こんにちは!「トルコの京都」・ブルサ滞在を満喫している、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
トルコに来たら絶対に見学したいセマー儀式。
日本では「回転の舞」の名で知られ、白装束に身を包んだ男性たちが一心不乱に回り続けるミステリアスなものです。
以前、セマー儀式発祥の地であるコンヤを訪れた際にセマー儀式を見学しようと思っていたのですが、残念なことに現在は予約制&有料となってしまったため諦めました。
イスタンブールやカッパドキアなどでは観光客向けのセマー儀式が開催されているものの、もちろんお金がかかります。
無料で見られるものにお金を払うのは悔しいのぶよ。
周りの見学者がみんな観光客というのも気が引けます。
半ば諦めながらも色々リサーチしていたら、見つけてしまいました。
トルコ第四の町・ブルサ(Bursa)では、セマー儀式が無料で、しかも毎晩開かれているのです。
というわけで、今回の記事では無料で見学可能なブルサのセマー儀式に参加した様子をお伝えします。
正直、これを見るためにイスタンブールから足をのばす価値があると言えるほど、大満足の体験となりました。
ブルサで無料セマー儀式が見学できる場所・開始時間
ブルサでセマー儀式が開催されているのは1ヶ所だけ。
カラバシュ・ヴェリ・デルガフ(Karabaş-ı Veli Dergahı Kültür Merkezi)という、カルチャーセンターが会場となります。
ブルサ中心街の南側600mほどの丘の上の住宅街・イブラヒムパシャ地区にあり、中心街から徒歩で簡単にアクセス可能です。
セマー儀式は毎晩21:00〜開催われており、料金は完全に無料。
事前の予約なども必要ありません。
季節によってセマー儀式の開始時間は変更となる場合があるので、現地到着後の確認をお忘れなく。
セマー儀式開始前にしたいこと
セマー儀式参加の際は、30分ほど前に到着しておくのが理想的。
良い席がとれるのはもちろん、儀式が開催されるセマハネ内の独特で伝統的な雰囲気を心ゆくまで楽しむことができるためです。
伝統的なセマハネ内部を見学
セマー儀式が行われるセマハネ(Semahane)はかなり小規模で、公民館のホールのようなサイズです。
のぶよが見学したブルサのセマハネは、500年前の伝統的な建物がカルチャーセンターに改装された場所。
もともとはセマー儀式参加者の宿舎であったため、セマー儀式が開催されるホール以外にも、かつての宿舎棟がそのまま残されています。
セマー儀式で使われる楽器や、踊り手の衣装なども展示されていました。
薄暗い明りに包まれたホールに入ると、思わず声を出さずにはいられません。
内装は木造。
温かな照明に照らされたえんじ色の絨毯が敷かれた空間は、イメージしていたセマー儀式の場そのものです。
アラビア語の装飾も至る所にされています。
まるで別世界に迷い込んでしまったかのような感覚になるとともに、これから始まるセマー儀式への期待が高まります。
無料(&無限)チャイを楽しむ
ローカルのセマー儀式参加時の楽しみの一つが、温かいチャイ(紅茶)をいただくこと。
ブルサのセマハネでは、なんと無料でチャイが提供されます。
(しかも、何度ももらえる無限チャイ)
儀式自体も無料なのに、いったいどうやって儀式を存続させているのか定かではありませんが、とにかく無料は正義。
後でトイレに行きたくならない程度に、いただいておきましょう。
セマー儀式開始!見学のポイント
セマー儀式開始時間になると、白装束に身を包んだ男たち(メヴラーナ)がセマハネに入場して来ます。
それまでお喋りを続けていた人たちの間に、一気に静寂が広がります。
幻想的な白い衣装
一番先頭の年配のメヴラーナが何やら呪文のようなものを唱えると、音楽隊が演奏を始め、メヴラーナが一人一人くるくると回転しはじめます。
全てのメヴラーナがセマハネ内に入って踊り始めると、まるで夢を見ているような光景に。
ローブのような白装束は、回転に合わせて広がり、観客席からでも風を感じることができるほど。
白く美しい弧を描きながら、一時たりとも止まることなく、メヴラーナたちはただひたすらに回り続けるのです。
↓実際のセマー儀式の様子をtwitterにアップしています。
トルコに根付くイスラム教神秘主義のセマー儀式。
イスタンブールやカッパドキアでは観光客向け(=有料)ですが、未だにセマハネと呼ばれる教徒の宿舎で無料で開催されているものも。
エキゾチックな音楽と旋回の舞が作り出す千夜一夜物語の世界、トルコに来たら絶対に見学すべし!#世界半周 #トルコ pic.twitter.com/ixiJLjeMRw
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中、ケベック、ポルトガル (@taisuke5696) January 10, 2020
瞑ったままの目、腕や足の動きにも注目!
メヴラーナたちは、しばらくはその場でくるくる回っているだけですが、しばらくすると回転しながらセマハネ内を円を描くように回り始めます。
驚いたのが、回転しながらも目は閉じれたままだったこと。
セマー儀式は、ひたすら回転を続けることで一種のトランス状態を作り出し、自身と神を一体化させることを目的としたもの。
ただひたすらに回転するだけの儀式に込められた意味を思い出させます。
注目すべきが、メヴラーナたちの足の動き。
やってみればわかりますが、ただひたすらに回転することは意外に難しいのです。
私たち素人がやると、両足を動かして回転しようとする人がほとんどでしょう。
一方のメヴラーナたちは、軸足は動かさすに、もう片方の足で床を蹴るようにして回転しています。
こうすることで体の重心を保つことができるのかもしれません。
メヴラーナの中にはまだ見習いと思われる小さな男の子や、中学生くらいの子の姿もありました。
彼らの回転はまだまだ未熟で、優雅に回転していると言うよりも、両手を上げてくるくる回っているといった感じ。
きっとこれから経験を積んで、一人前えのメヴラーナになっていくのでしょう。
回転し続けるメヴラーナの両手にも注目してみましょう。
回転を始めてすぐは、両腕を交差させて回っていましたが、しばらくすると両手を天に上げた状態で回転します。
これは、天にいる神(アッラー)に少しでも近づくように、という意味が込められているそうです。
いよいよセマー儀式もフィナーレ&怒涛の「アービン!」攻撃
20分ほどひたすら回り続けるメヴラーナたちですが、いよいよフィニッシュ。
音楽隊の熱量も増し、テンポが上がるにつれて回転の速度も増していきます。
位が高い年配のメヴラーナ(長と呼びます)は、早くなっていく音楽に合わせて首を動かしながら、時々かけ声をかけるだけ。
その表情は恍惚としており、きっとすでに神と一体化しているのかもしれません。
突然音楽が止み、ゆっくりと回転するのをやめるメヴラーナたち。
30分近く回り続けたというのに、よろけることもなく、再び胸に両腕をクロスしたポーズをとって微動だにしません。
(ちびっこメヴラーナも同じ)
すると、メヴラーナの長がなにやら呪文を唱え始めます。
驚いたのが、それまで普通に見学していた観客が一堂に、両手を上に向けて体の前で広げるポーズをとったこと。
イスラム教の祈りのポーズの一つなのですが、のぶよ以外の全員が、まるで示し合わせたかのように真剣に祈りを始めたのにはびっくり。
メヴラーナの長の呪文に合わせて、所々で「アービン!」と全員で唱和するのも驚きで、言葉がわからないのぶよはいったいどのタイミングで「アービン!」を言えば良いのかわからずじまいでした。
↓「アービン!」攻撃の様子もtwitterにアップしています。
セマー儀式で驚いたのが、儀式終了後に教祖(?)の呪文に合わせて、観客全員が「アービン!」と復唱すること。
それまで普通に儀式を鑑賞していた観客がみんな両手を前に出してお祈りのポーズになります。怒涛のアービン攻撃は5分ほど続きました(笑) pic.twitter.com/Xroah3BnaG
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中、ケベック、ポルトガル (@taisuke5696) January 12, 2020
怒涛の「アービン!」攻撃(30回は繰り返された)が終わると同時に、セマー儀式自体も終了となります。
セマー儀式を鑑賞した感想
↑儀式終了後は再び無限チャイタイム
時間にして30分ほどだったセマー儀式。
その内容は、音楽に合わせてメヴラーナたちがひたすら回転を続けるだけという、はたから見たらなんとも不思議な光景かもしれません。
しかしながら、この儀式に込められた意味や歴史を知っていると、単調に見える儀式が違って見えてきます。
のぶよはコンヤにあるメヴラーナ博物館を事前に見学していたので、知識として学んだことが実際の儀式で見られたことに感動しました。
↑コンヤにあるメヴラーナ博物館
ブルサで毎晩行われているセマー儀式は、毎晩同じメヴラーナが参加するわけではないそう。
カルチャーセンターという性格上、プロが踊るというよりも、伝統文化を今に伝えるという感じが強いです。
それでも、初めて見るセマー儀式はとにかく圧巻のひとこと。
メヴラーナの表情や、急に祈り出す観客など、儀式が持つ宗教的な意味合いを肌で感じることができました。
観光客向けのセマー儀式では味わえない臨場感と、人々に根付いた信仰心、神秘的な場の雰囲気など、全てにおいて大満足の体験となりました。
セマー儀式鑑賞時の注意点
現在でこそ宗教色は薄められ、伝統文化という扱いになってはいるものの、セマー儀式はイスラム教神秘主義(スーフィズム)の伝統的な儀式。
現在でもトルコの人々の生活の基盤となっているものでもあるので、私たち観光客はその伝統と文化を尊重しなければなりません。
男女別の鑑賞
セマー儀式はイスラム教神秘主義(スーフィズム)の儀式であるため、男女が同席して鑑賞することはできません。
セマハネは二階建で、中央のホールが吹き抜けになっている構造。
男性は1階、女性は2階と分けられています。
(小さな子供は関係ないらしいです)
観光客向けのセマー儀式ではその限りではないかもしれませんが、ローカルの場に行く際にはご注意を。
女性はスカーフ着用が基本
こちらも宗教上の話になるのですが、セマハネ内では女性はスカーフ着用が基本です。
ローカルのセマハネではスカーフの貸し出し等はないので、必ず持参するようにしましょう。
トイレに行っておく
儀式前に無限チャイをいただけるセマー儀式ですが、開始前に必ずトイレに行っておくことを忘れずに。
儀式中にセマハネ内から退出することも不可能ではありませんが、観客席の通路は一人が通るのでやっとな幅なので、他の人の迷惑となってしまいます。
帰りの夜道に注意
セマー儀式が行われるのは日没後しばらく経ってからと決まっています。
終わる時間も比較的遅めになるので、会場から宿泊先までは夜道を歩くこととなるでしょう。
今回紹介したブルサのカラバシュ・ヴェリ・デルガフ・カルチャーセンターから、最寄りのバス停/トラム停留所があるアタテュルク通り(中心街)までは、住宅街を600mほどの距離。
夜は人通りがほとんどなくかなり暗いので、女性一人だとちょっと怖いかもしれません。
ブルサは夜歩いても全くもって安全な町ですが、不安な場合はスタッフにタクシーを呼んでもらえるように頼むのも一つの方法です。
ブルサでのセマー儀式見学がおすすめの理由
のぶよが見学したセマー儀式は、トルコ第四の都市・ブルサ(Bursa)でのものでした。
「わざわざブルサまで足を伸ばして見るのもなあ…」なんて思わないでください。
ブルサでのセマー儀式見学をおすすめするのには理由があります。
完全無料&毎晩開催されているから
イスタンブールやカッパドキアでもセマー儀式は開催されているものの、完全に観光客向けとなっており、見学にはお金がかかります。
セマー儀式発祥の地・コンヤでも見学可能ですが、1週間に1回(土曜日)のみの開催なのに加えて、のぶよが訪れた2019年より事前予約&見学料が必要になりました。
(噂ではまだ無料のセマー儀式も開催されてはいるそうですが、定かではありません)
一方のブルサのセマー儀式は、完全無料。
しかも、毎晩開催されています。
予約の必要もないので、気軽にセマー儀式を鑑賞することができるのです。
観光化されていないから
ブルサのセマー儀式に来て驚いたのが、観光客が一人もいなかったこと。
完全なるローカルの人々(主にある程度の年齢の人)ばかりで、ご想像の通り英語は全く通じません。
儀式開催前には、子供たちが走り回ってセマー儀式ごっこをしていたり、観客席をまわって変なクリームを手に塗りつけてくるおっさんがいたりと、なかなかにディープな空間でした(笑)
ついでにブルサ観光を楽しめるから
ブルサはイスタンブールより前にオスマン帝国領となった町。
そのため、初期オスマン帝国時代の美しいモスクや当時のスルタンたちの霊廟が点在しているのが特徴です。
それ以前の時代には、シルクロード交易の到着点として栄えたため、ハンと呼ばれる隊商宿が多く作られ、現在でも市場として利用されています。
このように、古都としての雰囲気が残る町を観光できるのもブルサの魅力の一つ。
他にも、温泉地として有名なチケルゲ地区で温泉三昧を楽しんだり、ブルサ発祥のご当地グルメ、イスケンデル・ケバブに挑戦したりと、楽しみ方は無限大です。
有名ではないものの、観光地としてのポテンシャルはかなり高いブルサ。
セマー儀式だけでなく、伝統息づく町の雰囲気を思う存分楽しみましょう。
ネット規制の影響で、Booking.comでの予約ができないトルコ。代わりの宿泊予約サイトではAgodaがおすすめです。
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おわりに
トルコ旅行中に現地の文化に触れたい人には全力でおすすめしたいセマー儀式。
どうせ見るなら、観光化されたものではなく、ローカルなセマー儀式が見られるブルサがおすすめ。
神秘的な雰囲気と一心に回り続ける踊り手の姿は、きっと忘れられないものとなるはずです。
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