こんにちは!ようやく2025年夏のジョージア旅を開始した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
1週間に渡って旅した、ジョージア西部・グリア地方の小コーカサス山脈エリア。
知名度は低いながらも見ごたえたっぷりの山村やワイルドな大自然を「グリア地方山岳部旅三部作」と題して、三つの記事に分けてガッツリと紹介しています。
前回の記事は、「雲の上の村」と称されるバフマロについて。
ポストカードのような山村風景と温かな人々、そして眼下に広がる一面の雲海が魅力的な村でした。▼
今回の記事は、グリア地方山岳部旅三部作の二つ目。
バフマロと並んでグリア地方を代表する山岳避暑地として知られる、ゴミスムタ(Gomismta/გომისმთა)を紹介します。
…はじめに言ってしまいましょう。
ゴミスムタ、本当にめっちゃくちゃ良かったです。ここを訪れずにジョージアという国を去らないで良かったと心から思ったほどに。

ゴミスムタは、グリア地方南部に連なる小コーカサス山脈の標高2000m前後の地点にある小さな村。
南隣のアジャラ地方との境界すぐそばに位置しており、古くは二つの地域を行き来する人々にとって重要な拠点となっていました。
そんなゴミスムタを、山の麓に住むジョージア人たちはこう呼びます。
…「雲の王国」と。


ゴミスムタ村を訪れてみれば、どうしてこの場所が「雲の王国」なのかすぐにわかるはず。
ゴミスムタ周辺の雲海の発生率はとても高く、気候条件さえ合えば朝も昼も夜も雲海が鑑賞できるのです。
もくもくとした雲が伝統的な木造建築が点在する村のすぐそばにまで迫る光景は、まさに雲の支配下にある地。
「雲の上の村」と称されるバフマロとはまたひと味異なる、雲海と一体化したような村の人智を超えたミステリアスな風景が、ゴミスムタ最大の魅力かもしれません。

ゴミスムタ村の規模はかなり小さく、とにかく「雲海」が観光のキーワードとなるのですが、このミステリアスでファンタジーな風景を見るためだけにでもわざわざこんな山奥まで足をのばす価値があるというもの。
山岳避暑地としてポピュラーなバフマロに比べると、インフラ面やアクセス面での不便さはさらに増しますが、それがかえって小コーカサス最奥部の秘境感を強く感じさせてくれます。
というわけで今回の記事は、ゴミスムタの観光情報を徹底解説するもの。
村中に点在する絶景ポイントや、アクセス情報、実際に訪問してのアドバイスなど、プランニングに役立つはず!
ジョージアの有名山岳観光地に比べると、垢抜けていない手つかず感が強く感じられるのがゴミスムタの素晴らしいところ。
息を呑むほどに美しい「雲の王国」へ、いざ!
ゴミスムタ観光でしたい5つのこと

ゴミスムタには、いわゆる観光スポットのようなものはありません。
この山深い地を訪れる人々の最大の目的は、村のすぐ目の前に迫りくる雲海の迫力ある光景を眺めることにあります。
とにかく、ゴミスムタ=雲海がすべて。
訪問の際は雲海を眺めることをメインに、観光の計画を立てるのがおすすめです!
ゴミスムタ観光マップ
緑:絶景ミニハイクルート
赤:絶景カフェ
紫:安ゲストハウス
茶色:商店
黄色:バスステーション広場
①雲海ポイントで夕日を眺める

ゴミスムタ村を訪れる旅行者の100%が訪れるのが、村中心部の東200mほどの場所にある小高い丘の上。
この場所は絶好の雲海鑑賞スポットとして知られており、その噂に違わぬ絶景が見られます。【マップ 青①】
大きな十字架が立つ丘の上に足を運べば、なぜわざわざ多くの人がこの場所にやって来るのか理解できるはず。
眼前180°に広がる一面の雲海は、まさに「雲の王国の中枢部」といった光景であるためです。


雲海鑑賞ポイントからの眺めは、北側~北西側にかけてのもの。
一面の雲の下にはグリア地方の平野部が広がり、その先には黒海があります。
西方向にひらけた眺め=美しい夕日が見られるというわけで、このポイントはゴミスムタで一番の夕日鑑賞ポイントとしても人気。
一面の雲海にオレンジ色の太陽が沈んでゆく光景が見られる確率が高く、そのあまりの神々しさに言葉を失います。

下界からはるばるゴミスムタまでやって来るジョージア人にとっては、この雲海に沈む夕日を仲間や家族みんなでワイワイと楽しむのが、一種の「憧れのサマーアクティビティー」なのだそう。
日没の数時間前から丘の上には人が集まりはじめ、音楽をかけたり歌を歌ったり火を起こしてBBQしたりと、ちょっとしたお祭りムードが漂います。


日没前の楽しい雰囲気も、日没時のロマンティックな風景も素敵ですが、日没後の雰囲気も見逃せません。
ほとんどの人は日没とともに急ぎ足でゴミスムタから下界へと去っていく(そうじゃないと帰りの山道が真っ暗になってしまうため)ので、人影がほとんどない中で雲海が闇に呑み込まれていくミステリアスな風景が見られるのです。

日没前1時間くらい~日没後30分くらいまで、さまざまな表情を見せてくれるゴミスムタの夕景。
ジョージア広しと言えども、ここまで感動的な夕景が体験できる場所は他にないかもしれません。
ゴミスムタの雲海鑑賞ポイントで最も美しいのはもちろん夕方ですが、それ以外の時間帯でも素晴らしい風景が見られます。▼


村の北端に位置する集落すぐそばにまで厚い雲がもくもくと迫る光景は、まるで天空に浮かぶ村のよう。
周辺では馬の家族が自由に闊歩していたり、鷹が自由に飛び交っていたりと、小コーカサスの高地ならではの情景も見られます。
ジョージア人にとって、ゴミスムタの美しい雲海の風景を眺めるのは一種の憧れの的なのだそう。
実際にこの場所に立てば、どうして人々が口を揃えてゴミスムタを絶賛するのかすぐに分かるはずです。
②ディディ・ヴァケ山から村を一望する

ゴミスムタを訪れる旅行者の多くは、日帰りで雲海鑑賞ポイントだけを訪れて去っていくもの。
しかし、ゴミスムタには他にも多くの絶景ポイントが点在しており、むしろ「360°全てが絶景ポイント」と言っても過言ではありません。
そんな絶景村の中で最も標高が高い場所に位置するディディ・ヴァケ山(Didi Vake Mountain)は、のぶよ的にゴミスムタ観光における隠れたハイライト【マップ 青②】。
村の中心部から坂を登って20分ほどで簡単にアクセスできます。


ディディ・ヴァケ山からの眺めは、ゴミスムタ村の全景とその先に広がる雲海を一望するもの。
雲海からは少し距離があるためダイナミックさでは劣りますが、ゴミスムタの村の天空感はより強く感じられます。
雲海鑑賞ポイントに比べると、ディディ・ヴァケ山まで足をのばす人は少な目。
夕日の時間帯であっても人影はほとんどないため、静かにのんびりと夕日鑑賞したい人には穴場です。
③絶景ミニハイクで村を一周

ゴミスムタの絶景探訪はまだまだ続きます。
村の中心部からディディ・ヴァケ山へと登ったら、村の南西側をぐるりと周り込むように敷かれた未舗装道路を歩いていきましょう。
この未舗装道路が、合計3km/所要45分の絶景ミニハイキング【マップ 緑線】。
ゴミスムタ村北端~ディディ・ヴァケ山~ゴミスムタ南側の集落を結び、標高差は100mほどと緩やかなので、誰でも簡単に歩くことができるレベルです。


ディディ・ヴァケ山を過ぎてゴミスムタ南側の集落へと歩いていくと、一面の緑の丘陵地帯の美しい風景が延々と続きます。
伝統の木造住宅がぽつりぽつりと点在しており、どれもかなり絵になる風景です。

ミニハイキングコースの途中では雲海は見えにくいものの、大自然に囲まれたゴミスムタのパノラマはまたひと味違う美しさ。
村人が放牧している牛や馬たちがそこら中を闊歩しており、のんびりとした雰囲気に心から癒されます。
そして、ミニハイクのゴールとなるのがゴミスムタ南側の集落。
こちらは村の中心部に比べるとかなりひっそりとしており、外からの旅行者の姿はほとんど見かけません。▼


この南側の集落付近も、隠れた絶景ポイント。
まるでヴェルヴェットのように滑らかな緑の丘陵地帯と、ゴミスムタの中心部、それらを呑み込もうとする雲海を一望することができるのです。

のぶよはゴミスムタ滞在一日目にこのあたりでテントを張ったのですが、もう最高のひとことでした。
まるで水墨画のように美しい夕刻と、朝の光に照らされた村の風景を独り占めできるのですから…
ゴミスムタ南側の集落~村の中心部までは、山の稜線に沿うような未舗装道路を歩いて20分ほど。
この場所で夕日鑑賞をした場合でも、真っ暗になる前までには中心部へ戻れるほどの距離です。
④絶景カフェで雲海バーベキュー

ゴミスムタにはレストランはおろか、ちょっとした飲食店もほぼ存在しません。
村の中心部から雲海鑑賞ポイントへ続く道路沿いに一軒、掘っ立て小屋のようなカフェ(らしきもの)があるだけです。【マップ 赤】
カフェのメニューはとても限られており、フードは基本的にムツヴァディ(炭火豚肉BBQ)のみ。
ドリンク類がメインのようで、生ビールが3GEL(=¥150)で飲めるのは、ゴミスムタの立地を考えるととてつもなく良心的だと思います。


カフェの立地は雲海が目の前に見える絶好の場所となっており、絶景をすぐ前に焼き立てジューシーな豚肉BBQを喰らいながらキンキンに冷えた生ビールをぐびりといく幸せと言ったら…
ゴミスムタには基本的に電気の供給がないのですが、カフェでは昼でもラジエーターを使って発電しているので、こうしてキンキンの生ビールが味わえるというわけです。
また、カフェを運営しているお兄さんはとても良い感じの人で、自分のスマホのインターネット回線をデザリングさせてくれたり、スマホを充電させてくれたり…ととても神対応。
フードメニューも立地を考えるととてもリーズナブルなので、ぜひともこういう店でお金を落としていってあげたいものです。

▲のぶよの場合、この絶景カフェ訪問の前に宿泊している民家でBBQのお裾分けをもらっていた(めっちゃくちゃ絶品だった)ので、カフェでの食事はしませんでした。
しかしまあ、BBQはどこまで行ってもBBQ。
おそらくこのカフェで食べる肉も絶対に美味しいはずです(愛想が良い人の作る料理が美味しくないわけがない)!

ジョージア人にとって、ゴミスムタ=BBQというイメージがあるようで、この絶景カフェ以外でもBBQを自分たちでやっている光景を多く見かけます。
下界のレストランで食べるBBQよりも、雲海の絶景を前に食べるBBQの方が美味しいのは確実。
ゴミスムタならではの雲海BBQ、ぜひとも体験してみましょう!
⑤チンチャオ湖へトレッキング

ゴミスムタを訪れる旅行者の大半は雲海&BBQ目的なのですが、村の周囲の大自然を五感で楽しもうとするハイカーの姿も少しずつ増加しているそう。
ゴミスムタから足をのばす先として最もポピュラーなのが、チンチャオ湖(Chinchao Lake/ჭინჭაოს ტბა)です。【マップ 青③】
なんともジョージア語っぽくない語感のこの湖が位置しているのは、ゴミスムタから11kmほど東へ歩いた先の山の中。
標高は2500m近くと、ゴミスムタよりも500m近く高い場所に位置しています。


チンチャオ湖に流れ込む川はなく、湖水はすべて湧き水で占められているのだそう。
そのためなのか湖水の透明度は素晴らしく、神秘的なブルーとグリーンの湖面が周囲の山々を反射して、絵に描いたようなアルピンレイクの風景が見られます。
ゴミスムタ~チンチャオ湖間は、片道10km/3時間ほど。まあまあなアップダウンがあるので、日帰り往復は体力のある人向け。
ゴミスムタから丸一日かけて往復トレッキングすることもできますし、ゴミスムタから4WDミニジープをレンタルしてアクセスすることも可能です。

また、チンチャオ湖が位置しているのは、ゴミスムタ~バフマロ間を歩く2日間トレッキングのコース上。
バフマロ~ゴミスムタ間をトレッキングする人は途中で必ず経由することになるので、必ずしもゴミスムタからの往復でアクセスする必要はありません。
バフマロ~ゴミスムタ間トレックの記事は現在執筆中です!
ゴミスムタ観光の注意点・アドバイス
ゴミスムタはジョージアではかなり名の知られた村ではあるものの、外国人の間での知名度はまだまだ発展途上。
ネット上には情報がほとんどなく、実際に訪れた人の声は貴重だと思います。
ここでは、ゴミスムタ旅行のプランニングの際に役立つ情報あれこれや、気になるインフラ面のあれこれを解説していきます。
不便ではあるもののちゃんと準備していけば問題ないので、しっかりと計画をしましょう。
ゴミスムタ観光のベストシーズン

まず知っておかなければならないのが、ゴミスムタを観光できる期間は想像以上に短いという点。
バフマロと同様に、ゴミスムタの住人の大半は一年中ここで暮らしているわけではありません。
夏場の数週間~数ヶ月間だけ山で生活し、残りの期間は麓の別宅で過ごすのです。
その年の気候にもよりますが、村に人が戻ってくるのは6月に入ってから。
多くの人は10月半ばまでには山を下りてしまうため、11月~5月にかけてのゴミスムタはほとんど人がいない=観光できない時期となります。
観光可能な6月~10月頭の中で、下界とをつなぐ交通手段の運行があるのは6月半ば~9月末まで。
この時期をはずすと、往復の交通手段がタクシーチャーターのみとなってしまうので要注意です。
のぶよが訪れた7月前半は、夜は若干肌寒さを感じるものの全体的にとても快適な気候だったのでおすすめ。
日帰りツアー客の姿もやや多く感じましたが、7月半ば~8月半ばのピークシーズンに比べるとまだまだ静かなのではないかと思います。
9月になると夜間はかなり冷え込むものの、紅葉目的ならおすすめ。
ゴミスムタの紅葉の見頃は例年9月後半だそうです(写真を見せてもらったけどめっちゃくちゃ綺麗でした)。
ゴミスムタ観光に必要な日数

ゴミスムタの見どころは限られており、「観光」という観点から言えば数時間もあれば問題ないほど。
村近郊へのハイキングなどは諦めることとなりますが、ゴミスムタ最大の名物である雲海の絶景を眺めるという目的のみであれば、日帰りでの訪問も可能です。
ゴミスムタの最寄りとなるオズルゲティからであれば、移動時間は片道2時間ほど。
タクシーチャーターするなら余裕で日帰りできますし、往復マルシュルートカ利用であっても現地滞在時間を2時間ほど確保できるので、個人で日帰り観光するのも可能です。
実際、ゴミスムタを訪れる旅行者の大半は、バトゥミなど大都市からミニバスを貸し切ってやって来る少人数グループ客。
昼頃にゴミスムタに到着→午後に村を散策→夕方にBBQ&飲み会…といったプランで、日没とともに急ぎ足でゴミスムタを去っていきます。
この辺りは各旅行者の旅のスタイルや好みによるのですが、「とにかく雲海が見られればOK」という人は日帰りが効率的。タクシーチャーターでも良いですし、バトゥミから日帰りツアーに参加するのも良いでしょう。
ただ、日帰りの場合は日没の時間まで現地に滞在できない場合がほとんど(ドライバーが真っ暗な山道を運転したがらないため)なので、ハイライトである雲海に沈む夕日は諦めることとなります。
逆に「雲海だけでなくゴミスムタ本来の素朴な雰囲気や自然を感じたい」という人は、ぜひとも宿泊するのが◎
村周辺でのハイキングを楽しみたいなら宿泊するしか選択肢はありませんし、日帰りツアー客が去った後の夕日を独り占めできるのも嬉しいです。
ゴミスムタの観光インフラ

すでに何度か触れている通り、旅行者にとってゴミスムタの観光インフラはかなり不便。
Booking.com等の宿泊予約サイトを見ても掲載されている宿はかなり少ないですし、商店や飲食店の数にもかなり限りがあります。
ゴミスムタの各種インフラを簡単にまとめると、以下の通り。
・電気:電線はあるが、基本的に不通
・ガス:不通。ガスボンベか薪が使用されている
・水道:問題なし&飲用可
・ネット:会社によるがスマホ回線の電波はかなり貧弱
・買い物:商店3軒あるのみ
・飲食店:村に1軒のみ
・宿泊:ホテルは存在せず、コテージ一棟貸切がメイン
・ATM:なし
・カード払い:意外と対応しているところが多い
旅行者にとって最も不便なのが、ゴミスムタでは電気が通っていない時期が多くあること。
のぶよの訪れた7月前半は電気が完全に不通でしたし、7月半ば~8月半ばは一応電気が通るそうですが、停電などが多く電力の供給はかなり不安定なのだとか。
なので、基本的にゴミスムタには電気は通っていないものと考えておきましょう。
また、電気がない=電子機器の充電ができないという点もお忘れなく。
各民家では夜間の数時間のみラジエーターで自家発電したりしてしのいでいるのですが、発電量にはかなり限りがあるため、大容量のモバイルバッテリーなどを持参するのが安心です。
また、電気もガスもないゴミスムタでは、お湯が一切使えない場合も多くあります。
各家庭では夜間のラジエーター発電時の数時間でお湯を沸かしてしのいでいたり、薪を使ってお湯を沸かしたり、そもそも生活の全てを冷水で済ませたり…と、涙ぐましい努力が行われています。

そして、ゴミスムタではネットに接続できない場合がある点にも要注意。
使っている会社にもよるのですが、最大手のMagti以外の電話会社だと電波が入りにくく、接続できてもかなり弱い電波しか入らない場合がほとんどです。
Wi-Fiに関しても電波塔がないため、そもそもインターネット設備自体がないのが普通です。
ゴミスムタでは意外とカード払いが可能なお店も多いのですが、基本的には現金社会であると考えておくのが◎
ATMは村に存在しないので、ある程度の現金(大きいお札ではなく細かいお札)は必ず持参するようにしましょう。
野生動物

ゴミスムタなどの山岳地域を旅する際に気になるのが、野生動物との遭遇リスク。
ゴミスムタ周辺の山には熊やコーカサスオオカミなど危険な動物が棲息していますが、ゴミスムタの村内であれば遭遇するリスクは限りなくゼロに近いです。
ゴミスムタでは全域で自由にキャンプをすることができますが、できる限り人の気配がある場所の近くに留まるのが鉄則です。
チンチャオ湖へのトレッキングなど村からかなり離れる場合は、それなりの野生動物リスクがどうしてもある点を理解しておきましょう(とはいえ、地元の人の話だと昼間はまず野生動物は出てこないとのこと)。
ゴミスムタ観光の持ち物

ゴミスムタで購入できる物資には限りがあるものの、想像していたよりもだいぶましといった感じ。
煙草やビールも(少し割高ながら)普通に売られていますし、スナック菓子や食材も商店に行けば手に入ります。
こうした山岳地域の買い物に関して気になるのは価格ですが、意外にも割高感はそこまでなかった印象。
生鮮食品を除けばジョージアの一般的な物価の1割増しといったくらいなので、下界から食料などをすべて持参する必要はないでしょう。
野菜やフルーツなどの生鮮食品だけはゴミスムタでは手に入らないので、必要な人は下界から持参する必要があります。
意外と盲点となるのが、サングラスや帽子などの日差し対策。
高地に位置するゴミスムタの紫外線はものすごく強く、平地で過ごす以上に肌や目にダメージを与えます。
また、昼間は結構暑くなる真夏であっても夜はかなり冷え込むので、パーカーやスウェットなど調整できる服装は必ず準備しましょう。
ゴミスムタの宿泊

ゴミスムタでの宿泊を考える人にとってネックとなるのが、手軽な宿の少なさ。
村にはホテルは存在せず、ホステルもなし。ほとんどはコテージを一棟貸ししている場合が多く、個人での旅行者にとっては割高となってしまいます。
のぶよがゴミスムタ滞在2日目に宿泊したのが、村の中心街からほど近い場所にある民家。
この家に住むおばちゃんと話していたらなぜか泊めてもらえる流れになったのですが(まじでミラクル)、ただの民家なのかと思いきや、改装してまだ一年のゲストハウスのような建物でびっくりしました。【マップ 紫】


木の温もりが前面に出された居心地の良い雰囲気の空間は、ゴミスムタ名物の雲海を望む大きな窓が開放的。
この時は電気がなくお湯もネットも使えませんでしたが、おそらくピークシーズンになれば改善されるのではないかと…(淡い期待)
おばちゃんいわく、ピークシーズンで電気が通っているときは1部屋40GEL(=¥2000)で旅行者を受け入れているとのこと。
宿泊予約サイト等には掲載がなく、完全に現地で飛び込みするしかありませんが、この価格でゴミスムタに宿泊できるのは奇跡的だと思います。

そもそものインフラが限られているため、ホテル滞在のような快適さとは無縁ではあるものの、屋根がある場所でぐっすり寝られるだけでも嬉しいもの。
食事を分けてくれたり色々気にかけてくれたりと、不便さをカバーするほどの素朴な優しさも感じられました。
ゴミスムタとバフマロ、どちらがおすすめ?

ゴミスムタとともにグリア地方山間部を代表する山村が、30kmほど東に位置するバフマロ。
距離的にはそこまで遠くない二つの村ですが、互いを繋ぐ道路が存在しないため、行き来するのはかなり大変です(一度下界に下ってまた別の山道を登るので、片道4時間以上かかる)。
バフマロ~ゴミスムタ間をトレッキングする場合を除いて、多くの人にとっては二つの村を制覇するほどの日程の余裕はないはず。
どちらか一つを選ばなければいけない…なんて状況がほとんどだと思います。
バフマロとゴミスムタ…いずれも似たような地理的条件で、いずれも雲海が名物で、いずれも夏の間だけ人が集まる山岳避暑地といった感じなのですが、雰囲気は大きく異なります。

二つの村でよりひらけているのは、断然バフマロ。
バフマロにはホテルも一軒ありますし、村の規模もゴミスムタに比べるとかなり大きいです。
バフマロでは飲食店に困ることもありませんし、中心部には小規模なバザール=市場も。
インフラ面の不便さはやはりありますが、電気がちゃんと通っているだけでもゴミスムタに比べると発展していると言えるでしょう。

一方のゴミスムタの村の規模はかなりこぢんまりとしており、見どころも雲海に限られてしまうのが実情。
インフラ面やアクセスはバフマロとは比べ物にならないほどに不便で、ある程度快適さを犠牲にできる人でないと厳しいかもしれません(ほんと、電気がないのが痛すぎる)。
しかし…雲海の風景はバフマロよりもゴミスムタの方が「うわあ…!」と心からの感動を与えてくれるはず。
逆に言うと、雲海が見られないような悪天候の日だとゴミスムタの魅力は半減してしまうので、バフマロの方が楽しめると思います。


のぶよ個人的には、のんびりと山岳地域らしいリゾート的滞在をしたい場合はバフマロ、雲海の絶景やトレッキングなどをアクティブに楽しみたい場合はゴミスムタ、といったところ。
何度も言いますが、雲海のダイナミックな風景だけを考えるならバフマロよりも断然ゴミスムタの方が感動的だと思います。
そんなわけで、それぞれ異なる良さがあるバフマロとゴミスムタ。
できれば両方訪れるのが理想ではありますが、そのあたりは日程と好みに合わせて取捨選択を!
ゴミスムタへのアクセス・行き方

小コーカサス山脈に抱かれるように、標高2000m地点の山奥にぽつりとあるゴミスムタ。
ご想像の通り、ゴミスムタへのアクセスは便利とは言えません。
多くの訪問客にとっては、バトゥミやオズルゲティなど下界の町からタクシーをチャーターするか、日帰りツアーに参加するのが定番。
移動手段を考えなくて良いのが楽ではありますが、値段が高い&ゴミスムタ観光のハイライトとなる夕日は時間的に見られない点がネックでしょう。
夏季限定とはなるものの、ゴミスムタへは個人でマルシュルートカ移動することも可能。
スケジュールなど不確定要素もあるものの、しっかりと計画すれば格安で移動できます。
ここでは、ジョージア各都市~ゴミスムタ間の移動情報を解説していきます!
①タクシーチャーター
大きな荷物がある場合や、快適にサクッと移動したい場合、各都市からゴミスムタまでタクシーをチャーターして移動するのが◎
ゴミスムタ側には客待ちのタクシーは基本的に存在しないため、往復でチャーターするのが基本となります。
各都市~ゴミスムタ間のタクシーチャーター料金の相場は以下の通り。▼
・オズルゲティ発着:所要片道2時間/250GEL(=¥12500)~
・バトゥミ発着:所要片道3時間/300GEL(=¥15000)~
・クタイシ発着:所要3時間/300GEL(=¥15000)~
・トビリシ発着:所要7時間/600GEL(=¥30000)~
タクシーでゴミスムタへアクセスする場合、基本的に日帰りの往復チャーターとなる点に要注意。
ゴミスムタに宿泊したい場合はドライバーとの交渉の上、ドライバー分の宿泊代も加算されるため、かなり割高となるかもしれません。
②オズルゲティからマルシュルートカ(夏季限定)

個人でゴミスムタへアクセスする場合に最も便利なのが、同じグリア地方の中心的な町であるオズルゲティを基点とすること。
オズルゲティ中心街東側にある近郊バスステーションから、夏季限定で2日に1本のマルシュルートカがゴミスムタまでを結んでいます。▼

ゴミスムタ側の発着ポイントは、村の中心部にある広場【マップ 黄色】。
夏季限定&スケジュールは毎年変更となる可能性があるので、事前の現地確認はお忘れなく。
オズルゲティ~バゴミスムタ間のマルシュは、基本的に座席の予約等は必要ありません。
当日出発時刻の少し前までにバスステーションで待機していれば問題なく乗車が可能です。
しかし、ピークシーズンにあたる7月半ば~8月半ばにかけての利用は、念のため前日までに運転手に電話連絡して席を押さえてもらうのが良いでしょう(オズルゲティのバスステーションの窓口の優しいおばさんに電話してもらうのが良いかも)。


オズルゲティ~ゴミスムタ間の道は完全に舗装されていますが、かなりのグネグネ道なので車酔いしやすい人は注意。
ゴミスムタ便のマルシュルートカの後方には広々とした荷物スペースがあるため、この区間に関しては荷物の心配は不要。
混雑具合にもよりますが、スーツケースでも問題なく積めると思います。
③バフマロ~ゴミスムタ間トレッキング

アドベンチャー派におすすめなアクセス方法が、バフマロからゴミスムタへ2日間かけて歩くトレッキング。
途中には宿泊施設はなくテントなど野営装備が必要となる&中級者以上向けのコースとなる点がネックですが、苦労に見合った感動の風景が待っています。

のぶよ的には、このトレッキングこそがゴミスムタ観光の真のハイライト。
時間と体力、天候が許すのであれば、ぜひとも挑戦してみては?
バフマロ~ゴミスムタ間トレックの記事は現在執筆中です!
おわりに
ジョージアの中でも秘境感がかなり強めのゴミスムタを紹介しました。
のぶよはゴミスムタに丸二日間滞在していましたが、滞在中ずっと雲海が見えていたのがとても印象的。
村の人によると、「いつでも雲海があるわけではないけど、二日に一回は必ず見られる」とのことなので、雲海が見たい人にはかなりおすすめかもしれません。
観光地として整備された山岳エリアとは異なり、アクセスやインフラ面でどうしても不便さがあるゴミスムタ。
しかしそれが逆に、小コーカサスの奥地に来たことの証明でもあり、定番観光地ではない山村ならではの滞在を彩ってくれます。
これまでジョージアで色々な場所を訪れたのぶよを久々に心から感動させたゴミスムタ。
外国人旅行客に見つかってしまう前に、素朴な美しい風景を五感で感じに行ってみてはいかがでしょうか。
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