こんにちは!ジョージア滞在も丸3年!世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ここ1~2年、物価上昇が止まらないジョージア。
かつては「とにかく激安!」「月5万で海外生活!」なんてキャッチフレーズでもてはやされていたのも今や昔。
食費も住居費も移動費も…とにかくありとあらゆる物の価格が、数年前の2倍以上になっています。
ジョージアで特に上昇が激しいものの一つが、国内移動費です。
ジョージアの移動手段の定番が、国土の隅から隅までカバーするマルシュルートカ(乗り合いのミニバス)。
庶民の味方であるはずのマルシュルートカさえ、現地通貨で考えてもかつての1.5倍~2倍以上に値上がりしており、円安のため円換算すると3倍近くになっている場合も少なくありません。
「ジョージア、色々行きたいところはあるけどお金かかるし…」と二の足を踏んでいるそこのあなた!
とっても良いことをお教えしましょう。
ジョージアには、物価上昇が止まらない現在においても格安で移動できる交通手段が存在するのです。
それが、ジョージア国鉄が運行するローカル鉄道。
ジョージアには主要なローカル鉄道路線が合計で5路線あるのですが、運賃はいずれもマルシュルートカ利用時の6分の1ほど。
区間によってはマルシュルートカ利用の10分の1の値段で移動できてしまう場合もあり、一度鉄道を利用すると他の交通手段を使うのが馬鹿馬鹿しく思えてくるほどに安いです。
5路線あるローカル鉄道のうち今回紹介するのは、首都・トビリシと南部の温泉保養地・ボルジョミを結ぶトビリシ~ボルジョミ間ローカル鉄道。
ジョージア旅行で定番の町であるボルジョミへのアクセスにぴったりであるのはもちろん、ジョージア東部&中部地域の見どころや町にも格安でアクセスできてしまいます。
その運賃は、なんとたったの1GEL~2GEL(¥50~¥100)!
マルシュルートカで同じ区間を移動した場合は10GEL~15GEL(=¥500~¥750)もするので、もはや雲泥の差があります。
ネット上にはほとんど情報がなく、実際に利用した人のレポートはとても貴重なこの路線。
上手に使えば、トビリシを拠点としたデイトリップの選択肢が大きく広がります。
今回の記事では、トビリシ~ボルジョミ間のローカル鉄道の詳細情報や利用方法、沿線の見どころ情報までたっぷりと解説していきます。
「鉄道を極める者はジョージアを極める」と昔から言われるように(んなことはない)、安く快適にこの国を旅したい人にとって、鉄道路線と利用法は絶対に知っておくべき。
この記事をきっかけに、トビリシのお洒落カフェでノワドワークやらPCカタカタしているだけの薄っぺらいジョージア滞在をする日本人が悔しがるくらいに、ジョージア地方部へもっと気軽に出向いて旅するジョージアガチ勢の日本人の数が増えてほしいな…とささやかな願いを込めつつお送りします。
トビリシ~ボルジョミ間のローカル鉄道とは?基本情報
トビリシ~ボルジョミ間ローカル鉄道は、ジョージア東部に位置する首都・トビリシと、ロシア帝国時代から続く由緒正しき温泉保養地のボルジョミの二都市を結ぶ、1日2往復の路線。
トビリシとボルジョミのいずれの町もジョージア旅行の定番とされる町なので、短期間の旅行者にとってもこの二都市間を結ぶ鉄道の利用価値は高いと思います。
トビリシ~ボルジョミ間の所要時間は4時間半ほどで、マルシュルートカ利用時(3時間)に比べるとどうしても時間がかかります。
しかしながら、座席ペースが広々としている点や、大きな荷物を置くスペースがある点は鉄道の大きなメリット。
少し時間が多めにかかっても快適に移動したい人には、鉄道利用を強くおすすめします!
トビリシ~ボルジョミ間ローカル鉄道の路線図&沿線の町
トビリシ~ボルジョミ間の移動にはもちろん便利な鉄道ですが、途中の町へのアクセスにも利用が可能です。
世界遺産の古都ムツヘタや、ソ連時代の指導者スターリンの生誕地であるゴリ、「ジョージアの名古屋」な町ハシュリに、ジョージア温泉街道の入口となるアハルダバ…
トビリシ~ボルジョミ間ローカル鉄道の沿線には、個性豊かな町や見どころがごろごろと点在しているのです。
しかも、鉄道を利用すればどこも激安でアクセスできるのがポイント。
ジョージア東部~中部にかけてガッツリまわりたい旅行者には、とても利用価値が高いです。
トビリシ~ボルジョミ間ローカル鉄道のスケジュール&料金
トビリシ~ボルジョミ間の鉄道の知名度が限りなくゼロに近い最大の理由が、インターネット上の時刻表検索とネット予約に対応していないため。(まあローカル鉄道なので当たり前ではあるけど)
ジョージアの鉄道チケット予約の公式サイトTkt.geの検索では表示されないのですが、ちゃんと鉄道は存在しているのでご安心を。
ジョージア鉄道の公式サイトでは時刻表も掲載されています。
便番号 | トビリシ発 | ムツヘタ発 | ゼグヴィ発 | ゴリ発 | カレリ発 | ハシュリ発 | アハルダバ発 | ボルジョミ着 |
618 | 6:35 | 7:05 | 7:15 | 8:25 | 8:55 | 9:20 | 10:00 | 10:45 |
686 | 18:50 | 19:20 | 19:35 | 20:40 | 21:00 | 21:35 | 22:20 | 23:10 |
(太字は現実的に利用しやすい便)
便番号 | ボルジョミ発 | アハルダバ発 | ハシュリ発 | カレリ発 | ゴリ発 | ゼグヴィ発 | ムツヘタ発 | トビリシ着 |
617 | 5:55 | 6:50 | 7:30 | 8:05 | 8:25 | 9:35 | 9:50 | 10:11 |
685 | 15:30 | 16:25 | 17:05 | 17:41 | 18:00 | 19:10 | 19:25 | 20:05 |
(太字は現実的に利用しやすい便)
運賃はとにかく激安。
トビリシ~ボルジョミのフル区間を乗車する場合は2GEL(=¥100)。
トビリシ~アハルダバやボルジョミ~ゴリなど、途中駅で乗車/下車する場合は距離にかかわらず1GEL(=¥50)という謎の料金設定です。
トビリシ~ボルジョミ間ローカル鉄道の車内設備
「ジョージアのローカル鉄道」と聞くと、なんだか一般の旅行者には利用するハードルが高そうに思えるもの。
しかしながら、実際はその正反対!
とっても簡単に利用することができますし、トビリシ~バトゥミ間の高速鉄道とは異なり、事前に予約をする必要はありません。
極論ですが、朝起きて「ああ…自然の中で温泉に浸かりたい…」という日本人の血が騒いだ数十分後に鉄道に飛び乗ってのノープラン激安日帰り温泉旅行をすることだってできるのです!
トビリシ~ボルジョミ間は4時間半ほどの長旅となりますが、そうなると気になるのはトイレ。
清潔さはまあ置いておくとして、トビリシ~ボルジョミ間の鉄道には各車両に1ヶ所トイレが設置されているので安心です。
反対に、不便かもしれないのが電源コンセントやWi-fiなどの環境がないこと。
暖房は足元に設置されているので真冬の乗車でも安心ですが、冷房はないため、真夏の利用は大変かもしれません。(とはいえ、走行中は窓から風が入って来るのでそこまで灼熱にはならない)
トビリシ~ボルジョミ間ローカル鉄道の利用方法
トビリシ~ボルジョミ間の鉄道利用方法は、ジョージアの鉄道の利用方法の基本とほとんど変わりません。
その他の鉄道路線との最大の違いは、インターネットでチケット予約ができない(=当日駅の窓口でチケットを購入する)点と、座席が指定制でなく自由席であるという点です。
この二点さえ押さえておけば、あとは日本の鉄道利用時と似たようなもの。
一度利用してしまえば「こんなに簡単に激安で移動できるなんて…!」と感動するはずです。
①鉄道駅へ
まずは、出発地となる鉄道駅へ向かいましょう。
トビリシ出発の場合は、中心街東部にあるトビリシ中央駅(Tbilisi Central Railway Station)が便利。▼
ボルジョミ出発の場合は、ボルジョミ中心街に位置するボルジョミ公園駅(Borjomi Parki Railway Station)の出発となります。▼
その他の町出発の場合は、それぞれの町に一つしかない鉄道駅に行けばOK。
時間には余裕をもって、出発時刻10分前には到着しておくのがベストです。
②チケットを購入
鉄道駅に到着したら、駅構内の窓口でチケットを購入します。
パスポートの提示等は必要なく、行き先の駅名と人数を告げるだけ。
支払いは現金のみ(&高額紙幣はお釣りの用意がないので小銭がベスト)となる点にご注意を。
ほとんどの駅は一階建てで、駅構内のどこかに窓口があるので簡単に見つけられます。
いっぽうで、四層構造&謎のショッピングセンター併設という巨大ターミナルであるトビリシ中央駅出発の場合は予め窓口がある場所を知っておくのが良いでしょう。
トビリシ中央駅のチケット販売窓口があるのは、メイン入口がある二階や鉄道のプラットホームがある三階ではなく、その一つ上の四階。
四階の円形ホールを囲むように窓口が十か所ほど設置されています。
多くの旅行者にとって利用しやすいトビリシ6:35発のボルジョミ行きの鉄道チケット購入は、特に時間の余裕を持っておきましょう。
早朝は窓口が一つしか開いていない場合が多く、ちんたら仕事をする係員&早朝から謎の返金クレームをする客のダブルパンチなんて食らって、チケットを変えずに乗り遅れる…なんてことになったら大変なので。(実話)
トビリシやボルジョミはもちろん、ゴリ、カレリ、ハシュリなどメインの有人停車駅から鉄道に乗車する場合は、上の流れでチケット購入すればOK。
問題は無人駅から乗車する場合です。
無人駅=窓口でチケット購入ができないので、鉄道が来たらチケットを持たずに乗車してOK。
乗車後に各車両に設置された発券機でレシートような紙を発行してチケット代わりにします。▼
車内の発券機は硬貨しか受け付けていないので、細かい小銭を用意しておくのがスマート。
発券機の仕様上、本来は1GELで移動できる区間であっても、列車内でチケット発行の場合は一律2GELの運賃となります。
③乗車
無事にチケット購入を済ませたら、鉄道が出発するプラットホームへと向かいましょう。
トビリシ中央駅は、ほとんどの場合2番ホームの発着。(でもいちおう電光掲示板で確認を!)
チケット購入窓口がある四階円形ホールの奥に続く階段を下りた先が2番ホームです。
それ以外の駅から乗車する場合は、ホームは一つしかないため迷うことはないでしょう。
トビリシ~ボルジョミ間の鉄道は四両編成。
車両も座席も自由なので、空いている場所どこにでも座ってOKです。
のぶよ的には、進行方向右側(北側)の座席の方が車窓からの風景が美しいのでおすすめ。
天気の良い日であれば、雪をかぶったコーカサス山脈を遠くに望みながらの鉄道旅となります。
列車が出発して間もなく、各車両の乗務員が検札にまわって来るので、購入したチケットを提示すればOKです。
あとは目的地まで一直線。快適でゆっくりとしたローカル鉄道旅を存分に楽しみましょう!
トビリシ~ボルジョミ間ローカル鉄道の沿線の見どころ
ここまでで、トビリシ~ボルジョミ間のローカル鉄道に関する基礎知識はOKなはず。
多くの旅行者は、ボルジョミへの移動のためにこの路線を利用するでしょうが、沿線の見どころはボルジョミだけではありません。
ここからは、トビリシ~ボルジョミ間ローカル鉄道の主な停車駅と、各停車駅からアクセスできる見どころをざっくりと紹介していきます。
下記のいずれの見どころも、トビリシ/ボルジョミ/ゴリなどある程度大きな町を拠点として、鉄道での日帰り往復が可能。
ジョージア旅行の選択肢がぐんっと広がるはずです!
トビリシ中央駅
トビリシ~ボルジョミ間ローカル鉄道旅において、多くの旅行者にとっての出発点となるトビリシ中央駅。
1日2本の便のうち、始発は朝6時台の出発。
まだ暗いトビリシの町を鉄道駅へと向かっていく道すがらも、なんだか旅気分を盛り上げてくれます。
ボルジョミ行きの列車は、ソ連時代のものがそのまま使用されています。
ガコガコと音を立てながら出発を待つレトロな車両と、人影まばらな早朝のプラットホームの情景もなかなかに良い感じ。
よく驚かれるのですが、ジョージア鉄道はかなり時間に正確です。
悪天候や災害による遅延や運休こそもちろんありますが、平常時であれば時間通りに運行されることがほとんど。
そもそも鉄道の本数に限りがあるため、遅延する理由も少ないのかもしれません。
トビリシ中央駅を定刻で出発した列車は、まだ眠りについている薄暗い市街地を横目に、ゆっくり北へと走っていきます。
ムツヘタ駅
トビリシ市街地北部の小さな駅にいくつか停車した後、列車はとうとうトビリシの町を抜けてジョージア地方部へと入ります。
最初の主な停車駅が、ムツヘタ駅。
UNESCOの世界遺産にも指定されているジョージアの古都・ムツヘタの最寄り駅です。
ほとんどの旅行者はトビリシ~ムツヘタ間をマルシュルートカで移動するので、鉄道でのアクセスも可能であることは意外に知られていません。
定番の観光地の最寄り駅でありながらも、利用者が少ないムツヘタ駅。
古都らしさを演出するためか、プラットホームはジョージア伝統の木製テラスを模した装飾が施されていて、なかなかに絵になります。
ムツヘタ駅を出発すると、列車はムトゥクヴァリ川に沿って続く峡谷地帯をガタゴトと走っていきます。
ムツヘタ駅周辺の見どころ
ムツヘタは、トビリシからのデイトリップ先として人気が高い世界遺産の町。
およそ2200年前~1600年前にかけて、イベリア王国(当時ジョージア東部を治めていた国)の首都として繁栄を極め、4世紀初頭にジョージアが「世界で二番目のキリスト教国」となった際の様々なエピソードの舞台となった歴史ある地です。
世界遺産に指定されている三ヶ所の修道院に囲まれたムツヘタ旧市街は、古都らしい情緒ただよう素敵な雰囲気。
トビリシからマルシュルートカでのアクセスが一般的ですが、鉄道でアクセスすればまだ観光客が来る前の早朝のムツヘタ散策ができるのは大きなメリットだと思います。
ゼグヴィ駅
ムツヘタ駅から15分ほどで到着するのがゼグヴィ駅。
乾いた峡谷地帯のど真ん中にぽつりとある無人駅で、ジョージア地方部を象徴するような哀愁と退廃的な雰囲気が漂っています。
ジョージア人の間では「ゼグヴィ駅=他の列車とのすれ違い待ちで数分間停車する駅=絶好のたばこ休憩ポイント」としてしか認識されていませんが、実はこの駅はある見どころの最寄り駅。
鉄道以外で個人でアクセスするのは難しい場所なので、意外と利用価値があります。
ゼグヴィ駅周辺の見どころ
ゼグヴィ駅の北2kmほどの山の中腹にひっそりとたたずむのが、シオ・ムグヴィメ修道院。
断崖絶壁の岩山を背景に堂々と構える聖地の姿は、まるでRPGゲームの世界を具現化したかのよう。
1600年ほどの長い歴史を誇り、かつては岩山に掘られた洞窟住居で数千人の僧たちが生活した場所でもあります。
シオ・ムグヴィメ修道院へのアクセスはやや難ありで、ムツヘタの町からタクシーをチャーターするのが一般的。
しかしながら、鉄道を利用してゼグヴィ駅を拠点として徒歩で往復すれば、個人でも簡単に日帰りすることが可能です。
ゴリ駅
ゼグヴィ駅を出発した列車は、ジョージア東部らしい荒涼とした大地をぐんぐんと進み、やがて峡谷を抜けて平野部に出ます。
ここはシダ=カルトリ地方に属しており、トビリシ周辺とは風土や文化がやや異なるジョージア中部。
トビリシを出発してからおよそ1時間半ほどで到着するのが、この地域の中心的な町であるゴリの鉄道駅です。
ゴリと言えば、ソ連時代の最高指導者であるヨセフ・スターリンの生誕地として有名な町。
街の玄関口であるゴリ鉄道駅には、スターリンの像を置くためだけにある「スターリン部屋」なるものがあり、訪れる旅行者の度肝を抜いていました。
しかし、まあ色々と問題があったのでしょう。2023年現在は部屋の入り口にカーテンが敷かれ、スターリン部屋は見えないようになっています。
ゴリ駅周辺の見どころ
ゴリはとても小さな町で、丸一日あれば主要な見どころはサクッとまわれてしまいます。
市内で最大の見どころとされるスターリン博物館をはじめ、エキゾチックでレトロな雰囲気の旧市街や、市内を一望するゴリ城塞など、ゴリの見どころは意外にも豊富。
ジョージア地方部の小都市らしいのんびりとした時間の流れと、ソ連時代の雰囲気が色濃い不思議な街並みは、一度訪れるとクセになるかもしれません。
ゴリ周辺には、ウプリスツィヘやアテニ渓谷などの素晴らしいスポットが点在しているのもポイント。
この町に数泊して、色々と足をのばすのもおすすめです。
また、ゴリにはジョージア中部地域独自のご当地グルメが根付いている点も見逃せません。
周辺はワインの名産地としても知られ、「ゴルリ・ムトヴァネ」と呼ばれる緑色のワインも味わってみたいものです。
カレリ駅
シダ=カルトリ地方最大の町であるゴリを出発した列車は、ムトゥクヴァリ川沿いに開けた平野部を西へと走っていきます。
シダ=カルトリ地方のゴリより西側は、旅行者がほとんど訪れない地域。
ほとんどの人は車窓から乾いた大地と小さな村々を眺めるだけでしょうが、実は知られざる見どころが多く点在しているエリアでもあります。
人々に忘れ去られたかのようなシダ=カルトリ地方西側エリアの中心的な町として機能しているのが、カレリです。
カレリの町自体は「よくある限界地方都市」といった感じで、市内には見どころはありません。
しかしながら、町のすぐそばには小コーカサス山脈に抱かれた超穴場エリアがあり、訪れる旅行者を待ちうけています。
カレリ駅周辺の見どころ
カレリの町の南に広がる20kmほどの渓谷地帯は「ザマ渓谷」と呼ばれるエリア。
小コーカサス山脈の麓から中腹にかけてのゆるやかな山道に沿って小さな村々が連なっており、ジョージア地方部伝統の暮らしが現在にも息づいています。
大自然や伝統的な村々も美しいザマ渓谷ですが、この場所のすごい点が81もの有人修道院が存在していることです。
ジョージア全国的に見ても、ここまでの密度で現役の祈りの場が点在している地域は珍しいもの。
麓の人々がザマ渓谷を「祈りの谷」と呼ぶのも納得です。
実際にザマ渓谷を訪れると、宗教の違いを超えた絶対的な聖地感に圧倒されるはず。
日本語はおろか英語での情報もいっさい存在しないほどの穴場of穴場ですが、ジョージアという国に息づく信仰の力を五感で感じたい人にはぜひともおすすめしたいです。
ハシュリ駅
カレリ駅を出発した列車は、単調で荒涼としたかわり映えのしない風景の中をさらに西へと進んでいきます。
トビリシを出発してからおよそ3時間ほどで到着するのが、ハシュリの鉄道駅。
ハシュリは、東西に広がるジョージアのちょうど真ん中に位置する「ジョージアのヘソ」のような町。
この国の東西を結ぶ鉄道やバスのほとんどすべてが経由する、ジョージア最大の交通の要所です。
ハシュリ鉄道駅では、他の列車の通過待ちや連結待ちの間、数分~十数分の停車時間があるのが定番。
そこに目を付けた地元の人が、鉄道が到着するやいなやスナックや自家製のパンを乗客に売りに来るようになり、現在ではハシュリ鉄道駅の風物詩として定着しています。
日本の鉄道旅において駅弁が旅情を掻き立てるのは、ジョージアにおいても同じこと。
名物の「ハシュリ風ロビアニ」やハチャプリを旅のお供に、残りの鉄道旅を満喫するのがおすすめです。
ハシュリ鉄道駅は、クタイシやバトゥミなどのジョージア西部地域へ向かう鉄道と、ボルジョミ行きの鉄道の分岐ポイント。
ここで乗り換えて、ジョージア西部へとアクセスすることも可能です。
ボルジョミ行き以外の西方面の鉄道路線については、以下の別記事をチェックしてください!
ハシュリ駅周辺の見どころ
ハシュリの町自体には見どころはほとんどありませんが、ハシュリの鉄道駅から北に3kmほど離れたスラミという小さな町には、足をのばす価値が十分にあります。
スラミは、古くから多民族が共存してきた歴史を持つ町。
ジョージア人だけでなく、アルメニア人やユダヤ人などが暮らしてきた痕跡は現在も残っており、どこか異国情緒漂う独特の雰囲気とレトロさが素敵です。
また、スラミはソ連時代に活躍したアルメニア人映画監督であるセルゲイ・パラジャーノフの『スラミ砦の伝説』の舞台となった土地でもあり、ミステリアスな伝説が息づくスラミ城塞は必見です。
スラミとハシュリには独自のご当地グルメがある点も見逃せません。
窯焼きぶどうパン「ナズキ」や、ぼってりした生地にバターが香る「ハシュリ風ロビアニ」は必食。
ハシュリの地ビールであるFisherは、のぶよ的にジョージアで一番美味しいビールにランクインしています。
ジョージアのど真ん中に位置する交通の要所であり、独自の道をゆくご当地グルメの宝庫、なのに旅行者からの注目度は低く素通りされがちなハシュリは、まさにジョージアの名古屋。
地味ではあるものの、のぶよは大好きな町です!
アハルダバ駅
ハシュリ駅を過ぎると、それまでの荒涼とした平野の風景から一転。
列車は、深い山々の一面の緑に囲まれた峡谷地帯を進んでいきます。
地理的にはシダ=カルトリ地方からサムツヘ=ジャワヘティ地方に入り、隣り合った二地域のあまりの風景の違いに驚くはず。
二つの地方の境界線を越えた最初の停車駅が、アハルダバ駅です。
アハルダバ鉄道駅は無人駅となっており、放置されて廃墟となった駅舎はまるでお化け屋敷。
あまりの場末感に、乗車/下車する際はそこはかとない不安に駆られるでしょうが、ちゃんと列車は停まるので安心してください(笑)
アハルダバ駅周辺の見どころ
アハルダバ鉄道駅の南にあるアハルダバ村は、緑に囲まれた人口数百人の小さな村。
観光スポットがあるわけではないアハルダバですが、のぶよはこの村をとにかく激推ししています。
その理由が、天然温泉と郷土料理が楽しめるため。
実はここアハルダバは、「ジョージア温泉街道」と呼ばれる(というか、のぶよが勝手に呼んでいる)地域の玄関口に位置する村。
この村を起点として、小コーカサス山脈の麓でこんこんと湧く極上の温泉をめぐることもできるのです。
山深い地らしく、自然の恵みをふんだんに使った郷土料理もアハルダバの魅力。
トビリシからアハルダバ単体で日帰り温泉旅行も可能ですし、さらに先のボルジョミ観光と組み合わせての訪問もおすすめです!
ボルジョミ公園駅
延々と続く緑の風景を車窓越しに眺めていると、急に視界がぱっと開けて大きな町が現れます。
ここが、ボルジョミ。200年ほど前のロシア帝国時代から愛され続けてきた温泉保養地です。
長らく続いた鉄道旅もここでおしまい。
その終着点となるのが、ボルジョミ公園駅です。
かつては遠くモスクワからの直行夜行列車の終着駅として大いに栄えた駅ですが、現在停車するのは1日2本のトビリシ~ボルジョミ間ローカル鉄道のみ。
かつて保養客で大賑わいとなった時代の栄光など見る影もなし…とばかりに寂れていますが、往年を偲ばせる優雅さの残り香はどことなく感じられるかもしれません。
ボルジョミ公園駅は、ボルジョミの中心街ど真ん中に位置する便利な立地。
到着後すぐに観光を始められるのは大きなメリットです。
ボルジョミ公園駅周辺の見どころ
ボルジョミ公園駅から南へのびる道が、ボルジョミのメインストリート。
小川に沿って続く道沿いには歴史を感じさせる建物が建ち並び、散策にはもってこいです。
メインストリートの端まで歩くと、ボルジョミ中央公園に行きあたります。
ジョージアはもちろん、旧ソ連圏では知らぬ者はいないミネラルウォーター“Borjomi”の源泉が湧くのが、このボルジョミ中央公園。
公園の敷地はとにかく広大で、最奥部には入浴可能な温泉プールまで。
半日かけてのんびり散策するのもおすすめです!
市内観光だけでもかなり見ごたえがありますが、周辺にはさらなる見どころがごろごろと転がっているのもボルジョミの素晴らしい点。
アハルツィヘやヴァルジアなど、ジョージア南部の観光ハイライトとなる見どころへのアクセス拠点としても便利&宿泊先の選択肢が豊富なので、数日間滞在するのも良いでしょう
また、ボルジョミは「ジョージア温泉街道」に位置する町。
ボルジョミ市内にも温泉は湧いていますが、周辺にも泉質が異なる温泉が湧くスポットが点在しており、湯めぐりの拠点としてもぴったりです。
日帰りでも、宿泊しながらのガッツリ観光でも、のんびり滞在派でも、大自然をアクテイブに楽しみたい派でも…どんなスタイルの旅行者にもぴったりな町がボルジョミ。
小コーカサス山脈の宝石のようなこの町に、鉄道を利用すればトビリシから格安でアクセスできるのですから…
もう行かないなんて選択肢、ないですよね?(圧を込めて)
おわりに
トビリシ~ボルジョミ間のローカル鉄道の利用法から、沿線の町や見どころまでを紹介してきました。
ネット上でほとんど情報がないためか、外国人の利用者はほぼゼロであるのが現状。
いつ乗ってもガラガラで心配になるレベルです。(運賃が安すぎるので儲かってるわけもないはず)
廃線なんかになろうものなら悲しみが極むので、ぜひ皆さん利用してあげてください。
(そしてまじでこんなニッチな情報を細かく解説してるのぶよに感謝してほしい)
一度利用してしまえば、「え!こんな所も鉄道で行けるんだ!」と鉄道利用のハードルがぐっと下がるはず。
しかも格安で移動できるので、節約バックパッカー旅との相性も抜群です。
本記事で紹介したスポットをはじめ、とにかく行ける場所の範囲が大きく広がるので、とにかく一度利用してみてください。
「定番スポットはもう制覇した!」という人には、心からおすすめのジョージアローカル鉄道旅。
トビリシだけではないジョージア地方部の多様な魅力を感じに、さあ出発進行…!
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