こんにちは!ジョージア北西部のスヴァネティ地方を3週間旅した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
メスティア~ウシュグリ間の70kmの距離を4日間かけて歩くトレッキングも3日目。
宿泊したアディシ村をスタートして、イプラリ村へと向かう日です。
3日目の歩く距離は、今回のトレッキングの中では最長の17km。
高低差もあるので簡単なコースではありませんが、4日間のトレッキング全体でもハイライトとなる絶景が見られる区間です。
トレッキングコースの詳細情報やコース上の見どころも解説しています!
メスティア~ウシュグリ間4DAYSトレッキング:3日目の概要
アディシ~イプラリ間トレッキングコース詳細
・所要時間:6時間
・距離:17km
・高低差:▲630m ▼760m
・難易度:★★★★☆
3日目に歩く区間は、スタート地点のアディシ村がある谷とゴール地点のイプラリ村がある二つの谷を隔てる山を越えるもの。
歩く距離は17kmほどと長い上に、高低差もかなりあるので、4日間のトレッキングの中でも最もハードな1日となるでしょう。
コース前半はアディシ村から川沿いの平坦な道を進んでいくだけですが、途中からハードな上り坂となります。
上り坂は体力的にはきついですが、途中にはアディシ氷河を一望する絶景が続き、大自然の雄大さを感じながら歩けるのは大きなメリット。
コース後半は緩やかな下り坂がずっと続き、いくつかの絶景ポイントも。
最初から最後まで、飽きることなく歩くことができる今回のトレッキングのハイライトとなる区間です。
アディシ村~アディシュチャラ川間
この区間の詳細
・所要時間:1時間30分
・距離:5.6km
・高低差:▲170m
2日目の宿泊地であるアディシ村をスタートしたら、アディシュチャラ川沿いにひたすら東へと歩いていくだけ。
ほぼ平坦な歩きやすい道が5kmほど続きます。
アディシ村の東側の村はずれに建つ見張り塔に立ち寄るのもお忘れなく。
午前中なら、太陽の光を受けて輝く村の風景が一望できるポイントです。
出発からおよそ1時間半。
雄大なアディシ氷河が、その姿をだんだんと目の前に現してきます。
氷河が解けて流れ出したアディシュチャラ川も、この辺りまで来ればなんとか渡れるほどの川幅に。
そう、ここが本日最初にして最大の難所である川渡りポイントです。
アディシュチャラ川には橋が架かっておらず、コースは川の反対側にそびえる山へと続いていくため、どうにかして向こう岸へ渡らなければならないのです。
最も水量が少なく、流れも劇的に速いわけではないのがこの辺り。
ここより上流に行くと渡った後に道がない(断崖絶壁)&ここより下流では川幅は広すぎて渡れないため、唯一の川を渡るポイントとなっています。
そこに目を付けたのが、観光ボケしたアディシ村の人々。
ハイシーズンになると、この川を渡るためのハイカー需要を担って飼い馬を連れ出し、一人20GEL(=¥637)支払えば足を濡らすことなく対岸へと渡ることができるというビジネスをまかり通しています。
しかしながら、乗馬時間はたったの30秒。
ジョージアの物価を考えると、いくらなんでもぼったくりとしか思えないような価格です。
「そんなムダ金使いたくない!自力で渡ってやる!」というのぶよのようなタイプの旅行者におすすめなのが、川渡し用の馬が待機しているポイントから50m~60mほど上流に歩いたところを渡ること。
この場所なら、馬がいるポイントよりも川の流れは緩やかで、対岸も断崖絶壁となる前の地点なので、最も苦労せず渡れると思います。
アディシュチャラ川~山頂間
この区間の詳細
・所要時間:1時間半
・距離:2.4km
・高低差:▲490m
どうにかこうにか川を渡ることに成功したら、トレッキングコースはそれまでの平坦なものから急な上り坂へと変貌します。
距離にして2.5kmほどですが、かなりの高低差をこの短い距離で登らなければならない=傾斜がきついということ。
体力的にはかなりハードな区間です。
川を渡って山道を登り続けること800mほど。
先ほど目にしたアディシ氷河の全景が望めるポイントがあるので、忘れずに立ち寄りましょう。
もはや地球上のものではないような氷河のダイナミックな風景には、きっと感動するはず。
アディシ氷河ビューポイントから本日の最高地点となる山頂までは、上り坂が2km弱続きます。
この2km弱が、本日のコースで最も雄大な風景が眺められる区間。
アディシ氷河とそれを取り囲む山々を背にして、現実離れしているほどに緑の絨毯が美しい斜面を登っていきます。
この時は9月の末でしたが、標高の高い地帯ではすでに紅葉が始まっていました。
一面の緑の中に、赤や黄色に色づいた草木がぽつりぽつりと根をはり、その背後には雪をかぶったコーカサスの山々。
何度も後ろを振り返りながら歩くことになるので、時間の見積もりは少々長めにしておきましょう。
川を渡ったポイントからひたすら坂を登ること1時間半ほどで、本日最も標高が高い場所にある山頂に到着です。
ここからは、トレッキングコースは南側の斜面を下っていくものとなります。
少々コースからそれますが、東に200mほど歩いた場所にとても開放的な風景が広がっているポイントがあるので、せっかくならそこでランチ休憩にするのが良いでしょう。
前半で歩いてきたアディシュチャラ川が形成する谷間を一望することができ、遠くにはスタート地点のアディシ村の姿を小さく望むことができます。
山頂~羊飼い小屋間
この区間の詳細
・所要時間:1時間
・距離:2.9km
・高低差:▼510m
山頂でランチを済ませたら、本日の難所は全てクリアしたも同然。
ここから次のポイントである羊飼いの小屋までは、山の南側の斜面を下っていくだけの簡単なコースです。
体力的にはかなり楽ですが、下り坂は結構急な場所も多いので、疲れた足腰には少々きついかもしれません。
途中には1か所、飲用可能な湧き水が湧いているスポットがあるので、補充をお忘れなく。
山頂からひたすら坂を下ること1時間ほど。
ハルデ村&イプラリ村方面への分岐点に到着です。
分岐点の周りには、かつて羊飼いたちが夏場の数か月を過ごしていた小屋が点在しています。
現在はどれも使われておらず、無人となったまま放置されています。
晴れていれば、アディシ山とハルデ村方面へと続く谷間の美しい風景が広がるので、ここで一休みしていくのがおすすめです。
羊飼い小屋~ハルデ村~イプラリ村間
この区間の詳細
・所要時間:2時間半
・距離:6.6km
・高低差:▼250m
分岐点があった羊飼い小屋付近でハルデ村方面(南西)へと進む道に入ると、川沿いにゆるやかな下り坂を歩いていくコースになります。
羊飼い小屋から3.5kmほどの地点に位置するのがハルデ(Khalde / ხალდე)という小さな村。
「村」というよりも、「かつての村」と言った方が正しいかもしれません
というのも、ハルデに1年を通して住んでいるのはたったの一家族しかいないため。
村人の多くは、交通の便がましなイプラリなど他の村へ移り住んでしまったためです。
人が住まなくなった建物は、ただ朽ちていくのを待つだけ。
土台だけが残されてまるで古代遺跡のような外観になったものもあり、人口の流出はかなり前から始まっていたようです。
(実は、ハルデ村が放置されることになったのは1876年の「ハルデ蜂起」がきっかけでした。)
ハルデに唯一住む家族の家はゲストハウスとしても営業している(ハイシーズン限定)ので、この村で宿泊するのもアリだと思います。
ただし、ハルデにお店などの類は一切ないため、大自然の中で静寂を楽しみたい人向けでしょう。
ハルデ蜂起
今でこそ人々に忘れられたかのようなハルデ村ですが、スヴァネティ地方の歴史においては大きな転換点となる出来事があった場所。
時は1876年。当時のロシア帝国がスヴァネティ地方への支配を強めようとしたのに対し、この地域の住民2000人がここハルデ村で蜂起を起こしたのです。
人々はハルデ村の見張り塔に立てこもり、ロシア帝国軍による大砲攻撃を凌ごうとしたものの、大国の軍事力にかなうわけもなく、結局6日後に村は打ち捨てられることに。
当時の民家や見張り塔は跡形もなく破壊されてしまい、ハルデはほぼ無人の村となってしまったのです。
ハルデ村からゴール地点のイプラリ村(Iprari / იპრარი)までは、一応車両の通行が可能な未舗装道路を歩いて行くだけ。
3kmほど歩くと、ようやくその姿が見えてきます。
コーカサスの山々を望む斜面に十数軒の家々が点在するだけのイプラリ村。
数軒のゲストハウスがあり、夏季のみ営業しているカフェのような施設もあります。
村は端から端まで歩いても5分ほどととても小さく、伝統的な石造りの家々が並ぶスヴァネティ地方らしい風景。
村の中心には復讐の塔が一本だけ残っています。
集落部分を見下ろす小高い丘の上に建つのが、11世紀建造のイプラリ教会。
内部にはオリジナルのフレスコ画が現存している大変貴重なものだそうですが、この時はコロナウイルスの影響で閉鎖されていました。
イプラリ村宿泊のアドバイス&おすすめ宿情報
宿泊エリアの選択肢は2つ
イプラリ村にはもともとゲストハウスが1軒しかなかったそうですが、近年のジョージア観光ブームに乗じて複数の宿がオープンしました。
いくつかの宿は宿泊予約サイトにも対応しているので、ハイシーズンなら予約していく方が良いでしょう、
実は、イプラリ村というのはカラ(Kala / კალა)と呼ばれる地域の集落の一つで、地元の人は今でも「カラ」と呼ぶことが多いそう。
イプラリ村からさらに2kmほど進んだ場所には、カラのもう一つの集落であるラルホリ村(Lalkhori / ლალხორი)があり、こちらにもゲストハウスが数軒あります。
イプラリとラルホリの間には急な坂道があり、行き来はかなり大変。
宿泊予約サイトではどちらの集落かまでは表示されないことが多いため、地図をよく見て自分のゲストハウスの位置を確認しておきましょう。
ラルホリ村は、メスティア~ウシュグリ間を結ぶ幹線道路沿いに位置しており、4日目のトレッキングで通ることとなる場所。
少しでも進んでおきたい人にはこちらでの宿泊も良いですが、4日目はかなり簡単なコースなので、のぶよ的には最もハードな3日目の終わりに距離を稼いでおくまででもないと思います。
イプラリ村のおすすめゲストハウス
Ucha Guesthouse
・部屋タイプ:ダブルルーム1人利用
・料金:50GEL(=¥1592) ※夕・朝食付
・立地:9/10
イプラリ村の中心に位置するゲストハウスです。
そもそもかなり小さな村なので、立地を気にするまでもありませんが。
・アクセス:7/10
かなり立派な門構えのゲストハウスで、入るのに少し躊躇してしまうかも。
(かつてはここが村で唯一のゲストハウスだったそうで、結構儲けたんだと思います)
この地方ではどこでもそうですが、鍵をかける習慣はないため、自由に立ち入ることができます。
のぶよが飛び込みで訪れた時は耳の遠いおばあさん一人しかおらず、コミュニケーションに苦労しました。
・スタッフ:9/10
おばあさんの娘がある程度英語が話せる人で、色々と世話を焼いてくれました。
・清潔さ:9/10
近年に改装したそうで、結構な規模のゲストハウスとなっています。
広い庭も小奇麗に保たれており、ログハウス風の客室もかなり良い感じでした。
トレッキング客が多いためか、客室や食堂などでは靴を脱いでスリッパに履き替えるシステムなのも◎
バスルームや食堂も含めて、かなり清潔に保たれています。
・設備:9/10
山奥の村とは思えないほどに、モダンなゲストハウスです。
広々とした食堂、リラックスできる庭、テラスなど、ゲストが快適に過ごせる環境がそろっているように感じました。
唯一のデメリットは、薪で火を焚いてお湯を沸かすシステムであるため、24時間好きな時にシャワーに入ることができない点でしょうか。(夜はだいたいお湯を沸かしてくれています)
・wi-fi:0/10
コロナウイルスの影響で宿泊客がずっとゼロだったということで、インターネットの契約を打ち切ってしまったそうで、wi-fi環境はありませんでした。(普段はちゃんとあるそうです)
のぶよはそもそもこんな山奥でインターネットが使えるなどと期待すらしていなかったので、もはや通常運転でした。
・雰囲気:10/10
かなり快適に過ごせる環境が整っているのは、さすが老舗ゲストハウスといったところ。
広々とした庭にはハンモックやBBQ場まであり、例年のハイシーズンなら各国からの旅行者とコミュニケーションをとれそうです。
・総合:7.6/10
予約なしの飛び込みで宿泊しましたが、大満足の宿となりました。
Wi-fiがない&イプラリ村は携帯のデータ回線も繋がらない&宿泊客のぶよ一人という状況だったため、日が暮れた後はかなり手持ち無沙汰でしたが、静まり返った村で星を眺めるのもオツなものでした。
このエリアではやや強気な価格設定かもしれませんが、老舗ゲストハウスらしい安定感が感じられました。
おわりに
氷河のダイナミックな風景や、人里離れた谷間の風景を眺めながら歩いたトレッキング3日目。
距離はかなり長く、高低差もやや大きいですが、4日間のトレッキングで最も感動を与えてくれる1日となるはずです。
次はいよいよ最終日となる4日目。
世界遺産のウシュグリ村へ向けて歩いていきます。
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