こんにちは!ジョージア西部をのんびり旅している、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ジョージア北西部に位置するサメグレロ地方に居座っている今日この頃。
伝統的な木造建築が残る村々や、神秘的な滝や渓谷など、まだ観光客に知られていない穴場スポットが多く点在するエリアです。
そんなサメグレロ地方の最大都市であり、観光・滞在の拠点となるのがズグディディ(Zugdidi / ზუგდიდი)。
市内の人口だけでおよそ4万人ほどを有する、ジョージア国内で6番目に大きな町です。

ズグディディは、17世紀から19世紀にかけてサメグレロ地方が半独立状態にあった際に発展した歴史を持つ町。
特に19世紀のズグディディはダディアニ一族という諸侯の統治下で黄金時代にあり、当時文化的先進国であったフランス風の宮殿や庭園が整備されました。
そんなわけでズグディディは、ダディアニ家との繋がりが強かったフランスのエッセンスが感じられるのが最大の特徴。
ズグディディ随一の見どころであるダディアニ宮殿やその周辺は、およそ二百年前の黄金時代を今に伝える優雅で上品な雰囲気です。


…とまあ、ジョージアの観光局はズグディディの「フランスのエッセンス」をウリにPRしようと頑張っているのですが、正直ズグディディの魅力はそこではありません。
ダディアニ家のさゔぁびあ~んなお統治から半世紀後にこの町が経験したソ連時代の雰囲気こそが、ズグディディという町の本質だと思います。


また、ズグディディはジョージアでは珍しい亜熱帯気候の町。
年間を通して温暖で湿度の高い気候がこの町独特のゆるさや開放感を育んでおり、南国情緒漂う建築様式やオープンな人の気質などにもその影響が感じられます。
暖かな気候は食文化にも影響するようで、ズグディディはこの地域独自のサメグレロ料理の聖地という一面も。
とにかく激辛な味つけが特徴的な郷土料理の数々を提供する飲食店が充実しているズグディディは、なぜかやたらと個性が強めな店が多いのも面白いです。


ズグディディ市内の見どころには限りがあるため、多くの旅行者に素通りされてしまうのが現状。
しかしながら、ジョージアの中でも唯一無二の文化を誇るサメグレロ地方の最大都市の魅力は、スルーしてしまうにはもったいなさすぎるほどに大きなものです。
そんなわけで今回の記事は、ズグディディ観光に必要な情報をひとまとめにしたもの。
以下のトピックで大ボリュームでお送りします。
観光客はほとんど訪れない町ですが、「素顔のジョージア」を感じることができますよ!
ズグディディ市内の観光スポット

かつてズグディディを初めて訪問した際、のぶよはこう思いました。
「え…なにこの何もない町…」と。
確かにズグディディにはいわゆる「観光スポット」のような場所は少なめ。
見どころに限りがあるため、多くの旅行者はズグディディを素通りしてしまう(良くて数時間散策して去ってゆく)のです。
しかし!
久しぶりにズグディディを訪問してどっぷりとこの町の雰囲気にひたっていると、かつてののぶよには見えなかった不思議な魅力がたくさんあることに気がついたのです。


ダディアニ家のシックで上品なセンスが香る町並みと、アーティスティックな風景が点在する中心街。アジア的喧騒にまみれたバザールに、隠しきれないソ連時代の雰囲気…
これらのちぐはぐな魅力を、亜熱帯気候のゆったりとした空気が包み込む唯一無二の町、それがズグディディなのです。
そんなわけで、まずはズグディディ市内の見どころをチェックしていきましょう!
ズグディディ市内観光マップ
赤:おすすめ飲食店
紫:ゲストハウス
黄色:鉄道駅/長距離マルシュルートカバスステーション広場
ダディアニ宮殿

ズグディディ髄一の見どころであり、町の象徴でもあるのが、中心街北側に堂々と立つダディアニ宮殿(Dadiani Palace /დადიანების სასახლე)。【マップ 青①】
19世紀初頭に、当時のサメグレロ王国の王子であったダヴィット・ダディアニという人物によって建設された宮殿を起源とするものです。
ズグディディはもちろん、サメグレロ地方を旅していると何度も耳にすることになる「ダディアニ」というワード。
ダディアニとは、17世紀~19世紀にかけてサメグレロ地方を収めたダディアニ一族のことを指します。

当時のジョージア地域には統一政府が存在せず、サメグレロ地方含むジョージア西部地域はオスマン帝国(現在のトルコ)の強い影響力にありながらも、半独立状態を保っていました。
このサメグレロ王国のトップに君臨し、絶大な権力と富を誇っていたのが、ダディアニ家というわけです。


現在のダディアニ宮殿がある場所には元々別の宮殿があり、「ダヴィット・ダディアニ宮殿」と王自身の名を関していました。
ダヴィット王は、王位に就く前に王子だった時期から領内の貴重な工芸品や芸術作品を収集するのが趣味だったそう。
彼のコレクションは計45000点にも上り、オリジナルの宮殿内で展示されていたのだそうです。


しかし、1835年にオリジナルの宮殿は焼失。
その跡地に1878年に建てられたのが現在に残る宮殿の建物であり、ダヴィット王の妻であるエカテリネ王妃の名を冠した「エカテリネ・ダディアニ宮殿」が正式名称とされています。

ダディアニ宮殿内部は二層構造となっており、そのうち二階部分がミュージアムとして訪問客に開放されています。
ミュージアム内にはダヴィット・ダディアニ王がサメグレロ地方各地から集めさせたイコン画や、一族が実際に使用していた家具や食器などがそのままに展示されており、なかなかの見ごたえ。
いくつもある部屋は全体的にシックで上品にまとめられており、サメグレロ王家ならではのセンスが感じられます。


ダディアニ宮殿の内部は、ヨーロッパを強く意識して作られたもの。
特に、当時は文化の最先端地域だったフランスの影響を強く感じることができ、フランス製の調度品の数々や家具などがシックな雰囲気によく合っています。

宮殿の正式名称にもなっている王妃エカテリネ・ダディアニは、「いつか自分の趣味だけを反映した宮殿を作りたい」とずっと考えていたのだそう。
彼女は贅沢三昧の日々を送っており、夫のダヴィット国王亡き後は、息子であるニコ・ダディアニを連れてフランスやイタリアなどヨーロッパ諸国を旅行するという日々を送っていました。
エカテリネがヨーロッパで育んだ美的センスが凝縮された傑作が、1878年にようやく完成したこのダディアニ宮殿というわけです。


ダディアニ宮殿を見学していると、とにかく「フランス」が重要なキーワードとなっていることが感じれるはず。
ダディアニ家とフランスとの繋がりが最も強く感じられる展示品が、1833年に製作されたナポレオンのデスマスクでしょう。▼

「デスマスク」とは、権力者が没した際に石膏や蝋で死者の顔の型を取ったもの。
ダディアニ宮殿に展示されているナポレオンのデスマスクのはなんとレプリカではなくオリジナルで、世界に四つしか現存していない非常に貴重なものです。

ナポレオンといえばご存知、18世紀末のフランス革命後の混乱の時代に現れた英雄のような人物。
ダディアニ家のサロメという人物がフランスの有力貴族と結婚したことをきっかけに、フランスとサメグレロの友好の証として贈られたものだそうです。

ダディアニ宮殿内の展示には、英語での解説があるものとジョージア語のみのものが半々といったところ。
ガイドを付けることも可能ではありますが、ダディアニ家の各人物についての知識や当時の時代背景を最低限知った上での訪問がおすすめです(なので当ブログをとにかくよく読んでから行くべし!)
聖母マリア教会

ダディアニ宮殿のすぐ横にあるのは、白壁が美しい聖母マリア教会。【マップ 青②】
ダヴィット・ダディアニ王の父にあたるレヴァン5世の統治時代だった1830年に、お隣ロシア帝国の皇帝・アレクサンドル1世による資金援助によって建設された由緒正しい聖地です。

教会内部は比較的最近リノベーションされており、外壁同様に一面の白い壁が印象的。
ズグディディの人々の日常的な祈りの場として現役で機能しており、厳かな雰囲気に包まれています。
ニコ・ダディアニ宮殿

ダディアニ宮殿の敷地内東側にたたずむ優雅な建物が、ニコ・ダディアニ宮殿(Palace of Niko Dadiani / ნიკო დადიანის სასახლე)。【マップ 青③】
ニコ・ダディアニとは、19世紀前半にダディアニ家の黄金時代を築いたダヴィット・ダディアニ王とその妻エカテリネ・ダディアニの息子にあたる人物。
彼の名を関した宮殿は1880年代に建設が進められ、広々としたダンスホールが特徴となっています。


ニコ・ダディアニは、結果的にダディアニ家最後の王となった人物。
父のダヴィット王が没した後は自動的に王位を継承したものの、政治の実権は母であるエカテリネに握られていたそうです。

1867年にサメグレロ地方がロシア帝国領に編入されることが決まると、ダディアニ家のサメグレロ地方統治自体も終焉することに。
その後ニコ・ダディアニはサンクト=ペテルブルクに移り住み、ズグディディに戻ることなく没したので、1880年代に完成したこの宮殿に住んでいたわけではなかったとされています。


そんな数奇な運命をたどったニコ・ダディアニの肖像画や彼が生前集めたコレクションは、宮殿内で現在でも見ることができます。
19世紀らしいシックで落ち着いた雰囲気の空間には多くの絵画が飾られており、華やかさはないものの上品な雰囲気が漂います。

ニコ・ダディアニは、6歳で王位を継承した後も政治は母のエカテリネが行っていたため、パリやサンクト=ペテルブルグに留学しながらの青年時代を過ごした経歴を持つ人物。
当時文化的に最先端だった都市で、豪勢な生活を送るコーカサスの小国のぼんぼん…といったところでしょうか。
ニコ・ダディアニはオブシェや調度品をフランスからズグディディに取り寄せてコレクションしていたそう。
宮殿内に展示された彼のコレクションの数々に、フランス文化への傾倒や憧れのようなものが感じられます。


ニコ・ダディアニ宮殿の入場&見学は無料で、誰でも自由にダディアニ家の栄光の時代を感じられるのも◎
無料の割に展示は結構充実しており、なにより建物内部の雰囲気も素敵なので、ぜひとも立ち寄ってみましょう。
ズグディディ植物園

ダディアニ宮殿やニコ・ダディアニ宮殿で文化的な香りを感じたあとは、すぐ隣に広がる広大なズグディディ植物園(Botanical garden / ბოტანიკური ბაღი)を散策するのが◎【マップ 青④】
かつては誰でも無料で入場できたのですが、2025年現在は有料に。
「植物園」というよりも「きれいに整備された公園」といった感じなので、個人的にはわざわざお金を払って公園を散歩するのはなあ…と思ってしまいます。


この植物園は、ダディアニ宮殿の建設を命じたダヴィット・ダディアニの妻であるエカテリネ王妃が、イタリアから専門家を招いて造成させたもの。
ヴェルサイユ宮殿やミラノからわざわざ運ばせた植物を植えさせるという徹底ぶりだったそうで、当時のダディアニ家の権力がいかに大きなものだったかイメージできます。
ズグディディ・ブールヴァール

ズグディディ中心街を南北に連なるメインストリートが、ズグディディ・ブールヴァール。【マップ 青⑤】
「ブールヴァール」とはフランス語で「大通り」の意味で、文字通りズグディディで一番の繁華街となっています。
ブールヴァールの名を関するストリートはジョージアにいくつか存在し、有名なのはバトゥミの海沿いに7kmほど敷かれたもの。
一方のズグディディのブールヴァールは整然と整備されてはいるものの、どこか垢抜けない感じが漂っているのも味わい深いです。


ブールヴァールの中央部分は歩行者専用の公園通りとなっており、背の高い木々がずらりと並ぶ風景が見事。
公園から車道を挟んだ両側には近年リノベーションされた綺麗な建物が建ち並び、ブティックやカフエなどが点在しています。

ズグディディ・ブールヴァールの面白い点が、整然と整備されたストリートにソ連時代の建物や伝統的な家屋が点在している点。
南側一帯にはソ連時代の建物が多く残り、北側には「オダ」と呼ばれるサメグレロ地方伝統の造りの建物がちらほら点在しています。


ズグディディのブールヴァールは、端から端まで歩いても15分ほどで済んでしまうほどの規模。
滞在中に何度も足を運ぶことになる場所ですが、訪れるたびに新しい発見があって面白いです。
ズグディディ・バザール

ダディアニ家の栄光が香る宮殿に、おフランスの香り漂う調度品、整然と整備されたブールヴァール…
これらだけを見ると「あらまあなんて優雅な町ざんしょ!東欧ジョージア万歳ざます!」なんて思う人が出てきそうなので、はっきりと言います。
上で紹介したスポットはどれも「お見せする用」のズグディディ。
ズグディディという町の真髄というものは、ダディアニ家だのおフランスの香りだのよりもだいぶ後、ソ連時代に形成された町の雰囲気にこそあります。
そんなソヴィエト・ズグディディを代表する場所が、ズグディディ中央市場(Zugdidi central market / ზუგდიდის აგრარული ბაზარი)。【マップ 青⑥】
ジョージアのある程度の町であれば必ずある「バザーリ」と呼ばれる巨大市場ですが、ズグディディの市場のカオス感と熱気はおそらくジョージアNo.1かもしれません。


ズグディディの市場は、サメグレロ地方はもちろん、お隣のスヴァネティ地方などからもあらゆる食材が集まる場所。
地方都市にしてはかなりの規模で、迷路のような屋内市場と場末感150%の屋外市場で構成されています。

朝も昼も夕方も、とにかくいつ訪れても人が多くて活気があるのもズグディディ市場の特徴。
ジョージアで色々な町の市場を訪れましたが、ここまで市場が地元の人の日々の買い物の場所として機能している町はズグディディ以外にないかもしれません。


また、ズグディディを訪れる観光客がそもそも少ないこともあってか、市場の価格帯は完全なる地元プライス&人の感じもスレていないのが素敵。
市場の人たちは外国人慣れしていない感じがぷんぷんで、ちょっと立ち止まって商品を見ていると周りの露店の人たちがわらわらと集まってきて質問攻め(メグレル語で)…なんてこともよくあります。


そんなわけで、ただ歩いているだけでもむんむんとした熱気やアジア的なカオス感が感じられて楽しいズグディディ市場。
売られている品物に注目してみると、ここサメグレロ地方ならではの食材も多く見られ、ご当地感が強く感じられるのも素晴らしいです。

ズグディディ市場は全体的にとても強いスパイスの香りが漂っているのですが、その原因はアジカ(唐辛子ペースト)などサメグレロならではの激辛調味料たち。
サメグレロ地方ではとにかく全ての料理を激辛にすることで知られているのですが、そんな激辛王国の根幹を成すスパイス類の豊富さにびっくりします。


調味料以外にも、サメグレロ地方ならではの珍しい食材はたくさん。
お店の人たちも、自分たちの誇りである伝統食材に興味を持った様子の外国人が面白いらしく、とにかく色々と話しかけてきます(メグレル語で)。

そんな感じで、ズグディディの市場はこの町の垢抜けない魅力がぎゅっと詰まった場所。
サメグレロ地方の人々の温かさや、飾らないジョージア地方部の良さが五感で感じられます。
こうした熱気と喧騒に溢れた市場は昨今のジョージアでは縮小傾向にあるのが現状。
重要文化財として保護してほしいほどに素敵なこの空間を、視覚と嗅覚、聴覚すべてフル活用しながら散策しましょう!
ORKOL陶器スタジオ

他地域に住むジョージア人にとってズグディディと言えば、ダディアニ宮殿、激辛料理、そして陶器。
現在でこそジョージア全国区となったオルコルという陶器ブランドの工房がズグディディにあることで知られ、買い付け目的に訪問する人も珍しくありません。
そんな「陶器の町」ズグディディの聖地のような場所が、住宅街の一角にひっそりとあるORKOL STUDIOです。【マップ 青⑦】


ジョージアでは知らぬ者はいないほどに有名なオルコル陶器。
さぞ立派な工房を構えているのだろうと思いきや、普通の民家のようなたたずまいのこぢんまりとした建物となっています。
工房の奥では現在進行形で陶器の色づけをする光景が見られ、声をかけるとギャラリー兼ショップを開けてくれます。

オルコル陶器は、ズグディディ周辺で採れる土を利用して作られるもの。
黒っぽい色や焦げ茶色をベースに鮮やかな色をあしらうのが特徴的で、各モチーフにはちゃんとそれぞれ意味があるのだそうです。


質の高さと美しさが高く評価されたオルコル陶器は、現在ではトビリシのブティックやお土産屋でも見かけることがあるほどにポピュラー。
その本家本元であるORKOL STUDIOでも気に入った作品をその場で購入することができるのですが、なんとトビリシの半額以下の価格帯で販売してくれます。

各作品のモチーフはかなり凝られたもので、ざくろやレモンなどの色合いはとても鮮やか。
しかしながら派手な感じではなくどこかシックで上品さが感じられるあたりは、ダディアニ家由来の優雅さが香るズグディディの町の雰囲気を反映しているかのようです。


こうした工房系は、「買え買え圧」のようなものがあったりする場合も多いのですが、ORKOL STUDIOはそういった感じではなかったのも素敵。
案内してくれたおばちゃんは、どう考えても陶器など買っていきそうにないのぶよにも色々と説明してくれ、自分たちの作品を心から誇りに思っていることが伝わってきました。

ズグディディらしいシックな美意識と、これまたズグディディらしいのんびり感が味わえる陶器工房。
見学だけでも快く受け入れてくれるので、市内散策の途中に立ち寄ってみるのもおすすめです(本当にお値打ち価格なのでお買い物していくのももちろん◎)。
ソヴィエト・ズグディディな町歩き

2020年にズグディディを初訪問した際は、あまりのソ連感に驚いたもの。
中心街にはぼろっぼろのソ連共同住宅がずらりと建ち並び、町全体に「限界」な雰囲気がぷんぷんと漂っていました。


しかしながら、2025年現在のズグディディは町をあげての再開発プロジェクトで大きく生まれ変わりました。
かつてのソ連住宅は(外壁のみ)モダンにリノベーションされ、パッと見では整然とした雰囲気の町になったように思えます。▼

しかしながら、いくら外壁だけモダンアパートのようにしたところで、ここはズグディディ。
かつて「ジョージアで最もソ連っぽい町」だった過去の遺物は現在でも残っており、変わりゆく町並みの中に取り残されたかのようにたたずんでいるのです。

▲のぶよの中で「これぞズグディディ!」と思う風景が、旧郵便局の建物に掲げられた巨大レリーフ。【マップ 青⑧】
2020年から変わらずに同じ場所で歴史を刻みつづけており、ズグディディ中心街のシンボルとなっています。

ズグディディのソ連感は中心街のブールヴァールから離れるほどに色濃くなっていき、特にダディアニ宮殿や植物園の東側エリアはなかなかのレトロさ。
かつて町の玄関口であった旧バスステーションは閉鎖されてから長らく放置されており、果てしない場末の雰囲気が漂います。【マップ 青⑨】


旧バスステーションから少し北側には、アブハジア難民が暮らす建物も。【マップ 青⑩】
アブハジアの国旗に描かれた手のモチーフが使用されたウォールアートが目を引きます。▼

1990年代に勃発したアブハジア紛争では、アブハジアを追われた民族的ジョージア人の多くが難民としてジョージア本国に流入してきました。
アブハジアとの境界までたったの10kmほどしかないズグディディには特に難民の流入が多く、現在でも政府の支援を受けられないままこうした古い建物に住んでいる人も少なくないのです。


こんな感じで、ズグディディにはソ連時代を感じさせるスポットがまだまだたくさん。
変わりゆく町並みと変わらないものの対比を感じながら散策するのも、なかなかオツなものです。
ズグディディ近郊の観光スポット
ズグディディの市内観光だけなら、数時間~半日ほどで済んでしまう規模。
いっぽうでズグディディの周辺には個性あふれる見どころが点在しており、日帰りで一つ一つ周るのもおすすめです。
ここでは、ズグディディを拠点に個人でもアクセスしやすい近郊スポットを紹介します。
エングリ・ダム

ズグディディの北に位置するエングリ・ダム(Enguri Dam / ენგურის კაშხალი)は、ソ連時代に建設された広大なダム。
当時は世界で二番目の高さを誇ったそうで、コバルトブルーの湖面と無機質なアーチ壁のコントラストが面白い場所です。
ジョージア政府主導の「キラキラ観光地化計画」が進められているエングリ・ダム。
もしかしたら将来は、ジョージア旅行の必見スポットの一つとして名を連ねているかもしれません。(絶対にないけど)
インツラの滝

サメグレロ地方内陸部にあるインツラの滝(Intsra waterfall / ინწრას ჩანჩქერი)も、ズグディディ滞在中にぜひ訪れたい場所です。
エメラルドグリーンの滝つぼは、ダディアニ家の王族たちにスイミングスポットとして愛された地。
神秘的な雰囲気の中で流れ落ちる滝は、サメグレロ地方でも指折りの自然スポットです。
インツラの滝周辺は、なんだかちょっと怖い雰囲気があるのもポイント。
のぶよはそういうオカルト的なものを信じるタイプではありませんが、何となく背筋がゾクゾクするような体験をしました。
ルヒ城塞

ズグディディから北西に7kmほど幹線道路を走ったところにあるルヒ城塞(Rukhi castel / რუხის ციხე)もダディアニ家によって建設されたもの。
オスマン帝国の侵攻に備えて築かれましたが、現在では放置された廃城塞となっています。
一見するとよくある廃城塞なのですが、実はルヒ城塞はアブハジア共和国との境界線まで1kmにも満たない立地なのがポイント。
特別なビザの手続き(や危険)など一切なく、通常は簡単に立ち入れないアブハジアの風景を一望することができるのです。
アナクリア

ズグディディから行ける黒海ビーチとして有名な町がアナクリア(Anaklia / ანაკლია)。
ヤシの木が並ぶ海沿いの遊歩道に青い黒海が南国情緒を醸し出しているのですが、アナクリアは一般的なビーチリゾートとはやや異なります。
その理由が、開発途中で放棄された廃墟ビーチリゾートであるため。
ジョージアの現代史に翻弄された海沿いの町は、そこはかとない哀愁と人影のないビーチで訪問客が来るのを待っています。
ズグディディのおすすめレストラン&食堂7選

ズグディディの観光とともに楽しみたいのが、この町独自のグルメ。
ズグディディが位置するサメグレロ地方は独自のグルメの宝庫として知られており、激辛の味つけにも定評があるのです。
ズグディディには、ちょっとお洒落なレストランから場末の食堂、謎のコンセプトの飲食店まで、なかなかに個性が強い店が点在しているのも面白い点。
ここではのぶよがズグディディで実際に利用した中から「ぜひとも!」とおすすめしたい飲食店を紹介していきます。
①サメグレロ料理が楽しめるお洒落店!The Host

「ある程度ちゃんとしたお店でちゃんとしたものが食べたい!」という人におすすめなのが、中心街南側にあるThe Host。
ジョージア語では「メンゼリ」(Mendzeli / მენძელი)と呼ばれるこのお店はズグディディで一番良いレストランの一つとして知られており、地元民支持がとても高いです。【マップ 赤①】


三階建ての店内は、サメグレロ地方の伝統が演出された素敵な空間。
古くさいわけでもなく、レトロながらもスタイリッシュさが感じられる絶妙なセンスです。
The Hostのメニューはこちら。
価格帯はズクディディの中では最も高い部類ではありますが、雰囲気を考えればまあ納得がいくものです。▼




特筆すべきが、サメグレロ地方の郷土料理の豊富さ。
くるみたっぷりのサメグレロ風ハルチョーや、とうもろこし粉を使用したゴミやエラルジなどの郷土料理まで、この地域ならではの料理が揃っているのです。

店員の対応も良く、注文してから料理が出てくるまで早いのも◎
ジョージアでは珍しくプロフェッショナルな感じがします。
のぶよが注文したのは、キノコのクチュマチ(激辛炒め)とサメグレロ風のくるみロビオ(豆の煮込み)。
いずれも味つけはガツンと来る辛さで、サメグレロ地方の激辛文化が存分に感じられます。


料理のレベルもかなり高く、お洒落な雰囲気の中で伝統料理を味わうにはぴったりなThe Host。
ズグディディの地元の人たちに愛されるのも納得の、素敵なお店でした。
初めての訪問が大満足だったので、間髪入れずに再訪することに(気に入った店には通い詰めるタイプ)。
今回は店で一番人気のメニューだという「仔牛のスペアリブのアジカ和え」なる料理を注文してみました。▼


注文が入ってからじっくりと焼き上げるため提供まで45分ほどかかるとのことだったのですが、正直待つ価値は大いにあり。
たっぷりのアジカ(激辛ペースト)で下味が付けられてから焼かれたスペアリブは、辛味と香味が見事に混じりあった絶品で、柔らかな仔牛肉のジューシーさも際立っています。
まさに、The Hostを訪問したらぜひとも食べたい一品。
かなり辛くてボリュームもすごいので、できれば複数人でシェアするのが理想です(まあのぶよは一人でむさぼり食いまくりあげたけど)。
②ピザ屋で食べるメグルリ・ハチャプリ!Leo d’oro

ズグディディと言えば、メグルリ・ハチャプリ。
名産のスルグニチーズをたっぷりと用いたハチャプリのことで、市内のレストランであればどこでもメニューにあります。
メグルリ・ハチャプリを食べるなら、中心街にあるLeo d’oroというピザ屋がおすすめ。【マップ 赤②】
なんでも「ズグディディで一番美味しいピザ屋」と評判のお店だそうで、もちろんピザもおすすめなのですが、ハチャプリ系も間違いなしの美味しさです。

メグルリ・ハチャプリは生地の中にも上にもスルグニチーズが使用された「Wチーズハチャプリ」のような存在。
チーズ好きにはたまらないでしょうし、焼き立てのとろ~り濃厚なチーズの味わいと小麦粉の芳醇な香りは、一度は体感したいものです。
また、この店はピザ屋ということもありピザ窯を使ってハチャプリを焼き上げる点も独特。
火の通りが抜群のふんわり&さっくりした生地の食感も含めて、一度は味わいたい絶品です。
③激辛煮込み料理の居酒屋!Dariali+

ズグディディ中心街にありながら、果てしないローカル感が漂う居酒屋のような店が、Dariali+。【マップ 赤③】
Darialiとは、かつてズグディディにあったお高級レストランのことで、この居酒屋食堂のすぐ裏で営業していました(2024年に閉店して今は別の店になっている)。
本家Darialiのお洒落で気取った雰囲気を好まない地元のおじさんたち向けに、食堂スタイル&割安価格で営業を始めたのがこのDariali+で、本家の店名に「+」をつけるというなかなかの大胆さです。
Dariali+のメニューは、完全なる食堂価格&食堂らしいラインナップ。
お洒落な前菜などはなく、大鍋でどーんと調理された煮込み系がメインとなっています(ごめんメニューの写真撮り忘れた…)。

このお店も味つけは概して辛めなのですが、注文したオーストリ(牛肉トマトシチュー)もやはり目を見開くほどの辛さ。
リーズナブルな値段の割に味は結構良く、かつてのズグディディNo.1のレストランの名を冠するだけあるなあといった感想でした。
店のおばちゃんの対応もまあまあで、立地的にも便利なDariali+。
テラス席もあるので、ちょっと一杯飲んでいくような利用法もできます。
④ピリ辛ヒンカリと珍しい水餃子!Mozoji

ズグディディ最大の観光名所とされるダディアニ宮殿の裏側。
幹線道路沿いにある小さな食堂Mozojiは、地元の人たちに大人気のお店です。【マップ 赤④】


ムツヴァディやカバビなど炭火BBQから、食堂料理の定番である煮込み系までが一通り揃っていますが、看板メニューはヒンカリだそう。
価格帯もかなり良心的な部類で、ローカル食堂でありながら入りやすい雰囲気も嬉しいです。

どれも美味しそうですが、せっかくなのでヒンカリなどの餃子系料理を注文するのが◎
サメグレロ地方の郷土料理のチーズ餃子「クヴェラ」もあり、巨大さとチーズの芳醇な風味は感動ものです。▼


Mozojiのヒンカリは、個人的には激旨というほどでもなく、まあ普通に美味しいヒンカリといった感じ。
具の挽き肉はピリ辛ながらも塩気あっさりめなので、ぱくぱく食べられます。
お店の人の対応も良くサービスも迅速だった点も◎
ローカル食堂初心者でも気兼ねなく利用できる感じなので、ズグディディ滞在中に一度は足をのばしてみましょう。
⑤果てしないローカル感を味わう!市場の謎食堂

カオス感と熱気に満ち溢れたズグディディ・バザール。
敷地内にも敷地外にも名もなき食堂がいくつか点在しており、どれもまあかなりの場末な雰囲気です(つまりのぶよの大好物)。【マップ 赤⑤】
いずれの食堂も初心者には入りにくい雰囲気ではあるのですが、勇気を出して一歩店内へ…
意外と普通に対応してくれますし、価格の安さにもびっくりさせられます。

基本的に外国人が来ることなど想定していないため、メニューはジョージア語で書かれたもののみ。
せっかくならスープハルチョーやオーストリなど煮込み系料理を注文してみるのが良いでしょう。

ローカル食堂の定番であるスープハルチョーは、ごろっごろの牛肉と油膜に覆われたスープが「THE食堂飯」といった感じ。
サメグレロ地方ならではの激辛な味つけもあいまって、ご当地感が感じられます。


気取らない庶民的な料理が食べられるのはもちろん、他の利用客とのふれあいも楽しめるのがローカル食堂の良いところ。
ズグディディ・バザール内外に食堂は数軒あるので、好みの雰囲気の店を探訪するのもおすすめです!
⑥南国ムードの最強民家カフェ!Panama

ズグディディの飲食店界の異端児のようなお店が、中心街すぐの住宅街の一角にあるPanama。
この店がもうとにかく色々と面白い&最高なので、ズクディディに来たなら問答無用で訪問してほしいです。【マップ 赤⑥】


Panamaの最大の特徴は、中米のパナマをイメージした謎コンセプトの店内。
民家の二階部分に手作りのテラス席を設け、南国っぽい雰囲気を頑張って演出しているのです(それにしてもジョージアで何故パナマ?)。
さらにすごいのが、このお店は民家併設である点。
敷地内に住むおばさんが自宅のキッチンで作った料理を客に提供しているというわけで、民家食堂のような不思議なスタイルなのです。

Panamaのメニューはジョージア料理でもパナマ料理でもなく、「カフェ飯」といった感じ。
価格帯はかなりリーズナブルで、どれもかなり美味しそうです。▼

一階で注文を済ませて二階のテラス席に上り、待つこと10分ほど。
がこがこがこっという限界音とともに、手作りのエレベーター(?)にのった料理が提供されました(おそらくおばちゃん、いちいち二階まで上り下りして料理を運ぶのが面倒なのだと推測)。

とまあ、手作りやっつけテラスも、謎のコンセプトも、限界エレベーターもなかなかパンチの効いたPanama。
しかしこの店の食事のボリュームの多さと味のレベルの高さは文句なしで、良い意味で期待を裏切られます。
豚肉のシュニッツェリや川マスのフライなどを注文しましたが、ポテトやライス、サラダまで付いてきてとても満足感が高いです。


リーズナブルにがっつりと美味しいものが食べたいなら、迷わずに行くべき。
謎のパナマコンセプトも含め、なんだか一周回って愛おしく感じられる手作り感あふれる空間は、ズグディディのオアシスと呼べると思います。
⑦激辛ローカル料理を食べるなら!Ulevi

ズグディディならではの激辛風味の食堂料理を味わいたいなら、Ulevi(ულევი)がおすすめ。
中心街から徒歩5分ほどの、ソ連的な雰囲気が漂うエリアでひっそりと営業しています。【マップ 赤⑦】


お店は「ドゥカニ」と呼ばれるジョージア地方部によくある居酒屋スタイル。
客層のほとんどは地元の人のようで、ログハウス風の個室席からは昼間から楽しそうに飲み食いしているらしきジョージア人軍団の声が聞こえてきます。
Ulaviのメニューはこんな感じ。
食堂っぽいラインナップでありながら、サメグレロ地方の伝統料理も置いてあります。▼



このお店に来たならぜひとも食べてほしいのが、ビフシュテクシなる不思議な料理。
英語の「ビーフステーキ」が訛ってジョージア語化されたネーミングの料理で、ここサメグレロ地方やお隣イメレティ地方の食堂では定番メニューとなっています。

ビフシュテクシの正体はステーキではなく、コトレティ(揚げ焼きにしたハンバーグ)をたっぷりの煮汁とともに煮込んだもの。
いわば煮込みハンバーグ目玉焼きのせのような料理で、マッシュポテトとグリーチカ(蕎麦の実)がデフォルトでソースの海にどーんしています。
クタイシなどお隣のイメレティ地方と、ここサメグレロ地方のビフシュテクシにおける最大の違いは、サメグレロ版はとにかく激辛なこと。
ハンバーグを煮込んだソースはトマトと唐辛子が半々という恐ろしい分量のレシピで作られており、脳にガツンと来る辛さにノックアウトされます。


とにかく辛さが全面に出てはいるものの、玉ねぎやトマトのコクもしっかりと感じられるのが、このお店のビフシュテクシソースの素晴らしい点。
半熟の目玉焼きと肉との相性も抜群で、病みつきになる辛旨さはまるでメキシコ料理のような華やかでホットな味わいです。
ローカル食堂ではあるものの席は個室がメインであるため、初心者でも比較的利用しやすいのが嬉しい点。
ズグディディが誇る激辛文化を象徴する一品はもちろん、他のサメグレロ料理に挑戦する際にも利用価値が高いお店です。
ズグディディの交通・アクセス情報
ズグディディの市内観光に関しては全て徒歩でカバーできるため、特に移動手段を考える必要はありません。
いっぽうで、近郊スポットへ足をのばす際にはマルシュルートカ(乗り合いミニバス)が主な移動手段となりますが、ズグディディの交通網のオーガナイズされていなさが旅行者を悩ませるところです。
・他都市~ズグディディ間のアクセス(=長距離移動)
・ズグディディ~近郊のアクセス(=短距離移動)
ここでは上記二つの項目に分けて、複雑怪奇なズグディディの移動情報を解説します。
ジョージア他都市~ズグディディ間の移動・アクセス

ジョージア国内の各都市~ズグディディ間の長距離移動手段は以下の二つのみ。
・マルシュルートカ(乗り合いミニバス)
・鉄道(トビリシ発着のみ)
トビリシ発着の場合のみどちらも利用可能ですが、それ以外の都市を発着する場合はマルシュルートカの一択となります。
マルシュルートカ(各都市~ズグディディ)

公式なバスステーションが存在しないズグディディですが、その代わりとして機能しているのが鉄道駅前の広場。【マップ 黄色】
長距離移動のマルシュルートカは全てこの場所の出発/到着となりますし、鉄道利用の場合はもちろん鉄道駅の発着です。
「他都市~ズグディディ間の移動のズグディディ側の拠点は鉄道駅」と、とりあえず覚えておくのが◎
鉄道駅~ズグディディ中心街間は市内路線バス1番で移動できますが、距離にして700mほどなので、徒歩でも十分に移動可能です。
トビリシ~ズグディディ便のトビリシ側の発着ポイントは、市内北部のディドゥベ・バスステーション。
1時間に1本ほどと頻発しており、利用しやすいです。
もしくは、トビリシ中央駅近くの路上からもズグディディ行きの便が出ており、こちらはある程度人数が集まり次第の不定期運行です。

ジョージア西部最大の都市・クタイシ~ズグディディ間も、直行のマルシュルートカが30分~1時間に1本と頻発しています。
クタイシの中央バスステーションの、マクドナルドの裏手の一角からの出発です。

バトゥミ~ズグディディ間のマルシュルートカは、バトゥミ旧市街近くのミニバス・ターミナル(オールドバスステーション)の発着。
1日3本運行していますが、こちらはある程度乗客が集まり次第の出発となり、決まったスケジュールはありません。

ズグディディは、旅行者に大人気であるスヴァネティ地方の玄関口となる町で、中心の町であるメスティア(Mestia)を結ぶマルシュルートカが1日数本走っています。
この区間の移動は、方向によって注意が必要。
ズグディディ→メスティア方面は、マルシュルートカの出発時間帯が限られるためです。
【メスティア→ズグディディ】
メスティアの中心部の一角から、1日4本(8:00/10:00/12:00/14:00)のマルシュルートカが出ています(冬季は8:00/12:00のみに減便)。
【ズグディディ→メスティア】
メスティアへの玄関口として便利なズグディデですが、実はズグディディ~メスティア間の移動には注意が必要なことも。
バスステーションという概念が存在しないズグディディ。
基本的にメスティア行きのマルシュルートカは、ズグディディ鉄道駅前のスペースからの出発(他都市への便と同様)です。
注意したいのが、鉄道駅前からのメスティア行きマルシュルートカの出発の時間帯は、トビリシからの鉄道が到着する午後の時間に集中している点。
決まったスケジュールがあるわけではなく、ある程度乗客が集まり次第の出発となるため、鉄道が到着して30分もすれば、メスティアに行く旅行者の姿は見られなくなります。
ズグディディ鉄道駅前からのメスティア行きマルシュルートカは、トビリシからの鉄道到着時間以外は運行されていないと考えておきましょう。
一方で、「午後しかズグディディ→メスティア間の移動はできない」というわけではありません。
鉄道駅から東に500mほどの場所にあるズグディディの中心街の一角から、不定期(人数が集まり次第/だいたい正午過ぎに出発)でメスティア行きのマルシュルートカが出ています。
鉄道(トビリシ~ズグディディ)

トビリシ~ズグディディ間の移動なら、鉄道を利用することも可能です。
・トビリシ発8:20→ズグディディ着15:08
・ズグディディ発16:55→トビリシ着23:37
マルシュルートカ利用時よりも安く、ゆったりとした座席で快適に移動ができるのもメリット。
所要時間もさほど変わらないので、スケジュールさえ合えば断然鉄道利用がおすすめです。
トビリシ~ズグディディ間にはかつて夜行列車が走っていて旅行者にも人気だったのですが、2020年のパンデミックで運休。
それ以降もずっと運行は再開されておらず、2025年現在でも上記の1日1本の鉄道が走るのみとなっています。
ズグディディ~近郊の見どころの移動・アクセス
「ズグディディ近郊の見どころ」の項で紹介しましたが、ズグディディはサメグレロ地方のどこへ行くにも便利な交通の要所。
しかしながら、一つ旅行者を悩ませる問題が…
それは、ズグディディにはバスステーションという概念が存在しないことです。
長距離移動の場合はとりあえず鉄道駅前に行けば良いのですが、近郊の町へ向かう場合は行き先によってどこからマルシュルートカが発着するか大きく変わるのです。
のぶよが知っているだけでも、市内に6か所の発着地があるほど(たぶんもっとありそう)なので…
他にもズグディディの旅行者泣かせっぷりはすさまじく、
・地元の人でさえもどの行き先の便がどこから出発するのか把握していない
・どのマルシュルートカの行き先表示もジョージア語表記のみ
・ジョージア語かロシア語しか通じない(誰一人英語を話さない)
という状況。
地元の人ですらわからないことを、旅行者が把握できるわけありません(笑)
のぶよが実際に利用した(=確実な)ズグディディ~近郊間のマルシュルートカの発着地は以下のタブ内で確認してください。

ズグディディ近郊で最も見ごたえがあるのが、エングリ・ダムとインツラの滝という二つのスポット。
ズグディディ中心街からタクシーで快適に移動するのもOKですが、よりこれらのスポットに近いジュワリ(Jvari / ჯვარი)という小さな町までマルシュルートカで移動→ジュワリからタクシー/徒歩 という選択肢もあります。
ジュワリ行きのマルシュルートカは、ズグディディの中心街西側のロータリー付近から30分に1本の頻度で出発してます。

ズグディディからルヒ城塞を観光する際に便利なのが、マルシュルートカの47番。
ズグディディ中心街の市場脇から20分~30分に1本の割合で出発しており、結構遅い時間(~19時頃)まで往復しているので、帰りの心配も要りません。

サメグレロ地方で最も有名な観光スポットであるマルトヴィリ渓谷。
その入口となるマルトヴィリ(Martvili / მარტვილი)の町へは、ズグディディからの直行マルシュルートカは走っていないため、アクセスはやや不便です。
ズグディディ→サメグレロ地方東部のセナキ(Senaki / სენაკი)という町まで行き、マルトヴィリ行きのマルシュルートカに乗り換える必要があります。

セナキ行きのマルシュルートカは、ズグディディ中心街南側の自由広場西側のマクドナルド付近から1時間に1本ほど出発しています。
セナキは、ズグディディ~クタイシ間の幹線道路沿いに位置しているので、ズグディディ鉄道駅前発のクタイシ行きマルシュルートカを途中下車してのアクセスも可能。
その場合、バスステーションと線路を挟んだ反対側の鉄道駅入口付近で降ろされるのでご注意を。

セナキのバスステーションからは、マルトヴィリ行きのマルシュルートカが1日5本(10:00/13:00/15:00/17:00/18:30)走っています。

ズグディディ~アナクリア間は、個人で公共交通機関を利用しての移動も簡単。
ズグディディ市内路線バスとミニバス(マルシュルートカ)の2種類の交通機関が走っており、合計で1時間~1時間半に1本の割合で運行されています。
ズグディディの宿情報

ズグディディはサメグレロ地方で最大の都市ということもあり、宿泊先の選択肢に困ることはなし。
中級ホテルから個人のゲストハウス、ホステルなど様々なタイプの宿があり、料金も比較的リーズナブルなのが嬉しいです。
ズグディディ中心街は全てが徒歩圏内なので、宿の立地にそこまでこだわる必要はありませんが、やはりメインストリートであるブールヴァールに近いエリアがベスト。
バザールやレストラン、市内の見どころは全てブールヴァール近くにありますし、近郊へのマルシュルートカ発着ポイントにも近いため何かと便利です。
【Guesthouse Tall Rooms】

・部屋タイプ:シングルルーム1名利用 ※シャワー&トイレ共用
・料金:30GEL(=¥1500)
・立地:8/10
ブールヴァールから徒歩5分もかからない好立地の宿です。
中心街にありながら周辺は住宅街となっており、落ち着いた雰囲気なのが◎
すぐ近くには激安スーパーや各種コンビニも数軒あり、滞在中に困ることはありません。
・アクセス:10/10

宿の入口には看板が出ており、簡単に見つけることができます。
宿の建物の一階にオーナーのおじさん家族が住んでおり、声をかければ簡単にチェックインできるのも良かったです。
・スタッフ:8/10
サメグレロ地方らしい気の良いおじさんがメインで対応してくれます。
そこまで宿泊客とがっつり絡むわけではないものの、こちらを気にかけてくれている感じがありなかなか好印象。
適度な距離感を保ちつつも温かな雰囲気が味わいたい人にはおすすめです。
・清潔さ:4/10

建物は全体的に古く、家具などもかなり年季が入っています。
キッチンは比較的清潔に保たれていましたが、トイレとシャワーの場末感は結構なものなので人を選ぶかも(お湯はちゃんと出るのでその辺は大丈夫)。
部屋はまあ普通に掃除されてはいますが、こちらもピカピカというわけではありません。
全体的に、そこまで潔癖でない人なら問題なく過ごせるかな?といった感じでした(のぶよは余裕)。
・設備:8/10

二階が宿泊客専用スペースとなっているのですが、必要なものは一通り揃っています。
キッチンには冷蔵庫やガスコンロがあり、自炊派でも問題なし。
電子レンジや電気ポットがあればさらに良いかなあと思いました。
洗濯機も無料で使用することができ、部屋にはエアコンが完備されている点も◎
屋外には広々とした庭やテラスもあり、自由にくつろぐことができます。
・ベッド&部屋:6/10

部屋は狭めですが、大きな窓があるのが◎
電気がやや薄暗めだったことと、ベッドがかなり古いものだったのがマイナスと言えばマイナスかもしれません。
マットレスは意外にも柔らかくて快適だったのですが、枕がちょっと柔らかすぎたのも個人的に気になったところ。
シーツもがっさがさ質感の謎素材のものを渡されたりと、細かい部分で微妙な点はいくつかありました。
・Wi-Fi:9/10
建物全体で問題なく接続でき、速度も申し分なし。
キッチンや外のテラスでは電波が弱まってしまうのがマイナスかもしれません。
・雰囲気:8/10

他の宿泊客と絡むタイプの宿ではないのて、静かに過ごしたい人にはおすすめ。
全体的に果てしないソ連っぽい雰囲気が感じられるのですが、それも含めて体験としてはアリだと思います。

晴れた日であれば、屋外にのんびりできるスペースがたくさんあるのでとても快適なはず。
逆に悪天候の際には自室かキッチンくらいしか居場所がなく、共用エリアにソファーなどあれば良いのになあと感じました。
・総合:7.6/10
ズグディディ最安値レベルの個室宿ですが、個人的にはまあまあ居心地良く過ごせました。
色々と細かい面で気になる部分はありはしたものの、この立地でこの価格なら文句はありません。
シャワー&トイレの場末感だけどうにかしてくれれば、万人におすすめできる宿になるかも。
全体的に広々としており、窮屈な感じがなく過ごせるのも良かったです。
おわりに
刺さる人には刺さるかもしれない、ズグディディの観光情報を解説しました。
市内の観光に関しては「必見!」とまでは言えませんが、周辺の見どころにはかなり恵まれている町なので、滞在拠点としてはぴったりです。
ズグディディは、ジョージア西部~中部の他エリアへのアクセスも良いのがポイント。
・ジョージア観光のハイライトとなるスヴァネティ地方
・中世の修道院が点在するイメレティ地方
・黒海の暖かな雰囲気が魅力的なアジャラ地方
など、ジョージア西部の多くの町へ短時間で簡単に移動することが可能です。
…と色々と書いてきましたが、ズグディディは観光して周るスタイルよりも、サメグレロ地方ならではの独自の文化にひたりながら滞在するスタイルがおすすめ。
滞在すればするほどに「なんかこの町良いなあ…」と感じさせてくれる不思議な小都市の魅力が、もっと多くの人に伝われば嬉しいです!

























































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