こんにちは!ジョージアで夏の終わりを満喫している、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ジョージア北東部・コーカサス山脈のふもとに位置するトゥシェティ地方は、他エリアとは深い山々で隔てられているため、「ジョージアの秘境」と呼ばれるほどに美しい自然や伝統的な生活が残っている地域。
そんなトゥシェティ地方の中心となる村が、オマロ(Omalo /ომალო )です。
この地方を代表する石造りの塔がそびえ立つ丘を背景に広がる小さな村は、標高1800mの場所に位置する「雲の上の村」。
どこを切り取っても絵になるような風景が見られます。
トゥシェティ地方にやってくる旅行者が最初に到達する村であり、観光のハイライトとなる場所でもあるオマロ村にはゲストハウスなどの設備が整っているため、このエリアの観光拠点としても便利。
今回の記事では、トゥシェティ地方観光・宿泊の拠点となるオマロ村の観光情報を紹介していきます。
・オマロ村の見どころ
・オマロ村周辺の見どころ
・オマロ村へのアクセス・行き方
・オマロ村の宿情報&滞在のアドバイス
の4つの項に分けて必要な情報を網羅しているので、旅行の際ににきっと役立つはず!
オマロの見どころ
オマロ村の観光・宿泊のプランをたてる前に知っておきたいのが、村は2つのエリアに分かれている点。
・丘の下の平地に広がるクヴェモ・オマロ (ロウワー・オマロ)
・石造りの塔のふもとに広がるゼモ・オマロ (アッパー・オマロ)
二つのエリアは2kmほど離れているだけでなく、ゼモ・オマロはクヴェモ・オマロより200mほど高い位置にあるため、行ったり来たりするのは結構大変なのです。
大まかに分けると、
・クヴェモ・オマロ:ゲストハウスが多くある滞在の中心
・ゼモ・オマロ:見どころが多くある観光の中心
といったところでしょうか。
オマロ要塞(ケセロ要塞)
オマロ最大の観光スポットであり、村のシンボル的存在であるオマロ城塞は、丘の上のゼモ・オマロ地区の最も高い場所に建つ中世の要塞跡。
地元ではケセロ要塞(კესელო)という呼び方の方がポピュラーなようです。
もともとの要塞は1230年代に建設されたもので、当初は13もの石造りの塔が立てられていたそう。
当時は東方からモンゴル帝国が侵攻してきていた時であり、外敵の襲来から村を守る役割を担っていたと考えられています。
モンゴル帝国の脅威がおさまった後は、チェチェン人やダゲスタン人(いずれも現在ロシア領)による侵攻の危機に幾度となくさらされてきたトゥシェティ地方。
数百年間に及ぶ数多くの攻防戦の末に、オマロ要塞は荒廃してしまいます。
2003年に、オランダ人の手によってかつての姿に復元されたオマロ城塞。
現在では7つの塔のみが復元された状態となっており、村のシンボルとして観光客の注目を集めつつあります。
トゥシェティ地方の伝統的な建築様式を表すように、平たい石を積み上げて築かれた塔は圧巻。
外側から見るとただ石が積み重ねられただけのように見えますが、実は内側でしっかりと固められているので頑丈なのです。
要塞内のいくつかの塔には自由に入場することが可能。
再建されたものとは言え、オリジナルのものが忠実に再現されていることがわかります。
要塞自体も素晴らしいのですが、特筆すべきなのが敷地内から眺めるゼモ・オマロ地区の絶景。
都市部の喧騒とは無縁な、時おり動物の鳴き声が聞こえてくるだけの静寂が支配した風景は、後ろにそびえるコーカサスの高い山々の姿も相まって「秘境」と呼ぶにふさわしいもの。
「はるばるここまでやって来て良かった!」と感じられるはずです。
ゼモ・オマロの町並み
オマロ要塞の観光を済ませたら、丘のふもとに位置するゼモ・オマロ地区を散策してみましょう。
民家が数十軒建ち並ぶだけの小さな地区で、端から端まで歩いても10分もかからないほどの規模ですが、伝統的なスタイルの家々が多く残っているのがポイントです。
トゥシェティ地方の建築様式はとても独特。
オマロ要塞の塔に見られたような平たい石を積み重ねて壁を作り、二階部分には木製のテラスが設けられます。
木製のテラス部分には精巧な装飾が施され、各家屋によって微妙にデザインが異なるのも特徴的です。
いわば石を積み上げただけの家なので、長く寒い冬場はいったいどうするのか心配になりますが、実はオマロ村の人々は一年中この場所に住んでいるわけではありません。
オマロだけでなくトゥシェティ地方全体に言えることなのですが、10月頃に一度雪が降ると、ふもとへ通じる唯一の道路が通行不可能となり、翌年の6月頃まで完全な陸の孤島となってしまうのです。
物資の輸送はほぼ不可能な上、そもそも電気すらも通っていないこの場所で冬を越す住民はほとんどいません。
トゥシェティ地方の人々の多くが山を下った場所にあるアルヴァニ(Alvani)という村に、冬を越すための別宅を持っており、秋になると続々と山を下りてしまうのです。
トゥシェティの人々が再び故郷に戻ってくるのは、雪がとけてまたこの場所に通じる道を走れるようになる6月頃。
人々は再び山に登り、3~4ヶ月のつかの間のトゥシェティ地方での生活を送るのです。
長い冬の間に積もった雪の重みで毎年のように修理する必要があるため、現在では多くの家の屋根が重みに強いトタンなどになっていますが、一部の家ではいまだに伝統的な石造りの屋根を見ることも可能です。
オマロ城塞を望む絶景ポイント
村のシンボルであるオマロ城塞は、近くで見るとその迫力に圧倒されますが、遠くから眺めても素晴らしいもの。
時が停まったようなゼモ・オマロ地区の風景も含めて、オマロ城塞の絶景が見られるポイントをいくつか紹介します。
ゼモ・オマロ地区東側の高台
オマロ城塞を正面に望む絶景が広がるのが、ゼモ・オマロ地区東側にある高台の上。
丘の頂上に7つの塔が密集した独特な形のオマロ要塞の全景はもちろん、静寂に包まれたゼモ・オマロ地区の家々を一望することができます。
墓地付近
オマロ城塞を望むもう一つの絶景ポイントが、ゼモ・オマロ地区の北東に位置する墓地付近。
墓地は小高い丘の中腹に位置しており、異なる角度の絶景が見られます。
このポイントからは城塞と村の全景はもちろん、その背後に堂々とそびえるコーカサスの山々も一望することができます。
クヴェモ・オマロを望む絶景ポイント
オマロ城塞とゼモ・オマロ地区があるエリアから、墓地がある丘を挟んだ東側。
オマロ村とダルトロ村(Dartlo)を結ぶ未舗装道路沿いにあるのが、クヴェモ・オマロ地区を望む絶景ポイントです。
「クヴェモ」とは「低い(=lower)」の意味で、ゼモ・オマロ地区とは200mほど低い位置にあります。
クヴェモ・オマロ地区は、周囲を深い谷に囲まれた台地の上に広がっており、まるでお皿の上にプリンを逆さまに入れたよう。
このポイントからはその独特の地形に位置する村の風景を一望することができます。
ベゾアール山羊展望台
「オマロ観光の定番の絶景は全て制覇した。もう少し穴場の絶景ポイントはないの?」
という人におすすめしたいのが、ゼモ・オマロ地区から2kmほど歩いた場所にある展望台。
オマロ村を取り囲む深い谷間の緑あふれる風景が見られる場所なのですが、この場所で特別なのはベゾアール山羊(Bezoar goat)という野生の山羊の群れが見られる点。
ベゾアール山羊とはコーカサス山脈一帯に生息する山羊の一種で、独特の形をした大きな角を持つのが特徴です。
その角の大きさを狙った狩猟のターゲットとされてきたため、一時は絶滅が危惧されていたものの、積極的な保護活動によって現在では少しずつ頭数が回復してきていると言われています。
展望台の下にある山の斜面でベゾアール山羊の群れが見られることが多いそうなのですが、相手は動物なので見られるかどうかは運しだい。
(のぶよが訪れたときは一頭も見られませんでした)
山羊の姿が見られなくても、トゥシェティ地方らしい大自然の雄大な風景が見られるので、ハイキング気分で訪れてみる価値はあると思います。
オマロから足をのばして!周辺の観光スポット
シェナコ
オマロから日帰りハイキングで訪れることができるシェナコ村(Shenako)は、数十軒の民家が建ち並ぶだけの小さな村。
「トゥシェティ地方で最も伝統的な家屋が残っている」と称される村の風景には、まるで時が止まったかのような印象を受けます。
シェナコ村のシンボルが、村を一望する高台にたつ教会。
地元では、「見る角度によって外壁の色が変わる」と言われている、神秘的な雰囲気をまとった立派なたたずまいです。
ダルトロ
「これぞ、トゥシェティ地方!」という圧倒的な秘境感ただようダルトロ村(Dartlo)は、このエリアの観光のハイライトとなる場所。
中世に築かれた見張り塔と、石造りの家々が肩を寄せ合う村の風景は、21世紀のものとは信じられないような絵画の世界そのものです。
ダルトロは4WDをチャーターすればオマロからの日帰り観光も可能なものの、できれば1泊はしてほしいところ。
ダルトロ周辺には他にも魅力的な小さな村々が点在しているのはもちろん、現世から隔絶されたような村で満天の星空を眺めながら過ごす夜は、きっと一生の思い出となるためです。
オマロへのアクセス・行き方
観光地化とは程遠いトゥシェティ地方ですが、その最大の理由がアクセスの悪さ。
ジョージアの他地域から中心となるオマロ村への唯一の道は、「世界一危険な道」と呼ばれる、アバノ峠を越える未舗装道路のみなのです。
普通車では走ることはできず、4WD車両のみでのアクセスとなるため、ミニバスなどの交通手段がないのが最大のネックです。
個人でオマロへアクセスするためには、トゥシェティ地方の人々が冬を越すための別宅が並ぶアルバニ(Alvani)という町から4WDのシェアライドを利用するしか方法がありません。
不確定要素が多く、ジョージアの中でもアクセスは最難関となりますが、意外と行ってみるとどうにかなるものです(笑)
実際にこの区間を個人で移動した経験や詳細なアクセス方法は別記事にまとめているので、そちらを参考にしてください!
オマロ宿泊時のアドバイス&宿情報
オマロでの宿泊エリアは、宿からの景色で決める!
先述の通り、大きく二つのエリアに分かれているオマロ村。
いずれの村にも商店が1軒ずつあり、ゲストハウスもいくつか点在しているので、好みのエリアに滞在することができます。
オマロへのアクセス時に利用する4WDのシェアライドも基本的に宿泊先前まで乗せてくれるので、どちらのエリアに宿泊しても不便を感じることは少ないでしょう。
どちらのエリアに宿泊するかの一番の決め手は、宿からの眺めだと思います。
・オマロ城塞を間近に望みながらの滞在:ゼモ・オマロ
・山々の雄大な風景を望みながらの滞在:クヴェモ・オマロ
ゼモ・オマロの方が、家々が密集していて「村」という感じがしますし、すぐそばにオマロ城塞の美しい風景が望めるのはメリット。
しかしながら、家々が離れて立っているクヴェモ・オマロの方が、「大自然の中での滞在」という気分になると思います。
また、クヴェモ・オマロの方が全体的に宿代の相場が安めな印象を受けました。
(とは言っても物価の安いジョージアなので微々たる差ではありますが)
電気・ネットは?オマロ村滞在のインフラ面について
トゥシェティ地方に訪れる旅行者の心配事の一つが、電気やお湯、インターネット環境などの生活インフラ面についてではないでしょうか。
5年ほど前までは、「ネットなし、電気なし、商店なし」という、現世から完全に取り残されていたトゥシェティ地方ですが、ここ数年でインフラ面が大きく改善しました。
クヴェモ・オマロの中心には、巨大なアンテナが設置されており、エリア内に携帯の電波やWi-Fiを供給しています。
ほとんどのゲストハウスではWi-Fi設備があり、インターネット環境に関して困ることは基本的にないでしょう。
しかしながら、問題となるのは電気。
トゥシェティ地方には2020年現在でも電気・ガスが通っていません。
そのため、全ての電力は太陽光発電で、ガスは昔ながらの家庭用ガスタンクでまかなわれています。
太陽光発電は自然の力に大きく左右されるもの。
山の天気はとても不安定で、曇りや雨の日が続くとたちまち電力が足りなくなり、停電状態となってしまうのです。
また、晴れの日が続くような期間であっても、宿泊客の人数が多くなればなるほど電力の消費も増えるため、太陽光発電ではカバーしきれなくなってしまいます。
電気が切れてしまうと、明かりはおろか、インターネットやお湯も使えなくなってしまいます。
こればかりは宿泊先のせいではなく、どんなにお洒落なゲストハウスに宿泊しようと条件は同じこと。
「数日間電気なんてなくても大丈夫!」と割り切ってしまうのが一番ですが、不安な人は大容量のモバイルバッテリーを持参するなどの対策が必要かもしれません。
食事はゲストハウスで!
オマロだけではなくトゥシェティ地方全体に言えることなのですが、レストランの類はほぼないと考えておきましょう。
GoogleMapなどで「レストラン」等と表示されていても、それはただ食事を提供しているゲストハウスだった。なんてことはザラにあります。
トゥシェティ地方での食事面に関して旅行者ができることは、
・食材を全て持参(か現地の商店で購入)してキッチンを使わせてもらって自炊
・ゲストハウスで朝食・夕食を提供してもらう
のいずれかとなるでしょう。
のぶよ的には、せっかくなので数回はゲストハウスの食事(特に夕食)をつけるのがおすすめです。
宿によって多少変わってくるものの、食事オプションの相場は以下の通り。
「この価格でこんなに色々美味しいものを出してくれるの?!」と驚くほどの量と質が待っています。
・朝食:5GEL~15GEL(=¥165~¥495)
・夕食:15GEL~20GEL(=¥495~¥660)
トゥシェティ地方独自の食文化を反映した絶品料理が味わえるのはもちろん、とにかく食べきれないほどの量を出してくれるので、残った分は次の日の朝食や昼食のためにとっておくことだって可能です。
(ジョージアでは普通のことなので、別に遠慮することもありません)
オマロにある商店はとにかく割高なので、食材を買いそろえて自炊するよりも、ゲストハウスの食事を上手に利用した方が結局安く済んでしまう場合もあります。
オマロのおすすめゲストハウス情報
Nadiani Guesthouse
・料金:30GEL(=¥991)
・部屋タイプ:トリプルルーム一人利用
・立地:9/10
クヴェモ・オマロ村に位置するゲストハウスで、どこへ行くにも便利な立地にありうます。
村で唯一の商店まで徒歩2分と近く、テラスから望む広大な風景はとにかく圧巻です。
・アクセス:10/10
どこのゲストハウスもそうなのですが、常に鍵があいていて人がいるため、問題なくチェックインが可能です。
・スタッフ:7/10
トゥシェティ地方出身の若い夫婦が経営している、小さなゲストハウスです。
ものすごくオープンマインドというわけではないものの、温かいおもてなしが受けられました。
オーナーは英語に堪能なので、色々と情報が効けたのも◎
・清潔さ:9/10
共用部分、部屋ともに清潔に保たれています。
ベッドの寝心地も良く、シーツも清潔。
バスルームもきちんと掃除されていた印象です。
・設備:7/10
共用部分のほとんどは半屋外のテラスとなっていて、どこからでも素晴らしい風景を望むことができるのがポイント。
ただし夜はかなり冷え込むのがマイナス。
暖炉があるのですが、火がついていないと座っていられないほどの寒さでした。
電気は太陽光発電でまかなっているのですが、部屋のコンセントが使用不可能で共用部分のコンセントを使用しなければいけなかったのが不便でした。
・wi-fi:0/10
Wi-Fiありとのことだったのですが、9月以降は宿泊客がほぼ来なかったために契約を打ち切り(結構高いらしい)してしまっていたため、Wi-Fi環境がありませんでした。
携帯の電波は届くためさほど不便は感じなかったものの、Wi-Fiがどうしても必要な人は要注意です。
・雰囲気:8/10
テラスからの眺めがとにかく素晴らしく、一日中眺めていられるほど。
たまに自家製のワインを出してくれて、暖炉を囲みながらみんなで飲んだりと、なかなかアットホームな雰囲気だったのが良かったです。
料理もかなり美味しく、限られた物資の中でも色々と工夫して出してくれたのも嬉しいポイント。
これまで滞在したゲストハウスでの食事の中ではトップレベルでした。
・総合:7.1/10
Wi-Fiがなかったことと、夜の共用部分が冷え込むこと、部屋のコンセントが使えないこと以外は、全く不便を感じることなく滞在することができました。
数日間他の村に滞在するために大きな荷物を置かせてもらう際も快諾してくれ、トゥシェティ地方にまつわる色々な話が聞けたことも良かったです。
オマロでは最安値の部類の宿ですが、問題なく滞在ができると思います。
おわりに
トゥシェティ地方観光・滞在の中心となるオマロの見どころやアクセス・滞在時のアドバイスを解説しました。
日本語での情報には(英語でも)限りがあるエリアで、まだまだポピュラーな旅先とはなっていないのが現状ですが、だからこそ手つかずの自然や伝統的な文化が残っている穴場として、その独特の存在感が光っている場所です。
オマロの周辺には、小さな村々や日帰りハイキングができる場所など魅力的な見どころがたくさん。
日程に余裕を持って滞在しながら、ジョージア最奥部の美しい風景を最大限に満喫するのがおすすめです。
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