こんにちは!アルバニアに1ヶ月滞在した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
「日本人の99%が死ぬまで訪れない国」
なんて不名誉なキャッチフレーズで話題のアルバニア。
日本から遠く、直行便もないアクセスの不便さがネックとなっているのはもちろんですが、一番の理由はそのイメージの悪さ、そして知名度の低さではないでしょうか。
私たち日本人の世界の地理に関する知識には大いに問題があるとは思います。
(ポルトガル在住だったのぶよですが、「ポルトガルってアフリカだよね?予防接種とか受けた?」なんて聞かれたのは片手に収まらないほど)
しかし、アルバニアの存在を知っている人でも、「アルバニア」と聞いて良いイメージを持つ人はかなり少ないはず。
というのも、長く続いた共産主義時代の鎖国状態や、ねずみ講事件による経済破綻と暴動など、20世紀後半のアルバニアは正直迷走していたためです。
そんな暗黒時代も終わりをつげ、近年は旅行者に対してオープンになっってきているアルバニア。
「ヨーロッパ最後の秘境」として、通の旅行者の間で徐々に人気の旅行先となってきています。
ヨーロッパ人の間でも決してイメージが良いとは言えないアルバニア。
その実際の治安はどうなのでしょうか。
のぶよは1ヶ月アルバニアに滞在し、ほぼ全土をまわりました。
そんな経験から、アルバニア各都市の治安と、安全に旅行するためのアドバイスを解説していきます。
結論から先に言うと、アルバニアは完全に安全に旅行できる国です。
西ヨーロッパの大都市(パリ、ローマ、マドリード)なんかよりずっと安全だと思います。
一人でも多くの人のアルバニアに対するイメージを変えることができますように…!
アルバニア各都市の治安
ティラナの治安
アルバニアの首都・ティラナは、共産主義時代の町並みを色濃く残すアルバニア最大の町。
大都市ではあるものの、ティラナの治安は悪くありません。
中心街は夜遅くまで多くの人で賑わっており、女性の一人歩きでも問題ないほど。
スリや強盗被害も、ヨーロッパの大都市と比べると格段に少ないそうで、安全に観光を楽しむことができます。
ただし、2019年春に起こった政府の政策に対するデモの影響は未だに小さくないようで、ヨーロッパ諸国の大使館は自国民に注意を呼びかけています。
のぶよがティラナに滞在した2019年7月~8月にはデモの影響は全く感じられず、その雑多な雰囲気とは裏腹にヨーロッパ有数の安全な街だと感じました。
シュコドラの治安
アルバニア北部の経済・文化の中心であるシュコドラ(Shkodër)。
モンテネグロやコソボからアルバニアにやって来た旅行者にとっては、アルバニアのゲートウェイとなる町です。
アルバニア第五の都市であるシュコドラですが、町に漂う雰囲気はかなりレトロでのんびり。
治安も全く悪くありません。
アルバニアの他の都市と同様に、雑然とした雰囲気はあるものの、夜に一人で出歩いても全く問題ないほど。
むしろ、灼熱の昼間よりも夜の方が活気があるのがシュコドラ。
どこかアジアを感じさせるエネルギーに満ちた、居心地の良い町です。
シュコドラで注意か必要なのは、町をうろつく野犬。
アルバニアの他の都市に比べて、かなり多くの野犬が中心街をうろうろしていました。
町も何もしていないわけではなく、野犬の耳にタグをつけて管理しようとしているようです。
しかし全ての野犬を管理しきれているわけではなく、タグを付けていない野犬を見かけることも多くありました。
デュラスの治安
ティラナから最も近いビーチリゾートであり、港湾都市でもあるデュラス(Durrës)。
海に面した開放的な雰囲気のデュラスも完全に安全な雰囲気でした。
他のアルバニアの都市同様に、夜遅くまで多くの人が町を歩いているので、一人歩きでも不安を感じることは少ないでしょう。
ヴローラの治安
南アルバニアへの入口であり、海を隔てたイタリアへのフェリーが発着する港町・ヴローラ(Vlorë)。
夏場はリゾート地としての性格が強くなり、アルバニア中から多くの人がバケーションに訪れます。
そんなヴローラの治安も全く問題なし。
リゾート感が強いビーチエリアは完全に安全ですし、市内北部の住宅地エリアも静かで落ち着いた雰囲気です。
サランダの治安
アルバニアの都市で唯一、治安に?マークがつくのが、南部アルバニア観光の拠点となる都市・サランダ(Sarandë)。
ギリシャ領のコルフ島が目と鼻の先に見えるサランダは、ギリシャから多くのリゾート客が日帰りで訪れる町です。
国境の町でもあるサランダには、いろいろな種類の人やものが集まってきます。
なにしろ、隣国は出入国管理のずさんさで有名なギリシャですから(笑)
サランダの中心街には物乞いや薬物を売るような人の姿が多く見られます。
特に胡散臭い雰囲気なのが、他都市へのバスステーション的な役割になっている友情公園(Friendship Park)内。
公園内を歩いていると、怪しげな人に声をかけられることも多かったです。
リゾート客であふれるビーチエリアや、多くのホステルやゲストハウスが位置する丘の斜面エリアに関しては治安に問題ありません。
アルバニアを安全&快適に旅行するためのアドバイス
共産主義、マフィア、鎖国などネガティブなイメージばかりが先行するアルバニアですが、実際には治安はかなり良い国だと言えます。
入国前こそビクビクしていたのぶよですが、1ヶ月間で危険を感じたことは一度もありませんでした。
むしろ色々な人間が集まる西ローロッパの大都市のほうが、犯罪に遭遇するリスクが高いかもしれません。
しかしながら、決して裕福な国ではないアルバニアでは、旅行者を狙った窃盗や詐欺などの軽犯罪も少なからず存在します。
また、治安とは直接関係ないものの、交通事故や野犬に襲われる被害も報告されているようなので注意が必要です。
ここからは、
安全&快適にアルバニアを旅行するための注意点
アルバニア旅行の際のアドバイス
について解説していきます。
アルバニア旅行の注意点:野犬には注意
アルバニアにはかなりの数の野犬がいます。
ウクライナやモルドバなどでも野犬は多くいましたが、そんなの比ではないほどに。
特に北部のシュコドラでは、その数にびっくりさせられました。
野犬の中には、町で管理されている証のタグを耳につけられているものもいますが、多くの野犬はそうでないものばかり。
こちらから何かしない限り襲われる可能性は少ないですが、むやみに近寄ったり触れたりするのは控えましょう。
アルバニア旅行の注意点:車には要注意
アルバニア、特に首都のティラナは運転マナーが悪く、渋滞がひどいことで有名です。
歩行者や自転車の権利なんてお構いなし。
とにかくものすごい運転の仕方をしてくるので、「ひかれそうになった」なんて話もよく耳にするほど。
アルバニアのドライバーには、横断歩道を渡ろうとしている歩行者に道を譲ってくれる人はほとんど皆無です。
また、曲がる際にウィンカーを出すこともないので、急に車が曲がってくることも考えられます。
歩行者優先であることを当然と思わず、道路を渡る際などは細心の注意を払いましょう。
アルバニア旅行の注意点:料金の確認は絶対に事前にする
アルバニアは、隣国のモンテネグロ同様にぼったくり文化に覆われた国。
こちらが観光客であるとわかると、まず地元の人と同じ料金で買い物したり交通手段を利用することは不可能です。
とは言っても、金額を倍にしたりということはなく、あくまでも数十円~数百円程度上乗せした金額を言ってくるというもの。
アルバニアのぼったくり文化で厄介なのは、向こうに悪気がない点でしょう。
「自分たちよりお金がある観光客は多く払って当然」とでも言うように、笑顔でぼったくってきます。
のぶよ的には「それも含めてアルバニア旅の面白さの一つ」と割り切ってしまうのが良いと思います。
どうしてもぼったくりに遭いたくないなら、値段が既に表記されているスーパーマーケットでの買い物や、メニューと料金を表示しているレストランを利用するのがいいでしょう。
値段が書かれていないもの、特に長距離バスやタクシーを利用する際は、必ず利用前に料金を確認しましょう。
また、メニューがあるレストランでも、地元の人用のアルバニア語のメニューと観光客用の英語メニューを用意している場合もあります。
英語メニューは料金が上乗せして書かれているのは言わずもがな。
アルバニア旅行のアドバイス:場合によってはユーロ払いの方がお得なことも
アルバニアの通貨はレク(Lekë)なのですが、モンテネグロ・コソボ・ギリシャのユーロ圏に囲まれているためかユーロもかなり流通しています。
こればかりは為替によるのですが、場合によってはレクで払うよりユーロで払ったほうがお得なこともしばしばあります。
のぶよが訪れた2019年7月は€1=121Lekほどだったのですが、多くの場所でユーロ払いの際には€1=125Lekで計算されていました。
つまり、正式な通貨であるレクで払うと、なぜか少し損をしてしまうということ。
小さな違いではあるものの、塵も積もれば。
大きな額をまとめて支払う場合はユーロの方がお得かもしれませんね。
アルバニア旅行のアドバイス:アルバニアの歴史を知っておく
アルバニア人は、自分たちのルーツや国の歴史に誇りを持っている人がかなり多いです。
(事実、アルバニアはヨーロッパで最も古い国の一つだそう)
街のいたるところで、双頭の鷲がデザインされたアルバニア国旗を見ることができます。
そんなアルバニア人はやたら観光客に話しかけてくるのですが、その第一声は「アルバニアはどうだ?好きか?」ということがほとんど。
もはや嫌いだなんて口が裂けても言える雰囲気ではありません(笑)
そんな時、アルバニアで訪れた観光地の名前やアルバニアの歴史上の人物の名前を言うと、びっくりするくらいに喜ばれます。
ただし、みんなが平和に暮らしていた共産主義時代を懐かしむ人も多い旧ユーゴスラビア諸国とは異なり、多くのアルバニア人にとって、恐怖政治が敷かれた共産主義時代は黒歴史。
当時の共産党トップてあったエンヴェル・ホシャは、名前を出して喜ばれる人物ではないのでご注意を。
アルバニアの英雄・スカンデルベグだけでも知っておけば、とりあえずはOKです。
アルバニア旅行のアドバイス:コソボ、セルビアの話題はタブー
バルカン諸国には多くのタブーが存在しているのですが、ここアルバニアでもそれは同じ。
特に、コソボ問題において激しく対立することになったセルビアとの関係は未だに険悪です。
そもそもはアルバニアの一部で、アルバニア人の居住地(現在でも)であったコソボ。
1912年、オスマン帝国からのアルバニア独立時に、西側諸国の圧力によってコソボはセルビアに分割されてしまったのですが、アルバニアではいまだに「コソボはアルバニア人のもの」と信じている人がほとんど。
アルバニア人の間では、住人のほとんどがアルバニア系であり、文化・言語が同じコソボとの同胞意識がとても強いのです。
一方のセルビアからすると、セルビア正教の聖地があるコソボは、中世まで歴史を辿ればセルビアのもの。
いくらアルバニア系住民が多く住んでいようとも、コソボを失うということはセルビアという国の信仰の柱を失うこととなります。
というわけで、セルビアはコソボを自国の一地域と認識しており、コソボ内の多数派であるアルバニア人とアルバニア本国と対立しているのです。
ご覧の通り、一筋縄でいかないコソボ問題。
アルバニア人の前でコソボを話題に出すと、コソボがいかにアルバニア人のものであるのか力説されることになります。
また、セルビアに関する話題も避けたほうが無難。
のぶよ的にはセルビアはバルカン諸国で一番のお気に入りの国なのですが、そんなことアルバニア人に言ったところで気分を害されてしまうこと間違いありません。
なにしろ、本当にものすごい勢いで嫌っていますから。
アルバニア旅行のアドバイス:女性の一人旅は注目の的
長きにわたってイスラム教の国であるオスマン帝国の支配に置かれたアルバニア。
イスラム圏は伝統的にかなりの男性社会で、イスラム色がかなり薄いアルバニアにおいてもその傾向は変わりません。
地元のカフェの店内に目を向けると一目瞭然なのですが、女性客の姿を見かけることはほとんどありません。
暇そうなおじさんや若い男連れが、昼間からビールを飲みながらタバコをぷかぷかさせています。
他の元オスマン帝国領のバルカン諸国(モンテネグロ、ボスニアなど)では、観光業の発展とともに、女性一人旅や女性バックパッカーも受け入れられてきているのですが、アルバニアではまだまだ目立つ存在。
道を歩いているだけで凝視されるのはもちろん、女性一人でレストランやカフェに入るとなるとかなり勇気がいるかと思います。
とは言っても、何かされたり不快になることを言われたりすることは稀。
先述の通り、アルバニアは女性一人でも安全に旅行できる国です。
あなたが女性であるなら、地元の人々の好奇の目を浴びることへの覚悟は少々必要かもしれませんが。
開き直って、有名人になった気分を味わってみるのも悪くないかもしれません(笑)
おわりに:アルバニア旅の魅力とは
アルバニアと聞くと、多くの人が危険なイメージを持っているのは事実。
のぶよの友人(フランス人)でさえ、「今アルバニアにいる」と言うと、「え、大丈夫なの?」と心配してくるほど。
しかし、「アルバニアは危ない国だ」と言う人は、確実にアルバニアに行ったことはないでしょう。
過去のイメージだけでそう考えているだけです。
ようやく観光業にスポットライトが当てられつつあるアルバニア。
ですが、移動手段の複雑さや根強いぼったくり文化など、快適サクサク旅行できる国ではまだまたありません。
しかし、旅している実感が強く得られるのもアルバニアの魅力。
こればかりは、欧米のインフラが整備された観光地では味わえないものです。
百聞は一見に如かず。
素晴らしい大自然と歴史ある美しい町の数々、そして何よりも人懐っこい人達に出会える、素敵な国・アルバニアを死ぬまでに訪れる、たった1%の日本人の仲間入りをしてみては?
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