こんにちは!世界半周ももうすぐ丸3年!のぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ある町に滞在している旅行者にとって、市内移動や郊外への移動に欠かせないのが、地下鉄やトラム、路線バスなどの市内交通。
目的の観光地への移動手段として便利ですが、日本の交通システムとは大きく異なっていて驚かされることもしばしば。
市内交通自体にお国柄が垣間見えることもあるような気がします。
今回の記事で紹介するのは、東欧や旧ソ連圏の国々の市内交通のアレコレ。
およそ30年前の1990年代初頭まで、社会主義・共産主義体制が敷かれていた地域です。
このエリアに馴染みが薄い人にとっては、旧共産圏の国々の市内交通のイメージなど皆無なはず。
「安全なの?」「なんとなく恐そう…」「旅行者でも利用できるの?」など、どちらかというとネガティブなイメージが先行してしまう場合があるかもしれません。
「旧共産圏」や「旧ソ連圏」とひとことで言っても、交通システムは国や町によってさまざま。
日本と同じような感覚でサクッと利用できる町もあれば、かなりハードモードな町も存在しています。
今回の記事は、ヨーロッパ~コーカサス地域16ヶ国の首都の市内交通がどんな感じなのかザックリと紹介していくもの。
旅行者的な視点から、使いこなす難易度が低い順に紹介していきます。
いずれも日本人にとってはあまり馴染みのない国ばかり…
各都市で生活する人々の市民の日常生活を知る手がかりになるかも!
訪れたことがある人は、「ああそう!こんな感じだった…!」と懐かしい気持ちになるかもしれません。
難易度★☆☆☆☆
①ブダペスト(ハンガリー)
・人口:175.6万人
・地下鉄:あり(4路線)
・交通系ICカード:なし
・GoogleMap:対応
・乗車一回分の運賃:350HUF(=¥125)
ハンガリーが誇る首都・ブダペスト。
「ドナウの真珠」と称される美しい町並みは観光客にも大人気で、地下鉄やトラムなどの市内交通がかなり発展しています。
ブダペストの地下鉄の一部の路線は、なんと世界遺産に登録されているほど。
歴史あるレトロな車体と、近代的な車体が混在しているのが特徴的です。
ブダペストの地下鉄の名物(?)と言えば、抜き打ちでチケットをチェックする検札係たち。
ブダペストでは地下鉄駅に入場する際に改札を通る必要がないため、やろうと思えば無賃乗車ができてしまうのです。
それを防ぐために、各地下鉄駅の出口にはコワモテの検札係がズラリと待ち構えている場合が多い、というわけ。
外国人観光客が多く利用する地下鉄1号線に乗車した際に、欧米人旅行者数人が引っかかって罰金を払わされているのを実際に目撃しました。
(百円ちょっとケチって何十倍も払うことになるとか、アホだなあ~と横目で見ながら素通りした)
日本人的考えでは「だったら入場時に改札を通るシステムにすれば良いのに…」と思ってしまいますが、「罰金を払わせるための係がいる」というのは旧共産圏あるあるかもしれません。
(プラハやベオグラードでもこんな感じだったので、中央ヨーロッパあるあるなのかも)
4路線の地下鉄の他に、レトロなトラムが走る風景もブダペストを象徴するもの。
オーストリア=ハンガリー帝国時代からの重厚な建築が連なる美しい町並みと、ほのかに漂う共産主義時代の残り香が見事に調和した町です。
②リガ(ラトビア)
・人口:63.2万人
・地下鉄:なし
・交通系ICカード:なし
・GoogleMap:対応
・乗車一回分の運賃:€2.3(=¥296)
バルト三国の真ん中に位置するラトビアの首都・リガ。
アールヌーヴォー調の瀟洒な建築物とハンザ同盟風の端正な建築物、ソ連時代の無機質な建築物が混在する町です。
リガには地下鉄は走っておらず、市内観光はすべて徒歩でカバーできてしまうほどにコンパクト。
世界遺産に指定されているリガ旧市街に滞在している限りは、ここがかつてソ連の一部であったことをあまり感じないかもしれません。
いっぽうで、リガから郊外の見どころへ移動する際には、タイムスリップしたような光景の連続です ▼
近郊列車のチケットは、自動販売機は存在しないので有人のカウンターのみでの購入。
カウンターでは英語があまり通じず、身振り手振りで行き先を伝えなければなりません。
また、近郊列車が発着するリガ中央駅はとにかく英語表記が少なかったのが印象的。
時刻表も行き先表示もラトビア語オンリーなので、初めて訪れる人は困惑するかもしれません。
ラトビアには2014年と2018年の2回滞在したのですが、2018年には近郊列車の車両が新しいものに替わっていたのが印象的でした。
かつては対面式の木の椅子(旧ソ連圏でよくあるやつ)だったものが、クッション付きの独立型シートになっていたことに驚きました。
いまではEUの一員として順調な経済発展がなされているラトビア。
今後もどんどん西欧化が進んでいくのでしょうが、昔懐かしい香りはいまだに健在です。
③ブカレスト(ルーマニア)
・人口:183万人
・地下鉄:あり(4路線)
・交通系ICカード:あり
・GoogleMap:対応
・乗車一回分の運賃:3Lei(=¥78)
人口180万人以上を有する大都市・ブカレスト。
「ブカレスト=治安が悪い」というイメージが先行してしまいがちですが、基本的なことに気をつけていれば問題なく滞在できる町です。
ブカレストには4路線の地下鉄が走っていますが、初めて利用する人がまず驚くのが駅の薄暗さ。
地下鉄の車内にもなんとなく陰鬱な雰囲気が漂っているような気がして、「ああ、これこそルーマニアだ…!」と変な感動を覚えました(笑)
ブカレストの地下鉄路線は、旅行者が訪れるエリアはすべてカバーしているので便利。
地下鉄駅構内の薄暗~い雰囲気や、地下鉄駅と直結した薄暗~い地下街の活気のなさなど、ブカレストの地下に広がる空間はなかなか面白いです。でも、身の回りの品にはくれぐれもご注意を!
④ザグレブ(クロアチア)
・人口:80.6万人
・地下鉄:なし
・交通系ICカード:なし
・GoogleMap:対応
・乗車一回分の運賃:4Kn(=¥68)
のぶよがこれまで訪れたヨーロッパ各国の首都の中で、最もコンパクトで計画的な都市開発がされていると感じたのが、クロアチアのザグレブ。
首都なのにクロアチアの他都市よりも物価が割安な点も◎
美しい町並みを散策しながらのんびりとしたくなる…そんな魅力にあふれた素敵な都市です。
ザグレブには地下鉄こそ通っていないものの、トラムや路線バス網が発達しているので旅行者でも不便を感じることはありません。
トラムの路線自体はシンプルで、バスステーション~鉄道駅の移動も楽勝なのですが、チケットのシステムが若干複雑。
・チャージ式のICカードが存在しない
・車内で購入した場合/事前に街中のキオスクで買う場合etc…で運賃が異なる
など、旧ユーゴスラビア諸国でおなじみのシステムは健在です。
とはいえ、ザグレブはそもそもがコンパクトな町。
一度トラムや路線バスを利用してしまえば、旅行者でもすぐに勝手がわかります。
難易度★★☆☆☆
⑤トビリシ(ジョージア)
・人口:111.4万人
・地下鉄:あり(2路線)
・交通系ICカード:あり
・GoogleMap:対応
・乗車一回分の運賃:1GEL(=¥37)※2022年2月より値上がり
東西文明の十字路・トビリシ。
古くから多くの民族が行き交った痕跡が至る所に残るコーカサス地方の古都ですが、市内交通のインフラはソ連時代を色濃く残したものです。
ボロボロの改札を抜けた先の地下深くまで潜るエスカレーター、暇そうに改札口で見張りをしている謎の人員配置、駅構内のレリーフや装飾、暴力的なまでのスピードで閉まる地下鉄の扉…
30年前までこの地を支配していたソ連時代そのままの地下世界には、感動すら覚えるほどです!
交通インフラこそソ連感がぷんぷん漂うトビリシですが、交通システムはとても効率的で便利です。
「メトロマニ」という交通系ICカードが普及しており、地下鉄や路線バスなどすべての市内交通に共通で利用可能。
あらかじめ好きな金額をICカード内にチャージしておくスタイルで、完全キャッシュレスが実現されているのです。
トビリシの地下鉄は市内の主要エリアをほぼカバーしているため、旅行者には十分すぎるほどの便利さ。
路線バス網もかなり充実しており、運行頻度も文句なしです。
・90分間乗り換え自由
・1回分の運賃1GEL(=¥37) ※2022年2月より値上がり
・GoogleMapの乗り換え案内にも対応
トビリシにずっと居るとなかなか気づかないものですが、ここまで格安の運賃で至れり尽くせりな交通網が発達している都市はかなりレア。
ヨーロッパ諸国にも負けないほどの、快適な市内移動ができる町だと思います。
⑥サラエボ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)
・人口:27.55万人
・地下鉄:なし
・交通系ICカード:なし
・GoogleMap:対応
・乗車一回分の運賃:1.6KM(=¥105)
ボスニア・ヘルツェゴビナの首都であるサラエボ。
どうしても90年代の内戦や虐殺など負のイメージがつきまといがちな町ですが、ヨーロッパ調の石造りの建物とオスマントルコ時代の木造建築が混在する中心街は、バルカン半島で髄一の美しさです。
人口は30万人足らずで、地下鉄はなし。
東西に細長い中心街を行き交うトラムが市内交通の基本となります。
トラムのチケットは、ザグレブやベオグラードなど旧ユーゴスラビアの都市で多く見られる、あらかじめキオスクで購入しておいて車内で刻印するシステム。
サラエボの場合は乗車後のチケット購入は完全に不可であるため、事前に購入しておかないと不正乗車となってしまいます。
これが旅行者的には少々わかりにくい点かも。
サラエボのトラムの路線自体はかなりシンプルですが、この町独自の事情がある点も複雑 ▼
まず知っておかなければならないのが、ボスニア・ヘルツェゴビナという国は完全に一つの国というわけではなく、二つの構成国から成る連邦国家であること。
・セルプスカ共和国(セルビア人住民が多数派)
・ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦(ボスニア人住民が多数派)
この複雑な民族構成こそが90年代の泥沼の内戦の引き金となったわけですが、現在でもセルプスカ共和国の町~ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦の町を直接結ぶ交通手段は存在しません。
首都であるサラエボには二つの構成国の境界線があるのがややこしいところ。
連邦側エリア~セルプスカ共和国側エリア間の直接移動はできないため、いったんトラム/バスを降りる→徒歩で「境界」を越える→もう一つの構成国側のバス停へ向かう…といった手間が生じるのです。
事情を知らないと「何が何だか…?」状態になってしまうサラエボの市内交通。
この小国が辿った歴史を象徴しているように感じました。
⑦スコピエ(北マケドニア)
・人口:54.7万人
・地下鉄:なし
・交通系ICカード:あり
・GoogleMap:対応
・乗車一回分の運賃:35Den(=¥73)
むかしむかし、2300年前のこと。アレキサンダー大王を輩出し、ユーラシア大陸を制覇したことを現在でも誇っている北マケドニア。
ギリシャやブルガリアに目の敵にされ、ただ「地理的にバルカン半島の真ん中に位置する」という理由で周辺国間の戦争時には激戦地となり、とうとう国名をマケドニア→北マケドニアに変更させられ…
アレキサンダー大王の華々しい活躍以降は、散々な歴史をたどった国です。
(そもそもアレキサンダー大王はマケドニア人ではなかったそうな…)
2300年間に渡って色々と不遇だったこの国の首都・スコピエは、マケドニア民族の誇りを示すためなのか、謎のハコモノや銅像を建てまくって大改造が果たされた町。
パリを思わせる凱旋門や、ワシントンのホワイトハウスさながらの巨大建造物、古代ギリシャの神殿を思わせる造りの博物館に、ロンドン名物の二階建てバスが普通に路線バスとして市民の足となっていたり…
とにかく色々と「ブッ飛んだ首都」となっています。
スコピエ自体はかなりコンパクトな町で、地下鉄もトラムも通っていません。
市民の足となるのは路線バス一択。
チャージ式のICカードでキャッシュレス乗車のみとなっており、1回券等の販売はなし。数日間しか滞在しない旅行者的にはやや不便に感じます。
さらにこのICカードのシステムが少々ややこしく、初めて来た旅行者にはかなり不親切な印象。
スコピエでバスを利用する機会もあまり多くない(近郊に足をのばす際くらい)ので、個人的には一回券も販売してくれたら良いのに…と強く思います。
⑧ソフィア(ブルガリア)
・人口:123.6万人
・地下鉄:あり(2路線)
・交通系ICカード:なし
・GoogleMap:対応
・乗車一回分の運賃:1.6Lv(=¥105)
東欧の神秘が詰まったブルガリアの首都・ソフィアは、市内交通がかなり充実している町。
今回の記事内で紹介している町に限れば、トビリシに次いで便利だと思います。
ソフィアはおよそ2000年前のローマ帝国時代に、コンスタンティノープル(現在のイスタンブール)、フィリッポポリス(現在のプロブディフ)に次いで開発された歴史ある町。
そのため、ソフィア中心街の地下には当時の遺跡がゴロゴロと埋まっているそうで、地下鉄工事の際に偶然発見されたものまであるのだとか。
ソフィア地下鉄にはいちおう二つの路線があるものの、旅行者が利用するのはほとんどが2号線(青線)でしょう ▼
ソフィアの地下鉄の何がそんなに素晴らしいかというと、バスステーション&鉄道駅~中心街~国際空港が一本の地下鉄路線でつながっていること。
旅行者が訪れる場所はすべて地下鉄2号線でカバーされているので、初めてこの町に来る人でもすぐにマスターできます。
さらに、ソフィア地下鉄は料金も均一でシンプル。
どんなに遠くまで行こうとも、1回分の1.6Lv(=¥105)だけでOKなのです。
1回券の場合は使用したらそれで終わりですが、ややこしいのが1日券を購入した場合。
地下鉄乗車前(改札でスキャンする前)に、いちいち有人カウンターでチケットを有効化してもらう手間がかかる謎のシステムでした。
チケットの微妙な複雑ささえクリアしてしまえば、あとは日本の地下鉄と同様に利用できます。
駅構内には英語表記がされた案内板も充実していて、かなり親切に感じました。
地下鉄は比較的簡単に利用可能でしたが、ソフィア名物のレトロなトラムに関しては話が別。
・案内板がブルガリア語のみ
・チケット種別によっては車内で刻印が必要
他の旧共産圏と似たようなシステムが採用されているのも面白い点です。
難易度★★★☆☆
⑨ミンスク(ベラルーシ)
・人口:197.5万人
・地下鉄:あり(3路線)
・交通系ICカード:あり
・GoogleMap:対応
・乗車一回分の運賃:0.8BYN(=¥34)
多くの人にとっては未知なる国・ベラルーシ。
その首都であるミンスクは、人口200万人近くを有する巨大な都市です。
旧ソ連諸国の首都の多くには充実した地下鉄ネットワークがあるものですが、ここミンスクにおいてもそれは同じ。
路線数は3路線のみと人口規模の割には少ないような気もしますが、旅行者的にはまったく不便は感じません。
ミンスクの地下鉄には券売機は存在せず、有人の窓口でおばちゃんからチケットを現金で購入するTHE・ソ連なシステム。
のぶよが訪れた2014年当時は、1回分の運賃は3,700BYR(=¥37)だったのですが、現在は通貨切り上げの影響で0.8BYR(=¥34)となっています。
地下鉄駅の構内は、ソ連時代を絵にかいたような風景。
薄暗い明かりと仰々しいほどの装飾が目を引きます。
駅によって大きくデザインや造りが異なるそうなので、次回訪れた際は全駅制覇することをひそかに夢見ていたり…(笑)
ミンスク地下鉄の車体は、思っていたよりも綺麗でびっくり。
駅構内の装飾を別にすれば、ヨーロッパや日本の地下鉄と特に変わらないように思いました。
⑩プラハ(チェコ)
・人口:130.9万人
・地下鉄:あり(3路線)
・交通系ICカード:なし
・GoogleMap:対応
・乗車一回分の運賃:30CZK(=¥157)
観光都市として世界中から多くの人が訪れるようになった、チェコの首都・プラハ。
カラフルで重厚な建物や、歴史を感じる城塞や石橋を眺めていると、ここがかつて共産圏の一部だったとは信じられないほどに華やかな雰囲気です。
プラハの旧市街内だけなら徒歩での観光も余裕ですが、鉄道駅やバスステーションなど中心街から少しはずれた場所にアクセスする際は、トラムや地下鉄の利用が便利。
しかし、プラハの地下鉄はかなりの強敵でした。
▲ プラハの地下鉄駅にはこのような前時代型の券売機が設置されており、どの料金のどのチケットを買うべきでどのボタンを押せば良いのかちんぷんかんぷんです。
地下鉄に乗車している時間/利用者の年齢/人数とおとな・こどもの組み合わせ…など、とにかく事細かに料金が分かれており、しかも全部アナログと言う謎。
「世界的な観光都市なのに…?」とびっくりしたことを覚えています。
しかも、間違えた切符で乗車してしまったら不正乗車の対象となってしまいますからね…
言葉のわからない旅行者にとってはハードモードです。(罰金を払わせようと目を光らせる検札係の数がかなり多い)
こうした「細かすぎる料金体系&アナログなチケット販売機&頻繁過ぎる検札」の三種の神器(?)は、プラハのみならず、ブダペストやブラチスラヴァなど中欧諸国で多かった印象。
日本の切符の細か~い料金システムにも通ずるこの感じ。
中欧はキッチリした国民性の地域なのでしょうか…気になります。
⑪キエフ(ウクライナ)
・人口:288.4万人
・地下鉄:あり(3路線)
・交通系ICカード:あり
・GoogleMap:対応
・乗車一回分の運賃:8UAH(=¥31)
人口300万人弱の巨大都市・キエフは、一度訪れたらもう最後。
そこはかとない魅力と居心地の良さを味わってしまうと、もうここから離れられなくなる…そんな「魔法にかかる町」です。
キエフ地下鉄は3路線のみで、人口規模を考えると少なく感じるかも。
旅行者が行くような場所はすべてカバーされているので、不便を感じることはありません。
のぶよがキエフの地下鉄で好きだったのが、ジェトン(トークン)が切符のかわりとなるソ連ゆずりのシステム ▼
改札前にはジェトンやICカードが購入可能なマシンが設置されており、「近代的なマシンから昔ながらの古びたジェトンが出てくる」というチグハグ感が味わえます(笑)
改札口には「そこに係員必要?」と疑問に思ってしまうほどに暇そうな係員が数人。
トビリシやエレバンなど、旧ソ連構成国の町ではおなじみの謎の人員配置も健在です。
キエフの地下鉄は、世界で一番深い場所を走ることでも有名。
最も深い場所にある駅は地下105.5m(!)だそうで、改札を入ってからホームに着くまでにものすごく深~~~く下っていく必要があります。
こんなに地下深い所に地下鉄を掘った最大の理由は、ソ連時代に核シェルターとしての役割を兼ね備えるように考えられた結果なのだそうです。
延々と続いたエスカレーターに乗ること数分で到着したホームは、シンプルながらもソ連らしさを感じさせるデザインが特徴的。
ミンスクやトビリシの地下鉄駅と同様に、駅ごとに作りや装飾が大きく異なっているそうです!
難易度★★★★☆
⑫ブラチスラヴァ(スロヴァキア)
・人口:42.4万人
・地下鉄:なし
・交通系ICカード:なし
・GoogleMap:対応
・乗車一回分の運賃:€0.7(=¥90)
のぶよが中欧諸国の中で一番好きな国・スロヴァキア。
その首都であるブラチスラヴァは、伝統的な建物が連なる旧市街を有するコンパクトな町です。
ブラチスラヴァの市内観光は徒歩で十分すぎるほどですが、郊外の見どころへと足をのばす場合には路線バスの利用一択。
この路線バスが、中欧諸国あるあるを世襲したややこしさの極みなシステムなのです。
ブラチスラヴァの路線バスはゾーン制が導入されており、目的地がどのゾーンに位置するかによって料金が変わるシステム。
それに加えて、乗車時間/片道か往復か/大人と子供の組み合わせ…など複雑怪奇な中欧あるある料金設定も健在なので、もはや自分一人ではどのチケットを買うべきか理解不可能です。
さらに。プラハの地下鉄にもあった無限ボタンのアナログチケット販売機も健在 ▼
とにかく。この町に初めて来たいっぱしの旅行者が、こんなのわかるわけもありません。
その辺に居る人をつかまえて適したチケットを買ってもらうしかないのですが、英語もあまり通じないのがスロヴァキア。
とにかく色々とハードモードだったのですが、みんな嫌な顔せずに優しく対応してくれたことを覚えています。
⑬ベオグラード(セルビア)
・人口:137.4万人
・地下鉄:なし
・交通系ICカード:あり
・GoogleMap:対応
・乗車一回分の運賃:89RSD(=¥97)
旧ユーゴスラビアの中心都市であり、バルカン半島西部で最大の都市であるベオグラード。
巨大な町で人口も100万人を余裕で越えるのですが、なんと地下鉄が走っていません。
そのため、ベオグラードはかなりの車社会。
ヨーロッパでは珍しく交通渋滞が社会問題になっているほどで、市内交通網の貧弱さは旅行者であっても感じることでしょう。
そんなベオグラードの市内交通は、数路線のトラムか路線バスのみ。
初めてこの町を訪れる旅行者にとって路線バスを使いこなすのは結構難しく、郊外の見どころへのアクセスなど苦労することも多いかもしれません。
市内交通網は発展していないのに、(いっちょ前に)交通系ICカードは導入されているのがベオグラード七不思議の一つ。
しかも、バスやトラムへの乗車後に現金でのチケット購入は不可で、必ずICカードを事前に購入しなければならないのです。
(バス車内で運転手から直接購入できると聞いていましたが、実際にはなぜか断られました…)
しかもしかも、この交通カードのチャージは端末等ではできないという謎設定。
いちいち有人のキオスクに行って、手動でチャージしてもらわなければならないのです。
ベオグラードほどの大都市で、このような不便極まりない交通システムが残っているのはもはや奇跡的かも(ポジティブシンキング)。
いっぽうで、ベオグラード市は交通網の改善を計画しているとのことなので、近い将来には何か別のシステムに生まれ変わる日が来るのかもしれません。
⑭キシナウ(モルドバ)
・人口:66.9万人
・地下鉄:なし
・交通系ICカード:なし
・GoogleMap:対応
・乗車一回分の運賃:2MDL(=¥12)
モルドバの首都・キシナウは、ソ連の地方都市感が色濃く感じられる町。
人口規模の割に微妙にだだっ広い中心街が特徴的で、「歩けないこともないけど、歩くにはちょっときつい…」といったジレンマに陥るかも。
地下鉄もトラムも走っていないキシナウの市内交通の基本は、ソ連時代からそのままのトロリーバス。
ボロッボロの車体でゴトゴト言いながら走るトロリーバスの車内は、もはや21世紀とは思えないような光景。すごくレトロで、古い映画の中に迷い込んだかのような気分になりました。
トロリーバスの運賃は2MDL(=¥12)と、今回の記事内で紹介している都市では最安値。
世界的に見ても、相当安い部類かもしれません。
トロリーバス以外には、やや新しめの車両の路線バスも運行されています。
こちらは停留所が電光掲示板で表示されていたりと、けっこう親切 ▼
キシナウの市内路線バスの運賃は、現金のみ対応&バス車内を巡回するチケット販売員に直接支払うスタイル。ICカードも紙のチケットもいっさい存在しません。
一見すると無駄にもほどがあるような人件費の使い方ですが、キシナウではこれが普通。
「無賃乗車は許さない!」とばかりに目を光らせるチケット販売員のプロ意識(?)も含めて、他の国ではできない体験が待っています。
難易度★★★★★
⑮ティラナ(アルバニア)
・人口:81.1万人
・地下鉄:なし
・交通系ICカード:なし
・GoogleMap:非対応
・乗車一回分の運賃:40LEK(=¥42)
市内交通がハードモードな首都の双璧の一つが、アルバニアの首都・ティラナ。
かなり大きな町ですが地下鉄は存在せず、市民の足となるのは路線バスのみ。
しかも、ティラナの路線バスには「路線番号」という概念が存在しないため、バス前方に行き先の地名が表示されているだけ…利用には優れた土地勘と方向感覚が必須です。
GoogleMapのルート案内にも非対応で、移動の拠点となるバスステーションの場所さえも頻繁に変更される…
とにかく色々と難易度が高く、はじめてこの町に降り立った旅行者を途方に暮れさせます。
ティラナ中心街は徒歩で観光することも不可能ではないのですが、少しはずれた場所に位置するバスステーションへのアクセスには、このハードモードな路線バスの利用がメインとなります。
地元の人ですらちゃんとバスの路線を把握していないくらいなので(みんなその辺の人に尋ねてる)、どれだけカオスかお分かりいただけるかと…
逆に言うと、ティラナの路線バスを使いこなせるようになったら、旅人レベルが大幅にアップします(笑)
⑯エレバン(アルメニア)
・人口:107.5万人
・地下鉄:あり(1路線)
・交通系ICカード:なし
・GoogleMap:非対応
・乗車一回分の運賃:100AMD(=¥23)
本記事内で紹介する都市の中で、旅行者にとって最もハードモードな市内交通システムを持つ町が、アルメニアの首都・エレバン。
ティラナもなかなかの強敵でしたが、エレバンの市内交通はまじでカオスです。
エレバンはとてもコンパクトな町ですが、さすがは元ソ連構成国とあって、地下鉄が1路線走っています。
▲ 路線図を見れば一目瞭然ですが、エレバン地下鉄は中心街にたったの二駅しか設置されておらず、観光時の移動には不便。中心街内なら歩いた方が早いことも多いです。
そしてこの地下鉄こそが、のぶよがこれまで訪れた旧ソ連諸国の中でソ連時代からそのまま部門No.1のシステム。
ICカードや1日券等はいっさい存在せず、有人窓口でジェトン(トークン)をいちいち現金で購入しなければなりません ▼
ジェトンを購入するシステムはキエフと似たように思いますが、キエフではチケット販売マシンがあったり、ICカードの購入も可能だったりとやや進んでいた印象。
いっぽうのエレバンでは、昔懐かしい人と人との触れ合い(?)が大切にされているのかも。(ジェトン売り場の係員は99%、超絶不愛想だけど)
ジェトン売り場の係員の手さばきは、もはや芸術。
お釣りを一瞬で計算し、オレンジのジェトンと小銭をサッと渡してくるまで1秒もかかりません。
これを毎日毎日、何十年もずっとやっているのですから…プロの技に頭が下がります。(が、もうちょっと愛想良くしてくれたら嬉しい)
改札に入ってしまえば、あとは他の都市と同様に地下鉄を利用すればOK。
トビリシのように「90分以内なら地下鉄→バスの乗り換え自由」等のシステムは存在せず、新しく乗車するたびに運賃を払いなおす必要がある点がネックでしょうか。
地下鉄がたったの一路線&微妙に不便な場所を走っているエレバンの市内移動に活躍するのが、マルシュルートカ(ミニバス)やトロリーバス。
いずれもソ連時代からずっと使われ続けているもので、そこはかとない限界感が素敵です ▼
エレバンの市内交通はGoogleMapのルート案内に非対応なので、旅行者にとってはかなりハードルが高め。
時刻表はそもそもなく、バス停によくある「○○行きは〇分後」の電光案内板もいっさい存在しません。「待ってりゃ来る」といった感じです(笑)
マルシュルートカ/トロリーバスのいずれにも路線番号がふられてはいますが、行き先表示はすべてアルメニア文字のみなのもハードモード ▼
マルシュルートカの定員は16人ですが、誰もそんなの気にしていません。
25人ほどの乗客をギュウギュウ詰めになるまで乗せて、今にも爆発しそうな限界エンジン音とともにエレバンの町を爆走します。
エレバン市民の足として大活躍するマルシュルートカ。
その車内は、大都市ながらも昔懐かしい光景が残るエレバン名物のひとつだと思います。
知らない乗客同士が自然に挨拶しあったり、立っている人の荷物を座っている人が膝の上に乗せてあげたり、後部座席の人の運賃をみんなが手渡しして運転手までリレー式で届けてあげたり(そしてお釣りもリレーされる)…
交通網が発展した町では忘れられてしまったような、他人との距離の近さや古き良き人情が根強く残っているような気がして、個人的にはすごく好きでした。
おわりに
東欧~コーカサス地方の旧共産圏・旧ソ連圏の国々の市内交通アレコレを紹介しました。
日本とは大きく異なるシステムの町もあれば、意外と難易度が高くない町もあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
ある町の市内交通は移動手段としての一面だけでなく、その町の空気を肌で感じることができる空間。
まだまだ未踏の旧ソ連圏の国もたくさんあるので(中央アジアとか)、いつかの訪問時には市内交通にも注目していきたいと思います!
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