こんにちは!ジョージア西部をのんびり旅している、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
地味ながらもディープな観光スポットが点在しているサメグレロ地方。
当ブログではすでにいくつか、穴場感たっぷりな見どころやアクセスを紹介してきました。
今回紹介するのも、一部のマニアックな人達におすすめなB級感漂うスポットです。
その名も、ルヒ城塞(Rukhi castel / რუხის ციხე)。
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サメグレロ地方一帯を支配下においていたダディアニ家によって1647年に建設された城塞ですが、現在では荒廃が進んだ廃城塞となっています。
一見すると、ジョージアのどこにでもありそうな「メンテナンスするお金がなくて放置された城」のように思えますが(そしてそれは間違いではない)、実はこのルヒ城塞が特別なのはその立地。
未承認国家として、ジョージアから勝手に独立宣言をしたアブハジア共和国との国境まで、1kmにも満たない場所に位置しているのです。
ジョージア政府的には、「アブハジアは自国の領土!」と主張がされているものの、私たち旅行者的には国内移動の感覚で簡単に立ち入ることができない場所。(ビザを取得する必要があります)
アブハジア共和国にジョージア領内で最も近づくことができる場所の一つが、今回紹介するルヒ城塞なのです。
敷地内からはアブハジア共和国側の風景を一望することができ、簡単には入れない「未承認国家」への想いが膨らむルヒ城塞。
今回の記事では、その魅力とアクセス情報を解説していきます!
アブハジア共和国を望む絶景!ルヒ城塞
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ルヒ城塞があるのは、ジョージア西部のサメグレロ地方の西部。
アブハジア共和国との「国境」となっている、エングリ川の流域まで1kmにも満たない場所です。
300年ほど前にサメグレロ地方を治めていたダディアニ家のレヴァン2世によって建設され、当時強大な力を誇ったオスマン帝国の侵攻に備えたものだと言われています。
1672年にオスマン帝国軍によってルヒ城塞は陥落するものの、約100年後の露土戦争(ロシア帝国vsオスマン帝国)でのロシア軍の勝利によって、1770年にロシア帝国軍のものとなりました。
長い歴史が感じられる城塞の入口は家のような形をしたトンネル。
ツタが覆う城壁をくぐって敷地内に入っていきます。
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城壁はかなり良好な保存状態であるものの、トンネルをくぐって敷地内に入ると、かなり荒廃が進んだ城塞が姿を現します。
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放牧された牛たちが草を食むルヒ城塞の内部。
幾度となく戦乱の舞台となった場所ですが、現在ではのんびりとした平和な雰囲気が漂っています。
城塞部分には登ることができ、一応歩行者用の道がありますが、草に覆われていて足場がやや悪いのでご注意を。
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城塞自体はかなりボロボロで荒れ果てており、特に歴史を感じるような見どころもないのですが、一番のハイライトは城塞上部からのパノラマ。
西側に広がるのは、アブハジア共和国の緑豊かな風景です。
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写真だと見にくいのですが、肉眼では目と鼻の先にはためくアブハジア共和国の「国旗」まで確認できるほど。
国旗のある地点が、ジョージアとアブハジアの「国境」となるポイント。
実際に見ると、本当にすぐ近くに見えます。
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「アブハジア共和国のすぐ近く」と聞くと、なんだか緊張感が漂う場所を想像してしまいますが、実際のところは平和そのもの。
何も知らなければ、この場所で紛争が起きて境界線が引かれているなんて信じられないほどです。
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近年、良いイメージばかりが先行しているジョージアという国の闇の部分の一つとも言えるアブハジア問題。
私たち旅行者が理解することは簡単ではありませんが、こうして実際に自分の目で見ると、「こんなに近くにあるのに自由に行き来できない」ことのもどかしさや住民の複雑な感情を考えずにはいられません。
ルヒ城塞へのアクセス・行き方
ルヒ城塞があるのは、サメグレロ地方の中心都市であるズグディディ(Zugdidi)から北西に6kmほど行った場所。
アクセス拠点はズグディディの一択となり、マルシュルートカ(乗り合いミニバス)で簡単にアクセスすることが可能です。
ルヒ行きマルシュルートカ発着地
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ズグディディからルヒ城塞を観光する際に便利なのが、マルシュルートカの47番。
ズグディディ中心街の市場脇から20分~30分に1本の割合で出発しており、結構遅い時間(~19時頃)まで往復しているので、帰りの心配も要りません。
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ズグディディは、ジョージアの都市で最も公共交通機関の発着地がオーガナイズされていない町。
ルヒ城塞行き47番マルシュルートカに限ってはこの場所ですが、行き先によってマルシュルートカの出発地が全く異なるのでご注意を。
ルヒ城塞最寄りのバス停
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ズグディディの市場前を出発し、市街地を抜けて幹線道路を走ったマルシュルートカは、途中でまわり道をしながら15分~20分ほどで上の写真の地点に到着します。
この場所がルヒ城塞の最寄りとなるバス停。
実はこのバス停は終点ではなく、マルシュルートカはさらにアブハジア国境近くにある集落まで向かいます。
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47番のマルシュルートカは、ズグディディ~国境間近の集落を単純往復しているだけの路線なので、観光後にズグディディに戻る際は同じバス停で待っていればOK。
最大20分~30分の待ち時間で、ズグディディへ戻るマルシュルートカに乗れるでしょう。
おわりに
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アブハジア共和国を望む絶景が素晴らしいルヒ城塞を紹介しました。
必見スポットとまでは断言できませんが、歴史やアブハジアに興味がある人はぜひ訪れてみるのも良いでしょう。
アブハジアまですぐそばとは言え、ジョージア政府の管理下に置かれたエリアには変わりないため、何の問題もなく観光することができます。
しかしながら、ここは領土問題の最前線であるセンシティブな場所であることには変わりありません。
万が一のことを考えて、パスポートの携帯をお忘れなく!
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