こんにちは!12月だというのにアンタルヤの降り注ぐ太陽に癒されている、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
穏やかな気候と青く輝く地中海、オスマン帝国調の家々が連なる旧市街に名物グルメ…。
トルコ南部のアンタルヤ(Antalya)は、市内観光だけをとっても魅力たっぷりな町です。
しかしながら、アンタルヤの実力はそんなもんではありません。
郊外には、ローマ帝国時代以前に遡る歴史を持つ古代の都市国家の遺跡が点在しているのです。
絶景ビーチや可愛らしい旧市街もいいけれど、ちょっと視点を変えてこの地域の豊かな歴史を学ぶデイトリップをしてみるのもアンタルヤを楽しむ方法の一つです。
今回の記事では、アンタルヤ近郊の三大遺跡+1(ペルゲ、アスペンドス、テルメソス + シデ)の歴史と、アンタルヤから個人で公共交通手段を使っていく方法を紹介します。
一日で複数の遺跡を訪れる場合のために、各遺跡間の交通手段の情報もまとめているので、プランニングの参考にしてください!
アンタルヤ近郊の三大遺跡の歴史&観光情報
アンタルヤ近郊に点在する遺跡の数々。
のぶよのような素人には、どれも同じように古いものに見え、どこも円形競技場を持つことから、「ローマ帝国時代のもの」と安易に思ってしまいがちです。
実は、ペルゲ、アスペンドス、テルメソス、シデの遺跡の中でローマ帝国時代に起源を持つものは一つもありません。
全てそれ以前の時代(ギリシャ時代の都市国家)にまで遡るのです。
ペルゲ遺跡
アンタルヤの東20kmほど、アンタルヤ郊外のアクス村(Aksu)近郊にあるのがペルゲ遺跡(Perge)。
ペルゲは、現在のアンタルヤ周辺のパンフィリア地方(Pamphilia)に点在していた都市国家の一つとして、紀元前3〜2世紀に繁栄を極めました。
当時海から入ってきたヘレニズム文化(ギリシャ化)の元で大きく発展し、一度は衰退するものの、その後この地域を支配したローマ帝国(2〜3世紀)の時代に再び黄金期を迎えます。
現在ペルゲ遺跡で見られるものの多くはローマ帝国時代のもので、それぞれ1万2000人を収容できる円形劇場とスタジアム、ローマ風のアーチ式の門やローマ式浴場などが素晴らしい保存状態で残っています。
それ以前の時代の遺跡は多くないものの、北側の丘の上にあるアクロポリスは紛れもなくギリシャの都市国家としてのペルゲを象徴するものです。
インフォメーション
ペルゲ遺跡
営業時間:全日8:00~19:00 (冬季:~17:00)
料金:42TL(=¥790)
アスペンドス遺跡
アンタルヤの東50kmほど、セリク(Serik)という小さな町の近郊にあるのがアスペンドス遺跡(Aspendos)です。
アスペンドス遺跡で有名なのは、深い森の中に突如として姿を現わすローマ帝国時代の円形競技場。
その姿はかなりのインパクトがあり、「世界に現存する古代の円形競技場の中で最も素晴らしい保存状態」と賞賛されるほど。
とにかく細部まで完璧に近い形で残されています。
この円形競技場はローマ帝国時代の2世紀のものですが、アスペンドス遺跡の起源は紀元前9世紀のヒッタイト帝国にまで遡ります。
その後、ギリシャ、ローマ帝国、ビザンツ帝国と支配者が移り、13世紀になるとアナトリア半島を支配したセルジューク朝によって隊商宿として利用されました。
その後オスマン帝国統治時代にはその存在が忘れ去られたアスペンドスですが、再び脚光を浴びることとなるのはオスマン帝国がトルコ共和国となった後の1930年のこと。
トルコ建国の父であるケマル・アタテュルクがアスペンドス遺跡の円形劇場を見学した際に、「こんなに素晴らしい遺跡を利用しないのはもったいない」と言い、復元・改装を命じました。
こうして1万5000人収容の劇場として再び人々に開かれたアスペンドス遺跡の円形劇場。
現在でもオペラやコンサートなどが定期的に開催され、1800年以上の時を越えて人々が集う場所としての機能を持ち続ける「生きた古代遺跡」と言えるでしょう。
インフォメーション
アスペンドス遺跡
営業時間:全日8:30~19:00 (冬季:~17:00)
料金:42TL(=¥790)
テルメソス遺跡
アンタルヤの北西35kmほどの山の中に位置するテルメソス遺跡(Termessos)は、三大遺跡の中で唯一ギリシャの都市国家に属していなかったピシディア(Pisidia)地方に属する遺跡。
他の二つの遺跡が地中海沿岸のパンフィリア地方(Pamphilia)と呼ばれた地域に属していたのに対し、テルメソスは内陸部のピシディア地方の端に位置していたため、海からやってくるギリシャ文化が届きにくかったのでしょう。
紀元前4世紀頃に繁栄した都市国家であるテルメソス。
紀元前333年になると、マケドニア王国のアレキサンダー大王が周辺の都市国家をどんどん征服し、領土を東に広げていきますが(東方遠征)、ここテルメソスはアレキサンダー大王軍を撃退した数少ない都市国家の一つです。
紀元前70年にはテルメソスを含むピシディア地方はローマ帝国と自由連合を結んだものの、その後どんどん力をつけたローマ帝国についに併合されることに。
こうしてその長い歴史に幕を閉じ、他の都市国家と同様にローマ化が進むこととなります。
ピシディア人の遺跡であるテルメソス遺跡は、切り立った谷で悠久の時を刻む円形競技場が有名ですが、こちらはローマ帝国時代になってからのもの。
広大な敷地には、アルテーミス神殿やゼウス神殿などローマ帝国時代以前の遺跡も比較的多く残っています。
インフォメーション
テルメソス遺跡
営業時間:全日8:30~19:00 (冬季:~17:00)
料金:34TL(=¥639)
個人では行けない?テルメソス遺跡
他の遺跡は個人で十分にアクセスが可能なものの、一つだけ山の中にぽつりとあるテルメソス遺跡へのアクセスは個人ではほぼ不可能。
アンタルヤのオトガルからコルクテイル(Korkuteil)行きのドルムシュ(ミニバス)に乗り、テルメソス遺跡に続く道の交差点で降ろしてもらうことはできるものの、ここから遺跡までは9kmもの距離があります。(しかも山道)
テルメソス遺跡に行きたい場合は、他の遺跡とセットになった現地ツアー参加が最も現実的で安く済む手段です。
シデ
アンタルヤ近郊三大遺跡からは外れるものの、ローマ帝国時代の劇場やギリシャ風の神殿の遺跡が残るシデ(Side)。
アンタルヤの東70kmの所にあり、同じ方面に位置するペルゲ遺跡、アスペンドス遺跡とセットで訪れるにはぴったりの町です。
インフォメーション
シデの円形競技場
営業時間:全日8:30~19:00 (冬季:~17:15)
料金:34TL(=¥639)
※円形競技場以外の古代遺跡は見学自由
アンタルヤ~各遺跡間のアクセス
三大遺跡へのアクセスの拠点となるのはアンタルヤ。
すでに述べた通り、テルメソス遺跡では個人で公共手段を利用してのアクセスはほぼ無理なものの、他の二つの遺跡に関しては個人でも十分にアクセス可能です。
アンタルヤ~ペルゲ遺跡の行き方
アンタルヤ近郊のアクス(Aksu)という村にあるペルゲ遺跡。
アクス村へは近年延長されたアンタルヤの路面電車・アンタライ(Antaray)で一本でアクセスでき、とても便利です。
↑左端の終点”EXPO”の一つ手前がAksu駅
アンタルヤ中心街からはEXPO駅行きのアンタライに乗ります。
他の行き先のものは、途中で分岐して空港へと向かってしまい、アクス村方面へは行かないのでご注意を。
時間帯にもよるものの、EXPO行きは15~20分に1本ほどの運行です。
所要時間:40分
料金:3.2TL(=¥50)
アクス駅からペルゲ遺跡までは2kmほどの距離。
平坦な道のりを徒歩20分ほどで、遺跡の入口へと到着します。
アンタルヤカード
アンタルヤの市内交通(路面電車・ノスタルジックトラム・路線バス)の利用には、アンタルヤカードというチャージ式ICカードの購入が必要です。
各トラム停留所や主なバス停にある専用の機械で購入・チャージして利用するアンタルヤカードは、イスタンブールの交通カードであるイスタンブールカードと同じシステム。
カード料金は7TL(=¥132)で、運賃は路面電車・バス共通で3.2TL(=¥50)。
アンタルヤでは現金払いで市内交通機関を利用することはできません。
アンタルヤ~アスペンドス遺跡の行き方
円形競技場が圧巻のアスペンドス遺跡(Aspendos)は、ペルゲ遺跡の西、セリク(Serik)という町の4km北に位置しています。
アンタルヤのオトガルからセリク行きのドルムシュが頻発(15分に1本)しているので、それに乗ってセリクのオトガル(バスターミナル)まで行きます。
セリクのオトガルからアスペンドス遺跡までは6kmほどの距離。
セリクのオトガル~アスペンドス遺跡を1時間に1本の頻度で周回している路線バス10番に乗れば、遺跡の前まで直接アクセスすることができます。
アンタルヤ~セリク
所要時間:1時間
料金:13TL(=¥244)
アンタルヤ〜シデの行き方
ヨーロピアンに人気のバケーション先であるシデ(Side)は、港を中心に古代遺跡が点在する可愛らしい町。
シデは幹線道路から外れた場所にあり、アンタルヤ方面からの直行バスは存在しません。
4km北の幹線道路沿いにあるマナウガト(Manavgat)でシデ行きのシャトルバスに乗り換える必要があります。
注意したいのが、シデ行きのシャトルバスが待機しているのはマナウガトのオトガル(バスターミナル)ではなく、シデへ向かう幹線道路が分岐する交差点付近の停留所だという点。
マナウガト方面のバスの運転手に、あらかじめシデに行くことを伝えておけば正しい場所で降ろしてくれるはずです。
マナウガトの交差点には、アンタルヤ方面からのバスの到着時間に合わせてシデ行きの無料のシャトルバスが待機しているので、特に問題なく乗り換えできると思います。
アンタルヤ~シデ
所要時間:1時間半
料金:19TL(=¥357)
ペルゲ・アスペンドス・シデをセットで訪れる
アンタルヤ近郊に点在する三つの遺跡(ペルゲ、アスペンドス、シデ)は、全てアンタルヤの東側に位置しており、日が長い夏場ならセットで訪れることも可能です。
のぶよがアンタルヤを訪れたのは12月初めのこと。
日没は17時台と早めで、各スポット間のバスの接続や観光時間、なによりそんなに早く起きられないタイプなため(笑)、無理せず2日間かけてまわりました。
のぶよ的には、西から順番にペルゲ→アスペンドス→シデの順(もしくは反対方向)にまわるのをおすすめします。
ペルゲ遺跡〜アスペンドス遺跡の移動
ペルゲ遺跡があるアクス村〜アスペンドス遺跡があるセリクへのアクセスは、アンタルヤ〜セリク間のドルムシュ(ミニバス)に途中乗車してのアクセス。
アンタライ(路面電車)のアクス駅の高架下南側にバス停があるので、そこからの乗車となります。
↑セリク行きのバスが停車するバス停。写真奥の高架上にあるのがアクサライのアクス駅
時刻表や行き先表示等は何もありませんが、セリク行きのバスは15分に1本と頻発しています。
ここで待っていれば確実にバスは来るのでご安心を。
反対方向(アスペンドス→ペルゲ)の場合は、アスペンドス遺跡の拠点であるセリクのオトガル始発のアンタルヤ行きのバスがあるので、それに乗車して途中のアクス村で下車するだけです。
アクス~セリク
所要時間:40分
運賃:11TL(=¥207)
アスペンドス遺跡〜シデの移動
↑シデの商用アゴラ
アスペンドス遺跡があるセリク(Serik)のオトガル発のマナウガト行きのバスに乗り、「シデ」と行っておくと、先述のシデ方面へ分岐する交差点で降ろしてくれます。
マナウガトの交差点からシデまでは30分に1本の無料のシャトルバスか、頻発しているシデ行きのドルムシュ(ミニバス)で10分ほど(4TL=¥75)です。
反対方向(シデ→アスペンドス遺跡)の場合は少々トリッキー。
シデ発のドルムシュはマナウガトの交差点でセリク行きのバスにうまく連絡するかどうか微妙なためです。
まあ、待っていればそのうちバスは来るはず。
不安なら、交差点の東数km先にあるマナウガトのオトガル(バスステーション)まで行ってしまうのが確実です。
マナウガト発セリク行きのバスはマナウガトのオトガルが始発なので、確実に乗車できます。
ペルゲ遺跡〜シデの移動
↑ペルゲ遺跡の円形競技場
ペルゲ遺跡からシデへと直接向かうのは、乗り換えが多くなるので避けた方が無難です。
ペルゲ遺跡があるアクス村からシデへ分岐する交差点があるマナウガトまで直接行くバスはありません。
(アンタルヤ~マナウガト間のバスはアクス村で停車しないため)
先述のセリク行きのミニバスでセリクまで行き、セリクからマナウガトの交差点まで行き、シデ行きのシャトルバスに乗り換えるという長い道のりとなります。
どうせセリクで乗り換えることになるので、近郊のアスペンドス遺跡を見学してからシデへ向かうことをおすすめします。
反対方向も同じように乗り換えが多くなるのであまりおすすめはしません。
アンタルヤ周辺には、個人でのアクセスにやや難ありな古代遺跡が点在しています。
効率良く観光するなら、アンタルヤからの現地ツアーの参加が最も手っ取り早い手段。料金もリーズナブルなので、滞在日数に限りがある場合には考えてみてはいかがでしょうか。
おわりに
アンタルヤからのデイトリップ先におすすめの古代遺跡の歴史と行き方を紹介しました。
なかなか日本語での情報が見つけにくいマイナーな地域なので、これから訪れる人の参考になれば嬉しいです。
「遺跡ばっかりお金を払ってみるのもなあ…」という人は、ズバリ、シデへ行きましょう。
というのも、シデは円形競技場こそ有料ですが、その他の遺跡は無料&自由に見学できるためです。
ネット規制の影響で、Booking.comでの予約ができないトルコ。代わりの宿泊予約サイトではAgodaがおすすめです。
期間限定セールを利用すればかなりお得な料金で宿泊できるのもポイント。チャンスを逃さないで!
おすすめ書籍
旅人マストの一冊、「地球の歩き方」。
写真が多く、訪れる場所のイメージがわきやすいです。安心して旅行したい人にオススメ。
英語ができるなら、“Lonley Planet”は世界最強の旅人のバイブル。
とにかく情報量が半端じゃありません。人と違う場所へ行ってみたい人は是非!
コメント