こんにちは!ジョージア滞在も2年半、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ジョージア西部のアジャラ地方に位置するのどかなビーチタウン・コブレティ(Kobuleti / ქობულეთი)に一週間ほど滞在していました。
水質良好な黒海のビーチや程良い田舎感、市場のカオス感などを満喫したのですが、のぶよがコブレティを気に入った最大の理由のひとつが、ローカルレストランや食堂が豊富であること。
コブレティを訪れる前は「どうせリゾート客向けのぼったくりレストランがずらりと並んでいるんだろうな…」なんて思っていたのですが、良い意味で予想を裏切られることになりました。
コブレティでおすすめしたいレストランはいくつかあるのですが、中でものぶよが最大級に気に入って滞在中通いつめたのが、今回紹介する「ノダリの家」。
はじめに断言してしまうと、この店で食事するためだけにでもコブレティを訪れる価値があります。
それくらいに、ジョージア地方部の食堂の良さが詰まった素敵な空間でした。
ジョージアの、しかもいち地方都市のコブレティにまでわざわざ足を運ぼうと考える日本人などほとんどいないでしょう。
しかしながら、この記事を通して古き良きジョージア感が120%漂うお店の雰囲気を感じ取ってもらえたら何よりです!(もちろん実際に行ってくれたらとてつもなく嬉しい)
コブレティのどローカル食堂「ノダリの家」とは?
コブレティは人口1万人少々の小さな町。町の経済の大部分は、6月~9月にかけて大挙して訪れるビーチ目的のリゾート客によって成り立っています。
とはいえ夏場のハイシーズン以外のコブレティは、ジョージア地方部らしいローカル感を地で行くような雰囲気。
海沿いの町ということもあってか、町全体に漂う開放感やオープンな人々との触れ合いも楽しいです。
そんなコブレティのローカル感を象徴するようなバザール(=市場)地区の一角に、「ノダリの家」はあります。
プレハブ屋根と木造の掘っ立て小屋のような建物と、かつてパン屋だったらしきみすぼらしい小屋が並ぶだけ。看板すら出ていません。
のぶよの場合は、庭のテラス席部分で食事をしている客の姿を見て「え…これ飲食店…??」と気づいたのですが、初めてこの建物を目にした人は、ここが食事ができる場所だとは想像もできないでしょう。
掘っ立て小屋の中には、だらぁ~っと腰掛けるおばさん。彼女は注文をとるのと料理を運ぶのを担当としているよう。
そして奥の調理場で働くのが、店主のノダリおじさんです。(ジョージア地方部の家族経営の食堂では、おばさんではなくおじさんが調理担当である場合も多い)
店名を尋ねたのですが、あいにく店に名前をつけるという概念自体がないよう。
「う~ん…(名前なんてないんだけどな…)う~ん…ノダリの家!」としばしの熟考のあとに自信満々に答えられたので、のぶよはこの掘っ立て小屋食堂を「ノダリの家」と呼ぶことにしました(笑)
全日本人に行ってほしい!「ノダリの家」の5つの推しポイント
①果てしない場末感
「ノダリの家」の外観を一目見ただけで分かってもらえると思うのですが、この店の場末感は半端ないものです。
ぼろぼろの色褪せた掘っ立て小屋は、一周まわって味わい深さすら感じるほど。
いつから使用されているのか分からないほどに錆びついたBBQ用の器材の年季の入り方も秀逸です。
THE・昭和!といった雰囲気香る入口は、まるで廃校になった学校の建物のよう。
店内にはテーブルと椅子が雑然と置かれ、店の奥のガラスケースも手書きのメニューが書かれた黒板も、なかなかのレトロさを醸し出しています。
店の前には小さな庭があり、夏場は数席のテラス席が設置されます。
このテラス席が、どぶ川をすぐ目の前に望む用水路ビュー。
カエルの鳴き声をBGMに、淀んだ水を眺めながらの食事が楽しめます(笑)
②とにかく安い
「ノダリの家」のメニューは、日替わり(もしかしたら週替わりかも)でその時あるものを提供するというスタイル。
のぶよが通った数回のうちでもメニューの一部は常に変わっていました。
ロシア語の筆記体で黒板に書かれたメニュー(しかもちょっと消えかけてる)は、解読するのがなかなかにハードモード。(たぶんGoogle翻訳とかも使えないのでは?)
ノダリおじさんもおばさんもジョージア語かロシア語しか話せないので、言葉がわからない旅行者は苦労するかもしれません。
メニューをざっと見て、まず驚くのがその激安価格。
・スープ類:3GEL~5GEL(=¥150~¥250)
・メイン類:5GEL~8GEL(=¥250~¥400)
・BBQ類:8GEL~10GEL(=¥400~¥500)
・ビール:3GEL(=¥150)
こんな感じで、多くのメニューがトビリシの食堂の半額近く/バトゥミの食堂の3分の2程度の低価格なのです。
③とにかく何でも美味しい
「安かろう、悪かろう」という表現がありますが、ノダリの家に関してはまったく当てはまりません。
果てしない場末感と心配になるほどに激安な価格とは裏腹に、この店は何を食べてもハズれないのです。
メイン料理系の多くは、サイドメニューとして蕎麦の実(ロシア語で「グレーチカ」)かマッシュドポテト(ロシア語で「ピューレ」)のいずれかが無料でついてくるのも嬉しい点。
ついでに、食事を注文すると問答無用で運ばれてくるパンも無料です。至れり尽くせりが過ぎる…
先述の通り、ノダリの家のメニューは日替わりで一部変更となるのですが、常に置かれている定番メニューはいくつかあります。
・グリヤシ(6GEL=¥300):鶏肉とトマトをパプリカペーストで煮込んだもの。あっさり系で美味しい。
・コトレティ(6GEL=¥300):ジョージアのハンバーグ。肉汁お化け。
・ハルチョー(8GEL=¥400):牛肉と香味野菜のスープ。素材の旨味がすごい。
・シュニッツェリ(8GEL=¥400)=薄くのばした鶏肉を油で揚げたもの
このあたりが定番メニューなのですが、中でも絶対に食べたいのがシュニッツェリ。▼
「シュニッツェリ」とは、ヨーロッパの鶏肉フライ「シュニッツェル」がジョージア風にアレンジされたもの。
薄くのばした鶏肉に衣をつけて油で揚げる調理法こそ同じですが、ジョージア独自のスパイスで下味がつけられ、仕上げに彩り鮮やかなハーブが散らされる点が異なります。
ノダリの家のシュニッツェリの揚げ具合は、まさに完璧のひとこと。
サクッとした衣の食感と、ジューシーな鶏肉の柔らかな食感が同時に楽しめます。
各種スパイスを用いた味付けも絶妙で、スヴァネティ塩やフメリスネリなどジョージア独自のスパイスの奥深い味わいがとても心地良いです。
④ジョージアで一番のムツヴァデイが食べられる
スープ類もメインもとにかく絶品なノダリの家ですが、この店の底力はまだまだここから。
店の外に設置されたBBQ機材で炭火焼きされるムツヴァディ(Mtsvadi / მწვადი / ロシア語では「シャシュリク」)は、信じられないボリュームと信じられない美味しさなのですから。
「ノダリの家」のムツヴァディは鶏肉(8GEL=¥400)と豚肉(10GEL=¥500)の二種類があるのですが、いずれも驚くほどのごろっごろ肉塊。
子供の拳ほどの大きさがある肉を「これでもか!」と6個~7個ほども鉄串に刺して炭火焼きにしてくれます。
ボリュームと豪快さもさることながら、ノダリの家のムツヴァディはジョージアで食べた中でダントツNo.1の美味しさでした。
完璧な焼き加減。スパイスで下味がつけられた芳醇な風味。肉汁滴る柔らかな食感…
無料でついてくるサツェベリ(トマトとハーブのソース)のフレッシュな風味も、完璧なハーモニーとなっています。
こんな掘っ立て小屋でこんなにレベルの高いBBQが食べられるとは…
ジョージアのBBQ系料理は当たり外れが激しい(しかもけっこうハズレな割合が高い)のですが、これまでこの国であまり美味しいBBQに出会わなかった人にも、騙されたと思って食べてみてほしいです。
⑤ジョージア地方部らしい人情味に酔える
果てしない場末な雰囲気も、激安な価格も、数々の絶品料理も…
「ノダリの家」の素晴らしさはもうすでに十分に伝わっているでしょうが、この小さな空間に集まる人々も素敵です。
もともとの「ノダリの家」は、コブレティのバザールエリアに住む人々や買い物に来た地元の人々がちょっと立ち寄って食事をしていくような店だったよう。
しかしここ1年ほどはコブレティを拠点とするロシア人も激増し、客層の半分ほどはロシア人となっています。(だからメニューはジョージア語でなくロシア語で書かれているのかも)
とはいえ、ノダリの家のローカル感は健在。
近所のおじさんが上半身裸でふらりとやって来てはビール片手にロシア人客と楽しそうに談笑したり、何を注文するでもなくただ休憩に来たらしきおじいさんがぼうっとしていたり…
そんなジョージア地方部らしい懐の深さがちゃんと感じられるのです。
店主のノダリおじさんは飄々としていながらも、「このメニュー何?」と尋ねると味見させてくれたり(まあたぶん言葉で説明するのが面倒くさかったのだろう)と、柔らかな態度が素敵。
注文&サービス担当のおばさんは、まさかのお会計の計算間違い(しかも本来の価格より安い方に間違えるというド天然)の達人ではあるものの、笑顔でのんびりと働く姿が素敵。
ビール小屋でビール注ぎ担当のおじさんは、ロシア人以外の外国人が珍しいのかやたらと話しかけて来てはビールを奢ってくれたりと、謎の気前の良さと明るさが素敵。
とにかく、この小さな掘っ立て小屋を構成している人々が素敵すぎるのです。
言葉の分からない外国人がふらりと訪れても、何を気にするでもなく普通に対応してくれるのも嬉しい点。
コブレティらしい素朴な人情を感じながらの食事なら、これ以上の場所はないと思います!
おわりに
というわけで、コブレティの隠れた絶品食堂「ノダリの家」の魅力を語ってきました。
普段は一軒のお店だけにスポットライトを当てて記事を書くことはほとんどしないのですが、もうあまりに素晴らしすぎたので書かずにはいられませんでした。
そもそも観光地ではないコブレティの、どローカルな謎の掘っ立て小屋食堂の情報に対する需要がどこまであるのか謎ですが(まあないだろう)、昔ながらのジョージアの地方部らしい良さを感じたい人には心からおすすめ。
コブレティはバトゥミから日帰りでの往復も可能なので、ぜひとも足をのばしてこの空間を愛でてみてはいかがでしょうか。(実際に行った人いたらぜひ教えてぬ)
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