こんにちは!ジョージア山間部のラチャ=レチュフミ地方を1ヶ月間旅した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
近年、全国的に観光地化の波が押し寄せているジョージア。
「定番」とされるエリアには多くの旅行者が訪れるようになり、春から秋にかけての旅行シーズンにはたくさんの人で賑わうようになりました。
そんな「もう見つかってしまった感」があるコーカサスの小国において、最後の穴場エリアのような存在であるのが、ラチャ=レチュフミ地方(Racha-Lechkhumi / რაჭა-ლეჩხუმი)です。
ラチャ=レチュフミ地方は、その名の通り、ラチャ地方とレチュフミ地方の二つの隣り合った地域からなる山岳エリア。
北側にはコーカサスの険しい山々が、南側には標高2000m級の山脈が連なり、ジョージアの他地域からは地理的に隔絶されています。
そのため、かねてから他地域との交流が少なく、山岳地域ならではの独自の伝統文化を色濃く残していることで知られています。
ラチャ=レチュフミ地方は、ジョージア人にとっての心のふるさとのような存在。
「ジョージアで一番好きな地方は?」とジョージア人に尋ねると、十中八九「ラチャ=レチュフミ!」と返ってくるほどですから。
(「自分の生まれ育ったエリアが一番!」と考える人が多いジョージアにおいて、これはものすごいこと)
実際にラチャ=レチュフミ地方を訪れてみれば、その理由がきっと肌で感じられるはず。
ジョージという国の古き良きピュアな魅力が、ここまで色濃く残っている地方は他にありませんから。
時が止まったような美しい山村や、ラチャ文化香る情緒豊かな町、体に染み渡るような郷土料理の数々に、伝統のワイン造り文化…
ラチャ=レチュフミ地方で体験できることは、とにかくすべてが本物。
「観光客にお見せする用」ではない、ジョージア本来の魅力がそこら中に転がっているのです。
今回の記事は、ラチャ=レチュフミ地方の観光・文化体験に関する情報をまとめたもの。
「ラチャ=レチュフミ地方でしたい25のこと」と題して、見どころやグルメ、伝統文化体験まで、この地域の魅力を余すところなく紹介しています!
「ラチャ=レチュフミ地方」とひとことで言っても、エリアごとに大きく景観や文化が変わるのも特徴的。
本記事ではラチャ=レチュフミ地方を3つのエリアに分けて、それぞれの見どころを紹介しています。 ▼
・アッパー・ラチャ地域:コーカサス山脈に抱かれた山岳エリア
・ロウワー・ラチャ地域:ぶどう畑が連なるラチャ地方文化の中心エリア
・レチュフミ地方:ジョージアで最も旅行者が訪れない秘境エリア
ラチャ=レチュフミ地方を実際に旅した人による観光情報のまとめ記事は、おそらく日本初。
この宝石箱のような美しいエリアを訪れる人が、どうか少しでも増えますように…!
アッパー・ラチャ地域
ラチャ地方の東部を占めるのが、アッパー・ラチャと呼ばれるエリア。
標高800m~1700mの山がちな地形に、大小さまざまな村が点在しています。
アッパー・ラチャ地域の北側にはコーカサス山脈が、南側には標高2000m級の山々が連なり、長らく他地域との行き来が難しいことで知られていました。
そのため、観光・滞在の拠点となるオニの町を中心に、手つかずの山岳地域の文化が色濃く残っています。
①「オニ」の情緒ある町を散策する
アッパー・ラチャ地域で最大の町が、人口2500人ほどのオニ(Oni /ონი)。
かつてはラチャ地方全体の中心的な町として栄えていましたが、現在ではロウワー・ラチャ地域のアンブロラウリにその座を譲り渡しました。
しかしながら、ラチャ文化の中心地としてのオニの存在感は、いまだに健在です。
オニは、ラチャ地方の伝統的な造りの民家が多く残る情緒豊かな町並みが特徴的。
小綺麗に整備された数本のストリートの散策はとても楽しく、町を見守るように聳えるコーカサスの山々の風景も圧巻です。
オニの中心街は、1時間もあればぐるりとまわれてしまうほどの規模。
昔懐かしいレトロな風景を眺めながら、この町の文化的な雰囲気を感じましょう!
②「ジョージアで一番美味しいヒンカリ」を食べる
オニの散策時に絶対に見逃したくないのが、「伝説のヒンカリ店」と噂される小さな食堂。
ヒンカリとは、ジョージア料理の茹で小籠包のこと。
オニの中心街には、地元の人の間で知らぬ者はいないほどの有名店があり、わざわざトビリシやクタイシなど他の地域からこのお店のヒンカリを食べるために訪問するジョージア人もいるほどなのだそうです。
実際に伝説のヒンカリを食べてみて、びっくり。
溢れんばかりの肉汁が詰まったヒンカリはとにかく絶品で、肉の旨味も生地の食感も味付けも、とにかくすべてがパーフェクトだったためです。
ジョージアで数多くのヒンカリを食べてきたのぶよにとっても、一、二を争うほどだった極上のヒンカリ。
オニの人々が誇る絶品グルメの威力に感動してほしいです!
③「ラチャ風ハム」をゲットする
アッパー・ラチャ地域、特にオニ周辺エリアを訪れるのであれば、ぜひとも食したいグルメの一つがラチャ風ハム。
ジョージア語では「ラチュリ・ロリ」(Rachuri Lori / რაჭური ლორი)、もしくは単に「ロリ」(=ハム)と呼ばれるこの食品は、豚肉を独自の方法で燻製にしたもの。
大昔からラチャ地方の山々に住む人々によって作られ、厳しい冬を乗り越えるための保存食として愛されてきました。
ラチャ地方では豚は自由に山林を歩き回らせ、野生のリンゴやプラムなどの果物を食べて育てる飼育法が古くからなされていました。
ラチャ地方の家庭では毎年11月になると育った豚を屠殺し、冬場の保存食のためのラチャ風ハム作りが始まります。
その製法は伝統に則ったもので、2週間木に吊るして乾燥させた肉を屋根裏部屋に移動させ、火が付いた暖炉の真上で40日間置くというもの。
暖炉にくべる薪の種類も、梅の枝や松の枝などと決まっているそうで、これらの木から発せられる煙で燻製にされたハムに独特の香りが染み込むのだそうです。
こうして、年が明ける直前にようやく完成するのがラチャ風ハム。
この地域の自然の恵みがギュッと詰まった一品なのです。
ラチャ風ハムはラチャ地方のレストランの多くで提供されているので、手軽に食べることも可能。
ラチャ風ハムを入れたロビオ(豆の煮込み)やロビアニ・ロリット(豆ペーストとハム入りのパン)など、他の料理の具材として使用されることもあります。
また、ラチャ風ハムをお土産にしたい場合や、のぶよのように気に入ってしまって毎日の酒のお供にしたい場合は、市場で購入するのがおすすめ。
アッパー・ラチャ地域の中心的な町であるオニでは毎週水曜日だけ市場が立ち、多くの露店で自家製のラチャ風ハムが売られます。
相場は1kgあたり25GEL~30GEL(=¥1250~¥1500)ほどで、好きな量を購入することが可能。
脂が多めの部位や赤身の部位、あばら骨の周りの部位など、好きな部位を選んでカットしてもらえるのも嬉しいです。
ラチャ風ハムはそのまま食べることももちろん可能ですが、少し温めて柔らかさを出したり、茹でた状態で食べるのもポピュラー。
他の料理に少し入れるだけで、どんな料理でも一気にラチャ風となります!
口の中でとろける油と、芳醇な肉の味わい、鼻に抜けるアロマ…
とにかく美味しいので、ラチャ地方に滞在する際はぜひとも挑戦してみてください。
④「グローラ村」の美しさに感動する
アッパー・ラチャ地域の北側に連なるコーカサス山脈。
その中腹に点在するいくつかの山村のうち、最も美しいと言われる村の一つが、グローラ(Glola / გლოლა)です。
実際に訪れてみると、地元の人が「グローラはとにかく美しい」と口を揃えるのも納得。
どこを切り取っても、絵画そのものな風景が見られるのですから。
年間を通して異なる風景を見せてくれるグローラですが、最も美しいのは紅葉の時期。
のぶよが訪れた10月半ばは紅葉のピークで、伝統的な村の風景を彩る木々の風景は、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだかのようでした。
⑤「極上ゲストハウス」でジョージアのホスピタリティーに触れる
グローラ村の素晴らしさは、その非現実的な風景だけではありません。
カズベキやスヴァネティ地方など、観光地化が激しいジョージアのコーカサス山脈エリアの中で、グローラ周辺は完全に手つかずの状態。
そのため、「観光客にお見せする用」ではない、本物のコーカサス山岳地域の文化や生活が色濃く残っているのです。
ラチャ地方のピュアな山岳地域文化の象徴が、グローラ村で宿泊したゲストハウスでした。
オールドスクールな内装、自給自足が基本の伝統的なライフスタイル、温かく迎えてくれる家族…
「ゲストハウス」と言うよりも、普通の民家にホームステイしているような感覚になります。
言葉の壁こそあれど、人の優しさの前にはそんなものは無関係。
毎日ご飯を作って一緒に食べたり、無限に出てくるワインで飲み明かしたり、りんご拾いや牛の散歩を手伝ったり…
絵に描いたような「ジョージアの山村でホームステイ体験」ができるのです。しかも、すべて無料で。
安すぎる宿代だけで、こんなに温かくもてなししてくれるのが申し訳なく感じてしまったほど。
見返りを求めたり、お金が絡むわけではない「本物のジョージア伝統のホスピタリティー」は、観光客が激増した今では風前の灯火となっているのが現状。
それがグローラ村ではちゃんと残っていることに、感動してばかりの毎日でした。
⑥「スターリンのダーチャ」を探検する
グローラ村から東に2kmほど。南オセチアとの境界まで目と鼻の先にあるのが、ショヴィ(Shovi / შოვი)という小さな村。
ソ連時代に山岳リゾートとして開発されたこの村にひっそりと残るのが、「スターリンのダーチャ」と呼ばれる木造の別荘です。
およそ100年前に建てられた木造の別荘の内部は完全なる廃墟。
不気味で寂しげな雰囲気が支配する空間は、ちょっとしたお化け屋敷のようです。
スターリンのダーチャは、多くの謎に包まれたミステリースポットとしての一面も。
本当にスターリンがこの場所に足を踏み入れたのかどうかさえも、はっきりしていないのだそうです。
スターリンのダーチャをはじめ、ショヴィ村の大部分は放置された状態。
「廃マウンテンリゾート」となっており、ホラー映画の舞台さながらの光景が至る所に広がっています。
⑦シュクメルリ発祥の地「シュクメリ村」を散策する
日本でちょっとしたブームとなった、ジョージア料理のシュクメルリ。
その発祥の村があるのが実はここラチャ地方であることは、ほとんどの人に知られていません。
村の名は「シュクメリ」。
シュクメルリという料理名自体が、ジョージア語で「シュクメリ風の」という意味なので、なんとも理にかなっています。
シュクメリ村があるのは、アッパー・ラチャ地域の中心的な町であるオニの南に連なる山の頂上。
標高は1700m以上もあり、山村らしい素朴な風景と伝統的な家屋がとても印象的です。
シュクメリ村には飲食店はおろか商店すらなく、スマホの電波すら入らないほどの僻地。
「発祥の村でシュクメルリが食べたい!」と考えている人には残念ですが、それはかなりハードルが高いかもしれません。(民家にお邪魔するしか方法がない)
とはいえ、シュクメリ村の風景はラチャ地方山岳部を代表するほどに美しいもの。
一度この地に立つと、「こんな山奥の村の料理が遠く日本に伝わったのか…」と、そこはかとない感動に包まれるはずです。
⑧天空の村「ムラヴァルザリ」で奇跡を起こした教会に圧倒される
ラチャ地方の人々が口を揃えておすすめしてくる場所が、ムラヴァルザリという村。
標高1700m以上の場所に位置しており、ラチャ地方の深い山々を一望するロケーションは「天空の村」さながらです。
村の人口は百人に満たないほどだそうで、素朴で静寂に包まれた雰囲気が素敵。
周辺にはラチャの大自然が広がり、トレッキングを楽しむこともできます。
ムラヴァルザリ村の最も高い場所に位置するムラヴァルザリ教会も必見。
千年以上の歴史を持つ聖地で、オリジナルのレリーフなどがちゃんと残っています。
ムラヴァルザリ教会にはある伝説が根付いており、それがが地元の人の強い信仰の対象となっている理由。
その伝説というのが、500年ほど前にオスマン帝国軍がラチャ地方に侵攻しようとした際に、数々の奇跡を起こして撤退させたというものです。
ムラヴァルザリ教会の奇跡のおかげなのか、結果的にラチャ地方はオスマン帝国の支配を受けなかったのは事実。
中世からのジョージアの伝統文化が途切れずに色濃く残るラチャ地方において、とても重要な場所なのです。
ロウワー・ラチャ地域
ラチャ地方の西半分を占めるロウワー・ラチャ地域は、標高500m~800mほどの丘陵地帯。
リオニ川が形成する谷間に沿って小さな町が点在しており、ジョージア屈指のぶどうの産地としても知られています。
ロウワー・ラチャ地域の観光・滞在の拠点となるのが、ラチャ地方全体で最大の人口を誇るアンブロラウリの町。
数々の自然スポットや圧巻の宗教建造物、どこまでも続くぶどう畑の景観に、大小さまざまなワイナリー…多くの場所へ足をのばすことができます。
かつて「ラチャ公国」として半独立状態にあったラチャ地方の、豊かな歴史と文化が感じられるのもロウワー・ラチャ地域の魅力。
ジョージア全国で高く評価されるラチャ料理を味わうのも楽しみです!
⑨「アンブロラウリ」のレトロな町を歩く
ロウワー・ラチャ地域の中心的な町が、アンブロラウリ(Ambrolauri / ამბროლაური)
ラチャ地方の商業・行政・交通において中心的な役割を担っている、人口3000人ほどの小都市です。
アンブロラウリの市内には見どころは少ないものの、そこはかとなくレトロでひと昔前の雰囲気が漂う中心街の散策も、なかなか楽しいもの。
ロウワー・ラチャ地域のどこへでもアクセスしやすい場所にあるので、滞在の拠点としてはここ一択です!
⑩「ラチャ地方のワイン」を味わう
ラチャ地方とレチュフミ地方は、ワイン用のぶどうの一大産地として有名なエリア。
ジョージア東部のカヘティ地方と並ぶワインの名産地で、有名な銘柄も多く存在しています。
・フヴァンチカラ(Khvanchkara):赤・セミスウィート
・トヴィシ(Tvishi):白・セミスウィート
・ツォリカウリ(Tsolikauli):白・ドライ
・アレクサンドロウリ(Alexandrouli):赤・ドライ
・ウサヘロウリ(Usakhelouri):赤・セミスウィート
アンブロラウリには、地元産のぶどうを使ったワインを生産するワイナリーがあり、見学ツアーに参加することも可能です。
ワイナリー以外でも、秋になると各家庭で自家製ワインが製造されるほど。
ワインとともに人々の生活があるエリア、それがラチャ=レチュフミ地方なのです。
のぶよはワインに関する知識がゼロに等しい&完全なるビール党。
それでも、ワイン王国のラチャ=レチュフミ地方に滞在している1ヶ月の間は毎日のように地元産のワインを味わっていました。
その美味しさと言ったら…
ぶどうの芳醇な風味と甘味が口の中でぶわっと広がる感覚、まろやかな舌触りと爽やかな後味。濃い目の味つけのラチャ料理との相性も抜群です。
ジョージア国内はもちろん、国際的にも高い評価を得ているラチャ=レチュフミ地方のワインは、自分飲み用にもお土産にもぴったり。
他エリアでは手に入りにくいワイン銘柄もいくつかあるので、ぜひ本場で味わってみたいものです!
⑪「愛の滝」で恋愛成就を願う
アンブロラウリ市内で最大の見どころといえば、「愛の滝」(Waterfall of Love / სიყვარულის ჩანჩქერი)と呼ばれる滝。
中心部からおよそ2kmほど西に離れた、リオニ川沿いの断崖絶壁を優雅に流れ落ちる滝。
崖の一部に天然の洞窟があり、それがハート型に見えることから、この名前が付けられたのだそうです。
しかし滝全体を見ると、どうしても二日酔いに苦しむおっさんが泣きながらゲロを吐いている姿にしか見えず…のぶよの心が汚れているからでしょうか…
▲ 愛の滝から50mほど先には、「ブライダルの滝」(Waterfall of Bride / პატარძლის ჩანჩქერი)の名が付いた、これまたおめでたい滝も。
ネーミングはさておき、優雅なフォルムと清々しい水の流れはとても美しく、迫力があります。
ラチャ地方では「愛の滝を訪れた独身の人間は、必ず真実の愛を見つけることができる」と言われているそう。
恋に悩める旅人のみなさん、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか(適当なまとめ方)。
⑫「バラコニ教会」の絵画の世界に入り込む
オニ~アンブロラウリを結ぶ幹線道路沿いにあるツェシ村のシンボルといえば、バラコニ教会。
ラチャの美しい山々を背景に凛とたたずむ18世紀の聖堂は、まるで絵画の世界のような風景を演出しています。
存在感抜群の白亜の教会はとてもフォトジェニックで素敵ですが、内部の荘厳な雰囲気も必見。
山深いラチャ地方に息づくキリスト教文化を肌で感じることができます。
⑬「ラチャ地方で一番のロビアニ」に感動する
ラチャ地方の名物グルメとして有名なのが、ロビアニ。
豆をすり潰してペースト状にしたものを小麦粉生地に挟み、オーブンで焼き上げたパンのことです。
今ではジョージア全国的にポピュラーな軽食となったロビアニですが、発祥はここラチャ地方。
地元の人が「ラチャ地方で一番美味しい」と誇るロビアニ店が、ツェシ村にあります。
そのお味は、まさに感動もの。
「世界にこんなに美味しい食べ物があったなんて…」と驚嘆してしまったほどでした。大袈裟ではなく。
普通のロビアニも美味しいですが、ラチャ風ハムを豆ペーストに混ぜた「ロビアニ・ロリット」は必食。
豚ハムの芳醇な風味と旨味が豆の甘味にマッチしたロビアニは、他のロビアニ店のものとは比べ物にならないほどの美味しさでした。
⑭「クリヒ渓谷」の清流に癒される
アンブロラウリの町を流れるリオニ川。
その源流の一つにあたるのが、アンブロラウリ中心街から南に位置するクリヒ渓谷(Krikhi Gorge / კრიხულის სათავე)です。【マップ 緑②】
アンブロラウリの人々の間では休日を家族で過ごす定番のスポットとなっており、澄みきった清流の風景にひたすら癒されます。
アンブロラウリ中心街からはタクシー等を利用するのが簡単ですが、クリヒ渓谷まで片道2時間ほどのトレッキングもおすすめ。
美しい山々の風景はもちろん、歴史を感じさせる教会や素朴な村など、丸一日かけてラチャ地方のピュアな魅力を味わうことができます!
⑮「本場のシュクメルリ」にノックアウトされる
ラチャ地方発祥の郷土料理として最もポピュラーなものが、シュクメルリ。
近年日本でも話題となったシュクメルリですが、本場・ラチャ地方のシュクメルリは、日本で広まったシュクメルリとは完全なる別物。
牛乳やクリーム、野菜を入れることはなく、グリルした鶏肉を大量のニンニクと大量の油の海にダイブさせて、はいできあがり!という、豪快の極みのような料理なのです。
ラチャ地方の多くの飲食店で提供されるシュクメルリですが、地元の人による支持No.1のお店がアンブロラウリにあるTavern Krikhula。
肉が柔らかい若鶏が使用され、表面パリパリ&中やわらかな極上の食感(と、果てしないニンニク&油感)が味わえます。
⑯「ニコルツミンダ聖堂」の聖地感に圧倒される
ラチャ地方最南部に位置するニコルツミンダは、ラチャの美しい自然に囲まれた人口百人少々の村。
この小さな村のシンボルが、1000年前に完成したニコルツミンダ聖堂です。
その建築様式の素晴らしさや、内壁をびっしりと覆うフレスコ画の秀逸さ、オリジナルの建築をそのまま残している歴史的重要性が高く評価され、UNESCOの世界文化遺産暫定リストに入っています。
実際にニコルツミンダ聖堂を訪れると、信じられないほどのパワーを感じるはず。
ジョージアに数多くある宗教建築の中でも、BEST3に入るほどの傑作だと思いました。
⑰「シャオリ湖」の絶景ポイントをめぐる
ニコルツミンダ村の南10kmほどの場所に位置するシャオリ湖は、ラチャ地方で最大の面積を誇る半人工の湖。
深い木々に囲まれた湖の風景は、季節を問わず訪れる旅行者に感動を与えてくれますが、最も美しいのは秋。
「ジョージアでも有数の紅葉の名所」として地元では有名なだけあって、現実とは思えないほどに美しい風景が見られます。
シャオリ湖には、地元では有名な絶景ポイントがいくつか点在しており、せっかくなら全制覇を目指したいもの。
ラチャ地方の自然の美しさが五感で感じられ、忘れられないデイトリップとなるはずです。
⑱「ツフラジュヴァリ」で天空の聖地にひたる
ラチャ地方とイメレティ地方の境界を成す、標高1500mほどの岩山。
その頂上にあるツフラジュヴァリ(Tskhrajvari / ცხრაჯვარი)は、「九つの十字架」の名を冠する聖地です。
十字架と小さな祠以外には何もない断崖絶壁からの眺めは、絶景の中の絶景で「十字架の崖」と呼ぶにふさわしいほど。
巡礼に訪れた人々が置いていった無数の十字架のペンダントが風に吹かれてなびく光景は、これ以上ないほどに神聖な雰囲気です。
眼下に広がる大地の風景も圧巻。
一歩でも足を踏み外せば数百メートル下に真っ逆さまというスリルも、この聖地を特別な存在にしているような気がします。
レチュフミ地方
ラチャ地方の西側に位置するレチュフミ地方は、ジョージアで最も旅行者が訪れない地域のひとつ。
目立った有名観光地がない&アクセスが不便ということもあり、わざわざこの地域をガッツリと旅行する人はジョージア人であっても多くありません。
裏を返せば、観光地化とは無縁の「ジョージア地方部」のピュアな魅力が色濃く残っていることが、レチュフミ地方の最大の魅力。
素朴で伝統的な村々や、温かく気さくなレチュフミの人々との出会いも楽しみです!
⑲「ムリ城塞」で限界アスレチックに挑戦する
レチュフミ地方最大の町がツァゲリ(Tsageri / ცაგერი)。
町の北側の崖の上にたたずむムリ要塞は、ぜひとも訪れておきたいスポットです。
ムリ要塞が普通の要塞と異なる最大の理由が、要塞に至るまでの遊歩道がとにかくスリルたっぷりである点。▼
最後にいつ整備されたのか見当もつかないほどに、錆びついて不気味な音を立てる遊歩道。
足をふみはずせば、数百メートル下の谷底へ真っ逆さまです。ムリすぎる…
恐怖の遊歩道の先には、レチュフミ地方を一望するパノラマが広がり、達成感でいっぱいになるはず。
とはいえ、高所恐怖症の人にはまずムリなので、勇気がある人だけ挑戦しましょう。
⑳「天空のプール」でインスタグラマーごっこをする
近年、ジョージアの若者の間では一躍知名度が上がったスポットがあります。
それが、レチュフミ地方の山岳地帯に位置するライラシ村の「天空のプール」。
その名の通り、下界を一望するロケーションが最大の特徴。
レチュフミ地方の緑あふれる山々の風景と、遥か下方で神秘的な色の湖面をのぞかせるラジャナ湖の遠景に浮かび上がるかのような人工のプールです。
空の青色を溶け込ませたように真っ青なプールの水は、プールサイドにたたずむ人間の姿をうまく反射するため、「とにかく映える写真が撮れる!」と、SNSで大きな話題となりました。
ライラシの天空のプールの水は、山からの湧き水を直接引いたものなので、びっくりするくらいに冷たいです。
プール内は長らく掃除されていないようで枯葉が底に溜まっており、とても泳げる状態ではありませんでした。
絶景を眺めて写真を撮るためだけのスポットとなっているのは少々残念ですが、時間帯と天気さえ注意しておけば、驚くほどに美しい写真が撮れます!
㉑「ジョージア一番短い名前の村の廃教会」で異世界に入り込む
「天空のプール」を有するライラシ村から2kmほど北にあるのが「ジョージアで最も短い名前の村」の一つとされる地。
その名も、「グ」(ღუ)です。一文字…
「ジョージアで一番短い名前の村に行った!」と自慢したい人(おらんか)は、問答無用で行ってみるべき。
そうでない人にとっても、グ村で最大の見どころとなる廃教会の風景は見逃せません。
12世紀(800年前)に完成した教会は、いつの間にか天井部分が抜け落ちてしまい、壁に大きな穴が開いたまま放置されたもの。
いったいどうして天井部分だけが崩れ、北側の壁に大きな穴が開いてしまったのかは謎に包まれたまま。
「ミステリアスな光景にするためにわざと崩したのでは…?」と勘繰ってしまうほどに、完璧な崩れ方をしています。
廃教会の敷地内にも周辺にも、人の姿はいっさいなし。
村の人の話によると、これでもいちおう現役の祈りの場として機能しているそうです。
そこにあるのは、凛とした空気と圧倒的な異世界感だけ…
聖地にふさわしい威厳のようなものが漂っているように思えてなりません。
㉒「ライラシ村」の木造建築をめぐる
ライラシ村は、レチュフミ地方きっての多民族村として知られていた場所。
かつてはジョージア人、ユダヤ人、アルメニア人、ギリシャ人の四民族が生活していた村では、民家の建築スタイルにもやや独特な点が見られます。
最大の特徴は、木造建築の割合がかなりを占めていること。
ライラシは標高1000m以上の場所にあり、冬場はかなりの冷え込みとなるはずですが、石造りの家よりも木造がメインの民家が圧倒的に多いのです。
ジョージアでは、伝統的な木造建築は減少の一途。
しかし、ここライラシ村ではいまだに総木造の民家も多く見られ、独自の魅力を放っています。
独自の民族構成や歴史と並び、建築様式にも独自性が見られるライラシ。
ここまで多くの木造家屋が残っている村は、現在のジョージアではなかなかお目にかかれません。
㉓「サイルメの柱」の絶景を眺める
とにかく旅行者の数が少ないレチュフミ地方。この地味な地域のシンボルとされる大自然の奇景がサイルメの柱(Sairme Pillars / საირმის სვეტები)です。
一面の緑の大地からにょきにょきと生えたかのような奇岩がいくつか並び、圧巻の光景が見られます。
旅行者の間での知名度は高くなく、サイルメの柱を一望できるビューポイントに人影はいっさいなし。
周囲360°に広がる、果てしない静寂に包まれた大地の風景を独り占めすることができます!
㉔「ルトヴェリ」に参加する
秋にレチュフミ地方を訪れる人だけの、とっておきの体験があります。
「ワイン発祥の地」として名を馳せるジョージアならではの行事…そう、ワインの原料となるぶどうの収穫です。
このぶどうの収穫は、ジョージア語で「ルトヴェリ(Rtveli / რთველი)」と呼ばれ、9月下旬から10月上旬にかけての1週間ほどで行われます。
年によって&地域によってルトヴェリの時期は異なりますが、ここレチュフミ地方では毎年10月の1週目~3週目のどこか1週間がそれにあたります。
ほとんど知られてはいないものの、レチュフミ地方は良質なぶどうの産地。
収穫からワイン造りまですべて手作業で行われ、希望すれば&タイミングが合えばお手伝いすることが可能なのです。(というか、どこも人手がほしいのでものすごく歓迎される)
数時間ぶどうの収穫をお手伝いする代わりに、食事を提供してくれたり、場合によっては自宅に宿泊させてくれたりと、昔ながらのルトヴェリ文化を体験できる可能性が高いのです。
ルトヴェリの体験自体もジョージアならではのものですし、しかも観光地化されたものではないリアルなルトヴェリ体験ができるのはレチュフミ地方ならでは。
時期は限られますし、実際にお手伝いさせてもらえるか(&タダ飯タダ宿タダワインにありつけるか)は運次第でもありますが、チャンスがあるならぜひとも挑戦してみるのが◎
ジョージアという国の奥深い魅力に触れられますし、この国のワイン文化を自分の肌で感じることができます!
㉕「ラチャ=レチュフミ地方のグルメ」を制覇する
深い山々に囲まれたラチャ=レチュフミ地方は、ジョージア他地域とはやや異なる食文化が発展してきたエリア。
特に、エリア東部のラチャ地方は食材が美味しいことで評判。
ジョージア人にとって、ラチャ地方といえばグルメの聖地のようなエリアなのです。
その評判に偽りはなし。
のぶよ的にも、ラチャ=レチュフミ地方では何を食べても美味しいことに驚かされてばかりでした。
すでに紹介したシュクメルリやロビアニ以外にも、この地域の大地の恵みを最大限に活かした絶品料理はたくさん。
ジョージアの食文化の奥深さが感じられる郷土料理や名物食材を味わうのは、ラチャ=レチュフミ地方旅行で最大の醍醐味のひとつです!
おわりに
日本ではほとんど知られていないラチャ=レチュフミ地方の観光情報を一挙解説してきました。
ここまで細かく自分の足でまわった人間による情報はとても貴重だと思うので、実際にラチャ=レチュフミ地方を訪れる際のお役に立てば嬉しいです!
ジョージアの定番エリアを制覇した人にはもちろんおすすめのラチャ=レチュフミ地方ですが、初めてのジョージア旅行のプランに組み込むのもおすすめ。
大自然も、文化的な町並みも、名物グルメの数々も、温かな人々のおもてなしも…
ぜひのんびりと滞在して、このエリアの魅力を100%満喫してください!
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