こんにちは!ジョージア第三の都市・クタイシにのんびり滞在中!世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ジョージア旅行のプランニングをする際に、なぜか飛ばされてしまいがちなクタイシ。
ジョージア第三の都市であり、ヨーロッパ方面からの格安航空会社が多く発着する国際空港を有しているものの、なんとなくパッとしないイメージが確かにあります。
ジョージア中西部のイメレティ地方に位置するクタイシは、およそ千年前に中世ジョージア王国が成立した古都。
優雅で風情ある雰囲気が現在にも残り、のんびりとした空気感が素敵な町なのですが、見どころに乏しい点は否めません。
ほとんどの旅行者は、日帰りorせいぜい一泊でクタイシ中心街をサッと観光し、別の町へと去っていくもの。
確かに、クタイシ市内観光だけであれば丸一日あれば十分ですしね…
しかし!クタイシの魅力は、観光スポットを順番にまわるだけでは味わい尽くせません!
イメレティ地方の中心都市なだけあって、この地域の食文化を堪能できるレストランや食堂などのグルメスポットが町中に点在しているのです。
クタイシを中心とするイメレティ地方の食文化の最大の特徴といえば、こってりした濃い目の味つけ。
ジョージア料理の定番メニューも、イメレティ地方の郷土料理も、概してはっきりとした味わい。
ビールやワインにバッチリ合います。
そして特筆すべきが、クタイシにはディープな飲み文化が息づいていること。
濃い目の味つけに合わせてなのか、やたらとローカル飲み屋が多いのがクタイシの特徴で(むしろ飲み屋が多いから味が濃くなったのかも…?)、平日昼間から飲んでいる人の率がやたらと高いのも面白い点です。
実はクタイシ、ジョージア三大都市で最も失業率が高い町。
人口の流出も深刻だそうで、旅行者でもなんとなく町の景気の悪さのようなものが感じられるかもしれません。
失業率が高い=みんな昼間からたらふく飲む時間がある=というか、飲むしかすることがない…
というのがこの町のすさまじい飲み文化の理由の一つなのだそうですが、楽しそうに歌いながらべろんべろんになっているクタイシの人々を見ていると、まあ人生なんとかなるよなと思えます(そう思わないとやってられないのだろう)。
というわけで、のぶよはこの町を「ジョージアの飲みだおれの町」として推しており、酒を通して少しでもクタイシ経済が回ってくれれば良いなあ…と常々思っています(まじで)。
クタイシの奥深いフードカルチャーに気がついてしまったら、もう最後。
この沼のような町から抜け出せなくなること必須です。(そして数週間沈没してしまうことに…)
というわけで今回の記事は、のぶよが実際に自分の足で見つけたクタイシのレストランや食堂を紹介するもの。
これまでトビリシやバトゥミに関して同じテーマの記事を書いてきましたが、ようやくジョージア三大都市のグルメ情報が勢ぞろい!というわけです。
え?「美食の国ジョージア」を象徴するようなお洒落カフェやお高級レストラン?
そんなものはこの記事にはありません!
予算500円以内(=10GEL以内)で、現地の人々に交ざって食事ができるローカル店に限ってピックアップしています!
リーズナブルな料金&肩肘はらない気軽な雰囲気で、名物料理を味わえるのがローカル店の魅力。
場末な雰囲気の酒場や地元民が集まる食堂を数軒まわったあとは、あら不思議。きっとクタイシを好きになってしまっているはずです…!
食文化をきっかけに、もうちょっとゆっくりクタイシに滞在してくれる人が増えれば願ったり叶ったり。
「クタイシ、小さな町だし1泊で良いかな~」なんて考えている人に届きますように!
- クタイシおすすめレストラン&食堂MAP
- ①クタイシで一番のヒンカリ!【EL DEPOT】
- ②地元民人気No.1!【Saxinkle Palmebi】
- ③果てしない場末感!【市場裏の場末食堂】
- ④信じられないほどの肉汁!【クタイシで一番のシャウルマ】
- ⑤気軽に食べるイメレティ名物料理!【Male】
- ⑥果てしないローカル感と絶品料理!【バスステーションの人情食堂】
- ⑦伝説のクタイシグルメ!【Bikentias Sakababe】
- ⑧開いてたらラッキーなロビオ専門食堂【Salobie】
- ⑨グリーンバザール内の居酒屋【Gvino da Puri】
- ⑩味と人情のローカル居酒屋【Pirosmani】
- ⑪住宅街の老舗ロビオ店【ロビオ専門の食堂】
- ⑫自家製地ビールが飲めるローカルビアパブ【Pub Mokhevuri】
- おわりに
クタイシおすすめレストラン&食堂MAP
①クタイシで一番のヒンカリ!【EL DEPOT】
クタイシのおすすめレストラン、記念すべき一軒目がEL DEPOT。【マップ 青①】
中心街&旧市街から橋を渡った対岸に位置しており、徒歩5分ほどで簡単にアクセスできます。
レンガ造りの外観は、なんとなくお洒落レストランのよう。
「”DEPOT”=倉庫」というわけで、店内は隠れ家倉庫のような雰囲気。けっこう凝っています。▼
ここまでだとある程度の値段がするお店のように見えますが、価格はものすごく庶民的&一人でも気兼ねなく入れるのでご安心を。(そもそも、のぶよがそういうキラキラ店を紹介するわけがない)
EL DEPOTのメニューはこちら ▼
実はこのEL DEPOT、地元では「クタイシで一番美味しいヒンカリが食べられる」として有名なのだそう。
ヒンカリとは、小麦粉生地に具を詰めて包み、お湯で茹でた水餃子のような料理のこと。
具はひき肉が定番ですが、ポテトやチーズ、キノコを具にしたバージョンも定着しています。
名物のひき肉ヒンカリは1個1GEL(=¥50)とリーズナブル。
“Khinkali EL DEPOT”(1.3GEL)というスペシャル感あふれるヒンカリもメニューにありますが、単にサイズが通常より大きいだけなのだそうです。
他の客の多くもヒンカリを注文していることですし(みんな30個とか頼んでいて驚愕…)、ここは名物のヒンカリを注文することに。
ヒンカリの注文は5個からとなり、数種類を食べたい場合はやや不便かもしれません。
注文から10分ほどして提供されたのがこちら。クタイシの実力、いかに…!▼
まず驚いたのが、ヒンカリの皮が極限まで薄いこと。
手で持ち上げると破れてしまいそうなほどにぺらっぺら。でもギリギリ破れない…そんな絶妙なバランスで具を包んでいます。
ヒンカリの皮を薄く作るのはものすごく大変なこと。
調理時に皮が破れてしまうリスクが高まる&熟練の技が必要となるためです。
ぺらっぺらの皮を一口かじると、たっぷんたぷんの肉汁のスープとジューシーなひき肉がこんにちは。
味つけはあっさりした方で、塩気もちょうど良い感じ。皮が薄いこともあり、5個なんてぺろりと食べられます。
チュルッチュルの皮の食感を強調するためなのか、中の具はぎっしり詰まっているわけではなく控えめな量。
もはや飲み物ですこんなの…美味しすぎる…
▲ 定番のひき肉ヒンカリはもちろん、キノコ入りのヒンカリ(1個0.8GEL=¥40)も極上。
こちらはあっさりしていながらもスパイスがしっかり効いたエスニックな味わいの旨味爆弾です。ビールほしい…
「クタイシで一番のヒンカリ」と人々が誇るのも納得。
平日の午後3時頃と微妙な時間帯に訪問しましたが、店内の席は8割ほどが地元客で埋まっていました。
清潔でポップな雰囲気の店内は居心地が良く、ヒンカリ以外のメニューもすごく美味しそうだったEL DEPOT。
数回通っていろいろと食べ比べたくなるような素敵なお店でした。おすすめ!
②地元民人気No.1!【Saxinkle Palmebi】
クタイシの地元民に絶大な支持を誇るローカルレストランが、Saxinkle Palmebiというお店。【マップ 青②】
観光の中心となる旧市街からはやや距離があり、徒歩20分ほどかかりますが、わざわざ足をのばす価値は十分にあります。
クタイシの人々(特に酒呑み)の間では「街で一番安く、美味しいものが飲み食いできる」として評判なのだそうです。
オープンスペースと数か所の半個室に分かれた店内は、ジョージア地方部の飲食店によくあるスタイル。
バーカウンターの上のテレビで延々とロシア語&ちょっと古めのPopミュージックが流れているのも、あるあるかもしれません。
Saxinkle Palmebiのメニューはこんな感じ。▼
店名になっている”Saxinkle”とは、ジョージア語で「ヒンカリ屋」の意味。
ヒンカリが名物のようですが、それ以外の定番ジョージア料理もほぼすべて揃った豊富なメニューです。
そして何よりも、全体的に価格が安めなのがポイント。
トビリシの同程度のレストランの3分の2程度でしょうか。クタイシ、すばらしすぎる…
のぶよ的にこのお店のおすすめは、グリル系料理や煮込み系料理。
いずれもジョージア伝統の「ケツィ」という陶器のお皿で提供されるのが◎
見た目良し、もちろん味良し、それでいてリーズナブル。と、三拍子揃っているためです。
クタイシが位置するイメレティ地方名物のソコス・チャシュシュリ(キノコのニンニク煮込み)は、スパイスががっつり効いた大人の味。
キノコの旨味や甘味が煮汁に染み出しており、五臓六腑に染み渡る美味しさでした。
ジョージア料理定番のオジャフリ(豚肉とポテトのグリル)は、ボリューム満点&ニンニクがっつりで酒飲み歓喜の一皿。
この量とクオリティーで10GEL(=¥500)というのは、なかなかに良心的だと思います。
生ビールも1杯2.5GEL(=¥125)とリーズナブルで、居酒屋的利用もおすすめ。
地元の人々が口を揃えておすすめしてくる理由がわかるような気がします。
③果てしない場末感!【市場裏の場末食堂】
カオスなソ連感が漂うクタイシ市場。その裏手でひっそりと営業する市場裏の場末食堂は、果てしないローカル感と場末感にひたりたい人におすすめ。【マップ 青③】
もはや外観的に期待しか湧いてこないのですが、半地下となった店内に一歩立ち入ると、期待は確信へと変わるはずです。
色褪せたカーテン、ブラウン管テレビ、ショーケース内に並ぶ謎のお惣菜たち、キッチンで大げんかする店主夫婦、一人で延々と乾杯の音頭をとる常連客らしきおじさん…
ジョージア無形文化遺産として世界に誇るべき「場末酒場」のお手本のような空間が、そこにはありました。
生ビールは1杯2GEL(=¥100)と昔ながらの価格。
市場で働く男たちが、ふらりと入ってきては生ビールをクイっと飲み干し(この国の人はビールをコカコーラだと思っているに違いない)、ふたたび雑踏の中へ消えていく…
そんな愛すべき場末感に包まれながら、飲酒に励むことができます。
食堂グルメの定番であるハルチョー(牛肉と野菜のスープ)は、店のおばちゃんのイチ押し。
こってり&濃い目の味つけで、ひたすらに酒呑み向けな味わいで美味しいです。
ちょい飲みにも、市場で買い物帰りの食事にもおすすめの場末食堂。
こうしたお店は年々減少の一途をたどっており、クタイシ中心街ど真ん中に残っているのは奇跡のようなものだと思います。
④信じられないほどの肉汁!【クタイシで一番のシャウルマ】
のぶよ的にクタイシという町は、なぜかシャウルマが美味しい町。
クタイシには町中いたるところにシャウルマ店が点在していますが、のぶよ的イチ押しがバスステーション近くのお店。「クタイシで一番のシャウルマ」と勝手に読んでいます。【マップ 青④】
シャウルマとは、ジョージア全国的にポピュラーなファストフードのこと。
「ラヴァシ」という紙のように薄い小麦粉生地に肉や野菜を詰めて巻き上げたものです。
ジョージアのシャウルマは、肉の量を野菜でごまかしたり、マヨネーズやケチャップを大量に入れて味をごまかすような店も多いのですが、このお店では話が別。
端から端までぎっちりと肉が入っており、野菜は申し訳程度にちょこっとだけ。
マヨネーズやケチャップの量も最低限で、肉の風味がこれでもか!と存分に押し出された絶品なのです。
肉の焼き加減もちょうど良く、じゅわりと滴る肉汁で手がびしょびしょになるほど。
ジョージアのシャウルマは概して肉を焼きすぎていることが多い(=肉がパサパサしている)のですが、このお店の焼き加減は絶妙of絶妙でした。
バスステーションの建物にあるので、他都市への移動時にサッと立ち寄ることができるのも◎
ぜひ味わってみてほしいです!
⑤気軽に食べるイメレティ名物料理!【Male】
続いては、クタイシの若者を中心に広く支持されるMaleというお店。【マップ 青⑤】
クタイシ市内南部のセントラル・バスステーション近くにあり、観光客があまり訪れないエリアであるためか、ほとんど知名度がありません。
しかし、「気軽に&リーズナブルに&美味しいものを!」という面においては、もしかしたらクタイシで一番かも…
その理由が、Maleはジョージアではあまり見かけないビュッフェスタイルの飲食店であるため。
ショーケース内にずらりと並んだ料理を指差しで注文できるのは、言葉が分からない旅行者にとって大きなメリット。
100グラム単位で料金が決まっているので、予算に合わせた食事ができます。
価格帯も一般的なレストランに比べるとかなりリーズナブルで、食べたいものを食べたいだけ注文できる点も嬉しいです。
こういったビュッフェスタイルのお店は、当たり外れが激しいことが多いのですが、Maleに関しては心配ご無用。
数回訪問しましたが、何を食べても美味しいものばかりでした。
のぶよ的にMaleでおすすめしたいのが、前菜やサラダ類。
特に、イメレティ地方が本場とされるプハリ(野菜のくるみ和え)は、種類豊富&どれも絶品です。▼
定番であるほうれん草のプハリはもちろん、イメレティ地方の郷土料理である「長ネギのくるみ和え」や「焼きパプリカのくるみ和え」もスパイスががっつり効いた絶品ばかり。
中でも感動したのが、人参のプハリ。
人参の甘味が最大限に引き出され、くるみのクリーミーさとスパイスのピリ辛さとの調和が完璧でした。これだけは絶対に食べてほしい…!
前菜系がとにかくおすすめなMaleですが、メインディッシュ系もはずれないのが嬉しい点。
この地域発祥の郷土料理・チャシュシュリ(牛肉のニンニクトマト煮込み)は、イメレティ地方らしくハッキリとした味わいで旨味もすごかったです。
店内には広々とした飲食スペースがあり、モダンな雰囲気かつ清潔なのも高ポイント。
「安い!旨い!お洒落!」と三拍子揃っているので、クタイシの若者がこぞってやって来ることにも納得です。
⑥果てしないローカル感と絶品料理!【バスステーションの人情食堂】
のぶよの大好物であるカオス感と場末感がひしめきあうクタイシのセントラル・バスステーションの周辺。
その一角でひっそりと営業しているバスステーションの人情食堂は、クタイシのローカル感にひたりたい人におすすめです。【マップ 青⑥】
たたずまい的にローカル感しか漂って来ないのですが、店内は意外にも明るくてきれい。
そこまで場末感が感じられなかったのが個人的には残念…もっとディープな空間を期待していました。(ただの変態)
メニューには十種類ほどの料理が記載されていますが、いつ行ってもオーストリ(牛肉のピリ辛トマトシチュー)しか置いていないのはご愛嬌。
店内の一角の粗末なキッチンで調理しているので、そんなに色々作るのは面倒くさいのかもしれません。
というわけで、生ビール2GEL(=¥100)とオーストリ9GEL(=¥450)を注文。
パンは無料でついてきますし、なかなかに明朗会計だと思います。
看板メニューの(というか「唯一のメニューの」)オーストリは、トロットロになるまで煮込まれた牛肉と、旨味たっぷりのスープのハーモニー。
味付けは「THE・クタイシ」とばかりに濃い目で、果てしなくビールと合います。
元気ハツラツとした愛想の良いおばあちゃんとの掛け合いも楽しみ。
ローカル感はものすごくあるものの、そこまで躊躇わずに入れる雰囲気なので、ジョージアのローカル酒場初心者でも利用しやすいと思います!
⑦伝説のクタイシグルメ!【Bikentias Sakababe】
クタイシのおすすめ食堂の中でもトップに君臨するのはもちろんこちら!”Bikentias Sakababe“です。【マップ 青⑦】
2020年にこのお店を訪問して以来、ものすごい熱量とともに布教に励んでいるのですが、ここでもやっぱり紹介しておきます。
Bikentias Sakababeにあるメニューはただ一つ。
「クタイシ風ケバブ」と呼ばれる、棒状のひき肉グリルが大量のソースにダイブした絶品ご当地グルメのみです。
トマトとビールをベースにした秘伝のソースは、こってり&ピリ辛風味で「THE・クタイシ風」の味つけ。
ホクホクしたケバブもとても美味しく、大量にかけられた玉ねぎ&ハーブのフレッシュな風味が肉の旨味を引き立てます。
これを食べずにクタイシを語るなどナンセンス!
観光よりもなによりも、まずはこのお店の訪問が最優先です。(大袈裟)
⑧開いてたらラッキーなロビオ専門食堂【Salobie】
ローカル酒場や謎の居酒屋がいくつか点在するグリーンバザールの北側の通りのお店からもう一軒。
Salobie【マップ 青⑧】という小さな食堂を紹介します。
Salobie(サロビエ)とは、ジョージア語で「ロビオ屋」の意味。
その名の通り、クタイシを中心としたイメレティ地方の名物である豆の煮込み「ロビオ」がウリの食堂です。
半地下のようなスペースの店内には、低いテーブルが四席。
地元の男たちで賑わっており、昼間からワインを乾杯しているグループも…さすがはジョージアの飲みだおれの町です。
ハルチョーやオーストリなどの食堂の定番メニューもいくつかありますが、この店の看板メニューのロビオは絶対に食べるべき。
メニューは手書きのジョージア語のものしかありませんが、二種類から選べます。
・ロビオ・ゼティアニ(5GEL):豆の煮込みに豚の脂みを加えたこってり風味のロビオ
・ロビオ・ヴィチニアニ(8GEL):上のロビオにラチャ風ハムを加えたもの
良い感じのどローカル感が漂う狭い店内で待つこと5分ほど…注文してあったロビオ・ビチニアニとムチャディが到着しました。
ロビオ・ビチニアニには、クタイシが位置するイメレティ地方の北隣・ラチャ地方名物のラチャ風ハムがごろごろと入っており、肉の旨味が豆の風味に溶け込んで極上の味わい。
ロビオの付け合わせとしても定番のムチャディ(トウモロコシ粉のパン)も、手作り感溢れる出来たてのほっかほかです。
味付けは結構こってり目で、これ一つだけでも十分にお腹いっぱいになりそう。
ビールとの相性も抜群だと思います。
店のローカル感も、良心的な価格も、店の人の明るい感じも、味の良さもとにかく気に入ったSalobie。
一つネックを挙げるとすれば、結構な確率で閉まっていることかもしれません。
すぐ隣のグリーン・バザールの営業時間に合わせて営業しているようですが、土日などは昼間でも閉まっていたりします(どういう感覚で商売しているのか謎)。
二回に一回は閉まっていたりするので、「せっかく足をのばしたのに…」と思わされることも…「開いてたらラッキー」くらいに考えておくのが良いかもしれません。
⑨グリーンバザール内の居酒屋【Gvino da Puri】
クタイシのローカル感が詰まった見どころであるグリーン・バザール。
何とも言えないカオス感が漂うこの市場の敷地内に唯一ある食堂が、Gvino da Puriです。【マップ 青⑨】
ジョージア語で「ワインとパン」を意味する謎センスの店名ですが、もちろんメニューはそれ以外にも多種多様のこの店。
バザールの敷地を見渡す中二階の一角で営業しており、絶妙なローカル感が素晴らしいです。
Gvino da Puriのメニューは一般的な食堂のラインナップといった感じで、価格も安い方。
ビールは1杯3GEL(=¥150)で、キンキンに冷えた状態で提供してくれるのが嬉しいです。
この店に来たならぜひ食べたいのが、クタイシを中心としたイメレティ地方の名物料理であるチャシュシュリ。
仔牛肉を油で揚げ焼きにしてから大量の玉ねぎやスパイスを加えて煮込んだ、こってり濃厚なビーフシチューです。▼
バザールのど真ん中で労働者たちの胃を支えていることもあってか、Gvino da Puriのチャシュシュリはかなりこってりした味わい。
濃厚な煮汁がとろとろ食感の仔牛肉に絡み、付け合わせのパン(無料)が止まらなくなる味わいです。
ジョージアのビーフシチューと言えば「オーストリ」がポピュラーで、トビリシなど他エリアでは材料が似ているチャシュシュリとオーストリが混同されがちなものの、クタイシではオーストリとチャシュシュリは完全なる別料理。
トマトが主体で辛い味付けのオーストリに対して、クタイシのチャシュシュリは玉ねぎが主体でトマトはほんのわずか加えるだけ。唐辛子の辛さはほとんど感じず、各スパイスの複合的な味わいが前面に出されています。
クタイシらしいこってりした味付けのチャシュシュリと、ローカル感漂う居酒屋のような雰囲気が素敵なGvino da Puri。
グリーン・バザール散策の際の休憩も兼ねて、立ち寄ってみるのもおすすめです!
⑩味と人情のローカル居酒屋【Pirosmani】
クタイシのシンボルであるコルキスの噴水から北に20mほど。
地元の人に愛される居酒屋・Pirosmaniは、クタイシ滞在中に何度も通いたくなる魅力にあふれている店です。【マップ 青⑩】
美しく整備されたクタイシ中心街に位置していますが、店内はちょっとうらぶれた半地下スペース。
昔ながらの居酒屋といった雰囲気ですが、清潔に保たれており明るいので一人でも入りやすいと思います。
場所柄、外国人観光客の利用が多いのかと思っていましたが、実際は地元客ばかりで昼間から飲んでいる人もちらほら…
クタイシの飲みだおれ文化のすごさに改めて感動させられます。
店名の”Pirosmani”とは、もちろんジョージアが生んだ画家ニコ・ピロスマニのこと。
彼がクタイシとどのような関係にあったのかは謎ですが、伝統的な居酒屋のスタイルそのままの店内にはピロスマニの代表的な作品がいくつか飾られています。
Pirosmaniのメニューは結構豊富で、前菜から煮込み料理、ハチャプリやヒンカリまで、ジョージア料理の定番系は多く揃っています。
価格帯は激安とは言えないものの、クタイシの一般的な居酒屋価格。それでもトビリシの同じスタイルの居酒屋に比べると3分の2ほどなのが嬉しいです。▼
「せっかくなのでクタイシらしいものを…」と思ったのぶよが頼んだのは、プハリの盛り合わせ(8GEL=¥400)。
一杯2GEL(=¥100)のビールももちろんセットです。
プハリとはくるみのペーストで野菜を和えた料理の総称で、クタイシがあるイメレティ地方発祥の前菜。
一般的にはほうれん草のプハリが定番ですが、イメレティ地方ではありとあらゆる野菜で作られます。
プハリの盛り合わせは値が張る場合が多く、12GEL~15GELほどはかかるのが普通。
Pirosmaniでは8GELとリーズナブルながらも、三種類のプハリがたっぷりとのっていて満足感が高いです。
細かく刻んだビーツの葉をくるみペーストと和えたものや、軽く火を通して油を吸わせたナスやブルガリアン・ペッパーのくるみ和えなど、いずれも素材の風味が最大限に活かされた絶品。
濃厚で芳醇なくるみの風味とハーブの清涼感、やや控えめなスパイスの味わいも良いアクセントとなっており、ビールよりもワインに合いそうです。
ジョージア全国で食べられるプハリですが、お店で食べたものの中ではここのものが暫定一番の美味しさかもしれません。
Pirosmaniではスープ料理やグリル系もかなりのレベル。
肉は丁寧に下味をつけてマリネされているため、奥深い風味と肉本来の味わいが同時に感じられて美味しいです。
お店のおばさんの柔らかな感じも素敵で、会計時にサービス料をとらない明朗会計っぷりも嬉しい点。
地元の人が足しげく通う理由にも納得の、ローカルかつオールマイティーな魅力を放つ素敵な居酒屋です。
⑪住宅街の老舗ロビオ店【ロビオ専門の食堂】
中心街のロビオ専門店Salobieも素晴らしいのですが、もう一軒クタイシが誇るロビオを看板メニューにする食堂を。
コルキスの噴水から緩やかな上り坂を徒歩15分ほど。住宅街の一角で静かに営業するロビオ屋です。【マップ 青⑪】
古い建物の一回部分で営業しており、石造りの空間にはジョージア伝統の木工細工が多く展示されています。
かなり昔からこの場所で営業しているそうで、近隣住民に愛され続けている店なのだそう。
▲ メニューはジョージア語で書かれたものだけで、看板メニューのロビオはなんと4種類も。
クタイシならではのロビオ・ゼディアニはもちろん、ツケマリ(梅のソース)を加えた珍しいものまであります。
・ロビオ・ゼティアニ(7GEL):豆の煮込みに豚の脂みを加えたこってり風味のロビオ
・ロビオ・クヴァツァラヒアニ(7GEL):ツケマリ(梅のソース)を加えて煮込んだロビオ
・ロビオ・ニグヴジアニ(8GEL):くるみのペーストを加えて煮込んだロビオ
・ロビオ・ヴィチニアニ(10GEL):ラチャ風ハムを加えて煮込んだロビオ
注文から5分ほどで、伝統的な素焼きの壺に入ったロビオが提供されます。
この店ではロビオを注文するとパンと大量のハーブ盛り合わせが問答無用で付いてくるシステムで、好みのハーブをロビオに入れて食べるのが流儀なのだそうです。
ツケマリ(梅ソース)入りのロビオは、梅の酸味とフルーティーな甘さが豆の旨味と見事に調和した絶品。
後日再訪した際に注文したラチャ風ハム入りロビオも、ごろりと入ったハムの芳醇な旨味が煮汁にじんわりと溶けだした極上の美味しさでした。
なにより驚くべきが、4種類あるロビオでそれぞれ異なる種類の豆を使用している店。
ジョージア広しと言えども、ロビオが4種類もある店など見たこともないですし、さらに種類によって豆自体も異なるものを使っているなんて前代未聞。ロビオの本場ならではのこだわりが素晴らしいです。
実はクタイシの近郊ではハーブ栽培が盛んで、パクチーやディル、紫バジルやタラゴンなどが安価に手に入るのだそう。
収穫されてすぐのハーブが大量にクタイシに入ってくるため、このように「ハーブ食べ放題」のようなシステムでもやっていけるのだそうです。(トビリシなどではこのハーブ盛り合わせだけで5GEL以上はする&ここまで新鮮なハーブにはなかなか出会えない)
絶品のロビオも、新鮮なハーブのフレッシュな風味も素晴らしい小さな食堂。
ロビオ好きなら、4種類のロビオを全制覇するのも良いかも…?
⑫自家製地ビールが飲めるローカルビアパブ【Pub Mokhevuri】
クタイシ中心街からやや離れたニケア通り(Nikea St.)は、ソ連時代に工場が多く建ち並んでいたエリア。
ソ連崩壊とともにほとんどの工場は閉鎖され、なんとも言えない退廃的な雰囲気が感じられます。
そんなニケア通りでかつて食品加工工場として稼働していた建物をリノベーションした飲食店が、Pub Mokhevuri。【マップ 青⑫】
二種類の自家醸造地ビールがウリの、大衆的なビアホールといったお店です。
外観こそソ連時代の工場そのままの雰囲気ではあるものの、店内は明るくモダンにリノベーションされており、かなり広々としています。
夏場は屋外のテラス席もオープンし、グループ客向けの個室も開放されるのだとか。
このお店に来る客の最大の目的は、ジョージアでもここでしか飲めないオリジナルのビールを飲むこと。
二種類のクラフトビールが店の奥の工場スペースで醸造されており、いずれも3GEL(=¥150)と格安価格で楽しむことができます。▼
・チェフリ(3GEL):チェコビールをイメージした軽い口当たりのクラフトビール
・ゲルマヌリ(3GEL):ドイツビールをイメージしたキレのあるクラフトビール
のぶよはもちろん、二種類のいずれも堪能しました(というか、そのためにわざわざこの店に来た)。
見た目ではほとんど違いが分からないものの、味はいずれも個性的。
あっさりしていながらもコクが感じられるチェコ風と、がつんとした風味とキレが特徴的なドイツ風…いずれも甲乙つけがたい美味しさで、麦の風味とフルーティーな味わいが素晴らしいです。
Pub Mokhevuriは、ビールのお供となるフード類のメニューもかなり充実しています。▼
ジョージア料理の定番系と言うよりも、ビールに合わせたガッツリ肉料理が多めのラインナップ。
驚くべきは価格帯で、ヒンカリ1個1.1GEL(=¥55)はもはやジョージアではなかなか出会えないレベルの低価格です。
ヒンカリはカラクリ(ハーブが入ったバージョン)と、この店オリジナルのモヘヴリの二種類がありますが、のぶよ的おすすめは圧倒的にモヘヴリ。
ハーブは一切入っておらず、たっぷり詰まった肉の風味だけで正々堂々勝負するような肉肉しさ100%の絶品です。このサイズとクオリティーで1.1GELは安すぎるのでは…
のぶよは一人で訪問したので、ヒンカリ計10個を食すだけでお腹いっぱいでしたが、BBQなどもかなり美味しそう…
何よりも店の雰囲気やリーズナブルな価格、ビールの美味しさに感動したので、またクタイシに行った際には再訪したいと思います。
店内は広々としており、一人でも気兼ねなく入れる雰囲気なのも◎
逆に数人のグループで訪れるなら、絶品&格安のクラフトビールを手に料理をシェアしつつワイワイできるので、より満足度が高いと思います。
おわりに
クタイシのおすすめレストラン&食堂を紹介しました。
もうどのお店も愛着がありすぎて、ものすごい熱量で書いてきましたが、皆さんついて来られているでしょうか?(笑)
低予算でも大満足のグルメ体験ができる町、それがクタイシ。
トビリシに比べると3分の2ほどの価格帯である外食費は国宝ものですし、当たりはずれが少ないのも嬉しいです。
ジョージアの他の町に関しても、同じテーマ(ローカル食堂&格安)でのおすすめレストラン記事を書いているので、そちらもあわせてチェックしてみてください!
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