こんにちは!トルコ中央部をのんびりと旅行している、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
アナトリア半島の南西部地域は、「トルコの湖水地方」と呼ばれる風光明媚な風景が見られるエリア。
大小様々な湖が点在しており、まだ観光地化されていない穴場としてトルコ人の間ではとてもポピュラーです。
そんなトルコの湖水地方で、滞在してとにかく良かった!と感じたのがエイルディル(Eğirdir)という町。
エイルディル湖のほとりにある小さな町で、釣りやカヤッキングなど湖ならではのアクティビティ目的のトルコ人の間ではひそかに有名だそう。
しかしのぶよがエイルディルを推したい理由は、そこではありません。
観光地化が著しいトルコでは、無計画な開発によって本来の素朴な雰囲気が失われつつある場所が数多くあります。(カッパドキア、カッパドキア、カッパドキア…)
そんな中で、今回紹介するエイルディルは観光地化の波とは無縁の世界。
日本人はおろか、外国人すら来ないような小さな町ですが、のぶよ的にはこれまで訪れたトルコの町の中で3本の指に入るほど良かった場所です。
特に有名な観光スポットがあるわけでもなく、ブルーが美しい湖のほとりの町にあるのは、トルコの田舎町らしい飾らないスローな雰囲気だけ。
この町の不思議な魅力にもっと多くの人が気づいてくれることを願いながら、「エイルディルを推したい10の理由」を解説していきます!
エイルディルを推したい10の理由
エイルディル観光マップ
紫:おすすめ宿
赤:おすすめレストラン
青:見どころ
①絶景カフェがあるから
エイルディルを訪れた旅行者がまず驚くのが、この町の不思議な地形。
エイルディル湖の南側に位置する町は、細長い半島のような形で湖に突き出しているのです。
半島の付け根部分がエイルディルの中心街で、その背後には切り立った山がそびえ立ちます。
そう。エイルディルは三方を湖に、背後を山に囲まれた天然の要塞のような町なのです。
この不思議な地形の町の全体を眺めるなら、中心街から南へ坂を上った先にあるカフェに足をのばしましょう ▼
湖に突き出た半島に可愛らしい家々が点在する風景は、もうポストカードそのもの。
ターコイズブルーのエイルディル湖とのコントラストがとても美しいです。
カフェは通年営業しており、チャイ(紅茶)が3TL(=¥57)でいただけます。
通常価格よりややお高めですが、この抜群のロケーションを目の前にすると文句は出てきません。
この絶景カフェからの眺めは北向きで太陽を背にする形になるので、一日中美しい眺めが見られるのもポイント。
とにかく感動の絶景に、ため息しか出てきませんでした。
②湖の美しい風景がどこでも見られるから
エイルディルの町と湖の絶景を堪能したなら、実際に半島の一番先まで歩いてみましょう。
中心街から半島の先端までは2kmほどの距離。のんびりと散策しても30分~40分程度です。
湖沿いをまっすぐ歩いていくと、右にも左にも美しいエイルディル湖の風景が見られます ▼
神秘的なターコイズブルーの湖面が印象的なエイルディル湖ですが、他にも不思議な風景に出会うことができます ▼
湖なのに湖面が波立っていたり、大量の水鳥が何かの模様を描くように泳いでいたり(エイルディルの半島の形に見える不思議)と、何だかミステリアスな雰囲気。
観光客の姿はゼロ。この雄大な景色を独り占めすることができます!
③セルジューク朝時代の建物が残っているから
エイルディルの見どころは、美しい湖だけにとどまりません。
先述の通り、エイルディルは天然の要塞のような独特な地形の町で、防衛拠点として古くから注目されてきました。
その歴史は、紀元前1200年のヒッタイト帝国の時代にまで遡るのだとか。
その後はペルシア帝国、マケドニア帝国、ローマ帝国…と支配者が替わり、13世紀初頭に中央アジアからこの地にやってきたセルジューク朝の支配下に入りました。
セルジューク朝時代の建物はアナトリア半島中央部で多く残っており、ここエイルディルにも二つ現存しています。
フズル・ベイ・ジャーミィ
1237年にセルジューク朝によって倉庫として建設されたこちらの建物。
1308年にフズル・ベイ・ジャーミィ(Hızır Bey Camii)というモスクに改装されました。
セルジューク朝の建築様式がそのまま残るモスクの入口も圧巻ですが、付属のミナレット(尖塔)も素晴らしい保存状態で残っています ▼
もともと倉庫だったためか、モスクの内部は奥行き・高さがあってかなり広めに感じます。
▲ 外側の壁は、建設時に既にあった城壁の一部をそのまま使ったものだそうです。
デュンダルベイ・マドラサ
フズル・ベイ・ジャーミィと小さな広場を挟んで対になって建つのがデュンダル・ベイ・マドラサ(Dündar Bey Medresesi)。
もともとは遊牧民族であったセルジューク朝時代のキャラバンサライ(隊商宿)だった建物。
のちにマドラサ(イスラム教の学院)に改装され、現在では町の人々がお喋りに訪れる憩いの場となっています。
デュンダルベイ・マドラサの入口の装飾は、「THE・セルジューク朝」といった精巧なもの。
700年以上前の技術に感心させられます。
④城塞からの風景が楽しめるから
中心街から半島方面へと進んでいくと必ず通ることとなるのが、エイルディル城塞(Eğirdir Kalesi)。
紀元前5世紀ごろに起源を持つとされている歴史ある城塞なのですが、半分廃墟となっている様子。
もちろん自由に登ることができます。
先述した絶景カフェからの眺めには遠く及ばないものの、「カレ(Kale)」と呼ばれる半島上に位置する地区の町並みとエイルディル湖をより近くに眺めることができます。
⑤本来のトルコの田舎町の雰囲気にあふれているから
「トルコの地方部」と聞いて、色とりどりの絨毯や可愛らしい雑貨を売る小さなお店が並ぶ路地や、小奇麗なオスマン帝国調の家々などをイメージした人…完全にカッパドキアやサフランボルに毒されています(笑)
本来の「トルコの田舎町」では、絨毯なんてまず売っていませんし、可愛い雑貨よりも日用品が欲されているもの。
オスマン帝国時代の家なんて、修復するお金のない地方部ではすでに倒壊してしまっている場合がほとんどです。
その点、エイルディルに漂う雰囲気は「トルコの田舎町」そのもの。
特別町並みが美しいわけでもなく、石畳が整備されているわけでもありません。
民家のベランダではためく洗濯物や、土煙にまみれたトラクター、今にも崩れそうな木造の家などが目に入ります。
トルコの都市部のような喧騒とは完全に無縁なものの、こじんまりとした中心街には住民生活に必要な施設が一通り揃っている「村以上、都市以下」という絶妙な大きさの町、それがエイルディル。
観光地化された町や村ばかりが目立つトルコでは、こうした「普通の町」には案外行きにくいものなのです。
町全体を通して英語の通用度は壊滅的ですが、それこそが旅の醍醐味。
本当のトルコの地方部らしさが感じられるのは、エイルディルの大きな魅力の一つだと言えるでしょう。
⑥絶品のケバブが格安で食べられるから
トルコの国民食と言えば、ケバブ。
日本人的には、「ケバブ=削り落とした肉をパンなどで包んだもの」というイメージが強いですが、それはドネル(Döner )というケバブの一つの種類に過ぎません。
トルコでは「ケバブ=肉を焼いたもの」の意味で、あらゆる種類・形のケバブが存在します。
エイルディルでのぶよが出会ったケバブは、シシュ・キョフテ(Şiş Köfte)という種類のもの。
「シシュ=串」「キョフテ=肉団子」の意味で、棒状に固めた牛ひき肉を串に刺して焼いたものを指します。
トルコ全国で見られるシシュ・キョフテですが、エイルディルの“Hacı Alaaddin Pide Kebap”というお店で食べたものはとにかく絶品でした ▼
地元の人が集まる食堂といった雰囲気で、完全なる家族経営のお店。
紙に書かれたメニューはなく、ショーケースに並べられた大量の肉から好きなものを選んで、その場で焼いてくれるというトルコではごく一般的なスタイルです。
このお店が素晴らしいのは、メインディッシュを注文すると、メゼ(前菜)とサイドメニュー(ピラフ、グリル野菜、ピタパン)が全てついてくる点。
これとケバブで20TL(=¥373)は衝撃のコストパフォーマンス…
イスタンブールではまずあり得ません。
シシュ・キョフテ以外にも、鶏肉やソーセージ、専用の窯で焼くピデ(トルコ風ピザ)もあり、どれもかなり美味しそうでした。おすすめ!
⑦宿のクオリティーが高いから
エイルディルの観光自体は半日もあれば十分で、他の町との移動のついでに立ち寄ることも十分可能です。
しかしながら、のぶよ的には絶対に一泊はしていくのがおすすめ。
町全体のスローな雰囲気が感じられるのはもちろん、エイルディルは宿のクオリティーが総じて高く、もれなくレイクビューである点もその理由。
(そもそもエイルディルは細長い半島に位置しているため、どの建物からでも湖を望むことができるのですが。)
のぶよが宿泊したのは、”Lale Pansion“という宿。
エイルディルで唯一ドミトリーがある宿ということで予約しました ▼
【この宿を見てみる!】
宿に到着してびっくりしたのが、他に宿泊客が誰も居なかったこと。
いくらシーズンオフの12月の田舎町だからと言って、そんなことがあり得るのでしょうか…
1泊1000円ほどのドミトリーの予約だったものの、誰もいないためかグレードアップしてくれました。
バス・トイレ付のダブルルーム!!
この部屋がとにかく最高でした。
朝日とともに目を覚ますと、青々とした湖の絶景が広がっているのです。
お湯の出も良く、エアコン付き、wi-fiも完璧と言うことなしです。
希望すれば、同オーナー経営の別の宿(徒歩30秒)で朝食や夕食をつけることも可能です。
湖でとれた魚料理や肉料理など好きなものを選べて20TL~35TL(=¥373~653)とお値段もリーズナブル。
例にもれず英語は壊滅的に通じないものの、家族経営の良い感じの雰囲気でした。
ここの前に泊まったコンヤの宿が史上最悪だったこともあって、かなり寛げたエイルディルの滞在。
結局延泊して3日間ものんびりと過ごしました(笑)
【エイルディルの宿の予約はこちらから!】
⑧トルコの他都市から簡単にアクセスできるから
エイルディルは観光客もあまり来ないような町ですが、他都市からのアクセスは意外と悪くないのです。
空港こそないものの、イスタンブール、アンカラ、イズミルなどの大都市から直行バス(といっても、各都市間を結ぶバスが経由する形)が走っており、乗り換えなしでアクセスすることができます。
それに加えて、カッパドキアやパムッカレなどのトルコ旅行の定番観光スポットとなっている地域からも直行バスが出ているので、とても簡単にアクセス可能です。
⑨人々がとても温かいから
エイルディルを訪れた旅行者の印象に残るのが、地元の人々の温かさではないでしょうか。
目が合うと微笑んでくれたり、挨拶してくれるのはもちろんのこと。
小さな町で外国人も珍しいので、一回行った店やレストランではまず顔を覚えられます。
そしてとにかくトルコ語で話しかけられます。(何度も言いますが、年齢問わず英語は全く通じません)
トルコの観光地化された場所では、向こうから話しかけてくる人はまず何かしら下心があることも多いのですが、エイルディルに関してはそんな心配は全く必要ありません。
なんと言っても、意思疎通ができませんから(笑)
これも対比となってしまうのですが、この前に滞在したコンヤは人々がかなり閉鎖的で冷たい印象があったためか(まじで史上最悪ホステルのじじいはくたばってほしい)、余計にエイルディルの人々の素朴な温かさを実感したような気がします。
⑩何もしなくて良いから
のぶよがエイルディルを推す10の理由。最後にして最大の理由が何もしなくて良いからです。
いざ旅行をするとなると、誰に言われたわけでもないのに「何かしていなければ気が済まない…」という焦燥感に駆られてしまうことはないでしょうか。
のぶよも元々はこのタイプで、「せっかくここまで来たんだから、ここにも行きたいしこれもしたいし…」などと頭でっかちになってしまいがちでした。
そんな旅行を「しなければいけない」という謎の焦燥感に駆られていた自分を見つめ直させてくれるのが、エイルディルの最大の魅力。
セルジューク朝時代の建物や城塞、展望台など、エイルディルの見どころと呼べそうなものを散々紹介してきましたが、結局のところ、エイルディルの町には大したのもは何もありません。
イスタンブールのようなホットなナイトライフも、アンタルヤのようなビーチリゾートも、カッパドキアのような洞窟住居も、パムッカレのような世界に誇る絶景も、エイルディルにはありません。
朝起きて湖を見て、湖沿いでランチを食べて、湖が赤く染まる夕日を見て…。
特に何かすることがあるわけではありません。
むしろこの「特に何もないけど癒される感じ」こそが、旅行中になかなか味わえないものなのです。
有名な観光地ばかり見てまわっていると、どことなく上辺だけをなぞっているような気分になるもの。
特に、各観光地間の距離が離れているトルコでは、スケジュールを詰め込みすぎて毎日移動ばかりしている修行僧のような旅人も多くいます。(イスタンブールからカッパドキアに日帰りなんて人にも会ったことがある)
有名な都市や観光スポットの中間に位置するエイルディル。
何もない町で何もせずに、一日や二日のんびりと過ごしてみるのも悪くないもの。
むしろ、その次の有名観光地をまわるためのエネルギーと感性をチャージするのには最適な場所だと思います!
おわりに
日本語での情報はほとんどなく、知名度もゼロのエイルディルですが、のぶよはこの小さな町がとにかく気に入りました。
この町を訪れてみたいと感じた人は、きっとのぶよと同じような感性を持っているはず。
ぜひ訪れて、その感想を聞かせてください(笑)
観光客向けに整備された場所とは全くの別世界で、できれば一泊して何もせずに過ごしてみるのがおすすめ。
きっと、トルコという国が持つ新しい一面に気づくことができるでしょう。
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