こんにちは!セルビアに3週間滞在した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
かつてセルビアのベオグラードからボスニアのサラエボを結んでいた、狭軌レールの鉄道であるシャルガン8(エイト)鉄道。
1974年に廃線となったものの、現在は観光鉄道として利用されています。
大自然の中をゆっくりゴトゴトと走るレトロな鉄道。
急な斜面を登るために敷かれたレールが8の字の形をしていることから、この地域の名前である「シャルガン」と合わせて「シャルガン8(エイト)」と呼ばれています。
エミール・クストリツァ監督のセルビア映画「ライフ・イズ・ミラクル」の舞台となったモクラ・ゴラ村を走るシャルガン8(エイト)鉄道の沿線には、映画内のシーンに登場した駅や風景が点在しており、ファンなら絶対に見逃せません。
今回の記事では、実際に乗車したシャルガン8(エイト)鉄道沿線の見どころと、乗車時のアドバイスを解説しています。
シャルガン 8(エイト)鉄道沿線の見どころ
モクラ・ゴラ 駅
シャルガン8(エイト)鉄道の始発駅は、セルビア西部・ボスニアとの国境近くに位置するモクラ・ゴラ駅。
鉄道の出発時刻が近づくと、小さな村は多くの観光客であふれかえります。
シャルガン8(エイト)鉄道は、モクラ・ゴラから国境を越えてボスニア・ヘルツェゴビナのヴィシェグラードまで路線が整備されています。
しかしながら、現在は特別な団体ツアーでしかシャルガン8(エイト)鉄道でヴィシェグラードへ行くことはできません。
観光客が利用できるのは、モクラ・ゴラから山を登った頂上付近に位置するシャルガン・ヴィタシ駅へ行き、同じ路線を戻るものだけです。
列車が到着すると、小さなモクラ・ゴラ駅が歓喜に包まれます。
車両によって座席タイプは異なり、コンパートメントタイプのものやベンチタイプのもの、木の椅子がいくつかあるだけのものまで様々です。
どれもレトロ感があっていい感じ。好みで選びましょう。
シャルガン・ヴィタシ駅
行きはどこにも停車することはなく、折り返し地点のシャルガン・ヴィタシ駅までノンストップで45分ほど。
しばしの休憩時間の後、列車は来た道をゆっくりと下っていきます。
帰りは、写真撮影ポイントで停車したり、途中駅に停車したりするので、行きに比べてかなり時間がかかります。
笛を吹きながら出発の合図を送る車掌さん。風情があります。
かなりの山の中をゴトゴトと走るレトロな鉄道。
「世界の車窓から」の世界そのものです。
辿った路線が見られるビューポイント
シャルガン・ヴィタシ駅を出発して最初の停車ポイントがこちら。
「シャルガン8(エイト)」の名前の由来にもなった8の字型をした線路の一部を望むビューポイントです。
とはいっても、8の字の部分はかなり広大なので、実際には全く認識できません。
ぐねぐねと山の斜面を走る線路を眺めていると、こんな深い山の中に鉄道を敷いた先人たちの努力に感服させられます。
シャルガン8(エイト)鉄道でもう一つ有名なのが、何本ものトンネルです。
8の字型に線路を敷いて迂回して斜面を登るだけでは事足りなかった部分では、トンネルが掘られました。
最長のものは1600mほどもあります。
ヤタレ駅
シャルガン8(エイト)鉄道のハイライトともいえるのがヤタレ駅での停車です。
山の中にぽつんと佇むヤタレ駅は、単線であるシャルガン8(エイト)鉄道において、列車が待ち合わせをしてすれ違うための重要な駅でした。
駅のすぐそばには滝があり、その上部の展望台からは美しい風景が望めます。
ゴルビチ駅&願いが叶う石
シャルガン8(エイト)鉄道の最後の停車駅がゴルビチ駅です。
「THE・無人駅」といった雰囲気のゴルビチ駅ですが、ここからはモクラ・ゴラの町が一望できます。
こうしてみると、モクラ・ゴラは本当に小さな村。
大自然に囲まれた、素朴な生活が残っているのにもうなずけます。
もう一つ見逃せないのが、展望台付近に鎮座する「願いが叶う石」です。
他の乗客がしきりに石に触りながら何かをお祈りしていたので、不思議に思って聞いてみると、「この石に触りながら願い事を思い浮かべると叶う」とのこと。
セルビアではかなり有名なパワースポットだそうですよ。
のぶよも一応お祈りしておきました(笑)
シャルガン8 (エイト)鉄道乗車時のアドバイス
観光客向けに整備されているシャルガン8(エイト)鉄道の利用は、そこまでハードルが高くありません。
チケットオフィスの係員や鉄道の乗務員には英語が通じますし、観光用の路線を往復するだけなので、変なところに連れていかれる心配もありません(笑)
ここからは、シャルガン8(エイト)鉄道の基本情報や、乗車時のアドバイスを解説します。
シャルガン8(エイト)鉄道の基本情報
運行スケジュール
【4月1日~6月30日、9月1日~10月31日】
10:30、13:30
【7月1日~8月31日】
10:30、13:30、16:10
【冬季】
11:45
運行ルート
・夏季:モクラ・ゴラ~シャルガン・ヴィタシ~モクラ・ゴラ
・冬季:モクラ・ゴラ~ヤタレ~モクラ・ゴラ
料金
・夏季:900DIN(=¥941)
・冬季:600DIN(=¥627)
所要時間:2時間半
夏季のハイシーズンは事前予約するべき!
セルビア人の間ではもちろん、外国人観光客にも大人気のシャルガン8(エイト)鉄道。
のぶよが乗車したのはまだハイシーズンではない5月のことですが、かなり混雑していました。
子供たちが校外学習で訪れる定番スポットでもあるようで、数車両がまるごと貸し切り状態になってしまうことも。
確実に好きな時間の列車に乗るなら、前日までにモクラ・ゴラ駅のチケット売り場でチケットを事前購入しておくべきでしょう。
セルビア国鉄のサイトで、シャルガン8(エイト)鉄道についての案内がありますが、残念なことにオンライン予約には対応していません。
とはいっても、前日からモクラ・ゴラ入りするのもなかなか大変。
当日チケットを購入する場合は、最低でも出発時間の30分前までに済ませておきましょう。
とにかく席の確保を最優先に!
シャルガン8(エイト)鉄道の座席は、指定席ではありません。
つまり、当日席に座れるかどうかは早い者勝ちとなります。
いくら美しい風景を見ながらの鉄道の旅とはいえ、2時間半ずっと立っているのはなかなか大変だと思います。
列車がモクラ・ゴラ駅にやってきたら、お目当ての車両に目をつけて、一番乗りで座席を確保しましょう。
レトロを売りにしているので、車両や座席は古く、クッションがないので快適とは言えないのが現状です。
また、シャルガン8(エイト)鉄道では、途中で停車して写真撮影タイムが設けられています。
写真撮影が終わり列車に戻る際に自分が座っていた座席に戻るのは世界共通の常識らしく、立ち乗りの人はずっと立ちっぱなしでした。
進行方向右側の窓際、最前列or最後列の車両がおすすめ!
シャルガン8(エイト)鉄道は、始発駅のモクラ・ゴラから山の頂上にあるシャルガン・ヴィタシ駅に到着すると、客車を引っ張るディーゼル車のみが先頭から最後尾へと移動し、来た道を下ることになります。
つまり、出発時に最後列だった車両は、下山時には最前列になるわけです。
のぶよ的に、中間の車両に乗るよりも、最前列か最後列の車両に乗った方が、カーブに差し掛かった時に列車全体が見られるのでおすすめです。
座席は右側、左側いずれも美しい風景が望めますが、どちらかというと出発時に進行方向右側に位置する席の方が眺めがいいと感じました。
モクラ・ゴラへの現地ツアーのほとんどはベオグラード発着。移動手段を気にせずに観光できるのが大きなメリットです。
おわりに
鉄道好きにはたまらないであろう、レトロなシャルガン8(エイト)鉄道。
どうしても観光地化されている感があるのは否めないものの、深い山の中をのんびりと走る列車に乗って絶景を楽しめる場所は他に類を見ません。
モクラ・ゴラの他の観光スポットと合わせて、2時間半の「世界の車窓から」の世界を体験してみてはいかがでしょうか。
コメント