こんにちは!ジョージア西部のアジャラ地方にのんびり滞在中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
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アジャラ地方の中心都市といえば、「黒海のビーチシティー」のイメージが強いバトゥミ。
このエリアを訪れる旅行者のほとんどは、青く澄んだ黒海と、海沿いらしく開放的な街の雰囲気を味わうことを楽しみにやって来ます。
どうしてもビーチのイメージが先行するアジャラ地方ですが、そのすぐ東側には緑あふれる山岳地域が広がっていることはあまり知れていません。
魅力あふれるアジャラ地方山間部の観光ハイライトとなるのが、今回紹介する「アジャラワイン街道」(Adjarian Wine Route)です。
ワイン発祥の国・ジョージアには、カヘティ地方やラチャ地方など、ワイン造りで有名な地域がいくつか存在します。
ここアジャラ地方山間部でも伝統的なワイン造りが盛んに行われているのですが、旅行者の間での知名度は高くありません。
そんな状況をどうにかしようと、アジャラ地方の観光局が必死にプロモーションしているのが、アジャラワイン街道なのです。
その名の通り、小規模の家族経営ワイナリーが点在しているワイン街道。
アジャラ地方らしい緑の山々の風景を眺めながらの見学や試飲などが可能です。
また、ワイン街道沿いに点在する見どころも見逃せません。
800年前に架けられた石橋や、絵になる教会、自然の豊かさが感じられる滝など、アジャラ地方のバラエティー豊かな魅力が感じられるのです。
今回の記事は、アジャラワイン街道の見どころや個人でのアクセス方法を解説するもの。
旅行者がほとんど訪れないエリアではありますが、その魅力は計り知れないほど。
この地域の歴史や伝統、自然の美しさを一日で体験でき、バトゥミからのデイトリップにもぴったりです!
「アジャラワイン街道」とは?
「アジャラワイン街道」とは、黒海沿いのバトゥミとアジャラ地方山間部を結ぶ唯一の幹線道路のうち、フロ(Khulo / ხულო)~アチャリスツカリ(Acharistskali / აჭარისწყალი)間の約70kmほどの区間のこと。
平地が少ない地形のエリアであるため、山の斜面を利用したぶどう畑が広がる美しい景観が見られます。
アジャラ地方産のワインで最も有名なのが、チュハヴェリ(Chkhaveri /
ჩხავერი)という銘柄。
チュハヴェリはジョージア出身のソ連最高指導者・スターリンが愛したワインであると言われ、赤味がかかったドライで芳醇な口当たりに魅了される人も多いのだそうです。
ワイン好きな人にとっては、小規模のワイナリーをいくつか周り、この地方固有のブドウ品種を用いたワインを嗜むことがアジャラワイン街道最大の楽しみとなるでしょう。
いっぽう、のぶよのようにワインのことなど一つも分からない人(「どれも結局ぶどうが発酵した液体でしょ?」と思ってる)でも、アジャラワイン街道には楽しみがたくさん。
このエリアの歴史や文化香る見どころの数々に、素朴な村を眺めながらのミニ・ハイキングなど、観光面でもかなりのポテンシャルを秘めているのです。
というわけで、のぶよはワインのアレコレに関してはまったくわからないので、本記事ではワイン街道の見どころやアクセスなどの観光情報をメインに解説しています。
ワイナリー巡りが第一目的の人も、せっかくなら点在する見どころに立ち寄ってみるのがおすすめです!
アジャラワイン街道観光マップ
青:見どころ
緑線:ズヴァレ~ヴァイオ~ケダ間徒歩ルート
紫:ワイナリー
アジャラワイン街道東の拠点!【フロ】
アジャラワイン街道観光の東側の拠点となるのが、フロ(Khulo / ხულო)という村。
アジャラ地方山間部の中心地的な村で、周辺のさらに小さな村へのアクセス拠点ともなっています。
フロやその周辺には多くの見どころがあり、ワイン街道とあわせて1日でまわるのは不可能。
フロ観光&滞在の翌日、バトゥミへと移動する際にワイン街道観光をまわすのがプランニングのポイントとなります。
800年前から変わらぬ風景!【ダンダロの石橋】
アジャラ地方山間部には、ジョージアでキリスト教文化が黄金時代を迎えた中世に建設された石橋が多く残っていることで知られています。
そのうちの一つが、ダンダロの石橋(Dandalo Bridge / დანდალოს ქვის ხიდი)。
11世紀~12世紀頃の建設だとされ、現在まで800年以上もの間、川の両岸に住む人々の移動を支えてきました。
長さ20mほど、幅2mほどのダンダロの石橋に使用されている石はすべて、周辺で採れたものだそう。
美しいフォルムのアーチ型と、橋の袂が「くの字」に曲がっているのが特徴的で、800年前当時の技術では考えられないほどに複雑な設計のもと建設されているそうです。
ダンダロの石橋がすごい点が、これまで一度も崩壊したことはなく、800年前からそのままの姿を現在に残していること。
設計&建設に携わった人は天才だったのかもしれません…
歴史的背景や稀有な建築様式が評価され、2006年にダンダロの石橋はジョージアの重要文化財に指定されました。
アーチ部分を形成する石橋の上部には、手すり等がいっさいないのでスリル満点。
高所恐怖症の人にとってはなかなかの地獄かもしれません…
緑いっぱいの山々と澄みきった清流の風景が周囲360°に渡って広がり、どことなく日本の山間部に似たような空気が漂っていました。
巨岩の上の絵になる教会!【ズヴァレ教会】
70kmに渡ってのびるアジャラワイン街道のちょうど中間地点に位置するズヴァレ村は、川沿いに民家がいくつか建ち並ぶだけの小さな集落。
この村で立ち寄っておきたいのが、川に突き出た巨岩の上にちょこんと建つズヴァレ教会です。
教会の建物自体は2000年に完成したもので、歴史はほとんどありません。
ズヴァレ教会の最大の魅力は、アチャリスツカリ川の清流をすぐそばにたたずむロケーションに尽きます。
また、ここズヴァレ村はアジャラ地方山間部の文化の境界線のような存在である点も興味深いもの。
ここより山奥(=フロ方面)へ進むとイスラム教徒住民が増え、モスクを有する村が主流となります。
いっぽう、ここより標高が低い地区(=バトゥミ方面)へ進んでいくとキリスト教徒住民の割合が増えるようで、教会や修道院などの建造物が多く見られるようになるのです。
アジャラ地方の自然と素朴な村の風景!【ズヴァレ~ヴァイオ~ケダ間ハイキング】
ズヴァレ教会の観光を済ませたら、そのままこのエリアの中心的な町であるケダ(Keda / ქედა)や、観光ハイライトの一つであるマフンツェティ村へ直行しても良いのですが、アクティブ派の旅行者向けのオションもあります。
それが、ズヴァレ村からヴァイオ村(Vaio / ვაიო)を経由して、ケダの町までミニ・ハイキングで移動すること。
総距離7kmほど / 所要時間1時間半~2時間ほどの道のりで、大部分は舗装道路を歩くだけの簡単なコースです。【マップ 緑線】
巨岩の上に立つズヴァレ教会の観光を終えたら、アチャリスツカリ川に架かる橋を渡り、ヴァイオ村へと続く一本道を登っていきます。
舗装道路を20分ほどひたすら登った先にあるのが、人口数百人のヴァイオ村。▼
実はここヴァイオ村は、アジャラワイン街道きってのワインの名産地とされている村。
その評判に偽りはなく、まるで村中がぶどう畑に覆われているよう。
アジャラワイン街道を象徴するような景観がどこまでも広がっているのです。
ヴァイオ村の一部の民家は、ワイナリーとして旅行者にも開放されています。
村にはワイナリーを示す看板が至る所にあるので、どこかを見学して行くのも良いと思います。(飛び込みではなく事前連絡していくのがベターかも)
毎年秋ごろになると、ジョージアでは「ルトヴェリ」(Rtveli)と呼ばれるワインの収穫&宴会が行われ、観光客でもぶどう収穫のお手伝いができることは有名。
地域や年によってルトヴェリの時期は変動しますが、だいたい9月後半~10月末のどこか2週間ほどが収穫の時期となります。
温暖な気候のアジャラ地方では他地域に比べてルトヴェリの時期はやや遅めで、10月半ば~10月末頃に行われるのが普通だそう。
この時期にヴァイオ村を訪問するなら、かなりの確率でルトヴェリに参加できると思います。(なにせみんな労働力を欲しているので)
村全体がワインを中心に回っているようなヴァイオ村の散策を終えたら、再びハイキングコースを西方向へと歩いて行きます。
それまでの舗装道路は未舗装道路となり、さらにハイキング気分が味わえるかも。
ヴァイオ→ケダ間はほぼ下り坂なので、体力的にもかなり楽に歩けます。
ヴァイオ村を出発して1時間弱で、この地域の中心的な町であるケダに到着しました。
ケダの中心街にはこれといった見どころはないものの、食堂や商店(コンビニチェーンのSparもあった)が充実しているので、休憩&ランチにおすすめです。
アジャラ地方山間部の人気スポット!【マフンツェティの滝&石橋】
アジャラワイン街道上で最もポピュラーな観光地が、マフンツェティ村(Makhuntseti / მახუნცეთი)。
「マフンツェティの滝」と呼ばれる名瀑布があることで有名で、バトゥミから40分ほどでアクセスできることもあり、週末は多くの観光客で賑わいます。
マフンツェティには滝の他にも有名なスポットがあり、町はずれにあるタマル女王の石橋(マフンツェティの石橋)も見逃せません。▼
ダンダロの石橋と同様に、こちらも中世に建設されたものがそのまま残っているすごい場所。
川の水深が比較的あるため、石橋の上から川に飛び込むことも可能。(リスクはあるだろうが)
度胸試しをする地元の子供たちの姿も見られ、そこはかとない「昭和の田舎感」が感じられます。
バトゥミに住む家族連れが、休日を過ごす場所としても人気のマフンツェティ。
本記事内ではワイン街道の見どころに含めて紹介していますが、バトゥミから単体でのデイトリップにもおすすめです!
アジャラワイン街道エリアのアクセス・交通情報
本記事内で紹介しているすべての町や見どころへは、マルシュルートカと呼ばれるミニバスでのアクセスが可能です。
拠点となるバトゥミ~ワイン街道沿いの各町を結ぶミニバス路線は、以下の3つがメイン。
これら3路線を途中乗車・下車しながら、各ポイントを移動するのが基本となります。▼
・フロ~ダンダロの石橋間:バトゥミ~フロ路線
・ダンダロの石橋~ズヴァレ教会~ケダ間:バトゥミ~フロ路線 or バトゥミ~シュアヘヴィ路線
・ケダ~マフンツェティ~Adjarian Wine House間:バトゥミ~フロ路線 or バトゥミ~シュアヘヴィ路線 or バトゥミ~ケダ路線
といった感じ。
バトゥミに近くなればなるほど、利用できるミニバスの種類が増えるといったイメージでOKです。
途中乗車 / 途中下車の場合は、フル区間分の運賃ではなく割引価格でOKであることが普通ですが、運転手によって途中乗車時の金額や対応が異なる場合がある点にご注意を。
各便の運行時間や最終便は、以下の通りです。
・バトゥミ~フロ便:8:00~17:00の間、1時間に1本 (フロ→バトゥミの最終は17:00フロ発)
・バトゥミ~シュアヘヴィ便:8:00~17:00の間、1時間に1本 (シュアヘヴィ→バトゥミの最終は17:00シュアヘヴィ発)
・バトゥミ~ケダ便:8:00~19:00の間、30分に1本 (ケダ→バトゥミの最終は18:00ケダ発)
これらの情報を上手に組み合わせてプランニングすれば、アジャラワイン街道を1日でまわるのは個人でも十分に可能です!
アジャラワイン街道を個人でまわる場合は、本記事で紹介している順番の通り(フロ→ダンダロの石橋→Adjarian Wine House→バトゥミ)での移動が鉄則です。
最大の理由は、反対方向(バトゥミ→ワイン街道→フロ)の順でまわろうとすると、徐々にミニバス路線の選択肢が少なくなってしまうため。
「フロ周辺エリアを観光&滞在→翌日バトゥミに戻る途中にワイン街道を観光しつつ移動」というプランが最も効率的です!。
おわりに
旅行者にはほとんど知られていない、アジャラワイン街道の見どころや個人でのアクセス方法を解説しました。
バトゥミから公共交通手段を利用しての日帰りも余裕ですし、フロ村滞在後にバトゥミへ移動するついでに観光していくことも可能です。
現在のところ知名度は皆無であるものの、ポテンシャルはかなり高めなワイン街道。
観光局が頑張ってプロモーションしていることもあり、いずれ脚光を浴びる日が来るかもしれません。
裏を返せば、ポピュラーになって旅行者が大挙して訪れる前の今がチャンス!
素朴な風景たっぷりの美しいエリアへ、ぜひ足をのばしてみてはいかがでしょうか。
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