こんにちは!ジョージア西部のアジャラ地方にのんびり滞在中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
私たち外国人にとってはもちろんのこと、ジョージア人にとってもアジャラ地方=バトゥミ。
黒海に面したこの地域最大の都市で、ビーチ沿いに高層マンションや微妙なセンスの巨大建造物が建ち並ぶ様子は、「どこに向かっているのか分からない近未来都市」といった印象を与えます。
バトゥミをはじめとする黒海沿岸地域でのビーチ三昧のバケーションも良いのですが、実はアジャラ地方にあるのは海だけではありません。
バトゥミから少し内陸部に入るだけで、緑深い山々と澄み切った清流沿いに点在する伝統的な村々が点在しているのも、この地方の大きな魅力です。
人呼んで「マウンテン・アジャーラ」というこのエリアには、有名ではないものの美しい風景を誇る場所が多くあるのですが、今回紹介するのもそのうちの一つ。
「アジャラ地方で最も古い村の一つ」と言われるミルヴェティ村は、20軒ほどの家屋が森の中に建つだけの素朴な村。
名物のミルヴェティの滝やターコイズブルーの美しい清流のの涼し気な風景はもちろん、村の人々との交流も楽しみです。
ミルヴェティ村よりさらに東には、こちらも荘厳な滝を持つマフンツェティ村が。
1000年前に造られたマフンツェティの石橋が残る場所でもあり、ジョージア人の間では大人気の観光スポットとなっています。
今回の記事では、懐かしい山間部の風景が残るミルヴェティ村&マフンツェティ村の観光情報を解説していきます。
二つの村は、バトゥミからの日帰り可能&個人で公共交通手段でアクセス可能なので、気軽なデイトリップにもぴったり。
「黒海ビーチ三昧の日々にちょっと飽きた…」という贅沢な人にはおすすめです!
優雅な滝と素朴な風景にうっとり。ミルヴェティ村
バトゥミからたった20kmしか離れていないミルヴェティ村(Mirveti / მირვეთი)は、変なビルが建ち並ぶ海岸沿いの風景とはもはや別世界。
トルコから流れてくるチョルフ川沿いの緑深い山のふもとに位置する小さな村ですが、初めて来たのに何だか懐かしく感じるような、不思議な雰囲気に包まれています。
ミルヴェティ村の目の前を流れる川は澄み切っていて、神秘的なターコイズブルーの水が印象的。
水はやや冷たいですが、ぜひ泳いでみましょう。
淀みに淀んだバトゥミの海の何百倍も水質は良く、山々に囲まれながらの夏のひとときは素晴らしい思い出となるはずです!
ミルヴェティの滝
ミルヴェティ村最大の観光スポットが、村はずれにあるミルヴェティの滝。
水量はさほど多くなく、規模も巨大なものではありませんが、独特の水の流れはとても優雅な印象を与えます。
ミルヴェティの滝の素晴らしいところは、山道をほとんど歩くことなくアクセスできる点。
最後の数十メートルほどは緩やかな坂道ですが、それ以外は平坦な未舗装道路なので誰でも簡単にアクセスすることができるのです。
のぶよが訪れたのは土曜日だったこともあり、簡単にアクセスできることもあって、セルフィーにはげむジョージア人観光客がひっきりなしに行き交っていて騒がしかったのが少々残念。
平日の午前中であれば、この場所本来の神秘的な雰囲気がより味わえると思います。
ミルヴェティの滝周辺には、小さな石橋が残っています。
これはアジャラ地方の山間部で見られる伝統的なアーチ橋で、多くが9世紀~11世紀頃の建造のものだそう。
ミルヴェティ村の石橋は、後に紹介するマフンツェティ村のものよりはかなり小さくて素朴な印象ですが、観光客がやって来ない静かな雰囲気にひっそりと架かる橋は一見の価値があります。
素朴な村の風景と人々
先述の通り20軒ほどの民家しかないミルヴェティ村の風景は、どこまでも「古き良き山の中の村」そのもの。
バトゥミからのアクセスが良いため、さらなる僻地の村に比べると伝統は薄れつつあるものの、この地域でポピュラーな木造の高床式倉庫がいたるところで見られます。
のぶよはこうした伝統建築が好きなので、結構色々まわって見学していたのですが、ある家でジョージア地方部お決まりの「モディ モディ!(=「おいでおいで」)」をいただきました。
何と、その家の息子がこの日たまたま誕生日だったそうで、なぜか誕生会に参加することに(笑)
もちろん英語なんて通じるわけもなかったのですが、まあなんとかなります。
自家製の誕生日ケーキにはじまり、チャチャ(蒸留酒)、ナスとくるみのおつまみ、コーヒーまで、次から次へと色々出てきます。
なんだかんだ1時間以上も色々飲み食いさせていただきました。
アジャラ地方の人は、とてもオープンな気質で人が良いことは有名な話ですが、実際にこうしたおもてなしを受けると(しかも明らかな外国人&コロナによって多くの国で他人への疑心暗鬼が広がる中)、噂だけではなかったことを強く実感させられます。
もちろん後からお金を請求されるなんてことはありませんので、アジャラ地方では、「モディ モディ!」には素直に従っておくのがおすすめです。
素晴らしい風景や見どころよりも、こういう何気ないことの方が後々印象に残ったりするので。
ミルヴェティ村&周辺のその他の見どころ
ミルヴェティの滝を見学して村内を散策しても、1時間~1時間半あれば十分なほど。
もし時間に余裕があるなら、村の周辺にいくつかある見どころへと足をのばしてみましょう。
バトゥミからの幹線道路が、ミルヴェティ村方面へと分岐する地点にあるアチャリスツカリ村にある教会は、川を望む場所に建つ可愛らしい外観が特徴的。
アチャリスツカリ村~ミルヴェティ村まで徒歩でアクセスする場合は必ず通ることとなるので、立ち寄ってみるのがおすすめです。
アチャリスツカリ村~ミルヴェティ村に至る道路沿いから見られるのが、チョルフ川とアチャリスツカリ川が合流する地点。
二つの川は水質が異なり、チョルフ川(写真左)はターコイズブルー、アチャリスツカリ川(写真右)はエメラルドグリーンと水の色も異なって見えるのです。
(iPhone5の写真なので分かりにくいですが、実際見ると全く色が違っていてびっくりします)
ミルヴェティ村から1.5kmほど南に行くと、マチャヘラ渓谷というアジャラ地方のさらなる奥地へと分岐する道路にぶつかります。
その分岐点付近にぽつりと建つこちらのモニュメントは、マチャヘラ鉄砲記念碑。
マチャヘラ渓谷一帯は昔から良質の鉄砲を製造してきたことで有名な場所で、18世紀頃にはマチャヘラ産の銃はかなりの高値で取引されていたそうです。
正直、この場所にはこのモニュメント以外に何もないのですが、この先のマチャヘラ渓谷一帯は国立公園に指定されているほど自然が豊かな地域。
それに加えて、アジャラ地方山間部の伝統文化も息づいている秘境のようなエリアだそうです。
のぶよは秋の紅葉の時期を狙ってマチャヘラ渓谷を訪れようと考えているので、その際にまた記事にしたいと思います!
ミルヴェティ村の入口となる橋付近までは、マルシュルートカでアクセスすることも可能ですが、かなりの絶景ルートなので、どちらか片道は徒歩で移動するのもおすすめです。
アップダウンはほとんどない3kmほどの道のりなので、スニーカーでも問題なく歩けます。
・距離:3.6km
・所要時間:45分
ミルヴェティ村への道路が分岐する地点にあるのが、アチャリスツカリ(Acharistskali აჭარისწყალი)という小さな村。
バトゥミからやってきたマルシュルートカは全てこの村を通るので、アクセス拠点にはぴったりです。
(いくつかのマルシュルートカはミルヴェティ村入口付近まで行くものも)
アチャリスツカリ村は数十軒の民家が建つだけの小さな村。
バス停付近には商店などはなく、ミルヴェティ村にも一つもないので、飲料水や軽食などは用意していくのがおすすめです。
(滝の水が普通に飲めるとは思いますが)
ミルヴェティ村までは、平坦な舗装道路沿いを3kmほど歩いていくだけの簡単な道のり。
途中からは美しい川の風景を眺めながらの気持ちの良いウォーキングが楽しめます。
途中には先述の教会や、川の合流地点などの見どころもあるので、やっぱり行きか帰りの片道は歩くのが良いでしょう。
アチャリスツカリ村を出て3kmほどの場所にあるこちらの橋が、ミルヴェティ村唯一の入口。
車両通行も可能な頑丈な造りのものなので、高所恐怖症の人でも問題ないと思います。
(ジョージア地方部には命の危険を感じるようなつり橋があるのが基本なので)
壮大な滝と歴史ある石橋をまわる。マフンツェティ村
ミルヴェティ村からさらに東、バトゥミから30kmほど離れた場所に位置するのがマフンツェティ村(Makhuntseti / მახუნცეთი)です。
人口こそ100人ほどですが、こちらはバトゥミ~フロを結ぶ幹線道路沿いにある村。
ミルヴェティ村に比べるとかなりひらけた印象を持つでしょう。
マフンツェティ村には2つの有名観光スポットがあり、ジョージア人の間では大人気となっています。
・マフンツェティの滝
・マフンツェティの石橋
自然の素晴らしさと、人間が造りだした建造物の素晴らしさのいずれも感じることができる面白い村です。
マフンツェティの滝
マフンツェティ村のシンボルとなっているのが、村の北側にあるマフンツェティの滝。
先に紹介したミルヴェティの滝よりもかなり高さがあり、水量も多くて迫力満点。
優雅で隠れた雰囲気だったミルヴェティの滝に対し、こちらは猛々しく荘厳な印象です。
マフンツェティの滝は村の中心部から徒歩すぐでアクセスでき、ほとんどアップダウンもないため、こちらも老若男女問わず多くの観光客が訪れる場所となっています。
滝へと至る道にはお土産や名産のハチミツを売る露店がいくつか並んでおり、ジョージアの中では結構な観光地となっているのかもしれません。
マフンツェティの滝は意外に水温が低くないことで知られていて、夏場の昼間の時間帯なら気持ちの良いスイミングが楽しめるはず。
のぶよが到着したのは午後遅めの時間帯で、滝周辺はすでに日陰になっていたためか、勇敢な少年が一人泳いでいただけでした。
(その場のジョージア人観光客はとにかくセルフィーの嵐でしかありませんでした)
マフンツェティの石橋
マフンツェティの滝と並ぶ村の見どころが、10世紀頃(1000年前)建造のマフンツェティの石橋。
エメラルドグリーンの水が美しいアチャリスツカリ川に架かるアーチ型の橋で、100%石をつなぎ合わせただけでできています。
後にジョージア王国最初で最後の女性国王となったタマル女王の名をとって、「タマル王女の橋」と呼ばれることもあるそうです。
全長28.7mの橋は結構な規模で、その独特なアーチ型がとても美しいです。
橋を形成する石は積み重なっており、層によって使われている石の種類や大きさが異なることから、洪水などで橋が傷むたびに修復されてきて現在の姿になったと考えられています。
1000年前に建設されてから現在まで、村人たちに利用される石橋。
のぶよが訪れたときは、地元の子供たちの度胸試しの場として利用されていました。
「同じような光景をどこかで見たぞ…?」と感じたのですが、世界遺産の「橋の町」、ボスニア・ヘルツェゴビナのモスタルでのことでした。
あちらでもスタリィ・モストという有名な橋から、地元の若者が通過儀礼として川に飛び込むというのが名物になっていたことを思い出しました。
(モスタルの橋からの飛び込みは、規模が違いすぎるので恐怖でしかないでしょうが)
国は違えど、子供たちの考えることは同じ。
何だか日本の昔にもあったような風景を眺めながら、ずっと変わらないこの地域の人々の生活に思いを馳せました。
マフンツェティの橋の下を流れる川沿いは砂浜のビーチになっていて、観光の合間のクールダウンにもぴったり。
休日だったためか、バーベキューをする家族連れなどで結構賑わっていました。
川の水にもかかわらず水温はそこまで低くなかったので、帰りのバスを待ちながらのんびりしていくのも良いでしょう。
アジャラ内陸部のアクセス・交通情報
「ジョージアの地方部」と言うと、バス路線が発達しておらず、個人での移動が不便な場合も多いもの。
しかし、今回紹介したミルヴェティとマフンツェティの二つの村を観光しながらゆっくりまわっても、バトゥミからの日帰りは十分に可能です。
下の図は、バトゥミ~アジャラ地方内陸部間のマルシュルートカ(乗り合いバス)の主な路線を示したもの。
バトゥミ~アジャラ地方内陸部の主要マルシュルートカ路線
・緑線:バトゥミ~フロ路線 (30分~1時間に1本)
・青線:バトゥミ~ケダ路線(30分に1本)
・赤線:バトゥミ~マチャヘラ渓谷各村路線(1時間~2時間に1本)
バトゥミ~ミルヴェティ村のアクセス
バトゥミからミルヴェティ村へのアクセスは、時間や体力によって2通り。
① バトゥミ~内陸部各村のいずれかのマルシュルートカ(上の地図の青・緑)に乗り(40分)、アチャリスツカリ村で途中下車→徒歩でミルヴェティ村へ(45分)
② バトゥミ~ミルヴェティ村入口を通るマルシュルートカ(上の地図の赤)を利用(50分)
ミルヴェティ村方面へと道路が分岐するアチャリスツカリ村までは、バトゥミ中心街のミニバスターミナルからフロ(Khulo)行きやケダ(Keda)行きのマルシュルートカが30分に1本ほどと頻発しているので、簡単に移動可能です。
そんなに長い距離を歩きたくない場合は、ミルヴェティ村への入口となるつり橋前を経由して、さらに先のマチャヘラ渓谷へと向かうマチャヘラ渓谷内各村行きのマルシュルートカを利用することも可能です。
こちらもバトゥミのミニバスターミナルの発着で、74番や172番などいくつかの路線が1時間に1本程度走っています。
バトゥミ~マフンツェティ村のアクセス
幹線道路沿いに位置するマフンツェティ村へのアクセスはかなりシンプル。
バトゥミのミニバスターミナルから、ケダ行きかフロ行きのいずれかのマルシュルートカ(上の地図の青・緑)に乗って、マフンツェティ村で途中下車するだけです。
各村からバトゥミへの移動
気をつけたいのが、ミルヴェティ村/マフンツェティ村を観光した後にバトゥミへ戻る際。
バトゥミのバスステーションでは、「フロ発18:00のバトゥミ行きの便がある」(=マフンツェティ村19:00/アチャリスツカリ村19:20)と言われていましたが、実際に各村で確認したところ、「フロ発17:00が最終」(=マフンツェティ村18:00/アチャリスツカリ村18:20)とのことでした。
のぶよは危ない橋を渡るのが嫌だったので、17時くらいにマフンツェティ村のバス停で待っていたところ、17:20頃にちゃんとバスが来たので一安心。
このエリアでは誰も本当のバスのスケジュールなんて気にしていないので(笑)、バトゥミに戻る最終のバスは避けて、少し余裕を持って観光を済ませることを強くおすすめします。
さもなければ、何もない村にただ一人取り残されることになるかも…
(みんな良い人なので誰かしら泊めてくれるでしょうが)
おわりに
バトゥミから日帰りで足をのばすにもおすすめな、アジャラ地方内陸部の二つの村を紹介しました。
いずれの村でも自然がすぐそばに感じられ、バトゥミのリゾート都市感あふれる雰囲気とは異なる時間が流れていることに気が付くはずです。
アジャラ地方の内陸部には、他にも知られざる見どころが点在しているのも忘れてはいけません。
黒海ビーチも良いですが、山の自然と伝統文化あふれるこのエリアの旅も捨てがたいもの。
穏やかでホスピタリティーあふれる人々との出会いの後は、少し違った視点でアジャラ地方を感じることができると思います。
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