こんにちは!無事コソボに入国を果たした、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
コソボの人が、「コソボに来るなら絶対ここへ行け!」と口を揃えてすすめるのが、南部に位置する第二の都市・プリズレン(Prizren)。
山に囲まれた盆地に位置するコソボの古都は、尖塔とドーム型の屋根を持つモスクが数多く点在し、オスマン帝国調の町並みが連なるエキゾチックな町です。
歴史的に様々な民族が居住してきたプリズレン。
数々のモスクに交じってセルビア正教の教会や聖堂も点在しており、コソボ唯一の世界遺産である「コソボの中世建造物群」の一つであるリェヴィシャの生神女教会をも有します。
「コソボの中世建造物群」には、他に三つの修道院が登録されています。
・リェヴィシャの生神女教会
・ペーチ総主教修道院
・ヴィソキ・デチャニ修道院
・グラチャニツァ修道院
※各スポット名をクリックすると、アクセスや見どころを解説した記事へと飛びます。
しかしながら、プリズレンが誇るこの民族的多様性は、20年前のコソボ紛争において激しくぶつかり合うこととなり、大きな被害を生んでしまいました。
しかし現在ではそんな紛争の傷跡を感じさせないほどに町は再建され、人々には笑顔が溢れます。
観光客がまだまだ少ないプリズレン(というかコソボ全体)では、みんなが観光客に対してウェルカムな雰囲気。
特にアジア人は珍しく、笑顔であいさつされたり話しかけられたりすることも桁違いに多いです。
今回の記事では、人々の笑顔が素敵なコソボの古都・プリズレンを紹介するもの。
観光スポット
おすすめホステル
他都市からのアクセス情報
を解説していきます。
プリズレンの観光スポット
プリズレンの観光スポットは、町の中央を流れるヴィストリツァ川に沿って広がる中心街に点在しています。
ゆっくりまわっても半日でほとんどの見どころを観光できる規模なので、他の町からのデイトリップとして訪れることも十分に可能です。
プリズレン観光地図
黄色:バスステーション
紫:おすすめホステル
青:観光スポット
リェヴィシャの生神女教会
コソボ唯一の世界遺産である「コソボの中世建造物群」。
コソボ国内に点在する四つの建造物の複合遺産です。
そのうちの一つが、プリズレン中心街にあるリェヴィシャの生神女教会(Zoja e Levishes)です。
12世紀建造のセルビア正教会は、なんとフランス・パリにあるノートルダム大聖堂よりも古いもの。
その後のオスマン帝国支配時代にはモスクとして利用されたのですが、1912年のアルバニア独立、および当時アルバニアの一部であったコソボのセルビアへの割譲の際に、セルビア正教の教会という本来の姿に戻されたという稀有な歴史を持ちます。
内部はとても美しい中世のフレスコ画装飾などがあって荘厳だそうなのですが、2019年現在、リェヴィシャの生神女教会の周囲には鉄条網が張り巡らされて入場することはできません。
というのも、1998年のコソボ紛争によって、コソボの人口の大多数を占めるアルバニア人とセルビア人の対立が激化。
セルビア人の民族的結束の象徴であるリェヴィシャの生神女教会はアルバニア系過激派による攻撃の対象となり、大きな被害を受けたためです。
コソボという国が経験した複雑な民族対立を象徴するような世界遺産の教会は、修復されることもなく、今でも放置されたままの姿をさらし続けています。
シナン・パシャ・モスク
プリズレンの地理的・宗教的中心であるモスクが、オスマン帝国支配下の1605年建造のシナン・パシャ・モスクです。
巨大なドーム型の屋根と尖塔は、遠くからでもその存在が確認できるほど。
イスラム教のお祈りの時間になると、多くの地元の人で賑わいます。
観光客でも無料で入場することができますが、肩が露出した服装はNGなのでご注意を。
プリズレンのモスクの中には、その日のお祈りの時間を表示する電光掲示板が設置されていることも。
モスクから流れるアザーンの大音量に街が包まれる独特の雰囲気は、是非体験しておきたいものです。
シャダルヴァン広場
プリズレン旧市街の中心となる広場がシャタルヴァン広場(Shatërvan)です。
先述のシナン・パシャ・モスクが面した広場で、かつてのバザール(市場)があった場所。
昼夜問わず多くの人々で賑わいます。
コソボ名物のグリル料理を出すレストランやおしゃれなカフェが並び、とても華やかで開放的な雰囲気のシャタルヴァン広場。
その一角には、小さな水飲み場があります。
イスラム圏の町では至る所で見ることができる「セビリ」と呼ばれる水飲み場。
昔から市民の喉を潤してきた存在です。
山に囲まれたプリズレンの水はとても美味しく、飲用しても問題ありません。
「この水飲み場の水を飲むと、またプリズレンに戻ってくることができる」
という、イタリアのトレビの泉に似た伝説もあるそう(笑)
プリズレンが気に入ったなら、是非飲んでみてはいかがでしょうか。
石の橋
シャタルヴァン広場のすぐ北、ヴィストリツァ川にかかるのが、オスマントルコ風の石の橋(Ura e Gurit)。
プリズレンを代表する美しい橋であるのはもちろん、石橋のたもとは絶好の写真撮影スポットとなっています。
歴史を感じる石橋とシナン・パシャ・モスク、丘の上に佇むプリズレン城塞を一度に眺めることができるのは、プリズレンの中でもここだけです。
呪いの橋
石の橋から100mほど西に架かるのが、「呪いの橋(Ura e kaltert)」という名前が付いた橋。
どうしてこんな名前が付けられたのか定かではありませんが、短い橋の欄干にはこれでもかというくらいの南京錠が付けられていて圧巻です。
パリのセーヌ川の同じような橋になぞらえて、地元では「パリの橋」なんて呼ばれることもあるそうです。
呪いの効果はどこへやら。
プリズレンの「恋人の聖地」のようになった橋には、多くのカップルが今日も南京錠を取り付けにやってきます。
呪われればいいのに(笑)
聖ジョルジュ教会
シャタルヴァン広場から南へ50mほど。
イスラムな雰囲気しか感じられないローカルな通りに佇むのが、1857年建造のセルビア正教の聖ジョルジュ教会です。
コソボ紛争後は、先述のリェヴィシャの生神女教会のように攻撃の対象となりましたが、現在では再建され、セルビア系住民の祈りの場所となっています。
警備はかなり厳重で、銃を持った警備員が常に監視しています。
こんなところにもコソボの民族問題が垣間見えるような気がしました。
ハマム
中心街の北側に位置するのが、トルコ式浴場であるハマム。
2019年8月現在、内部は改装中のため入場することはできませんが、オスマン帝国時代から息づくイスラム文化を象徴するような建物です。
プリズレン城塞
プリシュティナの町を見下ろす小高い丘の上に建つのがプリズレン城塞です。
中心街からは徒歩10分ほどなのですが、かなり急な坂道を登ることになるので、それ相応の心構えを。
城塞内への入場は無料で、プリズレンの町並みを一望する絶景が広がります。
プリズレン城塞自体もかなり歴史があり、現在も発掘調査が続いているそうなのですが、そんなことは誰も気にしていません(笑)
プリズレンを代表するこの景色を見るために、みんなここまで登ってくるのです。
シナン・パシャ・モスクを中心に広がる赤い屋根の町並みは、異国情緒たっぷり。
お祈りの時間になると、町中のモスクからアザーンが響き渡り、町中が不思議な雰囲気に包まれます。
城塞へ至る坂の途中には絶景が望めるカフェもあるので、ひと休みしていくのもおすすめですよ。
「コソボに行きたいけど、移動や観光が一人では不安…」という人は、周辺諸国発着のツアーに参加してみるのもいいかも。
スコピエ、ティラナ発でプリズレンとプリシュティナをまわるものが定番です。
プリズレンのおすすめホステル情報
首都・プリシュティナからの日帰りでも十分に満喫できるプリズレン観光。
しかし、地元の人々の生活の様子を覗いたり、のんびりとした町の雰囲気を感じるなら宿泊してみるのもいいでしょう。
ここでは、プリズレンでのぶよが宿泊したホステルを紹介します。
Hostel Bushati
料金:€9.40(=¥1110)
部屋:8ベッドドミトリー
立地:9/10
バスステーションから徒歩15分ほど。
プリズレン観光の中心となる石の橋やシナン・パシャ・モスクまで徒歩3分ほどの絶好のロケーションのホステル。
スーパーマーケットやレストランなどもある賑やかなエリアなので、何をするのにも便利です。
アクセス:8/10
ホステルの建物自体に大きく看板が出ているので、とても分かりやすいです。
メインストリートから路地を少し入ったところにありますが、案内の標識が出ているので迷うことはありません。
オーナー家族が住んでいる母屋の離れをホステルとして改装しているため、常に誰かがいるのでチェックインもスムーズです。
スタッフ:9/10
オーナー家族のうち、英語でコミュニケーションがとれるのは息子だけ。
しかし、英語が話せないお母さんも、とても暖かく旅行者を迎えてくれます。
清潔さ:9/10
古い家を改装したホステルですが、、とても綺麗に保たれています。
毎日清掃がされていて、部屋もバスルームもかなり清潔でした。
設備:7/10
エアコンはないものの、夏でもそこまで暑くならないプリズレンではさほど問題ありません。
(扇風機はあります)
ミニキッチンがあって自炊もできますが、スペースが限られているため少々不便かもしれません。
綺麗な庭や二階部分のテラスは、リラックスするのに最適な場所でした。
各部屋のベッドには、カーテンが設置されています。
コンセントの数が限られていたのが残念。
wi-fi:7/10
基本的に問題なく接続でき、速度も十分ですが、時々電波が途切れることがありました。
雰囲気:6/10
ホステルというよりも、ゲストハウスをドミトリーに改装したという感じで、あまり他の旅行者とコミュニケーションをとるような雰囲気ではなく、あくまでもみんな個人主義な感じです。
もう少し旅行者同士の会話が生まれるような開放感があれば良かったと感じました。
総合:7.8/10
ホステルというよりも、ドミトリーのある家といった雰囲気の宿でした。
観光にはとても便利なロケーションで、散策に疲れたら戻ってきて休憩するのにも便利。
他の旅行者と仲良くなりたい場合はあまりおすすめできませんが、あくまでもプリズレン観光とリラックスした滞在に重点を置きたい場合はおすすめです。
プリズレン~他都市間のアクセス
国土がとても小さなコソボでは、国中どこへでも2時間以内でアクセスすることができます。
コソボでの移動の基本は、周辺のバルカン諸国と同様にバス。
鉄道も走っているものの、本数が少なく料金もあまり変わりません。
お隣のアルバニアではバスステーションが存在しないことが多く、バス利用には現地での情報収集が不可欠だったのですが、コソボの場合はちゃんとバスステーションが整備されているのでとても簡単です。
プリズレン~プリシュティナ間のバス移動
コソボの首都・プリシュティナとプリズレン間は、20分に1本ほどの頻度でバスが走っています。
バスステーションからの発着が基本ですが、多くのバスはプリズレン中心街の「呪いの橋」付近にも停車するので、そこから乗車することも可能です。
所要時間:1時間半
料金:€4(=¥472)
プリズレン~ペーヤ間のバス移動
ルゴヴァ山周辺の国立公園や、世界遺産の修道院観光の拠点となるペーヤ(Peja)へは、プリズレンのバスステーションから、1日6便のバスが運行しています。
所要時間:1時間半
料金:€4(=¥472)
プリズレン~ジャコヴァ間のバス移動
「コソボの小京都」ジャコヴァとプリズレン間は、30分に1本程度バスが運行しています。
バスの本数が多いので、プリズレンを拠点に日帰りでの往復が可能です。
また、プリズレン~ペーヤを移動しながら、ジャコヴァとデチャニ修道院に立ち寄って観光するのもおすすめです。
所要時間:1時間
料金:€2(=¥236)
プリズレン~ティラナ(アルバニア)間のバス移動
首都・プリシュティナを出発してプリズレンを経由し、アルバニアの首都・ティラナへと向かうバスは、2時間に1本程度運行されています。
プリズレンからティラナへと向かうバスは、バスステーションからの出発ですが、ティラナからプリズレンに向かう場合は注意が必要です。
というのも、バス会社によってはプリズレンのバスステーションまでの乗り入れではなく、5km以上離れた幹線道路沿いで降ろされて、中心街まで行く無料のタクシーに乗り換えなければならない場合があるためです。
詳細は、実際にこの区間を国境越えした記事で書いているので、参考にしてください。
所要時間:4時間~
料金:€10(=¥1180)
おわりに:プリズレン最大の魅力は、人だった
「イスラム」を五感で感じられる町、プリズレン。
山々に囲まれ、中心を川が流れる町の雰囲気は、なんだかボスニア・ヘルツェゴビナの首都、サラエボを思い出させます。
プリズレンに滞在していて、どんな観光スポットよりも印象的だったのが、プリズレンの人々のフレンドリーさでした。
道を歩いていると、とにかく笑顔で挨拶されます。
その辺に座っている人だけでなく、車のドライバーが通りがかりに「ハロー」とか「ウェルカム トゥ コソボ!」なんて言ってくることも。
「ウェルカム」はかなりの頻度で言われまくるのですが、上には上がいます。
それは「コソボに来てくれてありがとう」と言われたこと。
これまで旅してきて、歓迎されることはあっても、訪問したことに感謝されたのは初めての経験でした。
のんびりした町の雰囲気や人々の柔らかな笑顔も相まって、こちらまで自然と笑顔になれる町・プリズレン。
バルカン半島を旅行するなら、ぜひ一度は訪れてみてください。
きっといつの間にか、この町から離れたくなくなっているはずです。
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