こんにちは!ジョージア南部のサムツヘ=ジャワヘティ州をのんびり旅行中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
万病に効く癒しの水が湧き出す温泉保養地として有名なボルジョミ。
定番観光スポットであるボルジョミ中央公園で心も体も健康になったなら、ボルジョミ郊外の見どころへと足をのばしてみるのはいかがでしょうか。
ジョージア人国内旅行者がボルジョミ中央公園とあわせて訪れるのが、「緑の修道院(Mtsvane Monastery / მწვანე მონასტერი)」と呼ばれる場所です。
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ボルジョミ・ハラガウリ国立公園の山々をバックにぽつんと立つ古い修道院は、ジョージア正教の聖地として多くの人々が訪れる場所。
個人でのアクセスは便利とは言い難いものの、神聖さあふれる緑に囲まれた美しい修道院の姿は、まるでポストカードに描かれた世界のようです。
今回の記事では、ボルジョミからぜひ足をのばしたい緑の修道院の観光・アクセス情報と、セットで訪れたい名水の村・リカニ(Likani / ლიკანი)を紹介していきます。
緑の修道院の歴史・観光・アクセス
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ボルジョミ中心街の西10kmほどの場所に位置する「緑の修道院」は、9世紀に建設された歴史あるもの。
併設されている鐘楼は後から付け足されたもので、15世紀~16世紀の建造です。
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かつては多くの修道僧が祈りを捧げながら生活していた場であり、一部の宿舎の跡は現在でも教会の前に残されています。
16世紀にペルシア軍の信仰により修道院が陥落した際に、ここで生活していた修道僧の多くが殺害されたという歴史を持ちます。
修道院の敷地内を流れる川底の石には赤い色をしたものが多く見られ、「殺害された修道僧の血で染まっている」と現在でも信じられているのがポイント。
川の水が少なくなる夏や冬の時期になると肉眼でも確認することができ、「癒しの力がある」として多くの人々の信仰を集めています。
緑の修道院観光のポイント
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緑の修道院はとても小さく、30分もあればまわれてしまうほどの規模です。
周囲を緑色の森に囲まれた建物の雰囲気自体が最大の見どころとなりますが、歴史を感じさせる内部の雰囲気も必見です。
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後から建設された鐘楼の外壁には、質素ながらも精巧なレリーフが掘られています。
緑色の森と青空をバックに凛と立つ姿は、静寂に包まれた威厳あるもの。
鐘楼内部への入場も可能ですが、上部へ登ることはできません。
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教会の建物の裏手には、山の水が湧き出している一角が。
この水にも癒しの力があると信じられているそうで、訪れた人はみんな口にしていました。
のぶよも飲んでみましたが、「美味しい山の水」という感想のみ。
癒し効果はきっとそのうち遅れてやってくるのかもしれません。
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歴史上、多くの大国の侵攻にさらされてきたジョージアの修道院はどこもそうなのですが、敷地を取り囲むような外壁が造られているのが特徴的です。
豊かな自然の中でただ時を刻み続ける修道院の姿に、心も体も癒されたような気がしました。
緑の修道院へのアクセス・行き方
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ボルジョミ中心街からの公共交通手段は存在しないため、個人でのアクセスにはやや難ありな緑の修道院。
アクセス方法は、主に以下の3種類となります。
・タクシー利用
・アハルツィヘ行きのマルシュルートカを途中下車→徒歩20分
・リカニ行きのマルシュルートカ利用→徒歩1時間
青:見どころ
赤:おすすめパン屋
緑:ボルジョミ~リカニ間マルシュルートカ停留所
タクシー
最もシンプルで快適な移動方法が、ボルジョミ中心街からタクシーを利用して往復すること。
中心街にはタクシーの運転手がどこでも暇そうに客待ちをしているので、簡単に利用することが可能です。
料金の相場は、1台あたり往復・修道院観光時の待機時間30分ほど込みで、15GEL~30GEL(=¥513~1026)ほど。
数人でシェアしての利用ならかなりリーズナブルだと思います。
タクシーはメーター制ではなく言い値が基本なので、乗車前の料金交渉は必須となります。
一つ注意したいのが、緑の修道院のどの辺りまで行ってくれるかを確認すること。
修道院は幹線道路から1.5kmほどの未舗装道路を走った先にあるため、ドライバーの中にはここまで行きたがらない人も多いそうです。
修道院入口前の駐車場まで行ってもらう場合は、料金の相場が少々上がることを覚悟しておきましょう。
アハルツィヘ行きマルシュルートカ
個人での緑の修道院観光に最も便利なアクセス方法が、アハルツィヘ(Akhaltsikhe)行きのマルシュルートカに乗って、修道院に至る未舗装道路の分岐点で途中下車すること
アハルツィヘとは、ボルジョミの西50kmほどの場所に位置するこの地方最大の町のこと。
ボルジョミ~アハルツィヘ間を走るマルシュルートカは100%修道院に至る道の分岐点を通過します。
ほとんどの便はトビリシやクタイシなどジョージア各都市からボルジョミを通ってアハルツィヘに行くもので、1時間に1本ほどの頻度で走っているのでかなり利用しやすいです。
料金は運転手によって多少変わりますが、2GEL(=¥68)ほどが相場です。
ボルジョミ中心街でアハルツィヘ行きのマルシュルートカに乗車する時の注意点が、他のマルシュルートカが発着するバスステーションとは少し離れた場所に停車する点。
青:バスステーション(ジョージア各都市行き)
赤:アハルツィヘ行きマルシュルートカ停車地
緑:リカニ村行きマルシュルートカバス停
上の地図の赤色の場所(特に表示などは何もありませんが、だいたい待っている地元の人がいます)で待っていれば、そのうちやってくるので心配は要りません。
デメリットは、運転手によっては途中下車をさせてくれない場合がある点。
基本的に地元の人の要望がない限りはアハルツィヘまでノンストップで爆走するので、観光客が途中で降りたいと言っても渋られることもあるそう。
乗車時に「緑の修道院(ジョージア語で「ムツヴァネ・モナステリ」)の分岐で降ろして?」と確認するのが必須です。
リカニ村行きマルシュルートカ
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若干の不確実さがあるアハルツィヘ行きマルシュルートカの利用に比べて、確実に移動できるのが、リカニ村(Likani)行きのマルシュルートカに乗車すること。
リカニ村は、ボルジョミから西に4kmほど、緑の修道院の手前5kmほどの場所に位置する小さな村で、ミネラルウォーターとしても販売されている名水で有名な場所です。
リカニ~緑の修道院までは5kmほどの距離があり、幹線道路沿いを片道1時間ほど歩かなければなりませんが、アハルツィヘ行きマルシュルートカとは異なり、確実に乗せてくれるのがポイントです。
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ボルジョミ中心街でリカニ行きのマルシュルートカが発着する場所も他の便の発着地とは異なるので、すでに載せた地図でご確認を。
Bank of Georgiaの店舗と道路を挟んだ向かい側のバス停が始発地点です。
リカニ村までの料金は0.4GEL(=¥14)と格安です。
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リカニ村に到着したバスは、村の中心部(食堂と商店があるサービスエリアのような雰囲気)に停車したあと、上の写真のつり橋前に停車し、つり橋を渡ってソ連時代のサナトリウム方面へと向かいます。
このつり橋前の停留所で下車すれば、緑の修道院までの距離が最も短くなるのでおすすめ。
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・距離:片道5.5km
・所要時間:片道1時間10分
・高低差:▲140m
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リカニ村からは、幹線道路沿いをひたすら西へと歩いていくだけ。
歩道はなく車の数も結構多いため、歩く際は十分に注意しましょう。
抵抗がなければヒッチハイクしてしまうのが最もスムーズだと思います。
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緑の修道院への未舗装道路の分岐点付近にはちゃんと看板があるので、見過ごしてしまうことはありません。
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未舗装道路に入って緑が美しい森の中を1.5kmほど歩いていくと、修道院入口の門に到着です。
未舗装道路はゆるやかな上り坂で、スニーカーでも全く問題なく歩くことができます。
名水と大人気パンの村・リカニ
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緑の修道院に最も近い場所にあるリカニ村(Likani / ლიკანი)は、ジョージア全土で販売されている同名のミネラルウォーターの産地として有名な「名水の村」という顔も持っています。
幹線道路沿いにある寂れた村といった雰囲気ですが、そこら中で名水が湧き出ている&名水を使ったパン店があることで有名で、ボルジョミ地域の人々がよく訪れる場所となっています。
大人気パン店
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リカニ村を訪れたならぜひ立ち寄りたいのが、こちらの名もなきパン店。
一見何の変哲もないジョージアによくあるパンを売る店なのですが、お店の横にある湧き水を利用して窯焼きパンを作っていることで有名な場所なのです。
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窯の内壁に生地を貼り付けて焼き上げる伝統的な製法で作られるパン。
外観こそただの掘っ立て小屋ですが、かなり手がこんでいます。
お店を切り盛りするのは黙々とパンを焼きあげるお兄さん二人組。
旅行者感丸出しののぶよを見るや否や、手招きしてパンをくれました。無料で(笑)
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ラヴァシ(Lavashi)と呼ばれる円形のパンで、中東諸国のピタパンのようなふわふわ&もっちりした食感が特徴です。
ほのかな甘みと塩気が調和していて、焼き加減も含めて絶品でした。
ボルジョミの人々の間でひそかに有名だというのにも納得です。
掘っ立て小屋絶品パン店があるのは、リカニ村中心部にあたる幹線道路沿いの食堂や商店があるサービスエリアのような広場。
ボルジョミ方面へ戻るマルシュルートカも停車する場所なので、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
ソ連時代のサナトリウム
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リカニ村は、その緑あふれる風景と空気の良さ、水の美味しさが注目され、ソ連時代にはサナトリウム(結核療養所)として開発された過去を持つ村でもあります。
当時のサナトリウムの建物は現在でも残っているのですが、そこが世紀末な雰囲気でしかありませんでした。
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遠くから見るとただの廃墟で、人が住めるような状態ではなさそうなのですが、実際には現在でもこの場所に住んでいる人たちがいます。
トビリシのこうした旧ソ連時代の建造物はホームレスや難民たちが不法占拠して居住している状態な場所が多いのですが、この場所はどうなのでしょうか。
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旧ソ連あるあるの、「何を表しているのかイマイチわからないモザイクアート」も健在です。
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写真で見るとおどろおどろしい雰囲気ではあるものの、実際にはその辺で遊びまわる子供たちの笑い声が響き渡るのんびりとした場所でした。
リカニ村のかつての様子に思いを馳せることができるサナトリウム。
必見スポットとは言いませんが、時間があるなら足をのばしてみるのも良いでしょう。
ボルジョミ・ハラガウリ国立公園
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リカニ村の北側には、ジョージア最大の面積を誇るボルジョミ・ハラガウリ国立公園(Borjomi-Kharagauli National Park)のトレッキングコースの入口があります。
数あるジョージアの自然スポットに埋もれて知名度は高くありませんが、緑あふれる風景の中で日帰り~数日間のトレッキングが楽しめることで人気となっています。
国立公園入場の前には、インフォメーションセンター'(リカニ村の東2km/ボルジョミ中心街の西2kmほどの場所)で許可証の発行(無料)をしてもらう必要があるのでご注意を。
おわりに
ボルジョミ観光の隠れた名所と言える、緑の修道院とリカニ村を紹介しました。
知名度はほとんどありませんが、ボルジョミ滞在中に少し足をのばすにはおすすめの場所です。
タクシーでまわるなら2時間ほどあれば十分に観光できるというお手軽さもポイント。
ボルジョミのその他の見どころと組み合わせてプランニングしてみるのがおすすめです!
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トビリシからの日帰りも可能なボルジョミですが、保養地らしくのんびりと過ごしたい人には宿泊が断然おすすめ!
ボルジョミ周辺には他にも見どころがたくさんあるため、ここを拠点にエリアを観光するのも良いと思います。
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