こんにちは!ジョージア西部をのんびり旅している、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
多くの観光客は素通りしてしまうサメグレロ地方に滞在しているのですが、どうして有名にならないのかわからないほど、多くの見どころが点在しています。
(まあ絶妙なB級感が漂うスポットが多いので仕方ないかもしれませんが)
そのうちの一つが、今回紹介するエングリ・ダム(Enguri Dam / ენგურის კაშხალი)。
存在感抜群の無機質な外観のダムは、1978年のソ連時代に建設されたもの。
アーチ式のコンクリートの壁は271.5mもの高さがあり、当時は世界で二番目の高さのダムとして知られていました。
エングリ・ダムの高い壁の向こうには、コバルトブルーに輝くダム湖の絶景が一面に広がります。
今回の記事では、ダム好きにはたまらない絶景が見られるエングリ・ダムの観光情報を解説するもの。
個人でアクセスしようとする人にはかなり役立つ内容となっています。
日本でも黒部ダムなどが観光地として成功を収めたように、ジョージア政府もエングリ・ダムをキラキラした観光地にしようと躍起になっています。
しかし、実際は……?
エングリ・ダムへのアクセス・行き方(ズグディディ発 / ジュワリ発)
エングリ・ダムが位置するのは、ジョージア北西部のサメグレロ地方の北部。
未承認国家のアブハジア共和国との「国境」にほど近い場所ですが、危険は全くなく移動&立ち入りも自由なのでご安心を。
エングリ・ダム観光の拠点となる2つの町と、ダムまでのアクセス方法は以下の通りです。
・ズグディディ(サメグレロ地方最大都市):タクシー
・ジュワリ(エングリ・ダム最寄りの町):タクシー /徒歩
タクシー(ズグディディ発 / ジュワリ発)
最も簡単にアクセスできる方法が、エングリ・ダムの展望台までタクシーでアクセスすること。
料金は交渉によって大きく変わると思いますが、目安としては以下の通りです。
往復の料金目安/1台 | 所要時間 | |
ズグディディ発往復 | 80GEL (=¥2521) | 往復1時間半 + 観光時間 |
ジュワリ発往復 | 50GEL (=¥1575) | 往復40分 + 観光時間 |
効率良く快適に観光したい場合は、ズグディディからの往復タクシー利用が◎
少しでも節約したい場合は、ズグディディ~ジュワリ間をマルシュルートカ(乗り合いのミニバス)で移動することも可能です。
ズグディディ~ジュワリ間のマルシュルートカ(ミニバス)
ズグディディから往復タクシー利用を避ける場合は、まずは拠点となるジュワリ(Jvari / ჯვარი)へと移動しなければなりません。
ズグディディの中心街西側のロータリー付近から、ジュワリ行きのマルシュルートカが30分に1本の頻度で出発してます。
ズグディディは大きな町ながら、周辺の地域への交通手段が整備されているわけではなく、旅行者泣かせのカオスな町。
・「バスステーション」と呼ばれる場所が6つ(のぶよ調べ。おそらくまだありそう)
・地元の人でさえもどの行き先の便がどこから出発するのか把握していない
・どのマルシュルートカの行き先表示もジョージア語表記のみ
・ジョージア語かロシア語しか通じない
というわけで、個人でのズグディディ発着の移動の難易度はやや高め。
不安な人は往復タクシー利用がベターかもしれません。
ジュワリへマルシュルートカで移動する際に注意したいのが、終点のジュワリ・バスステーションまで行かず、上の写真のロータリーで降りること。
ジュワリ行きのマルシュルートカはこのロータリーで右に曲がり、山の上に位置するジュワリの集落へと向かうため、エングリ・ダムがある北方面へは行かないのです。
終点のバスステーションまで行ってしまうと、2kmほど余分に歩くことになってしまいます。
ジュワリのロータリー付近にはスーパーマーケットやちょっとした食堂もあるので、ここで食事をとっておくか、軽食などを購入することができます。
タクシー利用の場合は、ロータリー付近にたむろしているドライバーと交渉して利用。
徒歩の場合は、ここから往復3時間半ほどの軽いハイキングとなります。
エングリ・ダムへの徒歩ルート解説
タクシーなんて利用しない主義ののぶよは、もちろんジュワリのロータリーから自分の足でエングリ・ダムまで向かうことにしました。
高低差も激しくなく、「トレッキング」と呼ぶにはおこがましいくらいの易しいコースなので、体力さえあれば誰でも歩けます。
ジュワリ~エングリ・ダム間徒歩コース詳細
・所要時間:片道6.9km
・距離:片道2時間
・高低差:▲300m
コース前半は幹線道路沿いを歩き、途中のコルヘティの塔付近の分岐で別の舗装道路を歩いていきます。
展望台へと登る最後の1kmほどの区間だけ山道となりますが、それ以外は全て舗装道路なのでかなり歩きやすく、特別な装備も必要ありません。
エングリダムまで幹線道路沿いに歩く別ルート
実は、コルヘティの塔付近で分岐せずに、延々と幹線道路を歩いて行くコースもあります。
こちらは山道は一切なく、緩やかな坂がずっと続くので体力的により楽なのですが、
・コルヘティの塔を過ぎた後の幹線道路は見通しが良いため、かなりスピードを出す車が多い
・歩道はガードレールは一切ない
・下からエングリ・ダムを眺めるポイントには行けない
などの理由から、のぶよ的にはあまりおすすめしません。
ジュワリ~塔
ジュワリのロータリー付近でマルシュルートカを降りたら、北方向にのびる幹線道路に沿って歩いて行きます。
この幹線道路は、スヴァネティ地方のメスティアまで続くもの。
交通量も意外と多いので、できる限り端を歩くようにしましょう。
緩やかな上り坂となっている幹線道路を1.5kmほど歩くと、左手に古い塔が見えてきます。
こちらが、コルヘティの塔と呼ばれるもの。
コルヘティ(Kolkheti / კოლხეთი)とは、現在のジョージア西部にあった古代の王国の別称のことですが、この塔自体は中世に建てられたものです。
スヴァネティ地方のどこの村にでもある「復讐の塔」と同じ造りですが、スヴァネティ地方では他の村人による復讐から家族を守る目的で塔が建てられています。
一方のコルヘティの塔は、外敵の侵入に備えて建設されたもの。
見晴らしの良い高台に建っていることからも、かつてこの場所が重要な防衛拠点であったことが想像できますね。
コルヘティの塔~エングリ・ダム正面
コルヘティの塔付近で、道は二つに分岐します。
・右の道:メスティア方面へ続く幹線道路
・左の道:エングリ・ダムの正面下部へ至る道路
どちらを通っても、ゴール地点である展望台にはアクセス可能なのですが、幹線道路沿いは交通量が多い&ダムを正面から眺められないので、のぶよ的には左側の道を行くことをおすすめします。
左側の道はほとんど車が通らないのですが、舗装はされていて歩きやすいです。
ダムの正面までは、緩やかな下り坂が4km少々続きます。
コルヘティの塔から歩くこと1時間弱で、エングリ・ダムのアーチ型のコンクリート壁を一望するポイントに到着です。
ダム正面~展望台
ダムの正面付近は、放棄されたような退廃的な雰囲気。
何かの工事をしている(水力発電?)様子が見られましたが、人の姿はほとんどありませんでした。
このポイントからゴールとなる展望台までは、山道を登っていく必要があります。
ダムの正面ギリギリのところまで舗装道路は続いていくのですが、一か所だけ山道へと分岐するポイントがあり、そこから上りが始まります。
この山道はトレッキングコースとして整備されているわけではありませんが、人の進入は自由だそう。
草はぼうぼうですが、一本道なので迷うことはありません。
トゲのある植物もかなり多かったので、長ズボン着用がベターだと思います。
山道を1kmほど登ると、上の写真のレストランに出ます。
ここからダムの展望台までは平坦な舗装道路となっており、ゴールは目と鼻の先です。
エングリ・ダムのコバルトブルーの世界!…はキラキラ感がすごかった
ゴールとなるエングリ・ダムの展望台は、コバルトブルーに輝く湖面が眼下に広がる絶景が望める場所。
無機質なコンクリートのアーチと、どこか毒々しささえ感じる水の色のコントラストは、マニアにはたまらない風景かも。
展望台から先へはまだ道が続いていて、湖面近くまで歩いて行くこともできそうなのですが、ここから先の一般人の立ち入りは禁止されています。
夏場なら、ダム湖を走る遊覧船ツアーが催行されており、その利用客は立ち入りできるということです。
のぶよ的には、「人工のダム湖でボートに乗ってもなあ…」という感じなのですが、せっかくここまで来たなら挑戦してみるのも良いかもしれませんね。
展望台付近から眺められるのは、エングリ・ダムの風景だけではありません。
反対側(南側)には、ダムから流れ出した川が作る谷間の素晴らしいパノラマが広がります。
ボートツアーに参加しない場合は、展望台から風景を眺めるだけなので、正直物足りなさを感じてしまうかもしれません。
しかし、面白いのはここから。
キラキラしたものが大好きなジョージア国は、この絶妙なB級スポット感漂うエングリ・ダムを観光地として売り出そうとしているそうで、展望台にはその未来予想図が展示されています。
それがなかなかのトンデモでした(笑)
ダムの正面下部(現在は退廃的な雰囲気の工事現場)で、「ダム・フェスティバル」を開催する計画や…
ケーブルカーを敷いてダム下部と展望台間の行き来を簡単にしたり、果てはダム・バンジーなるものまで構想も…。
いずれもコバルトブルーのダム湖を活かしたものではなく、無機質なコンクリート壁側で行うこと
が想定されているようです。
2020年現在のエングリ・ダム周辺の様子を見ると、どれもこれも夢のまた夢にしか思えません(笑)
そもそもアクセスが絶望的に不便であるのと、どの未来予想図も「別にダムでやる必要はないのでは?」という微妙な発想のものばかりなので、おそらく実現することはないと思います。
のぶよ的には、このそこはかとないB級感に心惹かれる一部のマニアックな旅行者がやって来て、たまにボートツアーが催行される、という現在のエングリ・ダムの感じが嫌いではありません(笑)
まわりに旅行者の姿はほとんどなく、人間が作り出した広大な風景を独り占めすることができました。
おわりに
「ジョージアの必見観光スポット!」とまでは到底言えませんが、定番スポットを制覇した旅行者におすすめなエングリ・ダム。
のぶよはどこまでも歩いて行く人なので、往復ともに徒歩での移動でしたが、タクシー等を利用すれば短い時間でも簡単にアクセス可能なのも魅力的です。
エングリ・ダム観光の拠点となるジュワリの町周辺には、インツラの滝という美しい自然スポットもあるので、セットでまわるのもおすすめですよ!
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