というわけで、ここからが本番。
2回のアルメニア滞在で食べたもの・飲んだもの合計100品を、一挙公開していきます!
それぞれの料理の予算や食べられるお店情報も分かる限り掲載しているので、実際にアルメニアをグルメ旅する人の役に立つはず!
アルメニア料理:スープ類

前菜としても、パンと一緒に食べるメインとしても愛されるスープ料理。
アルメニア語でスープは「アプール」と呼ばれ、○○アプールとつく料理は全て「○○のスープ」という意味になります。
地方や各家庭によって、材料や味付けが大きく変わってくるのも面白いところ。
シンプルながらも奥が深いスープ料理には、アルメニアの「美味しい!」がギュッと詰まっています。
スパス 定番!

アルメニアのスープ料理の定番中の定番が、スパス(Spas / Սպաս)。
ヨーグルトとハーブのバタースープで、温かい状態で提供されます。
ほのかな酸味とバターのコク、ハーブのフレッシュな味わいが混ざったスパスは、アルメニア全土で愛される国民食。
お店によっては「タナプール」(Tanapur / Թանապուր)と表記されている場合もありますが、基本的に同じものです。
・予算:700AMD(=¥280)
・お店:基本的にどこでも。のぶよが食べたのは、ヴァナゾルの”Hayeni cafe”でした。
マンティ・タナプーロフ おすすめ!

①スパスの進化版スープが、マンティ・タナプーロフ(Manti tanapurov / Մանթի թանապուրով)。
ヨーグルトとハーブのスープに、マンティというアルメニアのミニ餃子がたっぷりと入っています。

アルメニアのマンティはオーブンで焼いて調理されるのが独特で、カリカリ&サクサクの餃子とヨーグルトスープの相性は抜群。
アルメニアらしさが詰まった心温まる味わいのスープ、ぜひ挑戦してみてください!
・予算:1150AMD(=¥460)
・お店:エレバンのZatar Pizzaで食べました。
アヴェルーク

「アルメニアの雑草のスープ」がアヴェルーク(Aveluk / ավելուկ)。
日本語名では「ギシギシ」と呼ばれるアヴェルークという草を、トマトとチキンブイヨンのスープで煮込んだものです。
「え…?雑草のスープ…?」と思うでしょう。(のぶよも思いました)
確かに、アヴェルークはかなりエグみや酸味が強く、しっかりアク抜きをしないと美味しく食べられません。
好き嫌いが分かれる味だと思いますが、のぶよは好きでした。

春~夏にかけてその辺の野原にアヴェルークを採りにいくのは、アルメニア地方部の典型的なアクティビティーなのだとか(本当だろうか…)
余ったアヴェルークは天日干しにして、いつでもお湯で戻せる状態にしておくそう。
冬場の貴重なビタミン源となる食材で、商店や市場でも「しめ縄」のような状態の乾燥アヴェルークがよく売られています。
・予算:600AMD(=¥240)~
・お店:エレバンのエレバンのQarvansaraにて。
アヌシャプール

アルメニアの年末年始の定番といえば、アヌシャプール(Anushapur / Անուշապուր)。
ドライフルーツをふんだんに用いた甘いスープで、バターで炒めた刻み玉ねぎとお米にお湯を入れ、大量の砂糖を投入…という豪快な料理です。

日本人的には「お米とフルーツが入った甘いスープ」の意味がわからないかもしれませんが、これが意外とイケます。
例えるなら、「温かいフルーツポンチ」といった感じ。(果たしてこの表現で食欲をそそるのだろうか…)
ブドウやアプリコットなどのドライフルーツがお湯を吸ってみずみずしさを取り戻し、フレッシュなフルーツの食感が楽しめるのです。
こちらも冬場の貴重なビタミン源であるのは言わずもがな。
アルメニアの保存食文化の結晶だと思います。
・予算:500AMD(=¥200)
・お店:アラヴェルディの“Atorik”で食べられます。
パンロヴァプール

アルメニアに来たなら絶対に食べてほしいのが、チーズのスープであるパンロヴァプール(Panlov apur/Պանլով ապուր)。
たっぷりのチーズと牛乳を火にかけ、細かく切った玉ねぎやじゃがいもなどの野菜を加えたスープです。

パンロヴァプールのお味は、おそらく皆さんが想像している通りの絶品。
たっぷりと入ったチーズの濃厚なコクと風味が口の中いっぱいに広がり、「飲むチーズ」さながらの奥深さに驚くはずです。
言わずもがな、パンとの相性は抜群。
これ一品でも立派なメインを張れるほどですし、割安で食べられるのでぜひとも!
・予算:900AMD(=¥360)
・お店:エレバンのSAS FOODCOURTのおすすめメニューです!
コロラコヴァプール

アルメニア全国津々浦々で食されるコロラコヴァプール(Kololakov apur/Կոլոլակով ապուր)は、コロリク(肉団子)をメインの具材にしたスープ。
ブイヨンは鶏をじっくり煮込んだものが使用されるのが一般的で、奥深い鶏の旨味と鶏油の芳醇な風味がとても美味しいです。


存在感のあるコロリク(肉団子)は、こちらも鶏ひき肉が使用されるのが定番。
お米やハーブ、みじん切りにした玉ねぎとともに丸く成形されており、優しい味わいが染み渡ります。
コロラコヴァプールはアルメニア料理の基本に忠実に、塩気控えめでかなりあっさりした味わい。
鶏本来の美味しさを存分に味わうことができます。
・予算:1000AMD(=¥400)
・お店:エレバンのKamurjにて
ブロッコリーのクリームスープ

カフェ飯の定番ポジションとして定着しつつあるのが、野菜と牛乳を合わせたクリームスープ類。
キノコやカリフラワーなどさまざまなバリエーションがありますが、のぶよ個人的に好きなのがブロッコリーのクリームスープ(Brokoliov krem apur/Բրոկոլիով կրեմ ապուր)です。

ねっとりとした口当たりのスープは、ブロッコリーの風味が150%染み出した奥深い味わい。
青臭さはまったくなく、クリーミーなコクと優しい味付けがクセになります。
クリームスープにはクルトンをお好みで入れて食べるのもポピュラー。
どこのカフェも自家製クルトンを提供しており、ニンニクの風味が効いた味わいがクリーミーなスープとよく合います。
・予算:1000AMD(=¥400)
・お店:エレバンのteakにて
ひよこ豆ピリ辛スープ

アルメニア料理ではひよこ豆をよく使いますが、スープ類でも例外ではありません。
のぶよ的に至極の一品が、ひよこ豆のピリ辛スープ(Olorrov ktsu apur/Ոլոռով կծու ապուր)です。
肉はいっさい使用されておらず、ひよこ豆と各種香味野菜を煮込んだベジタリアンな一品。
肉のエキスが入っていないとは信じられないほどに、深い味わいとひよこ豆の風味が前面に出ています。

そして料理名の通り、スープはややピリ辛な味付けなのが特徴的。
この辛さはスパイスではなく、最初に各種野菜を炒める際に青唐辛子を加えることで、辛みを引き出しているのだそうです。
・予算:850AMD(=¥340)
・お店:エレバンのteakにて
ヴォスパプール おすすめ!

アルメニア風スープカレーのような位置づけのヴォスパプール (Vospapur / Ոսպապուր)は、レンズ豆とほうれん草、ドライフルーツが入った冬の味覚です。
カレーと言いつつも、使用するスパイスはクミンただ一つ。
トマトペーストや各種野菜でコクを出し、大量のハーブで味を調えるのです。

夏場は水の量多め&ニンニクを入れないあっさりスープとして、冬場は水の量少なめ&ニンニクを入れた煮込み料理として食べられることも多いそう。
ラヴァシュと一緒に食べるのが定番ですが、個人的には冬バージョンのヴォスパプールはご飯との相性も抜群だと思います。
・予算:800AMD(=¥320)
・お店:アラヴェルディの“Atorik”で食べられます。
コンチョル

アルメニア人の間でも好き嫌いがはっきり分かれるのが、コンチョル(Konchol/կոնչոլ)。
コンチョルとは、パンに炒めた玉ねぎやニンニクをまぶして溶き卵をかけ、お湯をぶっかけて仕上げた「パンのスープ」のような謎料理。
アルメニア北部のロリ地方の郷土料理とされ、硬くなったパンを美味しく食べようとした人々の知恵が生み出したものです。
家に食材がない時やお金が限られている時の定番の料理でもあるそうで、「子供の頃に嫌と言うほど食べさせられて大嫌いになった」というアルメニア人も少なくないのだとか。

家庭では、パンにあり合わせの野菜と卵をのせてお湯を入れるだけの場合が多いコンチョル。
いっぽう飲食店のコンチョルはお湯ではなくチキンブイヨンを使用する場合も多いです。
チキンブイヨンのコンチョルは、風味が爆発的に良くなり味わい深くなるのでおすすめ。
水分を吸ってもってりとしたパンの食感は日本人の間でも好き嫌いが分かれる料理かもしれませんが、のぶよは何だかんだ言って好き派です。
・予算:800AMD~1000AMD(=¥320~¥400)
・お店:エレバンのQarvansaraにて。
ポチョヴァプール

アルメニア全土で食べられる、赤うずら豆のスープ・ポチョヴァプール(Pochov apur/փոչով ապուրur)は、豆の旨味が存分に感じられる心温まるほっこりした味わい。
基本的にはスープとして前菜扱いだったり、パンとともに食されたりするポチョヴァプールですが、北部のシラク地方では一風変わったスタイルで提供されます。
シラク地方ではメイン具材である赤うずら豆をたっぷりと用いるのはもちろんのこと、小麦粉生地を平たくのばした麺のようなものをたっぷりと入れ、スープというよりも主食のような扱いなのです。▼

この平たい麺の食感は、「さすが小麦粉文化のシラク地方!」と唸りたくなるほどの絶妙なちゅるちゅる食感。
深紅の色をしたスープは一見するとこってりしているように思えますが、実際の味わいはかなりあっさりしているのも面白い点。
トマトの風味はほとんど感じず、豆の旨味や甘味が前面に出された素朴で温かな風味が美味しいです。
・予算:750AMD~1000AMD(=¥300~¥400)
・お店:一般的なスープバージョンならエレバンのteak/シラク風の麺入りバージョンならギュムリのGwoog Gastrohouse
アルメニア料理:前菜・サラダ・パン類

アルメニアの食文化に欠かせないのが、前菜やサラダ。
お洒落なレストランに行くと、チーズやピクルス、燻製肉などをのせたプレートが提供される場合も。
見た目にも美しく、ディナータイムを盛り上げてくれる存在です。
アルメニアの食文化を語るにおいて欠かせないサイドメニューやパンに関しても、この項で紹介していきます。
バストゥルマ 定番!

アルメニアの前菜の定番と言えば、バストゥルマ(Basturma / Բաստուրմա)。
牛肉を天日干しにしたもので、スパイスやニンニク、大量の塩で味付けされた保存食の一種です。
生ハムのように薄くスライスしたものがチーズやピクルスとともに「前菜プレート」として提供されることが多く、見た目も華やか。
近年ではバストゥルマをトッピングしたオムレツやハチャプリ(チーズパン)などもポピュラーになっており、進化が止まりません。
・予算:1200AMD(=¥480480)~
・お店:エレバンの “Lavash Restaurant”など、ある程度のお店なら前菜として置いてあります。
ラヴァシュ 定番!

アルメニアを訪れるなら、あいさつよりなにより先に覚えておくべき言葉があります。
それが「ラヴァシュ」(Lavash / Լավաշ)
まるで紙のような薄さのぺらっぺらのパンで、ファストフードの具を巻く際や、スープや煮込み料理の付け合わせなど、どんな料理にも合わせて食べられるアルメニアの国民食です。

大型スーパーマーケットから、個人商店、市場など、とにかくどこでも購入することができるラヴァシュですが、やっぱり一番美味しいのはラヴァシュ専門店の焼きたてのもの。
小麦粉生地を極限まで薄くのばす手さばきは芸術そのものですし、専用の窯の内側に貼り付けて焼く伝統的な工程が見られることも。


Q:アルメニアの主食・ラバシュってどれくらい大きいの?30cmくらい?
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の翻訳してる人 (@nobuyo5696) September 10, 2021
A:これくらいです。
(ちなみにワイ身長172cm。ちなみに1枚20円) pic.twitter.com/BNDU2lv8Tr
焼きたてのラヴァシュは、端っこはパリパリ/中心部はしっとりもちもち。
ふんわりと香る小麦の香ばしい香りもたまりません!
マトナーカシュ

ラヴァシュとライバル関係(?)にあるのが、マトナカーシュ(Matnakash / Մատնաքաշ)と呼ばれるパン。
楕円形をした厚さ10cmほどのパンで、ラヴァシュとは異なるふっくらした食感が特徴的。
ほのかに甘味が感じられる生地は、煮込み料理とよく合います。
・予算:100AMD~200AMD(=¥40~¥80)
・お店:どの町にもラヴァシュ/マトナカーシュの専門店があるので、スーパーよりもそこで買うのが◎
アルメニアのチーズ

アルメニア人の日々の食生活に欠かせないチーズ。
アルメニア語では「パニル」(panir/պանիր)と呼ばれ、料理に使用するのはもちろん前菜として嗜まれるのもポピュラーです。
種類によって大きく味が異なるのはもちろんですが、アルメニアのチーズは全体的に塩気やクセが控えめな印象。
日本人にはチーズをそのまま食べる文化が薄いですが、意外と抵抗なくそのまま食べられるような味わいのものが多いです。

スーパーマーケットや市場で見かける、代表的なアルメニアンチーズは以下の3種類。
・ロリ(Lori):北部ロリ地方名物の柔らかめのチーズ。最もポピュラー。
・チャナフ(Chanakh):やや硬めで塩気が強めのチーズ。ロリと並んでポピュラー
・チェチル(Chechil):北部シラク地方名物のチーズ。筋状になっており裂けるチーズのよう。
上の「アルメニア三大チーズ」以外にも、各地域に独自のチーズが存在するのがアルメニアのすごいところ。
・壺に牛乳を入れて半年間地中に埋めて発酵される「イェゲグナゾル」(Yeghegnadzor)
・羊の乳にハーブを混ぜて発酵させた「モタル」(Motal)
などなど…ご当地チーズめぐりの旅も楽しめます!
ムショシュ

アルメニアの名産・アプリコットを使用したサラダがムショシュ(Mshosh / մշոշ)。
レンズ豆と各種ハーブを混ぜ合わせ、甘酸っぱいアプリコットやドライフルーツをトッピングしたものです。
一見すると不思議な組み合わせですが、レンズ豆のホクホク食感とハーブの爽快感、アプリコットの甘酸っぱさが口の中で混ざり合う瞬間たるや…
余計な味付けはされておらず、どこまでもあっさりとした後味も◎
夏場は灼熱となるアルメニアにおいては、夏バテ予防のためのオアシスのような食べ物です。
ハヴィ・アグツァン(鶏肉のサラダ)

アルメニア全国で定番の冷たい前菜と言えば、鶏肉のサラダ(Chicken Salad/Հավի աղցան)。
茹でた鶏肉を細かく割き、マヨネーズと和えたものが定番です。
中でもおすすめなのが、エレバン市内に数店舗展開するSAS Foodcourtの鶏肉サラダ。
なんとバターをたっぷり使用して焼き上げたクロワッサンをくり抜いた中に鶏肉のサラダが詰められており、見た目にも美しく味も素晴らしいためです。

サックサク食感のクロワッサンは、バターの芳醇な風味が感じられる絶品。
その中にたっぷりと詰まった鶏肉はしっとりとしており、良い感じの塩気とねっとりした舌触りがとても美味しいです。
鶏肉のサラダは多くの店のメニューにあるものの、クロワッサンにInしたスタイルはおそらくSAS Foodcourtのみ。
これを食べるためだけにでも、足を運ぶ価値があります!
・予算:400AMD(=¥160)
・お店:エレバンのSAS FOODCOURTのおすすめメニューです!
バストゥルマのオムレツ

ちょっと贅沢なオムレツといった位置づけのバストゥルマのオムレツ(Basturma Omlette/Բաստուրմա ձուվաձեւ)は、すでに紹介した干し牛肉のバストゥルマをトッピングした卵料理。
バストゥルマの塩気が強いため、卵自体にはほとんど(orいっさい)味付けされないのが特徴的で、干し牛肉ならではの旨味が口内に広がります。

アルメニアのレストランの多くはハーブやキノコ、トマトなどを用いた各種オムレツを提供していますが、バストゥルマのオムレツは最も高い部類。
スーパーでバストゥルマと卵を購入し、自分でさっと作るのが安上がりかもしれません。
・予算:1000AMD~1500AMD(=¥400~¥600)
・お店:エレバンのYerankyuniで食べられます!
ロリコフ・ズヴァズェグ

「アルメニア風スクランブルエッグ」といった料理が、ロリコフ・ズヴァズェグ(Lolikov dzvadzegh / լոլիկով ձվածեղ)。
オリーブオイルで炒めたトマトを卵とじにしたもので、夏の朝食の定番です。
味付けは塩コショウのみととてもシンプルながら、一口食べるとトマトの甘味が口の中でぶわあ~っ。
シンプルな料理だからこそ、トマトの火の通り具合や卵の焼き具合などにこだわりを持つ人も多いようです。
カナチェゲノフ・ズヴァゼフ

ハーブ文化が発達したアルメニアでは、数種類のハーブをオムレツの具材にするのも定番。
各家庭での朝食の定番でもあるカナチェゲノフ・ズヴァゼグ(Kanacheghenov dzvadzegh/կանաչեղենով ձվածեղ)は、日本語に訳すると「ハーブの卵とじ」です。
パセリやディル、パクチーにバジルなどが使用されるのが定番ですが、季節ごとに他の種類のハーブも入ります。
春を象徴するハーブであるタラゴン(アルメニア語では「タルフン」)をふんだんに用いたオムレツは、これ以上なく最高の組み合わせです。▼

アルメニア料理の基本に忠実に、オムレツの塩加減はかなり薄めでハーブ本来の味を楽しむのがポイント。
お店でも食べられますが、マーケットなどで新鮮なハーブを買って自分でオムレツにするのでもかなり美味しいです!
・予算:800AMD(=¥320)
・お店:エレバンのKamurjのメニューにあります。
アリシュタ おすすめ!

アルメニアのレストランのサイドメニュー欄によく載っている定番が、ラヴァシュなどのパン、フライドポテト、そしてアリシュタ(Arishta / Արիշտա)です。
「アルメニア風ヌードル」といったところで、平べったく長い形をした茶色い見た目が特徴的。
このアリシュタで独特の色合いは、小麦粉生地を麺状に切って自然乾燥させた後にオーブンでベイクすることによって出されます。
世界広しと言えども、オーブンで焼いた麺を使用する料理というのはなかなか珍しいかもしれません。


アリシュタには色々な食べ方があるのもポイント。
・茹でたアリシュタを野菜と合わせたサラダ
・メイン料理の付け合わせ
・パスタのようにソースをかけて食べる主食
・スープの具
最もポピュラーなのはメイン料理の付け合わせとして何もかけない状態で食べるアリシュタか、きのこやハーブなどと多めの油で炒めた焼きそば風だと思います。

▲オーブンで焼き上げて製麺されているため、アリシュタをお湯で茹でて調理する際の香りはとても独特。
まるでクッキーでも焼いているかのような香ばしい香りが蒸気にのってぶわ~んと広がるのです。
焼きそば的に炒めても、トマトソースやヨーグルトと和えても、はたまた挽き肉や醤油で味付けしてアジア風にしても、とにかく何とでも合うのがアリシュタの素晴らしさ。
なぜ知名度がほとんどないのか不思議に感じるほどに、ポテンシャルの高い食材です。


アリシュタの食感は、日本のきしめんに近い感じ。
小麦粉の香ばしい風味が存分に感じられ、もっちりした食感とつるんとしたのどごしがとても美味しいです。
アルメニア以外ではなかなか食べる機会がない料理なので、滞在中にぜひ挑戦してみては?
(スーパーで乾麺を買って自分好みに食べるのもおすすめ!)
・予算:600AMD~1000AMD(=¥240~¥400)
・お店:どこのお店にもサイドメニューとして用意されているのが基本ですが、肉や野菜と炒めた焼きそば系アリシュタならエレバンのArtashi Motに置いてあります。
シグのマリネ おすすめ!

アルメニアは海のない内陸国ですが、同国最大の湖であるセヴァン湖周辺エリアでは湖でとれた魚を使った料理が食べられます。
セヴァン湖を代表する魚が、「シグ(Sig / Սիգ)」と呼ばれる白身魚。
新鮮なシグが手に入るセヴァン湖周辺では、生のシグを用いたシグのマリネ(Sig marinatsvats / Սիգ մարինացված)に挑戦してみましょう。

オリーブオイルとお酢でマリネされたシグの身は、ふっくら&しっとりした極上の食感。
口の中に入れると一瞬でとろけてなくなってしまうほどの柔らかさです。
湖の淡水魚と聞くと、生臭そうなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、セヴァン湖周辺のシグに関しては臭みはいっさいなし。
新鮮な素材を使っているからこそ可能な、贅沢な食べ方です!
・予算:800AMD(=¥3320)
・お店:セヴァンにある“Sevan brewery Kellers” で食べました。
ドゥグミギ・コトレト

アルメニア人が大好きなかぼちゃを使った料理が、ドゥグミキ・コトレト(Dghmiki kotlet/Դղմիկի կոտլետ)。
直訳すると「かぼちゃのカツレツ」となり、茹でてピュレ上にしたかぼちゃに細かく切った人参や玉ねぎ、ハーブを加え、パンケーキ状に成型して焼いたものです。
かぼちゃならではの甘味がぎゅっと詰まった味わいと、軽く食べられる感じも◎
肉は入っていないので、連日の肉料理に疲れた際の軽食にもおすすめです。
・予算:250AMD(=¥100)
・お店:エレバンのSAS FOODCOURTにて。
フムス

中東地域発祥のひよこ豆のペースト・フムス(Hummus/Հումուս)は、アルメニアでも定番の前菜として愛される一品。
ねっとりとしたひよこ豆ペーストにオリーブオイルや各種スパイスがトッピングされ、そこはかとないエスニックな味わいが楽しめます。

アルメニアのフムスは、ニンニクが入らない場合が多いのが特徴的。
味つけもかなりあっさり目にされており、ひよこ豆本来の甘味が存分に楽しめます。
・予算:800AMD~1000AMD(=¥320~¥400)
・お店:エレバンのMarilda Caféではお手頃価格のフムスが食べられます!
ムタバル

中東諸国の食文化が由来のムタバル(Mutabal / մուտաբալ)は、アルメニアでもポピュラーな前菜。
焼きナスをペースト状にして、ハーブやスパイスで味付けしたエスニックな風味の一品です。

一口食べてみるとびっくり。
焼きナスの香ばしさ&とろっとろ感はそのままに、ハーブの風味が口の中で大爆発…ものすごく美味しいです。
ラヴァシュをオーブンで軽く焼いてチップス状にしたものをディップして食べるのがアルメニア流。
見た目にも美しいので、ぜひとも挑戦してほしいです!
・予算:700AMD(=¥280)
・お店:セヴァンのBohem teahouseで食べました。
タブレ おすすめ!

続いても中東由来の食文化の影響を強く感じる一品。
ハーブやレタスをブルグル(粒状に丸めた小麦粉)と合わせてサラダにした、タブレ(Tabuleh / Թաբուլեհ)です。
レモン&オリーブオイルをたっぷりかけて食べる点は中東/地中海料理と共通していますが、アルメニアのタブレで面白いのが、野菜に軽く火を通して温かい状態で食べる点。
シャキシャキというよりも、しなっとした独特の食感が特徴的。
サッパリしていてとても美味しくヘルシーなので、肉料理が続くアルメニア滞在に疲れた際の休憩にもおすすめです!
・予算:800AMD(=¥192)
・お店:アラヴェルディの“Atorik”で食べられます。
イーチ

野菜やハーブがメインだったタブレを主食バージョンにしたものがイーチ(Eech / իչ)。
ブルグルの量を多めにしてボリュームを出し、トマトと刻みパセリを混ぜ合わせたものです。
メインディッシュの付け合わせとしてもOKですし、これ一品でベジタリアンメニューとしても◎
アルメニア料理には数少ない肉を使用しない料理なので、胃の休憩にはピッタリかも!
イチリ・キュフタ

アルメニア人が大好きな軽食の一つが、イチリ・キュフタ(Ichli Qyufta/Իշլի քյուֆթա)。
元々は中東地域発祥の料理で、それがかつて西アルメニア地域(現在のトルコ東部)に広がり、さらにそれがアルメニア本国でもポピュラーになった料理です。
ラグビーボールのような形の茶色い生地の正体は、「ブルグル」と呼ばれるひきわり小麦。
中に牛挽き肉をたっぷりと詰めて、オーブンで焼いて調理されます。

トルコでも「イチリ・キョフテ」と似たような名前で呼ばれ、ほとんど同じようなものが食べられますが、アルメニアのイチリ・キュフタは中の具の味付けがあっさりしているのが特徴的。
たっぷりと挽き肉が入っていますが胃に重たくないので、何個でも食べられてしまいます!
・予算:400AMD(=¥160)
・お店:エレバンのMarilda Caféにて
オスポフ・プラフ(レンズ豆ご飯)

アルメニア地方部のゲストハウスに宿泊すると結構な頻度で登場するのが、オスポフ・プラフ(ospov plav/օսպով փլավ)。
なんてことはないレンズ豆の炊き込みご飯なのですが、これがもう、めっちゃくちゃ、信じられないほどに美味しいです。
調理法は超シンプルで、お米とレンズ豆にほんのちょっぴりの塩を入れて鍋で炊くだけ。
この塩気の薄さこそが、レンズ豆の繊細な旨味や風味をしっかりと引き立ててくれているのです。
「これ以上の組み合わせはない!」と言いたくなるほどの、米とレンズ豆のランデヴー…!
レストランのメニューにも普通に乗っているオスポフ・プラフですが、一番美味しいのはやはり家庭で手作りされたもの。
アルメニア地方部のゲストハウス泊で食事を付ける機会があるなら、リクエストしてみるのも良いでしょう(宿的には簡単に&安く作れるのでむしろ喜ばれるかも)。
アルメニア料理:軽食・ファストフード類

アルメニアの素晴らしい点は、手軽に格安で食べられるファストフードや軽食の種類の豊富さ。
お隣トルコのストリートフード文化の影響が強く、節約派旅行者の強い味方です。
「ファストフード」と言っても、ここは美食大国アルメニア。
色鮮やかなハーブ/新鮮な野菜を使用していたり、生地から手作りだったり、炭火でじっくり焼いてくれたり…という場合がほとんど。
そのため全然「ファスト」ではなく、注文から提供まで5分~10分かかるのが普通です。
「ファストフード=健康に悪いジャンクフード」という方程式は、アルメニアでは成り立ちません!
ラフマジョ 定番!

アルメニアの国民的ファストフードと言えば、ラフマジョ(Lahmajo / Լահմաջո)。
薄く円形にのばした小麦粉生地に牛ひき肉/羊ひき肉を塗り、ハーブをまぶして焼き上げたものです。
お隣・トルコでも「ラフマジュン(Lahmacun)」と呼ばれる料理があり、まったく同じものですが、それはアルメニアでは禁句…
のぶよ的には、トルコで食べたラフマジュンよりもアルメニアのラフマジョの方が、ジューシー&ハーブが効いていて美味しいと思いました。
ラフマジョの味付けやハーブとひき肉の調合は、お店によって大きく変わってくるのもポイント ▼


パリパリの生地の食感とジューシーなひき肉の風味は、一度食べたら病みつき間違いなし。
レモンをキュッと絞って食べた日にはもう…アルメニアから出たくなくなってしまうかも。

どこでも格安で食べられるのも旅行者的には嬉しいポイント。
小腹が空いたときはぜひとも挑戦してみてください!
・予算:200AMD~500AMD(=¥80~200) ※具材による
・お店:エレバン最強のラフマジョ専門店は“Gaitz”一択です!
そして、アルメニアの国民的軽食であるラフマジョには、定番の挽き肉以外にも様々なバリエーションが存在するのがポイント。
以下、いくつか紹介していきます。▼
アルメニアのラフマジョのバリエーション:チーズラフマジョ

普通の牛挽き肉のラフマジョにチーズをまぶして焼いたチーズのラフマジョ(Panri lahmajo/ պանիր լահմաջո)は、もう食べる前から美味しいの確定!といった一品。
アルメニアの質の高いチーズがふんだんに使用され、とろとろにとろけた状態で提供してくれます。

普通のラフマジョにはレモンを搾って食べるのが定番ですが、チーズのラフマジョにレモンを搾るのはご法度。
挽き肉とチーズの濃厚なコクを存分に味わいましょう。
・予算:300AMD~500AMD(=¥120~¥200)
・お店:エレバンのQarvansaraのものが美味しいです!
アルメニアのラフマジョのバリエーション:ざくろのラフマジョ

変わり種のラフマジョを探しているなら、ざくろのラフマジョはマスト。
その名の通り、ざくろの果汁を煮詰めたソースで牛挽き肉や羊挽き肉を軽く煮込んだものを薄い小麦粉生地の上にたっぷりとのせたものです。
ざくろの甘味と酸味が挽き肉の旨味を存分に引き立てており、独特の甘じょっぱさがクセになる味わい。
置いている店はかなり珍しいので、見つけたらぜひとも食べてみましょう。
・予算:700AMD(=¥280)
・お店:エレバンのMarilda Caféにて。
アルメニアのラフマジョのバリエーション:卵のせラフマジョ

のぶよ的にラフマジョ界の王者だと思うのが、卵のせラフマジョ(Dzvov lahmajo/ձվով լահմաջո)。
普通の挽き肉のラフマジョに卵を落として焼き上げただけなのですが、本当に信じられないくらいに美味しいのです。

卵のせラフマジョのポイントは、卵の絶妙な半熟具合。
ちゃんと火は通っていながらもぷるんぷるんで、とろ~りと黄身が流れ出す極上の質感なのです。
こんなに素晴らしい組み合わせなのに、なぜか卵のせラフマジョを提供する店は限られている点はアルメニアの七不思議。
メニューに見つけたら問答無用で注文しましょう!
・予算:5500AMDD(=¥250)
・お店:エレバンのQarvansaraにて。
カルカンダク

アルメニア全国でポピュラーな軽食と言えば、カルカンダク(karkandak/Կարկանդակ)。
具入りの揚げパンのことで、ロシアのピロシキとほぼ同じような料理です。
カルカンダクの具で最もポピュラーなのはマッシュドポテト。
キノコ入りや牛挽き肉入りなどもありますが、のぶよ的イチオシはギュムリ名物の鶏肉きのこカルカンダルです。


濃い目の味付けでソテーされた鶏肉とマッシュルームがたっぷりと入っており、とにかく旨味がお化け。
鶏きのこカルカンダクは、なぜかギュムリ以外では見かけないのがアルメニアの七不思議。
ギュムリの隠れた名物だと思うので、ぜひとも挑戦を!
・予算:150AMD~200AMD(=¥60~¥80)
・お店:どこのベーカリーにも置いてありますが、ギュムリのKarkandakの鶏肉キノコカルカンダクが至高
ジェンギャロフ・ハツ

肉料理に次ぐ肉料理…アルメニアの肉食文化に疲れてしまったときには、ジェンギャロフ・ハツ(Jengalov hats / Ժենգյալով Հաց)がおすすめ。
十種類ほどのハーブをサッとお湯で茹でて、ラヴァシュで巻いたシンプルな一品です。
塩コショウを含め、具にはいっさいの味付けがされていないのも面白い点。
各ハーブが持つ風味(苦味、甘味、酸味etc…)を考えて絶妙なバランスで調合するのが、ジェンギャロフ・ハツの美味しさのポイントとなるのです。
もともとはナゴルノ=カラバフ自治州(アルメニア語では「アルツァフ」)の郷土料理で、生地にハーブを混ぜて焼き上げた「チヂミ」のようなスタイルの焼きジェンギャロフ・ハツもポピュラーです。
・予算:900AMD(=¥360360)
・お店:エレバンの“Jengalov Hats”が安くて美味しいです!
焼きジェンギャロフ・ハツ

上で紹介したジェンギャロフ・ハツですが、実はあちらはエレバンでアレンジされた亜種。
本家本元のジェンギャロフ・ハツは、薄くのばした小麦粉生地で大量のハーブを包み、油を敷いた鉄板で両面をサッと焼いたものです。
焼かれることで小麦粉生地に果てしない香ばしさが加わり、そこにハーブの芳醇で複合的な風味が漂う絶品of絶品。
上で紹介したものと区別するために、のぶよはこの本家本元バージョンを「焼きジェンギャロフ・ハツ」と呼んでいますが、アルメニアでは基本的にいずれのスタイルも単に「ジェンギャロフ・ハツ」と呼ばれます。


この本家ジェンギャロフ・ハツの発祥は、現在アゼルバイジャン領となっているナゴルノ=カラバフ自治州。
数年前に再燃した紛争で、アルメニアはナゴルノ=カラバフの統治権を完全に失ってしまい、「二度と足を踏み入れられない地」となってしまいました。
エレバンの地下鉄駅出口や地下通路には、ジェンギャロフ・ハツを焼く露店のような店がぽつぽつと見られますが、店で働く女性の多くは紛争から逃れて来たカラバフ出身のアルメニア人。
今は無きナゴルノ=カラバフという地域に伝わる味が絶やされないように、エレバンという大都会で細々と営業しているのです。
レストランでも焼きジェンギャロフ・ハツは食べられますが、のぶよ的にカラバフの人がやっている露店のジェンギャロフ・ハツの美味しさに敵うものはないと思っています。
・予算:600AMD(=¥240)
・お店:エレバンの焼きジェンギャロフ・ハツの小屋など露店のものが一番!
アルメニア風ホット・ドッグ

すでにラヴァシュを使用した料理がいくつか出てきましたが、アルメニアのラヴァシュ文化を極めた一品が、こちらのアルメニア風ホット・ドッグ。
のぶよが宿泊していた宿のアルメニア人が「今日はホットドッグ作るよ~!」と言って出て来たのが、これでした。(ものすごくビックリした)

ソーセージにケチャップをかけ、ラヴァシュでくるくると巻いたものを油で揚げ焼きにするだけのシンプルなもの。
しかしながら、本来のホットドッグよりもこちらの方が断然美味しいです。
カラリと揚がったサクサクのラバシュの香ばしさと、ソーセージ&ケチャップのジャンクなコンビネーション。反則ですよ…こんなの…
レストランではまず出てくることがない家庭料理(というか、のぶよの友人のアルメニア人のオリジナルかもしれない)なので、食べられたらラッキーかもしれません。
シャウルマ 定番!

アルメニアだけでなく、旧ソ連諸国やトルコ、中東諸国など広い地域でポピュラーなファストフードがシャウルマ(Shaurma / Շաուրմա)。
ドネルケバブのようにくるくると回転させながら焼き上げる肉を薄くそぎ落とし、野菜とともにラヴァシュで巻きあげたものです。

ユーラシア大陸の多くの国や地域で食されるシャウルマを、どうして「アルメニア料理」の中で紹介しているのか…
それは、アルメニアのシャウルマはとにかく絶品だから。
周辺国のシャウルマ?あんなの比ではありません。

「シャウルマ論」で一記事かけそうなくらいには、バルカン半島・トルコ・ジョージア・アルメニアと、各国であらゆるお店のシャウルマを食べて来たのぶよが言うんだから間違いないはず…!
・大量のハーブが入る
・ケチャップではなく特製のソースを使用
・ソースの量は最低限→あくまでも肉と野菜の味がメイン
・肉を炭火で焼くお店も多い
・フライドポテトが入ってボリュームアップ
・生地のラヴァシュを専門店から仕入れている店もある
・周辺国の3分の2~半額ほどの激安価格
などなど。もはや「ファストフード」というくくりにして良いのか躊躇うほど、アルメニアのシャウルマはこだわりがすごいのです。


概してレベルが高いアルメニアのシャウルマですが、やはり美味しい店とまあまあな店とはあります。
「美味っ…!なにこれ…?!」と感動間違いなしなのは、GoogleMap等に載ってすらいない小さな掘っ立て小屋のような名もなき店だったりすることも。
知りたい方はご連絡いただければ、のぶよ的エレバンの最強シャウルマ店のリストを伝授します(笑)
・予算:800AMD~1200AMD(=¥320~¥480)
・お店:どこの町でも食べられますが、セヴァンの”Tshak Mvash”がのぶよ的No.1。
チェブレキ

ソ連時代にロシアから持ち込まれたチェブレキ(Chebureki / Չեբուրեկի)。
アルメニアをはじめ、旧ソ連諸国ではポピュラーな軽食です。
直径15cmほどの半円形の生地を油でサクサクに揚げたもので、中には各種ハーブで味付けされた牛ひき肉がたっぷり。「巨大揚げ餃子」のイメージでOKです。

生地のサクサク感と、ひき肉のジューシーさ…はい、もう旨いの決定ですね。
主にパン屋などで売られていますが、午後は作り置きを渡される場合がほとんど。
できたてが美味しいのはもちろんなので、朝の開店直後が狙い目です!
・予算:200AMD(=¥80)
・お店:エレバン中央駅前のベーカリーのチェブレキが美味しかったです!
ブリンチク・ラヴァショフ おすすめ!

ラヴァシュの魔術師・アルメニア人の発明が、ブリンチク・ラヴァショフ(Blinchik lavashov / բլինչիկ լավաշով)。
肉や野菜、チーズなどをラヴァシュでくるくるっと巻いて油で揚げた「アルメニア風春巻き」といったところでしょうか。

具の種類は自由自在で、家庭で簡単に作れる点も◎
数層に重なったラヴァシュのパリパリ食感と、口の中にじゅわりと染み出す具の旨味…
アルメニアのラヴァシュ文化の最高峰となる一品に間違いありません!
・予算:400AMD(=¥160)
・お店:セヴァンのBohem teahouseで食べました。
ヒンカリ

お隣ジョージアで生まれたヒンカリ(Khinkali/Խինկալի)は、アルメニアでも国民的料理のポジションについています。
ヒンカリとは、小麦粉生地で挽き肉を包んでお湯で茹でて調理される「ジョージア風小籠包」のような料理。
アルメニアでも「ヒンカリ」とジョージア語のままで呼ばれます。
アルメニアのヒンカリにおける最大の特徴は、中の挽き肉が合挽きではなく牛挽き肉100%である点。
本場ジョージアにも牛挽き肉のヒンカリは存在するもののかなりマイナーで、基本は牛豚合挽きが入ります。

また、ジョージアのヒンカリにはパクチーなどのハーブが入ったり、キャラウェイ・シードがスパイスとして入るもの。
いっぽうのアルメニアのヒンカリにはいずれも入らず、とにかく牛挽き肉のみが基本です。
そのため、アルメニアのヒンカリは肉の純粋な旨味がしっかりと感じられ、あっさりとしていながらも奥深い風味が特徴的です。
また、ジョージアでは「ヒンカリ=主食」という位置づけ。
最低注文が5個や10個以上と決められており、ジョージア人はヒンカリを食べる際は他の料理を頼まずにひたすらヒンカリだけを食べます(中国人が餃子を主食として食べるのと同じ感じ)。
いっぽうのアルメニアでは「ヒンカリ=サイドメニュー」の扱い。
そのため、多くの店では1個から注文することができ、日本で餃子がサイドメニューという認識であるのと似ているかもしれません。
・予算:1個200AMD~300AMD(=¥80~¥120)
・お店:エレバンのKamurjのヒンカリがおすすめ!
揚げヒンカリ

もしかしたら、普通のヒンカリよりもアルメニアでポピュラーかもしれない、揚げヒンカリ(Khinkali tapakats/Խինկալի տապակած)。
その名の通り、ヒンカリを油でがっつりと揚げたもので、香ばしい色合いが食欲をそそります。
ヒンカリの本場であるジョージアにも「揚げヒンカリ」がありますが、ジョージア版は「揚げる」と言うよりも油を敷いたフライパンで「焼く」といった感じ。
焼かれる際に皮が破れてしまうことも多く、せっかくの肉汁スープが染み出してしまっていることも珍しくありません。
対するアルメニアの揚げヒンカリは、その名の通りガッツリと高温の油で揚げられたもの。
そのため全体に均一に火が通っており、皮も破れることなく綺麗に仕上がっています。

ざくざく食感のアツアツ生地をかじると、中に閉じ込められた肉汁スープと牛挽き肉がこんにちは。
生地の内側と外側で大きく食感が異なるのも良いです。
のぶよ個人的には、ジョージアの焼きヒンカリよりもアルメニアの揚げヒンカリの方が断然おすすめ。
「普通のヒンカリ→ジョージア/揚げヒンカリ→アルメニア」と覚えておくのが良いかも…?
・予算:1個250AMD~400AMD(=¥100~¥160)
・お店:エレバンのKamurjのヒンカリがおすすめ!
シグ&チップス

最近エレバンっ子の間で密かなブームとなっているのがシグ&チップス(Sig&Chips)。
「シグ」とは、すでに本記事内で何回か登場している、セヴァン湖名物の湖水魚のこと。
…もう想像がつきましたね。シグ&チップスとは、イギリス名物のフィッシュ&チップスの魚にシグを使った、アルメニアのご当地フィッシュ&チップスなのです。

ほわっほわのシグの身は上品な甘味が感じられ、臭みはゼロ。
自家製のタルタルソースもあっさり風味で美味しいですし、フライドポテトの揚げ具合も完璧です。
アルメニア人が愛するシグの新たな可能性を感じさせる、エレバンの新名物料理。
本当に美味しいので、ぜひとも食してみてほしいです!
・予算:2900AMD(=¥1120)
・お店:エレバンのSig&Chipsでしか食べられないオリジナルグルメです!
アルメニア料理:グリル料理

外国人がアルメニアの食文化に感動を覚える瞬間の一つが、グリル料理を食べた時。
炭火でじっくりと焼き上げるスタイルは全国共通で、むしろそれくらい手を込めて調理していない店は生き残れません。
グリル料理の基本は豚肉ですが、地域によっては豪快に炭火焼きにした魚や新鮮な羊肉が食べられることも。
肉汁したたるやわらかい肉のグリルと、ハーブのフレッシュな風味の相性はパーフェクト。
肉の焼き加減の絶妙さに関しては、アルメニア人の右に出る者はいないと思います。
ホロヴァツ 定番!

アルメニアに来てホロヴァツ(Khorovats / Խորոված)を食さずに帰る人などいるのでしょうか。
ホロヴァツとはアルメニア風BBQのことで、炭火で肉を焼くのが絶対条件。
アルメニア全国どんなに小さな町に行こうとも、炭火グリルを備えたホロヴァツ屋が必ずあるほどにポピュラーです。

「ホロヴァツ」の定義は、「炭火でグリルした肉料理の総称」。
肉の種類によって各料理の呼び方が変わるのが、アルメニア初心者にはややこしい点かもしれません。
・イキビル:串刺しにした豚肉/鶏肉
・キャバブ:牛/鶏ひき肉を棒状に固めたもの
・ギャラン・ホロヴァツ:羊肉のグリル
・シグ・ホロヴァツ:シグ(白身魚)のグリル
単に「ホロヴァツ」と言うと、串刺しにしたものではない骨付きの大きな肉を炭火でグリルしたものを指す場合が多いです ▼

アルメニア人にとって、ホロヴァツの定番は豚肉か羊肉。
牛肉が用いられることはなぜかほとんどなく、鶏肉はどちらかというと「お金がない時のチープ版」といった認識が根付いているように思います。
・予算:1000AMD~2000AMD(=¥400~¥800) ※肉の種類/大きさによる
・お店:どの町にもホロヴァツ屋はありますが、アラヴェルディの“Atorik”で食べたものが美味しかったです。
イキビル 定番!

ホロヴァツ系料理で最もポピュラーなのがイキビル(Ikibir / Իքիբիր)。
串刺しにした肉を炭火でじっくりと焼き上げ、ハーブ等と一緒にラヴァシュで巻きあげたものです。
「イキビル」とは、トルコ語で数字の2と1のこと。
豚肉の赤身の部分と脂肪の部分を交互に一本の串に刺したものなので、「2 in 1」のようなニュアンスなのでしょうか。(どうして仲が悪いトルコ語で呼ぶのかはアルメニア七不思議)

イキビルの定番は豚肉ですが、エレバンなどの大都市では鶏肉のイキビルがあるお店も。
いっぽうの地方部では「鶏肉?邪道邪道!」と一笑される場合もあります(実話)。
「ただのBBQでしょ?」と思ったら大間違い。
炭火でじっくりと火を通した肉と、熱でとろけた脂身のコンビネーションは、これ以上ない幸せの極み。
ハーブや玉ねぎのフレッシュな食感と香りも、肉の旨味を彩ります。

イキビルは、アルメニアのBBQ文化の結晶そのもの。
「このボリュームでこんなに安く食べられるの?」と驚くこと間違いなしの、リーズナブルな価格も嬉しいです。
・予算:800AMD~1000AMD(=¥320~¥400)
・お店:エレバン中心街の名もなきホロヴァツ屋が最強!
ギャラン・ホロヴァツ おすすめ!

アルメニアの地方部に行くなら絶対に挑戦したいギャラン・ホロヴァツ(Garran khorovats / Գառան խորոված)。
羊肉のBBQのことで、エレバンなどの都市部ではあまりポピュラーではありません。
(ある程度のランクのレストラン等にはあるけど高い&肉が新鮮じゃない)
アルメニア地方部(特にタヴシュ地方やロリ地方でポピュラーだそう)では、飼っている羊を屠殺したものがそのまま炭火に直行となるので、肉の鮮度が全く違う&羊肉特有の臭みがいっさいないのがポイント。


成長しすぎた羊ではなく若い羊を使うことが多いそうで、羊肉とは思えないほどの柔らかさと臭みのなさにも納得です。
肩肘はるようなお洒落レストランよりも、その辺の道端でおじさんが炭火をパタパタと焚いている野良BBQ屋の方が確実に美味しいのもポイント。アルメニア地方部旅の楽しみの一つです!
シグ・ホロヴァツ おすすめ!

セヴァン湖周辺エリアのグルメの定番が、シグ・ホロヴァツ(Sig Khorovats / Սիգ խորոված)。
「シグ」と呼ばれる湖水魚を炭火で豪快にグリルしたもので、セヴァン市内のレストランでもポピュラーなメニューです。
お店で食べるのも良いのですが、魚料理はいかんせん少々値が張るのがネック。
セヴァン湖エリアの地元の人は、自分でシグを買ってきて(or釣ってきて)自宅で炭火焼きにするのが普通です。


レストランで食べると2000AMD(=¥800)ほどはしますが、自分でシグを買えば一尾200AMD(=¥48)と10分の1の値段。
セヴァンの中心街では、朝とれたばかりのシグがその辺の道端で売られているので、鮮度はレストラン以上かもしれません。

白身魚らしい淡白な味わいながらも、脂もしっかりとのったシグ。
炭火でじっくりと焼かれるため、旨味がギュッと詰まった絶品でしかありませんでした。
のぶよがセヴァンで滞在したホステルでは、買ってきた魚をオーナーが喜んでBBQにしてくれるので、毎日がおさかな天国でした。
新鮮な魚をワイルドにBBQにしてみんなでワイワイと食べる夕方のひとときは、きっとアルメニア旅の素敵な思い出となるはずです!
・予算:2000AMD(=¥800)
・お店:セヴァナヴァンク近郊の“Semoyi Mot”で食べました。
セヴァニ・イシュハン おすすめ!

シグが「セヴァン湖エリアの庶民の味」ならば、セヴァニ・イシュハン(Sevani ishkhan / Սևանի իշխան)は「特別な魚」。
セヴァン湖固有のマス科の淡水魚で、漁獲量が限られていることから、なかなか味わえない高級魚として知られているのです。
セヴァン周辺のレストランで食べると1kgあたり15000AMD(=¥6000)ほどと、アルメニア的にはかなりの贅沢品。(それでもエレバンで食べるよりは格安&新鮮)
運が良ければ、セヴァンの中心街の路上の魚売りに1kg4000AMD(=¥1600)ほどで売ってもらえるかもしれません。
(のぶよの場合は、毎日通い詰めて顔見知りになって「イシュハンが入ったら売ってね!」と根回ししていた)

セヴァニ・イシュハンの味をひとことで表すなら、天国。
シグとは比べ物にならないほどの上品な旨味とほのかな甘さが特徴で、柔らかな身は舌先で溶けてしまうほど…
のぶよの料理の腕でも感動するほどの美味しさだったので、ちゃんと調理できる人なら絶対に感動するはず!(まじで日本で売られている適当な魚よりも断然美味しかった)
セヴァン湖を訪れる旅行者に言えることはただひとつ。
湖ビーチよりも修道院よりも、この魚を食べることを第一の目標にしましょう(笑)
・予算:15000AMD(=¥6000)/1kg
・お店:セヴァナヴァンク近郊の“Semoyi Mot”のメニューにあります。
キャバブ 定番!

BBQ料理で忘れてはならないのがキャバブ(Qyabab / քյաբաբ)。
ひき肉を棒状に固めたものを炭火でグリルした料理で、鶏肉か牛肉のいずれかが使用されます。


「ひき肉を棒状に固めたもの」と聞くと、硬めな食感なのかと思うかもしれませんが、例えるなら「ハンバーグを最大限に柔らかくしたようなふわっとした食感&肉汁ビシャビシャ」。
アルメニアのキャバブは肉汁がすさまじく、手を汚さずに食べるのは難しいほど。
ひき肉には下味がしっかり付けられており、ふんわりした口当たりの肉の旨味が口の中で大爆発…
もうね、芸術です。


ジョージアやトルコなど周辺国にもこうした棒状ひき肉のグリル料理はありますが、比べるのが馬鹿馬鹿しいほど。
味も食感も肉汁お化け具合も価格も…とにかく全てにおいてアルメニアのキャバブを越えることはできません。
「どうやってここまで柔らかく、肉汁をギュッと閉じ込めながらグリルできるの?」と不思議に思うこと間違いなし。
BBQ文化の傑作となる「食の芸術作品」を、ぜひとも自分の舌で味わってほしいです。
・予算:600AMD~1000AMD(=¥240~¥400)
・お店:アラヴェルディの名もなき食堂のケバブが最強でした。
キャバブ・アレヴェリャン

すでに紹介したキャバブの一風変わったバージョンが、キャバブ・アレヴェリャン(Qyabab arevelyan/Քյաբաբ արևելյան)。
牛挽き肉にハーブを混ぜたものをラヴァシュで巻き、炭火焼きやオーブンで調理されるものです。
料理名の「キャバブ・アレヴェリャン」とは、「東のキャバブ」の意味なのですが、いったい何が「東」なのかはミステリー。
店によっては同じものが「エルズルム・キャバブ」とも呼ばれ、かつてはアルメニア人住民が多く居住していたトルコ東部の都市・エルズルムの名を冠しています。
・予算:1200AMD(=¥480480)
・お店:エレバンのSAS FOODCOURTにあります!
ケラツ・カルトピル・カラキフ

サイドメニューとしておすすめなのが、ケラツ・カルトピル・カラキフ(Քերաց կարտոֆիլ կարաքիվ)。
細切りにしたじゃがいもを大量のバターで揚げたもので、見た目の通りカロリー爆弾です。
芳醇なバターの風味と、サクサク&しっとりの二つの食感が同時に味わえるポテトとの相性は抜群。
味付けは塩のみとシンプルなので、自分でも余裕で再現可能です!
・予算:1000AMD(=¥400)
・お店:セヴァナヴァンク近郊の“Semoyi Mot”で食べました。
ハヴィ・カトレト おすすめ!

アルメニアに来てものすごく感動したのが、ハヴィ・カトレト(Havi katlet / հավի կոտլետ)。
鶏ひき肉のカツレツなのですが、キャバブと同様の肉汁お化け具合なのです。
(アルメニアのひき肉はどうしてここまで肉汁がしっかり出てくるのか、不思議で仕方がない)



個人的にはレストランで食べるものよりも、普通の商店で量り売りされている冷凍のハヴィ・コトレトを自分で調理した方が美味しかった印象。
油を敷いて、中まで火が通るように弱火でじっくりと揚げ焼きにするのが、ふっくらジューシーなカツレツに仕上げるポイントです!
・予算:1個100AMD(=¥40)
・お店:どこの商店の冷凍食品コーナーにも置いてある定番です。本当に美味しいので、ぜひ試してみて!
カトレト

アルメニアのローカル食堂に挑戦する機会があるなら、ぜひ食べてほしい一品がカトレト(Katlet/Կատլետ)。
ソ連時代に各地域に広まった料理の一つで、「カトリェット」(ロシア語)や「コトレティ」(ジョージア語)など各言語風に呼ばれますが、アルメニアでは「カトレト(もしくはコトレト)」と呼びます。
ひとことで言うなら「多めの油で揚げ焼きにしたハンバーグ」なのですが、アルメニアのカトレトには一つ独特な点が。
それは、基本的に旧ソ連圏のカトレト系料理は牛豚の合挽きが使用されるのですが、アルメニアでは牛挽き肉100%が鉄則だという点です。

また、味付けにはスパイス等を用いることはなく、小麦粉等でかさ増しすることもありません。
挽き肉以外にはみじん切りにしたハーブが入るのとほんのり塩胡椒がふられるくらいで、かなりあっさりと食べられるのです。
豚肉が入っていないため、ジューシーさではお隣ジョージアのコトレティ(合挽き)に軍配が上がりますが、肉本来の味を楽しむという意味ではアルメニアのカトレトの方が強いです。
・予算:1500AMD(=¥600)
・お店:エレバンのKER U SUSにて
イマム・バヤルディ

アルメニアの家庭料理の定番が、イマム・バヤルディ(imam bayaldi/Իմամ Բայալդի)。
ナスをメインに、トマトやパプリカなどと一緒に油で炒めてハーブを散らしたもので、温かい状態でも冷たい状態でも食べられます。
味つけはあっさりしており、各野菜の風味が存分に感じられます。
料理名の「イマム・バヤルディ」とは、お隣のトルコ語が由来。
トルコにも「イマム・バユルドゥ」というほぼ同名の料理が存在し、日本では「坊さんの気絶」と訳されていますが、トルコのイマム・バユルドゥはナスの内側をくり抜いたものに小さく切ったパプリカなどの野菜を詰めてオーブンで焼いた料理です。
いっぽうのアルメニアのイマム・バヤルディはあくまでも「ナスの炒め物」といった感じ。
多めの油をフライパンに敷き、各野菜をじゃあっと炒める調理法です。
・予算:700AMD(=¥280)
・お店:エレバンのMarilda Cafeやteakのメニューにあります。
ジャルコ

続いてもアルメニアの食堂飯の定番メニューの一つ、その名もジャルコ(Dzarko/ժարկո)。
フライドポテトと豚肉を合わせたボリューム満点の料理で、万人受けする料理です。

お隣ジョージアにも「オジャフリ」という豚肉とフライドポテトを合わせた料理があり、おそらくアルメニアのジャルコとルーツは同じ。
ジャルコとオジャフリの最大の違いは、ジャルコにはニンニクがほぼ入らず、かなりあっさりした味わいである点です。

また、ジョージアのオジャフリには各種スパイスがたっぷりと入りガツンとした味わいですが、アルメニアのジャルコにはスパイスは使用されません。
そのため、じゃがいもの味と食感、豚肉のジューシーさと焼け具合こそが味の決め手なのです。
オジャフリとジャルコ…どちらが好みかは人によるもの。
のぶよ的には、オジャフリのニンニクぐわーっ感とビールが進んで仕方がない感が好きなので、ここはジョージアに一票…かな…
・予算:1200AMD~1500AMD(=¥480~¥600)
・お店:エレバンのKER U SUSにて
ランゲット

すでにいくつかアルメニアの食堂メニューを紹介していますが、こちらもおすすめの一品。
ランゲット(Langet/Լանգետ)と呼ばれる肉料理です。
「ランゲット」とは、フランス語で「舌」を意味する言葉。
その名の通り、豚肉や牛肉を薄く叩き伸ばして舌のような薄さ&形にしたものをソテーした料理です。

名前こそフランス語由来ですが、フランスにはランゲットなどという料理は存在しないのがミステリー。
一説によると、ソ連時代にフランス人シェフが発明した料理が旧ソ連圏に広がる際に、その見た目から「ランゲット」と名付けられたとも言います(つまり「ストロガノフ」と同じような流れ)。
・予算:1500AMD(=¥600)
・お店:ギュムリのGyumri Hatsatunには数種類のランゲットが揃っています!
ガパマ

アルメニアの年末年始の定番料理の一つが、ガパマ(Ghapama / ղափամա)。
カボチャの中身をくりぬいて、ドライフルーツやくるみなどのナッツ類とともに炊いたバターピラフを詰めてオーブンで焼いたもので、まず見た目のインパクトがズバ抜けています。

具のバターピラフはかなり甘めの味付けで、日本人的には不思議に感じるかも。
いっぽうのアルメニアでは「ガパマの歌」まであるほどにポピュラーなパーティー料理で、老若男女問わず愛されています。(みんなで歌いながら食べる家庭もあるのだとか)
レストランだと少々値は張りますが、ガパマはアルメニアの秋~冬の味覚を代表する一品。
一人では絶対に食べきれる量ではないので、数人でシェアするのがおすすめです!
・予算:3600AMD(=¥1440)
・お店:エレバンのYerankyuniのメニューにあります。
チャホビリ

ジョージア料理の「チャホフビリ」(鶏肉のトマト煮込み)がアルメニアで進化した一品が、チャホビリ(Chakhobili / Չախոբիլի)。
鶏肉とトマト、タマネギを用いる点は同じですが、最大の違いは調理方法。
チャホビリは煮込むのではなく、オーブンで焼き上げた鶏肉をトマトペースト&ローストオニオンと絡めて作られるグリル料理なのです。
玉ねぎの甘味が最大限に引き出され、鶏のカリカリとした食感も◎
なにはともあれ、とにかくビールに合います。

ジョージアの「チャホフビリ」とアルメニアの「チャホビリ」…
「フ」が抜けていて、はじめは書き間違いかと思ったのですが、お店の人もみんな「チャホビリ」と呼んでいたので間違いではなさそう。(どうして「フ」が落ちて伝わったのか不思議)
ルーツ自体は同じ料理なのでしょうが、アルメニアのチャホビリはスパイスが用いられないのでスッキリした風味が特徴的です。
・予算:1200AMD(=¥480)
・お店: ヴァナゾルの”Hayeni cafe”で食べました。
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フルジン

のぶよ的にアルメニアのラバシュ文化の最高峰な料理が、フルジン(Khurjin/խուրջին)。
フルジンとは、アルメニアの国民食である「ラヴァシュ」(紙のように薄い小麦粉生地)の上に仔牛肉や羊肉、各種香味野菜をのせて小籠包のような形になるように包み、オーブンで焼き上げた料理。
いわば、「仔牛肉とハーブのラヴァシュ包み焼き」といったところです。
見た目的にはお隣ジョージアの水餃子「ヒンカリ」に似ているように思いますが、調理法も味も完全なる別物。
ジョージアのヒンカリはモンゴル帝国がルーツですが、アルメニアのフルジンはイランや中東地域の食文化がルーツだそうで、その起源からして全くの別料理です。


焼かれてパリッパリのラヴァシュ生地の上の部分をナイフで切ると、野菜やハーブで彩られた羊肉がどっさり。
中の具から染み出したエキスや脂が、ラヴァシュ生地の内側に染み込んでふにゃっとなっており、生地の外側のパリッパリの極みな食感とのコントラストが素晴らしいです。
中の具の味付けも絶妙で、柔らかな羊肉は昇天級の美味しさ。
肉の脂の旨味が口内に広がった後は、ハーブの清涼感がすっと追いかけてきます。
・予算:1100AMD~8000AMD(=¥440~¥3200)※大きさによって値段が大きく異なる
・お店:エレバンのVana Khurjinでは小さいサイズのフルジンがお手頃で食べられるのでおすすめ!
マンティ 定番!

アルメニアの餃子料理と言えば、マンティ(Manti / Մանթի)。
かつてシルクロードを通して東方から伝わった餃子は、アルメニアで独自の進化を遂げました。
トルコなど近隣国にも「マントゥ(Mantı)」という餃子料理はありますが、最大の違いはその調理方法にあります。 ▼

トルコの「マントゥ」をはじめ、ロシアの「ペリメニ」やポーランドの「ピエロギ」、ジョージアの「ヒンカリ」など…
餃子の派生形料理はユーラシア大陸の多くの地域で見られますが、ほとんどはお湯で茹でて調理される水餃子スタイルです。
いっぽうのアルメニアの餃子・マンティは、オーブンでカリカリに焼き上げる「ベイクド餃子」。
他にこのような調理法の餃子文化がある国は、おそらく存在しないのではないでしょうか。


パリパリ&サクサクに焼きあがったマンティには、おろしにんにくをまぜたヨーグルトとトマトペーストをかけて食べるのがアルメニア流。
また、店によってはチキンブイヨンが付いてくることもあり、鶏の芳醇な風味が詰まったブイヨンをどーんとかけて味変するのも楽しみ。
まずはそのまま、次にヨーグルトやスパイスをかけて、最後にチキンブイヨンでスープ風に…と、まるでひつまぶしのような料理です。


独特のベイクド食感や食べ方はもちろん、ミント等のハーブが効いた牛ひき肉の風味とソースのハーモニーも極上のマンティ。
アルメニアでしか食べることができない料理なので、絶対に一度は挑戦するべきです!
・予算:1500AMD~(=¥600)
・お店:エレバンのMarilda Caféではお手頃価格で食べられます!
アルメニア料理:煮込み料理

アルメニアの家庭的な味にふれたいなら、煮込み料理に挑戦したいもの。
特別なスパイスはほとんど用いられず、じっくりと時間をかけて肉や野菜の旨味が引き出された絶品ばかりです。
ムショ・トルマ 定番!

アルメニアの煮込み料理の代表と言えば、トルマ(Tolma /տոլմա)の右に出るものはありません。
ぶどうの葉やキャベツなどで、挽き肉やお米などの具を巻いて煮込まれた料理の総称がトルマで、アルメニアにはなんと60種類ものトルマが存在するのだそう。
最もポピュラーなのはぶどうの葉を使用したもので、他のトルマと区別するために「ムショ・トルマ」(Msho tolma/Մշո Տոլմա)と呼ばれることが多いです。

トルマづくりにはとにかく手間と時間がかかるため、アルメニアでは「トルマ=特別な機会やお祝いごとで出す料理」という認識。
毎日の食卓に出てくるような料理ではなく、レストラン等でもある程度の価格がするのが普通です。
トルマの中の具は、牛挽き肉とお米が定番。
スパイスは用いられず、軽く塩胡椒をしてトマトペーストで具に味付けをしたものを巻き、お湯で茹でて調理されるのも独特です。
優しい味わいで、肉の旨味とぶどうの葉独自のほろ苦さが絶妙なムショ・トルマには、マツン(ヨーグルト)をたっぷりかけて食べるのがアルメニア流。
アルメニアに来たからには、絶対に食べておきたい伝統料理です!
・予算:1500AMD~2500AMD(=¥600~¥1000)
・お店:エレバンのYerankyuniの看板メニューです。
㉜アマライン・トルマ 定番!

ぶどうの葉ではなく、野菜の内側をくりぬいたものに挽き肉や米を詰めて煮込んだものは、「アマライン・トルマ」(Amarrayin Tolma / Ամառային տոլմա)と呼ばれます。
直訳するなら「夏のトルマ」。
その名の通り、パプリカやトマトなど夏野菜がメインに使用されるのが特徴的です。
アルメニアの家庭では、ブドウの葉のムショ・トルマよりも、手に入りやすいキャベツやトマト、パプリカなど色々な野菜で作るトルマの方がポピュラーです。


トルマを煮込む際は、味のついたスープではなく少量のお湯を使うのがポイントだそう。
中に詰めた具にトマトペーストや塩胡椒などで下味をしっかりとつけておくことで、お湯に旨味を染み出させ、野菜から出る水分で自らトルマが煮込まれてくれるように調理するのだとか(宿のおばちゃん談)。
↑トルマの定番はブドウの葉で巻いたものだけど、家庭ではどんな野菜で作っても良いそう🇦🇲
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の翻訳してる人 (@nobuyo5696) July 15, 2021
今回はナス、パプリカ、トマトなど夏野菜がメインのトルマ。
挽肉と米を各種ハーブで味付けしたものを、くり抜いた野菜にぎっしり詰めてコトコト煮込む。
(赤ちゃんレベルののぶよのロシア語、恥ずかしい😇) pic.twitter.com/cIWTU5xwm3
1時間ほどじっくりコトコトと煮込まれたトルマは、ブイヨン等を使わずにお湯で煮込まれたものだとは信じられないほどに深いコクと味の染み込み具合。
アルメニアの食文化の素晴らしい点が詰まった一品に、感動間違いなしです!
・予算:1500AMD(=¥400)
・お店:安く食べたいならKaras Restaurantにもあるので節約派にはおすすめ!
パスツ・トルマ

トルマのベジタリアンバージョンが、パスツ・トルマ(Pasuts tolma / պասուց տոլմա)。
見た目こそブドウの葉やキャベツで具を包んだトルマそのものですが、肉はいっさい使われていません。
ひよこ豆やレンズ豆を潰したものとお米、ハーブ類がギュッと詰め込まれていて、あっさりした味付けと豆類のホクホク食感がとても良い感じ。
お肉は入っていませんが、タンパク質をはじめとした栄養たっぷりです。


今でこそベジタリアンの旅行者の間でポピュラーとなったパスツ・トルマですが、もともとは「メズ・バフク(Մեծ Պահք)」と呼ばれるイースター前の肉を絶つ期間に食べられるもので、宗教的な意味合いを持つ料理。
「世界最古のキリスト教国」であるアルメニアの伝統が感じられる一品です。
・予算:800AMD(=¥320)
・お店:エレバンのKaras Restaurantで食べました。
ハリサ おすすめ!

続いて紹介するのも、キリスト教国・アルメニアの伝統が感じられる料理、ハリサ(Harissa / Հարիսա)。
麦と鶏肉にバターを混ぜて炊き上げたもので、「アルメニア風おかゆ」といったところでしょうか。
鶏の旨味とバターのコクが染み込んだ麦おかゆは、とにかく美味しいです。
大量のバターが使われてはいるものの、味付けはとてもあっさりなのでぺろりと平らげてしまえるはず。
ハリサの名前の由来
「ハリサ」という料理名は、古アルメニア語の「ハレク(Hareq / Հարեք )=混ぜる」から来ているそう。
301年にアルメニアを世界初のキリスト教国とした啓蒙者グレゴリウスが、ホル・ヴィラップ修道院の地下牢から解放された際、貧しい民衆に羊肉とバターを煮込んで振舞おうとしました。
しかしながら、あまりに多くの人が集まったため羊肉の量が足りず、かさましとして麦を大量に入れることに。
水分を吸った麦が鍋の底にこびりついてしまったのを見た啓蒙者グレゴリウスは「ハレック・ザー(Hareq zsa / հարեք զսա)=それを混ぜろ!」と命じました。
それ以来、肉とバターを入れて麦を炊いたこの料理は「ハリサ」と呼ばれるようになり、1700年以上経った現在でも人々に愛され続けています。

もともと宗教的な意味合いを持つ料理・ハリサは、現在でもイースターの定番であり、世界最古のキリスト教国・アルメニア人々の誇りそのものです。
・予算:950AMD(=¥380)
・お店:エレバンのKaras Restaurantで食べました。
ハシュラマ 定番!

アルメニアの煮込み料理の代表格であり、この美食大国の「美味しい!」が詰まった一品がハシュラマ(Khashlama / Խաշլամա)。
骨付きの羊肉を野菜とともにじっくりと煮込んで、仕上げに大量のハーブをのせたものです。
お隣ジョージアのカヘティ地方の名物グルメにも、まったく同じ名前の「ハシュラマ」という料理が存在するのですが、材料も調理法も完全に別物です ▼


名前的にルーツは共通なのでしょうが、もはや見た目からして何一つ共通点はなし…
調理法も味も大きく異なります。
・ジョージア:牛肉だけをお湯で茹でて、大量のニンニクと塩コショウで味付けしたもの
・アルメニア:羊肉を野菜とともにトマトベースのスープで煮込んだもの(ニンニクは入らない)
ジョージアのハシュラマは、ものすごく豪快で大味。
ニンニクを大量に入れることで、牛肉特有の臭みを消しています。
いっぽうのアルメニアのハシュラマは、人参やセロリなどの香味野菜とともに羊肉を長時間煮込むことで肉の臭みを消す調理法。
骨や野菜からスープに染み出した旨味が絶品です。


隣同士の二国の対照的な食文化を象徴するような料理・ハシュラマ。
のぶよ的には完全にアルメニアのハシュラマの方が好みなのですが、気になる人は実際に食べ比べてみるのがおすすめです!
・予算:2500AMD(=¥1000)
・お店:エレバンのKER U SUSにて。
ペリメニ

ロシア由来の水餃子・ペリメニ(Pelimeni / Պելմենի)は、アルメニアでもポピュラー。
レストランでも食べられますし、冷凍のものも格安で売られているので、節約派旅行者の強い味方でもあります。
一般的にはチキンブイヨンで茹でたスープ料理として食べられるペリメニですが、のぶよが生み出した「アルメニアらしいペリメニ」の調理法があります。▼

タンというヨーグルトドリンクでペリメニをゆでるだけなのですが、これがものすっっっごく美味しいです。まじで世紀の大発見さながら。
タンの酸味とコクが肉汁たっぷりのペリメニと見事にマッチし、「これ以上に美味しいペリメニの食べ方はない!」と思っていました。が…
アルメニア人が作ってくれたペリメニは、のぶよの「タン・ペリメニ」に負けない美味しさ&独創性だったのです。 ▼

とにかくトマト味が大好きなアルメニア人らしく、チキンブイヨンとトマトペーストを合わせたスープでペリメニを煮込んだだけ。
それなのにどうしてこんなに美味しくなるのでしょう。
トマトソースのコクと甘酸っぱさが、ペリメニの具の肉の風味と最高のハーモニーを醸し出しています。
「アルメニアン・ペリメニ」と勝手に名付けた、トマトソースのペリメニ。
冷凍ペリメニが手に入る場所であればどこでも再現可能なので、ぜひ一度、感動体験を分かち合いたいです!
キュフタ

アルメニアで一度は食べたいミートボールが、キュフタ(Qyufta / Քյուֆթա)。
トルコやバルカン諸国では「キョフテ」「チュフタ」などと呼ばれ、調理法はグリルか煮込みのいずれかであることが普通ですが、アルメニアの調理法は独特。
巨大なミートボールをお湯の中で茹でたものを、薄くスライスして提供されるのです。


アルメニアでは「キュフタ=茹でたもの」。
トルコのようにグリルして提供されることはまずありません。
茹でてあるため、まるでソーセージの中身だけ食べているようなもってりと弾力のある食感が特徴的。
これはこれでアリですが、のぶよ的にはグリルの方が好きかも…
アルメニアにはキュフタで有名な町がいくつかあり、そのうちの一つがセヴァン湖エリアのガヴァルという町。
ガヴァルは隠れた美食の里で、キュフタ以外にもパフラヴァが美味しいことでも有名。グルメ旅にはピッタリの旅行先です!
・予算:1000AMD(=¥400)
・お店:ガヴァルの市場内の謎の食堂で食べました。
エチミアジン・キュフタ

すでに紹介した茹でミートボール「キュフタ」ですが、アルメニアには地域によっていくつか調理法のバリエーションがあります。
その一つが、エチミアジン・キュフタ(Echmiadzin qyufta/Եչմիածնի քյուֆտա)。
世界遺産の宗教都市エチミアジンの名物料理とされますが、エレバンの店では「タヴァ・キュフタ」(Tava Qyufta=「皿にのせたキュフタ」の意味)と記載されている場合もあります。
エチミアジン・キュフタの最大の特徴は、お湯で茹でた巨大なキュフタをさらに油で炒めて調理する点。
店によってはキノコや玉ねぎが入ったり、トマトペーストを加えて汁っぽくする場合もあります。


油で炒められることで何が変わるのかと言うとですね…特に何も変わりません(笑)
キュフタ独特のもってり食感は健在で、強いて言うなら、きのこや玉ねぎなど他の具材の風味が染み出した油のおかげで若干風味豊かになったかな…?くらいです。
とはいえ、アルメニア人にとっては、お湯で茹でただけの普通のキュフタとエチミアジン・キュフタは完全なる別物という認識だそう。
謎料理・キュフタの本質を理解するには、のぶよはまだまだ修行が足りないのかもしれません…
・予算:2500AMD(=¥1000)
・お店:エチミアジンのAgapeにて
ストロガノフ

ロシア由来のストロガノフ(Stroganov / Ստրոգանով)は、アルメニアでもポピュラーな煮込み料理。
ストロガノフ=ビーフのイメージがありますが、アルメニアには豚肉や鶏肉を使ったバージョンもあります。
クリームで煮込んだお肉の柔らかさとコクの深さに、大量の野菜の旨味とハーブの爽快な口当たり…
付け合わせのポテトとの相性も抜群でとても美味しいです!
・予算:1200AMD(=¥480)
・お店:セヴァンの”Maku”で食べました。
コロリク

アルメニア全国でポピュラーなコロリク(Kololik / կոլոլիկ)は、牛肉とお米を丸めたミートボールのこと。
キュフタに比べると大きさはかなり小さくひと口サイズで、茹でて調理されることはありません。
コロリクは地方色が色濃い料理で、地域ごとに異なる調理法がされるもの。
最もポピュラーなのは、コロラコヴァプールというスープの具として食べることです。
また、北部のシラク地方では、各種野菜と一緒にオーブンで焼き上げるシラク風コロリクも定番です。
・予算:900AMD(=¥360)
・お店:ギュムリのGwoog Gastrohouseのメニューにあります。
アルガナク おすすめ!

のぶよ的にアルメニア料理で最も感動したものの一つが、アルガナク(Arganak / արգանակ)。
コロリク(お米入りミートボール)をチキンブイヨンで煮込み、卵とレモンで味付けしたものです。
「チキンブイヨンと卵とレモン」と聞くと、なにやら不思議な組み合わせな感じがしますが、これが最強のコンビネーション。
野菜と肉の旨味が染み出したスープに卵のコクが加わり、レモンの酸味がほのかに感じられる上品な味になります。
特別なスパイスは何一つ必要ない家庭の味なので、日本でも簡単に再現することができます!
ピティ

お隣のアゼルバイジャン料理由来のピティ(Piti / Փիթի)は、アルメニアでもポピュラーな煮込み料理。
羊肉とひよこ豆、各種野菜を陶器の壺の中で煮込んだもので、サフランを使って鮮やかな黄色のスープに仕上げます。

アゼルバイジャンでは、羊肉を壺から取り出してスープと別々に食べるのが定番だそうですが、アルメニアでは煮込み料理としてスープも肉も一緒に食べられます。


スパイスが香る奥深い味のスープは、アルメニア料理においては異色の味わい。
コーカサス地域の食文化の多様性が感じられる一品です。
・予算:1400AMD(=¥560)
・お店: ヴァナゾルの”Hayeni cafe”で食べました。
ボズバシュ

アルメニアの羊肉のシチューが、ボズバシュ(Bozbash / Բոզբաշ)。
お隣のアゼルバイジャンやイランでもポピュラーな料理ですが、アルメニアのボズバシュは少々独特。
・羊肉や野菜を炭火でグリルしてから煮込む
・地方によってリンゴやカリンなどの果物が入る
じっくりと煮込まれた羊肉は、とろっとろ食感で天国そのもの。
炭火で焼いてから煮込まれるため、スープに独特の香ばしさが染みわたり、それはそれは美味しいです。
・予算:1200AMD(=¥600)
・お店:アラヴェルディの“Atorik” / ギュムリのGyumri Hatsatunで食べられます。
アユラザン 定番!

アルメニアの夏の定番料理が、アユラザン(Aylazan / Այլազան)。
ナスをメインに、ズッキーニやパプリカ、トマトなどの野菜をトロトロになるまで煮込んだ夏野菜シチューで、肉は入っていません。
野菜の旨味がふんだんに染み出したスープが美味しいのは言わずもがな。
仕上げに大量にのせられるハーブも、スッキリとした味わいを加えてくれます。
・予算:800AMD(=¥320)
・お店:アラヴェルディの“Atorik”で食べられます。
ソウス

アルメニアの食堂飯としてたまに見かけるソウス(Sous / Սոուս)は、牛肉をほろほろの状態になるまでじっくりと煮込み、トマトやハーブで味を調えたもの。
玉ねぎやじゃがいもなどの野菜が入るのも定番で、各家庭でも作られる庶民的な一品です。
濁った見た目のスープ的にこってり系料理なのかと思いきや、意外にもあっさりした味付けであるのもソウスの特徴。
見た目や牛肉を用いる点など、お隣ジョージアの「ハルチョー」に似ているように思いますが、ソウスにはスパイスはほとんど入らないため、味は完全なる別物です。


とろっとろ食感の牛肉にはしっかりと味が染みこんでおり、あっさりしていながらも深いコクが感じられる絶品。
店によって味の感じが大きく異なるので、食べ比べてみるのもおすすめです!
・予算:1500AMD(=¥600)
・お店:エレバンのKER U SUSのソウスが激うま
ハシュ

様々な煮込み料理があるアルメニアですが、中でも「これぞアルメニア!」といった風情がただようのがハシュ(Khash / խաշ)。
黄色がかった白濁色のスープは、牛の足をじっくりコトコト煮込むことでエキスを100%抽出したもの。
そのなんとも言えない独特の香りと動物感あふれる風味は、好き嫌いがきっぱりと分かれます(のぶよは苦手)。
アルメニアの中でもギュムリを中心とした北部のシラク地方がハシュの本場だとされており、極寒となる冬場に家族みんなで体を温める料理として定番。
また、二日酔いの朝にはハシュと相場が決まっていて、食堂などでは午前中しか提供されない場合も多いです。
・予算:2000AMD~2500AMD(=¥800~¥1000)
・お店:ギュムリのGwoog GastroHouseが評判高め
ケルウスス

とにかくあっさりとした味付けのアルメニア料理界における異端児がケルウスス(Ker u Sus/կեր ու սուրճ)。
牛肉を玉ねぎやパプリカ、トマトなどの野菜と炒めたもので、ポテトを添えて提供されるのが定番です。

ケルウススの最大の特徴は、アルメニア料理らしからぬ激辛な味付けにあります。
そもそもアルメニア語で「ケルウスス」は「黙って食べる」という意味。
食べると辛すぎて話すことができなくなる…ということから、この奇妙な名前が付いたのだそうです。


ケルウススの味付けはただ辛いだけではなく、野菜から出る甘味も感じられる複合的なもの。
スイート&スパイシーな味わいに、どことなくアジアの料理っぽさも感じられます。
・予算:1500AMD(=¥600)
・お店:エレバンのKER U SUSにて
トゥジュヴジク

アルメニア全土で食べられるトゥジュヴジク(Tzhvzhik/տժվժիկ)と言えば、牛レバーをニンニクやハーブと炒めた料理。
何とも子音ばかりで発音しにくい料理ですが、手軽に&安く作れることもあり、酒のつまみとしても根強い人気があります。
「トゥジュヴジク=レバー炒め」というのが多くのアルメニア人の間では共通認識ですが、ギュムリを中心としたシラク地方のトゥジュヴジクは独特。
炒める調理法ではなく、トマトやパプリカをたっぷりと入れて煮込む調理法で提供されるのです。

牛レバーならではの独特の風味は健在ながらも、濃い目に味付けされた煮汁のおかげで臭みは気にならずに食べられるのが◎
どこの店でも比較的安く提供されており栄養満点なので、ギュムリ滞在中に一度は挑戦してみましょう。
・予算:750AMD~1000AMD(=¥300~¥400)
・お店:一般的な炒めたバージョンならエレバンのQarvansara/シラク風の煮込みバージョンならギュムリのGyumri Hatsatun
ホホップ

さてさて…お待たせしました。数あるアルメニア料理の中でのぶよが最もおすすめする一品が、ホホップ(Khokhop/խոխոպ)です。
ホホップとは、鶏肉をざくろの果肉とともに煮込んだ「鶏のざくろ煮」。
日本人的には未知の組み合わせだと思いますが、鶏の香ばしい油や旨味がざくろの甘味や酸味と見事に融合し、人生観が変わるレベルの美味しさが味わえます。


ホホップはざくろの名産地であるアルメニア南部地域でよく食される料理だそうで、エレバンで提供するお店は激レア。
他の料理に比べてやや値が張りますが、絶対に後悔させないのでぜひとも食してほしいです…!
・予算:3000AMD~3500AMD(=¥1200~¥1400)
・お店:エレバンだとYerankyuniで食べられます!
アルメニア料理:デザート・飲み物類

アルメニアで忘れてはいけないのが、スイーツ文化です。
お隣のトルコやジョージアとは異なり、アルメニア人はかなりのコーヒー党。
ほろ苦い「アルメニアン・コーヒー」に合うように作られた、上品な甘さが際立つ絶品スイーツの宝庫なのです。
また、歴史的にアルメニアとの結びつきが強いフランス(大虐殺の際に多くのアルメニア人を受け入れた)の影響で、ケーキや焼き菓子の文化が発達しているのも面白い点です。
㊹タン 定番!

アルメニアの国民的ドリンクと言えば、タン(tan / թան)の右に出るものはないでしょう。
ヨーグルトを水っぽくしたような感じで、トルコやバルカン半島でポピュラーな「アイラン(Ayran)」と似たようなドリンクです。(アイランよりも水っぽさが強めな気がする)
ホロヴァツなどBBQのお供となる飲み物といえばタンですし、タン・ペリメニのように料理に使える場合も。
タンにもいくつか種類があり、炭酸入りのものもポピュラーです。
「ヨーグルトに炭酸…?」と疑問に思う組み合わせですが、これはこれでアリ。
灼熱となる夏場にグイッとタンを飲み干すときの「三ツ矢サイダー」的な青春っぽさ(?)は、アルメニアで一度は体験するべきかも。
・予算:150AMD(=¥60)
・お店:どこでも。商店で普通に変えますし、ホロヴァツ屋なら必ず置いてあるはず。
アルメニアン・ティー

ほとんど知られてはいないものの、アルメニアは美味しいお茶の宝庫。
アルメニア語では「ティ」(tej/թեյ)と呼ばれ、緑茶も紅茶もハーブティーも含めた総称となっています。
さまざまな種類のお茶が飲まれるアルメニアですが、特筆すべきはハーブティーの豊富さ。
標高が高いギュムリやセヴァンなどの地域では、周辺の山々に自生するハーブや花を乾燥させたものをお茶っ葉とブレンドしたものが名物となっています。

また、普通の紅茶や緑茶にみかんの皮や乾燥させたチチュハンの実を混ぜて香りづけをしたものもポピュラー。
市販の紅茶を購入して各家庭でオリジナルのブレンドがされることも多く、全国津々浦々でさまざまなフレーバーに出会えます。

また、アルメニア人には緑茶に砂糖を入れずに渋みを楽しむ人が多いというのも面白い点。
欧州などでも緑茶はポピュラーですが、基本的に砂糖を入れて甘くする場合が多いので、日本と同様の渋い緑茶を楽しむ文化はとても貴重だと思います。
・予算:300AMD~600AMD(=¥120~¥240)
・お店:どこの店のメニューにもあります。
アルメニア風コーヒー

すでに触れた通り、アルメニアはとにかくかなりのコーヒー文化が根付く国。
アルメニア語でコーヒーは「スルチ」(Surch/Սուրճ)と呼ばれ、朝も昼も夜も、アルメニア人は一日に何杯もコーヒーを嗜むのです。
近年のエレバンでこそ、欧米風のフィルターコーヒーやエスプレッソを出すカフェが増えてきていますが、アルメニアの伝統的なコーヒーと言えば、コーヒー粉にお湯を加えて熱した状態のものの上澄みだけ飲むスタイル。
いわゆる「トルコ式コーヒー」なのですが、アルメニアでは「アルメニア風コーヒー」と呼ばれます(ここで何かを察するのぶよ)。

客人が来た際にはまずはコーヒーを出すのがアルメニアでは当たり前。
ゲストハウスに宿泊する際などは、チェックインの前に「スルチ?」といの一番に尋ねられることも多いです。
クヴァス

日本の夏の風物詩と言えば麦茶ですが、アルメニアをはじめとした旧ソ連圏の夏の風物詩と言えば、クヴァス(Kvas / կվաս)。
麦芽を発酵させて砂糖を加えた飲み物で、ほんのりと甘い風味とスッキリした後味が特徴です。
キンキンに冷やした状態で提供されるので、散策のリフレッシュにも最適。
一口飲むだけで「ああ…旧ソ連圏に来たんだなあ…」と感じさせてくれるアイテムです(のぶよ的には)。
夏になると、レトロなタンクを備えたクヴァス売りが街のあらゆるところに出現します。(みんな冬は何やってるのか不思議)
町ゆく人々が引き込まれるかのようにカップに入ったクヴァスを購入し、その場でクイっと一杯立ち飲みしていく…
そんな光景もアルメニアの夏を象徴するものです。
・予算:50AMD(=¥20)
・お店:エレバンの南バスステーション付近で飲みました。
アルメニアン・ワイン 定番!

アルメニアは、もともと「ワイン発祥の地」として自国PRをしていた国。
2011年にアルメニア中部のアレニで6000年前のワイナリーの遺跡が発見され、「世界最古のワイン製造跡」として観光PRの起爆剤にしようと活気づいていた矢先のこと…
2015年にお隣ジョージアで発見されたクヴェヴリ(ワイン醸造用の甕)が8000年前のものだと判明してしまい、あれよあれよという間に完全に持っていかれる形となりました。
8000年前だろうと6000年前だろうと気の遠くなるような昔のことで、いずれもものすごいことなのですが、「アルメニア=ワイン」のイメージを世界に発信することはできませんでした。
アルメニア語では「ギニ(Gini / Գինի)」と呼ばれるワイン。
「ワインづくりに人生をかけている」と言っても過言ではないお隣ジョージアに比べると、アルメニアのワイン文化はかなり薄めな印象です。
ジョージアのように、そこら中でペットボトルに詰めた自家製ワインが売られている(そして昼間っからおじさん達が酒盛りしている)光景はほぼ見られないですし、そもそもアルメニア人はあまりアルコールを多く摂らない人が多い気もします。
…まあ、すべて「ジョージアに比べると」という但し書きは付きますが。あそこはみんな飲みすぎ(笑)

アルメニアのワインは、概して甘めの口当たりのものが多く、名産のザクロやサクランボ、アプリコットを使ったワインなど、アルメニアらしいフルーツワインの種類が多いのも特徴的です。
普段からがぶがぶとワインを飲む文化こそ強く根付いていませんが、6000年の歴史を持つアルメニアのワイン文化は見逃せないもの。
国内にはワイナリーも点在しているので、ワイナリー巡りの旅もおすすめです!
アルメニアのワインで最もポピュラーなのは、
・イジェヴァン(Ijevan)
・アレニ(Areni)
のいずれか。
どちらも町の名前がそのままついており、いずれの町にもワイナリーが点在しています。
予算はピンキリですが、最も安いもので1800AMD(=¥720)~です。
フルーツワイン

ぶどうから作られるワイン以外にも、アルメニアではありとあらゆる果物を用いたフルーツワインがポピュラーです。
アルメニア語で「ミカイン・ギニ」(Miqayin gini/Մրգային գինի)と総称されるフルーツワイン。
旅行者の間で最もポピュラーなのは、やはりざくろのワインでしょう。
アルメニアのざくろワインは、セミスイートが基本。
嫌な甘さはなくすっきりとした味わいで、ざくろならではの渋みや芳醇さも存分に感じられます。


ざくろ以外にも、アルメニアのフルーツワインはとにかく種類豊富。
ラズベリー、ブラックベリー、ブルーベリーなどのベリー系から、洋ナシやアプリコットなどの果物、日本ではのど飴くらいでしか耳にしないカリン(花梨)までもが、ワインにされます。

ワインなので値段は商品によって大きく変わり、味もピンキリではあるものの、せっかくアルメニアに来たなら数種類のフルーツワインを試したいもの。
のぶよ個人的なおすすめは、ざくろのワインとブラックベリーのワインです!
アルメニアン・ビール

アルメニアはビール好きでも満足できる国。
アルメニア語ではガレジュール(Garezhur / Գարեջուր)と呼ばれ、どこでも気軽に注文することができます。
アルメニアのビールで面白いのが、各都市ごとに町の名前を冠した銘柄が作られている点。
・エレバン:Kilikia/Erebuni(いずれも「エレバン」の古い呼び方)
・ギュムリ:Gyumri/Alexandropol(ロシア帝国時代の旧名)
・ディリジャン:Dilijan
・コタイク地方:Kotayk
・アララト地方:Ararat
アルメニア各地のビールを味わう旅…素敵ではないでしょうか。
また、近年は都市部を中心にクラフトビールの人気も高まってきています。
ワインを観光PRの起爆剤にする作戦はジョージアに持っていかれる結果となりましたが、ビールで推していくのも良いのでは?と、ビール党ののぶよ的には応援したいです。
オギ おすすめ!

ワインよりもビールよりも、アルメニアの人々がこよなく愛するアルコールが、オギ(Oghi / Օղի)。
いわゆる「ウォッカ」のことですが、アルメニアのウォッカはまじで美味しいです。
ほのかな甘みとフルーティーな香り、のどごしの良さが特徴的で、アルコール度数の高さを感じさせないほどにスッキリとした後味。
…とはいえ、ウォッカなので飲みすぎは危険です(笑)
アルメニアではウォッカは買うものではなく、自分の家で作るもの。
自家製ウォッカを瓶に詰めたものを持ち歩く人も多く、ちょっと地元の人と話しただけで「ウォッカ飲むか?」という流れになるのもお約束。(そしてみんなちゃんと紙コップも常備している)
強いアルコールが得意ではない人にも、一度は挑戦してみてほしいです。本っっっつ当に美味しいので。
コニャック 定番!

アルメニアと言えばコニャック(Cognac / Կոնյակ)をイメージする人も多いのではないでしょうか。
コニャックとは、いわゆるブランデーのこと。
エレバンには二か所の有名コニャック工場があり、観光客向けに試飲ツアーも開催されています。
アルメニアの物価を考えると、コニャックはかなりの高級品。
特別な機会に年代物のコニャックを開封するくらいで、普段飲みの場にはまず出てきません。
いっぽうで、外国人が客として現地の人の家を訪ねると、おもむろに棚からよさげなコニャックを出してくれる…なんてことも。
そうした場合には、ありがたくいただいておくのが良いと思います。
エレバンには2つの有名コニャック工場があります。
・エレバン・ブランデーカンパニー(Yerevan Brandy Company)
・NOY ブランデーカンパニー(Yerevan Noy Wine Brandy Vodka Factory)
4500AMD(=¥1800)~で工場見学&試飲ツアーに参加できますよ!
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チチュハン

9月か10月にセヴァン湖周辺エリアを訪れるなら、絶対に覚えておきたいのがチチュハン(Chichkhan / չիչխան)。
日本では「サジー」と呼ばれる木の実で、その栄養価の高さや美容への絶大な効果から「スーパーフルーツ」と言われているそう。
セヴァン湖周辺ではこのスーパーフルーツが自生していて、秋になるとオレンジの実をつけます。
日本ではかなり高価だそうですが、アルメニアでは取り放題食べ放題。そう、美容天国そのものなのです。


「良薬口に苦し」とはよく言ったもので、チチュハンを絞った100%ジュースはとても苦くて酸っぱいです。
しかしながら、一口飲むだけで体が喜んでいるのが実感できるはず。健康に良さそうなのが舌で感じられます。
地元の人の間では、砂糖水にチチュハンを漬けこんで「コンポート」と呼ばれるジュースにしたり、ジャムに加工して食べるのが一般的。
セヴァン湖周辺ではチチュハンを使用したドリンクが置いてあるカフェもあるので、滞在の際にはぜひ訪れてみるのがおすすめです!
・予算:1000AMD(=¥400)/500ml
・お店:セヴァンの Bohem teahouse にはチチュハンのワインやお茶があります!
コンポート

旧ソ連圏全域でポピュラーなコンポート(Kompot/Կոմպոտ)は、フルーツに砂糖と水を加えて煮込んで作られる甘いドリンク。
程良い甘味とスッキリした後味が特徴的で、基本的に冷やした状態で飲まれます。
フルーツ王国であるアルメニアは、コンポートの種類もとにかく豊富。
定番のりんごや桃はもちろん、チチュハンやざくろやアプリコット、しまいには松ぼっくりのコンポートまで何でもござれです。▼

スーパーマーケットに行けば数十種類のコンポートが並んでいますし、レストランでも「自家製コンポート」がメニューにある店もたくさん。
アルメニアが誇るフルーツの美味しさをたっぷり味わうことができます。
ドライフルーツ

フルーツ王国であり保存食王国でもあるアルメニア。
この厳しい気候の高地に位置する国で古くから人々に愛され続けてきたのが、ドライフルーツです。
アルメニア語では「乾いた」という意味の「チュレル」(chrer/չրեր)と呼ばれ、乾いている=ドライフルーツという方程式が成り立つほどに、アルメニアの食文化のシンボルのような存在です。


アルメニアのスーパーでは、美しく並べられたドライフルーツ盛り合わせがどこでも売られているもの。
盛り合わせ以外にも、アプリコットだけ/ぶどうだけ…といったように各種類を単体で購入することも可能です。
アルメニアでは、コーヒーや紅茶のお供のスイーツとしてドライフルーツが出てくるのもポピュラー。
それ以外にも冬場のビタミン源としての役割もあり、スープにしたりご飯と一緒に炊いたりサラダにしたり…と、変化自在の魔法の食材として機能します。
100%ナチュラルのアルメニアのドライフルーツは、どれも素朴な甘味で果物本来の風味が存分に感じられるもの。
滞在中に一度は口にする機会があるでしょうし、見た目にも綺麗&保存が効くのでお土産にもぴったりです!
マツン

アルメニアのヨーグルトと言えば、マツン(Matsun/Մածուն)の右に出る物はありません。
一般的なヨーグルトとは少し異なる独自の乳酸菌を使用して発酵させるのがマツン最大の特徴であり、絶対条件。
アルメニアのマツンは、やや酸味が強めでコクが深い味わいが特徴的です。
日本では「ヨーグルト=甘いもの」というイメージがあまりにも強いですが、アルメニアのマツンはむしろ甘くない状態で使用する「調味料」のようなポジション。
肉料理のソースとして用いたり、豆を煮込んだり、小麦粉料理にかけたり…と、とにかくアルメニア料理のあらゆる場面で使用されます。
マツン/マツォーニの発祥論争
ワイン、ハシュラマ、ドルマ…とにかく色々と発祥論争が絶えないジョージアとアルメニア。
マツン(ジョージア語では「マツォーニ」)に関しても発祥論争があり、なんと国際問題にまで発展しました。
ジョージア側が「マツォーニはジョージア独自の菌を用いたジョージアの食文化ッ!」として国際機関に勝手に登録しようとしたところ(まじでジャイアンみたいな国)、アルメニアが激怒。
なんとアルメニア政府じきじきにジョージア側に抗議するという流れになり、ジョージア側も結局申請を取り下げることになりました。
歴史的研究では、マツンは完全なるアルメニア発祥の乳製品。
それがジョージアに伝わり「マツォーニ」とジョージア語化されたものであるという結論が出ています。
のぶよの経験では、ジョージアはとにかく何でも自分たちが生み出したものとしたがる人が多く(日本の近くにもそういう国あったねえ…)、アルメニア人の多くはそれに対してものすごく不満を感じています。
ジョージアで「これはジョージアの伝統的な料理で…」というフレーズを耳にしたら、まあ話半分で理解しておくのが賢明だと思います。
ポンチク 定番!

旧共産圏の定番スイーツといえば、ポンチク(ponchik / պոնչիկ)。
名前からして可愛らしいポンチクは、カスタードクリームがたっぷりと入った揚げドーナツのこと。手軽にどこでも購入できるとあって、老若男女問わず人気のスイーツです。
エレバンをはじめ、アルメニアの大部分で一般的なのは上の写真のような平べったい形のポンチクですが、古都・ギュムリの名物ポンチクは形が大きく違います。 ▼

中に空気を入れながら揚げることで、まん丸の球体ポンチクのできあがり。
ギュムリでしか食べられないローカルグルメのひとつなので、旅行の際にはぜひお忘れなく!
・予算:120AMD~250AMD(=¥48~¥100)
・お店:エレバンなら“Grand Candy”が定番。ギュムリなら“Ponchik Monchik”一択です!
エクレール

フランスの焼き菓子文化の影響が感じられるエクレール(Ekler / Էկլեր)もアルメニアの名物。
名前自体はフランス菓子の「エクレア」(カスタードクリーム入りの焼き菓子をチョコレートでコーティングしたもの)ですが、見た目は完全にシュークリームのようです。

一口かじってみると、中からカスタードグリームがとろ~り。
生地はシュークリームよりも硬めで、エクレアのサクサク生地に近いです。
甘さ控えめで軽く食べられるのも◎
アルメニアン・コーヒーや紅茶のおともにピッタリです!
・予算:100AMD(=¥24)
・お店:エレバン中心街の名もなきお菓子店のものが美味しかったです!
ガタ 定番!

アルメニアの国民的菓子パンといえば、ガタ(Gata / Գաթա)。
小麦粉に卵や砂糖を混ぜて甘くした生地をオーブンで焼き上げたもので、子供から大人までみんな大好きな定番スイーツです。
ガタの定番は直径25cmほどの円形のガタですが、四角形のガタやパイのように数層に重ねて焼いたガタなど、地域によって形や表面の模様が大きく異なるのもポイント。
一般的にはパン生地だけを焼き上げますが、ドライフルーツを入れて焼く地域もあるそうです。


ガタで有名なのが、世界遺産のガルニ神殿があるガルニ村。
ガルニのガタは表面に美しい模様が浮かび上がるように焼かれるのが特徴的で、名産の蜂蜜をたっぷりと使用した素朴で味わい深い甘さが大人気です。
・予算:1000AMD~2000AMD(=¥400~¥800)
・お店:スーパーなどで気軽に購入可能ですが、ガルニ村の焼きたてガタは本当に美味しいのでぜひ!
スジュフ

フルーツ果汁を乾かして作るスジュフ(Sujukh / Սուջուխ)も、お土産の定番。
くるみやナッツ類を糸に通して棒状にしたものを軸にして、フルーツ果汁と小麦粉を混ぜた液体につける→天日干し→また液体につける…を数回繰り返して作られる、かなり手が込んだスイーツです。

お隣ジョージアの「チュルチュヘラ」と似ている(というかほぼ同じ)ものなのですが、アルメニアのスジュフの方がナッツ類が多めでゴツゴツした見た目。
ジョージアのチュルチュヘラは、フルーツグミのようなグニャッとした柔らかい食感がメイン/ナッツ類のカリカリ感はアクセント といった感じ。
対するアルメニアのスジュフはナッツ類の存在感が大きめで、カリカリ感が強いように感じました。
(まあ同じ材料&工程なので、どちらも同じようなものですがね…)
・予算:600AMD(=¥240)
・お店:スーパーなどで気軽に購入可能です。
パフラヴァ おすすめ!

アルメニアに来たなら絶対に食べたいスイーツが、パフラヴァ(Pakhlava / Փախլավա)。
「バクラヴァ(Baklava)」とも呼ばれ、中東地域~トルコ~バルカン半島まで広いエリアで食される焼き菓子ですが、アルメニアのパフラヴァは本当に美味しいです。
特徴的なのがサイズの大きさ。
トルコやバルカン半島では一口サイズの小さなバクラヴァが普通ですが、アルメニアのパフラヴァはでかい&ずっしりと重たいのです。


アルメニアのパフラヴァはナッツ類をこれでもか!と大量に使用するため、カリカリした食感が特徴的。
トルコのバクラヴァは生地のサクサク食感がメインですが、アルメニアでは「パイ生地はついで」といった感じです。
糖蜜ではなく、名産のハチミツが使用されるのも◎
たっぷりとハチミツを染み込ませた生地とナッツ…一度食べたらやみつきになってしまう美味しさです。
「アルメニアで一番美味しいパフラヴァが食べられる」と有名なのが、セヴァン湖エリアのガヴァルという町。
地産のハチミツやナッツをふんだんに使ったガヴァルの焼きたてパフラヴァは、エレバンで食べるものとはひと味もふた味も違いますよ!
・予算:1個700AMD(=¥280)
・お店:ガヴァルの”Express cafe”のパフラヴァが最強です!
モーツァルト おすすめ!

アルメニア料理56品のフィナーレを飾るのが、モーツァルト(Mozart / Մոցարտ)。
かの有名音楽家の名を冠するチョコレートケーキなのですが、そのネーミングセンスはだてじゃありません。
今まで食してきたありとあらゆるチョコレートケーキの中で、このモーツァルトがダントツでNo.1でした(まじで)。


モーツァルトは、ハチミツを染み込ませたパイ生地を数層に重ね、各層にチョコレートクリームを挟んだケーキ。
パフラヴァのチョコレート版と考えるのが近いかもしれません。
甘すぎないチョコクリームも、生地からじゅわりと染み出すハチミツも、上にのった削りチョコレートの食感も…とにかく全てがパーフェクトでした。
アルメニアど田舎の場末店の20円のチョコケーキ。人生で食べた中で一番美味しいかもって、誰が信じてくれるだろうか。
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の翻訳してる人 (@nobuyo5696) September 23, 2021
蜂蜜を染み込ませた数層のサクサク生地(パフラヴァ由来?)の各層にチョコクリーム丁寧に挟んだやつ。その名も”Mozart”。
まさにヨーロッパとオリエントの融合。神がおりはべる。 pic.twitter.com/WdsMsvYCUg
セヴァンで宿泊したホステルで食べて感動し、その後あらゆる町で探したのですが結局出会えたのはあの一度きり。(同じような見た目の類似品はあったけど、味も食感もぜんぜん違った)
見つけたらラッキーかもしれない、幻のチョコケーキ「モーツァルト」。
大げさではなく、これを食べるためにアルメニアに行く価値があると思います。
・予算:100AMD(=¥40)
・お店:セヴァンで宿泊したホステル併設の商店で売られていました。(仕入れ元きいとけば良かった…)
おわりに
知られざるアルメニアの食文化や、現地で食べたいアルメニア料理の数々を紹介しました。
情熱があり余ってかなりのボリュームとなりましたが、みなさん大丈夫ですか~?ついてこられてますか~?(笑)
今回紹介したのは、アルメニア全土で食べられる定番料理の数々。
それだけで100品もあることが恐ろしいのですが、実はこれ以外にも、アルメニアには地方食豊かな郷土料理やご当地グルメが数多く点在しています。
定番はもちろん、各地方ごとの名物グルメを制覇するのもアルメニア旅の醍醐味。
地方別の記事もいくつか書いているので、興味のある人はそちらもチェックしてください!
コメント
こんにちは、いつも楽しく拝見しています。といいますか、現在、インターネット規制がとても厳しい国に住んでいて日本でおなじみのありとあらゆるサイトやSNSがブロックされているのですが、のぶよさんのブログはなぜか(!)さくさく見られ、もはや読み物みたいなかんじで拝見してて全ページ制覇できそうな勢いです。
そして、私はアルメニアに2度ほど行ったことがあり、今まで行った国の中でもアルメニアがとても好きなのですが(1度目はジョージアとのセット旅行の予定だったのが、アルメニアの人の魅力にどっぷりはまり、一泊だけお世話になる予定だった民家にずるずる何日もお世話になり抜け出せなくなった)、のぶよさんもアルメニアを推されてて、アルメニアのページにもかなりの熱を感じ、嬉しくなりました。近々3回目のアルメニア旅行を予定してますが、参考にさせていただきます。
そしてエレバンの最強シャウルマリスト、気になります。
今後の更新も楽しみにさせていただきます。