こんにちは!ジョージア滞在も2年、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ジョージアの定番観光地の一つであるカズベキ。
エリア内の有名どころはもう制覇してしまったので、「裏カズベキ」と勝手に名付けた誰も知らない穴場のようなエリアをさまよっている今日この頃…
またもや、とんでもない穴場スポットを見つけてしまいました!
それが、シオニ聖堂~サヒダリの奇岩の二つの見どころを結ぶトレッキングコースです。
観光客で賑わうステパンツミンダ(カズベキ中心街)から南に10kmほど。
一面の緑の大地にたたずむ中世の聖堂と見張り塔が、ハイキングコースのスタート地点となるシオニ聖堂です。
ハイキング自体の難易度は高くなく、比較的ゆるやかな道のりを歩くこと2時間ほど。
ゴール地点となるサヒダリの奇岩に到着します。 ▼
それまでの一面の緑の風景から一転。
真っ黒な山肌に奇岩が連なる光景は、まさに天国と地獄を思わせるコントラストです。
ゆっくり歩いても、往復2時間ほどで十分に歩ける初心者向けのハイキングコース。
今回の記事では、見どころやコースの詳細情報も含めて解説していきます。
もはやネット上に情報はほとんどなく、こんなところまでいったい誰が行くのか疑問ではありますが、のぶよが味わった感動を少しでもシェアできたら嬉しいです!
シオニ教会~サヒダリの奇岩・トレッキングコース概要
マップ
緑:ハイキングコース
黄色:チェックポイント
ハイキングコース基本情報
シオニ聖堂~サヒダリの奇岩のハイキングコースは、行きも帰りも同じ道を往復するだけのコース。
高低差は少なく、なだらかな坂道が続くだけなので、初心者でも問題なく歩けます。
・所要時間:片道2時間/往復4時間
・距離:片道4.9km
・高低差:▲▼250m
・難易度:初級
注意点
飲料水・食料は持参する
ハイキングコース上には、飲食店や商店はいっさい存在しません。
軽食などは事前に準備して歩くのがベストです。
また、湧き水が湧いている箇所も見当たらなかったので、飲料水は必ず持参するようにしましょう。
道が分かりにくい場面も多い
ハイキングコースの難易度自体は低めであるものの、コース上には標識やマーキングなどがほとんどないのが最大のネック。
ほとんど知られていないこともあり訪れる人も少ないため、草に隠れてしまって道がまったく見えない場面もかなり多いです。
とはいえ、ゴール地点のサヒダリの奇岩までは一本道。
道に迷う可能性は低いですし、当記事ではコースの目印となるポイントも詳細に解説しているのでご安心を!
羊の群れに要注意
シオニ聖堂~サヒダリの奇岩ハイキングコースのみならず、ジョージア山岳地域を歩く際に共通して言える注意点なのですが、羊の群れを見たら要注意です。
というのも、人口が少ない山岳エリアでは羊の放牧は無人で行われることが多く、羊を守るための牧羊犬がほぼ100%ついているため。
↑ジョージア山岳部をトレッキングする人にとって地獄より何より怖いのが羊の群れ。100%牧羊犬(オオカミみたいないかついやつ)が見守ってて、牙をむき出しにものすごい勢いで吠えかかってくる。羊飼いのおじさんがいればまあ大丈夫だけど、誰もいない場合はまじで近寄っちゃだめだぬ。 pic.twitter.com/412sW4OOdF
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の翻訳してる人 (@nobuyo5696) July 4, 2022
牧羊犬は、羊の群れに近づく野生動物や人間を威嚇し、場合によっては攻撃するように躾けられているため、とにかく危険。
群れから数百メートル離れていれば問題ないですが、できる限り距離をとって歩くことを強くおすすめします。
トレッキングシューズ着用がおすすめ
今回のトレッキングコースはとても簡単なものではありますが、できればトレッキングシューズを着用していくのがおすすめ。
枯れた川底の部分を歩く区間が一部あり、石がゴロゴロしていて足場がやや悪いためです。
のぶよはスニーカーで歩きましたが、やっぱりトレッキングシューズ着用の方が歩きやすいですし、疲れにくいだろうなと感じました。
シオニ教会~サヒダリの奇岩トレッキングレポート
RPGの風景そのまま!シオニ聖堂
今回紹介するハイキングコースのスタート地点となるのが、シオニ聖堂(Sioni Basilica / სიონის სამნავიანი ბაზილიკა)。
同名のシオニ村のはずれの高台に建っており、ミステリアスな雰囲気を醸し出しています。
シオニ聖堂が建設されたのは9世紀頃(1100年前)だと言われているそう。
当時のジョージアはアラブ人の支配下にありましたが、山深いこの地まではその影響が及んでいなかったのかもしれません。
左右対称の二等辺三角形のような様式は、中世ジョージア王国(11世紀~13世紀)以前の教会建築における典型的なもの。
現在のジョージアにはあまり残っていない、珍しい建築様式です。
シオニ聖堂の建物の土台部分は、高さ5mほどの石垣のようになっています。
実は、この石垣の内部には部屋のような空間が設けられており、中世にペストが流行した際に感染者を閉じ込めて隔離したのだそう。
現在でも当時の人骨がそのままに残されているそうで、なんとなく不気味な印象を持ちます。
聖堂内部は、白っぽい色で統一されたシンプルな石造り。
宗教画や燭台が置かれ、現役の祈りの場として機能していることがわかります。 ▼
中に人はおらず、がらんとした印象の空間。
比較的きれいに保たれており、村の人が頻繁に掃除をしている様子がうかがえます。
聖堂の建物から50mほど先には、茶色い石造りの塔が堂々と佇んでいます。 ▼
この石塔は、かつて度々山を越えてこの地にやって来た異民族の侵攻に備えて建設されたもの。
ここシオニ村をはじめ、カズベキ周辺エリアにはいくつか同じような石塔が建つ村があり、それぞれの石塔が互いの村から肉眼で見える絶妙な立地に建設されています。
どこかの村で異民族の侵攻を発見→塔の頂上で火を焚いて煙を上げ隣村に危険を伝える→隣村でも塔の頂上で火を焚いてさらに隣村に危険を伝える→…
といった「リレー方式」のようにアラートを伝える仕組みが構築されていたのだそうです。
異民族の侵攻に悩まされ続けたカズベキ地域。
シオニ村の石造りの塔は、その歴史を静かに今に伝える存在です。
シオニ教会~サヒダリの奇岩トレッキングコース
シオニ聖堂&石塔の見学を終えたら、いよいよサヒダリの奇岩へとハイキングをはじめるとき。
高台にある聖堂からシオニ村へと下る一本道を歩いていきます。
シオニ聖堂から舗装道路を下ってすぐの場所にあるのが、水飲み場【マップ 黄色①】 ▼
この水飲み場で右に曲がって、南へと続く道を歩いて行きます。
シオニ村の伝統的な民家が連なるゆるやかな上り坂を歩くこと500mほど。
村の最果てとなる場所に、ピンクの石造りの民家が建っています ▼
このピンクの民家の50mほど先にあるのが、舗装道路と未舗装道路の分岐点【マップ 黄色②】
ここでは右の道(=未舗装道路)を進みましょう。
ようやくハイキングコースらしい雰囲気となっていきます。
▲ 分岐点の手前にあったピンクの石造りの民家は、周囲の山々と合わせてかなり絵になる風景なので、お見逃しなく!
分岐点からの未舗装道路は、ずっとまっすぐにのびる一本道。
だんだんと人里を離れ、自然の中に入っていくような感覚になるはずです。 ▼
分岐点から未舗装道路を歩くこと1km強。
だんだんと車が通った跡は薄れ、最終的には見えなくなってしまいます。
このあたりで進行方向右手に奇岩【マップ 黄色③】が見えてくれば正しい道です ▼
奇岩から100mほど先には、このハイキングコース唯一の案内板が出ています。 ▼
唯一の案内板からは、トレッキングコースは完全に草に隠れて見えなくなってしまいます。
山々に挟まれた一面の野原を、カバルジナ山を正面にしてひたすらに歩いていきましょう。
1km少々歩いたところで、枯れ川【マップ 黄色④】にぶつかります ▼
いちどかつての川底へ下り、かつて流れていた川の上流方面へと歩いて行きましょう。
どこかのタイミングで枯れ川の対岸へとわたり、あとは正面に堂々とそびえる山に向かって歩いていくだけです。
スタートしてからおよそ2時間ほどで、ハイキングコースは行き止まりに。
ここが、ゴール地点の「サヒダリの奇岩」と呼ばれるスポットです。
天国と地獄の境目!サヒダリの奇岩
まるで旅行者を待ち構えているかのようにぽっかりと口を開く、サヒダリの奇岩(Sakhidari rock monument)。
それまで歩いてきた、コーカサスらしい一面の緑の風景から一転。
黒く鋭い岩が地面からニョキニョキと生えたかのような風景は、まるで地獄の入口を思わせる禍々しい雰囲気です。
カズベキ周辺の山々は、一見するとどれも同じように見えるものの、実はそれぞれ地質が異なっているのだそう。
サヒダリの奇岩一帯は、黒っぽい岩石が積み重なってできあがった山なのだそうです。
一般のハイキングではまず不可能ですが、中にはロッククライミングでこの黒い奇岩を越えていく強者もいるそう。
一歩間違えれば、文字通りの地獄行きです…
禍々しい雰囲気のサヒダリの奇岩から後ろを振り返ると、そこには天国のようなコーカサスの緑の谷間が広がっていて圧巻。
この天国と地獄の狭間に立っているかのような強烈なコントラストこそが、サヒダリの奇岩の最大の魅力なのかもしれません。
コーカサスらしい山々の風景に突如として現れる【サヒダリの奇岩】🇬🇪
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の翻訳してる人 (@nobuyo5696) July 4, 2022
天国のような一面の緑の谷間と、地獄の入口のようにおどろおどろしい黒い山。串刺しの刑に使われそうな鋭い奇岩がにょきにょき。
たぶん今立ってるこの場所が閻魔大王の審判の場所(三途の川らしきものもあるし)。良い子にしとこ。 pic.twitter.com/rKG8GxDnzl
シオニ聖堂へのアクセス・行き方
ハイキングのスタート/ゴール地点となるシオニ聖堂があるのは、同名のシオニ村(Sioni / სიონი)。
ほとんどの旅行者は、ステパンツミンダ(カズベキ中心街)を拠点としてアクセスすることになるでしょう。
カズベキにはエリア内の各村を結ぶ公共交通手段がいっさい存在しないのがネック。
シオニ村へのアクセス方法は以下の二通りに限られてしまいます。
①タクシー
最もスムーズなのは、ステパンツミンダ(カズベキ中心街)からタクシーでのアクセス。
ステパンツミンダ(カズベキ中心街)~シオニ村の片道/1台で5GEL~10GEL(=¥230~¥460)ほどが相場ですが、外国人にはふっかけてくるドライバーも多い点にご注意を。
シオニ村では流しのタクシーはつかまえにくいので、できれば往復 + ハイキング時の待機分で4時間ほどチャーターするのがベスト。
その場合は1台30GEL~50GEL(=¥1381~¥2303)と、時季や交渉次第で大きく料金が変わります。
②徒歩 or ヒッチハイク
ステパンツミンダ(カズベキ中心街)~シオニ村間は7km強しか離れておらず平坦な道のりなので、徒歩でも片道1時間半ほど。
体力がある人なら、トレッキング + カズベキ中心街からの徒歩往復をしても7時間ほどで終えられるでしょう。
公共交通手段が存在しないカズベキエリア内の地元民の間では、ヒッチハイクが最もポピュラーな移動手段。
外国人であっても難易度は変わらず、10分もあれば誰かしら停まってくれるはずです。
こればかりは好みの問題となりますが、びっくりするほど簡単に停車してくれるのがジョージア地方部の良いところ。
個人的には挑戦してみるのもアリかなと思います。
おわりに
カズベキの歴史を現在に伝えるシオニ聖堂と、自然が作り出した奇景「サヒダリの奇岩」を結ぶハイキングコースを紹介しました。
もはや、マニアックにもほどがあるようなエリアのマニアックなハイキング…
いったいどこに需要があるのでしょうか(笑)
とはいえ、誰も知らない自分だけの風景を探しに行きたい人や、観光地としての顔とは異なるカズベキ地域の手つかずの自然にどっぷりとひたりたい人にはおすすめ。
もしこの記事を読んで実際に歩いた人がいたら、ぜひご一報をいただけると嬉しいです!
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