こんにちは!ブルガリアをのんびり旅している、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
世界遺産のリラの修道院(リラの僧院)は、ブルガリアで最も有名な観光地の一つかもしれません。
首都・ソフィアの南60kmほど。リラ国立公園の険しい山々に囲まれた人里離れた場所にひっそりと佇む中世の修道院は、どこまでも凛とした空気に包まれて厳かな雰囲気。
カラフルでかわいらしい外観と、聖堂内の壁に描かれた精巧なフレスコ画で有名で、文句なしのブルガリア正教の聖地の一つです。
観光地でありながらも、現役で修道僧が暮らす祈りの場であるのもポイント。
ブルガリア全土から、毎日多くの人々が訪れます。
多くの旅行者が滞在拠点にするソフィアからそこまで距離がないため、リラ修道院観光は日帰りが定番。
ソフィアからは日帰り現地ツアーも多く出ていて、簡単に世界遺産の聖地を訪れることができます。
しかしながら、日中は団体観光客が大挙して訪れるため、聖地本来の静寂はどこへやら。
ただのディズニーランド状態と化してしまうこともしばしばあるほどだそう…
また、ソフィアからリラ修道院へのバスは1日1往復しかないため、個人でアクセスしようと思っても、ハイシーズンにはすでに座席が埋まってしまっていることも…。
観光客の大群を避けてリラ修道院の本来の神聖な雰囲気を味わうなら、修道院内に宿泊してみるのはいかがでしょうか。
「世界遺産の建物の中に宿泊する」
…何とも素敵な響きではありませんか!
世界広しと言えども、世界遺産の建物内に宿泊できる場所が一体どこにあるでしょう。
コロッセオ、エッフェル塔、厳島神社…間違いなく逮捕されますよね(笑)
一方のリラ修道院には修道僧の生活スペースがあり、私たち観光客でも宿泊することができるのです。
今回の記事では、リラ修道院の見どころはもちろん、宿泊した人だけの特権や実際に宿泊する方法を徹底解説したもの。
リラ修道院を個人で観光する場合(日帰りでも宿泊でも)に必要な情報はこれでバッチリなはず!
リラ修道院の見どころ&歴史
927年にイヴァン・リルスキ(Ivan Rilski)によって山の中に建立されたリラの修道院。
現在の場所に移設されたのは400年ほど後の1335年のことでした。
その後500年以上に渡ったオスマン帝国のブルガリア支配の際にも、リラの修道院に限っては信仰が認められていました。
そんな歴史もあり、ブルガリアの文化・信仰の中心としての地位を確固たるものとしたのです。
1833年に起こった大火によって、リラ修道院のオリジナルの建物はリラの塔を除いて焼失してしまいます。
その後多くの寄付金によって再建され、現在ではその文化的・歴史的価値が認められて世界遺産に指定されています。
ここからは、一般の観光客にも無料で開放されているリラ修道院の見どころを紹介します。
教会
リラの修道院を代表する光景が、敷地の中心部に位置する教会。
ドーム型の天井を有する巨大な建物はカラフルに装飾されており、他の修道院では見られないようなポップな印象を持ちます。
教会入口部分の壁一面には鮮やかなフレスコ画が広がり、訪れる人を圧倒します。
フレスコ画には天国と地獄の様子が描かれ、昔のブルガリアの人々の死生観を垣間見ることができます。
教会内部の写真撮影は禁止となっていますが、薄暗い空間一面に描かれたフレスコ画は圧巻。
観光客の姿も多いですが、巡礼に訪れた人々が熱心に祈りを捧げる様子も見られます。
信者であってもそうでなくても、神聖で厳かな空気に圧倒されること間違いありません。
リラの塔
教会のすぐ横に建つのは、大火による被害を唯一免れたリラの塔。
こちらは14世紀建造のオリジナルのものがそのまま残っています。
5Lv(=¥303)で上まで登ることができ、リラ修道院全体を眺めることができます
回廊
教会をぐるりと取り囲むように築かれた、半木製の2~4階建ての建物は、リラの修道院で暮らす修道僧たちの生活部分。
いくつものアーチが印象的な回廊は、他の修道院ではあまり見られないものです。
一般の観光客がアクセスできるのは一階部分のみで、イコン画展示場やミュージアムもこの回廊沿いにあります。
絶対泊まるべき!リラ修道院の宿泊客だけの特権
一般の日帰り観光客が見られるのはここまで。
正直、これだけなら1時間もあれば観光できてしまいます。
「なあんだ。じゃあ日帰りで十分かな」と思うのはまだ早い!
わざわざリラの修道院にわざわざ宿泊することには、日帰り観光客が見ることのできない光景を満喫できる特別なメリットがあります。
ここからは、リラの修道院に宿泊した人だけが体験できることを紹介していきます。
①修道僧の居住エリアにアクセスできる
「リラ修道院の見どころ」の項で紹介した、修道僧たちの居住エリアが位置する回廊。
一般の観光客がアクセスできるのは一階部分のみですが、宿泊客は二階~四階部分にアクセスすることが可能です。
というのも、宿泊客用の部屋は修道僧たちの居住スペースに隣接しており、否が応でもこの部分を通らなければならないため。
回廊の上層階から眺める教会は、下から眺めるよりも圧倒的です。
また、実際にこの場所で生活をする、黒い衣装に身を包んだ修道僧の姿を見かけることもかなり多いです。
リラ修道院の回廊は、まるで映画のセットのような美しさ。
祈りの場に足を踏み入れているという事実だけで、心が清められていくのを感じます。
②夕方〜朝の誰もいないリラ修道院を独り占めできる
日中には、多くの日帰り観光客や団体バスツアー客が大挙して訪れるリラ修道院。
特に午後の混雑はかなり激しく、祈りの場というよりも写真撮影スポットと化してしまいます。
リラ修道院が観光地としての仮面を脱ぎ捨てるのが、日帰り観光客が去る18時以降のこと。
宿泊客と修道僧以外には誰もいなくなり、リラ修道院本来の神聖な雰囲気を十分に味わうことができます。
耳を澄ましても、聞こえてくるのは鳥のさえずりと、修道院裏手を流れる小川のせせらぎのみ。
静寂に包まれた山奥の教会を何も考えずに眺めていると、どうして昔の人がこの地を聖地としたのか何となくわかるような気がしてきます。
また、朝日がリラ修道院を照らす早朝の風景が見られるのも大きなメリット。
リラ修道院の朝は早く、まだ薄暗いうちから礼拝の準備をする修道僧たちの姿を見ることができます。
③朝の礼拝に参加できる
もう一つ、宿泊客だけが体験できることに、朝の礼拝への参加があります。
毎朝7:30〜8:00の間に教会内で行われる朝の礼拝は、リラ修道院が聖地であることを実感させられる瞬間。
修道僧の祈りの儀式に参加するために、熱心な信者たちが集まります。
神官が神の言葉を代弁する際には、皆が一斉に胸で十字を切り、頭を下げていたのがとても印象的でした。
もちろん信者でなくとも見学できるので、この神々しい光景を是非目に焼き付けておきたいものです。
実際はこんな感じ。リラ修道院宿泊方法 (料金・部屋の様子・感想)
リラ修道院はあくまでも修道僧たちの祈りの場。
ホテルのようなサービスはもちろん望めないものの、「世界遺産の聖地の中で眠る」というここだけの体験ができます。
ここでは、リラ修道院に宿泊する方法や料金、実際に宿泊してみた感想をシェアしていきます!
①修道院の予約オフィスに行く
リラ修道院での宿泊は、現地で直接の申し込みが基本。
修道院南側に設けられた、「宿泊客管理オフィス」で宿泊したい旨を伝えるだけです。
オフィスが開いているのは、14:00~16:00と限られているのでご注意を。
夏季のハイシーズンの週末には多くの宿泊希望者がやってくるため、事前の予約をしておく方がいいかもしれません。
インターネット上では予約が一切できないため、予約専用の電話番号に電話をかけて予約します。
ブルガリア語のみでの対応となるので、リラ修道院訪問前に宿泊している宿の人などに電話をかけてもらいましょう。
のぶよが宿泊したのはぎりぎりハイシーズンの9月中旬でしたが、他に宿泊客らしい人は4~5人ほどと全く予約の必要がない状態でした。
②宿泊料金支払い&鍵を受け取って入室
リラ修道院の宿泊料金は、人数によって変わります。
のぶよの場合は、トリプルルームの個室利用で20Lv(=¥1212)でした。
いわばホステルと変わらない料金で、個室に宿泊できる(しかも世界遺産の建物の中で)のですから、かなりお得では…?
料金を支払うと部屋の鍵がもらえるので、部屋番号を頼りに迷路のような回廊を歩いて自分の部屋を探します。
宿泊棟はけっこう広く、部屋番号も申し訳程度にドアの上に小さく書かれているだけ。
迷いに迷って自分の部屋にたどり着きました。
③意外に快適!リラ修道院での宿泊
「リラ修道院での宿泊、どんな感じ?」と、気になる人も多いのではないでしょうか。
ひとことで言うと、結構快適でした。
トリプルルームで、なんとシャワー・トイレ付。
事前情報では「トイレはあるもののシャワーはない」とのことだったのですが、グレードアップしたのでしょうか。
ちゃんと温かいお湯も出ますし、セントラルヒーティングも完備です。
また、心配なのがリラ修道院での食事。
僧院内で修道僧たちと同じものを頂くことはさすがにできませんが、僧院を出たところに数軒の小さなレストランがあり、夜も営業しています。
観光地なので値段は少々張るものの、それでもメインディッシュが400円~600円ほど。
高すぎるというわけでもありません。
僧院内では御法度のビールも、500mlで3Lv(=¥182)と意外と良心的な価格でした。
ちなみに、リラ修道院にはwi-fiという文明の利器は存在しません。
人里離れたこの聖地で、全ての日常やネットワークから解放された静かな夜を過ごしながら、これまでの/これからの旅に思いを馳せるのもなかなか悪くありませんよ!
リラの修道院観光&宿泊時の注意点
「泊まれる世界遺産」なんてキャッチーなフレーズをタイトルにつけたこちらの記事。
しかし、リラ修道院はホテルでも格安で泊まれる宿でも何でもなく、純粋な祈りの場です。
私たち観光客は「見学させていただいている」という気持ちを持ち、そこで生活する人や巡礼に訪れる人に対する敬意を忘れるべきではないでしょう。
①長ズボン、上着は必須
リラ修道院に宿泊するかどうかは関係なく、敷地内に入るためには肌を露出した服装は絶対にNGです。
その規定はかなり厳しく、半ズボンやサンダルもNG。
山奥に位置するリラ修道院は、夏場の日中でもそこまで暑くはならず、夜は結構ひんやりします。
防寒の意味でも、長ズボンや肩の露出を隠す上着を必ず持参しましょう。
②夜はかなり寒い
のぶよがリラ修道院に宿泊したのは、まだ夏の終わりと言える9月中旬。
しかしながら、日が沈んでからの気温の下がり具合は想像を絶するものがありました。
夜9時頃の気温で5℃…もはや冬の寒さです。
山に囲まれた地形が関係しているのでしょうが、とにかく「夜はかなり冷える」ということを忘れずに。
防寒用のジャケットなどを持参する方がいいでしょう。
③門限は夜9時
リラ修道院は24時間開放されているわけではありません。
夜9時になると、敷地内への二つの入口の門は閉じられてしまいます。
9時半頃までは、各門の警備室に警備員が常駐していて、外からブザーを鳴らせば鍵を開けてくれるそうなのですが、それも100%保証されているわけではないそう。
締め出されて極寒の中一晩過ごすのは絶対に避けたいもの。
敷地外での食事や散歩は早めに済ませ、夜9時までには自分の部屋に戻っておくようにしましょう。
リラ修道院へのアクセス情報
山奥に位置するリラの修道院へのアクセスは、バスのみとなります。
首都のソフィアを基点にする旅行者がほとんどですが、ソフィア~リラの修道院間の直行便は本数が極端に少ないのがネック。
夏場のハイシーズンは旅行者で満席となっていて乗れない可能性も大きいです。
裏技としては、ソフィアからの幹線道路沿いに位置するブラゴエフグラード(Blagoevgrad)やドゥプニツァ(Dupnitsa)などの町を経由して日帰り往復することもできます。
その場合、乗り継ぎの手間はあるものの、より多くのバスが運行されているので便利。
・リラ修道院に宿泊する場合
・周辺の他の見どころをセットでまわる場合
は、上に挙げた2つの地方都市のどちらかを経由してのアクセスが現実的です。
各都市→リラ修道院へのアクセス詳細
旅行者の間では、ソフィアからリラの修道院を日帰りで往復する人ががほとんど。
ソフィア~リラ修道院へと直接向かうバスは1日1本(10:20発)のみで、ソフィア西バスステーション(Ovcha Kupel bus station)からの出発です。
リラ修道院からソフィアへ戻るバスも1日1本で、15:00発です。
つまり、このプランだとリラ修道院に到着するのが13時頃。
そこから帰りのバスの出発時刻である15時まで、およそ2時間ほどの観光時間となります。
1日1本しかないソフィア~リラ修道院間直行バスはかなり不便。
その代替手段となるのが、ソフィア~ブラゴエフグラード~リラ修道院と乗り換えてアクセスする方法です。
ブラゴエフグラード州の中心都市であるブラゴエフグラード(Blagoevgrad)は、町の人口の多くを学生が占める「学生の町」。
ソフィアの西バスステーション(Ovcha Kupel)から、1時間に1本の頻度でバスが出ています。
ブラゴエフグラードからリラ修道院への直行バスは出ていません。
リラの修道院入口にあるリラ村(Rila)まで路線バスで行き、そこから修道院まで行くシャトルバスへの乗り換えが必要となります。
リラ修道院へのもう一つのアクセス方法であり、のぶよ的におすすめなのが、ソフィアからドゥプニツァ(Dupnitsa)という町を経由してのもの。
ソフィアの西バスステーション(Ovcha Kupel)から、1時間に1本の頻度でバスが出ています。
ドゥプニツァからリラ修道院までは、1日2本(6:40、14:45)の直行バスが出ています。
それ以外にも、ブラゴエフグラード経由と同様に、ドゥプニツァ~リラ村~リラ修道院と乗り継いでアクセスする方法もあります。
リラ修道院 / リラ村からの帰りのバス時刻
リラ修道院へ日帰りで訪れるなら、帰りのバススケジュールをあらかじめ把握しておきましょう。
リラ修道院とセットで訪れたい!周辺の見どころ
せっかくリラ修道院まで足をのばしたのに、世界遺産の修道院だけを見てソフィアにとんぼ返り…。
そんなのもったいない!
リラの修道院が位置するブルガリア南西部のピリン地方には、魅力あふれる観光スポットが他にも点在しているのです。
まるで異世界のような風景の中に点在する「天空の湖」・リラの七つの湖。
「ピラミッド」と呼ばれる奇岩に囲まれたワインの村・メルニク。
温泉保養地として有名なサンダンスキ。
など、日本人にはあまり知られていない魅力的なスポットがたくさん!
いずれも公共交通手段でアクセスできるので、是非リラ修道院と組み合わせてまわってみてはいかがでしょうか。
ブルガリアの旅がより思い出深くなること間違いなしですよ!
おわりに
世界遺産のリラの修道院を100%満喫するための宿泊情報やアクセス情報を詳細に解説しました。
実際に宿泊してみた感想は、「泊まって本当に良かった…!」でした。
のぶよがリラ修道院に到着した午後の、観光客の写真撮影大会の会場のような時間帯とは全く異なった、聖地本来の雰囲気を五感で感じることができたためです。
まるで映画の世界に迷い込んでしまったかのような朝の礼拝や、大自然に囲まれた美しい僧院の風景に大満足でした。
周辺の見どころと組み合わせての旅もおすすめ。
ブルガリア観光のハイライトとなる聖なる地で、自分と向き合う時間を作ってみてはいかがでしょうか。
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