こんにちは!ジョージア滞在もなんと5年目…世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
2025年のジョージア滞在では、いまだ訪問したことがないエリアや町を制覇することを目標にかかげているのですが、さっそく初訪問の町を満喫してきました。
それが、ジョージア西部の黒海沿岸地域北部に位置するポティ(Poti/ფოთი)。

ジョージアの人々にとって、ポティと言えば港。
ジョージアの黒海沿岸で最大規模の港を有する港湾都市であり、古代から現在に至るまで黒海の海運の要所として栄え続けてきた歴史があります。
そんなポティに付けられた愛称は…「黒海のパリ」。
約120年前に大規模造成された整然とした街並みには、当時ポティの港に集った富を象徴するように優雅で洗練された建築が建ち並んでいるのです。


ポティがパリっぽいのかどうかはひとまず置いておくとしても、黒海沿岸らしい開放感と、亜熱帯気候に育まれた南国感たっぷりの植生に彩られた町は、落ち着いていて上品で洗練された雰囲気。
ポティの人口は4万人とジョージアの中では比較的大きな町なのですが、中心街はどこかひっそりとしており、ジョージアには珍しく喧騒とは無縁の町となっている点も面白いです。
また、ポティが位置するサメグレロ地方では独自の言語が話されていたり、ジョージア他地域にはない激辛料理文化が根付いていたりするのも見逃せません。
ジョージアという国にある多様性溢れる文化を、五感を通して感じることができるのです。

そんなわけで、今回の記事はポティの観光に必要な情報を徹底解説するもの。
「ポティ観光でしたい10のこと」と題して、観光スポットからグルメ、ポティ独自の歴史や移動情報に至るまで…黒海のパリでの滞在を100%楽しむためのバイブルとなっています。
・ポティの歴史をザックリと
・ポティ観光マップ
・ポティ観光でしたい10のこと
①ポティ歴史地区で「黒海のパリ」を散策
②ポティ大聖堂に圧倒される
③ポティ灯台から絶景を眺める
④セントラルパークで人々の日常に溶け込む
⑤ポティ・バザールで特産品探し
⑥マルタクヴァの森とビーチで自然体験
⑦ポティの地ビールを味わう
⑧ローカル食堂をめぐる
⑨サメグレロ地方の郷土料理に挑戦
⑩世界遺産コルヘティ国立公園で貴重な自然に触れる
・ポティのおすすめレストラン&食堂5選
・ポティの宿情報
・ポティの交通&アクセス情報
→ポティ市内交通
→ポティ~黒海沿岸地域間の近郊交通
→ポティ~ジョージア他都市間の長距離交通
・ポティ観光のアドバイス&注意点
地理的にジョージア他地域から微妙に離れたポティは、「ちょっとついでに立ち寄ってみよう」となりにくいためか、訪れる旅行者の数はかなり限られているのが現状。
「もうジョージアは結構色々周ったし…」という人にこそおすすめしたい、小さな港町のとれびあ~んな魅力が伝われば嬉しいです!(本記事ではこういうテンションでいく)
なぜ「黒海のパリ」?ポティの歴史をザックリと

そもそもどうしてポティが「黒海のパリ」と称されるのでしょうか。
のぶよは当初「はいはい、ま~たキラキラ山国が観光PRで適当なこと言ってんだろ…」とばかり思っていたのですが、実は意外にも「ポティ=黒海のパリ説」には根拠があります。
地図を見れば一目瞭然なのですが、ポティの町はポティ大聖堂を中心にストリートが放射状に広がる独特な形。
ジョージアにはこうして計画的に都市開発された町というのは他に存在せず(トビリシやバトゥミ中心街のごちゃごちゃ感を思い出してほしい)、これこそがポティの町がとてもすっきりしていて洗練された印象を与える最大の要因です。

どうしてジョージアでは珍しい放射状の中心街がポティにあるのかというと、ポティの町づくりはおよそ120年前にフランス・パリの都市開発をお手本にして行われたため。
120年前に建設された建物は現在でも見ることができ、独特の建築様式と優雅な雰囲気は確かにパリっぽさが感じられる(気がしないでもない)ものです。
現在のポティの町並みの基本はこの120年前の大規模造成にありますが、実はポティはそれ以前からも黒海東側の海上交通の要所として栄えてきた歴史を持つ町。
訪問前にこの町がたどった歴史を少し知っておけば、「黒海のパリ」をより深く楽しめるはずです!
古代のポティ:黄金郷伝説の舞台

ポティの歴史はとても古く、紀元前7世紀頃(2600年前)にジョージア西部地域にコルキス王国が成立した時代にはすでに町として機能していたそう。
コルキス王国は現在のクタイシ周辺にあたるイメレティ地方を中心としていて、産出される金を用いた黄金細工で莫大な富を得ていました。
そんな「コーカサスの黄金郷」の噂は、黒海を隔てた古代ギリシア世界にも「黄金の羊伝説」として伝わり、とうとう黄金郷を夢見たギリシアの人々が船で黒海を越え、コルキス王国に到達。
当時黒海を渡って来たギリシアの人々が初めて到達した地が、現在のポティであるとされています。
ギリシャ南部を支配していたボエオティア王の息子・フリクソスは、継母によるいじめに悩まされていました。
ある日、とうとう継母の策略に引っ掛かり、フリクソスは絶対絶命の危機に。
彼を救ったのは、どこからともなく現れた、黄金の毛と羽を持つ空飛ぶ羊でした。
ギリシアから空飛ぶ黄金の羊に乗ったフリクソスは、黒海を越えてコルキス(古代の西部ジョージアを治めていた王国)に到着します。
コルキス王アイエトスは、海を越えてやって来たフリクソスを丁重にもてなし、自身の娘であるチャルシオペと結婚させることに。
フリクソスは感謝の印として、海神ポセイドンへの生贄に羊の肉を捧げ、アイエトス王にその黄金の毛皮を献上します。
アイエトス王は、黄金の毛皮を聖木に吊るし上げて飾り、飼っていたドラゴンに寝ずの晩をさせたと言います。
コルキス王国に黄金の羊の毛皮があるという話は、黒海を隔てたギリシアで瞬く間に噂となりました。
その噂を聞きつけたある男が、海を越えて黄金の毛皮を盗みに行く旅を計画します。
彼の名はジェイソン。
ジェイソンは「アルゴ」の名を冠する船団の力を借り、黒海の東岸・コルキス王国に到着。
コルキス王アイエトスの娘であり魔力に長けていたメデアの力を借り、とうとう黄金の羊の毛皮を発見します。
ジェイソンとメデアは黄金の毛皮を手にコルキス王国を脱出し、幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。
ポティに到達したギリシア人は、この場所に流れるリオニ川を船で遡ってコルキス王国の中枢であるクタイシを目指したのだそう。
こうして、当時世界で最も発展していた古代ギリシアの技術や文化がコルキス王国にもたらされたのです。
「ポティ」という町の名前の由来も、ギリシア語の「パシス(Phasis)」から。
当時のポティが、黒海~ギリシア世界の海上交易において重要な地とされてきたことがわかります。
中世~近世のポティ:重要な港として栄える

黄金郷として繁栄を謳歌した時代から時は流れ、ポティが位置する黒海沿岸地域では激動の時代が続きます。
16世紀(500年前)にオスマン帝国(現在のトルコ)の支配下となった際には、ポティの港が黒海の奴隷交易の重要拠点として利用されるなど、良い意味でも悪い意味でもポティは黒海の重要港としての立場を確固たるものとしていました。
19世紀(200年前)にポティを含むジョージア西部の支配権がオスマン帝国からロシア帝国に移ると、ポティはコーカサス地域全体で最重要の港湾都市とされ、急ピッチで整備が行われます。
1860年代にはポティ灯台がコーカサス地域初の灯台として完成し、ポティの港も近代的に再開発が完了。
1874年にはトビリシ~ポティ間の鉄道が開通し、これはコーカサス地域全体で初めての鉄道路線です。
当時のロシア帝国は南のオスマン帝国との熾烈な覇権争いの真っ只中であり、軍備の増強に注力していました。
コーカサス地域は武器の原料となるマンガンや鉄などの鉱物が豊富に産出されたため、これらをスムーズに陸上輸送&海上輸送するための経由地として、ポティの町はどんどん発展していったのです。
1901年:「黒海のパリ」のはじまり

ロシア帝国にとって重要な港湾都市とされたポティの黄金時代となったのが、20世紀初頭のこと。
ポティ市長に選出されたニコ・ニコラゼ(Niko Nikoladze)によって、市民インフラの整備や近代的な町づくりに尽力し、ポティの町の大改造が行われたのです。
ニコ・ニコラゼはドイツ人建築家にポティの開発を一任。
建築家はフランスの首都・パリの町づくりや建築様式を参考に道路を敷き、建物を設計することで、「ヨーロッパ風の町並み」を黒海沿岸に再現しようとしたのです。
こうしてできあがったのが、現在にも残るポティの中心街。
ポティの町並みや町自体の造りが、ジョージア他都市と大きく異なる整然としたものである理由は、およそ120年前のこの時代に遡るのです。
現在:人口の減少と貧困率が社会問題に

1910年代にまで続いた大規模開発によって「黒海のパリ」そのものの優雅な雰囲気をまとったポティ。
しかし、その黄金時代は長くは続きませんでした。
1921年にジョージアがソ連の支配下に入ると、社会主義政策の下で巨大な共同住宅が次々と建設されます。
1991年にようやくジョージアが独立を達成した後は、数々の紛争などを背景にしてポティの町は経済的に大きなダメージを受けてしまいました。
トビリシとの直通列車が存在することが災いしてか、若年層の人口の流出や失業率の高さも大きな社会問題に。
2020年~のコロナウイルスパンデミックによってポティ経済の生命線である海運に制限がかかると、それまで港を通した人や物の行き来に支えられてきた個人ビジネスの多くは立ち行かなくなり、多くが廃業を余儀なくされます。

現在のポティの町を歩くと、廃業して放置された飲食店やテナントが入っていないショッピングセンターなど、この町の経済的問題を直に感じさせられる光景を多く目撃するはず。
港を通した人や物の往来が再開された2025年現在、華々しい歴史の残り香ただよう「黒海のパリ」は、町としての方向性を模索しているような印象を与えます。
ポティ観光でしたい10のこと
ポティ観光マップ
緑:歴史的建物
赤:レストラン&食堂
紫:宿
灰色:鉄道駅
黄色:バスステーション(長距離マルシュ)
茶色:近郊マルシュ発着ポイント
オレンジ:市内路線バス/市内マルシュ発着ポイント
①ポティ歴史地区で「黒海のパリ」の美意識を感じる

ポティ観光における最大の目玉となるのが、「黒海のパリ」ならではの美しい建物をめぐりながら優雅で華やかな雰囲気にどっぷりと浸ること。
ポティ最大のメインストリートであるダヴィット・アグマシュネヴェリ通り(Davit Aghmashnebeli St.)【マップ 青①】の両側に、百年以上の歴史を持つ建物が多く点在しています。
ダヴィット・アグマシュヴィリ通りは、ポティの港エリア~ポティ大聖堂を結ぶ2kmほどの大通り。
街路樹のヤシの木が風にそよぐ開放的な雰囲気の大通りは、「ポティのシャンゼリゼ通り」と言えるかもしれません。

▲ダヴィット・アグマシュヴィリ通りの北端、港エリアに建ち並ぶソ連住宅の影に隠れるようにあるこの建物は、1907年完成のもの。
煉瓦造りの外観と塔のような建物を併設しているのが特徴的で、すぐ隣にある似たような様式の建物と合わせて、地元では「トクペビ(=双子)」と呼ばれています。【マップ 緑①】
トクペビからダヴィット・アグマシュヴィリ通りを中心街方面へと歩くと、何やら正面ファサードのみを残した建造物が。【マップ 緑②】▼


この建物は、かつて通信会社が入っていたもの。
美しい曲線が特徴的なアール・ヌーヴォー様式が見事で、まさに「黒海のパリ」らしい建物です。
このボロボロの状態のまま放置されているのがもったいないほどに、秀逸なデザイン。
ミュージアムか何かに改装すれば良いのに…と思うのですが、予算が追い付かないのかもしれません。

アール・ヌーヴォー様式の建物のすぐ南には、ポティらしいパステルカラーの美しい建物がいくつも点在しています。
いずれの建物も百年以上の歴史を持つものですが、外壁は近年塗り替えられたもの。
人目につくメインストリート側だけではなく、側面や裏側もしっかりとリノベーションされている点に、ポティらしい美意識が感じられます。(ジョージアでは表側だけ綺麗にして裏側はぼろぼろのままという頓珍漢なリノベがとても多い)


ダヴィット・アグマシュネベリ通りをさらに下っていきましょう。
それまでは古い建物がぽつりぽつりと単体で建っていたのが、徐々に建物が密集するようになっていき、中心街に近づいていることが感じられます。


この辺りまで来ると、歴史ある建物を改装したカフェやレストランなどもちらほら。
「ポティの地ビール」の項で紹介するBristolの煉瓦造りの建物は、ポティで最も秀逸な建築とされるものなのでお見逃しなく。

▲ダヴィット・アグマシュネベリ通りがリオニ川に架かる橋にぶつかる交差点付近にある白い建物【マップ 緑③】は、屋上に塔のようなスペースを備えた美しいもの。
この辺りだけ切り取って見れば、確かにパリっぽいような、そうでもないような…

リオニ川に架かる橋を渡り、ダヴィット・アグマシュネベリ通りの南端にあたるポティ大聖堂方面へと歩いていきましょう。
リオニ川南岸地域には大型スーパーやバザールなどがあり、ポティ経済の中心的なエリア。
このエリアにも歴史ある建物がいくつか点在しています。


▲必見なのが、ポティ・バザールの一角にあるオレンジの建物。【マップ 緑④】
パリというよりもバルセロナを彷彿とさせるデザインで、窓枠付近の装飾などが秀逸です。
ポティの建築めぐりのフィナーレを飾るのが、ポティ大聖堂のすぐ東側にある時計塔を有する建物。【マップ 緑⑤】
時計塔の最上部には数本の柱を備えたコロナードがあり、細かなこだわりが感じられます。▼

ポティには、ここで紹介した以外にも美しい建物がたくさん。
気の向くままに散策して、好みの美建築を探してみるのも良いでしょう。
②ポティ大聖堂に圧倒される

ポティの美しい建築を堪能したら、この町の二大ランドマークを見学するとき。
まずはポティ中心街ど真ん中でものすごい存在感を放つポティ大聖堂を訪れましょう。【マップ 青②】
正式名称を「ポティ純潔の聖母大聖堂」(Poti St. Virgin Cathedralფოთის საკათედრო ტაძარი)という巨大な聖堂は、1907年にポティの大開発の目玉として完成したもの。
ジョージア正教の一般的な建築様式とは全く異なる、ネオ・ビザンチン様式の建物は、トルコのイスタンブールにあるアヤ・ソフィア聖堂(現在は「スルタンアフメット・ジャアミィ」と呼ばれるモスク)を模したものです。

いったいどうして、ジョージア正教の祈りの場であるのに、ジョージア正教の教会建築ではなくネオ・ビザンチン様式が採用されたのか。
その理由は、ポティ大聖堂の建設が行われたロシア帝国支配下の1900年代という時代背景にあります。
当時ポティの大規模開発を主導したポティ市長ニコ・ニコラゼは、「ジョージア正教の伝統様式の大聖堂は、後々ロシア帝国政府と揉めることになる」と考えたよう。
そこで、ロシア正教の教会建築における定番様式であったネオ・ビザンチン様式を採用したというわけです。


ポティの大聖堂の内部は、高い天井から自然光が降り注ぐ、神秘的で明るい空間。
聖堂内部は近年リノベーションされたばかりのようで、白を基調にした壁と薄い茶色の柱が織りなす統一感が素晴らしいです。

圧倒的な存在感も、内部の神聖な雰囲気も、文句なしのポティのシンボルとして人々に愛されるポティ大聖堂。
ポティ滞在中は何度もその姿を目にすることとなりますが、何度見ても圧倒されるたたずまいです。
③ポティ灯台に登って絶景を眺める

ポティ大聖堂に並ぶポティ二大ランドマークのもう一つが、ポティ灯台(Poti lighthouse/ფოთის შუქურა)。【マップ 青③】
完成は1862年と、今から160年以上前のこと。
当時はまだポティの大規模開発が始まる前にあたりますが、トビリシとを結ぶ鉄道の開通をはじめ、港湾都市としてのポティの重要性がロシア帝国政府に認知されて発展が進められた時代です。
高さ36mを誇るポティ灯台は、ジョージア最古の灯台。
現役で機能しており、黒海の海上交通を長らく見守り続けている存在です。


ポティ灯台の素晴らしいポイントは、一般の旅行者でも無料で内部に立ち入ることができる点。
しかも、高さ36mの灯台最上部まで自由にアクセスすることができるのです。
灯台の一階部分と二階部分は小さな展示スペースとなっていますが、それより上はひたすら螺旋階段が続いていくだけ。
階段はスケスケで下が見えるような造りになっており、高所恐怖症の人はまず無理かもしれません。▼


160年前のスケスケ螺旋階段をどうにか登りきると、灯台最上部のスペースに到着します。

西側にはどこまでも広がる黒海の雄大な風景が、北側にはポティの町並みが、南側にはリオニ川が黒海に注ぐポイントが見え、周囲360°を見渡せるマリーアントワネットもびっくりの絶景。
そもそも、一般人が灯台の最上部までアクセスできる場所というのもなかなかないですし、この風景のために恐怖の螺旋階段を上る価値があるというものです。


港湾都市としてのポティの歴史をずっと見守ってきたポティ灯台。
最上部からの絶景はもちろん、「灯台に登る」という珍しいアクティビティーとしてもおすすめです!
④セントラルパークを散策

ポティ大聖堂に隣接する形で広がるのが、セントラルパークと呼ばれる広大な公園。【マップ 青④】
その名の通りポティ中心街のど真ん中を占める公園は、ポティ市民に人気の憩いの場です。


あてもなくぶらぶらと散策するだけでもリフレッシュできるセントラパークですが、敷地内にはいくつかの歴史ある建物やアートが点在しているのも見逃せません。
公園南側に位置する赤い煉瓦造りの建物は、子供用の図書館として現役で機能するものです。▼

また、公園の北側にはニコラゼの塔と呼ばれる時計塔が建っています。【マップ 青⑤】▼

ニコラゼとは、すでに何回も登場しているポティ大開発を主導した市長ニコ・ニコラゼのこと。
元々オスマン帝国統治時代に要塞の一部を成す塔として建設されたこの建物を改装して、ニコ・ニコラゼは居住していました。
塔の上部に設置された時計は、ニコ・ニコラゼがわざわざフランスのパリで作らせて取り寄せたもの。
こんなところからも、彼の並々ならぬ「黒海のパリ」へのこだわり(執念?)が感じられます。

セントラルパークの西側には、旧ソ連圏あるあるのミニ遊園地ゾーンも。
この日は日曜日だというのに人影はまばらで、どこか寂しい雰囲気が漂います。▼

ソ連遊園地の一角には、ドーム状のステージの内側に描かれたソ連モザイクがあるのでお見逃しなく。▼

ちょうど影になる場所に描かれているためか、モザイクの保存状態はかなり良好。
大きな太陽を中心に、伝統的な衣装を身に着けた男性と女性が伝統の楽器を演奏するシーンが描かれています。
⑤ポティ・バザールで名産品探し

洗練された建物が並ぶ中心街に、圧巻の大聖堂に、可愛らしい灯台からの絶景に…
黒海のパリの目玉となる見どころを周った後は、ひと味違うポティの魅力を体感しにいきましょう。
中心街の東側、リオニ川沿いにひらけたポティ・バザールは、ポティの人々が日々の買い物に訪れる市場エリアです。【マップ 青⑥】


ポティ・バザールの規模は結構なもの。
数か所ある屋内バザールを中心に、露店がひしめき合う屋外バザールが広がり、ポティ全体で最も活気が感じられます。
バザール周辺の雰囲気は「黒海のパリ」からはほど遠く、THE・ジョージア地方部らしいごちゃごちゃ感。
しかし、バザールの人々はそこまでがっつり絡んでくるわけではない&ごちゃごちゃしていながらも騒がしくはない点は、なんともポティらしいような気もします。

ポティのバザールで絶対に見逃せないのが、サメグレロ地方ならではの食材たち。
ジョージアの中でも独特の食文化を有するサメグレロ地方では、他の町のバザールではなかなか見かけない名物食材がたくさん売られているのです。


もってりとした食感のスルグニチーズ(メグルリ・ハチャプリに使用されるのはこのチーズ!)や、大量のスパイスで味付けされたメグルリ・クパティ、サメグレロの料理に欠かせないくるみ…
ご当地感あふれる食材の数々は、ただ見ているだけでも楽しいです。
そして、サメグレロと言えばこれ!といった王様食材がこちら。
「アジカ」と呼ばれる唐辛子ペーストや、「メグルリ塩」と呼ばれるスパイス塩などの調味料です。▼

アジカは、生の唐辛子をペースト状にしたものに各種ハーブと大量のニンニク、スパイスなどを混ぜた激辛ペースト。
ここサメグレロ地方の名産で、スープ料理や煮込み料理、肉につけるソースとしてはもちろん、パンにたっぷりと塗って食べる人も少なくありません。
サメグレロ料理には欠かせない調味料であるアジカ。
日持ちもするので、お土産に買って帰るのもおすすめです。

単に散策するだけでも、サメグレロ地方の名産品をお土産用に購入するのにも、ポティ・バザールはぴったり。
ジョージアのバザールにしてはカオス感が控えめで、人の感じもマイルドなので、散策しやすいのも嬉しいです。
⑥マルタクヴァビーチ&マルタクヴァの森で自然体験

ポティは黒海に面した町ではあるものの、中心街周辺には遊泳可能なビーチはありません。
ポティ中心街から最も近い&アクセスしやすいビーチとして市民に人気なのが、南に5kmほどの場所に広がるマルタクヴァ・ビーチ(Maltakva beach)です。【マップ 青⑦】
ジョージアの黒海沿岸地域においては珍しく、きめ細やかな砂のビーチである点が、マルタクヴァ・ビーチ最大の特徴。
港からほど近い&潮の流れ的に浮遊物が流れ着くこともあり、水質はそこまで良いわけではないものの、のんびりとビーチ日和を満喫するにはぴったりです。

また、マルタクヴァ・ビーチの少し内陸側にはマルタクヴァの森と呼ばれる森林地帯が広がり、こちらは手軽な森林浴におすすめ。
マルタクヴァの森は、世界自然遺産のコルヘティ国立公園に隣接する場所に広がっており、亜熱帯気候に育まれた緑の風景に癒されます。
マルタクヴァビーチ周辺までは、ポティ市内路線バス8番かポティ市内マルシュルートカ20番でのアクセスが便利。
ポティの市内交通利用法については後の項で解説しているので、アクセスの際はそちらも参考にしてください!
⑦ポティの地ビールを味わう

ポティの町を散策した後は、乾いた体に水分補給をするとき。
実はポティには、ジョージアでもここでしか飲めない地ビールを製造&提供している飲食店があるのです。
それが、中心街にあるBristolという店。【マップ 赤①】
「ポティで一番お洒落なレストラン」とされますが、一人でも気兼ねなく入れる雰囲気なのが嬉しいです。
Bristolの自家製ビール、その名も”Bristol”は、湿度の高いポティの気候に合わせてか、スッキリとした後味のラガータイプ。
とても飲みやすく上品な口当たりが特徴的で、どんな料理にも合いそうなクセのない味わいが美味しいです。(一杯8GEL=¥400とかなり強気な値段設定だけど、背に腹は代えられない…)

Bristolがある建物は、煉瓦造りの瀟洒な外観が特徴的。
元々はホテルとして営業していた建物をそのままレストランに改装したもので、ポティ中心街の美しい街並みを象徴するような存在です。
「黒海のパリ」らしい気品を感じる外観&内装の中で味わう地ビールと、絶品の名物料理は最高のひとこと。
Bristolでの食事やメニュー情報は後述しているので、ぜひポティ滞在中に一度は訪問を!
⑧ローカル食堂をめぐる

さすがは黒海のパリ。ポティには美しい建物を改装したカフェやレストランが多く点在しており、食事に困ることはなし。
しかし、とれびあ~んな雰囲気のグルメ体験だけがポティの魅力ではありません。
ポティには地元の人々に愛されるローカル食堂が意外にも多く点在しており、昔ながらのレトロでディープな雰囲気の中で飾らない食体験が楽しめるのです。


ポティのローカル食堂は、その飾らない雰囲気はもちろんのこと、格安価格で食事ができる点も魅力的。
料理の味付けは「さすがサメグレロ地方…」と唸りたくなるほどに激辛で、ご当地感を存分に感じることができます。

のぶよはポティ滞在中にローカル食堂を発掘しようと色々周ったのですが、どこも個性が光る名店ばかり。
食堂の詳細は「ポティの飲食店&レストラン5選」の項で後述しているので、時間と胃腸が許す限り堪能してみては?
⑨サメグレロ地方の郷土料理に挑戦

すでに何回か触れた通り、ポティが位置するサメグレロ地方には独特の食文化が根付いています。
アジカを用いた激辛の味付けが最大の特徴で、一般的には辛くしない料理であっても激辛の味付けが好まれるのがサメグレロならではです。
この激辛文化以外にも、サメグレロ地方には独自の郷土料理がたくさん。
名産のスルグニチーズを用いたメグルリ・ハチャプリや、トウモロコシ粉を炊いたゴミ、ゴミにスルグニチーズを混ぜ込んだエラルジなど、サメグレロ地方発祥でジョージア全国に広まった料理はとても多いです。


激辛な味付けともう一つ、サメグレロ料理の特徴と言えるのが、カロリーが高めで胃に重たい料理が多いこと。
使用される油の量もジョージア他地域に比べて多く、毎食サメグレロ名物ばかりというのはややしんどいものがあるかもしれません…

しかしながら、せっかくポティに来たなら、できる限り現地の味を体験したいもの。
トビリシにもサメグレロ料理を出すレストランはあるにはあるのですが、本場の味付けと重たさとは比べ物にならないほどマイルド化されているので、本場のサメグレロ料理はやっぱりサメグレロで食べるべきでしょう。
後述の「ポティのレストラン5選」で紹介する店の多くでは、サメグレロならではの名物料理がメニューに掲載されているので、気になる料理は忘れずに制覇しましょう!
サメグレロ地方の郷土料理まとめ記事は、そのうち執筆する予定です!
⑩世界遺産コルヘティ国立公園で貴重な自然に触れる

ポティを訪れる旅行者のほとんどが観光ハイライトと考えるのが、中心街の南5kmほどの場所に広がるコルヘティ国立公園への訪問。【マップ 青⑧】
2021年にジョージア初&唯一のUNESCO世界自然遺産に登録された広大な湿地帯で、貴重な動植物の宝庫として保護されています。


コルヘティ国立公園は湿地帯という地理的条件のため、徒歩でアクセスすることは不可能。
公園内はボートツアーを利用して観光する必要があり、情報が少なくシステムがやや複雑なのが旅行者泣かせです。
コルヘティ国立公園のボートツアー情報や、無料で満喫する方法については別記事で詳細にまとめているので、訪問前には必ずチェックを!▼
ポティのおすすめレストラン&食堂

ポティに来て驚いたことが、町の規模の割にかなり多くの飲食店が存在する点。
メインストリートのダヴィット・アグマシュネベリ通り沿いには古い建物を活かしたレストランやカフェが点在していますし、川の南側のバザール周辺にはローカル感150%の食堂や飲み屋もちらほら。
中心街からやや離れた港エリアにもレストランがいくつもひしめき合っており、港町として多くの人が行き交う町ならではの豊かな外食文化が感じられます。
ポティの飲食店の価格相場は意外にも結構高め。
トビリシに比べればもちろん安いのですが、ジョージア地方部の水準よりも2割~3割ほど高いです。
ここでは、ポティでの食事にぜひともおすすめしたい飲食店を、お洒落レストランから場末の食堂まで5軒紹介します。
サメグレロ地方ならではの郷土料理が味わえる店も多く、ポティならではの食体験が楽しめるはず!
①ポティで最も由緒正しいお洒落レストラン:Bristol

まず紹介するのが、ポティの地元の人たちが「ポティで一番良いレストラン!」と豪語するBristol。【マップ 赤①】
すでに「ポティの地ビール」の項で登場した通り、店舗敷地内で自家醸造される地ビールと、豊富なメニューがウリのレストランです。
Bristolが営業する建物は百年以上の歴史があり、重要文化財にも保存されているもの。
元々ホテルだった建物を改装していることもあり、店内はどこか上品で気品ただよう雰囲気です。


Bristolの価格帯は、ポティの飲食店の中では最も高い水準。
しかしながら、トビリシの同タイプのレストランと比べればかなりリーズナブルに感じます。
また、メニューの豊富さも嬉しいポイント。
ジョージア料理の定番からヨーロッパ風のパスタ、港町らしい海鮮料理まで幅広く揃っています。▼





豊富なメニューからのぶよが選んだのは、メグルリ・ハルチョー。
ここサメグレロ地方ならではの郷土料理の一つで、牛肉にくるみのペーストをたっぷりと混ぜてじっくりと煮込んだ濃厚で深みのある味わいが特徴的です。

Bristolのメグルリ・ハルチョーは、とろとろ食感の牛肉がごろごろと入っているボリューミーなもの。
高価なくるみもふんだんに使用されており、一切の妥協なきメグルリ・ハルチョーといった感じです。
また、サメグレロ地方の飲食店ではどこも「アジカ」と呼ばれる唐辛子ペーストを料理に加えて激辛な味付けにしたがるのですが、ここBristolでも激辛文化は健在。
牛の旨味とくるみの芳醇さが感じられるハルチョーは、アジカ由来の辛みがびしびしと感じられる刺激的な味わいです。

メグルリ・ハルチョー以外にも、サメグレロ地方ならではの名物料理が多く用意されているのも嬉しい点。
他の店に比べて予算はやや高めではあるものの、店の人たちの対応&愛想も抜群に良いので、値段に見合った満足感が得られるはずです。
②ポティの若者に大人気のバーガー店:Crunch Burgers

ポティの若者たちに絶大な人気を誇るのが、ご当地ハンバーガー店のCrunchy Burgers。【マップ 赤②】
中心街ど真ん中のCarrefour(大型スーパー)に併設される形で営業する小さな店で、手作りの絶品ハンバーガーが看板メニューです。


Crunchy Burgerが人気の理由が、その格安な価格。
ハンバーガー5GEL(=¥250)~/ポテトとドリンクのセット8GEL(=¥400)~と、トビリシのハンバーガー店の半額ほどの価格で食事ができるのです。

バーガー類にはいくつか種類があるのですが、のぶよが注文したのはOkrahoma Burgerなるもの。
特製ソースにフライドオニオンがトッピングされたものです。
ひと口かじってみてまず驚かされるのが、手作りパテから溢れ出る大量の肉汁。
かなり厚めに成形された牛挽き肉100%のパテは、これ以上ないほどにジューシーで肉の旨味が強く感じられます。

また、ジョージアのハンバーガー店は概してソースがぺちゃあっとなっていたり、油っこい場合が多いのですが、Crunchy Burgersのソースはかなりあっさりとした風味で油っこさがほとんどないのも◎
素材の美味しさが最大限に引き出されており、とにかく美味しいです。
連日のジョージア料理に飽きてしまった際にも、Carrefourでの買い物ついでの腹ごしらえにもおすすめのCrunchy Burgers。
ポティっ子になった気分で肉汁たっぷりのバーガーを味わってみては?
③珍しいワイン漬け炭火BBQに感動:Dzveli Sakhli

続いて紹介するのは、ポティ中心街北側の港エリア近くにあるDzveli Sakhli。【マップ 赤③】
ジョージア語で「古い家」を意味する店名に合わせてか、煉瓦造りの歴史的な建物の中にはウッド調の素敵な空間が広がっています。


Dzveli Sakhliはレストランというよりも居酒屋といった雰囲気の店。
店内は意外に広く、二階席まで用意されています。
おじさんとおばさんが二人で切り盛りするローカルな感じも、なんだかよい感じ。
ジョージア地方部のローカル飲食店にしては珍しく、英語のメニューも用意されています。▼

メニューは結構種類豊富であるものの、書かれているものがいつもあるわけではないのは地方部あるある。
結局は店のおばさんに「今日あるのはこれとこれとこれと…」といくつか説明された中から、注文することになると思います。
そんな中でのぶよが注文したのが、豚肉のムツヴァディ。
ムツヴァディとは肉を串に刺して炭火で焼いたBBQのことで、ジョージア全国どこでも食べられる定番料理の一つです。
特に何も期待することなく注文したのですが、実際に提供されたムツヴァディをひと口食べてみて、びっくり。
ほのかな酸味とフルーティーな甘味をまとった豚肉は信じられないほどに柔らかく、肉汁がぶしゃあっと染み出してくるほどの超絶的な美味しさだったからです。

Dzveli Sakhliのムツヴァディは、ジョージア西部地域でポピュラーな「漬けムツヴァディ」。
ごろごろサイズに切った豚肉をチャチャ(蒸留酒)や各種スパイスに漬け込んで一晩寝かせたものを炭火焼きにするのが一般的なのですが、このお店のものはひと味違います。
それは、チャチャではなく白ワインに肉を漬け込んでいるため。
ほのかな酸味とフルーティーな甘さ、柔らかな肉の食感の秘密は、ワインにあったというわけです。
これまでジョージア全国津々浦々でムツヴァディを食べてきましたが、Dzveli Sakhliの漬けムツヴァディは文句なしのトップ3。
白ワインに肉を漬けるという調理法はジョージアでは珍しく、なかなか出会えない独特の味わいが貴重です。とにかく、ポティに来た際はぜひとも!
④バザールの片隅の食堂で激辛料理:Cafe Bar Ramazi

とてつもないローカル感に浸りながら、サメグレロ地方ならではの味を体験したいなら、Cafe Bar Ramaziがおすすめ。【マップ 赤④】
ポティ・バザールの一角でひっそりと営業する純度100%のローカル食堂で、地元の人が買い物帰りにさっと立ち寄っては食事していくような店です。


紙に書かれたメニューは存在せず、店のおばさんに口頭で出せるものを尋ねて注文するというスタイルも、ジョージア地方部の食堂ならでは。
おばさんのおすすめは「オーストリ」だそうで、せっかくなので注文してみることにしました。▼

一般的なオーストリは、牛肉をトマトペーストとともにじっくり煮込んだ「トマトビーフシチュー」のような料理。
トマトの奥深い風味とスパイスが入ってややピリ辛な味わいが特徴的です。
いっぽう、サメグレロ地方のオーストリは味わいがやや異なり、このお店のオーストリもかなり独特。
というのも、サメグレロ地方ではトマトではなくアジカ(激辛ペースト)をメインに牛肉を煮込むため、とにかく激辛なのです。
アジカにはニンニクやハーブが大量に利用されるため、ただ辛いだけではなく複合的で奥深い香ばしさが感じられるのも◎
かなり辛いですが、ぺろりと食べられますし、刺激的でとても美味しいです。
飾らない食堂らしい雰囲気と、確かな料理の味が魅力的なCafe Bar Ramazi。
バザール散策のついでに、ぜひ立ち寄ってみましょう!
⑤地元民に愛されるアットホームな雰囲気:グリシャのハルチョー屋

ポティの飲食店5選のラストを飾るのが、グリシャのハルチョー屋。【マップ 赤⑤】
GoogleMapにも載っておらず、店名すら定かでない家族経営の小さなお店です。


のぶよが訪問したのはお昼時でしたが、数組の男性客グループが飲み食いしていて結構繁盛しているようす。
メニューはジョージア語表記のもののみという点も、ローカルを地でゆく感じがして良いです。▼

メニューの種類はそれほど多くはなく、THE食堂飯といったラインナップ。
店名に「スープハルチョー」を掲げていることもあり、どうやらスープハルチョーがこの店の看板メニューであるようです。
自分の名前をそのまま店名に付けたオーナーのグリシャおじさんが「いいからスープハルチョーにしろ!」とうるさいので、流れに飲まれるがまま注文してみることにしました。▼

提供されたのは、器の底が見えないほどに黒っぽいスープにごろっごろの塊肉、表面を覆う油の膜が印象的なストロング系スープハルチョー。
玉ねぎやハーブなどの野菜も入ってはいるのですが、かなり長時間煮込まれているためか原型をとどめないほどにスープと一体化しています。
実はサメグレロ地方には二種類のハルチョーが存在します。
すでに紹介したメグルリ・ハルチョー(くるみペースト入り)と、こちらのサメグレロ風のスープハルチョーなのですが、スープハルチョーにはくるみは一切入らず、しゃばしゃばした質感のスープが特徴的です。

ジョージア各地域でハルチョー(スープハルチョー)の具材や味付けは大きく異なるのですが、サメグレロ地方ではこのがっつり煮込まれた牛肉ごろごろ油たっぷりタイプが主流。
もちろん、味付けはかなり辛めなのですが、ただ辛いだけでなく各食材の旨味がじんわりと舌の上で広がります。

奥のテーブルでは、まだ正午を回ったばかりだというのに持参したワインで乾杯しまくる地元客たちの姿も。
「黒海のパリ」のイメージとはまた異なるポティの一面が見られたようで、なんだか嬉しくなります。
激辛の名物料理も、ジョージア地方部らしい食堂感も…なかなかにディープで地元感あふれる昔ながらの食堂。
一人で入るのは少し勇気が要るかもしれませんが、お店の人も笑顔で対応してくれるのでぜひとも挑戦を!
ポティの宿情報
ポティは比較的大きな町ではあるものの、宿泊施設の数や選択肢がとても限られている点がネック。
高級ホテルは存在せず、逆に格安ドミトリーのホステルもありません。
そのため、宿泊は一般家庭の一部を旅行者向けに開放したゲストハウスか、アパートの一室を丸ごと貸し出しているような宿のいずれかとなります。
ポティの宿泊に便利なのは、中心街南側のバザールやポティ聖堂に近いエリア。
しかしこのエリアには適当な宿がほぼ存在しないため、多くの場合は中心街北側の港近くのエリアに滞在することになるでしょう。
のぶよがポティで4日間滞在したのは、この港エリアにある小さなアパートタイプの宿。
立地的にはやや不便もあったものの、アパート自体はとても快適で満足のいく滞在ができました。
【Appartment in Poti】

・料金:47GEL(=¥2350)
・部屋タイプ:アパート一人利用
・立地:7/10
大型スーパーCarrefourや市場があるエリアから徒歩30分ほどの、港エリアに位置しています。
港エリアにもコンビニや飲食店は多くあるため困りませんが、観光などの際はいちいち中心街まで移動するのがやや面倒でした。
アパートを出て20秒ほどの場所にコンビニがある点も◎
いっぽう、港がすぐ目の目にあるため、夜間でも積み荷の引きおろしなどでうるさいことがありました。
・宿へのアクセス:7/10

アパートタイプの宿であるため、チェックインの際はオーナーの女性に連絡して鍵を渡してもらう必要があります。
予約が完了すると向こうから電話で連絡が来るので、あらかじめチェックイン時間を伝えておけば当日スムーズにチェックインできるはず。
逆に、ジョージアの電話番号がない人や言葉ができない人にはハードルが高いかもしれません。
・スタッフ:8/10
愛想の良い女性オーナーで、さばさばとしていながらも笑顔でチェックインさせてくれます。
オーナーと顔を合わせるのは、基本的にチェックインの鍵の受け渡しジのみで、チェックアウトの際は玄関のドアマットの下に鍵を保管しておくというシステム。
なのでオーナーとの絡みはとても薄いですが、まあアパートタイプの宿ならこんなものかと。
・清潔さ:10/10

外観こそ「THE・ソ連時代の共同住宅」といったたたずまいですが、アパートの内部はびっくりするほどに清潔。
リノベーションがされており、キッチン設備には最新のものが使用されています。
ベッドもソファーも文句なしの清潔感で、トイレ兼バスルームにも掃除がしっかりと行き届いていた印象。
バスタオルや使い捨てスリッパも提供してくれて至れり尽くせりでした。
・設備:10/10

アパートはベッドルーム兼リビングとキッチンの二部屋があり、いずれにも滞在中必要なものが全て揃っています。
洗濯機やエアコンも無料で使用でき、IHヒーターや冷蔵庫、電気ケトルもあるため自炊派でも快適に滞在できるはずです。
・wi-fi:9/10
アパート内のほぼ全ての場所で問題なく接続可能ですが、テラスのみ若干電波が弱くなりました。
・雰囲気:9/10

小奇麗なアパートで気ままに滞在できるのがこの宿の最大の良さ。
港に面した小さなテラスもなかなかに良い感じで、のんびりとすることができます。
港からの騒音と蚊がネックとなりますが、それ以外はかなり良い感じ。
完全なるプライベート空間である点も快適さの要因かもしれません。
・総合:8.5/10
ポティの宿の中では最安値レベルですが、かなり満足のゆく滞在ができます。
ネックとなるのは中心街から微妙に距離がある点と、日によっては港からの騒音が夜でも聞こえてくる点。
逆にそれ以外はかなり良い感じで、長く滞在したくなる落ち着いた雰囲気に満ちています。
あとはもう少し値段が安ければパーフェクトといったところでしょうか。
【ポティの宿の予約はこちらから!】
ポティの市内交通&他都市とのアクセス

ポティは、ジョージアの他都市から微妙に離れた場所にぽつりと位置しており、地理的にはやや陸の孤島感がある町。
しかし鉄道も通っており、都市間マルシュルートカも運行しているので、アクセスに苦労することはありません。
市内交通に関してもちゃんとバス網があり、比較的整備された印象ですが、システムが少し複雑なのが難点かもしれません。
ここでは、ポティの市内交通やジョージア他都市との交通など、移動に関する情報をまとめました。
ポティの市内交通
ポティはそれほど大きな町ではなく、市内観光や市内移動は徒歩でカバーできます。
しかし、郊外に足をのばす場合や、中心街~港エリアを移動したい場合は、市内交通を利用するのが便利でしょう。
ポティの市内交通は、市内路線バスと市内マルシュルートカの二種類。
それぞれ料金や支払いシステムが異なる点に注意しましょう。
路線バス/マルシュルートカのいずれも、発着ポイントはポティ・バザール南側の路上から。【マップ オレンジ】
GoogleMapでは路線図などの情報は表示されませんが、YandexMapを使用すれば正確な路線図を知ることができます。
ポティ市内路線バス

ポティ市内で十数路線ある市内路線バスは、青か緑の車体のモダンな大型バス。
中心街はもちろん、郊外の集落も幅広くカバーしており、比較的遅い時間まで走っているのが便利です。
ポティ市内路線バスを利用する際の最大のネックとなるのが、現金での支払いがいっさい不可能であること。
“Poti Card”というポティ市内路線バス専用の交通ICカードか、TBC Bankのクレジットカードのみでの支払いとなり、トビリシやバトゥミなどジョージア他都市の市内交通ICカードでの支払いはできません(こういうところ、ジョージアはまじで面倒くさい)。
Poti Cardは市内に複数展開するコンビニ”Daily”のレジでの購入(2GEL)となり、購入後は市内に設置されたTBC Bankの専用端末で好きな額をチャージしておいて、バス乗車時に端末にタッチして決済…という流れ。
正直、ポティで路線バスを利用する回数は限られているため、わざわざ専用のICカードを購入する意味は少ないように思います。
というわけで、個人的には市内路線バスの利用よりも、現金で支払える市内マルシュルートカの利用が手軽でおすすめです。
市内マルシュルートカ

数日間しかポティに滞在しない旅行者の強い味方が、市内マルシュルートカ。
市内路線バスとは異なり、こちらは現金で運転手に直接支払うシステムなので利用しやすいです。
路線はいくつもありますが、いずれも10分~20分おきに走っているので便利。
路線バスに比べて運行時間がかなり短い点にだけ注意しましょう。
ポティ~黒海沿岸エリアの近郊交通

ポティ~サメグレロ地方内の小さな町や村を結ぶ近郊マルシュルートカは、ポティ・バザール東端にある駐車場からの発着。【マップ 茶色】
この場所から発着するマルシュルートカは、オズルゲティやウレキなど、サメグレロ地方のすぐお隣グリア地方の町への便も含みます。

グリア地方の中心的な町であるオズルゲティへは、1~2時間に1本のマルシュルートカが出ています。
オズルゲティには長距離用と近郊用の二か所のバスステーションがありますが、ポティ~オズルゲティ便の発着ポイントは、長距離バスステーションです。▼

ポティから黒海沿いに南へ20kmほどいった場所にあるウレキまでは、マルシュルートカの定期便が走っています。
ウレキ側の発着ポイントは、中心街の東1.5kmほどの場所にあるバスステーション広場から。
トビリシやバトゥミ方面からの鉄道が停車するウレキ鉄道駅から北に300mほどの幹線道路沿いにあります。▼
ポティ~ジョージア他都市間の長距離交通

ポティ~グリア地方以外のジョージア他都市間の移動は、基本的にマルシュルートカがメイン。
トビリシ~ポティ間やクタイシ~ポティ間のみ、1日1往復の鉄道の利用も可能ですが、スケジュール的にやや不便なのが難点です。
ポティでの都市間マルシュルートカの発着ポイントとなるのは、鉄道駅から西に300mほどの場所にあるバスステーション。【マップ 黄色】
鉄道利用の場合は、もちろんポティ鉄道駅【マップ 灰色】が基点となります。
【鉄道】
ポティ~トビリシ間の移動で最も快適なのが鉄道の利用。
平日・土日にかかわらず快速列車が毎日1日1往復しています。
しかしながら、ポティ~トビリシ間の鉄道のスケジュールは旅行者にとってやや不便。▼
・ポティ発7:00→トビリシ着13:02
・トビリシ発17:30→ポティ着23:37
※最新のスケジュールはジョージア鉄道の公式サイトで確認を!
都合が合う場合は鉄道の利用がおすすめですが、そうでない場合はマルシュルートカを利用することになるでしょう。
【マルシュルートカ】
ポティ~トビリシ間は、1時間に1本のマルシュルートカが頻発しています。
トビリシ側の発着ポイントはいくつかありますが、便利なのが地下鉄駅に直結したディドゥベ・バスステーション。▼
ディドゥベ・バスステーションはとにかく広くカオスですが、ポティ行きマルシュが発着するのは敷地の最も北側の黒海方面乗り場からです。
【鉄道】
ポティ~クタイシ間の鉄道移動は、ポティ~トビリシ間の鉄道と同じものを利用します。
平日・土日にかかわらず快速列車が毎日1日1往復していて、スケジュールは以下の通り。▼
・ポティ発7:00→クタイシ(リオニ駅)着9:00
・クタイシ(リオニ駅)発21:38→ポティ着23:37
※最新のスケジュールはジョージア鉄道の公式サイトで確認を!
注意したいのが、クタイシ側の鉄道停車駅はクタイシ中心街から3kmほど南に離れたリオニ駅(Rioni)である点。
クタイシ中心街ど真ん中にあるクタイシⅠ駅からではない点に要注意です。
【マルシュルートカ】
ポティ~クタイシ間は、1時間に1本のマルシュルートカが頻発しています。
クタイシ側の発着ポイントは、中心街南部にあるセントラル・バスステーション。▼
クタイシのセントラル・バスステーションもなかなかにカオスですが、ポティ便の発着ポイントはバスステーションの建物裏手の一角から。
その辺に居る人に尋ねれば、問題なく見つけることができます。
ポティ~バトゥミ間には鉄道は走っておらず、移動はマルシュルートカの利用のみ。
バトゥミ側の発着ポイントは、中心街東部にあるオールド・バスステーションです。▼
ポティ~バトゥミ便は途中でコブレティも経由するため、途中乗下車も可能。
その場合でも料金は変わりません。
バトゥミ~ウレキ~ポティと経由
バトゥミ(&コブレティ)~ポティ間には鉄道の直行便は存在しませんが、バトゥミ~ウレキまでは1日2往復のローカル鉄道が走っており、片道1GEL(=¥50)と格安で移動できます。
ウレキ~ポティ間は1時間に1本のマルシュルートカが走っており、こちらの運賃も3GEL(=¥150)と格安。
つまり、ウレキを経由すればバトゥミ~ポティ間を合計4GELで移動できてしまうのです。
バトゥミ~ウレキ間で利用する鉄道は、バトゥミ~クタイシⅠ駅を結ぶローカル鉄道。
こちらはジョージア鉄道の予約プラットフォームには対応していないのですが、最新のスケジュールは公式サイト上でチェック可能です(もちろんちゃんと毎日運行しているのでご安心を!)。
ほとんど知られていないこのローカル鉄道、使いこなせばかなり便利なのでおすすめ。
詳細は別記事にて解説しているので、利用前にはぜひチェックを!▼
ポティ観光の注意点&アドバイス
ポティは比較的大きな町であるため、観光や滞在時に必要なインフラ・施設はすべて揃っています。
なので極論、何も知らずにぷらりと訪れてもどうにかなるはず。
しかし、この美しくのんびりした町の魅力を満喫するなら、訪問のベストシーズンや観光に必要な日数などはあらかじめ把握しておくべき。
ここでは、ポティ滞在時に役立つアドバイスや注意点を解説します。
ポティ観光におすすめの時期

ポティの市内観光自体は年間を通して可能です。
亜熱帯気候に属すポティ一帯は冬でも寒さがそれほど厳しくないことで知られ、一般的にはオフシーズンである冬場の時期でもそれなりに楽しむことができるでしょう。
しかし、ポティ近郊の世界遺産であるコルヘティ国立公園を訪れたい場合は、4月~11月がやはりおすすめ。
4月と11月は季節の変わり目にあたり降水量が多いため、安定した天候を狙うなら6月~9月あたりが良いでしょう。
ポティは年間を通して湿度が高く、気温以上に暑さを感じる町。
夏場は蚊が多く発生するので、虫よけなどの対策もお忘れなく。
ポティ観光に必要な日数

ポティの市内観光自体は数時間もあれば住んでしまうほどの規模。
距離があるトビリシからの日帰りは片道6時間ほどかかるため難しいですが、バトゥミやクタイシなどジョージア西部の町からであれば日帰りで訪問することも不可能ではありません。
しかしながら、ポティの市内観光のためだけにわざわざ他都市から日帰りする価値があるかと問われると、正直やや微妙なところ。
多くの人は近郊のコルヘティ国立公園とポティ市内観光がセットのプランを考えるのではないでしょうか。
コルヘティ国立公園+ポティの市内観光をセットにする場合、クタイシやバトゥミからの日帰りはやや無謀。
ポティに最低1泊はしてゆっくりと訪問する方が良いと思います。
ポティの町の魅力は数時間の観光スポットめぐりでは堪能しにくいもの。
港町らしい開放感と美しい中心街の雰囲気にどっぷり浸りつつ、名物グルメを堪能したり食堂をまわったりするなら、やはり最低1泊2日の日程は確保したいものです。
ポティの治安

ポティの治安は決して悪くはないものの、ジョージア他都市に比べると知っておかなければならない点がいくつかあります。
一つは、ポティはジョージアの都市の中でも貧困率が高めである点。
港湾都市であり様々な人や物が行き交うので、さぞ経済的に栄えていそうなイメージがありますが、港を通して得られるお金はほぼ全て中央政府に行ってしまうため、ポティの経済振興にはつながらないのだそうです。
ポティは若者の人口流出もとても激しいそうで、中心街を歩いてもあまりの人影の少なさにびっくりするかもしれません。
そしてもう一つの注意点は、港町=色々な人が出入りするという点。
実際にポティにはジョージア出身でない労働者人口が多く、中央アジアなどの国からやって来て住み込みで働いている人も目立ちます。
移民=悪い人というわけではもちろんないのですが、中には事件を起こすような人も残念ながら存在するもの。
つい数年前にはポティ近郊のビーチ付近でキャンプをしていた欧米人サイクリストが夜中に移民らしき集団に襲撃されるという事件も発生しています。
おわりに
「黒海のパリ」ポティの観光に必要な情報を徹底解説しました。
ジョージアの都市の中でもどうもパッとしない印象のポティをわざわざ訪れる旅行者は多くないですが、他の都市にはない独特の雰囲気や建築は一見の価値があります。
港湾都市として多くの人々が行き交って来たポティは、外国人であっても変に注目されることなく、とても自由な雰囲気が感じられる点も独特。
ポティの人々は良い意味で他所者に無関心であり、かといって愛想が悪いわけでもなく、なんとも柔らかな態度の人ばかりなのも、この町の歴史に育まれた気質なのかもしれません。
居心地の良さという面では、ジョージアの都市の中でもかなり上位に入るポティ。
観光目的以外でも、ちょっと長めにのんびり滞在する拠点としてもアリだと思います!
コメント