こんにちは!世界半周でウクライナに滞在中ののぶよです。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ウクライナ南部の港湾都市、オデッサは、「黒海の真珠」とも称えられる美しい街並みと、青く輝く黒海が美しい素敵な町です。
そんな美しい町でのぶよが3泊しているホステルが、自分至上最安でした。
なんと1泊120UAH (=¥350)という驚異の価格。
この値段でベッドで寝られて、お湯もちゃんと出て、キッチンもあって…。文句を言う方が間違っているのは十分了承済みなのですが、言わせてください。
このホステル、至上最低のホステルです(笑)
せっかく美しい「黒海の真珠」に居るのに、のぶよの生活はただ真っ黒なだけ。(笑)
このままだとただの愚痴になってしまうので、史上最低ホステル滞在中に見た、「ホステルで暮らす人々」に焦点を当てて、ウクライナという国が抱える闇に触れたいと思います。
史上最低ホステルがどうして最低なのか説明するよ
原因1:受付の対応
ホステルのレセプション(受付)はホステルの、いや、その町の顔と言えます。
なぜなら旅行者が最初に出会うホステルの従業員であると同時に、その国や町に来て初めてコミュニケーションをとる人でもあり得るからです。
オデッサのホステルの受付にいた女性は、その点ではオデッサの悪いイメージを旅行者に持たせるのに一役かっていたと言えるでしょう。
「笑顔で挨拶」が世界共通だと考えているのぶよは、このホステルでもいつも通り挨拶をしました。しかし受付にいた女性はこちらをチラりと一瞥した後なぜか黙ったまま。
英語が全く話せない彼女は、こちらが何かを言っても返答せずにずっとスマートフォンをいじっていました。
いったい何をしているのかと思ったら、アプリの翻訳機能を使って、チェックイン時に必要なこと、伝えなければならないことなどを必死に打ち込んでいたのです。
翻訳されたテキストをこちらに見せてくる彼女。それは、チェックアウトの時間や鍵の取り扱いなど基本的なことばかり。
彼女がここで働き始めてどれぐらいなのか知りませんが、ウクライナ語が通じない外国人が来るたびに同じ手間をかけて対応していると考えるとぞっとします。
もちろん、英語が全てだというつもりはありませんし、「全ての人が英語くらい話せるべきだ」なんて考えはただの英語話者の傲慢でしかないと思っています。
でも、それくらい定型文でもいいから覚えればいいのに。てゆうかそれがあなたの仕事でしょ?
話せないなら話せないなりに、ジェスチャーでどうにかするだの、ウクライナ語で通すだの、他にも手段があるはず。
悪いのは現地の言葉が話せないこちらにあるのですから。
というか、言語うんぬんの問題以前に、人と人のコミュニケーションにおいて、「アプリの翻訳したやつを見せといて、黙ってればいいや。」という考えが、のぶよは大嫌いです。
原因2:清潔さ
前提として言っておきます。のぶよはホステルに対して完璧な清潔さを求めてはいません。
様々な人が一つ屋根の下で滞在するホステル。だからある程度汚いことも織り込み済みですし、人によって清潔さの尺度が異なることはちゃんと理解しています。
しかし、このホステルは汚すぎた。
従業員は常時3~4人いるのに、清掃なんて全くしていません。放置。ただ受付でしゃべってるだけ。お前ら、誰やねん。
キッチンはその不潔さの最たるべきところで、もはや食器すら存在しない始末。
おそらく誰も食器を洗わないから、「だったら食器を置かなければいいんだ!」という考えだと思いますが、それ、キッチンの意味ないですから。
シャワーに関しては言うまでもなし。「おぞましい」という日本語が似合うような汚さでした。
原因3:ホステルの雰囲気
いいんです。愛想のない受付や不潔な環境なんて。塩対応には慣れてますから。
とにかく、一番最悪だったのが、ホステル内に漂う雰囲気です。
外国人のゲストはほとんどおらず、ほぼ全員がウクライナ人の長期滞在者。
それは別にいいんです。彼らの国だし、彼らがどう滞在しようとそれは勝手。
「英語で話して!」なんてこっちのわがままは口が裂けても言いません。
このホステルで一番ダメだった点は、宿泊している人たちがいつも同じ顔ぶれで、同じ人とつるみ、みんな特に何もしないまま一日を過ごしている点につきるでしょう。
かといって、みんな仲良く楽しくホステルライフを楽しんでいるわけでもなく、お金がないから仕方なくこのホステルに泊まって一緒に生活をしているという雰囲気。
ひと言で言うと、陰鬱でしかありません。
まじで、檻のなき監獄状態。
ホステルで一番大切なのは、雰囲気。
人によって、宿泊先となるホステルに何を求めるかは大きく変わってくるでしょう。
観光地や交通機関へのアクセス、値段、清潔さなど。
しかしのぶよは思います。ホステルで大切なのは、居心地の良さだと。
もちろん「居心地のいいホステル」であるためには、料金の安さや清潔さ、受付の人の対応など様々な要因が絡んできますが、一番大きな要因は、そのホステルに滞在している人たちがつくり出す雰囲気なのではないかと思います。
ある程度長期滞在している人もいれば、数日で移動してしまう人もいる。
その国の人や外の国から来た人、いろいろなバックグラウンドを持った人たちが集まって同じ時間を過ごす場所、それがホステルです。
「ホステル=宿泊費を抑えるために寝るための場所」と考えている人、日本人にかなり多いのですが、その考えは捨てた方がいいです。
一日のうち観光や食事にあてる時間なんて半分ほど。
残りの半分、睡眠や休養の時間を過ごすホステルに、どうして観光と同じくらい重きを置かないのでしょうか。
そして、どうせ一日の半分同じ場所で過ごすのなら、Youtubeとか見てないで、そこにたまたま巡り合わせて一緒に時間を過ごす人たちと話したり飲んだりしたほうが楽しくないですか?
のぶよ的には、この「ゲスト同士がコミュニケーションをとりやすいホステル」というのが「居心地の良いホステル」にあたります。
「沈没」とは似て非なる「ホステルで暮らす人たち」
日本人の世界一周旅行者や長期旅行者なら一度はしたことがあるだろう「沈没」。
船が沈没して海底にとどまるがごとく、旅行中にどこか一か所の町から抜け出せずに長期滞在をすることを意味します。
のぶよは沈没反対派ではありません。
むしろプチ沈没を繰り返しながら旅しています(笑)
この「沈没中」の旅行者は、ある意味、ホステルの雰囲気を作るのに大きな役割を果たしていると思います。
そこにはホステルの良い雰囲気を自然と生み出す良い場合と、「あいつ一日中一人で何してんの?きもー、ぶす。」的な悪い場合とがありますが。
今風の言葉でいうと「良いバイブ」と「悪いバイブ」といったところでしょうか。使い方があっているのかわかりませんが。
しかし、今回のホステルに滞在していた多くのウクライナ人には、この「沈没」の定義は当てはまりません。
なぜなら、彼らはこのホステルで「暮らして」いるからです。
「沈没」は長期の旅行中の一時的な停止状態のことを指します。それがどのくらい続くかというのは別として。
彼らはあくまでも「世界一周」や「長期旅行」という長い航海の途中で一時停止しているにすぎません。
なのでいずれはその沈没状態を解除して、前へ進む時が来るわけです。
対してのぶよが滞在したホステルのウクライナ人は、
・2年間ホステルに暮らしている、24時間酒臭いおっさん
・半年間ホステル生活をしながら仕事を探している若い男の子
・もはやどれだけ住んでいるのかわからないおじいさん
など、「いつまでその生活を続けるのか見えない」人たちの巣窟となっていました。
これじゃあ、タイタニック号もびっくりな本格的な沈没です。
もう浮上することはできないのではないでしょうか。
ポルトガルのホステルで楽しく暮らすブラジル人と、ウクライナのホステルで独りで飲んだくれて暮らすウクライナ人の違い
別に他人がどんな生活をしようと、どれだけの間ホステルで暮らそうと、 のぶよは知ったこっちゃありません。
のぶよはただの通りすがりの旅行者で、この人たちと過ごすのもせいぜい数日の間だけ。
しかし、たった数日でも、楽しく過ごした方が良くないですか?
陰惨とした雰囲気の中で一人ブログ書いているよりも (事実、この数日でかなりブログがはかどったのは内緒)
同じように「ホステルで暮らす」人が多数派を占めるホステルにのぶよは宿泊したことがあります。
それはポルトガルのワーキングホリデー生活の一番初めの頃。
ホステルに滞在しながらアパートを探していた時です。
ポルトガルという国の歴史上、旧植民地であるブラジルから大量の移民がやってきて仕事探しをしています。
彼らの多くは、1泊6ユーロほどの格安ホステルに宿泊しながら、ビザが下りるのを待っていたり、仕事を探していたり、あるいはすでにホステルを拠点として仕事をしていたりと状況は人によってさまざま。
いわば、今回のウクライナのホステルと同じような状況で、多くのポルトガル語話者の人たちがそこで暮らしていて、あまり観光客は泊まらないようなホステルだったわけです。
しかし、この二つのホステルの間には決定的な違いがあります。
それは、ポルトガルのホステルにはかなり明るい雰囲気が漂っていたことです。
新しく来る人がポルトガル語がわからなくても関係なし。
とにかくみんなでご飯を食べて(誰が作ったのか知らない)、みんなで飲んで(誰が買ってきたのか知らない)、なんやかんや楽しくやっていました。
果たしてこれは、彼らが陽気なブラジル人だから。といったひと言で理由付けできるのでしょうか。
楽しそうに見えるブラジル人たちだって、いろいろ事情があってポルトガルで生活を始めようと決断したわけです。
それでも、みんなでいるときは楽しく過ごそうとするのは、ブラジル人ならではかもしれませんが。
ホステルは「家」。だから空気の入れ替えが必要
ウクライナとポルトガル、二つの対照的な雰囲気の「ホステルで暮らす人々」を紹介してきました。
のぶよ的には、どちらもパーフェクトなホステルとは言い難いです。
もちろんポルトガルのホステルは楽しかったけど。(結局2週間タダ飯いただいてた)
ホステルは普通のホテルやB&Bとは違い、色々な場所から人が集まる「家」のようなもの。
普通の家でもずっと窓を閉め切っていたら空気がこもってしまうように、ホステルでも空気の入れ替えが必要なんです。
そこには、新しくやってくる旅行者の存在が不可欠。
同じホステルでも、その時宿泊しているメンバーによって、新しく来るゲストが持つ印象は大きく変わってくるものです。
毎日同じメンバーと顔を合わせて共同生活をしていたら、嫌気がさしてしまうのも不思議ではありません。
ではどうして彼らは、それでもなおホステルで暮らし続けるのでしょうか。
ウクライナの「ホステルで暮らす人たち」の背景
「仕事がないから家もない」だからホステルで暮らす
ウクライナのホステルに話を戻すと、彼らがずっとホステルで生活を続けるのにはウクライナ独自の理由が大きく絡んでいることがわかります。
記憶に新しい、2014年のウクライナ危機。
ウクライナ東部のロシア系住民が、西部のウクライナ系住民と対立し、首都のキエフや南部のオデッサで政府軍と衝突・戦闘となり、内戦の一歩手前までいった一連の出来事です。
これだけでもウクライナ国内の経済はかなりのダメージを受けてしまったのに、続いてロシアによってなされたクリミア併合問題。
これら不安定な政治、治安状況は、ウクライナの通貨・フリブニャのすさまじい下落を引き起こしました。
これはウクライナ訪問2回目ののぶよが身をもって体感したもので、
2014年の訪問時(ウクライナ危機直後)は1フリブニャ=8円くらいだったのが、2019年の今回は1フリブニャ=4円ほどに下がっています。
たった5年で、通貨が半分の価値になってしまったわけです。
これってかなり恐ろしいこと。
例えば、5年前は60UAHでホステルに1泊できたウクライナ。
現在では、120UAH~と二倍の値段になっています。
私たち外国人にとっては、通貨価値が2分の1のになっているので、結局同じことのように思えます。
しかし、5年前と変わらずにその通貨を使いながら生活している現地の人々にとっては、単に「物価が2倍になった」ということになります。
おかしいことになっている、ウクライナの物価
巷でウクライナへ旅行した人のブログなどを拝見していると、「ウクライナの物価が安すぎる!」「ハイパーインフレでウクライナが格安!」なんて書かれていますが、のぶよ的には全くそうは思いません。
なぜなら「通貨価値が半分になった=何でも半額で買える」わけではないからです。
通貨価値が下落しすぎたウクライナでは、自国の通貨が安すぎるため輸出入や金融などがもはや機能しなくなる寸前に陥ったため、なんと国内の物価をほぼ2倍に引き上げるという手段に出たのです。
簡単に言うと、
日本:「え、パンが2フリブニャ?1フリブニャ=4円だから…たったの8円?安すぎっ!」
ウクライナ:「せっかくパンを売っても8円しかもらえないのかよ。5年前は倍の16円もらえたのに…あ、そうだ!パンの値段を2倍の4フリブニャにすればいいんだ!そうすれば前と同じ16円もらえるし!俺、天才!」
ぱっと見ではうまいことやっているように見えるのですが、全くそんなことはありません。
なぜなら、物価は2倍になっても、ウクライナの人々の給料は変わらないからです。
ちなみに、ウクライナの人々の平均月収は3万円ほど。
考えてみてください。
5年前は1万円だった家賃が急に2万円になった状況を。
1食200円の定食が400円になった状況を。
吉野家の牛丼が、ある日突然600円に、ラーメン一杯1600円になっている状況を。
そしてそれに対する弁明が、「自国に住んでる人にはあまり関係ないけど、日本円が弱すぎて、1ドル=250円になっちゃった。だからとりあえず物価上げとくわ!でもとりあえず給料はそのままの額で!」というものである状況を。
これじゃあ、人々がやってらんないと思うのも当然ではないでしょうか。
ウクライナを捨てて国外へ逃げ出す中流階級
ポーランドやハンガリーなど、ウクライナと国境を接する中欧のEU諸国を旅行していると、たくさんのウクライナ人に出会います。
彼らは旅行しているわけではなく、移民としてEUにやってきて新しい生活を始めようとしている人たちがほとんど。
しかしそんなことができるのは、ある程度まとまった資金があった中流階級以上の人たち。
それより下の階級の人々は、他の国で新生活を始める元手となる資金すらない状況です。
地方を捨て都会で生活をしようとする人たち
もはやどうしようもなさそうなウクライナ情勢・経済ですが、地方部に比べて経済的にまだましで、それなりに仕事がある都市部には、多くの地方出身のウクライナ人が集まります。
彼らの多くはたくさんの資金を持っていないため、1泊300円ほどの格安ホステルに宿泊しながら仕事を探したり、日雇いの仕事をしてその日暮らしをしています。
中には全く仕事をしていなさそうな人もいた、オデッサのホステル。彼らがどのようにして生きているのかは謎です。(笑)
おわりに
最初はただ単に史上最悪ホステルの愚痴を投稿しようと思っていたのですが、もういい大人なので(笑)、ウクライナ経済の話に首を突っ込んでみました。
とにかく、ウクライナの経済は本当にやばいと思います。(日本語合ってる?)
ただのいち旅行者でもヤバさを肌で感じるくらいなんだから、現地で暮らしている人にとってはもっと逼迫した問題なのではないでしょうか。
もちろん、私たち旅行者にとって、「物価が安い」ということは、滞在地を決めるための一つの指標であり、大切なことです。
しかし、その「安さ」の裏に見え隠れする事情にも思いを寄せるべきなのではないでしょうか。
のぶよ的には、ホステルはその国を表す縮図のようなもの。
なんとなくですが、そこに集まる人にも自分が求めているものと同じような空気感を感じることも多いんです。
そんなホステルで、その日暮らしをしている人々の、無気力でなんの希望もなさそうな姿を見るのはなかなか辛いものがありました。
「格安」であるだけではないウクライナの現実。
「私はただの旅行者だから~」なんて言い訳しないで、その裏にある現地の人々の生活をもっと直視して、考えていくべきなのではないでしょうか。
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