こんにちは!ジョージア山間部のラチャ=レチュフミ地方をのんびりと開拓中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ラチャ地方最大の町・アンブロラウリの宿に滞在していた時のこと。
宿のオーナーがこんなことを言い出しました。
「そういや、もう行ったか?ツフラジュヴァリには?」と。
「はて…ツフラジュヴァリ…聞き慣れないぞ…?」と思い、さっそくインターネットで調べるも、情報はほとんどヒットせず…
気になりまくって仕方がなかったので、行ってきました。どどん。▼
一面の緑の大地を望む、足がすくむような断崖絶壁の上。
いくつもの十字架が所狭しと並ぶ岩場がツフラジュヴァリ(Tskhrajvari / ცხრაჯვარი)です。
この場所の一番の特徴は、その恐るべきロケーション。
岩山は標高1500m地点に位置しており、遥か下方に見える大地は標高600mほど。
つまり、一歩足を踏み外せば900m下の下界へと真っ逆さまというわけです…ひええ…
「ツフラジュヴァリ」とは、ジョージア語で「九つの十字架」の意味。
その名の由来はある伝説によるもので、「奇跡が起こる場所」として、地元の人の間では有名なのだそうです。
今回の記事は、ジョージア屈指の絶景スポット・ツフラジュヴァリの観光情報を解説するもの。
個人でのアクセス情報も含め、この知られざる聖地の魅力をお伝えします!
ツフラジュヴァリ観光マップ
赤:ソ連ロープウェイ乗り場跡
緑線:ツフラジュヴァリ徒歩コース
黄色:ツフラジュヴァリ方面分岐点
ツフラジュヴァリへの道のり①:ツフラジュヴァリ入口分岐点~駐車場
ツフラジュヴァリが位置するのは、ラチャ地方とイメレティ地方を隔てるナケララ峠(Nakerala Pass)の近く。
ラチャ地方側のニコルツミンダ(Nikortsminda / ნიკორწმინდა)とイメレティ地方側のトキブリ(Tkibuli / ტყიბული)を結ぶ幹線道路のナケララ峠付近に、ツフラジュヴァリ方面へと至る道路が分岐するポイントがあります。【マップ 黄色】
ここからは、約3kmほどの舗装道路をひたすら登っていくだけ。
車なら5分/徒歩なら1時間弱で、ツフラジュヴァリ入口となる駐車場に到着します。
舗装道路を延々と進んでいくと、正面に四角い口をぽっかりと開けたトンネルが姿を現します。▼
トンネルを抜けてすぐの場所にあるのが、駐車場。
ここより先には車両の進入ができないため、タクシーチャーター等の場合はこの場所で待機してもらうこととなります。▼
駐車場付近は展望台のようになっており、ここまで通って来た道を一望する絶景が広がります。
駐車場のすぐ近くには、ツフラジュヴァリまで続く徒歩コースの入口があり、すぐ先にソ連時代のロープウェイ乗り場跡があります。
ツフラジュヴァリへの道のり②:ソ連ロープウェイ乗り場跡
駐車場から歩きはじめてすぐの場所にある存在感抜群の建造物が、ソ連時代のロープウェイ乗り場。【マップ 赤】
かつてのツフラジュヴァリは、麓に位置するトキブリの町とロープウェイで結ばれており、現在とは比べものにならないほどに簡単にアクセスできました。
しかしながら、老朽化によってロープウェイは数十年前に廃線になり、その乗り場だけが放置されたまま現在に残ったのです。
ロープウェイ乗り場跡は完全なる廃墟となっており、いつ崩れ落ちてもおかしくないような状態。
天井にはヒビが入り、足元はかなり不安定…探索は自己責任となります。
人の手が加えられなくなって放置されたソ連時代の建造物はジョージアに多く残っており、立ち入り可能なものもしばしば。
これまで様々なソ連スポットを訪れてきましたが、このロープウェイ乗り場はおそらく最も状態が悪いものの一つかも…
ツフラジュヴァリへの道のり③:ソ連ロープウェイ乗り場~ツフラジュヴァリ
ソ連ロープウェイ乗り場跡の見学(&探索?)を終えたら、いよいよ目的地のツフラジュヴァリへと歩を進めるとき。
ロープウェイ乗り場跡付近から西方向にのびる徒歩コースを進んでいきます。【マップ 緑線】
徒歩コースは全長900mほどの短いもので、高低差は100mほど。
簡単そうに思えますが、足場が悪い箇所も多いため意外と時間がかかる点に注意。
行き(登り)50分/帰り(下り)40分、合計1時間半ほどはみておくようにしましょう。
はじめこそ簡単な徒歩コースが続きますが、後半に進むにつれて修羅の道となっていきます。
岩がむき出しになっている箇所を登る場面も数回ありました。
ソ連ロープウェイ乗り場跡から、悪路をひたすら歩くこと45分ほど。
長く急な木製の階段が目の前に現れます。▼
この階段を上りきった先にあるのが、目的地のツフラジュヴァリ。
最後の最後にガッツリ登るのはなかなかに大変ですが、苦労した甲斐ありの絶景が待っています!
ツフラジュヴァリ展望台で感動!
長い階段を上りきった先の光景を目の当たりにした旅行者は、きっとはてしない感動に包まれるはず。
切り立った岩山の上に建ち並ぶいくつもの十字架。その中心に堂々と建つ祠のような建物…
柵などはいっさい設置されておらず、遥か下には一面の緑の大地がまるでCGのように広がっています。
ここが聖地・ツフラジュヴァリ。【マップ 青】
その光景は「十字架の崖」そのものでした。
ツフラジュヴァリがあるこの場所は、標高1500m地点。
眼下には標高600mほどのトキブリの町が見え、その先にはイメレティ地方の緑あふれる大地が果てしなく広がっています。
いま自分がものすごい場所に立っていることを実感して、感動がふつふつと湧き上がってくるのを感じます。
猫の額ほどの面積しかないツフラジュヴァリの中心にたたずむ建造物が、聖ギオルギの祠と呼ばれるもの。
長らく半壊したまま放置されていたそうですが、2022年夏にようやく改修工事が始まったそうです。
(まさか自分が訪れる時に絶賛工事中だとは…)
聖ギオルギの祠の内部には、石で作られた九つの十字架が置かれています。
これは、ジョージア語で「九つの十字架」を意味するツフラジュヴァリという地名にまつわる伝説にちなんだものなのだそう。
時は第二次世界大戦中。当時はソ連の支配下にあったジョージアでも徴兵令が敷かれ、多くの若者が戦地へと赴きました。
トキブリの町に住んでいた、ある九人兄弟のもとにも徴兵令が出され、全員が戦地へと赴くことになります。
息子たちが無事生きて帰還することを願った父親は、九人の息子たちを表す九基の十字架を肩に背負い、トキブリの町の遥か上方にそびえる岩山に登ることに。
岩山の頂上に小さな祠を建て、その中に十字架を祀りました。
父親の祈りが届いたのか、数年後の終戦の際には九人の息子全員が無事に帰還することができたそう。
この話はトキブリの町で瞬く間に広がり、「奇跡が起こる場所」として地元の人々に信仰されるようになったのだそうです。
現在でも「ツフラジュヴァリに登って十字架を供えると奇跡が起きる」と、トキブリの町を中心に信じられているのだそう。
断崖絶壁に十数基建っている十字架には、人々が持ち寄った小さな十字架のペンダントやブレスレットがいくつも飾られていました。
ツフラジュヴァリの伝説が本当のことなのかどうかはわかりませんが、ここからの風景を眺めていると、確かに奇跡でもなんでも起こり得るのかも。
もくもくと空を覆う雲と同じような高さに立って、どこまでも広がる大地を眺めていると、まるで神の視点になったかのようにさえ思えます。
風景こそ素晴らしいツフラジュヴァリですが、足元を眺めるとただの恐怖スポット。
十字架が建ちならぶ箇所は完全なる崖っぷちになっており、一歩でも足を踏み外せば奈落の底へと真っ逆さまだからです。
いくら奇跡が起こる場所であろうと、落ちてしまえば一巻の終わり。
高所恐怖症の人はまず無理なレベルで、とにかく怖いです。
ツフラジュヴァリにあるのは、いくつもの十字架と聖ギオルギの祠、そして信じられないほどの絶景…ただそれだけ。
それでもきっと、「わざわざこの場所まで来て良かった…!」と心から思うはず。
どうしてこの場所が地元の人に神聖視されているのかは、実際にこの断崖絶壁の上に立ち、静寂を聴き、吹きつける風を感じた人だけが、自ずと肌で理解できるものだと思います。
↑ジョージアの十字架の崖・ツフラジュヴァリ。動画だとこんな感じ。崖下に落ちないギリギリのところで撮ってたんだけど、まじで一寸先は奈落の底。恐怖すぎて「はふぅぇぇ…」と謎な声入ってた😂 pic.twitter.com/m456TWrr1K
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の翻訳してる人 (@nobuyo5696) November 3, 2022
ツフラジュヴァリへのアクセス・行き方
ツフラジュヴァリは、ジョージア西部のラチャ地方とイメレティ地方のちょうど境目に位置しています。
どちらのエリアからのアクセスも可能ではありますが、ご想像の通り交通はかなり不便。
以下の2通りのアクセス方法が考えられます。
①タクシー
最も簡単なアクセス方法が、タクシーをチャーターしてしまうこと。
各都市~ツフラジュヴァリ間のタクシー料金の相場は以下の通りです。
【ラチャ地方側から】
・アンブロラウリ~ツフラジュヴァリ片道:70GEL(=¥3500)
・アンブロラウリ~ツフラジュヴァリ単純往復:120GEL(=¥6000)
【イメレティ地方側から】
・トキブリ~ツフラジュヴァリ片道:50GEL(=¥2500)
・トキブリ~ツフラジュヴァリ単純往復:100GEL(=¥5000)
・クタイシ~ツフラジュヴァリ片道:100GEL(=¥5000)
・クタイシ~ツフラジュヴァリ単純往復:200GEL(=¥10000)
最も効率的なのは、タクシーをチャーターしてラチャ地方~イメレティ地方の移動を兼ねながらツフラジュヴァリに立ち寄るプラン。
ツフラジュヴァリ周辺には他にも見どころがあり、丸1日あれば効率良く観光しながら移動することが可能です。
タクシーを1日チャーターする場合の料金相場は、1台あたり300GEL~400GEL(=¥15000~¥20000)ほど。
何か所に立ち寄るかなどによって料金は変動してくるので、上手に交渉しましょう!
②ミニバス(マルシュルートカ)
ツフラジュヴァリへ個人でアクセスする場合は、ミニバス(マルシュルートカ)をツフラジュヴァリ入口の分岐点【マップ 黄色】で途中下車→残りの4kmほどの道のりを歩くしか方法がありません。
ツフラジュヴァリ入口を通過するミニバスの路線は、アンブロラウリ~クタイシ(バトゥミへ行く便も)を結ぶものだけ。
本数も限られているので、やや難易度が高いです。
ラチャ地方側(アンブロラウリ/ニコルツミンダ)~ツフラジュヴァリ
ラチャ地方側からツフラジュヴァリへアクセスする場合は、アンブロラウリ発クタイシ行きのミニバスか、アンブロラウリ発バトゥミ行きのミニバスを利用します。
いずれの便も途中にニコルツミンダの町を経由するので、ニコルツミンダから途中乗車→ツフラジュヴァリで途中下車というプランも可能です。
アンブロラウリ→クタイシ方面ミニバスの時刻表は以下の通りです。
【アンブロラウリ~クタイシ便】
・運行頻度:1日1便
・料金:アンブロラウリ~ツフラジュヴァリ入口5GEL(=¥250)
・スケジュール:アンブロラウリ9:30発→ニコルツミンダ9:50通過→ツフラジュヴァリ入口10:15通過→トキブリ10:45通過→クタイシ12:00着
【アンブロラウリ~バトゥミ便】
・運行頻度:1日1便
・料金:アンブロラウリ~ツフラジュヴァリ入口5GEL(=¥250)
・スケジュール:アンブロラウリ10:00発→ニコルツミンダ10:20通過→ツフラジュヴァリ入口10:45通過→トキブリ11:15通過→クタイシ12:30通過→バトゥミ15:00着
いずれの便もアンブロラウリ発は午前中のみである点に注意しましょう。
イメレティ地方側(クタイシ/トキブリ)~ツフラジュヴァリ
イメレティ地方側からツフラジュヴァリへアクセスする場合は、クタイシ発アンブロラウリ行きのミニバスの利用が現実的。
(バトゥミ発アンブロラウリ行きはクタイシの中心街を経由しない場合があるため)
この便は途中でトキブリの町を経由するので、トキブリで途中乗車→ツフラジュヴァリ入口で途中下車というプランも可能です。
クタイシ→アンブロラウリ方面のミニバス時刻表は以下の通りです。
・運行頻度:1日1便
・料金:クタイシ~ツフラジュヴァリ入口10GEL(=¥500)/トキブリ~ツフラジュヴァリ入口5GEL(=¥250)
・スケジュール:クタイシ発16:00→トキブリ通過17:15→ツフラジュヴァリ入口通過18:00→ニコルツミンダ通過18:30→アンブロラウリ着19:00
ツフラジュヴァリとセットで観光するなら!
ツフラジュヴァリの観光に必要な時間は30分ほど。
徒歩ルートでの往復1時間半を含めても、2時間みておけば十分です。(ツフラジュヴェリ入口の分岐点から全徒歩で往復する場合は、合計4時間は必要)
せっかくなら、ツフラジュヴァリと同じ幹線道路沿いにある見どころもセットで観光するのが効率的。
などなど。
タクシーをチャーターすればこれら全ての場所の観光&移動が丸一日で可能ですし、個人で公共交通機関利用でも2日~3日に分ければ全制覇が可能です。
ツフラジュヴァリの北側に位置するラチャ地方も、南側のイメレティ地方も、いずれも魅力いっぱいのエリア。
せっかくこんなところまで足をのばすなら、周辺の見どころの観光も含めたプランニングを強くおすすめします!
おわりに
ジョージアの十字架の崖・ツフラジュヴァリの観光情報を解説しました。
もはやこんなところまで行く旅行者などいないでしょう…
それでも、ジョージア全体でも有数の絶景と聖地感はとにかく圧倒的なので、ぜひとも多くの人に味わってほしいものです。
ツフラジュヴァリ周辺の見どころの観光情報記事もどんどん出していくので、あわせてチェックしてください!
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