こんにちは!ジョージア第二の都市・クタイシにのんびり滞在中!世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ジョージア西部に位置するイメレティ地方の中心都市・クタイシ。
人口15万人ほどのジョージア第二の都市で、およそ900年前に中世ジョージア王国が興隆した古都としても知られています。
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文化的な雰囲気がただよう旧市街、極上の名物グルメ、雑然とした市場の喧騒…
面白いところがたくさんあるクタイシですが、なぜか個性的な宿が多い点も見逃せません。
今回紹介するのは、クタイシの中でも唯一無二の存在感を放つ「ソ連ホステル」。
その名も、“Hostel Golden Fleece”です。
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“Hostel Golden Fleece”は、ソ連時代終盤にあたる1980年代の建造物がそのまま宿泊施設へと改装されたもの。
建物自体のソ連感もものすごいのですが、内部は完全なる(ホラー)映画の世界…
従業員&宿泊客の感じや、内装や装飾など細かなディテール、なによりホテル内全体に漂う雰囲気まで、とにかくもう全てがソ連時代そのもので感動ものでした。
数十年前にタイムスリップした気分でジョージアの古都に滞在したい物好きな旅行者のみなさんの心に、きっと刺さるはず…!
クタイシのソ連ホステル”Golden Fleece”に潜入!
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クタイシの玄関口となる中央バスステーションを中心としたエリアの一角。
観光の中心となるクタイシ旧市街からは少々離れており、雑然とした市場の雰囲気とソ連時代の共同住宅がずらりと建ち並び、歩道はぼっこぼこで野犬がそこら中を徘徊…
そんな素晴らしすぎるほどのソ連感100%エリアに、突如として姿を現す巨大な建造物がHostel Golden Fleeceです。
初めて見た人は、まずその外観に圧倒されるはずです。
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ホステルの名前の由来となっている”Golden Fleece”(=「黄金の羊皮」)とは、ジョージア西部地域一帯を舞台にしたギリシャ神話にちなんだもの。
入口では、磔にされた黄金の羊が旅行者をどどーんと出迎えてくれます。なんともホスピタリティーに溢れた宿ッ…!
ギリシャ南部を支配していたボエオティア王の息子・フリクソスは、継母によるいじめに悩まされていました。
ある日、とうとう継母の策略に引っ掛かり、フリクソスは絶対絶命の危機に。
彼を救ったのは、どこからともなく現れた、黄金の毛と羽を持つ空飛ぶ羊でした。
ギリシアから空飛ぶ黄金の羊に乗ったフリクソスは、黒海を越えてコルキス(古代の西部ジョージアを治めていた王国)に到着します。
コルキス王アイエトスは、海を越えてやって来たフリクソスを丁重にもてなし、自身の娘であるチャルシオペと結婚させることに。
フリクソスは感謝の印として、海神ポセイドンへの生贄に羊の肉を捧げ、アイエトス王にその黄金の毛皮を献上します。
アイエトス王は、黄金の毛皮を聖木に吊るし上げて飾り、飼っていたドラゴンに寝ずの晩をさせたと言います。
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コルキス王国に黄金の羊の毛皮があるという話は、黒海を隔てたギリシアで瞬く間に噂となりました。
その噂を聞きつけたある男が、海を越えて黄金の毛皮を盗みに行く旅を計画します。
彼の名はジェイソン。
ジェイソンは「アルゴ」の名を冠する船団の力を借り、黒海の東岸・コルキス王国に到着。
コルキス王アイエトスの娘であり魔力に長けていたメデアの力を借り、とうとう黄金の羊の毛皮を発見します。
ジェイソンとメデアは黄金の毛皮を手にコルキス王国を脱出し、幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。
Golden Fleece伝説は、現在の西ジョージア地域ではかなり有名なお話。(船団の名を冠した”Argo”という銘柄のビールもあるほど)
Golden Fleece Hostelの入口に吊るされた羊も、伝説内でアイエトス王が毛皮を聖木に吊るして飾ったシーンを表しているのです。
入口のオブジェだけを見ると、ギリシア神話をテーマにした「テーマパーク系ホステル」のよう。
「うわぁ~!ギリシャ神話がテーマの宿なんてロマンティック!ジョージアすごぉい!きらきらぁ~」と勘違いする人もいるかもしれません(おらんか)。
しかし、Golden Fleece伝説っぽさがあるのはここまで。
黄金の羊を横目に入口を抜け、階段を上って二回のレセプションの扉を開けば、あら不思議。
数千年前のギリシャ神話の時代ではなく、数十年前のソ連時代へのタイムトラベルがはじまります!
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ソ連風ホステルの内部
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建物の二階に位置するレセプションの扉を開けると、すでに数十年前にタイムトラベルした感覚に。
アンティーク調の机や良い感じのソファーが並び、レトロで良い感じのホテル感が出ています。
Hostel Golden Fleeceの料金はこちら。▼
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ドミトリールームは1泊15GEL(=¥750)、シャワー&トイレ付きの個室は20GEL(=¥1000)~と、ジョージアの宿代相場的にはおそらく最安値のレベルです。
ドミトリーと5GEL(=¥250)しか変わらないので個室にしようと思ったのですが、あいにく埋まっているよう。
この料金で大都市クタイシに宿泊できるということで、他都市からの出稼ぎジョージア人がよく利用するのだそうです。
レセプションを抜けると、まるでホラー映画の舞台になりそうな長~い廊下が。▼
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ギシギシときしむフロアを進んでいくと、いくつか窓が設置されています。
窓にはどれも格子がついており、もはや監獄のような気分。こわい…▼
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そして、監獄のような窓の外に広がる光景に、さらにびっくり。
巨大なプールが設置されているのです。
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実はこの建物、ソ連時代にスポーツコンプレックスとして建設されたものなのだそう。
現在ホステルとして利用されている部分以外にも、体育館やジム、プールを備えているのです。
飛び込み用プールは完全に放置されてどろどろに錆びついた状態ですが、メインのプールは現在でも使用されているのだそう(びっくり)。
夏場には地元の子供たち向けにプールが開かれるそうで、宿泊客の利用も無料で可能だそうです。
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巨大な敷地のプールエリアを彩るのは、青色が美しいソ連時代のモザイク画。
状態はあまり良くなく、ところどころ剥がれ落ちてしまっているのが残念。
それでも、ソ連モザイクに囲まれながらのスイミングなんて、とても贅沢な体験なのでは…!
ソ連ホステルの部屋
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Hostel Golden Fleeceの部屋は、ドミトリーが2部屋と個室が14部屋。
個室に関しては、部屋タイプや広さ、設備によって料金が大きく異なり、いずれも異なる内装となっています。探検がはかどって仕方がない…!
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古き良きソ連感を味わいたいなら、個室一択。
家具はかなり年季の入ったものでオールドスクールな雰囲気ですが、言い換えればどの個室もレトロな雰囲気です。
いっぽうのドミトリーの部屋は殺風景で、家具などはほぼなく寂しい雰囲気。(これはこれでソ連みがあるけど)
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ベッドは意外にも快適で、マットレスも良い感じ。(スプリングが背中に当たって痛くて仕方がない、ソ連風ベッドを想像していた)
隣のベッドとの距離が近いのがネックですが、このときは同部屋の宿泊客が一人だけだったので、特に気になりませんでした。
ソ連ホステルの設備
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ソ連ホステルの設備は、意外にも充実していたのが高ポイント。
敷地の中央にはキッチンとリビングを兼ねた空間があり、レトロな家具で統一されています。
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部屋数の合計が16もあるので、キッチン&共用スペースは混み合うのかと思いきや、そうでもなし。
個室に宿泊している人たちは、基本的に自室でくつろぐ人が多いようで、あまりこの共用スペースに顔を出すこともありませんでした。
Wi-Fiも館内全体で使用可能で、速度も特に問題なさそう。このあたりはちゃんと21世紀です。
「ソ連ホステルでワーケーション!」なんて古風な(?)ノマドの人にもぴったりですねえ。(半笑い)
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個室の多くにはシャワー&トイレが備わっているそうですが、ドミトリーに宿泊する場合はシャワーとトイレは共同となります。
共同シャワー室は、なぜか一室に三つのシャワーがあるという謎な造り。
プールのシャワー室として利用されていたためなのかもしれません。(シャワー室入口に鍵をかけられるのでご安心を)
まったく期待していなかったお湯の出はかなり良く、寒い思いをすることがないのも良かったです。
ソ連ホステルの雰囲気&宿泊客の感じ
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このソ連ホステルで何より面白かったのが、集まる宿泊客が総じて癖のある人たちっぽかったこと。
(まあ、のぶよも人のこと言えたもんじゃないけど)
のぶよが滞在したときがたまたまそうだったのか、いつもそうなのかはわかりませんが、外国人の宿泊客はほぼなし。
他都市出身のジョージア人が多く集まり、半ばこの宿に住んでいるような人も多かったです。
まあ、単刀直入に言うなら「ワケアリ」と言った感じ。
・住み込みで働いている掃除のおばさん(一生掃除しまくっててちょっとでも汚すと雑巾片手に飛んでくる)
・夜中になると宿を徘徊する酔っぱらい
・自称・ロシアで出稼ぎしてきたというタクシードライバー(酔っ払い)
・ずっとリビングで独り言を話しているおばさん
などなど…どう伝えれば良いのかわからないのですが、「宿泊費を限りなく節約したい系ジョージア人が集まる宿」といった場末なディープな感じ。
のぶよはそういった雰囲気も含めて楽しめるタイプなのでOKなのですが、この国のこういった部分に慣れていないと衝撃を受けるかもしれません…(笑)
↑ソ連ホステルの動画(続き)
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の翻訳してる人 (@nobuyo5696) November 5, 2022
長く暗〜い廊下を抜けるとダイニングルームが。アンティークな食器棚がすごい。キッチンは意外としっかりしているので自炊がはかどりそう。芋とソーセージでも茹でてソ連風食堂メニューでも作るかぬ。 pic.twitter.com/Poj786nbkp
まとめ:ソ連ホステルに滞在した感想
クタイシのソ連ホステルでの宿泊をレポートしました。
心からどっぷりとソ連時代にひたれる雰囲気は素晴らしいですし、キッチンやシャワーの設備もまずまず。
何よりも、この宿に集まる人たちの場末感(?)も含めて、唯一無二の体験となりました。
クタイシの観光スポットが集まる旧市街からは距離があるため、市内観光に便利な立地とは言えない点がマイナス。
とはいえ、中央バスステーションまでは徒歩15分ほどと近いので、クタイシを拠点に近郊の町へ足をのばそうと考えている人には便利な立地だと思います。
旧市街へのアクセスに関しても、クタイシ市内をぐるぐると巡回する路線バス1番/マルシュルートカ1番(旧市街方面へ向かう)を利用すればOK。
15分に1本はHostel Golden Fleeceの目の前の道を通るので、意外にも不便は感じません。
クタイシ観光の拠点として宿泊するよりも、「ここに泊まる体験を楽しむ」といったアトラクション的に考えるのがおすすめ。
クタイシならではのタイムトラベル体験、お越しの際はぜひとも!
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