こんにちは!ジョージア西部のアジャラ地方にのんびり滞在中。世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
アジャラ地方での滞在も1ヶ月越え…とうとうこの記事を書く日がやってきました。
アジャラ地方の郷土料理・名物グルメ総まとめです!
一般的なジョージア料理とは、ひと味もふた味も違うアジャラ料理。
気になるものを片っ端から食していたら、なんと合計26品にもなっていました。
ジョージアという小国の中のいち地方にすぎないエリアの中に、これほど多種多様な名物グルメが存在することに、正直自分でも驚いています。
というわけで今回の記事は、グルメ派必見の内容。
アジャラ地方の食文化や、現地で食べたい郷土料理26品を解説していきます。
アジャラ地方の食文化や名物料理に焦点を当て、ここまで詳しく解説した記事は、おそらく世界初だと思います…!
「アジャラ地方=バトゥミ」というイメージが強いのが現状ですが、それだけではありません。
グルメをきっかけに、アジャラ地方の奥深い魅力に興味をもってもらえれば嬉しいです。
各料理が食べられるお店情報や価格も掲載しているので、実際に滞在する際はぜひ挑戦してみてくださいね!
ジョージア料理とひと味違う!アジャラ地方の郷土料理って?
アジャラ地方には、ジョージアの他地域とはやや異なる歴史があり、イスラム教に基づく独自の文化が根付いているのが特徴的。
そのため、アジャラ地方の食文化も独特なものに進化しました。
海の恵みも山の恵みもある自然豊かなエリアということもあり、食材のバリエーションが豊富であるのもポイントです。
「ジョージア料理」は近年日本でもやや知名度が上がりつつある印象ですが、「アジャラ料理」に関してのイメージなど多くの人にとっては皆無でしょう。
まずここでは、アジャラ地方の奥深い食文化の特徴を5つのポイントで解説していきます。
①沿岸部と山岳部で大きく異なる食文化
アジャラ地方の面積は2900㎢ほど。
鳥取県よりひとまわり小さいくらいの面積しかありません。
とても小さなエリアですが、黒海に面した沿岸部と小コーカサス山脈の西端に位置する山間部では、風景や文化が大きく異なるのがポイント。
それは食文化に関しても例外ではありません。
アジャラ地方沿岸部と山間部の食文化をザックリと説明するなら、こんな感じ。▼
・アジャラ地方沿岸部:ハーブやスパイス多用。あっさりした味付け。
・アジャラ地方山間部:チーズやバターなど乳製品を多用。こってりした味付け。
アジャラ地方沿岸部の料理は、同じく黒海沿岸に位置するグリア地方やサメグレロ地方、アブハジア共和国などとの共通点も多く見られます。
いっぽうの山間部の料理は、目と鼻の先にあるトルコの食文化の影響がより強く感じられ、山で採れる野菜や家畜由来の乳製品を多く用いた「地産地消」の性格が強く感じられます。
年間を通して温暖な気候のアジャラ地方では、くるみやヘーゼルナッツなどの栽培も盛ん。
沿岸部/山間部問わず、多くの料理にこうしたナッツ類のソースが用いられるため、全体的に重たい料理が多いです。
②トルコ料理の強い影響
地図を見れば一目瞭然ですが、アジャラ地方のすぐ南にはトルコとの国境があります。
近代200年間のジョージアはロシア帝国支配→ソ連支配と北の大国による統治を受けていましたが、それ以前のジョージアは東西で異なる国の支配下に置かれていました。
アジャラ地方が位置するジョージア西部は長らくオスマン帝国(現在のトルコ)の支配下にあったため、ペルシア帝国(現在のイラン)が支配していたジョージア東部とは大きく文化が異なる場面があり、食文化に関しても同様。
ざっくりした味付けであることが多いジョージア東部(「とりあえずニンニク入れて塩大量に入れて煮込んどけ!」的な)に比べると、アジャラ地方ではわりと繊細で優しい味付けである場合が多く、トルコの食文化との類似が舌で感じられます。
③牛肉文化
オスマン帝国の支配が強かったアジャラ地方は、キリスト教国ジョージアに属していながらもイスラム教徒住民が多数派というユニークなエリア。
大都市であるバトゥミではイスラムの雰囲気はあまり感じられませんが、少し内陸部に入ると木造モスクからアザーンが鳴り響くエキゾチックな雰囲気へと変貌します。
ご存じの通り、イスラム教では豚肉がご法度。
そのため、特にイスラム色が強いアジャラ地方山間部では、一般的には豚肉が使われる料理もすべて牛肉で代用されるのです。
「ジョージアの牛肉は筋張っていて硬い」とは外国人がよく口にすることですが、牛肉文化が根付くアジャラ地方の牛肉料理はどれも絶品。
臭みもなく、口の中でトロッととろける牛肉料理の数々に、ジョージア東部からやって来た旅行者はきっと驚くと思います。
④パンがふわふわ
ジョージア人の主食であるパンに関しても、アジャラ地方では独特です。
ジョージア全国的に一般的なパンといえば、ショティ(Shoti / შოთი)という窯焼きパン。
塩気が感じられ食感もやや硬めで、レストランではショティをスライスしたものが提供される場合も多いです。
アジャラ地方でもショティを売るパン屋はもちろんあるのですが、食堂やレストランで提供されることはまずなく、お隣トルコで一般的なふんわりした塩気のないパンが提供される点が独特。
このふんわりパンがとにかく美味しく、肉でも魚でも豆の煮込みでも…とにかくアジャラ料理に抜群に合います。
アジャラ地方のお隣トルコといえば、パンが美味しいことで有名な国。
こんなところにも隣国の食文化の影響が感じられます。
⑤手軽な外食文化
アジャラ地方に来て一番驚いたことが、手軽に&安く飲み食いできる庶民的な食堂が星の数ほど存在すること
そもそもジョージアという国は、周辺のトルコやアルメニアに比べると庶民的な食堂文化や外食文化に乏しい国。
近年の観光客の急増によりレストランの類は増えましたが、「地元の人が毎日通いするような食堂」というものは、首都のトビリシでさえ見つけるのに苦労するほどです。
しかし、ここアジャラ地方では話が別。
アジャラの食の都・バトゥミでは、Google Mapに載っていないような名もなき食堂が各ブロックに一軒は必ずあるのが普通。
山間部の人口100人ほどの小さな村でさえ、村人が集まる食堂が必ずあるのですから。(ジョージア他地域の村では考えられないこと)
価格帯はトビリシに比べて3分の2ほどで、地元の人が集まって来るのにも納得。
ジョージア他地域に比べて「外で食事をする」という習慣が人々の間に強く根付いているようにも思います。
おそらくこの食堂文化も、ロカンタや屋台など食事場所の選択肢が無限大であるお隣の外食大国・トルコの影響でしょう。
ローカルなグルメを食べまくりたいグルメ派旅行者にとっては、アジャラ地方はまさに天国です!
アジャラ地方沿岸部の郷土料理
多くの旅行者がアジャラ地方滞在の拠点とするのが、黒海に面した沿岸部の町。
最大都市であるバトゥミや、ジョージア人に人気のビーチリゾート・コブレティなどの町があり、ご当地グルメを提供するレストランの選択肢も豊富です。
バトゥミには、アジャラ地方の郷土料理に特化したレストランも存在し、沿岸部の料理だけではなく山間部の料理もある程度コンプリートすることができます!
①アチャルリ・ハチャプリ
アジャラ地方発祥の料理の中でも王様のような存在がアチャルリ・ハチャプリ(აჭარული ხაჭაპური)。
「ハチャプリ」とはジョージアの国民食のようなチーズ入りのパンのことで、地方ごとに形や具が大きく変わります。
ここアジャラ地方では、ボート型の生地の中央に地産のチーズとバターを大量にのせて焼き上げ、仕上げに卵を落としたもの。
見た目からすでに食欲がそそられまくります…
中のとろとろチーズと卵をかき混ぜ、周りのカリカリ生地をディップしながら食べるのがアジャラ流。
お皿を汚さずに完食できれば、あなたも立派なアジャラ人の仲間入りです!
アジャラ地方は、近年日本でも徐々に知名度が上がりつつあるこのボート型のハチャプリの本場。
そのとろとろ&サクサクの濃厚な味わい、ぜひ一度は食べてみましょう!
・市場のハチャプリ店 (バトゥミ)
・アチャルリ・ハチャプリ発祥の店 (バトゥミ)
・値段:8GEL(=¥400)
②ムール貝
黒海が目の前に広がるバトゥミの名物といえば、「ミデェ」(Midie / მიდიე)と呼ばれるムール貝。
バトゥミ郊外に足をのばすと、岩場にくっついたムール貝をとる地元の人達の姿が多く見られ、バトゥミを象徴する風景となっています。
黒海の恵みが詰まったムール貝は、ぷりぷりした食感の旨味お化け。
ワイン蒸しやバターソテーなど、様々な調理法で食されます。
・バトゥミ魚市場 (バトゥミ)
・値段:1kg15GEL(=¥750)
③アチュマ
アジャラ地方とアブハジア共和国で食べられるアチュマ(Achma / აჩმა)は、「もう一つのハチャプリ」としてひそかな人気を誇る一品。
薄く伸ばしたパイ生地にチーズとバターを挟んで重ね、オーブンでサクサクに焼き上げたもので、トマトの入っていないラザニアのような料理です。
滴り落ちるほどに大量のバターが染み込んだ生地は、チーズと合わせてもってりとした食感。
生地が薄いためか、材料が似ているアチャルリ・ハチャプリよりも、だいぶ軽めに食べられます。
アチュマは作るのに手間がかかるため、食堂ではなかなか食べることができない一品。
レストランのメニューに見つけたら、ぜひ食べてみるのがおすすめです!
・Maspindzeli Restaurant (バトゥミ)
・値段:6GEL(=¥300)
④バトゥムリ・ルディ
湿度が高く蒸し暑いバトゥミの夏。地元民に愛される飲み物といえば、バトゥムリ・ルディ(Batumuli ludi / ბათუმული ლუდი)でしょう。
「バトゥミのビール」という意味で、その名の通りここバトゥミで醸造されているビール。
アジャラ地方では全域で流通していますが、それ以外の地域ではまず見かけることはない激レアご当地ビールです。
バトゥミの食堂の多くにはこのバトゥムリ・ルディを注ぐビアサーバーが設置されており、強めのキレとさわやかなのどごしは日本人好みの味。
バトゥムリ・ルディの醸造所では生ビールの直売も行われており、注ぎたての生ビールをペットボトルで持ち帰ることもできます。
・市場の場末居酒屋 (バトゥミ)
・バトゥムリ・ルディ直売所(バトゥミ)
・値段:2GEL(=¥100)
⑤テヴゼ・コトレティ
黒海目の前に位置するバトゥミらしい一品がテヴゼ・コトレティ(Tevze Kotleti / თევზე ქოთლეტი)。
ジョージアで一般的な「コトレティ」とは、合いびき肉を揚げ焼きにしたハンバーグのようなものですが、テヴゼ・コトレティは肉ではなく魚が使われたものです。
その食感は、日本のメンチカツの中身を魚の身にした感じの、表面はサクサク&中はほわっほわの極上食感。
口の中いっぱいに広がる魚の旨味にはきっと感動するはずです!
・Family Kitchen (バトゥミ)
・値段:7GEL(=¥350)
⑥ハンブルゲリ
バトゥミっ子に愛されるファストフードといえば、ハンブルゲリ(Hanburgeri / ჰამბურგერი)
「ハンブルゲリ=ハンバーガー」だと思って注文するとビックリするはず。
バトゥミのハンブルゲリは、パンを開いて牛肉サラミと玉ねぎみじん切り、各種ハーブにケチャップ&マヨネーズを大量にかけ、地産のチーズをふんだんに入れて挟み焼きにしたものなのです。▼
ハンブルゲリの味は、ご想像の通り果てしないジャンキーさ。
ケチャップとマヨネーズの味が主ですが、牛肉サラミの香ばしさや玉ねぎとハーブのフレッシュな風味も口の中に広がります
ジョージアの中でもなぜかバトゥミでしか売られていないのは、ハンブルゲリのミステリー。
隠れたB級グルメ的な存在なのかもしれませんが、バトゥミの若者たちのソウルフードとして愛されているようです。
・ハンブルゲリ屋台 (バトゥミ)
・値段:4GEL(=¥200)
⑦ヤフノ
アジャラ地方沿岸部のコブレティ発祥と言われる料理が、ヤフノ(Iakhno / იახნო)。
牛肉をくるみペーストとともに煮込んだシチューで、「クヴィテリ・クヴァヴィリ」(Kviteli kvavili/ ყვითელი ყვავილი)というマリーゴールドの花を乾燥させたものをスパイスとして使用しているのが味の決め手だそうです。
くるみの濃厚&クリーミーな食感とマリーゴールドのほろ苦い味わい、トロトロに溶けそうな牛肉のハーモニーは素晴らしいのひとこと。
ボリュームもたっぷりで、これ一品で十分お腹いっぱいになります。
・Family Hotel Tsitskali (チュフトゥネティ)
・Maspindzeli Restaurant (バトゥミ)
・予算:9GEL(=¥450)
⑧テヴジ・キンズマルシ
数あるアジャラ地方グルメの中でも、のぶよ的No.1に入るかもしれない料理がテヴジ・キンズマルシ(Tevzi Kindzmarsh / თევზი ქინძმარშ)。
黒海産のマスを油で揚げ焼きにしたものに、「キンズマリ」(Kindzmari / ქინძმარი)というソースをかけたものです。
キンズマリとは、大量の刻みパクチーとクルミ、ニンニクとお酢を混ぜたソースで、このソースがとにかく革命的に美味しいのです。
醤油は入っていないものの、どことなくポン酢や南蛮漬けに近い味がするキンズマリソース。
くるみのクリーミーさとニンニクのほのかな風味も良く、ものすごく繊細なバランスで各材料が引き立ち合っています。
黒海でとれた新鮮なマスの上品な風味とホワホワの食感も素晴らしいですが、とにかくこのソースが最強でした。(トビリシでも提供してほしい…)
黒海のマスも、クルミが入ったクリーミーなキンズマリソースも、ジョージアの他地域ではお目にかかれないもの。
「ジョージア料理=大味」の概念が覆るほどに上品で繊細な味わいを体験してほしいです!
・秘密の海沿い食堂 (バトゥミ)
・バトゥミ魚市場 (バトゥミ)
・予算:12~16GEL(=¥600~¥800)
⑨アジャラ風シュクメルリ
ジョージアのシュクメルリ界における異端児が、アジャラ風シュクメルリ。
山岳地域のラチャ地方発祥のシュクメルリがここアジャラ地方で独自に進化したものです。
鶏肉を油とニンニクで揚げ焼きにする調理法こそオリジナルのシュクメルリと同様ですが、最大の違いは鶏肉だけ取り出して別皿にのせ、サワークリームを加えてオーブンで焼く点。
つまりアジャラ風では鶏肉を揚げ焼きにした大量の油は使われないため、一般的なシュクメルリに比べると油っこさやニンニク臭はかなり抑えられています。
アジャラ風をひとことで言うなら「上品なシュクメルリ」といった感じ。
サワークリームの酸味やコクが鶏肉の旨味とニンニクの芳醇さを包み込み、クリーミーで奥深い味わいに仕上がっています。
煮込むという調理法ではなく、野菜などが入ることこそないものの、日本人がイメージする「シュクメルリ=鶏肉のガーリッククリームソース」に最も近いのがアジャラ風だと思います。
芳醇&クリーミーな鶏肉と程良いニンニクの味わいは、アジャラ風のふわふわパンとの相性も抜群!
クリームソースがじんわりと染みこんだふんわりパンは、感動的な美味しさです。
・Cafe Gundaka(バトゥミ)
・Shua Kalaki(コブレティ)
アジャラ地方山間部の郷土料理
アジャラ地方山間部には、ここでしか食べられない郷土料理は目白押し。
イスラムのエッセンスが感じられる牛肉料理から、畑でとれた野菜をふんだんに用いた料理、カロリー爆弾の乳製品料理まで…
物資が限られている山間部ならではの、地産地消の食文化に触れることができます!
⑩チルブリ
アジャラ地方の朝食の定番といえば、チルブリ(Chirbuli / ჩირბული)。
バターで炒めた玉ねぎにトマトペーストとくるみを加えて煮込み、仕上げに卵を落として半熟状にしたものです。
トルコ料理のメネメン(トマト入りスクランブルエッグ)や、中東のシャクシューカに似た料理で、オスマン帝国の支配が強かったアジャラ地方らしい一品。
ジョージアの他地域ではまず食べられない家庭料理なので、滞在中にぜひ挑戦してみましょう!
・Family Hotel Tsitskali (チュフトゥネティ)
・Ardagani Cafe Restaurant (バトゥミ)
・値段:10GEL(=¥500)
⑪アジャラ風ハシュラマ
トルコの食文化の影響を受けたアジャラ料理の象徴的な存在が、アジャラ風ハシュラマ(Adjarian Khashlama / აჭარული ხაშლამა)
「ハシュラマ」と言えば、ジョージア東部のカヘティ地方の名物グルメで、牛肉をお湯で茹でてニンニクを大量にかけた豪快すぎる料理のイメージでした ▼
▲ そしてこちらが、バトゥミをはじめアジャラ地方の「ハシュラマ」。
もはや見た目からしてまったくの別料理です。
アジャラ地方のハシュラマは、骨付きの牛肉を大量のニンニクとともに長時間煮込み、仕上げにコリアンダー(パクチー)などのハーブを大量に散らしたスープ料理なのです。
そのお味は、まさに極上のひとこと。
牛骨由来の旨味とコク、牛脂の芳醇な風味、ニンニクの香ばしさが口の中にぶわぁぁっと広がり、まるでラーメンのスープを直に飲んでいるかのよう…
そこはかとないアジアの風味に、ハマってしまう人も続出するかもしれません。
とにかく旨味がものすごく、あっさりと食べられるのも◎
アジャラの食文化の奥深さを舌で感じられる一品です。
⑫シノリ
アジャラ地方山間部グルメの二強のような料理の一つが、シノリ(Sinori / სინორი)。
「ラバシ」と呼ばれる、アルメニア風の薄いパン生地を短冊状に切り、地産のチーズをまぶしてくるくると巻き上げ、大量のバターと牛乳、ニンニクを投入してオーブンで焼き上げた豪快な料理です。
ほど良い焼き加減の生地には、甘味たっぷりで芳醇な風味のバターが染み込んでとても美味しいです。
塩気が強いチーズが使われるため、あまり大量にチーズが入りすぎていると塩辛くなってしまうのですが、その絶妙な塩梅が料理人の腕の見せ所なのでしょう。
アジャラ地方の名物料理の例に漏れず、大胆な味付け&かなり重ためなシノリ。
食後は「もうしばらく食べたくない…」と思ってしまうかも…(笑)
・Restaurant Mate (フロ)
・Cafe Bar Zundaga (バトゥミ)
・Maspindzeli Restaurant (バトゥミ)
・値段:8GEL(=¥400)
⑬ボラノ
アジャラ地方山間部グルメ二強のもう一つが、ボラノ(Borano / ბორანო)。
見た目は何かしらのスープ料理のようですが、間違って頼むと痛い目にあいます。
なんと言ってもこのボラノ、アジャラ地方で…いや、ジョージアで一番ヤバい料理なのですから。
琥珀色の液体の正体は、大量の溶かしチーズとバターのみという潔さ(?)。
スープのように見える液体は、なんとすべて溶かしバターというカロリーお化けなのです。やばすぎる…
バターの海の中からは、どろっどろに溶けた大量チーズがガマルチョバ。
このチーズはアジャラ地方の特産なのですが、塩気がとにかく強く、大量バターの果てしない脂っ気とともに胃をノックアウトしてきます。
これ一皿だけでもものすごいカロリーだと思うのですが、アジャラ地方山間部の人たちは皆、ふわふわのパンをディップして食べるのですから…胃袋のつくりが人間ではないのかもしれません。
「ジョージア流チーズフォンデュ」なんてお洒落な呼び方をしている英語ブログもありますが、間違ってもチーズフォンデュなんてお洒落なものではないような..
せっかくのアジャラ料理なので一度は食べてみるべきですが、のぶよ的にはもう二回目はないでしょう…(まじで食後に苦しくて死にそうになった)
・謎の食堂 (フロ)
・Cafe Bar Zundaga (バトゥミ)
・Maspindzeli Restaurant (バトゥミ)
・値段:7GEL(=¥350)
⑭ケダ風ボラノ
アジャラ地方山間部ではどこでもポピュラーなボラノですが、いくつかバリエーションがあるのも特徴的。
その一つが、ケダという町発祥だとされるケダ風ボラノ(Keda Borano / კედას ბორანო)です。
一般的なボラノの材料であるチーズ&バターに加え、マッシュドポテトを加えたものがケダ風。
カロリーはさらにアップし、胃袋が恐ろしいことになりそうです…が…
食してみてびっくり。
ポテトが入ることでチーズの塩辛さが中和されるのか、普通のボラノよりもかなり食べやすいのです。
バターの豊潤さとじゃがいもの甘味もふんだんに感じられ、「カロリーやばめのじゃがバター(チーズのせ)」といった感じ。
チーズ×バター×ポテトという黄金の組み合わせは、ここアジャラ地方でも健在。
できれば普通のボラノに挑戦した後にケダ風を食べて、ボラノの本当の美味しさに気づいてほしいです(笑)
・Cafe Bar Zundaga (バトゥミ)
・値段:8GEL(=¥400)
⑮カルマヒ
清流が流れるアジャラ地方山岳部らしいグルメといえば、「カルマヒ」(Kalmakhi / კალმახი)と呼ばれる川マスも忘れてはいけません。
新鮮な川マスを、塩と少々のスパイスで味付けして油でごんがりと焼いただけのシンプルな料理ですが、ものすんっっっごく美味しいです。
カルマヒはアユやイワナの仲間だそうで、日本の山間部で夏に食べたあの味そのもの…
上品な味わいの身はほんのりと甘く、口のなかでふわっと溶けてしまうほどの柔らかさでした。
バトゥミ周辺ではほとんど提供されておらず、山間部に行かないと食べられない特別感も◎
アジャラ地方山間部旅の楽しみの一つとなること間違いありません!
・Restaurant Mate (フロ)
・値段:7GEL(=¥350)
⑯アジャラ風オジャフリ
オジャフリ(Odjakhuri / ოჯახური)といえば、ジョージア風の豚肉とじゃがいものグリル。
ジョージア全国どこでも食べられる定番中の定番料理ですが、ここアジャラ地方のオジャフリはひと味違います。
一般的なオジャフリには、スパイスやニンニクでマリネされた豚肉が使用されるのですが、イスラム教徒が多いアジャラ地方山間部では豚肉はご法度。
そのため、オジャフリにも牛肉が使用されるのです。
各種スパイスで味付けされた牛肉には味がギュッと染み込んでおり、ほろほろと柔らかい食感も極上。
気候が厳しい山岳部の料理であるためか、パクチーなどのハーブがほとんど入らない点も独特に思います。(一般的なオジャフリには大量のハーブが入る)
また、肉とともにオジャフリの主役をなすじゃがいもにも注目!
アジャラ地方山間部はじゃがいもが美味しいことで有名なのだそう。
実際に食べてみると「ただのじゃがいもでこんなに味が違うの?!」と驚くほどの甘味が感じられます。
バトゥミでは豚肉と牛肉のオジャフリのいずれも用意されており、注文時に選べることが普通ですが、山間部にいくと問答無用で牛肉のオジャフリが提供される点も面白いです。
・Restaurant Mate (フロ)
・値段:8GEL(=¥400)
⑰グリヤシ
オスマン帝国支配時代を感じるアジャラ料理といえば、グリヤシ(Guliashi / გულიაში)でしょう。
ジョージア広しと言えども、他の地域ではまずメニューにはなく、耳にする機会もありません。
興味本位で注文してみると、牛肉をパプリカペーストで煮込んだシチューのような料理が出てきました。
そう。グリヤシとは、ハンガリー料理の「グヤーシュ」がここアジャラ地方で独自に進化したものなのです。
東ヨーロッパやバルカン半島に広がった「グヤーシュ」が、トルコ経由でここアジャラ地方に伝わったのかもしれません。
肝心の味は…抜群の美味しさでした。
ハンガリーのグヤーシュに比べてやや水っぽいですが、トロトロの牛肉とハーブのフレッシュな風味の相性は抜群。
皿の底に敷かれたマッシュドポテトもよく合い、大満足のひと皿でした。
バトゥミではほとんど見かけることがないグリヤシですが、アジャラ地方山間部の食堂ならどこにでもあるほどポピュラー。
値段もリーズナブルで美味しいので、こればかり食べたくなってしまうかも…!
・謎の食堂 (フロ)
・値段:6GEL(=¥300)
⑱フロス・リモナティ
アジャラ地方山間部の中心的な村であるフロの名物が、フロス・リモナティ(Khulos limonati / ხულოს ლიმონათი /)
「フロのレモネード」の意味で、その名の通りフロ村で生産され、周辺エリアに流通しているご当地レモネードです。
味はかなり甘めですが、フロの人々の味覚にはぴったり合っているよう。
フロ村の食堂や商店ならどこでも購入できるので、一度は飲んでみてください!
・謎の食堂 (フロ)
・値段:1GEL(=¥50)
⑲プハロビオ
アジャラ地方山間部の一風変わった料理が、プハロビオ(Pkhalobio / ფხალობიო)。
名前から想像がついた人もいるかもしれませんが、ジョージア料理の定番であるプハリ(ほうれん草のくるみペースト和え)とロビオ(豆の煮込み)が合体したような不思議な料理です。
アジャラ地方のプハロビオは、ほうれん草ではなくビーツ(赤カブ)の葉が使われるのが主流だそう。
これでもか!とばかりに大量に入ったくるみペーストの濃厚な口当たりがとても美味しいです。
一般的なプハリやロビオの味つけに比べて、スパイスの使用がかなり控えめなのも山間部らしい特徴。
豆の自然な甘みとビーツの葉のほろ苦さ、くるみの濃厚な風味が見事にマッチした一品です。
・Maspindzeli Restaurant (バトゥミ)
・値段:12GEL(=¥600)
⑳グプタ
ジョージア料理定番のミートボールスープ「グプタ」(Gupta / გუფტა)も、ここアジャラ地方山間部ではひと味違います。
牛豚の合い挽き肉とお米でミートボールを作り、チキンブイヨンやビーフブイヨンの澄んだ色のスープで煮込んで食べられるのが一般的なグプタ。
いっぽうのアジャラ地方山間部では、牛ひき肉とお米、牛肉ソーセージを刻んだもので作ったミートボールを、トマトベースのスープで煮込んだシチューのような料理がポピュラーです。
豚肉が使われない点も、スープの濃厚な味わいも独特。
牛肉と野菜の旨味が染み出したスープは、器を舐め回したくなるほどに美味しいです!
・Restaurant Mate (フロ)
・値段:6GEL(=¥300)
㉑マラフト
くるみ大好きアジャラ地方山間部の象徴的な料理がマラフト(Malakhto / მალახტო)。
インゲン豆とくるみペーストを「イスリミ」(Isrimi / ისრიმი)というブドウ果汁ベースのソースで煮込んだものです。
くるみ由来の濃厚な風味とイスリミ由来の爽やかな風味が共存しているのが特徴的で、スッキリとした味わいながらも腹にたまる…そんな不思議な体験ができる料理です。
マラフトは家庭料理の性格が強く、レストランではあまり見かけることがないレアなグルメ。
見つけたらぜひ挑戦してみてください!
・Maspindzeli Restaurant (バトゥミ)
・値段:12GEL(=¥600)
㉒アジャラ風ドルマ
アジャラ地方山間部の家庭料理の定番といえば、アジャラ風ドルマ(Adjarian Dolma / აჭარული ტოლმა)。
赤かぶの葉やほうれん草の葉を茹でたもので、具材をくるくると巻き、仕上げにブイヨン等で煮込まれたロールキャベツのような料理です。
アジャラ風ドルマの具は牛ひき肉とお米、各種ハーブが鉄板で、豚ひき肉は入らないのが特徴的。
具材を詰めるための野菜の種類にはバリエーションがあり、ブドウの葉やパプリカが使用されることもあります。
調理法はトマトベースのブイヨンで煮込まれたり、お湯で茹でるだけの場合もあったり…と、各家庭によって異なるそう。
中の具を混ぜ合わせて、野菜を茹でて、巻いて、調理して…と、ドルマはかなり手間のかかる料理。
ゲストハウスで食事を提供してもらう際に出してくれることもありますが、「歓迎してくれている」という印だと思います。
・Family Hotel Tsitskali (チュフトゥネティ)
・値段:12GEL(=¥600)
㉓チャコンドリリ
アジャラ地方の名物グルメの中でも、おそらくレア度No.1の料理がチャコンドリリ(Chakondrili / ჩაკონდრილი)。
仔牛肉とニンニクと玉ねぎにタイム(ハーブ)を混ぜ合わせたものを、アルミホイルで包み焼きにしたものです。
ジョージア料理には「包み焼き」という調理法がほとんど見られず、このチャコンドリリくらいかもしれません。
じっくりとホイル焼きにされた仔牛肉はとても柔らかくてジューシー。
タイムの爽やかな風味とニンニクの香りも最大限に引き立っています。
やや濃い目の味つけも特徴的で、ビールに合うこと間違いなし。
バトゥミの地ビール片手に食べれば、あなたも立派なアジャラ人!
・Ardagani Cafe Restaurant (バトゥミ)
・値段:16GEL(=¥800)
アジャラ地方の名物スイーツ
オスマン帝国支配時代にアジャラ地方にもたらされたものに、スイーツ文化が挙げられます。
トルコの伝統的なスイーツをベースに、独自に進化したものがアジャラ地方の伝統スイーツ。
どれもチャイ(紅茶)のお供にぴったりな、素朴な甘さが感じられるものばかりです。
㉔アチャルリ・バクラヴァ
アジャラ地方のスイーツの王様のような存在が、アチャルリ・バクラヴァ(Acharuli Baklava / აჭარული ბაქლავა)です。
その名の通り、トルコの「バクラヴァ」が由来となっているスイーツ。
薄いパイ生地にナッツ類を挟みながら何層も重ねたものを糖蜜にひたしてオーブンで焼き上げたものです。
アジャラ風バクラヴァ最大の特徴は、使用されるくるみの量が少なくあくまでもパイ生地がメインである点と、一個のサイズが巨大であること。
パイ生地に染み込んだ糖蜜は、手に持つと滴り落ちてくるほどにたっぷり。
生地の上部はサクサクで、糖蜜に浸された下部はしっとりとした食感で、くるみのカリカリ感がアクセントとなっています。
トルコのバクラヴァに比べると見た目はやや地味ではありますが、味は負けません。
紅茶やコーヒーとの相性も抜群に良いです。
・Koklozina Adjarian Sweets (バトゥミ)
・値段:1個1.5GEL(=¥75)
㉕ブルメ
オスマン帝国を感じるもうひとつのスイーツが、ブルメ(Burme / ბურმე)。
クッキーのような硬い小麦粉生地を棒状に成形し、中にくるみを詰めて糖蜜に漬けたもの。
「バクラヴァのクッキーバージョン」という表現がしっくりくるかもしれません。
ほくほくした食感の生地に糖蜜の甘さが合わさり、それはもう絶品。
アジャラ地方に根付く焼き菓子文化の真髄が感じられます。
・Koklozina Adjarian Sweets (バトゥミ)
・値段:1個1.5GEL(=¥75)
㉖シャカルラマ
中東のスイーツの流れを汲んだシャカルラマ(Shakarlama / შაქარლამა)にも挑戦したいもの。
「砂糖のクッキー」の意味の名を持つスイーツで、砂糖と卵白、少量の小麦粉を固めて焼いたものです。
味はさておき、シャカルラマの特徴はその独特の食感。
一口かじると、それまで形を成していたクッキーがまるで砂のようにサラサラっと崩れ、口の中で溶けていくのです。
甘さは控えめで、素朴な風味も◎
他にはない独特食感、ぜひとも味わってみてください!
・Koklozina Adjarian Sweets (バトゥミ)
・値段:1個1.2GEL(=¥60)
おわりに
およそ1ヶ月半の滞在で食したアジャラ地方の名物料理を一挙紹介しました。
ジョージアの中でも独自の食文化が根づく地方だけに、料理のバリエーションはとても豊か。
食べても食べても新たな名物料理が登場するので、グルメ派の旅行者にとってはこれ以上なく楽しめるエリアだと思います。
アジャラ地方のグルメはこれでほぼ制覇したはずですが、もしかしたらまだ未知なる郷土料理が存在するかもしれません。(また何か発見したときは追記します!)
もし記事内のグルメを全制覇したという人がいましたら、きっとのぶよと気が合うはず。
ぜひとも仲良くなりましょう(笑)
[adjaria-more]
コメント
はじめまして。
どの料理もびっくりする位、美味しそうですね。
教えて下さって有難う御座います。
キンズマリソースが白いのはヨーグルトベースだからでしょうか、それとも卵黄とお酢でマヨネーズっぽいのでしょうか。
気になるところです