こんにちは!ジョージア滞在も二年半!世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ある国に外国人が合法的に滞在する際に、必ず意識しなければいけないのが、最大滞在可能期間。
すべての物事に終わりがあるように、いつか必ず滞在可能期間が満了となる日がやってくるのです。なんとも世知辛い世の中…
ジョージアに長期間滞在している外国人の99%は、居住者や在住者ではなく、ただの観光客。
そのため、観光客としての滞在可能な期間が過ぎる前に、ジョージアを出国しなければなりません。
しかしながら、ジョージアは「世界で最も寛大な出入国システム」と称される国。
日本国籍者の場合、最大で1年間(365日間)の滞在が可能なのです。それも、パスポートだけで。
市民権や在留許可カード等なしでも、最大滞在可能期間が過ぎる前に一度ジョージアを出国し、ふたたび入国することで、新たにもう1年間滞在することが可能というわけ。なんとまあ、素晴らしい…
俗に「ビザラン」と呼ばれる、この出入国の一連の流れ。
実際に体験してきたので、記事にまとめることにしました。
結論から言うと、ビザランをすることでジョージアの滞在可能期間を延長することは可能です。(2023年11月現在)
しかしながら、かつて「誰でも簡単に余裕でビザラン可能」「国境審査がザルすぎる!」「一年に一度ビザランして東欧移住ッ」(そんなもの移住でもなんでもない)なんて囃し立てられていたジョージアですが、状況は大きく変わりつつあります。
というのも、国境付近がなかなかのカオス状態&ジョージア側の出入国審査が以前に比べて格段に厳しくなっていることを、身をもって体験してきたので。
どこの国でも、外国人としての滞在許可や滞在可能期間に関する事柄については、ナーバスになってしまうもの。
「ジョージア、良いところだしもう少し長く居たい!でも、国境で色々尋問されるのが不安…」という人が、少しでも安心できますように!
(というか、「どうせ色々聞かれるだろうから、心の準備をしておいてね」という内容です)
【追記】2023年11月
まったく同じ国境越え&ビザランを2023年11月に再び行ったので(どんだけジョージアおんねん)、変わっていた点や最新情報などを追記しています!
ジョージアの「ビザラン」とは?
旅をしている人の間では、わりとポピュラーな「ビザラン」という言葉ですが、一般の旅行者からするとあまり馴染みがないかもしれません。
「ビザ(Visa=査証)」という単語が入っていることから、何か特別な書類等が必要なのかと考えてしまいがちですが、ジョージアの場合、ビザランの概念はとてもシンプルです。
ここでは、「そもそもビザランって?」「普通の国境越えと何が違うの?」という人向けに、ジョージアのビザランについてザックリと解説していきます。
ジョージアでビザランをする理由
ジョージアは「世界で最も寛大な出入国制度」と言われるほどに、数ヶ月間~数年間の滞在がしやすい国。
日本国籍者である場合、最大で1年間(365日間)の滞在が特別なビザや書類等なしで認められているのです。
一般的には、ビザなしでの最大滞在可能期間は90日間である国がほとんど。
それ以上の期間滞在したい場合は、労働ビザや学生ビザ等の特別な許可証を取得しなければならない場合が多いです。
いっぽうのジョージアの場合は、日本のパスポートを持って一度入国してしまえば、入国日から365日間は特別な手続き等なしで滞在が可能。
現地での滞在期間延長の手続きなどもいっさい必要ありません。
さらに特筆すべきが、1年間(365日間)の滞在可能期間を満了する際に、一度ジョージアを出国して再入国すれば、再び最大1年間の滞在可能期間が得られるという点。
EUをはじめ、隣国のトルコにおいても「90日間滞在した場合は、別の90日間をおいた後でないと再入国不可」というポリシーを設けている国がほとんどですが、ジョージアの場合は無条件で再入国可能です。
そんな出入国システムから生まれたのが「ビザラン」という概念。
観光客としての滞在可能期間(365日)を越えてジョージアに滞在したい場合、一度ジョージアを出国して同日(もしくは数日後でも)再入国することで、新たに365日間の滞在可能期間を得られるのです。
単純明快に言うと、「ビザラン=(観光客としての)滞在可能期間を延長するために、いったん国境を越えて出国し、すぐに再入国すること」と考えておきましょう。
ジョージアの「ビザラン」は合法?
「滞在可能期間を延長するために、一度ジョージアを出国して再び入国する」と聞くと、「それって合法なの?」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
ジョージアの場合、この「ビザラン」と呼ばれる行為は合法。
最大滞在期間である365日間を越える前に出国→入国すれば、不法滞在になることはありませんし、出入国のルールを遵守していることには変わりないので、何も気後れすることはありません。
ビザラン可能な国境
ジョージアと隣国間の国境は合計7ヶ所存在しますが、公共交通機関が存在しなかったり、出国先の国によっては査証が必要だったりする(ロシアやアゼルバイジャン)ため、ビザランしやすい国境は限られています。
ジョージアに滞在している外国人にとって、ポピュラーなのは以下の2か所の国境。▼
どちらの国境でもビザランは可能。ジョージア側で滞在拠点としている町によって選択することになるでしょう。
トビリシ基点の場合:サダフロ国境
トビリシを滞在拠点としている場合、最もアクセスしやすいのがサダフロ国境(Sadakhlo / სადახლო)。
南隣のアルメニアとの国境で、トビリシからは車で40分ほどの場所に位置しています。
トビリシ~サダフロ国境間にはマルシュルートカ(乗り合いのミニバス)が走っており、格安で移動が可能であるのもメリット。
日本国籍の場合、アルメニア入国にビザ等は必要なく、パスポートのみで出入国が可能です。
バトゥミ拠点の場合:サルピ国境
ジョージア西部のバトゥミに滞在している場合は、20kmほど南にあるサルピ国境(Sarpi / სარფი)が便利。
トルコとの国境で、バトゥミ市内から車で30分ほどの場所に位置しています。
サルピ国境は、ビザラン目的の長期滞在者に高い人気を誇ります。
その理由が、バトゥミ市内から公共交通機関で格安でアクセス可能であるため。
日本国籍者の場合、トルコへの入国にはビザや特別な書類等は必要ありません。
今回のぶよがビザランに挑戦したのも、このサルピ国境。
国境までの公共交通情報については後述しています。
ジョージアのビザランに必要な書類・持ち物
サダフロ国境(アルメニアに入国) / サルピ国境(トルコに入国)のいずれを経由してビザランする場合でも、ビザや特別な書類等は必要ありません。
つまり、パスポートだけを持っておけばOK。
極論、手ぶらでふらりと国境を越えてジョージア側に戻ることも可能です。
ジョージア(バトゥミ)~トルコのビザラン徹底レポート
ジョージアのビザランに関する基礎知識はここまでで大丈夫なはず。
ここからは、のぶよが実際にビザランをした際のようすをレポートしていきます。
バトゥミ基点のサルピ国境の場合で解説していますが、トビリシ拠点のサダフロ国境の場合も要領は同じです。
【往路(ジョージア→トルコ)】
①ジョージア側国境の町・サルピへ移動
②ジョージア側出国審査
③トルコ側入国審査
④トルコ側国境(サルプ)のようす【両替所/ATM/レストラン/商店】
【復路(トルコ→ジョージア)】
往路:ジョージア→トルコの国境越え
①ジョージア側国境の町・サルピへ移動
まずは、基点となるバトゥミ市内からサルピ国境へと移動しましょう。
手っ取り早くタクシーで移動する場合は、片道1台20GEL~30GEL(=¥1000~¥1500)ほどが相場です。
公共交通機関を利用してアクセスする場合は、市内路線バス16番 / マルシュルートカ(ミニバス)88番の2つの選択肢があります。
それぞれ料金や発着ポイントが異なりますが、最も注意が必要なのは運賃の支払い方法です。
【路線バス16番】
・運行頻度:毎日6:00~22:00の間15分~20分に1本
・料金:0.3GEL(=¥15)
※Batumi Card等交通系ICカードが必要
【マルシュルートカ88番】
・運行頻度:毎日6:00~22:00の間15分~20分に1本
・料金:2GEL(=¥100)
※現金での支払いのみ
Batumi Card(もしくはトビリシの市内交通カードでも)を持っていない場合は、現金での支払いが可能なマルシュルートカ88番利用の一択になります。
【追記】2023年11月
1年前はジョージア→トルコへと買い物へ行く人で大混雑していたサルピ国境ですが、2023年11月現在はまったく逆のことが起こっています。
インフレに歯止めが効かないトルコ側から、若干割安感のあるジョージア側へ買い物に訪れる人が殺到しているのです。(ジョージア側からトルコ側へ衣料品などを買い物しに行く人は健在ですが、一時期に比べれば減った印象。)
しかしながら、ジョージア側で買い物をするトルコ人は路線バスを使用しないようで、バス内の混雑は格段にましになっていました。
②ジョージア側出国審査
バトゥミを出発した路線バス16番 / マルシュルートカ88番は、ヘンテコ建造物として有名なサルピ国境審査場の建物目の前が終点。
建物西側(海側)に出国審査場へと続く入口があります。
出国審査へと進む前に忘れないようにしたいのが、トイレ。
ジョージア側出国審査場にはトイレはなく、トルコ側の入国審査場を越えた先にしか設置されていません。
トルコ側の審査場はとにかく激混みするため、最悪の場合2時間近くトイレに行けないことも考えられます。
サルピ国境のジョージア側にはレストランや商店がいくつかあり、その奥(カジノ施設の裏手。標識アリ)に有料トイレ(1GEL=¥50)があるので、必ず用を済ませておくようにしましょう。▼
ジョージア側の出国審査場は、ブースが4ヶ所ほどあるだけのこぢんまりした空間。混雑はほとんどなく、待ち時間ゼロで審査官の待つブースに直行しました。
【追記】2023年11月
2023年11月のジョージア側出国審査場は、買い物帰りのトルコ人で大混雑。
自分の番が来るまで15分ほど並ばなければなりませんでした。
「去る者は追わず」の精神なのか、出国審査で念入りにチェックされることはあまりないのですが、この時の審査官はなぜかパスポートをしっかりとチェックしていました。
2分~3分に及ぶパスポートチェックのあと、審査官がひとこと。「こんなに長い間、ジョージアで何してたの?」と。
のぶよのジョージア滞在歴は、以下の3回。
・2020年1月:ジョージア初入国(1回目)
・2021年6月:ジョージア→アルメニアへ出国*
・2021年12月:アルメニア→ジョージアへ入国(2回目)
・2022年11月:ジョージア→トルコへ出国&トルコ→ジョージアへ再入国
・2023年11月:ジョージア→トルコへ出国しようとする
*コロナウイルスによるロックダウンの影響で、通常の滞在可能期間の1年間 + 半年間の滞在猶予が与えられた
合計で3年半ほど滞在していることになるのですが、かなりの長期間をジョージアで過ごしていることを疑問に(怪しく?)思われたようです。
とはいえ、別にやましいことは何もないので、「コロナ禍のロックダウンで出国できずに閉じ込められて、ジョージアが好きになって滞在している」と答えます。
この回答に納得したのかそうでないのかわからないような表情の審査官は、もうひとこと。
「トルコに何日間滞在するの?」と。
嘘をついても仕方がないので&別に日帰りでビザランしようと問題ないはずなので「今日またジョージアに戻って来る」と回答。
すると、苦笑いのような表情を浮かべた審査官はおもむろにスタンプを取り出し、ガチャン!!
合計で5分以上はかかったジョージアの出国審査が、これにて完了しました。
それにしても、まさか出国審査でこんなに質問されるとは思っていなかったのは事実。
本当のことを言うまでですし、スムーズに受け答えできたから良かったかもしれませんが、英語(かロシア語)がまったくできない人は確実に怪しまれるのではないかと思いました。(「しどろもどろになって嘘をつこうとしている」と捉えられかねないので)
【追記】2023年11月
2023年11月のジョージア出国は、なぜか1年前に比べてとてもスムーズでした。
長期間滞在していることに関して質問されることはなく、笑顔で対応してくれました。
これぞまさに、審査官次第。
まあ、出国審査は「去る者は追わず」精神なので引っかかることは稀だと思います。
なにはともあれ、これでジョージアの出国は完了。
審査場の奥に続く通路を歩いて、トルコ側の入国審査場へと向かいます。
③トルコ側入国審査
トルコ側の入国審査場でのぶよを待ち受けていたのは、百人以上に及ぶ人の波でした。
トルコ人向けのブースとそれ以外の国籍の外国人向けのブースの二つのレーンしかなく、外国人のレーンは長蛇の列。
並んでいる人の9割以上はジョージア人で、それ以外の外国人の姿はかなり少ないように感じました。
昨今のトルコの通貨暴落とジョージアの物価急騰により、これまではトルコ>ジョージアだった物価が逆転。2022年11月現在、アルコール類を除くありとあらゆる商品において、トルコの方がジョージアよりも安く購入できるのです。
そのため、割安感があるトルコ側に日帰りで渡航&買い物をしようと、バトゥミ周辺に住むジョージア人が殺到。国境審査の人手が追い付いていないようです。
ジョージア人たちは口々に文句を言いまくり、「早くしろ!」「もう1時間以上も待ってる!」と怒号がひっきりなしに飛び交う入国審査場(みんな勇気あるなあ…)、それに対しトルコ語で何やら怒鳴り返す審査官。「我先に!」と割り込んでくる恰幅の良すぎるジョージア人たち…
ジョージアという国の悪い部分を煮詰めまくったような空間で、ものすごいイライラを募らせながら、ただひたすら自分の番を待ちます。
待つこと、1時間半(!)…ようやくまわってきたトルコ入国審査は、あっけないほどに簡単なものでした。
ブースに設置されたカメラを見るように言われ、十秒もしないうちにスタンプががちゃん!
1時間半の待ち時間が夢だったのでは?と感じるほどスムーズに、トルコ入国です。(待ちくたびれてめっちゃくちゃ疲れたけれども…)
のぶよの場合は、2021年の6月~12月の5ヶ月間アルメニア(トルコと犬猿の仲)に滞在していたのですが、何一つ質問されることはありませんでした。
なんなら、アルメニアの出入国スタンプと同じページに、トルコの入国スタンプが押されていたくらいですから…もう仲良くしてくれたら良いのに…
【追記】2023年11月
2023年11月のトルコ側入国審査も相変わらずの混雑具合でした。
しかしながら、待っている人の多くはジョージア側で買い物を済ませて帰って来たトルコ人。
外国人用のレーンとトルコ人用のレーンがちゃんとわかれており、混雑の割に待ち時間はそこまで長くありませんでした。(30分くらい)
トルコの入国審査場を越えてすぐの場所には、免税店やカフェテリアが並んでいます。
免税店内は、安いタバコや香水を買い求めるジョージア人たちで溢れかえり、これまた阿鼻叫喚の地獄絵図。ほんと疲れる…
タバコは1カートン€11(=348TL=¥1796)~とかなり安く、ジョージア側の半額。
電化製品や香水、雑貨、ウォッカ等のアルコール類なども、ジョージアに比べるとかなり割安感がありました。そりゃあジョージア人がこれだけ国境に殺到するのも仕方のないことかも…
④サルプ(トルコ側国境の町)のようす【両替所/ATM/レストラン/商店】
免税店コーナーを抜け、簡易的な荷物検査を抜けた後は、いったん国境審査場の建物の外へと出ることになります。
トルコ側の国境の町はサルプ(Sarp)と呼ばれ、ジョージア側のサルピに比べるとかなり寂しい雰囲気。
車の数こそ多いものの、飲食店やスーパーマーケットの類はほとんどありません。
それもこれも、かつてはジョージアの方がトルコより物価が安かったから。ジョージアからわざわざトルコへ日帰りで買い物に来る人など存在しなったため、商店やレストランの需要もなかったのでしょう。
その物価水準が1年もしないうちに逆転してしまったのが現在の状況。
この二国の物価水準と人々の生活がどれほどおかしなことになっているか、如実に表れた風景だと感じました。
【追記】2023年11月
2023年11月のトルコ側は、以前に比べてやや活気を取り戻した感じがしました。
レストランは相変わらず1軒だけですが、商店や両替所が新しくオープンしており、以前に比べて旅行者にとっての利便性がややましになりました。
トルコ側・サルプの風景は、ジョージアとは異なる国に来たことを感じさせる雰囲気や風景でいっぱい。
国境を越えた旅行者を最初に出迎えてくれるのがサルプ・ジャーミィ(Sarp Camii)です。
サルプ・ジャーミィは、「ここから先はイスラム圏」と主張せんばかりに国境すぐそばに堂々と建つ、現役のモスクのこと。
エメラルドグリーンのタイルがびっしりと連なる内部の光景は、圧巻のひとことです。▼
サルプには、このモスク以外に目立った見どころはありません。
町(というか村?)には飲食店が1軒、小さな商店が2軒しか見当たらず、どうしようもなく寂れた雰囲気。
驚いたのが、まあまあ歩きまわったのに両替所やATMが一軒も見当たらなかった(かつての両替所が潰れているものはあった)こと。トルコ側で現金が必要な場合は、トルコ側国境審査場内の建物(免税店があるエリア)か、ジョージア側のサルピで両替しておくことを強くおすすめします。
【追記】2023年11月
2023年11月現在、トルコ側のサルプ国境には両替所が2か所新しくオープンしていました。
レートはそこまで悪くもなく良くもなく…といった感じですが、ドルやユーロ、ジョージアラリをトルコリラに両替できるのは大きなメリットでしょう。
また、トルコ側の国境審査場の建物入口付近には、トルコリラを引き出せるATMも設置されていました。▼
サルプ国境からホパやトラブゾンに向かうバスはトルコリラの現金しか受け付けていないため、必要な場合はここで両替/引き出しを済ませておきましょう。
サルプでは特にやることもないので、このままジョージアへととんぼ返りしても良いのですが、ここはトルコ。
せっかく来たわけなので、本場のトルコ料理を食べていくのが義理というものでしょう!
国境審査場の建物すぐそばにある飲食店は、「ロカンタ」(Lokanta)と呼ばれるトルコの大衆食堂スタイルのお店。
ショーケース内に出来合いの料理が並び、ピデ(トルコ風ピザ)を焼くための専用の窯も。トルコに来たことを実感して感動します。
観光客向けの店というよりも、出国審査待ちのトルコ人ドライバーが腹を満たしていく場所といったローカルな雰囲気でした。
お店の人にはトルコ語以外いっさい通じないのも、THE・トルコな感じ。
メニューや料金表はいっさいなく、言い値が基本となるトルコらしい文化にも要注意です。
こちらが外国人だとみるとまずふっかけてくるので(最初50TLと言われたのが30TLに下がった)、注文前の料金確認は絶対にお忘れなく。
味は(意外にも)なかなか美味しかったですし、こんな国境に一軒あるだけの殿様商売の極みのような店なのに、ジョージアの一般的な外食費よりも割安だったことにもびっくりしました。
お会計はクレジットカード/デビットカードでも可能なので、わざわざトルコリラに両替する必要がない点も嬉しいです。
復路:トルコ→ジョージアの国境越え
⑤トルコ側出国審査
つかの間のトルコ滞在を満喫したあとは、いよいよジョージアへと戻るとき。
トルコ側の出国審査場へと続く入口を進んでいきます。
▲ 途中には青い看板に”Cash-Visa”と書かれたオフィスがあり、”150TL”と貼り出されています。
「え?ビザ必要なの?」と一瞬思ってしまいますが、これはトルコ人に向けたジョージアのビザ申請&手数料支払いのためのスペース。
日本のパスポートを持っている場合は、ジョージア入国にビザは必要ないので、このオフィスは関係なし。華麗にスルーしてOKです。(ほんと、先人に感謝)
トルコ側の出国審査場は、まあまあの混雑といった感じ。
とはいえ、トルコの入国審査場の混雑に比べればかわいいものです。
待ち時間15分ほどで順番がまわって来て、特に何を質問されることもなくスタンプがガチャン!
「トルコってこんなに出入国が簡単な国だったっけ…?」と拍子抜けしてしまうほどに、入国/出国のいずれもスムーズでした。
トルコ側の出国審査をぬけた先には、免税店とともに無料のトイレがあるのでぜひ利用しておきましょう。
時間帯によっては(特に日帰りの買い物客が戻る午後~夕方にかけて)、この先のジョージア側入国審査場でかなりの混雑が予想されます。ジョージア側にはトイレが見当たらなかったので、ここが用を足す最後のチャンスとなるかも…
【追記】2023年11月
トルコ側の出国審査を終え、長い廊下をジョージア側の入国審査場へと歩いていく途中にトイレが設置されていました!
⑥ジョージア側入国審査
トルコ側の出国審査場からジョージア側の入国審査場にかけての通路は、なかなかのカオス具合でした。
・免税範囲内(1人1カートンまで)を越えて購入したタバコをジョージア側へ持ち運んでもらおうと、誰彼かまわず声をかけまくるおばさん
・トルコで購入した服や商品を交換し合う人たち(地べたで)
・免税範囲を越えて購入したウォッカをジョージア入国前に消費するおじさん軍団
こんな感じ。あの…治安大丈夫そ…?
相変わらずの世紀末な雰囲気の長~い通路を歩き続けた先にあるのが、ジョージア側の入国審査場。
出国審査場と同様に、ブースが4ヶ所あるだけの小さな空間です。
この時は午後3時頃でしたが、人の姿はまばら。
ただ、夕方以降は買い物帰りのジョージア人で大混雑となることもあると思います。
【追記】2023年11月
2023年11月のジョージア側入国審査場は、これからジョージア側へ買い物に行くトルコ人とトルコで買い物を済ませて戻ってきたジョージア人で大混雑していました。
とにかく!ここが、今回のビザラン最後の関門です!
審査官のおばさんお姉さんは、のぶよの「ガマルチョバ」にも眉一つ動かさない安定の無愛想さ。
こちらの顔を一瞥した後は、パラパラとパスポートのページをめくっては指を止めている様子…どうやら、過去のジョージアの出入国スタンプがあるページを念入りにチェックしているようです。
その間、質問はゼロ。
じっくりとパスポートをチェックしていたお姉さんが、いきなりスマホでどこかに電話し出しました。
「え、なに…これはまさか別室送りコースか…?」と思っていたのぶよに、おばさんお姉さんがひとこと。
「あなた、ジョージアのResidence Cardは持ってる?」
…いやいや、そんなもの持っていません。ビザや在留カード等なしの観光客として最大1年間滞在できるのがジョージアという国なわけですから。
「レジデンスカードがない」というのぶよの回答に満足したのかどうかは不明なものの、再び黙り込んで鋭い目つきでパスポートのチェックに入るおばさんお姉さん。
再度スマホを取り出して、どこかに電話をしはじめます。
もういいって…ほんと早くしてや、おばさん…
いったい何が問題なのかもわからぬまま、待たされること10分ほど。
何一つ言葉を発しないまま、おばさんはスタンプを取り出し、ガシャン!
あまりに唐突の「ガシャン!」だったので(&別室行きを覚悟しはじめていたので)、謎の挙動をとってしまったのぶよ。
それを見たおばさんは、ようやく微笑んでくれました。
ありがとう!おb…お姉さん!
【追記】2023年11月
1年前の時点でなかなか厳しい感じだったジョージア側の入国審査ですが、2023年11月現在はさらに厳しくなっている印象でした。
一人ひとりのパスポート写真と顔を念入りに見比べたり、外国人の場合はいくつか質問を受けて時間をかけて審査していました。
のぶよの場合は若い女性審査官だったのですが、奥で待機している上司らしきおじさんを呼んで列から外れて待たされる始末。
パスポートを持ってどこか(奥のオフィス?)に消えたおじさん審査官を待つこと15分ほど。
戻ってきたおじさん審査官は「なんでこんなに長いことジョージアにいたんだ」「レジデンスカードを取れ」などと言ってきます。(だから、レジデンスカードなしでも滞在できるからこうしてビザランしてるんだっつうの…!)
しまいには、「今回は入れてあげるけど、次回国境を行って帰ったらもしかしたらプロブレムになるかもね」と言って、パスポートを返してもらい、おじさん審査官はさっそうと去っていきました。
時間はかかったものの、別室行きなどにはならず無事に入国できたので良かったですが、ここまで審査が厳しくなっているとは…
「ジョージア=ビザランでずっと滞在できる」というのは、だんだんと過去の話になってきている印象を強く受けました。
気が気でなかった十数分の入国審査。それを抜けた先には、数時間前までと同じ、安定のジョージア感あふれる光景が広がっていました。
トルコ側で国境審査場すぐそばに建つモスクに異国情緒を感じたように、ジョージアに入国した人が初めて見る光景がこれなわけで、立派な異国情緒(?)が漂っているのかも。
のぶよの場合はもう慣れっこになっているので何も感じませんでしたが、初ジョージアの旅行者や久しぶりにジョージアに来た旅行者は、この光景を見て「うぉぉ…!ジョージア来た…!」と感じるものなのでしょうか。
⑦サルピ国境→バトゥミ市内へ移動
無事にジョージア再入国を果たしたら、あとはサルピ国境からバトゥミ中心街へと戻るだけ。
行きと同様に、路線バス16番とマルシュルートカ88番の二つの公共交通手段が利用可能です。
…が。悪いことは言いません。マルシュルートカ88番を利用しましょう。
元来どケチなののぶよは運賃が安い路線バス16番を利用したのですが、これが恐ろしいほどの混雑でした。
人の数はもちろんものすごいのですが、多くの乗客がトルコ側での買い物帰りで、大量の荷物を持っていたのが原因。それこそ、足の踏み場もないほどでした。
お年寄りの乗客も多いので、まず自分が座るという選択肢はなし。路線バスの運転は鬼のように荒く、車内は人口密度300%越え…そんなエクストリームおしくらまんじゅう状態が40分以上も続くのです。
マルシュルートカ88番であれば、大きすぎる荷物を持っての乗車ができないこともあり、比較的混雑はましであるよう。
なによりも、マルシュルートカなら確実に座って移動できるのがメリット。
路線バスに比べると割高ではありますが、背に腹は代えられません…
【追記】2023年11月
2023年11月のサルピ国境→バトゥミ中心街方面の路線バス16番は、1年前に比べてだいぶ混雑がましになっていました。
トルコ側へ買い物に行くジョージア人の数が大幅に減ったため、大荷物を持って乗車してくる人の姿もなし。
ガラガラというわけではないものの、まあ普通に快適に利用できる程度の混雑だったので、格安でバトゥミまで行きたいなら利用するのもアリかもしれません。
ジョージアからトルコ側へ抜ける場合
日帰りのビザランではなく、ジョージア出国後にトルコへそのまま抜ける場合や、数日間トルコに滞在してからジョージアに戻ろうと考えている人もいるのではないでしょうか。
いずれにしても、トルコ側の国境の町・サルプ(Sarp)には、ほぼ何もありません。
そのため、トルコ側の宿泊拠点としては、少し先にあるホパ(Hopa)の村や大都市トラブゾン(Trabzon)まで足を運ぶ必要があります。
ホパ / トラブゾンのいずれの町にもサルプ国境からバスが出ているので、移動には何の問題もありません。
いずれのバスも、トルコ側の国境審査場の建物を出て50mほど歩いたところにあるモスク付近のバス停からの発着です。
・サルプ~ホパ:所要時間20分 / 20TL(=¥150) →38TL(=¥196)
・サルプ~トラブゾン:所要時間4時間 / 130TL(=¥970) →250TL(=¥1289)
※斜線の料金は2022年11月 / 赤字の料金は2023年11月現在のもの
バスの運賃は、トルコの通貨・リラの現金のみでの支払いとなる点に要注意。
クレジットカード等は使用不可&ジョージアラリでの支払いも不可とのことでした。
ジョージアでビザランをした感想&アドバイス
ここまで、ジョージアのビザランの実体験をレポートしてきました。
すでに解説した通り、サルピ国境はなかなかのカオス具合であり、出入国審査の厳しさは係員のさじ加減やジョージア滞在暦などさまざまな要因によって変わってきます。
ここでは、実際にジョージア~トルコ間をビザランしようとしている人向けに、のぶよからのアドバイスをいくつか。
個人的に感じたことも含めて、シェアしていきます!
とにかく時間に余裕を持って!
すでに触れてきた通り、2023年11月現在のジョージア~トルコ間の国境は大混雑の極みです。
今回ビザランに使用したサルピ国境は、もともと人や物の行き来が多いことで知られていました。
それが、近年のトルコ/ジョージア両国を取り巻く環境によって、以前にも増して大忙しとなっています。
のぶよの場合は、平日の昼12時頃に国境越えをスタートしましたが、かかった時間は以下の通りでした。
・2022年11月→行き(ジョージア→トルコ):約2時間 / 帰り(トルコ→ジョージア):約40分
・2023年11月→行き(ジョージア→トルコ):約1時間15分 / 帰り(トルコ→ジョージア):約45分
時間帯によっては、行きよりも帰りの方が混雑する場合があったり、これ以上に長い時間がかかる場合も考えられます。
ジョージア~トルコ間をビザランしようと考えている人は、とにかく時間に余裕を持って挑みましょう。
もしくは、比較的混雑がましなジョージア~アルメニア間の国境(サダフロ国境)を利用するのも一つの手です。
ジョージアの入国審査は年々厳しくなっている
これまでのジョージアの出入国は、とにかくゆるゆるであったと言われていました。
ジョージアが外国人観光客向けの入国・滞在条件を緩和し、多くの国籍保持者が最大1年間の滞在が可能となったのが2015年のこと。
それから2019年頃までは、とにかく出国も入国も簡単でスムーズだったという話は、よく耳にします。(「オーバーステイしたけど少額の罰金さえ払えばまた入国できた!どうだすごいだろ!えっへん!」なんて馬鹿な外国人もちらほら居たくらい)
しかしながら、2020年3月から2022年6月にかけての長期間、国境の閉鎖や国境管理の厳格化(ワクチン証明やPCR検査の提示等)が行われたジョージア。
その期間の名残なのかは定かではありませんが、パスポートのみでの出入国が再び可能になった2022年11月現在、出入国審査が以前に比べて格段に厳しくなっている印象を持ちました。
カナダ~アメリカであったり、タイ~カンボジアであったり…かつて「簡単にビザランできる!ビザランしつづければ一生いられる!」として旅行者の間で知られていた国境での審査が厳しくなったり、ある日突然のルール変更によりビザランという行為自体が不可能とされることは、世界中いくらでも前例があること。
ジョージアの場合も、「1年間滞在後、一度出国して再入国すればまた一年間滞在できる」という現行の制度は、徐々に変化していく/審査がさらに厳しくなる可能性は低くはありません。
ある日突然「1年間滞在後すぐの再入国は不可」等に変更される可能性だって、ゼロとは言えませんよね。
今回のビザラン経験で、ジョージア側の出入国審査が厳しくなっていることを肌で感じるとともに、「今の寛大な出入国制度が永遠に続くわけではない」という当たり前すぎる点を再認識することができました。
【追記】2023年11月
先述した通り、2023年11月現在のジョージア側の入国審査はさらに厳しくなっていた印象。
初めてジョージアに渡航する場合などは、いくつか質問されるくらいでまず問題ないでしょうが、ジョージアへの出入国回数が多ければ多いほど&滞在期間が長ければ長いほどに審査が厳しくなり時間がかかるものだと思っておきましょう。(ひとことで言うなら「怪しまれる」)
個人的に感じたことは、日帰りで出国&再入国を済ませるビザランという行為が、審査官側の印象をやや悪くしている印象。
とはいえ、ビザランをする旅行者側はルールに則って出入国をしているわけなので、やましいことは何もありません。
とはいえ、できる限り問題なく&怪しまれることなくジョージアへ再入国したい場合は、同日に出国と入国を済ませるのは避けるべき。
いったんジョージアを出国→隣国で数週間ほど過ごす→ジョージアへ再入国という流れの方が怪しまれる確率が格段に下がると思います。
ジョージアをがっつり長期で旅するなら、今がチャンスかも…?
というわけで、「ジョージアである程度の期間のんびり滞在したい」「ビザのことを気にせず、ジョージア旅行・滞在を気の済むまで楽しみたい」などと考えている人は、できるだけ早く来たほうが良いです!
ここ1、2年のジョージアの物価の急騰は恐ろしいものがありますし、急激すぎる観光地化の波に関しても、思うところはあります。
しかしながら、この国に元来から存在してきた純粋な魅力が消えてしまったわけではありません。
ジョージアはEU加盟を目指しており、2023年11月にはEU加盟候補国として立候補する権利が認められることになりました。(とはいえ、EU加盟したわけではなく、まだ先行きは不透明)
EU加盟に際する条件の一つとして、まず間違いなく1年間滞在可能という現在のシステムは変更されるはず。(シェンゲン協定などで外国人に最大90日間の滞在しか許可していないEU諸国が多い中で、ジョージアだけ1年間の滞在を許可しつづけるなんてまず無理でしょうし)
つまり、現状の出入国システムが急に変更される可能性だって少なからずあるのです。
先のことばかりは誰にもわかりませんが、今ならまだそうした制限はなし。
のぶよはジョージアという国が好きですし、長いことお世話になっているので、どうかこの小さな国の魅力をじっくりと味わおうと来る人が増えれば良いなあと切に願っています。
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