ウクライナ語とロシア語、全然違う問題について語りたい。

ウクライナ語とロシア語、全然違う問題について語りたい。

こんにちは!ウクライナに3週間滞在した、世界半周旅行者・のぶよです。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)

驚くほどに英語が通じない国、ウクライナ。

旅行をする際に、ウクライナ語の表現を知っておくと、役立つこと間違いありません。

ウクライナ語と聞くと、「キリル文字だし、ロシア語と同じようなものでしょ?」なんて思っている人も多いのでは?

ウクライナ語はロシア語と同じスラブ系の言語であり、確かにロシア語と文法や単語は似ています。

しかし、隣国のポーランド語やスロバキア語などの影響を受けて独自に発展してきたウクライナ語は、ロシア語とかなり異なる表現も多いんです。

ソ連時代には公用語であるロシア語の使用が強制されたこともあり、現代のウクライナ語は、本来のものよりもロシア語化しているといえるでしょう。

実は大学時代にロシア語を2年間学習したのぶよ。
ウクライナを旅行していると、自分が知っているロシア語の表現とは大きく異なるものを多く耳にしました。

今回の記事では、ロシア語と全く異なるウクライナ語の基本表現を9個紹介します。

どれもあいさつなどの基本的な表現で、実際にのぶよがウクライナ旅行中に耳にしたもの。
ウクライナ旅行で必ず役に立つものばかりです。

記事の後半では、実際に旅して感じたウクライナの言語状況(ウクライナ語、ロシア語のどちらがより使われているか)を都市別に解説します。

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ロシア語と全然違う!ウクライナ語の基本表現9個

1.こんにちは

ウクライナ語:”Добрий день”(ドーブルィ デン)

ロシア語:“Здравствуйте”(ズドラーストヴィチェ)

二つの言語で全く異なる「こんにちは」。
ウクライナ語の「ドーブルィ デン」は、チェコ語やスロバキア語とほとんど同じです。

挨拶をするときに「ズドラーストヴィチェ」と言われたら、それはロシア語です。ウクライナ語では絶対に使いません。

2.ありがとう

ウクライナ語:”дякую” (ヂャークユ)

ロシア語:”Спасибо” (スパシーバ)

こちらも全く違う「ありがとう」の表現。

ウクライナ語の「ヂャークユ」は、ポーランド語やチェコ語にとても近いです。

有名なロシア語の「スパシーバ」は、ウクライナ語では用いられません。

3.はい/いいえ

ウクライナ語:”Так/Ні” (ターク/ニー)

ロシア語:”Да/Нет” (ダー/ニェット)

ウクライナ語の「はい」は「ターク」。ポーランド語と同じです。

チェコ語を勉強されているというフォロワーさん情報では、チェコでも「ターク」が使われるそうですが、ニュアンスが少し異なるとのこと。

チェコ語では、「えっと…」とか「よし!」といった意味で使われるそうです。

4.さようなら

ウクライナ語:До побачення (ド ポバチェンニャ)

ロシア語:До свидания (ダ スヴィダーニャ)

こちらも全く異なる、「さようなら」の表現。

“До”の部分は同じですが、ウクライナ語とロシア語では発音が異なります。

アクセントが置かれない”о”は”a”のように発音されるロシア語に対して、ウクライナ語は基本的に母音をそのまま発音するそうです。

もしかしたら、ウクライナ語の方が発音は簡単かもしれませんね。

5.良い/OK

ウクライナ語:”Добре” (ドーブレ)

ロシア語:”Хорошо” (ハラーショ)

ロシア語を勉強したことがない人でもきっと知っている「ハラーショ!」。
「良い」とか「OK」という意味で使われますが、ウクライナ語では「ドーブレ!」になります。

こちらもポーランド語の「ドーブラ!」と似ています。

6.お願いします

ウクライナ語:”Будь ласка” (ブッヂ ラースカ)

ロシア語:”Пожалуйста” (パジャールウスタ)

知っているとかなり便利な表現である、「~をお願いします」「~をください」。
物の名前の後に付け加えるだけで会話が成立してしまう魔法のような表現です。

ウクライナ、特に西部のリヴィウでは、完全に「ブッヂ ラースカ」しか聞こえません。
逆に首都のキエフでは、「パジャールウスタ」が優勢のような気がします。

7.~はありますか?

ウクライナ語 “Чи є у вас 〇〇?” (チ エ ウ ヴァス~?)

ロシア語:”У вас есть 〇〇?” (ウ ヴァス イェースチ~?)

こちらも知っていると便利な旅行表現です。

“Do you have~?”すら通じないウクライナではかなり重宝します。(笑)

8.元気ですか?

ウクライナ語:”Як справи?” (ヤーク スプラーヴィ)

ロシア語:Как дела? (カク デェラー)

「ドーブリィ デン(こんにちは)」の後に続く表現も、ウクライナ語はロシア語と異なります。

ホステルなどのフレンドリーな環境では“Как такої?” (カク タコイ) というのもよく使われていました。

9.どうぞ、どういたしまして

ウクライナ語:”Прошу” (プロシュー)

ロシア語:”Не за что” (ニ ザ シトー)

物を差し出したり、お礼を言われたときに返す言葉です。

スーパーのレジやレストラン、チケット売り場などで、「ヂャークユ (ありがとう)」というと、間違いなく「プロシュー」と返してくれますよ。

その他、ウクライナでよく聞く&使える表現

ここからはロシア語とウクライナ語がごちゃ混ぜになっているのですが、のぶよがウクライナ滞在中によく耳にした&知っていて便利だった表現を紹介します。

чуть-чуть(チュチュート):「ちょっと」

かなり可愛らしい響きの「チュチュート」。
なんだか日本語の「ちょこっと」に通じる発音のような気がして親近感がわきました。

スーパーで量り売りのお惣菜を買う際や、セルフサービスの食堂で料理をよそってもらう際などに、かなりよく使いました。
そうでないと訳わからないくらいの量を乗せられますから(笑)

Я не розумію (ヤー ネ ロズミーユ):「わかりません」

こちらがウクライナ語やロシア語が分からないことなんて関係なしに、ウクライナ語で通してくるウクライナ人。

誤解を防ぐためにも、相手の言うことを理解できないときは「わかりません」とはっきりと言うべきです。
「ヤー ネー ロズミーユ」は、一日数回使うことになる表現なので覚えておきましょう(笑)

こちらが理解していないことがわかると、ジェスチャーや簡単な単語で話してくれるウクライナ人もいます。(それでもウクライナ語で通してきますが)

Дайте~(ダイチェ):「~をください」

先ほど紹介した、「物の名前+Будь ласка (ブディ ラースカ)」=「~をください」よりも丁寧な表現で、地元の人がよく使っているのを耳にしました。

「ダイチェ+物の名前」でOKなので簡単に使えます。

що? (シュトー):「何ですか?」

市場で謎の物体を見つけた時、レストランで注文したい時、とにかく役に建つ表現です。

「シュトー+物の名前?」で、「~は何ですか」という意味に。

もちろん、物を指さしながら”シュトー?”だけでも通じますよ。

скільки? (スキールキ):「いくらですか?」

旅行者にとって一番大切な、物の値段。

ウクライナ語では、「スキールキ+物の名前」でOKです。

基本的に、相手は値段を数字で答えてくれますが、ウクライナ語の数字まで覚えるのはなかなか大変。

わからないときは、先述の「ヤー ネー ロズミーユ」と言えば、指を使って数字を表すか、紙に書いてくれるはずです。

Де(デェー):どこ

場所を訪ねたいときにとても便利だった表現。

「デェー + 場所の名前 ?」 でみんな理解してくれ、道を教えてくれますよ。

都市によって異なる、ウクライナ語の使用状況

ウクライナ語と聞くと、ウクライナ全体で話されている共通語のように思ってしまう人も多いのではないでしょうか。

実は、ウクライナの言語分布状況は結構複雑で、国内にウクライナ語話者とロシア語話者が分散しているんです。

大まかに分けると、地理的にロシアに近いウクライナ東部やクリミア半島などの南部ではロシア語話者が多くポーランドやスロバキアに近い西部ではウクライナ語話者が多くなります。

source : https://edition.cnn.com/interactive/2014/02/world/ukraine-divided/
上の図は、ウクライナにおけるロシア語話者の分布を示しています。

色が濃くなるほどロシア語を母語とする人が多いことを表しているのですが、見事なまでに東西で分かれているのがお分かりいただけるでしょう。

こうした言語による民族意識は、国家分裂の危機を引き起こしました。
記憶に新しい、2014年のウクライナ危機はその最たる例です。

ウクライナ語優勢の西部では、ロシア語を話すと嫌な顔をされ、ロシア語優勢の東部ではウクライナ語に対して拒否感を覚える人が多いという、かなり複雑でデリケートな、ウクライナにおける言語問題。

ここからは、実際にウクライナを旅行して感じた、各都市での言語使用状況をお伝えします。

もはやロシア語しか聞こえない、南部のオデッサ。

のぶよがウクライナで最初に到着したのが、黒海を望む港湾都市・オデッサでした。

オデッサでは、ほぼロシア語しか聞こえてきません。
みんな「ズドラーストヴィチェ」「スパシーバ」を使っていました。

上の言語分布の地図でも、オデッサがある南部地域は、ロシア語話者が25~74%を占める地域。
個人的には、それ以上のように感じました。

ロシア語優勢?な中部の首都・キエフ

ウクライナの首都・キエフ。
のぶよは、ウクライナの首都なんだからウクライナ語ばかり聞こえてくるんだろうと思っていました。

しかし、実際には、結構な割合でロシア語が使われています。

レストランでの挨拶は、基本的に「ズドラーストヴィチェ」でした。

ただ、キエフではロシア語しか話せないという人は少ないようで、ウクライナ語とロシア語の二つの言語を話せる人が多いそうです。

張り紙や看板に書かれた言語に関しては、ウクライナ語とロシア語が半々といったところ。

もちろん、公式な標識などはウクライナ語で書かれることが定められていますが、民間レベルではロシア語もかなり優勢なようです。

キエフでのロシア語は、もはや共通語のような扱いで、ウクライナ語がわからなそうな外国人にはロシア語を使って話しかけてくる人もいます。いや、どちらもわからん(笑)

こちらがロシア語を使っても、嫌な顔をされることは少ないように感じました。

ウクライナ語が優勢になってくる、中西部のリヴネ

キエフから西へ200kmほど。西ウクライナにあるリヴネの町は、「愛のトンネル」へのゲートウェイとして有名です。

リヴネのロシア語母語話者人口は5%以下。
キエフからバスで4時間ほど西に来るだけで、完全にウクライナ語環境に変貌することに驚くはず。

人々は「ズドラーストヴィチェ」や「ハラーショ」は使いません。
キエフやオデッサではロシア語のものも目立った、手書きの看板や張り紙なども、完全にウクライナ語に変わっていたことに驚きました。

書かれた言語がウクライナ語かロシア語かを見分ける方法の一つに、“i”の文字の有無が挙げられます。

↑ウクライナ語と英語で書かれたホステルの看板。ロシア語にはないiの文字が使用されている。
ラテン文字由来の”i”はウクライナ語のみで使用され、ロシア語には存在しません。

完全にウクライナ語しか聞こえない、西部・リヴィウ

オデッサ、キエフと旅行した後にリヴィウを訪れる人は、その雰囲気の違いに驚くことでしょう。

開放的で、中欧の町のような雰囲気が漂うリヴィウでは、99%ウクライナ語が使われていると言っても過言ではないほどにウクライナ語が大切にされています。

歴史的にポーランドやオーストリアの支配下にあったウクライナ西部では、独立心が強く、ウクライナ語に誇りを持った人々が多いそうです。

彼らのほとんどが、ロシア語も解するバイリンガルですが、ロシア語に対して嫌悪感や拒否感を抱く人も少なくないリヴィウ。
できる限りウクライナ語で挨拶したり話しかけたりするのがいいでしょう。

こちらが少しでもウクライナ語で話そうとするのを見て、相手も自然と心を開いてくれるはずです。

なぜかロシア語が多く聞こえる町。西部・チェルニフチ

西ウクライナに位置するにも関わらず、やたらとロシア語を耳にしたのがチェルノフチの町でした。

すぐ南はルーマニアという国境の町であるチェルニフチ。
世界遺産に指定されているチェルニフチ大学の校舎があり、国際色豊かな町でもあります。

なぜチェルノフチだけ、ロシア語が結構な割合で使用されているのかは謎ですが、国境が近い工業都市であることが影響しているのでしょうか。

先ほど紹介した、ウクライナのロシア語話者の分布図を見ると、西ウクライナで唯一オレンジ色(5%~24%がロシア語母語話者)である州の州都であるチェルニフチ。

隣の州のイヴァノ・フランキーフスクが完全にウクライナ語地域だったことを考えると、とても不思議です。

おわりに

ひとことでは語りつくせない、ウクライナにおける言語問題。

歴史的な問題もあって、簡単に解決できるものではないでしょう。

私たちいち旅行者は、「ウクライナ語とロシア語はこんなにも異なる言語である」ということを知り、どちらの言語の話者に対しても敬意を払える姿勢を持つことが大切なのではないでしょうか。

ウクライナ語もロシア語もキリル文字で表記されるものの、大きく異なる表現や発音。
少しでも違いを知っておくことで、旅行が楽しくなったり、ちょっとした会話ができてうれしくなること間違いないと思います。

 

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