こんにちは!コソボに10日間滞在した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
コソボと聞いてまず思い浮かぶのは、90年代後半のコソボ紛争のイメージなのではないでしょうか。
ヨーロッパで一番新しい独立国・コソボの近代史は、民族対立と紛争の歴史でした。
壮絶な紛争が終結してから20年。
被害を受けた町は見事に再建され、EUやNATOの後押しで、首都のプリシュティナを中心に開発が続くコソボは、現在では紛争の傷跡を感じさせないほど立派な独立国として成長しています。
旅行者がまだまだ少ないコソボ。
そこには紛争のイメージや、セルビアとの独立問題を含む政治的な問題が深く影響していると言えるでしょう。
しかしのぶよは言いたいです。
コソボ、完全に安全な国です!
異民族間の暴力もかなり減ってきていますし、テロや暴動もここ10年間起こっていません。
スリや旅行者に対するぼったくりもかなり少ないので、とても快適に旅行することができます。
多くの人が誤解している、コソボの治安。
今回の記事では、のぶよが訪れたコソボ国内四都市の詳しい治安の印象と、コソボ旅行の際のアドバイスや注意点を解説しています。
コソボの治安:プリシュティナ
コソボの首都・プリシュティナは、「ヨーロッパで一番若い首都」と言われます。
ヨーロッパで一番新しい国であるコソボの首都であるためなのはもちろん、その若さあふれるエネルギーに満ちた町の雰囲気のためでもあります。
プリシュティナは大都市というよりも、地方都市のような雰囲気。
中心街こそ大きな建物が建ち並んでいるものの、少し外れると普通の住宅街が広がっており、ローカル感が漂っています。
そんなプリシュティナの治安はとても良いです。
中心街で危険に感じるような場所は全くありませんし、多くの人が集まるバスステーションでさえ開放的な雰囲気です。
プリシュティナの人々は、良くも悪くも観光客に対して無関心で都会的な印象。
コソボ紛争後、EUやNATOなどの監視機関がこの町に置かれたため、多くの外国人が訪れて地元の人が外国人慣れしていることが理由だと思います。
コソボの治安:プリズレン
コソボ第二の町であり、オスマン帝国調のエギゾチックな町並みが残る世界遺産の古都・プリズレン。
コソボに来たなら絶対に訪れたい、コソボで一番の観光地です。
とは言っても、外国人観光客の姿は稀で、ほとんどがコソボ国内やお隣のアルバニアから旅行にやってくる人たち。
地元の人々があまり外国人慣れしていないためか、やたらと話しかけられたり、笑顔で手を振られたりと、コソボらしい経験ができるでしょう。
プリズレンの治安はとても良く、雰囲気の悪い場所は全く見当たりません。
中心街は夜遅くまで多くの人で賑わい、夜の一人歩きも全く問題ないほど。
コソボ第二の町とは思えない、のんびりとした雰囲気も魅力のプリズレン。
居心地も良いので、長く滞在したくなってしまうかも。
コソボの治安:ペーヤ
コソボ第三の町であるペーヤは、コソボ西部の観光の拠点。
こじんまりとした中心街にはあまり多くの見どころがないものの、コソボの人々の生活を垣間見ることができるローカル感満載の町です。
ペーヤの治安もとても良く、コソボ紛争の暗い影を感じることさえありません。
夜になると、中心街には露店が並び、さながら夏祭りのような雰囲気になります。
もちろん夜の一人歩きも全く問題ないので、ローカル気分で散策が楽しめます。
ミトロヴィツァの治安
コソボ北部に位地するミトロヴィツァは、コソボの中でも特異な町。
川を挟んだ町の北側にセルビア人、南側にアルバニア人と、民族によって居住地がはっきりとわかれている「分断の町」なのです。
コソボ紛争中には大きな被害を受け、紛争終結後も両民族の間で緊張が続いたミトロヴィツァ。
手りゅう弾が爆発する事件が起きたり、コソボ暴動の中心地となったりと、なかなかきな臭い町でもありました。
現在のミトロヴィツァは、治安面で全く問題がありません。
人々は相変わらずフレンドリーですし、両民族間の緊張も表立って見えることは稀です。
個人で訪れても全く危険を感じることはありませんが、セルビアとコソボの政情によっては急に民族対立が激化することも考えられます。
2019年現在、こうした動きは見られないものの、ミトロヴィツァ訪問の際は現地での最新情報の入手を心がけましょう。
コソボ旅行の注意点&アドバイス
ここまででお伝えしたように、コソボでは都市に関係なく治安の心配は全く必要ありません。
(紹介した都市以外の地方部に関しても、言うまでもなく安全です。)
しかしながら、コソボは日本とは異なる文化・習慣を持つ国。
複雑な歴史と安定しているとは言えない政情についても、理解しておく必要があります。
ここからは、コソボを旅行する際のアドバイスや注意点を解説していきます。
コソボではチップは必要なし!
旅行者を悩ませるチップ制度。
コソボではチップは全く必要ありません。
そもそもチップの習慣がない上に、西洋人観光客が少ないコソボでは、外国人であろうとチップを期待されていません。
基本的に請求された金額だけを払えばOK。
とても良いサービスを受けたなら、数十セント〜1ユーロほどお釣りを切り上げて残すのもスマートだと思います。
コソボの人を疑うな!受け入れろ。
国によっては、外国人旅行者に気軽に話してくる人には注意が必要なことも多いです。
旅行者を狙った詐欺師だったり、優しく接しておいて後からお金をねだられたりと、ろくなことがありません。
しかし、コソボの場合はそんな心配は杞憂に終わるでしょう。
なぜなら、やたらと話しかけてくるコソボの人々の99.99%は、興味本位や親切心によるものだからです。(のぶよ調べ)
まだまだ外国人が珍しいコソボ。
特にアジア系の人を見かけることはほぼ皆無です。
そんな珍しい外国人を見かけたら、話しかけないと気が済まないのかコソボ人たるもの。
アルバニア人の遺伝子をちゃんと受け継いでいます(笑)
また、ただ単に勉強した英語で話したいという人(特に子供や若者)も多いです。
グループでつるんでいた若者の一人に微妙な英語で話しかけられて、少し会話をして別れを告げた後、ちらりと振り返ると、仲間たちに「すげー!」と賞賛されて得意気になっているお調子者とも出会いました。
バスステーションに行って時刻表を見ていると、必ず誰かが寄ってきて教えてくれたりしますし、通りがかったカフェにいたおじさんグループに手招きされて、なぜかその場に同席させられ、ラキ(蒸留酒)をごちそうになったことも。
とにかく、コソボでは何か下心があって話しかけてくる人には一人も出会いませんでした。
人と人との距離がとても近いコソボ。
もちろん警戒心を手放さないことは大切ですが、温かい人々と触れ合える機会を逃してしまうのはもったいないこと。
少し心を開きすぎるくらいがちょうどいいかもしれません。
地雷に注意
コソボ紛争から20年。
暗い歴史に別れを告げ、未来に向かって進んでいるコソボですが、紛争の記憶を完全に消し去ることはできません。
その象徴が、セルビアとの国境地帯に未だに残る地雷。
紛争中にセルビア軍によって大量に埋められた地雷は、未だ全てを撤去することができていません。
都市部や整備されたハイキングコースでは全く問題ありませんが、人が訪れないような山間部の散策にはリスクが伴います。
コソボでトレッキングなどをする場合は、地元の観光案内所等で安全なコースを必ず確認するようにしましょう。
アルバニア語は役に立つ
コソボの人口の9割以上はアルバニア人。
したがって、アルバニア語が公用語です。
アルバニア本国では、ある程度英語でコミュニケーションがとれる人も多かったのですが、コソボ、特に地方都市では壊滅的に英語が通じません。
同じく英語の通用度がかなり低いセルビア統治の影響なのかどうかは定かではありませんが、簡単な会話でも通じないことが多くありました。
あいさつや数、「〜をください」など最低限のアルバニア語を覚えておくと、かなり便利です。
(そして人々が喜んでくれるのは言わずもがな。)
土日のバスの減便に注意
コソボの交通システムは、かなりしっかりしています。
バスステーションにはバス会社と行き先ごとに時刻表が貼り出されていますし、かなり時間に正確です。
バスステーション自体が存在せず、誰もいつバスが来るのかわかっていないアルバニアに比べると、この辺はセルビア同様にきちんとしたシステムです。
しかしなから、土日のバスのスケジュールには注意が必要。
バスステーションに貼ってある時刻表は、基本的に平日のもの。
土日はそれより減便となることが普通なのです。
首都・プリシュティナ〜地方都市間は不便を感じない程度ですが、ジャコヴァ〜ペーヤ間の減便はものすごいです。
普段は15分に1本ほど走っているバスが、2時間に1本にまで減るのですから。
コソボで土日にバスを利用して移動する場合は、事前にバスステーションのインフォメーションやオンラインでスケジュールを確認することをおすすめします。
コソボのバスの時刻表をオンラインで確認できるのはこちらのサイト。
アルバニア語のみですが、なんとなく感覚でわかるはず。
お隣のアルバニアのバス路線も検索できるものの、全く持って信用ならなかったのが現状ですが、コソボの場合はかなり正確な時刻表を検索できます。
とにかくセルビア語は厳禁
コソボ旅行の際に最も注意が必要なのが、絶対にセルビア語を使わないこと。
フレンドリーで温かいコソボの人たちですが、セルビアに関しては話が別。
コソボの人々の反セルビア感情はすさまじく、ボスニア人やクロアチア人がセルビア人に対して抱く思いとは比べ物にならないほど。
未だにセルビア人を見かけたら石を投げたり、セルビア人の入店を断る店まであるくらいで、民族感情というより憎しみに近いものがあります。
セルビアという国や民族を象徴するセルビア正教やセルビア語に嫌悪感を抱く人もかなり多いのが現状。
むやみにセルビアの話題を出したり、セルビア語を使うのは避けたほうがいいでしょう。
旅行者にとってややこしいのが、コソボの地名にはセルビア語とアルバニア語の二つの読み方がある場合もあること。
代表的なのが、コソボ第三の町であるペーヤです。
ペーヤ(Pejë)とはアルバニア語で、セルビア語ではペーチ(Peć)と言います。
ペーヤ近郊の世界遺産のセルビア正教の修道院は、「ペーチ総主教修道院」とセルビア語で呼ばれますが、それ以外の場所ではペーヤ。
かなりややこしいです。
他にも、セルビア語でチェバピ(Ćevapi)と呼ばれる棒状のケバブは、アルバニア語ではチェバプ(Qebap)と言います。
実際は全く同じものなのですが、その料理名一つとってもセルビア語で「チェバピ」と言うと「チェバプ!」と言い直されます(笑)
とにかくコソボの日常の至るところでまだまだ垣間見える、セルビア人とアルバニア人の民族対立。
どちらが良い、悪いという話ではなく、私たち旅行者が簡単に理解できる問題でもありません。
ちなみに、のぶよ的にはセルビアはかなりいい国で、人もとても良かったのですが、コソボの人にそれを力説したところで無駄に怒りを買うだけ。
いくらセルビアが好きでも、コソボにいるうちは黙ってアルバニアを推しておきましょう。
おわりに
民族問題にさえきちんと理解を示していれば、快適に旅行することができるコソボ。
しかしながら訪れる旅行者の数は多くなく、バルカン半島周遊旅をしている人にもスキップされてしまうことも多いです。
このように、紛争のイメージとセルビアからの独立問題が、この国の観光業の発展を妨げているのは事実でしょう。
コソボは物価もかなり安く、バックパッカーにも優しい国。
そこで暮らす人たちは皆温かい人ばかりで、整備されてはいないものの、観光地としてのポテンシャルが感じられる場所も多くあります。
自分の目で見てみないことには、何も始まりません。
バルカン半島を旅行するなら、是非コソボへ行ってみてください。
紛争の危険な国のイメージが、若いエネルギーと人々の温もりに満ちた国のイメージに変わるはずです。
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