こんにちは!セルビアを3週間ほど旅した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
旧ユーゴスラビアの中心的存在であったセルビア。周辺諸国からの嫌われ者具合は半端じゃありません(笑)
壮絶を極めたユーゴスラビア内戦やボスニア内戦、現在でも緊張が続くコソボ情勢など、ユーゴスラビア崩壊後のセルビアを取り巻く状況は、お世辞にも芳しいものではありませんでした。
結論から言うと、旅行者として訪れる分には、セルビアは全く危険な国ではありません。
むしろ、安全に旅行できる国の一つであると言えるでしょう。
しかしながら、都市や地域によってその状況は異なってくるのが治安です。
今回の記事では、セルビアでのぶよが滞在した四都市(ベオグラード、ノヴィ・サド、ノヴィ・パザル、ウジツェ)と地方部で実際に感じた治安の状況をシェアします。
記事後半では、セルビアを楽しく旅行するための3つのアドバイスとセルビア人に言ってはいけないタブーな言葉について解説しているので、参考にしていただければと思います。
ベオグラードの治安
バルカン半島最大の都市であるベオグラード。
戦争の傷跡を残しながらも、近代化が進む町は活気にあふれ、欧米資本も徐々に進出しつつあります。
ベオグラードは安全な首都と言え、最低限の注意さえ払っていれば問題なく旅行ができるはず。
それでも、あまり雰囲気が良くないエリアや夜に出歩くのは少し怖いエリアも存在します。
スタリィ・グラード(ベオグラード中心街)の治安
ベオグラードの観光の中心であるスタリィ・グラード。
昼も夜も多くの人が行き交うクネザ・ミハイラ通り周辺は、24時間営業のスーパーマーケットやファストフード店も多くあり、極めて安全と言えます。
ベオグラードを重点的に観光したいなら、このエリアに宿泊するのが安全で便利です。
バスターミナル周辺の治安
ベオグラードに到着する旅行者のほとんどは、旧鉄道駅に隣接した中央バスターミナルを利用することとなるでしょう。
バスターミナル内部には24時間営業のレストランや商店もあり、治安は決して悪くはありません。
警備員が巡回しているので、不審者は中に入ることができないためです。
しかしながら、バスターミナルから一歩外に出ると、あまりいい雰囲気が漂っているとは言えないのが事実です。
窓ガラスが割れたまま放置されていたり、いたるところに落書きが見られます。
また、地べたに座り込んでお酒を飲んでいるような人たちの姿も。
とはいえ、こちらから絡まない限り何かをされることは考えにくいです。
バスターミナル周辺はできるだけ足早に去り、目的地や宿泊先に向かうのがいいでしょう。
ベオグラード新市街の治安
スタリィ・グラードから市内南部にかけては、ベオグラード新市街エリアです。
丘の上にあるベオグラードの町の特性上、歩行者専用のトンネルがいくつかあるのですが、その雰囲気は最悪。
通路内のお店は常に閉まっており、浮浪者がたむろしているような場所です。
また、観光名所である市内南部のサヴァ教会周辺は、人通り・街灯ともに少ないため夜は少し怖い雰囲気が漂っています。
セルビア政府の建物が多くある新市街中心部(空爆通り、国会議事堂周辺)は、治安は悪くはないものの、夜は人通りがぐっと少なくなるので注意しましょう。
ノヴィ・サドの治安
南部のニシュと、セルビアの第二の都市争いを続けるノヴィ・サド(Novi Sad)。
ベオグラードからのデイトリップ先としても人気の、ハンガリー風の美しい旧市街が残る町です。
常に人が多く忙しいベオグラードと比べると、ノヴィ・サドはどこか落ち着いた地方都市らしい雰囲気が漂っています。
ノヴィ・サド旧市街の治安
美しい建物が連なるノヴィ・サドの旧市街。
観光客や地元の人で常ににぎわっていて、治安は全く悪くないです。
夜でもパブやバーには多くの人がいるので、ナイトライフも安心して楽しめます。
ノヴィ・サドのバスターミナル周辺の治安
きれいに整備された旧市街と比べると、共産主義時代の無機質な建物が並ぶバスターミナル周辺はまるで別の町のような雰囲気。
どうしても貧しい人が多いようで、物乞いの姿もちらほら見かけることも。
決して治安は悪くはありませんが、特にこのエリアに長居する理由もないので、さっさと旧市街へ向かってしまった方がいいでしょう。
ノヴィ・パザルの治安
セルビア南西部、コソボやボスニアとの国境にほど近いノヴィ・パザル(Novi Pazar)は、セルビア内でも異国情緒ただよう町。
セルビアの他地域から来ると、完全なるイスラム圏に来たような印象を受けること間違いありません。
ノヴィ・パザルは山に囲まれた小さな町なのですが、治安面では少し注意が必要です。
いまだに解決策を見いだせていないコソボ紛争による政治的不安定さもその理由の一つなのですが、何よりも気を付けなければいけないのがドラッグです。
実は、ヨーロッパで売買される麻薬やコカインなどの違法薬物の多くは、コソボを経由してやってくると言われるほど。
コソボからセルビアを経由して中・東欧方面への薬物の密輸ルート上にあるノヴィ・パザルの町では、多くの違法薬物の取引が行われているそうです。
実際に、バスターミナルから中心街へと歩いているとき、コソコソとお金を渡してやり取りし合っている数名の若者グループを目撃しました。
旅行者に何か危険が及ぶことは考えにくいですが、注意するに越したことはないでしょう。
ウジツェの治安
セルビア西部に位置する工業都市ウジツェは、周辺の国立公園や素朴な村へのアクセスの拠点となる町。
ボスニアへの国境からもほど近く、ここからボスニアに抜けよう(またはセルビアに入ろう)と考えている旅行者も多いのではないでしょうか。
ウジツェの治安は、完全に安全だと感じました。
ホスピタリティー溢れるウジツェの人々の笑顔は、安心して旅をさせてくれることでしょう。
セルビア地方部の治安
セルビアの地方部の治安は、ご想像の通り安全そのものです。
ホステルによっては、玄関の鍵が存在しないようなところまであるほど。
セルビアの田舎の人々はみんな優しく、ホスピタリティーにあふれています。
思わぬところで、素朴な笑顔や優しさに出会うことも多くあるでしょう。
田舎をのんびりと旅行するのが、セルビアという国の魅力を最も感じられる方法です。
セルビア旅行を楽しむためのアドバイス&セルビア人に言ってはいけない言葉
セルビアの治安は概して良好です。
しかし、安心安全な日本と同じ感覚で旅行するのはナンセンス。最低限の注意を払う必要はあります。
ここからは、セルビアという国をより楽しんで旅行するためのアドバイスを解説していきます。
セルビア旅行をより楽しむための3つのアドバイス
1.少しでもセルビア語で話してみる
国際化が進んできているベオグラードと、観光地として多くの外国人が訪れるノヴィ・サドでは、おおむね英語が通じます。
(年代や人にもよりますが)
これら二都市だけを訪れるのなら、セルビア語を一言も知らなくても何の問題もなく旅行できてしまうでしょう。
しかし、地方部に行くと、英語の通用度はびっくりするほど下がるのがセルビア。
上で紹介したノヴィ・パザルやウジツェなど、ある程度の大きさの地方都市ですら、英語はほとんど通じません。
田舎では英語を話せる人に出会うことは奇跡のようなものです(笑)
しかも、こちらの言いたいことをわかってくれるならまだしも、全くもってわかってもらえないことが多いです。
ボディーランゲージやジェスチャーなどで乗り切るのも一つの手ではありますが、せっかくなら少しでもセルビア語で言えるようにしてみるのもいいのではないでしょうか。
挨拶や「1、2、3」などのいくつかの数字を覚えているだけでも、セルビア地方部の旅が格段にしやすくなりますよ。
また、英語で話しかけるとなんだか愛想があまり良くないセルビア人ですら、こちらのつたない発音の「ドベル ダン(セルビア語で「こんにちは」)」を聞くと、笑顔になってくれることも多いです。
しかも、セルビア語が少しでも使えれば、隣国のクロアチア語・ボスニア語・モンテネグロ語も自動的に使えるようになるという嬉しいオプション付き!
旧ユーゴスラビア時代にはもともと同じ国であったこれらの国々の言語ははほぼ同一の言語。
政治的理由で別の言語名がついているに過ぎないのです。
セルビアの後に旧ユーゴスラビア諸国を回る予定なら、セルビア語を覚えておいて損はありません。
2.ラキアを断らない
ラキア(Rakia)とは、セルビアの国民的アルコール飲料です。
プラムを発酵させた蒸留酒であるラキアのアルコール度数はかなり強く、食前酒として飲まれます。
セルビアでは、客人をもてなす際や友人と集まった際に、まずラキアをショットで飲み交わすのが伝統です。
それもただの古い伝統文化ではなく、若者の間でも未だに根付いているラキア文化。
日本でいう、「とりあえずビール文化」のようなものだと思っていただければ。
ポイントは、セルビア人にラキアを勧められて断ることは、「あなたとはお酒を飲み交わしたくない」という意味に捉えられてしまうということ。
日本でいう「お酌を断る」ということにあたります。
もちろん、お酒が飲めない人はそれを相手にちゃんと伝えて断るべきですが、そうでないならばありがたくいただいておきましょう。
最初の一杯さえいただいてしまえば、二杯目からは断っても失礼には当たらないそうです。
正直、アルコール度数が強すぎてプラムの味もへったくれもないラキアなのですが、これもセルビアの文化。
ラキアを飲んだ後は、みんなと仲良くなれること間違いありません。
セルビアの好きなところをセルビア人に話す
隣国からことごとく嫌われているセルビア。
セルビアの人々はそんなこと気にしていないのではと思っていたのですが、彼らは意外に自分の国がどう思われているのかを気にしているのです(笑)
あなたが日本からはるばるやってきた旅行者だとわかったら、「セルビアはどうだ?」「どこに行った?」「セルビアの人をどう思う?」と質問攻めにあうこと必至です。
政治的意見などは抜きにして、セルビアの素晴らしい自然や歴史ある町、美味しい食事やホスピタリティー溢れる人々についての話をすると、思った以上に喜んでくれるのがセルビア人です。
決して嘘をつく必要はありません。
しかし、セルビアで気に入ったことや印象に残ったエピソードを話せば、セルビアの人との距離がびっくりするほど縮まりますよ。
セルビア人に絶対に言ってはいけない、タブーな言葉
優しく、ホスピタリティーにあふれ、外国人を受け入れるのが好きなセルビア人なのですが、一つだけ話題にしない方がいいタブーが存在します。
それは「コソボ」という言葉。
コソボとは、セルビア南西部に位地するかつてのユーゴスラビア連邦構成国の一つで、現在は独立を果たしています。
しかし、セルビアはいまだにコソボの独立を認めていません。
セルビアで発行された地図には、もちろんコソボはセルビア内の一地域であるかのように載っています。
政治的レベルだけではなく、個人レベルでも「コソボはセルビア」だと考えている人がほとんどのセルビア。
世代や地域によらず、セルビア全体でそうなのですから相当なものだと思います。
彼らがそこまでコソボに固執する一番の理由は、セルビアの国教であるセルビア正教の聖地がコソボ領内に位置しているためでしょう。
「バルカン半島のエルサレム」という例えが合っているのかも。
個人的にこんなエピソードがありました。
宿で仲良くなってきたセルビア人二人組が、のぶよが持っていたロンリープラネット(英語版ガイドブック)を見たいと言ってきたので貸してあげました。
最初は、自分たちの国が英語でどのように書かれているか興味津々、楽しそうにページをめくっていた彼らですが、急にその顔色が変わりました。
それは、セルビアとは別の国という扱いでコソボが掲載されているのを発見した時のこと。
セルビア語で話していたので、詳しくはわかりませんでしたが、”Kosovo”という単語は聞き取れましたし、「なんでコソボがセルビアと別に載ってるの?!」と憤慨した様子でした。
それまで話している限り、とてもオープンな二人だったので、その変貌ぶりに驚きました。
私たち日本人にとっては、コソボは独立国です。
(日本政府はコソボの独立を正式に承認している)
しかしながら、それをセルビア人に対して主張したところで不毛というもの。
無駄に緊張を生んでしまいかねません。
できる限り、コソボの話題や紛争に関する話題は避けた方がいいと思います。
セルビアの治安について:まとめ
治安面では問題なく旅行できるセルビア。
イメージとは異なり、どこの町でも安全そうでのんびりとした雰囲気が漂っていました。
多くの旅行者が、ベオグラードだけをさっと見てセルビアを後にしてしまうのですが、それはかなりもったいないです。
ベオグラードはセルビアの中でも特異な町。
多くの人が暮らす首都でしかありません。
時間が許せば、地方都市まで足をのばしたり、セルビアが誇る大自然の中をハイキングしたりするのがいいでしょう。
ホスピタリティーあふれる人々に話しかけられながら、名物のラキアとともに地方の郷土料理を食べていると、セルビアが持つ飾らない魅力に気づくことができるはずです。
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