こんにちは!ジョージア北西部のスヴァネティ地方を3回訪問した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
スヴァネティ地方と言えば、コーカサスの山々を望む小さな村々の風景が有名。
多くの観光客がトレッキングや乗馬体験、伝統的な村の散策などを目的に訪れる、ジョージア旅行のハイライトとされるエリアです。
観光面も素晴らしいスヴァネティ地方ですが、忘れてはいけないのが、この地域でしか食べられない名物グルメの数々。
地理的に孤立していて、ジョージアの他地域とは異なる歴史を辿ってきたスヴァネティ地方では、独自の食文化が現在にまで根付いているのです。

「ジョージアという小さな国で、そこまで食文化に違いなんてないのでは?」と思っている人へ…ぜひ一度スヴァネティ地方に実際に足を運んでみてください。
ジョージアの一般的な食事とは大きく異なる、ヘビーでスパイシーな郷土料理の数々にきっと驚くはずですから。


また、ジョージア各地で食べられるハチャプリ(チーズが入ったパンの総称/地域によってバリエーションは様々)が変化したような料理も多いので、ハチャプリ好きならきっと満足できるはずです!(逆にハチャプリ苦手な人にとってスヴァネティは修行そのもの)
そんなわけで今回特集するのは、日本人にはあまり知られていないスヴァネティ地方の郷土料理や名物グルメ。
伝統的な定番料理からB級感ただようローカルグルメまで、合計15種類を紹介しています。
「せっかくはるばるスヴァネティまで行ったのに食べ忘れてた…」とならないように、旅行前に予習しておきましょう!
- スヴァネティ地方の食文化の3つの特徴
- スヴァネティ地方名物グルメ①:ただの肉汁おばけ!【クブダリ】
- スヴァネティ地方名物グルメ②:のびればのびるほど◎【タシュムジャアブ】
- スヴァネティ地方名物グルメ③:中にとろーりチーズが!【チシュドヴァアル】
- スヴァネティ地方名物グルメ④:ミルキーなハチャプリ!【フェトヴラアル】
- スヴァネティ地方名物グルメ⑤:ポテトとチーズの黄金コンビ!【カルトプラアル】
- スヴァネティ地方名物グルメ⑥:インパクト抜群!【川マスのクブダリ】
- スヴァネティ地方名物グルメ⑦:窯焼き&エキゾチックな風味!【スヴァネティ風ロビアニ】
- スヴァネティ地方名物グルメ⑧:牛肉文化の結晶!【牛肉のムツヴァディ】
- スヴァネティ地方名物グルメ⑨:スヴァネティの家庭の味!【シュシャ】
- スヴァネティ地方の名物料理⑩:山の貴重なビタミン源!【メルヘリ】
- スヴァネティ地方名物グルメ⑪:安定の美味しさ!【じゃがいものクリームスープ】
- スヴァネティ地方名物グルメ⑫:体の芯から温まるスタミナスープ!【ルツペク】
- スヴァネティ地方名物グルメ⑬:感動の旨味!【キノコのクブダリ】
- スヴァネティ地方名物グルメ⑭:スバイシーなマッシュド豆!【ゲルギル】
- スヴァネティ地方名物グルメ⑮:和を感じる絶品スイーツ!【ツァンディリ】
- おわりに
スヴァネティ地方の食文化の3つの特徴
スヴァネティ地方は、近代に至るまでジョージアの統治を受けてこなかった地域。
深い山々で平野部と隔絶されているという地理的条件もあり、ジョージアの他エリアとは大きく異なる食文化が根付いています。
まずは、スヴァネティ地方の料理がどういったものなのかを知るために、スヴァネティ地方の食文化の特徴を知っていきましょう。
①徹底的な小麦粉&乳製品文化

スヴァネティ地方の食文化を語る上でまず最初に知っておくべきことは、ありとあらゆる料理において小麦粉と乳製品が多用されること。
スヴァネティ料理は基本的に、小麦粉(もしくはトウモロコシ粉)の生地+チーズがベースとなっており、そこに麻の実やじゃがいもを加えたり、バターを足したりすることでバリエーションを出します。
つまり、大袈裟でなく「何を食べても小麦粉とチーズ」というわけ。
日本とはあまりに食文化が違いすぎて、戸惑う旅行者もきっと多いと思います。

スヴァネティ地方は長らく下界とのアクセスがとても不便だったこともあり、高地では育たない野菜や果物は貴重品。
現在でこそジョージア他地域のようにトマトときゅうりのサラダなども食べられますが、そもそもスヴァネティの郷土料理には野菜をメインに使用するものは存在しないのです。
②携帯食文化の乏しさ&できたて熱々信仰

スヴァネティ地方は、コーカサスの山々に囲まれた山岳地域に広がるエリア。
「コーカサス山岳地域の料理」と聞くと、羊飼いや牛飼いたちの間で代々伝えられてきた「遊牧民風の携帯食」を想像する人も多いのではないでしょうか。
実際、ジョージア東部のコーカサス地域であるトゥシェティ地方の郷土料理は、羊飼いたちの携帯食文化の影響が強く見られるもの。
持ち運びしやすく、日持ちし、そのままの冷たい状態で食べられる料理が目立ちます。▼


では、同じくコーカサス山岳地域に広がるスヴァネティ地方ではどうなのかと言うと、携帯食文化はほとんど存在しません。
スヴァネティ地方ではそもそも羊を放牧するという文化がなく、人々は移動しながら生活するのではなく、自分の生まれ育った村で家畜とともに定住する生活スタイルが古くから営まれてきました。
そのため、スヴァネティ地方の郷土料理は保存食という性格こそあれど、どれも火を通して温かい状態で食べるものばかり。
チーズを溶かしてパンにつけて食べるものや、じゃがいもとチーズを混ぜて液体状の食感を楽しむものなど、火がある場所で時間をかけて調理されるものが多いです。

同じような気象条件・地理的条件であるコーカサス地域でも、人々のライフスタイルの違いによって食文化に大きな違いが出るというのは、なかなかに興味深い点。
ジョージア東部の山岳地域では定番料理であるヒンカリ(=携帯食にもなる)がスヴァネティ地方ではほとんど食されないという点も、スヴァネティ地方の定住文化を象徴しているように思えます。
③味つけはとにかく全てスヴァネティ塩

スヴァネティ地方の人々が誇る名産の調味料が、スヴァネティ塩(Svanetian salt / სვანური მარილი)。
ただの塩ではなく、岩塩に各種ハーブやスパイス、ニンニクを独自に調合した「味付け塩」といった感じで、かつてはスヴァネティ地方でのみ生産されていました。
各家庭によってハーブの種類や調合が異なるため、一つとして同じ味のスヴァネティ塩は存在しないのがポイント。
大きく分けて、赤い色をしたものと黄色がかったものの二種類が存在し、赤い色のスヴァネティ・ソルトはややスパイシーです。

スヴァネティ地方では、とにかくありとあらゆる料理の味つけにこのスヴァネティ塩が使用されるのが特徴的。
スープや煮込み料理、肉の下味をつける際はもちろん、パンにかけたりチーズにまぶしたり…と万能調味料のような扱いです。
スヴァネティ塩の味を一言で表すなら「華やか」。
ニンニクとクミンの風味が強く感じられつつも、その他独自のハーブやスパイスの複合的な風味が追いかけてくるような感じで、素材の風味をぐっと引き立ててくれます。

現在ではジョージア全国でポピュラーになったスヴァネティ塩は、どこのスーパーでも普通に売られていますが、やはり本場スヴァネティ地方の手作りのものが一番。
スヴァネティ地方各村のお土産屋や露店、ゲストハウスなどで小分けした状態で売られていることも多いので、お土産にもぴったりだと思います!
スヴァネティ地方名物グルメ①:ただの肉汁おばけ!【クブダリ】

「スヴァネティ地方と言えばクブダリ。クブダリと言えばスヴァネティ地方。」
と断言できるほどの超名物グルメがジョージア語 クブダリ(Kubdari / კუბდარი)です。
【 スヴァン語クブダァル(Kubdaar / კუბდაარ)】
小麦粉で作られた薄い生地に、スパイスやニンニクで味付けした牛肉と玉ねぎを挟んだもので、「ステーキパイ」といった感じです。


クブダリの発祥はスヴァネティ地方なのですが、現在ではジョージア全土で食されるようになりました。
しかしながら、やはり本場のクブダリは最強…!
生地はかなり薄めでサクッとした食感で、寒い地域らしく中の具の味付けもしっかり目。
そして驚くべきが、具からじゅわ~りと染み出す肉汁です。▼

見てください、この肉汁おばけ具合。
じっくり炒めた玉ねぎと牛肉の旨味がたっぷりの肉汁…
手を汚さずに食べるのはまず不可能ですが、こんなの美味しくないわけがありません。

また、「クブダリ」とひとことで言っても、地域ごとにバリエーションが存在するのも面白い点。
スヴァネティ地方最東部に位置するウシュグリでは、牛ではなく豚肉を使ったクブダリもポピュラーです。▼

牛肉にせよ豚肉にせよ、焼きたてが最強なのは言うまでもなし。
クブダリを食さずにスヴァネティ地方を去ることなど許されません!
スヴァネティ地方名物グルメ②:のびればのびるほど◎【タシュムジャアブ】

熱々のマッシュドポテトに地元産のチーズを溶かして豪快に混ぜ合わせたスヴァン語タシュムジャアブ(Tashm’jaab / თაშ’მ’ჯააბ)も絶対に外せないスヴァネティ名物の一つ。
【ジョージア語タシュミジャビ(Tashmijabi / თაშმიჯაბი)】
じゃがいもとチーズなんて黄金の組み合わせでしかないのですが、タシュムジャアブの凄い点はとにかくのび~ることです。

通常のチーズ入りマッシュドポテトに比べて、かなり大量のチーズが溶け込んでいるタシュムジャアブ。
現地では「のびればのびるほど良い」とされており、トルコアイスと同じ哲学に基づいています(笑)
食感はかなり濃厚でネットリした感じ。
味付けも良い感じに濃い目なので、ワインにも合いそうです。
ジョージア他地域ではまず見かけない一品なので、スヴァネティ地方に来たなら一度は挑戦してみましょう!
本来のタシュムジャアブ
現在スヴァネティ地方全体で食されるタシュムジャアブは、じゃがいもとチーズ半々くらいの割合のものがほとんどです。
しかし、スヴァネティ地方の本来のタシュムジャアブにはじゃがいもは入らないそう。
現在でもスヴァネティ西部のレンジェリやエツェリなどの村では「タシュムジャアブ=溶かしたチーズのみ」というオリジナルのレシピが基本となっています。

どうしてタシュムジャアブにじゃがいもを入れるようになったのかについては諸説あるもの。
メスティアのレストランで、別の郷土料理である「シュシャ」と混同されたものが提供されて広まった結果、オリジナルのチーズのみのタシュムジャアブではなく、じゃがいも入りがポピュラーになってしまったという話が有力です。
スヴァネティの地元の人でも、シュシャとタシュムジャアブをごっちゃにしている人は少なくありません。
スヴァネティ地方名物グルメ③:中にとろーりチーズが!【チシュドヴァアル】

スープ系の料理のお供にぴったりなのが、トウモロコシ粉を使った生地を揚げたスヴァン語チシュドヴァアル(Chishdvaar / ჭიშდვაარ)。
【 ジョージア語 チュヴィシュタリ(Chvishtari / ჭვიშტარი)】
ジョージア全土でポピュラーなムチャディ(Mchadi)というトウモロコシ粉生地のパンと見た目は同じですが、一口かじると中からチーズがとろけだすのが最大の違いです。
(ムチャディはただトウモロコシ粉の生地を揚げただけ)

おやつ感覚でも、煮込み料理のお供にも食べられる万能グルメですが、作り置きのものはチーズが固まってしまっていることも。
とろけるチーズこそがチシュドヴァアル最大の魅力なので、一度はレストランで出来立てを食べることをおすすめします!
スヴァネティ地方名物グルメ④:ミルキーなハチャプリ!【フェトヴラアル】

ジョージアの国民食・ハチャプリ(チーズパン)好きにぜひおすすめしたいのが、スヴァネティ地方伝統のハチャプリであるスヴァン語 フェトヴラアル(Fetvraal / ფეტვრაალ)。
【 ジョージア語 フェトヴィアニ・ハチャプリ(Fetviani Khachapuri / ფეტვიანი ხაჭაპური)】
見た目はよくある円形のハチャプリですが、中のチーズは固体というよりも液体でとってもミルキーなのがポイント。
トウモロコシ粉や麻の実がチーズに混ぜられているのも特徴的です。

零れ落ちんばかりのミルキーなチーズはかなりあっさりとした味付けで、濃い味&重たい料理が多いスヴァネティ地方のグルメの中では異色の存在。
たっぷりと入った麻の実の香ばしさも良いアクセントとなっています。

フェトヴラアルが最も美味しく食べられるのはもちろん焼き立てですが、一般的なハチャプリに比べて、冷めても結構美味しく食べられるのが嬉しい点。
冷めた状態でも麻の実の香ばしさがしっかりと感じられ、風味の豊かさを補ってくれるのです。
スヴァネティ地方名物グルメ⑤:ポテトとチーズの黄金コンビ!【カルトプラアル】

スヴァネティ地方の食文化の象徴である「小麦粉・チーズ・じゃがいも」が全て使われたスヴァン語 カルトプラアル(Kartoplaar / კარტოფლაარ)は、大人も子供も大好きなスヴァネティの家庭の味。
【ジョージア語 カルトピリアニ・ハチャプリ(Kartopiliani Khachapuri / კარტოფილიანი ხაჭაპური)】
チーズを溶かし込んだマッシュドポテトを薄めの生地に挟んで焼き上げたシンプルな料理ですが、これがとても美味しいのです。


家庭によってレシピは多少変わるそうですが、かなりたっぷりと具を入れるのが特徴的。
例のごとく味付けは濃い目でボリュームもたっぷりなので、数切れ食べるだけでお腹いっぱいになります。
スヴァネティ地方名物グルメ⑥:インパクト抜群!【川マスのクブダリ】

すでに紹介した、スヴァネティ地方の定番グルメ・クブダリ。
その進化形のようなグルメが、川マスのクブダリ(Trout Kubdari / კალმახის კუბდარი)です。
通常のクブダリは小麦粉生地の中に牛肉のステーキがゴロゴロ入っていますが、川マスのクブダリはその名の通り、牛肉の代わりに「カルマヒ」と呼ばれる川マスが入っています。
注文すると、きっと驚くはず。もはや生地から魚の形という直球勝負なのですから…
川マスは特にスライスされたりほぐした身であるわけではなく、あくまでも丸ごと一尾。
そのインパクトはものすごいものがあります…


見た目では度肝を抜かれますが、その味は間違いなしの美味しさ。
ほわっほわの川マスの身は淡白で上品な味わい。レモンとスヴァネティ塩で味がつけられており、さっぱり&エキゾチックな風味が楽しめます。
手作りの生地のふわふわ感も素晴らしく、魚から出た脂が染み込んで極上の味わいに…
川マスのクブダリは、スヴァネティ地方の中でもマゼリという村でしか食べることができない、激レアのご当地グルメ。
なかなかマゼリまで足をのばす旅行者も多くはないでしょうが、機会があればぜひお忘れなく!
スヴァネティ地方名物グルメ⑦:窯焼き&エキゾチックな風味!【スヴァネティ風ロビアニ】

ジョージア全国的にポピュラーな軽食といえば、ロビアニ(Lobiani / ლობიანი)。
豆をすりつぶしたペーストを挟み、オーブンで焼き上げたパンのことで、円形か四角形であることが普通です。
スヴァネティ地方最奥部のウシュグリには、村で唯一のパン屋があり、そこで作られているロビアニがかなり独特でした。
一見すると、短剣を思わせる細長い形をしたジョージアの窯焼きパン「ショティ」のよう。
しかし、中にはちゃんと豆のペーストが入っており、立派なロビアニなのです。

窯焼きの細長い形をしたロビアニ、というだけでかなり珍しいのですが、極めつけは中の豆ペーストの味つけにスヴァネティ塩が使用されていること。
ニンニクやスパイスの香りが芳醇で、奥深い味わいが楽しめる絶品です。
ジョージアの他エリアではまず食べられないスヴァネティ風ロビアニ。
ウシュグリ村観光のおともに、ぜひ購入してみてください!
スヴァネティ地方名物グルメ⑧:牛肉文化の結晶!【牛肉のムツヴァディ】

ジョージア他地域に比べ、スヴァネティ地方では牛肉をよく食すのが特徴的。
そんなスヴァネティならではの牛肉文化の象徴が、牛肉のムツヴァディ(Sakonlis mtsvadi / საქონლის მცვადი)です。
ムツヴァディ=肉を串刺しにして炭火焼きにするBBQの総称。
ジョージアでは一般的に、ムツヴァディの肉と言えば豚か鶏がメインで、地域によっては羊を使用する場合もあるのですが、なぜか牛肉を使用することはほとんどありません。
ジョージアでは「牛肉=煮込んで食べるもの」という感覚がものすごく強いのですが、スヴァネティ地方では、牛肉を炭火やオーブンで焼いたものが比較的ポピュラーです。

牛肉のムツヴァディは、肉の柔らかさやジューシーさではやはり豚肉には叶いません。
しかし、臭み消しに使用されるハーブやスパイスの風味が独特で、一度は挑戦してみる価値があります。
スヴァネティ地方名物グルメ⑨:スヴァネティの家庭の味!【シュシャ】

スヴァネティ地方の中でも西部エリアの家庭で親しまれているのがシュシャ(Shusha / შუშა)。
茹でたじゃがいもをマッシュポテト状に潰してチーズを溶かしこんだもので、サイドメニューとしてよく食されます。
すでに紹介したタシュムジャアブと似ていますが、シュシャはチーズ感よりも芋感がメイン。
ねっとり質感こそあれど、タシュムジャアブのようにのび~る質感ではありません。

シュシャの味つけは家庭によって多少異なるものの、基本的にバターを少し加えるくらいのシンプルなもの。
スヴァネティ塩をかけて食べるのも定番です。
スヴァネティ地方の名物料理⑩:山の貴重なビタミン源!【メルヘリ】

野菜や果物が育ちにくいスヴァネティ地方における貴重なビタミン源となる食材といえば、メルヘリ(Merkheli / მერხელი)。
コーカサスの山々に自生するイラクサの一種を指す山菜で、春から夏にかけて採取されて多くの料理に使われます。
メルヘリを使用する代表的な料理が、サッと茹でたメルヘリを生玉ねぎやニンニクと和えたおひたし。
他にもスープにしたり、ハチャプリの具に入れて「メルフラアル」という主食にしたりと、春から夏のスヴァネティの家庭で大活躍します。
スヴァネティ地方名物グルメ⑪:安定の美味しさ!【じゃがいものクリームスープ】

じゃがいもと乳製品を多用するスヴァネティらしい一品が、じゃがいものクリームスープ(Kartopilis krem supi / კარტოფილის კრემ სუპი)。
ネーミングそのままに、じゃがいもと牛乳、バターをクリームスープにしたものです。
一見すると、ジョージアのどこでも手に入る食材のみを使用しているため、どこでも食べられそうな定番料理に思えます。
しかし実際は、ジョージア他地域でじゃがいもをクリームスープにすることはあまりなく、なかなか出会うことのできない料理だと言えます。

じゃがいものクリームスープのお味は、おそらくみなさんが想像している通りのもの。
じゃがいもの風味とバターの芳醇さが感じられる安定の美味しさで、味付けに使用されるスヴァネティ塩の風味がエキゾチックさを感じさせてくれます。
スヴァネティ地方名物グルメ⑫:体の芯から温まるスタミナスープ!【ルツペク】

スヴァネティ地方の冬の定番料理であり、栄養満点で体温まるスープがルツペク(Ltspek / ლცფექ)。
大麦とニンニクを細かく砕いたものにお湯を加えて煮込んだ「麦のスープ」といった料理です。
独特のとろ~りたした舌触りと大麦本来の風味、たっぷりと入ったニンニクのガツンと来る味わいが特徴的で、結構クセになるかも。
スヴァネティ塩や赤唐辛子で味付けされた少しスパイシーな味も、厳しい冬を乗り越えるためのエネルギーを与えてくれます。

ルツペクは、「風邪をひいたときにはこれ!」という位置づけの料理でもあり、例えるなら日本の生姜たっぷりのお粥のよう。
スヴァネティ滞在中にエネルギーチャージしたいなら、ぜひとも挑戦してみましょう。
スヴァネティ地方名物グルメ⑬:感動の旨味!【キノコのクブダリ】

スヴァネティ地方に来たなら何がなんでも味わってほしい料理の一つが、キノコのクブダリ(Mushroom Kubdari / სოკოს კუბდარი)。
クブダリとはすでに紹介した牛肉ステーキパイのことですが、その肉の代わりに各種きのこをたっぷりと挟んで焼いたものです。

普通のクブダリの肉汁も素晴らしいのですが、キノコのクブダリのキノコ汁の旨味はもはや異次元。
ハーブやスパイスで味つけされた具のキノコはややスパイシーで、ふわふわサクサクの小麦粉生地の風味を引き立ててくれます。
スヴァネティ地方名物グルメ⑭:スバイシーなマッシュド豆!【ゲルギル】

珍しいスヴァネティ地方の郷土料理に挑戦したい人には、ゲルギル(Ghergil / ღერღილ)がおすすめ。
豆とじゃがいもをお湯で茹でてねっとりとした質感になるまで潰し、ハーブやスパイスをたっぷり加えて和えたものです。
味つけはかなりスパイシーで、舌先にピリリと残るスパイスの複合的な風味が特徴的。
その後に豆本来の風味が追いかけてくるような感じで、他にはない独特の味わいです。


ゲルギルは、野菜の漬け物やムチャディ(とうもろこし粉のパン)とセットで食べるのが定番だそう。
また、スヴァネティ地方ではお葬式の際に振る舞われる料理の一つとしても知られており、レストランのメニューにあることはかなり珍しいです。
スヴァネティ地方名物グルメ⑮:和を感じる絶品スイーツ!【ツァンディリ】

スヴァネティ地方の郷土料理特集のラストを飾るのは、のぶよが心からおすすめしたいスイーツ。
その名も、ツァンディリ(Tsandili / წანდილი)です。
ツァンディリとは、大麦を牛乳で炊いたものに蜂蜜をたっぷりと混ぜ、くるみや干しブドウを加えて、仕上げにベリー類のジャムをかけたもの。
各素材が持つ独特な食感と風味が蜂蜜の甘さにふんわりと包まれ、素朴な甘さがとても美味しいです。


ツァンディリは基本的に温かい状態で食されるのも面白い点。
お店で提供されるものにはアイスがのっていたりしますが(このアイスのせがめっちゃ美味しい)、家庭で食べられるものはアイスなしのシンプルなものが基本だと思います。
ツァンディリのなんとも言えない和の味わいは、緑茶が欲しくなること必須。
日本でも上手くやれば流行りそうな気もしないでもないのですが…どうでしょうか(無理か)。

ジョージア他エリアではまず食べることができない、スヴァネティの山の食文化が生んだ極上スイーツ。
これ一つでも結構ボリュームがあるので、おやつにはぴったりです。
おわりに

スヴァネティ地方を訪れたら絶対に挑戦したい名物グルメをどどんと紹介しました。
飾り気こそなく、シンプルな原料を使ったものばかりですが、それもまたスヴァネティ地方の歴史や文化の結晶。
その土地でしか味わえない料理を食しながら、その食文化が形成されるまでの背景に思いを馳せるのも、なかなかオツなものです。
トビリシなどジョージア他エリアではスヴァネティ料理を提供するレストランはほとんどないため、本場の伝統の味を食べるならやはり現地が一番!
独特な歴史と文化を誇るスヴァネティ地方の旅が、よりいっそう思い出深いものとなるはずです。




















































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