こんにちは!モルドバの首都、キシナウに滞在中の世界半周旅行者・のぶよです。(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
「サンドイッチ・カントリー」とも呼ばれるモルドバ。
その名の通り、ルーマニアとウクライナに挟まれた形になっています。
陸路で旅をする旅人にとっては、モルドバを通るルートは二通りしかありません。
ウクライナ→モルドバ→ルーマニアの南下ルート
ルーマニア→モルドバ→ウクライナの北上ルート
のぶよは後者の北上ルートで旅したので、モルドバからウクライナへと国境を越えることとなります。
モルドバ~ウクライナ間の国境越えで旅人を悩ませるのは、未承認国家・沿ドニエストル共和国の存在でしょう。
国際的に国家として承認されていない沿ドニエストル共和国では、出入国時にパスポートにスタンプが押されません。
つまり、モルドバを出入国する記録が残らないため、場合によっては不法滞在とみなされてしまうことも。
モルドバ~ウクライナ間を移動するほとんどの旅人はこの問題を避けるために、沿ドニエストルを通らないバス路線を利用するか、飛行機を利用するかの二択を迫られます。
のぶよは「あくまでも陸路で」がポリシーなので、バス路線を利用しました。
果たして問題なく国境越えができるのか。その一部始終をお伝えします。
沿ドニエストル共和国訪問の記事はこちらから!
モルドバ~ウクライナの主な国境越えルート
モルドバ側の拠点は、首都のキシナウという人がほとんどでしょう。
キシナウからウクライナへは各都市にバスが出ていますが、旅行者が利用するであろう路線はおそらく次の三つだと思います。
キシナウ – キエフ
キシナウ – リヴィウ
キシナウ – オデッサ
ウクライナ方面へのバスはいずれもキシナウの北バスターミナル (Autogara de Nord)を発着します。
キシナウ~キエフ間のバス移動
キシナウからウクライナの首都・キエフへのバスは一日二本で、いずれも夜行バスです。
地図で見ると、沿ドニエストルを通るのが最短距離のように見えるので、心配する人も多いのでは。
実はモルドバもウクライナも、沿ドニエストルの複雑な国境問題については織り込み済みです。
ほとんどの場合は、沿ドニエストル入国を避けるように遠回りをして、モルドバ北部の国境を越えます。
しかし状況は変わりうるので、現地での確認をお忘れなく。
キシナウ発キエフ行きバス
キシナウ北バスターミナル発
運行頻度:一日2便 (20:30、21:30)
料金:300MDL~ (=¥1945)
所要時間:10時間
キシナウ~リヴィウ間のバス移動
キシナウ~ウクライナ西部の都市、リヴィウの移動に関しては、沿ドニエストルを経由することはまずありません。
モルドバ国内を北上し、普通にウクライナとの国境を越えます。
かなりの距離があるため、相当な時間がかかるのであまりおすすめはしません。
キシナウ発リヴィウ行きバス
キシナウ北バスターミナル発
運行頻度:一日1便 (18:35)
料金:490MDL~ (=¥3170)
所要時間:17時間半
キシナウ~オデッサ間のバス移動
のぶよが利用したのが、こちらのルート。
距離的に最も短く、値段も安いです。
肝心の沿ドニエストルを通るかどうかという問題なのですが、ほとんどのバスは沿ドニエストルを通りません。
「ほとんどの」と書いたのは、一日に数本、沿ドニエストルを経由するものもあるためです。
チケット購入時に、必ず沿ドニエストルを経由しないか確認しましょう。
「ヌ トランスニストリア?(No Transnistria?の意味)」と聞いて「ヌ!(No)」と言われたら大丈夫です。
万が一沿ドニエストルを経由するバスだった場合でも大丈夫。
この区間は1時間に1本ほどとバスが頻発しているので、次のバスを待てばいいだけです。
キシナウ発オデッサ行きバス
キシナウ北バスターミナル発
運行頻度:1時間に一1便
料金:200MDL~ (=¥1295)
所要時間:4~5時間
キシナウ~オデッサ間の国境越えレポート
まずはキシナウ北バスターミナルへ
先述の通り、ウクライナ方面のバスはキシナウの北東部に位置するキシナウ北バスターミナルを発着します。
キシナウの中心部からは離れている北バスターミナルへは路線バスの利用が便利です。
キシナウのメインストリートであるシュテファン・ツェル・マーレ通りとイスマイル通りの交差点付近から、9番の路線バスが北バスターミナルへ向かいます。
チケットは車内でチケット売りのおばちゃんから直接購入。
運賃は2MDL(=¥13)です。
北バスターミナルへ到着したら、チケット売り場でバスのチケットを購入します。
余ったモルドバ・レイは、ターミナル内のカフェや食堂などで使い切ってしまいましょう。
レートが低いモルドバ・レイは海外では人気がなく、両替の取り扱いがないこともしばしばあるためです。
出発時刻1時間前くらいには、乗車するバスが到着していました。
このバス、なんとwi-fi付きというクオリティー。
最後の最後に意地を見せてくるモルドバ(笑)
モルドバの出国審査
キシナウを出発したバスは、2時間ほどで国境へと到着します。
モルドバ側の出国審査は、入国時と同様にとてもシンプル。
審査官がバスに乗り込んできて、一人一人の顔を確認しながらパスポートを回収していきます。
ほとんど質問せずに回収していたのですが、のぶよの時だけパスポートのスタンプのページをめくる審査官。
そしてひとこと。
“Where do you go?”
いや、オデッサ行きのバス乗ってるんだからわかるだろ!
と心の中でツッコミながらも、「オデッサ。」と答えるのぶよ。
特に何も言われることなく次の人のパスポート回収へと向かう審査官。いったい何の意味がある質問だったのでしょうか?
英語で話してみたかっただけ?(笑)
25分ほど待って、バスの運転手からパスポートが返却されました。
バスから降りる必要はなく、荷物検査などもありませんでした。
なんともユルい、楽勝な国境です。
ウクライナの入国審査
基本的に「去る者追わず」が不文律な出国に比べて、入国審査は厳しくなることが多いです。
しかも入国先は、数年前に内戦状態になっていたウクライナ。
少しだけドキドキします。
モルドバの出国審査場を越えてから数百メートル。
ウクライナ側の検問所へ入る際に、軍人が乗り込んできてなにやら乗客全員に質問しています。
そう、「ロシアのパスポートの人はいるか」と聞いていたのです。
この時の乗客の中には該当者はいませんでしたが、もしいたらどうなるんでしょう。
一人だけバスを降ろされて徹底的に尋問されるのでしょうか。おそロシア。
クリミア半島の問題などがいまだ尾を引くロシアとウクライナの仲の悪さは本物であることを実感した瞬間でした。
そして入国審査場へ到着。
係員2名がバスに乗車してきて、一人が乗客の顔を確認しながらパスポート回収していきます。
もう一人がライトを手に車内を点検。しまいには麻薬犬も乗ってきて厳密に検査をしていきます。
麻薬犬というと、大型の強面の犬を想像しますが、この麻薬犬はどうみてもプードル(笑)
国境という緊張感漂う場所にもかかわらず、係員にちょこちょこついていくフワフワな犬の姿に乗客全員が癒された瞬間でした。
特に入国の目的などを質問等されることはなく、20分ほどで運転手からパスポートが返却されます。確認すると、ちゃんとウクライナの入国スタンプが押されていました。
おそらくあるだろうと思っていた荷物検査もなく、意外なほどスムーズだったウクライナ入国。
もし乗客の中にロシア人がいたらどうなっていたのでしょうか。
おそらく倍の時間がかかっていたであろうことは想像に難くありません。
無事入国すると、国境から続く一本道には大型車が列を作って渋滞していました。
その影響もあって、実際に国境のエリアを抜けたのは、モルドバの出国審査所に着いてから1時間半後のことでした。
なぜか再びモルドバ領内へ入るバス
無事ウクライナ入国を果たしたことの喜びをかみしめていたのもつかの間。
Google Mapを見ていると、なぜかバスが再びモルドバ領内へと向かっていきます。
あれよあれよという間にふたたび国境を越えてモルドバに入ったバス。
しかし審査等はなく、普通にモルドバ領内を走っています。
時間にして10分ほどモルドバを走ったバスは、再びウクライナとの国境へ。
こちらでは検問所で一時停止するだけで、再びウクライナへ入国しました。
地図でいうと、赤いポイントが実際に出入国審査を経て越えた国境で、青線がバスが通ったルートです。
一度モルドバからウクライナに入国した後、なぜか東に進んでモルドバ領へと再入国しているのがおわかりいただけるのでは。
おそらくオデッサ方面に行くバスはノーチェックで通ることができるのかもしれませんが、真相は闇の中です。
オデッサのバスターミナルへ到着
国境の渋滞のせいもあり、オデッサのバスターミナルに到着したのはキシナウ出発から5時間後のことでした。
全ての表記がキリル文字になっていて、ウクライナへ来たことを改めて実感させられます。
なにはともあれ、無事に国境越えができて一安心。
今日から目一杯ウクライナを楽しむことができます!
オデッサの宿泊なら、観光に便利な旧市街がおすすめ。飲食店やスーパーマーケットも充実しています。オデッサの鉄道駅/バスターミナル周辺は、夜は真っ暗で治安が少々不安なので避けるべき。
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