【沿ドニエストル】ソ連から時が止まった町・ティラスポリは人々の笑顔が光る場所だった。

【沿ドニエストル】ソ連から時が止まった町・ティラスポリは人々の笑顔が光る場所だった。

こんにちは!モルドバの首都、キシナウから沿ドニエストル共和国へデイトリップをした世界半周旅行者・のぶよです。(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)

前回の記事では、モルドバにある未承認国家、沿ドニエストル共和国の複雑な歴史や具体的なアクセス方法について解説しました。

今回の記事では、そんな沿ドニエストル共和国の「首都」であるティラスポリの観光のようすをお伝えします。

「ロシアの町よりもソ連らしい」としばしば言われるティラスポリ。そこは、もはや「ソビエト・テーマパーク」。

そんな町で暮らす人々は、意外なほどにフレンドリーで笑顔であふれていました。

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ティラスポリの観光地図

青:観光スポット
黄色:ティラスポリ鉄道駅
(キシナウ行きバス乗り場)
赤:おすすめレストラン
緑:スーパーマーケット
灰色:観光案内所

 

かつては観光業になんて全く力を入れていなかった沿ドニエストル共和国ですが、近年ようやく本腰を入れ始めたようで、観光案内所が新設されました。


こちらの従業員のお姉さんは英語が上手で、かなり親切に観光情報を教えてくれました。観光客に自分の町を紹介できることを嬉しく思っているのが伝わってきて、とても感じが良かったです。

国を挙げてのキャッチコピーなのか、やたらと「幻の国」「存在しない国」というフレーズで沿ドニエストルを呼んでいたのがなかなか面白かったです。自虐か(笑)

かつては国家機密であった沿ドニエストル共和国の地図やティラスポリの観光地図も無料で配布しています。


観光案内所内にはお土産コーナーが併設されており、世にも珍しい沿ドニエストルグッズを購入することができます。
ティラスポリの街中にはお土産屋は見かけませんでした。なので記念に何か買っていきたいなら観光案内所が便利ですよ。

歩いているだけでソ連感満載なメインストリート

ティラスポリのソ連感満載の雰囲気を味わうには、街を東西に走るメインストリートである10月25日通りの散策をするのが一番でしょう。ほとんどの観光名所はこのメインストリート周辺にあります。

ティラスポリの第一印象は、「時が止まったような」という表現が相応しい町だというもの。
のぶよはソ連時代にはまだこの世に生まれてはいなかったものの、イメージ通りのソ連の街並みが目の前に広がります。

巨大で四角い共同住宅、広い道路、閑散とした雰囲気。まさにイメージ通りのソ連がそこにありました。

これがこの町で、いや、この国で一番のメインストリートです。
かなり閑散としていて、人通りはまばら。車の数も少なく、ソ連時代の車が普通に走っています。

観光客なんて一人も見かけません。ソ連のいち地方都市という感じです。

通り沿いにある広告や標識などに、色濃いソ連感を感じます。それ以前に、時が止まってしまったような印象を受けます。

沿ドニエストル共和国が勝手に「独立宣言」をした1990年から現在(2019年)まで続く国の歴史とした、国旗のデザインがされた看板。
来年で「独立」30周年ですね。なにか軍事パレードなどは行われるのでしょうか。きっと行われるのでしょう。

確実に著作権の問題がありそうな看板も。まあアメリカとは国交がないので、やりたい放題と言えばそれまでかもしれません(笑)

全部が全部無機質な建物というわけではなく、たまにカラフルな建物やおしゃれに設計された建物も目に入ります。上の写真の青い建物はどうやら病院だそうです。その背後にはTHE・ソ連な建物がそびえ立っていて、コントラストが面白いです。

比較的新しめの観光客向け(?)モニュメントも。もちろんロシア語で「ティラスポリ」と書かれています。

どこの観光地にもある「I LOVE 〇〇」の撮影スポットも、もちろんロシア語。かなり徹底しています。というか、ラテン文字表記をほとんど見かけません。

ほとんどの観光スポットはメインストリート沿いに

ティラスポリにはあまり観光スポットと呼べるような場所はなく、町自体の異空間さを楽しむのがコツです。しかし、観光案内所へ行けばマップをもらえますし、いくつかの観光スポットが載っています。
ここからは、メインストリート沿いにあるティラスポリの観光スポットを紹介していきます。

1.連邦政府庁舎&レーニン像

沿ドニエストル共和国の心臓部と言える、政府の庁舎です。ソ連時代そのままの巨大な建物の前には、いまやロシアですら見かけることのないレーニンの立派な銅像が。

庁舎の上には、沿ドニエストル国旗とロシア国旗がはためいています。どこまでもロシアについていく姿勢はもはや尊敬の域です。

2.スヴォーロフ広場

沿ドニエストルの英雄である、アレクサンドル・スヴォロフの銅像を中心とした巨大な広場は、ティラスポリの中心です。

赤と緑のベースの左上に、ソ連の象徴である鎌とハンマーが描かれた沿ドニエストル国旗の横には、親分であるロシアの国旗が。

その後ろに控えているのは、沿ドニエストルを国家として承認している国々の国旗です。

沿ドニエストル共和国は国際的には国としてみなされていません。しかしながら、いくつかの国は沿ドニエストルを独立国として承認しているんです。

しかしその顔ぶれはそうそうたるもの。ジョージア内の南オセチア共和国アブハジア共和国などなど。
え?聞いたことがないって?それもそのはず。沿ドニエストルを国として認め、国交を持っているのは全て「未承認国家」と呼ばれる国や地域なんです。傷のなめ合い(笑)

沿ドニエストルが愛してやまないロシアにすら、国家として承認されていません。

広場の中心に堂々と立つのは、不敗伝説を持つロシアの将軍、スヴォーロフの像です。オスマン帝国とロシア帝国が争った露土戦争でロシア軍を勝利へと導き、沿ドニエストルをロシア帝国領とした「沿ドニエストルの英雄」として崇められる存在です。

広場の裏側は広大な公園になっています。

3.文化宮殿

沿ドニエストルの文化の中心であるカルチャーセンター的な役割を持つ文化宮殿。この日は何のイベントもないのか、人っ子一人おらず閑散としていました。

4.映画館

もはや観光名所でも何でもない、普通の映画館がこちら。どこまでも無機質な建物で開いているのかどうか一目見ただけでは判断できません。(実際には営業中でした。)

本日のラインナップがこちら。映画にはあまり詳しくないのでどこの映画かわかりませんが、とにかく全てロシア語です。

5.栄光のモニュメント

スヴォーロフ広場の目の前に位置するモニュメント。中央には消して消えることのない「永遠の炎」が灯されています。

すぐそばには、沿ドニエストルが愛してやまない戦車のモニュメントが。

金色のドーム型の屋根が特徴的なロシア正教会もモニュメントのすぐそばにあります。

6.ドニエストル川沿い

ティラスポリの町中を流れるドニエストル川沿いは公園になっていて、遊歩道が整備されています。川沿いにはビーチがあり、夏場は多くの人でにぎわうのでしょう。水はあまりきれいそうではありませんでした。

7.市庁舎

ティラスポリの市庁舎は、10月25日の東側に位置しています。例にもれず巨大な建物の前には、レーニンの銅像が。

8.マーケット

10月25日通りから1ブロック南に下ったところにあるマーケット。「市場」というよりも「商店街」という言葉がふさわしい雰囲気で、相変わらず人の姿はまばらです。
八百屋や肉屋、魚やなどが建ち並んでおり、地元の人々の買い物の場所という雰囲気です。

それ以外の観光スポット

9.KVINT醸造所

観光案内所のお姉さんおススメのコニャックとワイン醸造所は、観光案内所の向かいに入口があります。

観光客向けに内部見学ツアーも行っているそうなのですが、前日までに予約が必要とのこと。
こちらのコニャックはキシナウでも有名なようで、ティラスポリ観光のお土産に購入していく人も多いそうです。

10.キロフ公園

壊れたまま放置され、朽ち果てた遊具の数々…。寒々しい雰囲気の公園は、ティラスポリ中心街から鉄道駅へ向かう途中にあります。

公園の中央部には偶然か意図的か、沿ドニエストルカラーに塗られた赤と緑の教会や、ロシア正教風の門などがあります。

メインストリートを外れると、退廃感がすさまじい

ティラスポリのソ連感をもっと深く感じたいなら、メインストリートを外れて散策してみるのがおすすめ。
地元の人たちが暮らすぼろぼろの共同住宅や、首都のど真ん中に点在する空き地、放置されたソ連時代の車など、タイムスリップした気分になること間違いなしです。

ティラスポリのおすすめレストラン

あまり外食する文化がないのか、本当にレストランが少ないティラスポリの町。
せっかく来たんだから、地元の料理を食べてみたいと考えるのぶよのような旅人には由々しき問題です。

苦労して見つけた沿ドニエストル料理のレストランがこちら、「ヴォルナ」というレストランです。大きな看板などは出ておらず、少し見つけにくいです。

時間が遅かったためか、他に客は一組だけ。音楽もかかっておらず、本当に大丈夫なのか不安になります。

このレストランのシステムがなかなかに謎でした。メニューなどはなく、おばちゃん(ロシア語のみ)に「何が食べたいの?」と聞かれ、食べたいものを言ったら何かしら出してくれるという(笑)

のぶよは、「ポテトと肉とスープが食べたい」と言いました。むしろ他のロシア語を知らないので知ってる食材の名前を言ってみただけ(笑)

そしてでてきたのがこちら。

沿ドニエストル風ボルシチ。
何が「沿ドニエストル風」なのかというと、ウクライナやロシアのボルシチはもっと赤色が鮮烈で、ビーツの味が強いです。一方のこちらのボルシチは、様々な野菜が入った野菜スープといった味。そしてディルの代わりに刻みパセリをのせるのは、モルドバ料理と共通するところがあります。

メインとして出されたのはこちら、「沿ドニエストル風肉じゃが」(勝手に命名しました)
「肉とジャガイモ」というのぶよの要望通りの一品です。

これがびっくりするくらいの絶品でした。
豚肉は ニンニクの風味が強く、柔らかくてジューシー。じゃがいもをはじめとする野菜にもしっかりと味がついていて、絶妙な煮加減。ディルと刻みパセリもかなり絶妙なアクセントとなっています。
正直、この世界半周の旅で食べたものの中で一番美味しかったです。沿ドニエストル、すごいぞ。

厨房で働くおばちゃんたちもランチタイムのようで、一緒にご飯を食べました。
皆さんもちろんロシア語のみなのですが、とても気さくで笑顔が素敵。ほとんど何を言ってるのかわかりませんでしたが、外国人、しかもアジア人が珍しいのかやたらと色々話しかけてくれました。

そしてお会計。
メニューを見て値段を確認して注文したわけじゃないので、お会計時まで値段がわかりませんでした。
「超高かったらどうしよう。外国人だからぼったくられるかもしれないし…」なんて思っていました。

そしてびっくり。
ボルシチと肉じゃが、付け合わせのパン、そして500mlの瓶ビールを注文して62沿ドニエストルルーブル(=¥434)という驚異の安さ。
もしかしたらモルドバより安いかもしれません。

こんなに美味しいものをこの価格で食べられるなんて。このレストランで肉じゃがを食しながらおばちゃんの質問攻めにあうためだけにでも、沿ドニエストルに行く価値があると思います。(笑)

最初から最後まで笑顔だったおばちゃん。のぶよのことをやたら「クラシーヴィー(美しい、かっこいい)」と言っていました。
彼女がどんな視力なのかわかりませんが、まだまだいけると感じました。

ひと言で言わせてください。沿ドニエストル、超いい国。

インフォメーション

ヴォルナ(Volna)

住所:Strada Sverdlov 54а, Tiraspol
営業時間:全日 10:00~22:00

おわりに:沿ドニエストルの人々

ティラスポリとベンデルの二つの町を訪れた沿ドニエストル共和国。最も印象に残ったのは、30年前のソ連にタイムスリップしてしまったような街並みです。「ソビエト・テーマパーク」のような街並みと雰囲気を感じるためだけでも、訪れてみる価値があると思います。

決して「先進的」とは言えない、「退廃的」な雰囲気が強い街の中にも人々の生活があって、政治的な問題などを直接感じる機会はありません。町は平和そのものです。

何より驚いたのが、人々の笑顔に触れる機会がとても多かったことです。
先述のレストランのおばちゃんや観光案内所のお姉さんはもちろん、バスのチケット売り場の美人のお姉さんや公園にいたカップル、両替所の場所を教えてくれたおじさん、果ては入国審査官のお姉さんまで。
一人も感じ悪い人に出会いませんでした。

中欧や東欧の旧共産圏を旅した人ならうなずいてくれると思いますが、これってかなりすごいことです。
人々はめったに笑顔を見せず、冷たい態度の人が多いと感じてしまうこれらの国々。
特にハンガリー、お前や。(笑)

観光客に対してフレンドリーに接するという上辺の笑顔ではなく(そもそも観光客がほとんどいませんが)、沿ドニエストルの人々の笑顔や柔らかな態度は彼らの内側から自然と出てきているもののような印象を受けました。

どうしても、「怖い、危険そう」といったイメージを持ってしまいがちな「未承認国家」、沿ドニエストル共和国。
渡航にはリスクが伴うことは言うまでもありませんが、実際は心配するほどでもありません。独特のソ連風の雰囲気を感じながら人々の優しい笑顔に癒される、そんな特別な一日が過ごせる場所です。

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