こんにちは!ジョージア北西部のスヴァネティ地方に三度目の訪問中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ジョージアの中でも、定番観光エリアとして名高いスヴァネティ地方。
コーカサスの山々によって他地域と隔てられたこの地域には、独自の歴史や伝統に育まれた村が点在しており、中世そのままの雰囲気やダイナミックな自然風景が旅行者に大人気となっています。
そんな「ジョージア屈指の一流観光エリア」であるスヴァネティ地方ですが、人によっては「ちょっと観光地化が進みすぎてるような…」といった印象を持つかも。
しかし、有名どころから少し外れるだけで、観光地化の波しぶきさえ到達していないような素朴な村も多く存在していることは意外と知られていません。
今回紹介するエツェリとファリの二つの村を中心とする「裏スヴァネティ山村街道」も、そんな穴場のエリアのひとつです。

エツェリやファリの村が位置するのは、東西に細長い形をしたスヴァネティ地方の中でも西側一帯。
スヴァネティ地方最大の町であるメスティアや、世界遺産のウシュグリ村など有名な見どころは全てスヴァネティ地方の東側一帯に位置しているため、西側エリアはほぼ全ての旅行者に素通りされてしまいがちです。
華やかで写真映えするスヴァネティ地方東部の数々の有名スポットとは対照的に、スヴァネティ地方西部エリアは「裏スヴァネティ」といった言葉がぴったりな日陰の存在。
しかしながらこのスポットライトの当たらなさこそが、本来のスヴァネティ地方の魅力が失われることなく存分に詰まっている最大の要因であると言えます。


観光客がほとんどやって来ないということは、人々が観光業で生計を立てていないということ。
裏スヴァネティ山村街道の各村では、自給自足を基本とした生活が現在でも営まれており、コーカサス山岳地域の伝統的な生活スタイルが色濃く残っている点も見逃せません。

こうした伝統的な生活を旅行者でも体験できるのが、裏スヴァネティ山村街道の素晴らしい点。
各村には自宅の一部を旅行者向けに開放したゲストハウスが数軒あり、山の日常生活に溶け込みながらのローカル滞在を楽しむことができるのです。
のぶよはファリ村に二泊、エツェリ村に二泊しましたが、どちらの村での滞在もとにかく素晴らしいの一言でした。
宿泊したゲストハウスも良かったですし、人々の温かさや山の伝統を存分に満喫しながらの時間は一生の思い出です。


そんなわけで今回の記事は、ジョージア山間部のリアルな日常を体験したい人向けに、「裏スヴァネティ山村街道」での滞在に関するアレコレを解説するもの。
エツェリとファリそれぞれの村での極上ゲストハウス情報も掲載しているので、実際に訪問したい人(おらんか)の役に立つはずです。
裏スヴァネティ山村街道では観光よりも何よりも、各ゲストハウスでその土地の暮らしを体験することこそがハイライト。
日帰りで訪問する意味はゼロなので、数日間の日程を確保したプランでの訪問を強くおすすめします!
裏スヴァネティ山村街道マップ
緑線:エツェリ~ファリ間ハイキングコース
紫:ゲストハウス
茶色:SPAR(チェーンのコンビニ)
黄色:マルシュルートカ途中乗下車ポイント
エツェリ集落

メスティアからおよそ20kmほど。
幹線道路から北に広がる丘陵地帯に点在する集落の総称がエツェリ村(Etseri / ეწერი)です。
エツェリは、南北3kmほどの広い土地を占めており、最も低い地点と最も高い地点の標高差は300mほどとかなりのもの。
標高が高い集落へ行けば行くほどに、周囲の山々の風景がよりダイナミックに見えます。


エツェリ村で最も多くの人口を有するのは、学校がある中心部からやや上に位置するチェリリ(Cheliri)という集落。
チェリリには数十の民家が寄り添うように建ち並び、村で唯一完璧な状態で残る「復讐の塔」がシンボルです。

ジョージアの山岳部地域ではどこでも見られる見張り塔。
ジョージア語でコシュキ(koshki / კოშკი)と呼ばれ、そのほとんどはコーカサスの山を越えて侵入してくる異民族から、自分たちの村や家族を守るために建設されたもので、敵の侵入を見張ることができる高台などに位置しているのが普通です。

しかしながら、スヴァネティ地方では高台以外にも、一般の民家に見張り塔が併設されているのが独特。

ここには、15世紀~19世紀にかけてどこの国にも属さず、村ごとに自治が行われていたスヴァネティ地方独自の事情が関係しています。
村の掟を破る者や、他の村人を侮辱したり暴力をふるう者には「血の復讐」と呼ばれる制裁がなされ、本人はもちろんその家族も復讐の対象とされました。
(日本の村八分のエクストリームバージョンだと思ってください)
一応、「血の復讐」は村の偉い人の決定により行われるというルールがあったのですが、しばしばそのルールは破られ、個人的な怨恨などで復讐が実行されることも多かったそうです。
「何がきっかけで他の村人に復讐されるかわからない」という恐怖は、人々に見張りと防衛を兼ねた塔を自宅に作らせ、数か月間塔の内部で籠城生活を送ることを可能にしたのです。
現在ではその風習は廃れ(たとされてはいます)、人々は塔の外の自宅で生活を送るようになりました。
これらの塔はいつしか「血の復讐の塔」と呼ばれるようになり、スヴァネティ地方独自の風習や歴史を現在に伝え続けています。
チェリリ集落は、だだっ広い土地に民家がバラバラに点在するエツェリ村の中で唯一、石造りの伝統的な民家が密集しているのが特徴的。
集落内の風景はまさに「中世のスヴァネティ地方の山村」といった感じで、石壁が連なる小道を家畜たちが自由に歩き回る姿には、まるでタイムスリップしたかのような感覚を覚えます。


チェリリ集落以外にも、伝統的な石造りの民家が並ぶ小さな集落はたくさん。
アップダウンがややあるので全部まわるのはなかなかに骨が折れますが、お気に入りの風景を探しながらのんびりと散策しましょう。

エツェリ村を東西から挟むように連なる小高い山まで行くと、村の全景を望むことができます。
観光客の姿は全くなく、目の前に広がるのは手つかずのスヴァネティ地方の山村らしい素朴な風景。
薪を割る音や家畜の鳴き声など、生活音だけが山々に響き渡ります。


エツェリ村には特に「必見の見どころ」のようなものがあるわけではなく、丘陵地帯に点在する各集落を気の向くままに散策するのが◎
周囲のコーカサスの山々のダイナミックな姿も含め、絵になる風景がたくさん見られるでしょう。
エツェリの宿情報
エツェリ村の各集落にはいくつかのゲストハウスがあり、ハイキング目的の旅行者や村でのんびりと過ごしたい旅行者の滞在拠点として機能しています。
のぶよが宿泊したのは、エツェリ村の中でも最も標高が高い場所に位置するゲストハウス。
立地はお世辞にも便利とは言えませんが、この宿がとにかく良宿でした。▼
【Gujejiani Guesthouse】

オーナー家族が住む民家がそのまま宿になっており、エツェリ村での日常生活にどっぷりと溶け込んだ滞在ができるのが◎
お洒落ゲストハウスやブティックホテルのような快適な滞在とはいきませんが、「お見せする用ではない本物のホスピタリティー」に触れたい人には心からおすすめです。


Gujejiani Guesthouseはとにかく宿の家族がみんな良い人で、ジョージア山岳地域のリアルな生活にお邪魔させてくれます。
設備面などを考えると万人向けではありませんが、「本物のジョージア地方部体験」がしたい人には心からおすすめ。
正直、この宿に泊まるためだけにでもエツェリ村を訪問する価値があると思います。
・部屋タイプ:トリプルルーム一人利用 ※シャワー&トイレ共用
・料金:30GEL(=¥1500)
・食事オプション:朝食20GEL(=¥1000)/夕食20GEL(=¥1000)
・立地:3/10

この宿最大のネックとなるのが立地。
エツェリ村で最も高い場所にぽつりと位置しており、商店などがある幹線道路沿いとの標高差は300mほどあります。
ちょっとした買い物のためにもかなりの坂を上り下りすることになり、お世辞にも便利とは言えません。
しかし、エツェリ~マゼリ間のトレッキングに挑戦する人にとっては、トレッキングコースの起点に位置しているため便利です。
・アクセス:10/10
他の民家からやや離れた場所にぽつりと建っていますが、建物には看板が出ているので分かりやすいです。
常に宿の家族がいるので、スムーズにチェックイン可能です。
・スタッフ:10/10

40代の夫婦と85歳のおばあさんが三人で暮らす民家の二階部分が旅行者向けの部屋となっています。
この宿の家族がとにかく温かく、英語は全く通じないものの人柄の良さは伝わってくるはず。
旅行者を精一杯もてなそうとする気持ちがひしひしと感じられます。
奥さんは寡黙な感じながら、ことあるごとに色々と食べさせてくれたりと気にかけてくれるタイプ。
お喋り好きのおじさんは旅行者が来るのが嬉しいようで、ワインを一緒に飲んだりと楽しい時間が過ごせます。
宿の一階部分は家族の生活スペースとなっているのですが、旅行者でも自由に立ち入って寛げるのも◎
宿の家族と宿泊客の空間が曖昧な宿というのは、一昔前のジョージア地方部ではよくあるスタイルでしたが、昨今は急速に消えつつあるのでかなり貴重です。
・清潔さ:9/10

建物自体は古いものの、部屋や共用スペースなどかなり清潔に保たれています。
シャワー&トイレは宿泊客専用のものが一ヶ所。
宿の人の私物があり少しごちゃっとしてはいるものの、掃除はしっかりとされています。
その他、客室や共用リビングなども清潔に保たれています。
・設備:7/10

リノベーションされたお洒落ゲストハウスなどと比べると、設備面はどうしても見劣りしてしまいます。
しかし、お湯はちゃんと熱々のものが出ますし、寒い時期には電気ヒーターも提供してくれるので、特に不便なく滞在できました。
・ベッド&部屋:9/10

部屋は広々としており、大きな窓からはエツェリ村全体を眺めることができます。
ベッドは古いものの快適で、まくらの硬さも問題なし。
部屋の設備は最低限といった感じですが、ずっと部屋にいるわけではないので特に気になりません。
・Wi-Fi:0/10
この宿にはインターネットがありません。
とはいえスマートフォンの電波は問題なく届きますし、SIMカード利用者であればさほど不便はないはず。
反対に、PC作業などしたい人には向かないかもしれません。
・雰囲気:10/10

何度か触れた通り、この宿の魅力はオーナー家族の人柄とホスピタリティー、そしてジョージア山間部の日常にお邪魔できることにあります。
観光客用にお見せするための「地方部の生活疑似体験」ではなく、宿の家族が毎日過ごしている日常をそのままに味わうことができるというわけで、とても貴重な体験です。

自然に囲まれた宿の雰囲気自体ものんびりしていて素敵ですし、「ペチ」と呼ばれる薪ストーブを中心に回る生活の様子にはスヴァネティ地方ならではの文化も感じられます。
ジョージアの田舎の生活そのままを味わいたい!という人には、これ以上なくぴったりの雰囲気です。
・食事:8/10

オプションでつけられる食事はいずれも20GELで、現在のジョージアの物価を考えるとかなり良心的。
食事の内容は、宿の家族が食べるものと同じものを食べるといった感じで、飾り気や豪華さとは無縁なものの、リアルな山村の食卓が体験できます。
夏場以外のこの地域は野菜の入手が困難であるため、食事メニューは家畜由来の肉や乳製品をメインにしたもの。
どれも一から手作りされており、スヴァネティ地方らしい食文化が存分に感じられます。
・総合:7.3/10
インターネットがないことと立地にやや難ありなことから、点数的にはやや微妙に見えますが、それ以外の部分がとにかく素晴らしい良宿です。
居心地の良さも、自然いっぱいな雰囲気も、宿の家族の感じもとにかく素敵。
ピュアな山村暮らしにどっぷり浸りたい人には、心からおすすめしたいです。
エツェリ~ファリ間ハイキングコース

エツェリ~ファリの二つの村間の移動は、基本的に徒歩。
幹線道路沿いに歩くのも良いですが、より距離が短いハイキングコースを歩くのがおすすめです。
・距離:3.4km
・所要時間:1時間半
・高低差:▲92m ▼230m
・難易度:★☆☆☆☆
▲このようにとても簡単なコースで、エツェリ→ファリ方向はほとんど下り坂なので楽。
反対にファリ→エツェリ方向はやや登り坂が多くなり、2時間ほどかかると考えておきましょう。


エツェリ村を出て未舗装の道をしばらく行くと、道は完全なる山道に。
標識やマーキングはないので、地図アプリ等を頼りに歩きましょう。
エツェリとファリを隔てる川には木製の橋が架かっており、素足で渡る必要はないので安心です。

橋を越えると少し登り坂となり、登りきったあたりからは周辺の山々の絶景が。
ファリ集落も遠くに望むことができ、美しい風景に感動します。


ファリ村の手前からは再び未舗装の道路を歩くことになり、ここまで来ればもうゴールはすぐそこ。
ファリを正面に緩やかな下り坂が続いていきます。

こんな感じで、ゆっくり歩いても1時間半ほどのミニハイキング。
難易度はかなり低く初心者向きのコースですが、途中でみられる風景のダイナミックさはかなりのものです。
ファリ集落

エツェリから山を越えた西側の丘陵地帯にあるのが、ファリ(Phari / ფარი)という村。
同名のファリ集落を中心として、周辺には小さな集落が点在しています。


ファリ集落は民家が数十軒建ち並ぶだけの小さなものですが、村としての機能はちゃんと有しているのが特徴的。
家畜が村の道を自由に歩き回る風景は、典型的なジョージア地方部の山村そのものです。

ファリの人口は数十人しかないそうで、朽ちてゆくのを待つだけの空き家もたくさん。
どれもスヴァネティ地方らしい伝統的な石造りの民家で、放置されているのがもったいなく思えます。
スヴァネティ地方の小さな集落はどこも人口の流出が問題となっていますが、人口減はここファリでもかなり深刻なようです。


ファリの集落は端から端まで歩いても10分ほどの規模。
集落の散策を終えたら、周辺に点在するさらに小さな集落を徒歩でまわるのも良いでしょう。
ファリ~周辺の集落間には未舗装の道が敷かれており、気ままに散策を楽しむことができます。

ファリ集落から少し離れると民家はまばらになり、コーカサスの山々に抱かれるような丘陵地帯の絶景が360°広がります。
丘陵地帯には人口数人しかない小さな集落がいくつか点在しており、どれも圧倒的な秘境感。
中には一家族しか残っていないような超限界集落も多く、人が住まなくなって廃集落となつてしまうのも時間の問題なのかもしれません。


ファリ周辺の集落にはスヴァネティ地方らしい「復讐の塔」はほとんど残っていませんが、ジョージア山間部らしい素朴な美しさを放つ風景はたくさん。
小さな集落をいくつか巡りながら、自分だけの絶景を探しましょう。
ファリの宿情報
ファリは民家が十数軒点在するだけの小さな集落ですが、民家のうち三軒ほどはゲストハウスとして営業しています。
のぶよが宿泊したのは、そのうちオフシーズンでも営業していた以下の宿。
総合的にかなり素晴らしい宿で、数泊のんびりと滞在したくなるような魅力に溢れています。
【Melen Guesthouse】

・部屋タイプ:ツインルーム一人利用 ※シャワー&トイレ共用
・料金:42GEL(=¥2100) ※朝食付き
・食事オプション:夕食40GEL(=¥2000)
・立地:9/10
ファリ集落で最も低い場所にあるゲストハウスで、他の民家とは少しはなれた場所にぽつりとあります。
そのため、遮るもののない開放的な眺めが敷地内どこからでも見られるのが◎
宿までの道は未舗装の土の道であるため、雨が降った後数日はどろどろ状態になるのが少しマイナスかもしれません。
・アクセス:8/10
宿には看板は出ておらず、見つけるのにやや苦労するかも。村人に場所を訪ねる際は宿名の「メレン」ではなく、ジョージア語風に「メレニ・ゲストハウス」と言わないと伝わりません。
宿には基本的にオーナー家族がいるので、場所さえ見つければ簡単にチェックインが可能です。
・スタッフ:9/10
宿のたいていのことはお母さんが一人でやっており、お父さんと息子はノータッチといった感じ。
お母さんは少し英語が話せ、とても朗らかな感じなのでコミュニケーションがとりやすいです。
お父さんには英語は通じないものの、こちらものんびりした感じの人柄。息子はやや無愛想でぶすっとしています。
そこまでオーナー家族とがっつり絡むような宿ではありませんが、全体的に気持ちの良い対応をしてくれます。
・清潔さ:7/10
良くも悪くも「ジョージア地方部のゲストハウス」といった感じ。
一階が家族のスペース、二階が宿泊客用スペースとなっていますが、全体的にかなり生活感が感じられます。

部屋や共用ダイニングなどは綺麗に掃除されていますが、私物が多くややごちゃごちゃした印象を持つかも。
バスルームも清潔にされていて、お湯の出や温度も問題ありません。
・設備:9/10

ゲストハウスとして改装してからまだ数年しか経っていないようで、全体的に設備はしっかりしています。
共用ダイニング兼キッチンは宿泊客が自由に使用することができ、お湯を沸かしたり気兼ねなくできるのが◎
コーヒーや紅茶を自由に飲める点も嬉しいです。

また、冬場は各部屋に専用のヒーターを用意してくれるのが素晴らしい点。
スヴァネティ地方の安いゲストハウスでは暖房設備が薪ストーブのみであることが多く、ストーブが設置されている居間スペース以外は極寒になるのが普通なので、ヒーター貸出はかなり嬉しいです。
・ベッド:10/10

ベッドはもう快適のひとこと。
柔らかさもちょうど良く、枕の感じも良かったです。
・Wi-Fi:9/10
敷地内どこでも問題なく接続可能です。
速度に関しても問題ないので、作業などしたい場合でもストレスなくできるでしょう。
・雰囲気:10/10
この宿で最大の魅力と言えるのが、宿の敷地内からの絶景。
パリ村を取り囲む山々の美しい風景が一望でき、開放的な雰囲気に心から癒されます。


また、宿では人懐っこい犬が二匹と猫が二匹飼われており、動物好きには天国。
庭のハンモックでのんびり過ごしたり、共用ダイニングのソファーでくつろいだりと、素敵な山時間が過ごせます。
・食事:7/10

宿代に込みの朝食も、オプションの夕食も、とにかく素晴らしいのひとこと。
品数も量もものすごいことになっており、物資の限られた山岳地域とは思えないほどに豪華です。

味つけも濃すぎず、自家製の素材をメインに使用した料理の数々はどれも絶品ばかり。
欲を言うなら、夕食40GELはジョージアの中でも最高値レベルなので、もう少し価格を安くして量を減らしてくれても良いかなあと感じました。
・総合:8.9/10
ファリ村でのんびり過ごしたいなら、こ以上の宿はない!と断言できるほどの良宿です。
観光地エリアの宿ではないのに、設備などがかなりしっかりしているのが嬉しい点。
ヒーターがあるため、夜間でもオフシーズンでもぬくぬくと過ごせる点がとにかくポイント高いです。
観光目的というよりも、数日間のんびりと過ごす拠点として適した宿だと思います。
裏スヴァネティ山村街道のアクセス・行き方

今回特集したエツェリやファリには、公共交通機関は一切走っていません。
そのため、スヴァネティ地方の滞在拠点となるメスティアからタクシーを利用するのが最も簡単なアクセス方法となります。
個人で移動したい場合は、ジョージア各都市→メスティア方面へと走るマルシュルートカ(乗り合いミニバス)をエツェリ/ファリで途中下車することも可能。
もしくは、メスティアから徒歩でアクセスすることもできます。
①メスティアからタクシー
最もシンプルなのが、メスティアからタクシーを利用すること。
スヴァネティ地方ではタクシー料金の相場はだいたい決まっており、メスティア~エツェリ/ファリまでは以下の通りです。
・メスティア~エツェリ片道:30GEL(=¥1500)
・メスティア~ファリ片道:40GEL(=¥2000)
・メスティア~エツェリ~ファリ周遊半日チャーター:60GEL~80GEL(=¥3000~¥4000)
注意したい点が、メスティアの客待ちタクシーの中には悪徳ドライバーも少なくない点。
スヴァネティ地方(というかジョージア全体)ではタクシーはメーター制ではなく乗車前の言い値が基本となるのですが、こちらが外国人観光客だとかなりふっかけてくる人も存在します。
乗車前に同意した料金以上を後から請求してくるといったケースは稀ではあるものの、昨今の急激な観光地化によってそんな状況も変わりつつあるのが現状。
タクシーで移動する場合は、とにかくしっかりと交渉した上での利用が絶対です。
②ジョージア各都市からのマルシュルートカを途中下車

個人で公共交通手段を利用してエツェリやファリにアクセスする場合は、ジョージア各都市~メスティア間を結ぶマルシュルートカを途中下車することも可能。
エツェリもファリも、メスティアまでの幹線道路沿いに位置しており、どのマルシュルートカ便も必ず通過するため、あらかじめドライバーに降りる場所を伝えておけばOKです。
ジョージア各都市~メスティア間のマルシュルートカ情報は以下の通り。
ファリやエツェリで途中下車する場合でも料金は変わりません。▼
・トビリシ~メスティア:1日1~2便|所要9~10時間|料金55GEL(=¥2750)
・クタイシ~メスティア:1日1便|所要5~6時間|料金40GEL(=¥2000)
・バトゥミ~メスティア:1日1便|所要7~8時間|料金50GEL(=¥2500)
・ズグディディ~メスティア:1日2~3便|所要4時間|料金30GEL(=¥1500)
もちろんメスティア→各都市方面へのマルシュルートカを途中下車してのアクセスも可能ですが、その場合でも料金はフル区間分を支払わなければいけないのがネック。
距離の短さを考えると、フル区間分の運賃はかなり割高で悔しいので、できれば各都市→メスティア方面への移動がてらエツェリ/ファリに立ち寄るプランがおすすめです。
③メスティアから徒歩(裏スヴァネティ絶景街道経由)

エツェリ~メスティア間は25kmほど、ファリ~メスティア間は30kmほどの距離なので、体力と時間があるなら徒歩で移動することも可能。
幹線道路沿いをひたすら歩いていくだけのコースが基本となり、道中は「裏スヴァネティ絶景街道」という小さな集落が点在するエリアとなります。


裏スヴァネティ絶景街道を経由しながら幹線道路沿いを歩く場合は、メスティアの方がエツェリやファリよりも少し標高が高いものの、傾斜はそれほど気にならないレベル。
とても緩やかな道のりで風景も美しいので、楽しみながら歩くことができます。
メスティア~エツェリ/ファリ間は頑張れば一日で歩ききることも可能ですが、距離的にやや長いためかなり疲れるはず。
途中の裏スヴァネティ絶景街道沿いの各村にはゲストハウスが点在しているので、どこかで一泊して観光しながら歩くのがおすすめです。
④マゼリからトレッキング

メスティア方面から徒歩でエツェリやファリまでアクセスする場合、上記の裏スヴァネティ絶景街道からマゼリというドルラ渓谷最奥部の村を経由することも可能。
マゼリ~エツェリ間にはトレッキングコースが敷かれており、片道5時間~6時間ほどで歩くことができます。
・距離:12.1km
・所要時間:5時間~6時間
・高低差:▲844m ▼892m
・難易度:★★★★☆


このコースは標高2400m越えのバク峠を越えるものであるため、難易度は中級~上級レベル。
特別な装備などは必要ありませんが、道がかなり分かりにくかったり急勾配も多いので、挑戦する場合は地図アプリ等をしっかりと確認しながら歩きましょう。
また、このコースで峠越えができるのは例年5月~11月に限られる点に注意。
のぶよが挑戦した11月2週目にはすでにバク峠付近には少し雪が積もっており、ギリギリ通行できる感じでした。


個人的には、数日間の日程でメスティア~裏スヴァネティ絶景街道~マゼリ~エツェリ~ファリとハイキングしながら移動するのがベスト。
観光客で溢れ返るメスティアやウシュグリなど定番どころとは全く異なる、ピュアなスヴァネティの山村の魅力を存分に感じられるはずです。
おわりに
エツェリ村とファリ村を中心とした「裏スヴァネティ山村街道」のアレコレを解説しました。
正直、これを読んで「山村街道に行ってみよう!」となる人はいるのでしょうか…(いなそう)
日本人旅行者はどうしても限られた日程に定番どころの訪問をあれこれ詰め込みまくって上辺だけをなぞって去っていってしまう人が多いので、なかなかこうしたマイナーな地域に腰を据えて滞在する人というのは多くないのが現状だと思います。
エツェリ村もファリ村も、観光的な魅力ではメスティアやウシュグリなどには敵いません。
しかし、「滞在」という意味ではかなり素敵な時間が過ごせると思いますし、観光地化とは無縁の本来のスヴァネティ地方の良さを感じたい人には心からおすすめしたいです。
今回紹介した「裏スヴァネティ山村街道」があるスヴァネティ地方西部の周エリアには、マゼリや裏スヴァネティ絶景街道など他にも知られざる極上の村が多く点在しているのがポイント。
メスティアやウシュグリなど観光客に人気のスヴァネティ地方東部とは大きく異なる、手付かずのスヴァネティ地方らしさを感じたいなら、これ以上のエリアは他にありません。
















































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