こんにちは!ジョージア山間部のラチャ=レチュフミ地方をのんびりと開拓中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
深い山々に囲まれたラチャ地方。
北にはコーカサスの切り立った山々が、南には2000m級の山々が連なり、地理的に隔絶されていることから、ジョージアの他エリアとはやや異なる文化が根付いています。
そんなラチャ文化の中心地として知られる町が、オニ(Oni / ონი)。
オニはラチャ地方の東部に位置する町で、人口は2500人ほど。
町と言うよりも「少し大きめの村」と言った方が正しいほどの小さな規模ですが、このエリアの中心的な町としての役割を担っています。
その町並みはとにかくレトロで、昔懐かしい雰囲気がそこら中に漂うもの。
この地域独自の建築様式の民家も多く、山を越えてラチャ地方に来たことを感じさせてくれます。
目立った観光スポットがあるわけではないオニの町ですが、情緒ある町並みを散策するだけでも充実した観光ができるはず。
周辺の見どころへのアクセス拠点としても便利ですし、ラチャ地方の名物料理が食べられるレストランもあります。
なによりも、オニの居心地の良さはものすごいです。
コンビニや銀行など旅行者に必要な施設はひと通り揃っているので、不便を感じることなしにラチャ地方の田舎町での滞在が楽しめるのは、大きな魅力だと思います。
今回の記事は、オニの観光情報を徹底解説するもの。
観光自体は数時間で済んでしまいますが、のんびりした雰囲気を味わいながら数日滞在するのもおすすめです!
オニの見どころ
オニ観光マップ
赤:おすすめレストラン
黄色:バスステーション
紫:おすすめ宿
オニ・シナゴーグ
オニの町を象徴する存在であり、最大の観光スポットとされるのが、オニ・シナゴーグ(Oni Synagogue / ონის სინაგოგა)。【マップ 青①】
シナゴーグとは、ユダヤ教徒にとっての祈りの場所。
オニをはじめ、ここラチャ地方と西隣のレチュフミ地方には歴史的にユダヤ教徒の人口が多く、長い間ジョージア人住民と共存してきました。
オニのシナゴーグの建造は、1895年。
当時のオニは、トビリシとクタイシに次いで、ジョージア国内で三番目のユダヤ教徒人口を誇った町でした。
1970年代になると、ジョージア国内に住んでいた多くのユダヤ教徒はイスラエルへと移住してしまい、オニのユダヤ教徒人口は激減。
それでも、現在に至るまで祈りの場としての機能を失うことはありませんでした。
オニのシナゴーグを建設したのは、ポーランド人建築家だったそう。
正方形の形をした敷地に重厚な石造りの建物が建ち、屋根部分はドームに覆われ、とても優雅な雰囲気が感じられます。
シナゴーグの外壁には、手が込んだ装飾が施されているのが圧巻。
かつてのこの町のユダヤ教徒住民の存在感を象徴しているかのような、威厳が感じられます。
オニのシナゴーグは、現在でも祈りの場として機能してはいるものの、礼拝の時間帯(土曜日)以外は閉鎖されていることがほとんどだそう。
のぶよが訪問した際も、中への立ち入りはできませんでした。(内部もかなり荘厳なのだそう。残念…)
レトロな町並みを散策
オニの町は、南北に走る三本のストリートしかないシンプルな構成。
どのストリート沿いにも昔ながらの民家がずらりと建ち並び、鄙びた田舎町の香りが漂います。
天気が良い日であれば、町の北側に堂々とそびえるコーカサスの山々の眺めが圧巻。
レトロな町並みと神々しい山々の風景は、どこを切り取っても絵になります。
オニの町を散策していると、独特の様式の民家が多く並ぶことに気がつくはず。▼
オニの民家は基本的には石造りですが、二階のテラスのみ木製の民家も少なくありません。
細かな装飾が施された木製バルコニーはどれも美しく、こだわりが感じられます。
また、オニに独特の様式として挙げられるのが、二階の屋根部分に鉄や錫製の装飾が施された民家。▼
細い線形を組み合わせた細やかなモチーフは、どれも意匠を凝らしたもの。
雉や鳩などの鳥の像が設置されている民家も多く、山岳地域らしさが感じられます。
三本のストリートのうち東側二本は、このように伝統的な建築が連なる、昔ながらの住宅街のような町並み。
町のメインストリートとなる西側のストリートにも足をのばしてみましょう。
オニのメインストリートは、この町の商業の中心としての役割を担う場所。
商店や銀行、パン屋など、生活に必要な施設がレトロな町並みの中に点在しています。
オニの三本のメインストリートが交わるのが、中心街北側にある広場。
広場周辺は近年再開発された雰囲気で、レトロさを残しながらも綺麗に整備されていました。▼
オニの町の散策は、ゆっくりと歩いても1時間ほどみておけば十分なほど。
美しい山々を背景にしたレトロな町並みを堪能しながら、古き良きラチャの田舎町の空気を感じましょう。
ソ連バルコニー
オニの三本のストリートの最も東側のものを歩いていると、突然姿を現すのがソ連バルコニー住宅。【マップ 青②】
平屋が並ぶレトロな田舎町らしい雰囲気から、急にソ連感満載の共同住宅が出てくることに、きっとびっくりするはず。
なによりも、この共同住宅はかなり独特。
上層階部分にはなぜか、木製のバルコニーが設置されているのですから。
近くで見ても遠くから見ても圧巻の「ソ連時代の共同住宅 × 伝統的な木製バルコニー」という組み合わせ。
個人的にはとても美しいと思ったのですが、いかがでしょうか(笑)
ソ連時代の共同住宅は、ジョージア国内どこにでも残っていますが、木製バルコニーが取り付けられたものは初めて。
相当珍しいですし、たぶんここだけなのでははないかと…
伝統と近代史が交錯した傑作。オニ散策の際にはぜひ立ち寄ってみましょう!
水曜市
水曜日にオニの町に滞在するなら、中心街の一角で開催される水曜市は要チェック。【マップ 青③】
その名の通り、毎週水曜日にだけ開かれる市場。
日用品や洋服、食料品など、ありとあらゆるものが狭い敷地内で売られています。
この辺りで最大の町であるオニの水曜市は、近郊のさらに小さな村の人々が買い出しをしに来る機会でもあります。
水曜市に集まる人々はみんな知り合いのようで、敷地内では買い物そっちのけでお喋りに興じる人の姿もたくさん。
ちょっとしたコミュニケーションスペースとしての役割も兼ねているのかもしれません。
近郊の村に住む人々にとっては、この週に一度の市場が楽しみで仕方ないはず。
おめかしした女性の姿も目立ち、山岳地域の生活の一部が垣間見えたような気がしました。
ソルトゥアニのミネラルウォーター
オニ中心街から20分ほど歩いた場所に湧くのが、ソルトゥアニのミネラルウォーター(Sortuani mineral water / სორტუანი მჟავე წყალი)。【マップ 青④】
ジョージア全国でよくある「万病に効く」とされる鉱泉で、オニの人の間でもそう信じられているそう。
まるで間欠泉のように勢いよく地面から湧き出る水を眺めていると、確かに元気になれそうな気がします。
湧きたてのミネラルウォーターを一口飲んでみると、まず果てしない鉱物の味にびっくり。
ジョージアの各地でミネラルウォーターを飲んできましたが、最も鉱物の味が強いものの一つかもしれません。
口に残るほどの苦みは、確かに健康に良さそう。冷泉ではありますが、温泉として浸かってみたい気もします。
これをどうにかして温めて温泉地としてPRすれば、オニにももう少し観光客がやって来るように思うのですが….(誰か!)
オニの町はずれで吹き出す間欠泉。ジョージアの至るところにある「万病に効く」系の湧き水だけど、ここのはミネラルの味が段違いに強い。つまり健康にも良いはず。
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の翻訳してる人 (@nobuyo5696) October 26, 2022
山々を一望する立地も良いし、どうにかして温めて山奥の秘湯として売りだせば観光客来るのでは?クラウドファンディングでもするかぬ() pic.twitter.com/iilqWaJ7Vl
ビューポイント
オニの町に至る幹線道路沿いにあるビューポイントは、この町の全景が望めるポイントとして知られています。【マップ 青⑤】
黄色いフレームのようなオブジェが目印で、写真撮影スポットとしても人気なのだとか。▼
のぶよ的には、この黄色いフレームのビューポイントは、木々が邪魔で町の全景が見渡せないので微妙。
500mほど手前の幹線道路沿いあたりが、オニの全景とコーカサスの山々を一望できるのでおすすめです。▼
コーカサスの山々に抱かれるようなオニのパノラマを堪能したなら、いよいよラチャ地方の名物グルメを食すとき。
オニの中心街に戻って、食いだおれツアーのはじまりです!
オニで絶対に食べたい名物グルメ!伝説のレストラン3軒
①絶品ラチャ料理を食べるなら!「クヴェ・チャメ・ダ・クヴェ・ツァディ」
オニの地元の人が口を揃えておすすめするレストランが、バスステーションとなっている広場に面したクヴェ・チャメ・ダ・クヴェ・ツァディ(ქვე ჭამე და ქვე წადი)。【マップ 赤①】
まるで魔法の呪文のような不思議な店名は、ジョージア語で「食べよ、そして去れ。」の意味。(なかなか良いセンスだと思う)
その店名とは裏腹に、ゆっくりと食事ができる雰囲気なのでご安心を。
店内は、入口がある二階部分の食事スペースの他に、一階の川に面した個室スペースも。
いずれも肩肘張る雰囲気ではなく、地元の人が普段の食事にやってくるような雰囲気です。
クヴェ・チャメ・ダ・クヴェ・ツァディのメニューはこちら。▼
いずれもジョージアの平均価格といったところ。
特に激安というわけでも割高という訳でもなく、良心的だと思います。
注目すべきは、ここラチャ地方の郷土料理がいくつか置いてある点。
・ブルバキ(Burvaki):茹でた豚肉
・ラチャ風ハルチョー(Kharcho):牛肉のスパイシースープ
・シュクメルリ(Shkmeruli):大量の油とニンニクで調理した鶏肉
・ロビオ(Lobio):豆のシチュー
・ラチュリ・ロリ(Rachuli Lori):ラチャ地方名産のハム
などなど。
せっかくオニまで来たなら、ここでしか食べられないラチャ料理に挑戦してみましょう!
のぶよがまず注文したのが、ラチュリ・ロリ(Rachuli Lori / რაჭული ლორი)。
ラチャ地方特産の豚肉の燻製で、「ラチャ風ハム」なんて言われることもあります。
その味わいは絶品of絶品。
「この世にこんなに美味しい豚肉の食べ方があるのか…」と感動してしまったほどです。
程良い塩気が効いたハムは、口の中にいれた瞬間にじゅわりととろけるほどの柔らかさとジューシーさ。
脂身の部分もほのかな甘みが感じられ、一度食べ出したら止まらなくなります。
他にもラチャ風ハルチョーも注文してみました。▼
ジョージア全国的にポピュラーなハルチョーは、地域によって材料や味が大きく変わるもの。
ここラチャ地方のハルチョーは、周辺の山で採れる独自のハーブを用いた、濃厚な口当たりのシチューのような料理となっています。
ジョージア他地域ではくるみやツケマリ(プラムのソース)、お米が入るのが定番のハルチョーですが、ラチャ風ハルチョーの具は牛肉とみじん切りにした野菜のみというシンプルなもの。
牛肉からの旨味がたっぷりと染み出したスープは、体の芯まで温まる味わいですごく美味しかったです。
味も、料金も、雰囲気も大満足だった小さなレストラン。
オニでラチャ料理を食べるなら、問答無用でここです!
②ジョージアで一番美味しいヒンカリ!「カフェ・カモミール」
オニに来たなら、とにかく無理をしてでも食べてほしいのがCafe Chamomile(კაფე გვირილა)のヒンカリ。【マップ 赤②】
のぶよはオニ散策中に偶然このお店の前を通りかかって、調理場でヒンカリを作っているおばちゃんたちを見かけて入店しました。(ヒンカリを見たら食べずにはいられないタイプ)
後から聞いた話では、実はこのお店はかなり有名なのだそう。
「ラチャ地方の絶品ヒンカリの店」として知られ、わざわざここのヒンカリを食べるためにオニまでやってくるジョージア人旅行者もいるのだとか。すごすぎ…
紙に書かれたメニューは存在せず、店員のおばちゃんに何があるか尋ねるシステムは、ジョージア地方部のローカル食堂あるある。
カバビ(棒状ひき肉のグリル)やハチャプリ(チーズパン)などもあるそうですが、このお店に来たなら有無を言わずにヒンカリ一択です。
なぜなら、ジョージアのヒンカリをウリにする全てのお店の中で、ここがTop3に入るため。
冗談ではなく、目玉が飛び出るほどに美味しいヒンカリが食べられるのです。
ジョージアのヒンカリは、大きく二種類に分けられます。
・皮ツルツルタイプ:ハーブやスパイスが入ることが多い。中のひき肉は少なめ。
・皮もっちりタイプ:ハーブやスパイスは入らないことが多い。中のひき肉はぎっしり。
このお店のヒンカリは、皮はツルツルでハーブやスパイスは入っているものの、中の具はぎっしりと詰まったハイブリッド型。
エスニックな風味が楽しめ、肉の旨味や食感が存分に楽しめる。そんな「良いとこどりのヒンカリ」というわけです。
感動したのが、これでもか!とばかりにタップタプに詰まった肉汁のスープと、完璧すぎる具の味つけ。
ジョージアのヒンカリの具は、塩を入れすぎて味が濃すぎる場合が多かったり、肉の鮮度が悪くて旨味が感じにくい場合も多いもの。肉がひと塊となってしまっている場合(=いったん冷凍されている)も多いです。
いっぽうのCafe Chamomileのヒンカリは、もうとにかく非の打ちどころがありません。
味つけは濃すぎず、スパイスも適量。口の中で広がる肉の旨味は信じられないほど芳醇ですし、ほろほろのひき肉の食感は新鮮な肉を使っているからこそ出せるものです。
いままでジョージア各地で数百…いや、数千個のヒンカリを食べてきたのぶよが言うんだから間違いなし。このお店のヒンカリはまじで天然記念物です。
…もはやヒンカリ愛が強すぎて、このお店だけで一記事書けそうなくらい(笑)
言葉で説明するよりも、これだけはぜひ実際に自分で味わってみてほしいもの。
本っっっ当に衝撃的に美味しいので、オニに滞在する際は観光よりなによりも、ここのヒンカリを食べることをお忘れなく!
③手軽に買えるラチャ地方名物!「オニで一番のロビアニ店」
ラチャ地方発祥のグルメとして有名なものの一つが、ロビアニ。
豆のペーストを小麦粉生地に挟んで焼き上げたもので、ジョージア全国で愛される軽食です。
オニの町の人の間で人気なのが、「オニで一番のロビアニ店」とされるベーカリー。【マップ 赤③】
愛想の良い女性が切り盛りしていて、常に焼きたてを提供してくれます。
ラチャ地方で単に「ロビアニ」と言えば、自ずと「ラチュリ・ロビアニ」(Rachuli Lobiani / რაჭული ლობიანი)を指します。
「ラチュリ=ラチャ風」の意味ですが、他エリアと何が異なるのかというと、「ツヒミ」(Tskhimi / ცხიმი)という豚の脂を混ぜ込んで豆ペーストが作られる点。
ツヒミには独特の甘みと旨味があるため、豆と混ぜて焼き上げた際の風味が格段に良くなるのです。
オニで一番のロビアニ店は、地元で評判なのも納得の美味しさ。(ハマりすぎて、滞在中に5回は通ったほど…)
外側こんがり&内側ふんわりの生地の食感も、豆ペーストの深い旨味が感じられる味わいも、とにかく完璧。
リーズナブルにラチャ地方の奥深い食文化を感じたいなら、ぜひとも挑戦してみてください!
オニから足をのばして
オニは、ラチャ地方東部観光の拠点として便利な町。
この町に滞在しながら、周辺に点在する珠玉の村々へと足をのばすことが可能です。
ここでは、オニからアクセスしやすいラチャ地方の見どころをいくつかピックアップしてみました。
ショヴィ&グローラ
オニの町の北側にそびえるコーカサスの山々。
「マウンテン・ラチャ」と呼ばれるエリアにはいくつかの山村が点在しており、山の自然を愛する人々に人気となっています。
ラチャ地方の山岳エリアの最果てに位置するのが、ショヴィとグローラの二つの村。
ショヴィは、ソ連時代に山岳リゾートとして開発されたものの、ソ連崩壊とともに放置されることになった廃リゾート。
グローラは、ラチャ地方山岳部の伝統を色濃く残した美しい村。
隣り合う二つの村は、それぞれ対照的な魅力を放っています。
のぶよはショヴィとグローラに4日間滞在したのですが、もうとにかく素晴らしかったです。
言葉で表現できないほどに感動しましたし、行って良かったと心から感じます。
近年のジョージアのコーカサス山岳地域には、観光地化の波がものすごい勢いで到達しているのですが、ラチャ地方の山岳地域は手つかずのまま。
自然のピュアな美しさや、山の伝統が色濃く残る村の生活風景はもちろん、人々のホスピタリティーの素晴らしさも圧倒的。
ジョージアという国の古き良き魅力の全てが詰まった地域だと思います。
ツェシ
オニ~アンブロラウリを結ぶ幹線道路沿いにあるツェシの村は、気軽なデイトリップ先としておすすめ。
アンブロラウリからのアクセスの方が便利ではありますが、オニからの日帰りもOK。
アンブロラウリ~オニの移動がてら立ち寄ることも十分に可能です。
ツェシ村のシンボルといえば、バラコニ教会。
ラチャの美しい山々を背景に凛とたたずむ18世紀の聖堂は、まるで絵画の世界のような風景を見せます。
また、ツェシ村には「ジョージアで一番美味しいロビアニの店」がある点も見逃せません。
ラチャ地方の名産であるラチャ風ハムを混ぜ込んだロビアニは、芳醇の極みな絶品。
すでに紹介した「オニで一番のロビアニ」もとっても美味しいのですが、それを軽く凌駕する感動が待っているので、ぜひとも食べ比べてみてほしいです!
シュクメリ&ムラヴァルザリ
日本でもちょっとしたブームになったジョージア料理のシュクメルリ。
その発祥の地とされるのが、オニの南に連なる山々の上に位置するシュクメリ村です。
どこまでも素朴な雰囲気の村は、日本のシュクメルリ旋風などどこふく風。
それでも、この小さな山村の料理が遠く日本にまで伝わったことにきっと感動するはずです。
シュクメリから峠を越えた先にあるムラヴァルザリ村も、ぜひとも訪れたい場所。
ラチャ地方の地元民に強く支持される「天空の村」は、かつて奇跡を起こしたことで有名な教会に守られているかのよう。
ラチャの山々を一望するロケーションも素敵です。
シュクメリ~ムラヴァルザリ~ツェシ間は2日間かけてのトレッキングでまわることができ、体力のある人にはぜひともおすすめしたいところです。
アンブロラウリ
ラチャ地方西部に位置するアンブロラウリは、このエリアで最大の町。
オニとは長い間ライバル関係にある(?)とされる町ですが、オニとはまた異なる魅力があります。
アンブロラウリと言えば、「ジョージア屈指のワインの町」として有名。
中心街には超有名ワイン・フヴァンチカラのワイナリーがどーんと軒を構え、リーズナブルな料金で試飲ツアーが楽しめます。
アンブロラウリは、ラチャ地方西部や、さらに先のレチュフミ地方の見どころへのアクセス拠点としても便利な町。
オニからデイトリップすも可能ではありますが、アンブロラウリはアンブロラウリとして数日滞在するのが個人的にはおすすめです。
オニのおすすめ宿
オニの町には、安く宿泊できるホステルやゲストハウスの類はなぜか少なめ。
「お洒落ゲストハウス」のようなものはいくつかあるのですが、宿代相場は概して高めです。
のぶよがオニで宿泊したのは、Oni Hostelという宿。【マップ 紫】
その名の通り、ホステル形式の宿で「ラチャ地方初のホステル」として売り出そうとしているのだとか。
2022年11月現在はまだ正式オープンしておらず、2023年の春に開業予定とのことです。
ではどうして、のぶよがこの宿に泊まれたのか…
それは、すでに紹介したレストランで声をかけられた人がたまたまこのホステルのオーナーで、「オープン前だけど泊まっていく?」と言ってくれたため。…控えめに行って、神です。
Oni Hostelの内部は、オープン前ということでピッカピカの極みでした。
家具も寝具もとにかく全てが新品で、壁も真っ白。
本当にこんな綺麗な宿に、どこぞの馬の骨かも分からぬ人間が泊まって良いものなのでしょうか…
はめ込み式の窓やちょっとした小物など、かなりお金がかけられている内装も特徴的。
のぶよ的に、ここのオーナー家族はかなりのお金持ちだとにらんでいます。
共用スペースとなる予定のキッチンやトイレ/シャワーも、ピッカピカでした。
「ホステル」と呼ぶには申し訳なく思うほどに、充実した調理器具も嬉しい点。
自炊派の旅行者でも、何一つ不自由のない滞在ができるはず。
これで一晩30GEL(=¥1500)は、オニの町ではぶっちぎりの最安値です。(のぶよはオープン前ということで10GELで泊めてもらいました。神すぎる…)
町の中心部までは徒歩5分ほどですし、静かな雰囲気も文句なし。
オニ滞在の拠点として、心の底からおすすめしたいです!
↑すごすぎるのでさっそくルームツアー。
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の翻訳してる人 (@nobuyo5696) October 21, 2022
しかもぬ、お兄さんとその家族はここではなく20km離れた村の本家?に住んでるんだと。つまりこの空間すべてワイのもの。やばすぎ。
旅の神様、微笑むどころか腹抱えて笑ってる気がする。最近。 pic.twitter.com/8d6jvQKBK3
オニのアクセス・行き方
深い山々に囲まれ、地理的に孤立しているオニの町は、他都市との交通がとにかく不便なことで知られていました。
しかし、2021年にその状況は一変。
イメレティ地方のサチヘレ~オニ間を結ぶ新しい道路が開通し、トビリシなどジョージア東部地域とのアクセスが飛躍的に向上したのです。
この町が観光地として脚光を浴びる日も、そう遠くはないのかもしれませんね。
オニを発着するミニバスはすべて、町の入口となる橋のたもとにあるバスステーションが基点。【マップ 黄色】
普通の広場がバスステーションとしての役割を兼ねているような感じで、特にバスステーションとしての設備はない点にご注意を。
オニから/へのアクセスに利用できるミニバスは、主に以下の4路線です。▼
・青線:トビリシ~オニ路線
・赤線:クタイシ~オニ路線
・緑線:アンブロラウリ~オニ路線
・オレンジ線:オニ~グローラ路線/オニ~ゲビ路線
トビリシ~オニ
トビリシ~オニ間は、1日2~3往復のミニバスが走っています。
いずれの方面も決まった出発時間があるわけではなく、人がある程度集まれば出発するというシステムなのがややこしいところ。
朝の時間帯しか運行していないのでご注意を。
・トビリシ発:7:00~9:00の間に2~3本
・オニ発:8:00~10:00の間に2~3本
トビリシでの発着ポイントは、市内北部にあるディドゥベ・バスステーション(Didube Bus station)です。▼
トビリシ~オニ路線のミニバスは、2021年に開通したばかりの新しい道路を通り、オニから見て山を越えた南側にあるサチヘレ(Sachkhere)の町を必ず経由します。
オニ~サチヘレ間を移動したい場合も、トビリシ行きのミニバスを途中乗車/下車すればOKです。
クタイシ~オニ
かつてはオニへのアクセス拠点としてはクタイシの方が便利だとされていました。
しかし、新しい道路が開通してトビリシ方面へのアクセスが飛躍的に向上したため、クタイシ~オニ間のミニバス路線は減便に次ぐ減便…現在では1日1往復のみとなっています。
▶往路:クタイシ発10:00→アルパナ発12:00頃→アンブロラウリ発13:00頃→オニ着13:30
▶復路:オニ発15:00→アンブロラウリ発15:30→アルパナ発16:30頃→クタイシ着18:30
クタイシでの発着地は、中心街南部の中央バスステーションです。▼
クタイシ~オニを結ぶ路線は、ニコルツミンダやトキブリなどを経由せず、レチュフミ地方のアルパナ(Alpana)という町を経由するルートをとる点も覚えておきましょう。
オニ~ニコルツミンダと移動したい場合などは、いったんアンブロラウリを経由することとなります。
アンブロラウリ~オニ
アンブロラウリ~オニ間は、1日2往復のミニバスが走っています。
・アンブロラウリ発:11:10 / 18:00
・オニ発 :9:30 / 16:00
アンブロラウリでの発着ポイントは、町の中心部にあるバスステーションです。▼
オニ~グローラ
オニ~グローラ間には、週に1日(水曜日)に2往復の路線バスが走っています。
・オニ発:8:00 / 16:00
・グローラ発:9:00 / 17:00
これは、毎週水曜日にオニの中心街で開催される市場に向かう村人のための路線バス。
そのため、水曜日以外の運行はいっさいありません。
オニでの発着地は町の入口のバスステーション(橋のたもとのロータリー)ではなく、市場が開かれる中心街のストリート沿いである点にもご注意を。▼
このバスはグローラ村の最東端にあるバス停が終点となり、その先のショヴィまで行かずにオニへと折り返すルートをとります。
もしグローラ/ショヴィへの移動日を水曜日にできるなら、路線バスは格安のアクセス手段ですが、プランニング的にはやや不便。
・水曜日にオニから日帰り往復
・グローラに宿泊して帰りは別のアクセス方法で移動
のいずれかとなってしまいます。
おわりに
ラチャ地方の滞在拠点としてもおすすめのオニの観光情報を徹底解説しました。
こんなド田舎の、旅行者にとっても馴染みの薄い町の記事を、これだけ気合いたっぷりで書いているのは、単純にオニの町がとても気に入ったからです。
2021年の道路開通により、トビリシから4時間足らずでアクセスできるようになったオニ。
新しい道路はラチャ地方の観光開発の起爆剤として期待されていることもあり、今後観光地としてポピュラーになっていく運命なのかもしれません。
それも一つの時代の流れ。しかし、せっかくこの記事をここまで読んでくれた人には、素朴なラチャ地方の魅力が残っているうちに訪れることを強くおすすめします。
この魅力あふれるエリアの観光&滞在拠点として、オニはこれ以上なくぴったりな町。
ぜひとも日程に余裕を持ってのんびりと滞在しながら、この小さな町の奥深い魅力を堪能してほしいです!
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