は豆・野菜類にゆで卵が入っています。
肉は入っていないので、肉料理が続くトルコにおいてちょっと休憩を取りたいときにはおすすめ!
暑い地域の名物料理らしく、サラリと食べられる軽さも魅力的。
地中海の暖かない太陽の恵みを象徴するような料理だと思います。
メルスィン
トルコ南部のメルスィン(Mersin)はトルコ人に人気のリゾート地。
海が近いので、シーフードが名物なのかと思いきや、実はトルコ全土で愛されるストリートフードの発祥の地だったのです。
⑯タントゥーニ
トルコ、特に中部~南部に行くとよく見かける、円盤のように平べったい鉄鍋の真ん中で肉を焼いている光景。
これが、メルスィン発祥のタントゥーニ(Tantuni)を調理している光景です。
トルコ他地域の肉料理とは一線を画しているタントゥーニ。
・サイコロ状に細かく切った肉(鶏/牛)を使用
・綿から採れる油で焼き上げる
・スパイス多用のエスニックな味付け
の三点が特徴的です。
注文してから焼いてくれるお店が断然に美味しいのは言うまでもなく、焼きあがった肉はパンに挟むかロールした状態で提供されます。
スパイスの量はおじさんの目分量となりますが、かなりスパイシー気味になるのが普通。
苦手な人は注文時に伝えるようにしましょう。
シリア料理など中東の食文化が色濃く根付くいたトルコ南部らしい、スパイシーで深みのある味わいのタントゥーニは、トルコ人の間でも大人気。
現在ではメルスィンだけでなく、トルコ国内の広い範囲で食べられる全国区のグルメとなりました。
アダナ
トルコ南部に位置するアダナ(Adana)は、トルコ第五の都市。
独自の文化が色濃いトルコ南東部への玄関口となる町だけあって、その食文化はとても豊かです。
⑰アダナ・ケバブ
アダナと言えば、アダナ・ケバブ(Adana kebab)。
それ以上でも以下でもありません(笑)
名前の通りアダナ発祥の肉料理で、羊肉を挽いたものにニンニクや玉ねぎ、ハーブなどを混ぜて棒状に固めたものです。
現在ではトルコ全土に広がったアダナ・ケバブ。
ケバブ店の入口のショーケースで、串刺しにされた棒状の肉を見たらほぼ確実にそれです。
アダナ・ケバブの調理法は様々で、単にグリルしたものやパンに挟んだだけのものから、野菜と一緒にじっくりと煮込んだものまで…
本場・アダナでは、やはりグリルで味わうのが主流のようです。
アナトリア中部地域の名物グルメ
シヴァス
オスマン帝国より前の12世紀頃、アナトリア半島を支配したセルジューク朝時代の雰囲気が残るシヴァス(Sivas)。
当時のマドラサ(神学校)が点在しており、古くから学問の中心であったことを感じさせます。
⑱シヴァス・キョフテ
シヴァスに来たなら絶対に見逃せない名物グルメがシヴァス・キョフテ(Sivas Köftesi)。
すでにいくつか紹介した通り、キョフテとはトルコ風のミートボールのこと。
ケバブと同様、キョフテもかなり地域色豊かな料理の一つだと言えます。
ここシヴァスのキョフテの特徴は、ミニハンバーグのような平べったい形と、特製のチリソースをつけながらいただくこと。
このソースがとにかくすごいんです。
唐辛子とトマト、玉ねぎなどがベースなのですが、辛味の中に何とも言えない甘味や旨味が混ざった絶品。
作り方を聞いたのですが、英語が通じるわけもありませんでした(笑)
シヴァス周辺地域は、歴史的にアルメニア人が多く居住していた地域。
お隣・アルメニアの国民食である「ラヴァシュ(Lavash)」に似た、紙のようにぺらっぺらの薄いパンが好んで食されるのも特徴的です。
肉汁がじゅんわぁ~と染み出すキョフテと絶品ソースを包んで食べると、そこはもう天国。
素材の味をダイレクトに楽しむことができます。
⑲ペスクタン・チョルバス
シヴァスの郷土料理のような位置づけであるスープが、ペスクタン・チョルバス(Peskütan Çorbası)。
冬は極寒となるシヴァスでは、ヨーグルトと小麦粉を混ぜた「ペスクタン(Peskütan)」という保存食が古くから作られており、こちらはそれに麦を入れてスープにしたもの。
田舎らしい素朴な味わいで、ヨーグルトの酸味はほどほど。想像以上に飲みやすいです。
小麦粉のとろみも効いており、ほっとするような体が温まる料理でした。
カイセリ
セルジューク朝時代の建造物が残る、エキゾチックな町が点在するアナトリア半島東部エリア。
その頂点に君臨する町かもしれないのが、カイセリ(Kayseri)です。
カイセリ中心街はまるで時が止まったかのような雰囲気で、凛とした雰囲気が特徴的。
精巧な彫刻が施された石造りの建物も多く残る穴場の町です。
⑳カイセリ・マントゥ
トルコ全土で気軽に食べられるトルコ風水餃子・マントゥ(mantı)ですが、その本場とされるのがカイセリ。
一つ一つがとても小さな餃子はカイセリ・マントゥ(Kayseri mantı)と呼ばれ、現在ではトルコ全土で愛される国民食としての地位を築き上げました。
本場・カイセリでは、「マントゥは家庭で食べるお母さんの味」という性格が強いようで、意外とマントゥを提供するレストランを探すのに苦労します。
トルコの他地域では、茹でたマントゥにバターを加え、ヨーグルトをのせるのが一般的ですが、カイセリ・マントゥはトマト風味のスープに入った状態で提供されるのが独特。
ヨーグルトをのせるのはもちろん、ミントなど数種類のハーブをたっぷりとかけていただきます。
「水餃子にヨーグルト?」とビックリする人がいるかもしれませんが、これが意外といけるんです。
気付けば、ヨーグルトのないマントゥでは物足りない味覚になってしまいました(笑)
黒海沿岸地域の名物グルメ
トラブゾン
トルコ北東部、ジョージアとの国境にほど近いトラブゾン(Trabzon)は、お隣のジョージア料理の影響を受けた独特の食文化を持つ町。
トラブゾン周辺地域では、肥沃な土地を利用した牧畜や農業が盛ん。
新鮮な乳製品や野菜類を用いた名物料理がたくさん存在します。
また、トルコ人が愛してやまないチャイ(紅茶)の茶葉のほとんどは、トラブゾンを始めとする黒海沿岸地方で生産されているのもポイント。
本場のチャイはかなり香り高く、濃さの中に独特の奥深さが感じられる絶品です!
㉑トラブゾン・ピデ
有無を言わさずに挑戦してほしい絶品グルメがトラブゾン・ピデ(Trabzon pide)。
ピデ(Pide)とは、トルコ全土で食されるトルコ風ピザのことで、薄くのばした生地を船のような形にして焼き上げるのが定番。
いっぽうのトラブゾン・ピデは円形で耳の部分が分厚いのが特徴的です。
この地域名産の野菜やチーズなどが入ってとても味わい深いのですが、トラブゾン・ピデ最大の特徴が大量に投入されるバター ▼
切り分けると溶けたバターがジュワァァ~っと滴り落ちてくるくらいに、大量に投下されます。
バターの芳醇でマイルドな味わいと、肉や野菜などの具の旨味が見事にマッチして、他では味わえない唯一無二の料理。
普通のピデよりも少々値は張るものの、トラブゾンに来たなら絶対に食べてみるべき一品です!
ピデ + バターの組み合わせは、お隣ジョージアのアジャラ地方の伝統料理である「アジャルリ・ハチャプリ」と共通しているようにも思います。
のぶよ的には完全にトラブゾン・ピデの方が好みですが、隣同士の二地域の食文化を自分の舌で味わうのも良いかも!
㉒アクサアバト・キョフテ
日本の味が懐かしくなってしまうかもしれない、危険なトラブゾン名物がアクサアバト・キョフテ(Akçaabat köfte)。
「もうキョフテは食べ飽きた!」なんて言わずに、ぜひ挑戦してみてください!
通常のキョフテは、牛ひき肉100%で、他に入っていても玉ねぎくらいなもの。
肉がギュッと詰まった食感こそが特徴なのですが、トラブゾンのアクサアバト・キョフテの食感はもはや日本のハンバーグそのもの。
ふんわりとした食感に、玉ねぎの旨味が効いています。
その秘密は、ひき肉に混ぜてこねられた小麦粉。
他の地域のキョフテではまずあり得ないことなのですが、アクサアバト・キョフテは小麦粉を混ぜることでふんわりとした食感を出しているのです。
ウスターソースが欲しくなるのは、きっとのぶよだけではないはず(笑)
遠い異国の地で、実家で食べるハンバーグの味を思い出すことができる…そんなおすすめの料理です。
おわりに
とにかく何を食べても美味しいのがトルコ料理。
地域によって異なる歴史や風土を背景とした名物ご当地グルメの存在も、豊かな食文化に色を添えます。
各県や地域ごとに名物のグルメが存在する日本と同様に、トルコでもその土地の名物を味わうスタイルの旅ができるのは、グルメ派にとってはとても嬉しいことですよね。
一つだけ日本と大きく異なるのは、今回紹介したトルコ各地のご当地名物グルメは、日本で町おこしのために作られたようなB級グルメ等ではない点。
いずれもその地域で長い間食されてきた、本物の名物料理といった性格が強いのです。
今回は紹介できなかったトルコ東部も、独特の食文化に育まれた食の宝庫だそう。
再訪した際には、改めてまとめていきたいと思います!
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