こんにちは!ジョージアで夏の終わりを満喫している、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
数多くの見どころがある、コーカサス山脈のふもとの小国・ジョージア。
山に囲まれている地形のため、美しい大自然を全身で体感できる場所が多くあります。
山がちな国土にも関わらず、交通面のインフラが比較的整っているジョージアでは、多くの場所に個人で訪れることが可能なのも旅行者にとっては嬉しい点ではないでしょうか。
しかしながら、全ての地域に簡単にアクセスできるわけではありません。
ジョージアの中でも、「最もアクセスが難しい代わりに、手つかずの大自然や伝統が残る秘境」と言われるのが、今回紹介するトゥシェティ地方(Tusheti / თუშეთი)です。
ジョージア北東部、現在ロシア領のチェチェン共和国と国境を接するトゥシェティ地方へのアクセス方法は、アバノ峠(Abano Pass)と呼ばれる標高2826m地点を越える未舗装道路ただ一つ。
普通車ではアクセス不可能で、4WDでしか走ることができない70kmほどのこの道路。
「世界で最も危険な道の一つ」としてイギリスのBBC放送に特集されたことで有名になり、トゥシェティ地方への旅を特別なものにしています。
「危険!」と言われると、この目で見たくなってしまうのが人の性。
リスクに怯えながらも行ってきましたよ。トゥシェティ地方へ。
今回の記事では、ジョージア最奥部のトゥシェティ地方へ続く「世界で最も危険な道」をゆく旅がどんなものなのか、本当に危険なのかお見せするもの。
首都のトビリシから、「世界で最も危険な道」を通って、トゥシェティ地方の中心の村であるオマロ村(Omalo / ომალო)まで個人でアクセスする方法を詳細に解説していきます。
観光地化からは程遠いトゥシェティ地方に行ってみたい人にも、「危険」と名のつくものに目がない命知らずな人にも、満足してもらえる内容になっているはず…!
ジョージアの「世界一危険な道」って?秘境への絶景旅詳細
今回紹介する「世界で最も危険な道」とは、ジョージア東部のカヘティ地方のアルヴァニ村と、トゥシェティ地方のオマロ村を結ぶ、全長72kmに及ぶ未舗装道路のこと。
標高2826mの場所に位置するアバノ峠を越える山道で、ジョージア他地域~トゥシェティ地方を結ぶ唯一の道路です。
だいたいこういった「世界で最も○○な××」という枕詞がつくものは、実際には大したことがない場合も多いのですが、この道は実際にどれくらい危険なのでしょうか。
実際に4WDに4時間もの間揺られながら感じた危険ポイントを解説していきます。
「世界一危険な道」の7つの危険ポイント
1.幅が狭い&柵なしの未舗装道路(落ちたら即死)を4時間も走る
「世界一危険な道」が危険である最大の理由が、道路状態の悪さと道幅の狭さ。
山の斜面をクネクネと走る道路はほぼ全てが未舗装区間の砂利道で、岩肌がむき出しになっている場所を走らなければいけない場面も多くあります。
そのため一般の車両での通行は不可能で、ジープなどの4WD車のみ通行可能です。
(普通車での通行が禁止されているわけではありませんが、絶対に途中で走れなくなるレベル)
ソ連時代にひらかれたこの道は、その後必要最低限のメンテナンスしかされておらず、時速20kmほどで走るのがやっとなほどの悪路。
その道幅はかなり狭く、基本的に車1台が通るのがやっとなほどです。
柵も何も設置されていない断崖絶壁の道では、少しでもハンドル操作を誤ったらTHE END。
数百メートル下の谷底に真っ逆さまで、絶対に助からないでしょう。
この恐怖の道路が、30分やそこら続くだけならならまだ良いのです。
問題は、72kmの区間/4時間ほど休みなくこの恐怖が続くと言う点。
4時間もの長い間、一瞬でも気を抜けば、死がすぐそばに迫ってきている可能性だってあるのです。
ボコボコの道を走る4WD車は、遊園地のアトラクションのように絶えず揺れ続けます。
のぶよはこの地獄のような道のりを、「ディズニーシーのインディージョーンズの乗り物(安全装置なし)が4時間続くようなもの」と表現しました(笑)
2.対向車が来るとリスクが激増
悪路&道幅が極端に狭いということは、対向車がやって来た時は恐ろしいことになるということ。
少しでも路肩が広くなっている場所で対向車が上手にすれ違うのを待つことになるのですが、この時自分の車が崖側を走っている場合は、もう地獄。
対向車がすれ違えるように崖のギリギリまで寄るため、数十センチの差で崖下に真っ逆さまに落ちてしまいそうになるのです。
最も怖い瞬間は、対向車が来た時。
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の旅する翻訳家 (@taisuke5696) September 7, 2020
崖のギリギリまで寄らないとすれ違えないので、かなりの運転スキルと経験が必要だと思います。
帰りも同じことすると考えると…ちょっと憂鬱😅
(2/2) pic.twitter.com/KiXbUNXsNx
地元の人は運転に慣れているため、スピードを落としつつもスルッとすれ違える運転スキルを持っているのですが、 路肩はただの砂利なため、車の重みで崩れてしまう可能性だってあるでしょう。
とにかく、実際に体験するとかなりの恐怖です。
3.頻繁すぎる崖崩れ・地すべり
世界一危険な道に潜むリスクは、その道路状態の悪さによるものだけではありません。
道路沿いの崖が崩れて行く手を塞がれてしまったり、雨などで地盤が緩んだ後は路肩が崩れて通行不可能となることがかなりの頻度で起こるのです。
こうした自然現象に即座に対応できるように、約5kmごとにショベルカーが設置されているのもポイント。
どこかでがけ崩れなどが発生して通行不可能となってしまった際にすぐに処理できるように、一応準備は整っています。
しかしながら、落石や地滑りなどを防ぐ根本的な対策は全くされていないという本末転倒な状態なので、ショベルカーでは対応不可能なレベルの事故が起きてしまうと、長い時間その場所で立ち往生することとなってしまうでしょう。
4.滝を越えるポイント多し
美しい大自然の風景が見られるのは、「世界一危険な道」をあえて走る際の唯一の救い。
緑あふれるコーカサスの山々の風景はとても印象的で、ある程度悪路に慣れてきたなら景色を楽しむ余裕もでてくるでしょう。
しかしながら、自然というものは人間の手には到底負えないもの。
道の途中には、流れ落ちる滝を越えていくようなポイントも数か所あります。
普通に考えれば、橋を設置すれば良いだけの話なのですが、ジョージアのこんな奥地でそんなことに予算をつぎ込む余裕はないよう。
夏場なら水量こそそれほど多くないものの、絶え間なく流れる水で地盤は緩みきっているため、滝を越える際は車が大きく横に傾くのでそれはそれは恐いです。
5.霧で視界がふさがれる確率高し&真夏でも雪が降る場合も
クネクネ&ボコボコの道を登っていくと、更なる恐怖が待ち受けています。
それは、突然立ち込めてくる霧。
数分前までは晴れ渡っていたにもかかわらず、一度霧が立ち込めると視界が完全に真っ白になってしまいます。
普通の道路でも霧の中を走るのはかなり危険が伴いますが、この場所では真っ白な霧の先は断崖絶壁。
まさに「一寸先は、崖」といったところです。
標高が最も高い地点に差し掛かると、真夏でも雪が残っている場合があります。
車が走る道路部分が雪に覆われていることはないでしょうが、路肩には大きな雪の塊が溶けずに残っているのが見られることも。
地元の人の話によると、8月に峠付近で雪が降って丸一日通行できなかった年もあったそう。
夏場は気温35℃以上の日が続くトビリシなどからやってくると、その気候条件の違いに驚かされるでしょう。
6.膨大な数の慰霊碑
72kmにわたって続く「世界一危険な道」。
その名に反することなく、これまで数多くの事故が起こっています。
それを象徴するのが、道路沿いに設置された慰霊碑や十字架の数々。
かつて事故が起こった場所に設置されているのですが、その数が尋常ではありません。
ざっと見ただけでも、100以上はあったと思います。
慰霊碑や十字架の前を通るたび(約3分に1回くらいの頻度)に、かつてその場所で事故があったことに気づかされ、「明日は我が身」と思い知らされることでしょう。
7.実際に事故を目の当たりにすることも(経験談)
上で紹介した慰霊碑にも関連するのですが、実際に事故が起こっている場面に遭遇する可能性もあります。
のぶよの場合は、オマロ→アルヴァニへと下る帰りの道のりの途中で、落石処理用のショベルカーが道を外れて谷に落下した事故現場に遭遇しました。(けが人等はなし)
一度事故が起こると、通りがかった人々が力を合わせて救出&引き上げなどをするのが、このエリアでの常識。
グチャグチャに歪んでしまった車体を目の当たりにすると、この道にどれだけ危険が潜んでいるのか実感させられます。
「世界一危険な道」の見どころ
「世界一危険な道」がどれほど危険なのか、お分かりいただけたでしょうか。
確かに、普通の道路に比べるとリスクが高いことは否めないでしょう。
しかしこれだけを見て、「怖い…絶対行きたくない…」なんて思うのはまだ早い!
人生とは常にリスクがあるからこそ、楽しむことができるというものなのでは。
長い道の先には、ジョージア最大の秘境であるトゥシェティ地方の素晴らしい風景が待っていることはもちろんのこと。
道の途中でも、恐怖を凌駕するような絶景が見られることも忘れてはいけません。
ここでは、「世界一危険な道」沿いで見られる絶景の数々を紹介していきます。
カヘティ地方方面の絶景
「世界一危険な道」の最高地点となるアバノ峠の手前(南)側では、深い山々を蛇が這うように敷かれた道の全体を見渡すことができます。
上から眺めると、どれだけの断崖絶壁の道を走ってきたのか再認識できて感動を覚えるはず。
アバノ峠
目的地のオマロ村があるトゥシェティ地方と、山のふもとにあたるカヘティ地方を隔てるのが、標高2826mの地点にあるアバノ峠。
教会とちょっとしたピクニックスペースが設けられているだけの場所ですが、ここからの眺めはとにかく圧巻です。
はるばる雲の上までやってきたことが実感できるような、ダイナミックなパノラマ・ビューは、リスクを負ってでも見る価値があるもの。
下界の町はもはや視界にすら入らず、コーカサスの山々が織りなす風景だけが広がります。
トゥシェティ地方方面の絶景
アバノ峠を越えると、オマロ村までは20kmほど下り坂が続きます。
山の斜面をクネクネと曲がりながら延びる道路の風景は、「世界一危険な道」で見られる風景の中でもトップクラスに美しいもの。
この先に待っている、人里離れたトゥシェティ地方への期待が高まっていくのを感じます。
神秘的な湖
アバノ峠から山を下ること30分ほど。
ようやく平坦な道になってきたところで現れるのが、神秘的なブルーの湖面を讃える湖です。
湖には特に名前は付けられていないようですが、入浴剤を入れたような不思議な色の湖面と、周囲を取り囲む木々の色がとても美しいです。
トゥシェティ地方の村々
出発からおよそ3時間半ほどで、ようやく人々が生活している村へと到着します。
ここまでの道のりには家の一軒もなく、ただただ断崖絶壁の悪路が続くため、ようやくたどり着いた人間の生活感あふれる風景にはきっと安心させられることでしょう。
ゴール地点であるオマロ村の手前5kmほどの地点で再び上り坂となる道の途中からは、道路すら通っていない小さな村を見渡すことができます。
ここはまだまだトゥシェティ地方の入口にあたる場所でしかないのですが、大自然に囲まれた小さな村の風景の美しさにはきっと感動を覚えるはず。
出発から約4時間。
恐怖と感動の旅は終わりを迎え、トゥシェティ地方の中心となるオマロ村へと到着します。
長く険しい道のりの終わりに見る村の牧歌的な風景は、きっと一生忘れられないほどの思い出となるはずです。
トゥシェティ地方(オマロ)への個人でのアクセス方法
トゥシェティ地方の中心となるのが、最大の人口を誇るオマロ村(Omalo / ომალო)です。
オマロへ至る道は、「世界一危険な道」以外には存在せず、一般の自動車では走ることができません。
マルシュルートカ(乗り合いミニバス)等の交通手段も存在しないため、個人でアクセスする場合は4WDのシェアライドを利用するしか方法がありません。
日本語ではほとんど情報がないトゥシェティ地方(オマロ村)への個人でのアクセス方法を、実際の経験から詳細に解説していきます。
1.アルヴァニへ行く
オマロへの4WDが発着しているのが、トゥシェティ地方の入口となるアルヴァニ(Alvani /ალვანი)という町。
どうしてこんな小さな田舎町から4WDが発着しているのかというと、アルヴァニの人口のほとんどはトゥシェティ地方出身者で構成されており、人や物資の往来が多くあるため。
トゥシェティ地方への道は雪が積もると通行不可となり、冬季は完全に孤立してしまいます。
それを避けて、トゥシェティの人々が冬を越すための別宅を作って出来た町がアルヴァニなのです。
アルヴァニへは、トビリシやカヘティ地方最大の都市であるテラヴィ(Telavi)からマルシュルートカが発着しているので、個人でのアクセスも難しくありません。
トビリシ~アルヴァニ間のマルシュルートカ
トビリシ~アルヴァニを直接結ぶマルシュルートカは1日3往復のみのスケジュール。
いずれもトビリシ〜テラヴィ〜アルヴァニを結ぶルートですが、テラヴィではバスステーションを経由せずに幹線道路沿いを通るだけなので、道を知らない旅行者が途中乗車/下車するのは難しいでしょう。
トビリシ〜アルヴァニ間のマルシュルートカは、トビリシ市内南部のオルタチャラ・バスステーション(Ortachala /ორთაჭალის ავტოსადგური)の発着となるのでご注意を。
次の項で説明しますが、正午を過ぎるとアルヴァニ〜オマロを結ぶ4WDを見つけるのに相当苦労するので、実質トビリシ9:10発のもの(アルヴァニ着12:00頃)に乗るしか選択肢がありません。
テラヴィ~アルヴァニ間のマルシュルートカ
1日3便とやや不便で混雑していることが多いトビリシ~アルヴァニ間の直通マルシュルートカを避けるなら、カヘティ地方の最大都市であるテラヴィ~アルヴァニ間のマルシュルートカを利用することも可能です。
トビリシ~テラヴィ間は、30分~1時間に1本ほどの頻度でマルシュルートカが走っているので、簡単に移動できます。
テラヴィ~アルヴァニ間のマルシュルートカは、決まったスケジュールはなく人が集まり次第の出発。
それでも、だいたい30分~1時間に1本の頻度で走っているので、困ることはないでしょう。
2.アルヴァニで4WDのシェアライドを探す
無事にアルヴァニに到達したら、きっと気がつくことでしょう。
「な、何もない…」と。
アルヴァニの町には数軒の商店があるだけで、人影もまばらで何とも寂しい雰囲気です。
(夏場は多くの住人がトゥシェティ地方にある自宅へ戻って過ごすので、冬を越すための別宅が並ぶアルヴァニの町はゴーストタウンのようになるため)
アルヴァニの中心にある交差点付近が、オマロ行きの4WD車のシェアライド乗り場となっています。
とは言え公式なものではなく、常に4WDが待機しているわけでもないのが難点。
一般的に、朝早いほどオマロ行きの4WD車に乗れる確率が高いと言われていますが、トビリシを最初のマルシュルートカ(9:10発)で出発してもアルヴァニ着は正午ごろ。
ここからは運になってしまいますが、大抵の場合は何とかなると思います(笑)
他にオマロへ向かう観光客の姿があれば声をかけてみるのも良いですし、交差点付近で4WDのジープを見かけたなら、かなりの確率でオマロへ行く人を待っていると考えて良いでしょう。
反対に、シェアライドに十分な人数(4人以上)が集まらない場合は、ドライバーが行ってくれないことも考えられます。
オマロまでの4WD車の相場は、
・1台200GEL(=¥6735)
・1人あたり50〜60GEL(=¥1684~¥2020)
なので、最も安い価格で利用するためには最低でも4人の乗客が必要となるわけです。
どうしても十分な人数が集まらない場合は、
・不足人数分の料金を余分に支払って出発(乗客2人→1人100GEL / 3人→1人70GELなど)
・シェアライドを翌日にまわして他の乗客が現れるのを待つ
などの方法しかないのが現状です。
オマロの宿泊先にドライバーを紹介してもらう方法も!
アルヴァニでの行き当たりばったりな、運にまかせたシェアライドに賭けるのが不安な場合は、オマロでの宿泊先に事前に連絡して、その日アルヴァニ→オマロ間を移動する予定のドライバーを紹介してもらうことも可能です。
オマロでは住人全員が知り合いのため、シェアライド専属でやっている人以外にも、村人の買い物を請け負うドライバーなどと繋げてくれる可能性もあります。
とはいえ、こちらの場合でも条件は同じで、4人以上集まらないと走ってくれません。
テラヴィを拠点にオマロへとアクセスする場合は、テラヴィでの宿泊先に4WD車を手配してもらうことも可能。
テラヴィは大きな町なので、全ての宿の人がドライバーとのコネクションがあるわけではないのと、アルヴァニ~オマロ間に比べるとマイナーなルートなため人が集まりにくいのがデメリット。
しかしこの町にもトゥシェティ地方出身者は比較的多くいるそうなので、タイミングが合えばオマロの自宅に戻る村人や他の観光客とのシェアライドに乗せてもらえるかもしれません。
希望の日時にシェアライドが走るかどうかは微妙で、こちらも一か八かになるものの、アルヴァニよりもテラヴィの方が格安な宿泊施設や見どころなどが豊富なのがポイント。
人数が集まるのを1日や2日待ちながら、市内や周辺を観光することもできます。
3.「世界一危険な道」を生き抜く
どうにか4WDのシェアライドを確保できたら、あとは運を天に任せるのみ。
ドライバーの運転スキルに全信頼を置くこととなります。
アクセスにはかなり難ありなものの、オマロ村に到着してから経験する全てのことは、そんな苦労や恐怖を吹き飛ばすほどの魅力があるものばかり。
100%安全だと言い切ることはできませんが、のぶよが生きて帰って来れたのですから、まあ大丈夫じゃないでしょうか(笑)
オマロから下界(アルヴァニ/テラヴィ/トビリシetc)への戻り方
オマロへのアクセスで厄介なのは、行きに関してのみと考えておいて大丈夫です。
トゥシェティ地方の観光を終えて、オマロ→アルヴァニ(テラヴィ/トビリシetc)と山を下る際は、確実に4WDのシェアライドに乗ることができるでしょう。
先述の通り、オマロ(というか、トゥシェティ地方全体)では、人々は全員が全員のことを知っているという、超・密なネットワークが構築されています。
物資が限られているこの地域では、「いつ/誰が山を下るか」ということを住民全員が把握していて、アルヴァニで買い物を頼んだり、乗せてもらったりしているのです。
なので、オマロで宿泊しているゲストハウスの人に希望の日にちを伝えておけば、その日にオマロ→アルヴァニ間を移動する運転手に確実につないでくれるはず。
しかしながら、当日の朝起きて「今からアルヴァニへ戻りたい!」と言っても、4WDの席はすでに埋まってしまっている可能性が高いです。
遅くとも、オマロを出発する前日までには、帰りの4WDのシェアライドを確保しておくのがおすすめです。
オマロから山を下る4WDがアルヴァニ止まりなのか、その先のテラヴィまで行ってくれるかは運転手次第。
正直、アルヴァニの町中には何もないので、テラヴィまで行ってしまって宿泊 or マルシュルートカに乗り換えてトビリシへ移動した方が効率的だとは思います。
トゥシェティ地方(オマロ)へのアクセス時の注意点
トゥシェティ地方は、ジョージアで地理的に最も隔絶されたエリアの一つ。
すでにお分かりのように、オマロまでの道を行くにはそれなりにリスクがあるのはもちろんのこと。
都市部から遠く離れた山間部であるため、普通に旅行する気分で行くと現地で困ってしまうこともあります。
ここからはトゥシェティ地方へのアクセス時の注意点やアドバイスを解説していきます。
トゥシェティ地方へのアクセスが可能な時期
ただでさえ危険が伴うトゥシェティ地方へのアクセスですが、さらに厄介なのが、一年中アクセスできるわけではない点。
トゥシェティ地方へ続く唯一の道路である道が、一度雪に覆われてしまうと、もう終わり。
次の春まで、車はおろか人一人通行することが不可能となるのです。
年にもよるものの、「世界一危険な道」を車が通行できる期間(=雪がない期間)は、5月末~9月末と言われています。
さらに、5月と6月は雨がとても多いのもポイント。
地盤が緩んでドライバーが危険だと判断すると4WDの運行自体がされないため、実質7月頭~9月末の3ヶ月間しかアクセスすることができないと考えておきましょう。
のぶよがトゥシェティ地方を訪れたのは、2020年の9月5日~9月13日にかけて。
トゥシェティ地方を出た9月13日には、もう多くの住民が山を下りてしまっているような状態で、村にはほとんど人が残っていませんでした。
9月上旬~中旬のトゥシェティ地方はまだまだ雪が降るほどの気候ではなく、コロナウイルスによって観光客がほとんどやってこないために、早めに冬支度をして山を下りる住民が多かったのかもしれません。
普通の年なら、9月末までは問題なく山を下る4WDが見つかるでしょうが、現地での最新情報の確認をおすすめします。
食料や日用品は事前にアルヴァニで購入
オマロの村には数軒の商店があるものの、どこも物資は限られているうえに価格は高めです。
レストランの類もほとんどないため、食事は基本的にゲストハウスで朝と夜に提供してもらうこととなりますが、昼食は付かないことが普通です。
ハイキング等を計画している場合は特に、スナックや日持ちする食材などをアルヴァニの商店で購入しておきましょう。
たばこなどの嗜好品はもちろん、ちょっとした日用品ですらオマロでは手に入らないので、後から「これを買っておけばよかった…」とならないためにも、必要なものをあらかじめリストアップしておくのがおすすめです。
飲料水に関しては、水道の水が飲用可能なので心配は要りません。
電気やインターネットに期待しすぎるのは禁物
近年、巨大なアンテナが設置されたオマロ村では、どこのゲストハウスでもWi-Fi等のインターネット環境があるものの、問題となるのは電気。
なんとトゥシェティ地方は、2020年になっても電気が通っていない地域なのです。
そのため、人々の暮らしを支えるのは太陽光発電。
各家庭やゲストハウスには巨大な太陽光パネルが設置されていて、晴れた日が続く場合は特に不便を感じることはありません。
しかしながら、自然の力に大きく左右されるのが太陽光発電。
曇りや雨の日が続く場合には電気がなくなってしまうこともしばしばあり、宿泊客が多くなるほど電気の消費量が増えるため、太陽光だけではまかなえなくなってしまうことも。
そうなると、明かりはおろかお湯やインターネットも全て使えなくなってしまいます。
・調べ物などはできるだけ旅行前に済ませておく
・大容量のモバイルバッテリーを持参しておく
などの対策をしておくことを強くおすすめします。
ガソリンは絶対満タンにしておく
もしこの記事を読んだ上でも、「自分で4WDを運転して行ってやろう!」と考える強気な人がいるとしても、のぶよは止めません。
しかしながら、ガソリンだけは満タンに入れておく / 予備のタンクを持参するなどの対策は絶対にしましょう。
というのも、トゥシェティ地方にはガソリンスタンドの類は一切ないため。
片道70kmの山道は想像以上にガソリンを消費しますし、エリア内の村々をまわるだけでも結構な量のガソリンが必要になります。
万が一ガス欠になってしまうと、どこにも行けなくなってしまう上に、ふもとの町に戻ることができなくなってしまう可能性もあります。
トビリシで4WD車チャーターは絶対NG!
「わざわざアルヴァニに移動して、不確定な4WD車のシェアライドを探すよりも、トビリシでオマロまで行ってくれる運転手を探せばいいじゃん!お金ならいくらでも払うし。」
という人、悪いことは言わないので絶対にやめましょう。
というのも、トゥシェティ地方へ続く「世界一危険な道」でこれまで起こった事故の原因のほとんどは、飲酒運転か道を知らないドライバーによるものであるため。
トゥシェティ地方の人々は、がけ崩れが起こりやすい場所やスリップしやすい場所などを熟知していて、危険な場所を新たに発見すると他のドライバーに情報を共有するネットワークが出来上がっているそう。
そのため、運転できないほどの悪天候や道路状況が極端に悪い日には朝一番に情報がまわり、車を走らせることはありません。
トビリシでチャーターした4WDやタクシーの運転手がトゥシェティ地方の出身者で道を熟知している確率は、おそらく宝くじレベル。
自分の命を大切にするなら、多少面倒でも、トゥシェティ地方の人々が冬を越す場所であるアルヴァニでのシェアライドを探すべきです。
雨の日の移動は絶対避ける
標高2000m近い場所に位置するトゥシェティ地方の天候はかなり不安定。
観光客が多く訪れる7月~9月は比較的晴天が続きますが、思わぬ悪天候に見舞われる場合もあります。
雨の日であっても、地元の運転手が危険でないと判断した場合には4WDは運行されているものの、のぶよ的には晴れている日を狙って訪れることをおすすめします。
景色が綺麗に見られるのはもちろん、雨の日には地盤が緩んで土砂崩れなどが起きる可能性があるためです。
すでに紹介した、5kmごとに置かれたショベルカーを見れば一目瞭然で、結構な頻度で落石や土砂崩れによって通行不可能になってしまうのがこのルート。
立ち往生して夜をそこで明かすことにはならないと思いますが、できれば避けたいものですよね。
また、特に危険なのが、数日間連続して雨が降り続いた後。
地盤が緩くなっているため、車同士がすれ違う際に外側の崖が崩落する可能性や、数か所にある滝を越えて走るポイントが増水によって通行不可能となる場合もあり得ます。
天候ばかりはどうしようもないのが実情ですが、少しでもリスクを減らすためには注意を払っておいた方が良いでしょう。
おわりに
「秘境」の名にふさわしい、ジョージアの最奥部に位置するトゥシェティ地方への唯一の道である「世界一危険な道」の詳細と、個人でのアクセス情報を解説しました。
いったいどれくらいの日本人旅行者が、この記事を見てトゥシェティ地方へ行きたくなるのかは未知数でしかありませんが(笑)、これだけは言わせてください。
本当に行って良かったと心から思えるはずです。
天候や4WDのシェアライドなどの不確定要素が多いため、短期の旅行計画の中に入れるには難しいトゥシェティ地方ですが、絶対に訪れる価値はあります。
のぶよは1週間ほどかけて、トゥシェティ地方の小さな村をまわったりハイキングしたりとこの地域の魅力を満喫したので、そちらも記事にしていきたいと思います!
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