こんにちは!メスティア~ウシュグリ間を4日間かけて歩いた、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ジョージア北西部のスヴァネティ地方は、大自然の雄大さと伝統的な村の雰囲気を手軽に味わえることで観光客に大人気のエリア。
ジョージアの山岳地域にしては、旅行者向けのインフラはかなり整っている方で、老若男女問わず自分らしい楽しみ方ができることが人気の秘訣でしょう。
「自分の足で歩いて自然や伝統を五感で感じたい!」というアクティブ派の人にとっては、スヴァネティ地方はトレッキング天国。
難易度も距離も所要時間も様々なコースがいくらでもあるのですが、中でも大人気&観光のハイライトとなるのが、メスティア~ウシュグリ間の70kmを4日間かけて歩くトレッキングです。
スヴァネティ地方の玄関口&最大の村であるメスティアと、エリアの最奥部に位置する世界遺産の村・ウシュグリを結ぶこのトレッキングコース。
二つの村はいずれも「スヴァネティ観光の必見スポット」として人気の場所で、これらを自分の足で歩いてアクセスするのはかなりの達成感が感じられるもの。
世界的にポピュラーなトレッキングコースなのも納得です。
魅力的なのはメスティアとウシュグリだけではありません。
4日間のトレッキングコース沿いには、時が止まったような雰囲気の村々や、雪をかぶったコーカサスの山々の絶景、ダイナミックな氷河など、とにかく多くの見どころが点在しているのです。
「4日間?70km?絶対に無理…」と思ったあなた、騙されたと思ってこの記事を読み進めてください。
(もしくは写真を見て疑似体験してみるのも◎)
【スヴァネティ地方4daysトレッキング③】
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の旅する翻訳家 (@taisuke5696) September 22, 2020
今日は全行程のハイライト!感動の6時間でした。
轟音を立てて崩れゆく氷河や雪をかぶった山々を眺めながら歩いていると、世界中で自分だけ取り残されてしまったような気分に。
色々ジョージアで歩いてきたけど、ここが一番感動したかも🇬🇪#ジョージア pic.twitter.com/cvbEuCCRuP
距離こそかなり長いですが、コース自体はトレッキング初心者でも歩けるレベルのもので、特別な装備も必要ないほど。
それにもかかわらず、絶景のオンパレードなコーカサス山脈の麓の風景を満喫することができるのですから、もはや挑戦しない意味がありません。
今回の記事は、4日間に及ぶメスティア~ウシュグリ間のトレッキング情報の総まとめ。
前半は、各日のコース沿いの見どころをピックアップして紹介しています。
- 1日目
※ツヴィルミ村経由コースの情報もアリ! - 2日目
- 3日目
- 4日目
後半では、このトレッキングに関する注意点やアドバイスなどを「よくある質問10」という形で解説していきます。
日本語ではほとんど情報がない(というか、日本人歩くの嫌いすぎ問題)エリアなので、のぶよと同様に「自分の足で行けない場所などない!」と信じてやまない人のお役に建てれば嬉しいです!
4日間のトレッキングの各日ごとの詳細なコース情報や見どころは、それぞれ別記事へのリンクを貼っているので参照してください!
人生で一度は挑戦したい!メスティア~ウシュグリ4日間トレッキングって、こんな感じ。
全長およそ70kmに渡る距離を4日間かけて歩く、メスティア~ウシュグリ間のトレッキング。
そのコースの概要は、こんな感じです。
【各日ごとの大まかな難易度】
1日に歩く距離は区間によって10km~17kmほどとバラつきがあり、高低差も各日で異なります。
難易度を大まかに分けると、
・1日目/4日目:楽勝 (アップダウン少なめ)
・2日目:ややハード (距離は短いがアップダウンあり)
・3日目:ハード (距離長い&アップダウンあり)
といったところ。
「ハード」と言ってもたかが知れており、初級コースに毛が生えたようなもの。
本格的な登山となる箇所や岩場を這っていくような危険な箇所はなく、全体を通して初心者でも問題なく歩けるレベルのコースとなっています。
【各村での宿泊】
このコース最大のポイントは、4日間全ての日の宿泊地となる村にゲストハウスがあること。
寝床だけではなく、食事をつけてもらうことも可能なので、テントや寝袋はおろか、食料をわざわざ持っていく必要もありません。
最低限の荷物だけで歩くことができるのが、このトレッキングの難易度を低くしている理由の一つです。
それでは、トレッキング1日目からコース沿いの風景や見どころなどを見ていきましょう。
きっと行きたくてたまらなくなるはず…!
1日目:スヴァネティ・ヴァレーの中世の村を歩く(メスティア~ジャベシ村)
トレッキング1日目はメスティアを出発し、峠を越えて「スヴァネティ・ヴァレー」と呼ばれる谷間の丘陵地帯に点在する村々を縫うように歩いて行く16kmほどの区間。
どれも人口数十人ほどの小さな村で、まだ観光地化の波がやってきていないため、素朴な雰囲気が残っているのが特徴です。
観光のハイライトとなるのが、谷の中央部分に位置するラヒリ村(Lakhiri / ლახირი)。
18本の「復讐の塔」が全て同じ方向を向いて建つ独特な風景を誇る村で、「スヴァネティ地方で最も昔の姿を残した村」と称されることもあるほどだそうです。
1日目のゴール地点/宿泊地となるジャベシ村(Zhabeshi / ჟაბეში)周辺からの風景も美しく、山々の絶景と伝統的な村々の風景に、トレッキング初日から興奮が抑えられません。
ツヴィルミ村経由コースにアレンジも可能!
ほとんどの旅行者が、1日目は上で紹介したトレッキングコースを歩いてジャベシ村に宿泊するのが現状ですが、実はもう一つのルートがあります。
それは、1日目メスティアからツヴィルミ村(Tsvirmi)へと歩いて宿泊→2日目にアディシ村へと抜けるもの。
このコースに関しては、「ツヴィルミ村経由コース」の項で紹介しています。
2日目:スヴァネティで最もリモートな村へ(ジャベシ村~アディシ村)
トレッキング2日目は、。スヴァネティ・ヴァレーを後にして、山を越えた先にあるアディシ村を目指す10kmほどの区間。
4日間のうち最も距離が短い区間ではあるものの、高低差は結構大きいため想像以上に時間がかかります。
コース前半は山を越えるために上り坂がずっと続くため、体力的にはなかなかハード。
しかし、一度登り切ってしまえばゴール地点のアディシまでは下っていくだけ。
見晴らしも良く、かなりの絶景の中を歩くコースとなっています。
深い山の中にひっそりと佇むアディシ村(Adishi / ადიში)が初めて目に入った時の感動は、きっと言葉に表せないものがあるはず。
スヴァネティ地方の中でも最も不便な村の一つであるアディシ村。
さらに奥へと続く深い谷間の緑を背景に、伝統的な石造りの建物や塔が建ち並ぶ風景は、ここまで歩いた人しか見られない貴重なものです。
3日目:トレッキングのハイライト!(アディシ村~イプラリ村)
4日間に及ぶトレッキングの中でも、ハイライトとなるのが3日目。
距離17km / 高低差700m以上と、全区間を通して最大の難所となる区間ですが、そのハードさに見合う絶景がずっと続きます。
特に素晴らしいのが、コース前半で見られるアディシ氷河の大パノラマ。
もはや地球上の風景ではないかのようなダイナミックな氷河を眺めながら歩くことができ、コーカサスの大自然を全身で満喫することができます。
コース自体もずっと見晴らしの良い場所を歩くため、最初から最後まですべてが絶景ポイントと言っても過言ではないほど。
3日目だけは、絶対に晴れた日を狙って歩くことをおすすめします。
4日目:世界遺産の村へ一歩ずつ進む。(イプラリ村~ウシュグリ)
4日間トレッキングの最終日は、ゴールとなるウシュグリ村を目指して歩いて行く12kmほどのコース。
コースの途中からウシュグリ村までは、車両通行可能な未舗装道路に沿って歩くことも可能なものの、せっかくなら最後まで大自然の中を歩くもう一つのコースを行くのがおすすめです。
小さな村々の素朴な風景を横目に、4日間歩いてきた道のりを噛みしめながら歩を進めていくと、ようやくゴール地点のウシュグリ村が遠目に見えてきます。
この瞬間の感動は、実際にここまで自分の足で歩いた人だけが味わえるもの。
車で楽々とやって来て、日帰りで写真を撮りまくって足早に去っていく観光客には味わうことができない達成感や思いは、世界遺産・ウシュグリ村での滞在をさらに特別なものとしてくれるはずです!
4日間トレッキングのゴールは、世界遺産の絶景村!ウシュグリ
4日間トレッキングのゴール地点となるウシュグリ(Ushguli / უშგული)は、スヴァネティ地方の最も奥に位置する村。
「ヨーロッパで最も標高が高い場所にある、人が定住する村」と言われ、この地方伝統の「復讐の塔」が連なる石造りの村の風景は世界遺産にも指定されています。
ウシュグリはスヴァネティ地方観光のハイライトとなる村の一つで、トレッキングのスタート地点であったメスティアと並ぶほどの人気を誇る村。
桃源郷のような村の風景は素晴らしく、ここを拠点にシュハラ氷河などへ日帰りトレッキングをすることも可能です。
観光地化が進んでいるとはいえ、まだまだのんびりした山村の雰囲気が残っているのもウシュグリの魅力。
4日間歩き続けて疲れた体を休めるにはもってこいな、ゆったりとした時間が村中に流れています。
村中に点在する絶景ポイントを制覇するも良し。名物グルメに舌鼓を打つも良し。のんびりと宿のハンモックに揺られるも良し。
頑張って歩いた自分へのご褒美も兼ねて、数日間ゆっくり滞在したい村です。
他人とは違うプランが良い人におすすめ!ツヴィルミ村経由コース(1日目&2日目)
メスティア~ウシュグリ間の4日間トレッキングコースは、9割の旅行者が上で紹介したものと同じコースを選択して歩きます。
他の人と少し違うコースで歩きたい人には、メスティアの南側にそびえるズルルディ山脈を越えた先にあるツヴィルミという村を経由するプランにするのもおすすめ。
1日目と2日目のコースが変わりますが、3日目と4日目は通常のコースに合流します。
ツヴィルミ経由でトレッキングすることにはメリットがたくさん。
・最初の急斜面をチェアリフトで楽々登れる
・とにかくずっと絶景が続く
・観光地化されていないツヴィルミ村の素朴な風景が堪能できる
ツヴィルミ村を経由するコースの1日目は、標高が高く見晴らしの良い場所を歩くため、歩いている間ずっと絶景と言っても過言ではないほどです。
また、1日目の宿泊地となるツヴィルミ村(Tsvirmi / წვირმი)の素朴な「古き良きスヴァネティの村」感も大きな魅力。
通常のトレッキングコースに比べると、ツヴィルミ経由で歩く旅行者の数は限られているため、ピュアな村の雰囲気がそのままに残っているのです。
ツヴィルミ経由コースのプランニングのヒント
【4日間の場合】
・1日目:スヴァネティ・ヴァレーを歩く代わりにツヴィルミ村まで歩き宿泊
・2日目・アディシ村へと歩き宿泊
となり、3・4日目は通常のコースと同じ。
この日程なら4日間で歩けますが、通常コース1日目のスヴァネティ・ヴァレーを訪れることはできません。
【5日間の場合】
ツヴィルミとスヴァネティ・ヴァレー両方を訪れたい場合は、
1日目ツヴィルミ泊→2日目スヴァネティ・ヴァレー経由ジャベシ泊→3日目アディシ泊…
といった感じで、+1日して合計5日間の日程で可能となります。
メスティア~ウシュグリ4日間トレッキング:よくある質問に答えます
ここまで読んで、「なんだか自分でも行けそうな気がしてきた…というか、行きたい!」と思った人、いらっしゃいませ(笑)
初めにも言った通り、メスティア~ウシュグリ4日間トレッキングは決して難易度が高いものではなく、万人向けのコースであることがほとんどです。
しかしながら、やはり相手は大自然。
トレッキングに関して注意するべきことなどもあります。
ここからは、このトレッキングに関してよくある質問に答えるかたちで、実際に歩いたのぶよが感じた注意点やアドバイスをシェアしていきます。
1「そもそもどれくらいのレベルのコース?」:難易度について
いくら声を大きくして「誰でも歩けるコース!」と主張したところで、実際にどれくらいハードなのか不安に感じますよね。
最初に触れた通り、4日間のトレッキングの難所となるのは2日目と3日目。
特に、17kmの距離の中で700m以上の高低差を登ることとなり、それまで2日間歩いた足の疲れも出てくる3日目は最大の難所と言えるでしょう。
とは言え、コースはかなり歩きやすい道で危険な箇所も少なめなので、ゆっくり歩けば問題ありません。
(川を歩いて渡るところはありますが)
それ以外の1日目や4日目に歩く区間は、距離こそそれぞれ10km以上あるものの、高低差は500mほどとトレッキングコースとしてはかなり平坦な部類です。
総合的に、足腰に何ら問題がなく普段から歩くことに慣れている人であれば、余裕で4日間歩き通すことができると思います。
2「トレッキングのベストシーズンは?」:季節について
山岳部にあるスヴァネティ地方ですが、1年を通してアクセス自体は可能です。(スキー場があるくらいなので)
しかしトレッキングをするとなると、季節は限られてくるもの。
冬の登山の経験や知識がない人は、11月~4月の積雪がある時期のトレッキングは無謀です。(し、仮に経験があったとしてもただの苦行だと思います)
逆に言えば、5月~10月にかけてがトレッキング可能な時期ということ。
スヴァネティ地方全体を通してのトレッキングのベストシーズンは7月中旬~10月上旬にかけてですが、各季節ごとに簡単に見ていきましょう。
【初夏(5月~7月上旬)】
ベストシーズン以前(5月~7月上旬)はジョージア全体が梅雨のような気候となり、雨が降る確率がかなり高くなります。
また、雪解けの時期にもあたるため、トレッキングコースははぐちゃぐちゃ&川の水量も多くなり、リスクも増えてしまいます。
【夏(7月中旬~8月末)】
夏の本番である7月中旬~8月末は、天気が安定している文句なしのベストシーズン。
しかしながら、ベストシーズンのスヴァネティを体験しようと、バケーションシーズンにあたる欧米諸国から多くの旅行者がやってくるのもこの時期です。
メスティアやウシュグリなど人気の村は外国人であふれ、トレッキングコースでさえ人でいっぱいになるそうです。
小さな村のゲストハウスは客室数が少なく、宿泊先の選択肢が限られてしまうのはもちろんのこと。
「せっかくの大自然を味わうために歩いていても、目に入るのは人の姿ばかり…」なんてちょっと幻滅してしまうかも。
【秋:9月~10月上旬】
というわけで、のぶよ的には9月を推したいです。
特に9月下旬の紅葉の進み具合は感動もの。
到着した時は一面が緑色だった山が、10日足らずで真っ黄色に変化していたくらいですから。
気温も7、8月に比べると涼しいので、トレッキング目的なら最適な時期だと思います。
一方で、10月上旬の紅葉の時期を過ぎたスヴァネティ地方は一気に冬の空気に包まれ、天候は不安定になります。
年によっては雪が降ることも珍しくありません。
3「テントや食料、登山靴は必要?」:持ち物について
「複数日のトレッキング」となると、何だか色々と持ち物が必要になりそうな気がしますよね。
今回紹介した4日間トレッキングに関しては、本当に衣服だけ持っていけばOKです。
【ゲストハウスでの宿泊&食事が基本】
最初に触れた通り、このトレッキングコース上にはちょうど良い場所に人が住んでいる村があり、どこの村にもゲストハウス設備があります。
そのため、テントや寝袋などのキャンプ用品は一切必要ありません。
また、食事に関しても朝食と夕食はゲストハウスで提供してもらうのが基本となり、メスティアから大量の食糧を持っていく必要もありません。
【昼食も心配なし!】
昼食に関しては、宿の人に頼んでランチボックス(別料金)をお願いすることも可能ですし、夕食や朝食の残りを包んでおいてトレッキング中に食べるのもおすすめ。
ジョージアのゲストハウスの食事はとにかく量が多いので、無駄をなくすことにもつながりますし、普通は無料で包んでくれるので節約にもなりますよね。
【水は2ℓのボトル1つを持参】
トレッキング文化が根付いているわけではないジョージアでは、水の補給に苦労する場合も多いのですが、今回紹介した4日間トレッキングではそれも心配いらず。
4日間全ての日に飲用可能な水が湧いているスポットがあるので、2ℓのペットボトル1本あれば補給しながら歩くことができるでしょう。
【電気はどこでも通っている】
スヴァネティ地方では、どんな小さな村であっても電気は通っています。
そのため、PCやスマホなどが必要な場合は持参しても良いですし、モバイルバッテリーなどもその日1日分を充電しておけば大丈夫です。
【靴だけはちゃんとしたものが良いかも】
のぶよは基本的にどこでもスニーカーで行ってしまう人なのですが、できればちゃんとしたトレッキングシューズを履いていくのが良いでしょう。
「絶対に必要!」というほどにハードで危険な区間はないのですが、歩く距離が長いため、足に負担をかけない意味でもおすすめしたいです。
4「ゲストハウスは事前に予約するべき?」:宿泊について
観光客が多く訪れるメスティアとウシュグリ以外の小さな村々では、宿泊先の選択肢や数が必然的に限られます。
ホテルなどは一切なく、地元の家族が自分の家の一部を旅行者に開放しているゲストハウスでの宿泊が100%となります。
しかし、このゲストハウスがなかなかの曲者。
「寝て食事出してもらえればそれでいいや」と割り切るのも一つの手ですが、せっかくならスヴァネティ本来の温かさが感じられる宿に泊まる方が、トレッキングの思い出もより深くなりそうです。
【このエリアの宿は当たりはずれが激しい】
声を大にして言いたいのですが、スヴァネティ地方、特に今回のトレッキングで訪れるような小さな村々のゲストハウスは本っっっっつ当に当たり外れが激しいです。
設備こそどこも同じようなもので、快適でモダンな滞在などできるわけもないのですが、何よりもピンキリなのが宿の人のゲストに対するホスピタリティー。
こればかりは実際に宿を訪ねて、その人となりを見てみないとわかりません。
スヴァネティ地方は急速に発展しすぎた観光業によって、良くも悪くも観光客慣れした人が多いエリア。
特に、今回紹介したトレッキングの宿泊地としてポピュラーな村では、1泊だけして翌朝には出て行ってしまうトレッキング客が黙っていても毎日毎日やってくるわけです。
「温かくもてなそうとしたところで、どうせ1泊しかしないしもう戻って来ない」→「適当に食事出してお金もらえればいいや」と考えてしまうのも一理あるでしょう。
【インターネット予約はリスク高し】
とは言え、1泊だけでも家族のように温かくおもてなししてくれる素晴らしい宿もあるにはあります。
のぶよは1日目の宿泊(ジャベシ村)をBooking.comで事前予約していったのですが、とにかくここが最低最悪でした。
ジョージア全体を通して最も高い金額を支払ったのに、夕食はパンと冷めた芋だけ、後から色々と別料金を請求してくるetc…
Booking.comの評価では9以上(10段階)あったのに、一体何がこの宿を変えてしまったのかミステリー小説もびっくりな落差でした。
この経験からのぶよが行きついた結論は、「インターネットの宿泊予約サイトに対応している→外国人観光客が集まる→金に目がくらむ」という「スヴァネティ・負のスパイラル」と呼ぶべき事象。
最悪宿での滞在の翌日から、実際に部屋&宿の人の感じを見てから決める飛び込みスタイルに変えたところ、あら不思議。
全ての宿で最高のおもてなしを受けました。
というわけで、のぶよ的には「宿泊予約?何それ?」的な欲の皮が薄い人達にお金を落としてあげたいので、宿泊予約サイトを通しての事前予約はこのエリアでは必要ないと思います。
【出発は朝早く/到着は午後早めに】
ハイシーズンに予約なしで飛び込み宿泊するなら、とにかく早い時間に目的地に到着するのがベター。
ネット予約に対応していない宿ならハイシーズンでも空室があるはずですが、同じ考えの旅行者も多くいるはず。
予約なしでの宿泊は早い者勝ちなので、7月・8月のハイシーズンの飛び込み宿泊は他の旅行者より先に到着して部屋を確保することが基本となります。
(それ以外の時期は、どこかしら必ず泊まれるのでのんびり到着でもOK)
【シャワーは到着後すぐに浴びておく】
各村のゲストハウスは、そもそも普通の家の空き部屋を旅行者に開放しているだけのもの。
お湯を沸かして貯めておくタンクの量には限りがあるため、宿泊客が多くなればなるほど減りが早くなり、夜になると水しかでないことも考えられます。
「トレッキングで汗をかいた後は絶対に温かいシャワー!」という人は、到着後すぐに浴びてしまうのがおすすめ。
翌朝なんてもっての他で、一か所しかないバスルームは宿泊客で混雑し、出発時刻がどんどん遅れることになりかねません。
5「途中でギブアップは可能?」:事故・急病・緊急時について
いくら難易度が高くないコースとは言え、実際に歩いてみないと何が起こるかわからないもの。
急に体調が悪くなったり、怪我をしたり…予想外の事態に見舞われる可能性もゼロではありませんよね。
もし、4日間のトレッキングの途中でギブアップしてメスティアなどの町へ戻る場合、人が住む村からであれば可能です。
今回紹介した村のほとんどには車両が通行できる道が通っており、ゲストハウスの人に頼んで車を出してもらうことができるでしょう(もちろんたんまりと請求されるでしょうが)。
反対に、トレッキングコースの途中など車が通れない山の中でアクシデントなどに遭ってしまった場合、途中ギブアップは絶望的。
他のトレッキング客に助けを求めるくらいしか方法がありません。
コースを大きく外れたり、無理に写真をとろうとしたりしない限りは、事故などに遭う確率は低いです。
自分が大自然の中にいることを忘れずにトレッキングを楽しむようにしましょう。
6「野生動物や牧羊犬はいる?」:動物のリスクについて
スヴァネティ地方に限らず、大自然の中を歩くトレッキング時につきものなリスクが、野生動物に遭遇してしまうこと。
これだけの山深い地なので、熊やヘビ、イノシシなどの野生動物は至る所に生息しています。
【熊への心配は必要なし】
スヴァネティ地方では熊に遭遇するリスクはかなり低いと言われています。
より奥地の未開の地へと足を踏み入れるなら話は別ですが、多くの観光客やトレッキング客が訪れるエリア(今回の4日間コースも含め)に関しては、熊に出会う確率は限りなく低いでしょう。
村の人々にも聞きましたが、「そんなのこの辺にはおらんわ!」と一笑される始末でした。
【牧羊犬がいないトレッキング・パラダイス】
ジョージアでトレッキングをする旅行者を悩ませるのが、羊や牛などの家畜を守る役割をする牧羊犬。
家畜の群れに近づく人間を全て敵とみなし、ものすごい剣幕で吠えかかってくる牧羊犬はとにかく恐ろしく、カズベキやトゥシェティ地方などのジョージア山岳部を歩く人にとってはかなり疎ましい存在です。
一方のスヴァネティ地方では、牧羊犬に家畜を守らせる文化がないよう。
3週間滞在して津々浦々歩き回ったのぶよですが、牧羊犬という存在を一度も見かけませんでした。
家畜の群れには人がついているか、完全に放牧かのいずれかだったので、他のジョージア山岳部エリアのような牧羊犬に対する注意も必要ないと思います。
7「反対方向(ウシュグリ→メスティア)で歩ける?」:計画について
今回の記事では、メスティアをスタートしてウシュグリへと至るコースを紹介していますが、もちろん反対方向(ウシュグリ発→メスティア着)でトレッキングをすることも可能です。
その場合でも各日の宿泊地となる村は同じになるので、何も難しいことはありません。
さらに、ウシュグリ(標高2410m)の方が、メスティア(標高1500m)よりも900m以上標高が高い地点に位置しているため、全体を見るとこちらのコースの方が下りが多いことになります。
こうして見るとウシュグリ→メスティアと歩く方がメリットが多そうですが、多くの人はメスティア→ウシュグリという方向で歩くことにこだわります。
それは、トレッキングのフィナーレにウシュグリ村に滞在することができるため。
ウシュグリは文句なしの、スヴァネティ地方観光のハイライト。
メスティアをフィナーレとするのも素敵なのですが、ウシュグリに比べると「大きな町」感が強いため、「こんな奥地まで自分の足でやってきた」という感動はやや薄れてしまうかもしれません。
4日目のウシュグリ村が目に入った瞬間の感動を味わったからこそ、のぶよ的にはメスティア→ウシュグリの方向で歩くことをおすすめします。
8「wi-fiはある?携帯の電波は?」:ネット環境について
かつてはインターネットなど夢の話だったジョージア山岳部ですが、ここ数年間でその状況は大きく変わりました。
スヴァネティ地方の主な村にはインターネットを受信するためのアンテナが設置されており、各ゲストハウスにはwi-fiがあることがほとんどです。
携帯のデータ通信に関しては、契約している電話会社によって大きく変わりますが、「最安&カバー範囲狭め」と言われるBeelineでさえも、主な村であれば電波が飛んでいました。(3日目の宿泊先のイプラリ村を除く)
一方で、トレッキングコース上ではどうしても電波が山に遮られてしまうため、電話会社によらず携帯のデータ通信は使えないと考えておきましょう。
9「雨の日でもトレッキングは可能?」:天候について
スヴァネティ地方は、標高1600m~2500mとかなりの高地に位置しており、周囲を山々に囲まれた地形のため、天候は平地のように安定してはいません。
それでも、のぶよが訪れた9月末はかなりの晴天続きで、4日間のトレッキング中に雨に降られたことは一度もなかったのですが、おそらくこれは結構運が良いケース。
4日間連続で青空が広がる可能性よりも、どこか1日2日で雨に降られる可能性の方が大きいと思います。
今回紹介しているトレッキングコースは、急斜面や岩場を歩く箇所がないため、基本的に雨でも問題なく歩くことができます。
しかしながら、ぬかるんだ道は歩きにくく、川が増水して渡れないことも考えられます。
絶対に晴れた日を狙って歩きたいのは、3日目のアディシ~イプラリ間。
山道を歩く区間が多いのはもちろん、トレッキングのハイライトとなる絶景が見られる1日なので、ここで雨が降ってしまうと感動も半減してしまうかもしれません。
もし天気予報が怪しい感じなら、プランニングに余裕を持っておいて、2日目のアディシ村で延泊して晴れの日を待つことも一つの手だと思います。
10「道に迷う可能性は?標識はある?」:コースの整備について
4日間トレッキングのうち、1日目~3日目にかけては、結構しっかりとマーキング(コースを示すために木や石に色が塗られている)がされていた印象です。
2日目(ジャベシ~アディシ)の前半の登り坂は、コース沿いに牛が歩いた後にできる道がいくつも交わっていて道がわかりにくかったものの、それ以外はコースがかなり分かりやすいです。
4日目(イプラリ~ウシュグリ)に関しては、正規のトレッキングコースというわけではないため、標識やマーキングは一切ありません。
例年なら多くのハイカーが歩くため、ちゃんとコースが見えるのでしょうが、のぶよが訪れた2020年はコロナウイルスの影響で観光客はゼロ。
夏の間に茂りに茂った草がコースを覆い隠していたため、ほぼ道なき道を歩くような場面もありました。
また、分岐点となるポイントには黄色い案内標識がちゃんと設置されている場合がほとんどだったので、間違って別の道に行ってしまう危険も少ないと思います。
いずれにしても、このコースを歩くなら地図アプリは必須です。
Google Mapにはもはやトレッキングコース自体が表示されないので全く役に立ちません。
オフラインでトレッキングコースを含めた地図を見るなら、Maps.meというアプリは必須アイテムでしょう。
おわりに
メスティア~ウシュグリ間の70kmを自分の足で歩くトレッキングコースについて、詳細に解説してきました。
日本語ではほとんど情報がないので、同じルートを歩こうと考えている人のお役に立てれば嬉しいです。
何度も繰り返しますが、4日間歩かなければいけないとは言え、本当に誰にでも歩けるレベルのコースなので、ぜひとも多くの人に挑戦してほしいです。
自分の足でコーカサスの山々を歩くなんて、きっと一生の思い出になること間違いないでしょう。
コメント
メスティア→ウシュグリのトレッキングを計画してます。ウシュグリからの帰りはどうやって戻りましたか?
以前、乗合でウシュグリ往復しましたが、片道のトレッカーを乗せる余裕が無い車がほとんでした。
吉田 尚弘様
コメントいただきありがとうございます。
ウシュグリ→メスティア間の移動方法ですが、2022年夏に訪れた際は片道で乗り合いバスの利用も可能でした。(片道40GEL)ただ、ウシュグリ側でチケットを購入することはできず、メスティアのチケットオフィスであらかじめ復路の日付を指定してチケットを購入しておく必要があり、日程の変更等ができないのがネックかと思います。ですので、乗り合いバス利用の場合は最初にメスティア→ウシュグリへ移動してしまい、ウシュグリをスタートするトレッキングでメスティアに戻るプランの方がプラン変更の際の融通が利くように思います。
乗り合いバス以外の交通手段となると、ウシュグリ村でドライバー(普通の村人が自家用車でお小遣い稼ぎをしている)に頼んでプライベートカーで移動するという手があります。料金は1台150GEL~200GELが相場で、利用する人数が多いほど一人当たりの値段は安くなります。時期にもよりますが、夏場のハイシーズンであればウシュグリ→メスティアへ移動する旅行者も多いですし、シェアする人を探すのも容易だと思います。
ドライバーに頼む場合は、ウシュグリでの宿泊先のゲストハウスの人につないでもらうのが確実です。
以上、ご参考いただければと思います。