こんにちは!ジョージア西部のビーチシティー・バトゥミにのんびり滞在中。世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ジョージア西部屈指の都市であり、夏場はビーチリゾートとして多くの人が賑わうバトゥミ。
ものすごい勢いで開発が進むこの町のイメージは、なかなかにギラギラしたものかもしれません。
「海沿いキラキラタワーマンション!」
「お洒落なシティーライフと黒海ビーチ!」
「黒海のドバイ!またはラスベガス!」
のように、何となく開発過剰で人工的、浮かれた雰囲気の町と思っている人も多いのではないでしょうか。(のぶよもそう思っていました)
それ、間違っています。
いや…間違っているというか、「煌びやかで華やかでゴージャスなバトゥミ」というイメージは、この町を構成する要素の一つに過ぎません。(ジョージア政府がロシア人旅行客向けに必死にキラキライメージを定着させようとした感はある)
(個人的に)バトゥミの真の魅力が詰まっているのは、海が見えるタワマンでも黒海のビーチでも謎デザインの建造物群でもなく、バトゥミ市場であると思っています。
ジョージアの市場ではどこでもある程度共通している、雑然とした雰囲気と埃っぽさは、ここバトゥミにも健在。
というか、他都市の市場に比べてもカオス感がより強く&むんむん感じられるような気がします。
バトゥミ市場で最も特徴的なのが、謎の立ち飲み屋や倉庫のようなスペースでひっそりと営業しているローカル食堂、絶品グルメを売る謎の小屋など、ローカルな飲食店がものすごく充実している点。
バトゥミという町自体にも、ジョージアの他都市に比べて外食文化が強く根付いている気がするのですが、バトゥミ市場はその象徴たる存在かもしれません。
ごちゃっとした雰囲気で格安のローカル食堂や居酒屋が点在するバトゥミ市場は、もはや大阪のよう。
明るく気の良い&お喋りな地元の人々との掛け合いも含め、「人情の町」といった言葉がぴったりです。
今回の事は、知れば知るほど沼にはまっていくバトゥミ市場の魅力を解説するもの。
実際に数回訪問して見つけた、謎食堂や謎飲み屋情報もバッチリ載せています!
「バトゥミ観光=市場」というイメージがなかなか(というか「ほとんど」)定着していないのが現状かもしれませんが、正直、相当面白いです。
むしろ、市場を探索せずにバトゥミという町を語ることはできないとさえ思います!
バトゥミ市場とは?
バトゥミ市場が位置するのは、中心街から南東に徒歩10分ほど歩いた場所。
他都市とのミニバス路線が発着するオールド・バスステーションから目と鼻の先の距離に位置しています。▼
バトゥミ市場の規模はそこまで大きくはなく、ぐるりと歩き回るだけなら30分もあれば十分なほど。
しかし、この底なし沼のような異界を満喫するには、30分では到底足りません。
散策&飲食の時間を合わせて、数時間たっぷりとみておくのがおすすめです!
屋内市場
バトゥミ市場の敷地の中心に建つのが、まあまあな広さの屋内市場。
一階は食料品 / 二階は衣類や日用品のお店が連なっています。
屋内市場の内部は意外とスッキリしており、トビリシ中央市場のように360°商品に囲まれたような圧倒的カオス感はあまり感じられません。
野菜や果物から肉類、コーヒー紅茶などの嗜好品の店まで、さまざまな種類の露店が並んでいますが、どちらかというと観光客向けのお店が多いのが特徴的。
商品名がロシア語で併記されている場合も多く、バトゥミに集まるロシア語圏からの旅行者向けのような気もします。
屋外市場
喧騒と埃っぽさに満ちた市場が好きなのぶよ的には、屋内市場はやや小綺麗すぎた印象でした。
しかし、建物を一歩出た先に広がる屋外市場は、期待を裏切らない場末感(べた褒め)でワクワク…!
のぶよがバトゥミ市場にハマった理由がまさに、この屋外市場ゾーンでした。
どこまでもディープでローカルでレトロでしかない、バトゥミ屋外市場の魅力を見ていきましょう。
バトゥミ屋外市場を楽しむための5ヶ条
①ローカルな品ぞろえに注目!
市場というものは、その土地の食文化の根底にあるもの。
売られているものの品ぞろえや、店の種類を観察してみると、その地域にどういった食文化が根付いているのか垣間見ることができます。
バトゥミが位置するアジャラ地方では、「ハチャプリ(チーズパン)」に代表されるように、小麦粉や乳製品などを用いた食文化が伝統的。
屋外市場にも、この食文化を象徴するようなお店がたくさん並んでいたのが特徴的に思いました。
また、アジャラ地方の山間部では煙草の葉の栽培が盛ん。
乾燥させて細かく切られた煙草の葉がkg単位で売られている光景も目立ち、周囲は独特の香ばしい香りに包まれていました。
②レトロな手書き看板を探す
バトゥミの市場では、やたらと手書きの看板が目立ちます。
ジョージア語とロシア語が併記されているものが多いですが、多くの看板には手書きのイラストが描かれているのも独特。
文字が読めない旅行者でも、そこが何の店なのか一目瞭然なのは嬉しいですし、なによりレトロな感じがとてもかわいいです。
こうした看板はバトゥミ市場の敷地内だけでなく、周辺エリア(ちょっとした露店街のようになっている)でも見られるので、お気に入りを探すのも◎
③昔ながらの人情に触れる
バトゥミの屋外市場の人々は、とにかく暇を持て余しています(笑)
蒸し暑い気候もあいまってか、なかなか積極的に商売をしようという感じではなく、みんな自分の露店の椅子に座ってだら~んとしています。
そんな中に外国人がやって来ると、あら不思議。
とにかく声をかけまくってくるのです。
もちろん誰一人として英語など話せるわけもなく、ジョージア語かロシア語でぶわぁぁっと話してくるのですが(こちらが理解していようがいまいがお構いなしに)、とにかくみんな明るい人ばかり。
ここバトゥミが位置するアジャラ地方の人々の気質は「ジョージアで最も陽気で気が良い」とされることもしばしばあるそうなのですが、その前評判を裏切らない「コミュ力お化け具合」が至る所で感じられるはずです。
④そこはかとない場末感に酔う
バトゥミの屋外市場で最も面白いと思ったのが、どうしようもないほどにぷんぷんと漂う場末的な雰囲気。
トビリシ、クタイシ、ゴリ、ズグディディ…
ジョージア各都市の市場はすべて制覇してきたのぶよですが、バトゥミ市場の「数十年前で時が止まっている感」は群を抜いているような気がします。(ズグディディの市場もすごかったけど…)
屋外市場に連なる食堂(のような小屋)に関しても、絵に描いたように場末な雰囲気。
昼間から酔っぱらってジョージア民謡的な何かを歌うおじさんたちや、微妙なセンスのデコレーションを裸電球が照らす薄暗い店内…こういう雰囲気が好きな人にとっては、まさに聖地です!
⑤市場グルメを食いだおれ
色々とバトゥミ屋外市場の魅力を語ってきましたが、この場所で絶対に見逃してはいけないのが市場グルメ。
ジョージア国内のある程度の都市なら必ず一つはある市場ですが、バトゥミ市場ほどにローカル飲食店が充実している所は他に知りません。
「市場のグルメ…?なんか抵抗あるなあ…」とあなどることなかれ。
朝から晩まで働く市場の人たちの胃を満たしてきた食堂たちは、どこも安くて美味しい料理が食べられる場所ばかりなのです。
というわけで、まんまとこの場所の沼にハマってしまったのぶよが開拓した、バトゥミ市場グルメの名店を紹介していきます。(これでもほんの一部)
お腹を空かせて行くのが絶対!さあ、Let’s 食いだおれ!
バトゥミ市場のおすすめローカル食堂
①チェブレキ屋
バトゥミ中心街方面からやって来て、屋外市場の敷地に入ってすぐの場所にあるのが、こちらの小屋。
なんとこの店、チェブレキの専門店。(たまにヒンカリもあるっぽい?)
ジョージア広しといえども、チェブレキ一本で勝負している店はなかなかありません。
「チェブレキ」とは、タタール共和国(現在ロシア領)発祥だとされる、旧ソ連圏全体でポピュラーな軽食のこと。
巨大な揚げ餃子をイメージすればOKです。
ジョージアで一般的なチェブレキは、パン屋のメニューの一つとして作り置きされたものが売られているのが普通。
いっぽう、このチェブレキ専門店では注文してから油で揚げてくれるので、食感が段違いです。
サックサク&パリッパリの生地の中には、ハーブやニンニクで程良く味付けされたひき肉と、そこから漏れ出したたっぷんたぷんのスープがぎっしり…
あのですね…感動的に美味しいです。
あまりの美味しさに食指がうごめきまくって爆食いしていたら口の中大火傷しましたが、まあそれもチェブレキの風物詩みたいなものだと考えれば…
このクオリティーで、ひとつ1.8GEL(=¥89)は、急激な物価高が進むジョージアでは考えられないほどの激安プライス。
作り置きのチェブレキでさえ、トビリシではひとつ3GEL(=¥149)はしますから…
「注文は最低〇個から!」といった決まりもないので、食いだおれツアーのスタートにもぴったり。
パリパリ生地と妖怪レベルの肉汁に感動してください!
②バトゥムリ・ルディの居酒屋
チェブレキに感動した後は、バトゥミのご当地ビールで喉を潤すのが◎
ジョージア語で「バトゥムリ・ルディ」(ბათუმური ლუდი)と呼ばれるもので、直訳すると「バトゥミのビール」となります。
バトゥミ郊外の小さな工場で製造されているバトゥムリ・ルディは、蒸し暑い気候に合わせたキリッとしたのど越しが特徴的なラガータイプのビール。
ジョージアに2年以上滞在していますが、バトゥミ周辺以外の地域ではいっさい見かけたことがないので、完全なるバトゥミ名物と言えそうです。
バトゥミ屋外市場の飲食店のほとんどに、タップで置かれているバトゥムリ・ルディ。
どの店で飲んでもOKですが、せっかくなら屋外市場らしい居酒屋で酔っ払いたちに囃し立てられながらクイッと飲み干すのが粋というものでしょう(笑)
価格はいずれの店でもジョッキ1杯で2GEL(=¥99)が一般的です。
③タマラの喫茶店
屋外市場をうろうろしていると、いきなり「モディ アカ!」(こっちへおいで!)と笑顔で手招きしてきた女性。
彼女が暇そうに座っていたのが、謎のコーヒー店でした。
タマラという名の気の良い女店主が営む喫茶店は、市場のおじさんたちの溜まり場のような雰囲気。
コーヒー豆と水を熱した砂で温めて淹れる「アジャラ風コーヒー」をごちそうしてくれました。
正直、「アジャラ風コーヒー」と「トルコ風コーヒー」の違いがよくわからないままなのですが、その深い風味と程よい苦みは絶品。
店に溜まっていたおじさんおばさんたち(後からどんどん人が増えていった)からの質問攻めにあいながら、(ある意味)楽しい時間が過ごせます。
↑謎のジョージア演歌が流れる謎喫茶店で暇そうに頬杖ついてたおばさんに手招きされて行ってみたら、温めた砂で作る「アジャラ風コーヒー」なるものををごちそうになるなど。(トルココーヒーとの違いは?なんて口が裂けても尋ねられない😇)
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の翻訳してる人 (@nobuyo5696) August 5, 2022
ワイが好きな「ジョージア」を具現化したような空間。 pic.twitter.com/XmhUGKmvY1
バトゥミ市場の魅力の一つである人情味を存分に感じることができるタマラの喫茶店は、散策途中の休憩にぴったり。(確実に人が集まってきて質問攻めにあうので、「休憩」になるかどうかは疑問だけど)
実際コーヒーがいくらかかるのかはわかりませんが、おそらく1~2GEL(=¥49~¥99)ほどだと思います。
④ハチャプリ屋
タマラの喫茶店から、屋外市場のさらに奥へと20mほど。
もはや倉庫にしか見えない外観の建物にあるのが、アットホームな雰囲気のハチャプリ屋です。
「ハチャプリ」とは、言わずと知れたジョージアの国民食であるチーズバンのこと。
地域によって具や形が大きく変わるのも特徴的で、ここアジャラ地方では舟型の生地に地元産のチーズと卵を落とした「アチャルリ・ハチャプリ」が定番です。
愛想の良いおばあさんに誘われるままに入った店内は、テーブル席が4つほどあるだけの小さな空間。
カウンターの奥では、おばさんたちがのんびりと(&時折つまみ食いしながら)ハチャプリの生地をこねたり焼き上げたりしている光景が広がります。
待つこと10分ほどで出てきたのがこちら。どーん ▼
一つ7.5GEL(=¥373)とアチャルリ・ハチャプリにしてはかなり安いので(普通は10GEL~12GELはする)、ミニサイズのようなものが来るのかと思いきや、想像を絶するほどに巨大なハチャプリが降臨しました。
焼きたてのパン生地の香ばしさ&食感が素晴らしいのはもちろん、程良い塩気のチーズとバターの芳醇な風味…もう芸術作品ですよ、こんなの。
なにより、「どうかな?美味しいかな…?」とカウンターの奥から興味深そうな笑顔で覗き見てくるおばちゃんたちがか、可愛らしすぎて優勝でした(笑)
⑤ハシュラマ屋
終始笑顔だったハチャプリ屋のおばちゃんたちに別れを告げ、数軒隣にある食堂を通りかかった…そのとき。
湿度MAXの灼熱の気候の中、おじさん軍団が汗をぬぐうことすら忘れたように一心不乱で謎のスープ料理をすすっている光景に出くわしました。
ジョージアの料理はほぼ制覇したと勝手に考えていたのぶよですが、見たことないビジュアル&香りに誘われるがままに店内へふらふら…
店のおばちゃんに、いったい何のスープ料理なのか尋ねると「ハシュラマ(Khashlama / ხაშლამა)!」との返答が。
「ハシュラマ」と言えば、ジョージア東部のカヘティ地方の名物グルメで、牛肉をお湯で茹でてニンニクを大量にかけた豪快すぎる料理のイメージでした ▼
しかしここアジャラ地方では、材料こそ同じでも調理法がまったく異なるよう。
せっかくなので注文してみると、ものすごく良い香りのスープがやってきました。
これが、バトゥミをはじめアジャラ地方の「ハシュラマ」。
骨付きの牛肉を大量のニンニクとともに長時間煮込んで、仕上げにハーブを散らしたスープ料理です。
スープを一口飲んだ瞬間、衝撃が走りました。
牛骨由来の旨味とコク、牛脂の芳醇な風味、ニンニクの香ばしさが口の中にぶわぁぁっと広がり、まるでラーメンのスープを直に飲んでいるかのよう…
ちょっと醤油を入れて麺を入れれば、ジョージア風ラーメンに進化しそうです。(もはや日本のラーメンを食べてなさすぎて、記憶補正が入っているかもしれないけど)
具の牛肉も柔らかくて味が染み込んでおり、総合的にかなりの絶品だった「アジャラ風ハシュラマ」。
屋外市場のこの食堂の看板メニュー的な存在のようで、他の客たちも皆ハシュラマばかり頼んでいたのも納得の美味しさでした。
おわりに
ビーチよりも建造物めぐりよりも、バトゥミを旅行するのであれば絶対に訪れてほしいバトゥミ市場の魅力をものすごい熱量で解説しました(笑)
市場の雰囲気や買い物自体ももちろん楽しいのですが、この場所の最大の魅力は飲み食いすることにあると強く思います。
記事内で紹介したのは、ごく一部のお店に過ぎません。
屋外市場はもちろん、市場の敷地外にも謎の食堂や居酒屋がゴロゴロと転がっているのがバトゥミという町のすごいところ。
この記事を出発点として、自分だけのお気に入り食堂を発掘してみてはいかがでしょうか。
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