こんにちは!ジョージア滞在も1年、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ)
ジョージアに滞在して1年と数ヶ月。
定番の観光スポットはほぼ行きつくしてしまい、なんとなく刺激が足りない日々を送っていました。
…が。
出会ってしまいました。穴場中の穴場なスポットに。
それが、トビリシ近郊に位置するシオ・ムグヴィメ修道院(Shio Mgvime Monastery / შიომღვიმე)。
トビリシから車で40分ほどの荒涼とした山岳地帯の一角。
断崖絶壁の岩山を背景にたたずむ古めかしい修道院は、宗教が違ってもその神聖さが肌で感じられるほどの威厳を放ちます。
静寂に包まれたシオ・ムグヴィメ修道院。
ここが100万人都市のトビリシのすぐ近くだなんて信じられないほど。
背後にそびえ立つ岩山の風景もあって、どこか現実離れしたような、RPGの世界に迷い込んでしまったかのような印象を受けます。
「ドラクエの世界!」なんて、キャッチーでキラキラなタイトルをつけてしまいましたが、実はこの場所は歴史的にも、計り知れない価値があるもの。
6世紀(1400年前)の教会やかつての修道僧が暮らした洞窟が、ほぼ当時のまま残されているためです。
「ドラクエ~!やばーい~!映え~!」な人も、ジョージアの歴史に興味があるガチ勢も…。
どんな人でもきっと満足できる、シオ・ムグヴィメ修道院の魅力を紹介していきます!
こんなに知られざるスポットを、こんなに詳しく解説しているのも当ブログくらいだと思うので(笑)、実際に訪れる際の参考となれば嬉しいです!
シオ・ムグヴィメ修道院の歴史と見どころ
トビリシから北西に20kmほど。
クラ川の流れに沿って茶色い岩肌の山々が連なる、荒涼とした風景が続く谷間が広がります。
その谷間を見渡す高台にひっそりとたたずむ聖地が、シオ・ムグヴィメ修道院。
その敷地内に一歩足を踏み入れると、まるで現世から隔絶されたような雰囲気に驚くはず。
切り立った岩山は、まるで修道院の建物を呑み込まんばかりの大迫力。
荒涼とした山肌もあって、「ドラクエの世界」という表現がしっくりきます。
異世界感にひたりながらサクッと観光するのも良いのですが、この場所は1400年以上の長い歴史を持つ地。
せっかくなら少しでも歴史を知ってから見学した方が、感動も倍増すると思います。
というわけで、この項では、シオ・ムグヴィメ修道院の歴史と敷地内の見どころを絡めながら紹介していきます!
①シオ・ムグヴィメの起源:1400年前の洞窟住居
パッと見ただけでも、かなり古い建物であることがわかるシオ・ムグヴィメ修道院。
その起源はかなり古く、6世紀(580年頃)のこと。
アッシリア十三士の一人であるシオ・ムグヴィメリ(Shio Mgvimeli / შიო მღვიმელი)という聖人によってひらかれたとされています。
世界で最も早い時期にキリスト教を受容した国の一つであったイベリア王国(現在のジョージア東部地域)。
この地でキリスト教の信仰をより強いものとするために、メソポタミア(現在のイラク・シリア一帯)から派遣された13人の教父がアッシリア十三士と呼ばれる聖人たちです。
現在のジョージア国内には、彼らの名を冠して祀っている13の修道院が点在しており、シオ・ムグヴィメ修道院もそのうちの一つ。
あくまでも伝説の域を出ない話ですが、
・カヘティ地方のアラヴェルディ修道院
・世界遺産のダヴィット・ガレジ修道院
なども、アッシリア十三士を祀った修道院の一つです。
シオ・ムグヴィメリは、何もなかった断崖絶壁の岩山に洞窟を掘り、神に祈りを捧げながら一生を過ごしたとされています。
「シオ・ムグヴィメ」という修道院の名前は、ジョージア語で「シオの洞窟」の意味。
1400年以上前のこの伝説が、この場所が聖地である裏付けとされているのです。
シオに倣い、洞窟を掘って祈りを捧げる生活をしようとこの地に集まってきた僧の数はなんと2000人以上にものぼったそう。
彼らが生活した洞窟は、修道院の建物裏の断崖絶壁の岩の斜面に現在でも見ることができます。
「ジョージアの洞窟修道院」と言えば、世界遺産のヴァルジアが有名。
しかしヴァルジアの洞窟住居に人が住み始め、修道院として機能し始めたのは12世紀頃。
つまり、シオ・ムグヴィメ修道院の方が500年以上も前ということ。
その歴史の長さに改めて驚かされます。
②1400年前の姿そのまま:聖ヨハネの洗礼教会
シオ・ムグヴィメ修道院の象徴的な建物が、八角形型のドームを持つ聖ヨハネの洗礼教会(Church of St.John the Baptist)。
建築に少し詳しい人は一目見ればわかるかもしれませんが、この八角形ドームを持つ教会は初期キリスト教建築の象徴。
現在ジョージア国内に多く見られる鉛筆型のドームを持つ教会(中世の建築様式)とは、全く違うことがわかります ▼
八角形のドームを持つ聖ヨハネ洗礼教会は、「THE・初期キリスト教様式」。
580年頃までに完成していたとされており、現在見られる建物の大部分はオリジナルのものというのには驚き。
1400年前ですよ?日本では何してたっけ…?
今でこそ、人里離れた山奥にひっそりとたたずむシオ・ムグヴィメ修道院ですが、6世紀の完成当時はイベリア王国(東ジョージア一帯)の信仰の中心だったそう。
その後、8世紀頃のアラブ人の侵入によって修道院は荒廃してしまいます。
聖地としての機能が危うくなりますが、中世になると再びキリスト教文化がこの地で花開くことになります。
③中世の黄金時代の象徴:上院
数百年に渡って異民族の支配を受けたジョージアが再び独立し、キリスト教を主軸とした中世グルジア王国が黄金時代に突入したのが11世紀~12世紀にかけてのこと。
黄金時代の国王の一人であるダヴィット4世(ダヴィット建設王)時代に、荒廃した修道院の建物は再建され、新たに上院が建設されました。
上院があるのは、八角形ドームがある聖ヨハネ洗礼教会の裏側。
断崖絶壁の岩肌の真下にあたります。
建設当初の上院の建物は、すぐ後ろの岩肌に掘られた洞窟住居と繋がっていたそう。
洞窟にこもって生活する修道僧たちのための食堂や交流の場所としての機能も備えていたそうです。
その後、モンゴル帝国やペルシア帝国などの異民族支配によって、再び重要性が失われてしまったシオ・ムグヴィメ修道院。
現在では多くの人に忘れられた存在となり、数人の修道僧たちがひっそりと暮らすだけの静かな聖地としてたたずんでいます。
シオ・ムグヴィメ修道院へのアクセス・行き方
シオ・ムグヴィメ修道院へは公共交通手段が通っていません。
そのため、個人でアクセスする方法は以下の3種類。
①トビリシでタクシーをチャーター (40GEL~50GEL)
②ムツヘタでタクシーをチャーター (20GEL)
③ムツヘタから徒歩
スケジュールや予算、体力に合わせたものを選びましょう!
「そもそもムツヘタまではどうやって行くの?」という人へ。
トビリシ~ムツヘタ間のマルシュルートカ移動情報を別記事でくわしく解説しています!
①トビリシでタクシーをチャーター
最も簡単&快適にアクセスするなら、トビリシでタクシーをチャーターしてしまうのが楽。
バスステーションがある地下鉄ディドゥベ駅やステーション・スクエア駅には客待ちしているタクシーが常に待機しており、「シオ・ムグヴィメ修道院に行きたい!」と言えば喜んで連れて行ってくれるでしょう。
料金は交渉次第とはなりますが、一台あたりの料金目安は以下の通り。
・トビリシ~シオ・ムグヴィメ修道院の単純往復:40GEL~50GEL(=¥1306~¥1633)
・半日チャーターして、修道院やムツヘタの他の見どころもセットでまわる:50~70GEL(=¥1633~¥2283)
人数が多ければ多いほど、一人当たりの料金は安くなります。
せっかくタクシーをチャーターするなら、シオ・ムグヴィメ修道院だけでなくムツヘタ周辺の他の見どころ(ジュワリ教会など)と組み合わせてまわるのが効率的だと思います。
②ムツヘタでタクシーをチャーター
タクシーを利用する場合でも、少しでも料金を節約したい人におすすめなのが、ムツヘタでタクシーをチャーターすること。
トビリシ~ムツヘタ間はマルシュルートカ(公共ミニバス)で移動し、ムツヘタ到着後に現地でタクシーを探すのです。
ムツヘタ中心街の北側にあるバス停付近では、常に客待ちのタクシー(という名のただの地元民)が待機しているので、声をかけるだけ。超簡単です。
こちらも料金は交渉次第となりますが、相場はだいたい決まっています。
・ムツヘタ~シオ・ムグヴィメ修道院の単純往復:20GEL(=¥653)
・シオ・ムグヴィメ修道院 + ジュワリ教会をセットでまわる:40GEL(=¥1306)
ムツヘタ中心街~ジュワリ教会は徒歩でのアクセスも可能ではあるものの、けっこうキツいので、効率的&快適に観光したいならタクシーでまわってしまった方が楽です。
③ムツヘタから徒歩
「とにかく安く行きたい!タクシーは使いたくない!」というガチ勢は、ムツヘタの中心街~シオ・ムグヴィメ修道院を徒歩で往復することも可能。
12kmほどの舗装道路をただ歩いて行くだけの道のりで、高低差は▲400m ▼200mとまあまあなもの。
所要時間は片道2時間半~3時間ほどです。
正直、徒歩でアクセスするとシオ・ムグヴィメ修道院の観光だけで1日が終わってしまうため、時間と体力があり余った人のみのオプションです。
シオ・ムグヴィメ修道院&ムツヘタをセット観光するコツ
シオ・ムグヴィメ修道院単体での観光も良いのですが、「ドラクエの世界」と言われる古都・ムツヘタとセットでまわるのが基本かつ効率的です。
(どのみちムツヘタを経由してのアクセスとなるので)
1日でジュワリ教会/ムツヘタ中心街/シオ・ムグヴィメ修道院の全てをまわりたい場合は、
①ムツヘタ中心街でタクシーをチャーター (40GEL/1台)
②シオ・ムグヴィメ/ジュワリを順番にまわる
③ムツヘタ中心街に戻って市内観光
の流れがおすすめです!
- 10:00ムツヘタ到着
タクシーをチャーターしてシオ・ムグヴィメ修道院へ(20分)
- 10:20シオ・ムグヴィメ修道院観光 (40分)
→タクシーでジュワリ修道院へ (40分)
- 11:40ジュワリ修道院観光(30分)
タクシーでムツヘタ中心街へ (20分)
- 12:30ムツヘタ中心街でランチ&観光 (3~4時間)
- 16:30ムツヘタ出発
半日あれば十分に楽しむことができますが、できるだけ早い時間に観光をスタートするのがポイント。
昼過ぎにやってくる観光客の波を避けられるのはもちろん、ジュワリ教会からの絶景は午後になると逆光となってしまうためです。
おわりに
シオ・ムグヴィメ修道院観光・アクセスに必要な情報を解説しました。
「あまり有名になりすぎるのもなあ…」とも思いますが、このまま定番観光スポットに埋もれて無名なままなのはやっぱりもったいない。
歴史を感じる修道院の建物、RPGの世界に迷い込んだような感覚、聖地らしい厳かな雰囲気…
これらをもっと多くの人に知ってもらい、味わってもらいたいと思いました。
トビリシから気軽にアクセスできる近さも魅力的。
トビリシ滞在中/ムツヘタ観光のついでに、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
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