こんにちは!ジョージア滞在も2年、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ジョージアを代表するコーカサス山脈エリアの観光地といえば、カズベキ(Kazbegi)。
首都のトビリシからのアクセスが抜群に良いこともあって、多くの旅行者が訪れます。
カズベキには定番とされる見どころがいくつかあり、ほとんどの旅行者はこれらのうちいくつかをサクッと観光して去っていきます。 ▼
しかし、カズベキの魅力は定番スポットだけにあらず。
旅行者にはほとんど知られていない「裏カズベキ」なるエリアが存在し、珠玉の見どころが点在しています。
今回紹介するのは、裏カズベキの中でもトップクラスの見ごたえを誇るアルシャの滝(Arsha waterfall / არშის ჩანჩქერი)。
同名のアルシャ村の西側にそびえる崖を流れ落ちる二つの滝の総称で、それぞれ異なった魅力を放ちます。
地元の人以外にはその存在をほとんど知られていないため、観光客で溢れかえるカズベキ中心部とは正反対の雰囲気。
滝が奏でる轟音と鳥の鳴き声だけが辺りを包み、カズベキ本来のピュアな自然風景が感じられます。
車両が通行できる道路が存在しないアルシャの滝へのアクセス方法は、自分の足で歩くのみ。
とはいえ往復2時間~3時間ほどの道のりなので、そこまでハードなものではありません!
今回の記事は、アルシャの滝のハイキングコースを解説するもの。
滝自体の美しさはもちろんですが、自分の足で歩いた人だけが見られるパノラマも感動もの。
「カズベキの定番スポットはもう制覇した!」という人に、心からおすすめしたい極上のスポットです!
アルシャの滝ハイキングコースの基本情報&注意点
アルシャの滝ハイキングコースマップ
黄色:分岐点
青:見どころ
緑線:ハイキングコース
アルシャの滝ハイキングコース基本情報
アルシャの滝ハイキングコースを全区間歩いた場合の所要時間や距離は以下の通りです。
・所要時間:片道1時間半/往復3時間
・距離:片道2.1km
・高低差:▲▼311m
・難易度:初級~中級(区間によって変わる)
やや難易度が高くなるゴール地点の第二の滝までの区間をスキップして途中で折り返す場合は、合計で1時間半~2時間ほどでも歩けてしまいます。
ハイキング時の注意点・アドバイス
晴れた日が絶対!
ハイキングの基本ではありますが、アルシャの滝へは絶対に晴れた日を狙っていくようにしましょう。
風景がより美しく見えるのも理由ですが、雨が降るとコース上に生えた草が濡れて滑りやすくなり、危険が一気に増すためです。
特に、第一の滝以降は道なき道を進む場面も多いため、雨の日のトレッキングはおすすめしません。
トレッキングシューズ&長ズボン着用がおすすめ!
スタート地点~第一の滝までの区間は、スニーカーでも全く問題なく歩けるレベルです。
いっぽう、その先の区間へと進むならトレッキングシューズを着用していくのがおすすめ。
先述の通り、滑りやすい草の上を歩く場面も多々あるので、スニーカーだと心許ないかなと思います。
また、コース上にはトゲのある植物が自生しているため、半ズボンだと危険。
ハイキングの基本ではありますが、長ズボン着用で挑戦しましょう。
飲料水・食料は持参する
ご想像の通り、アルシャの滝に至るハイキングコース上には商店や飲食店などはいっさい存在しません。
滝の水は飲用可能ですし、途中に湧き水が滴っている箇所もあるので、そこまで大量の飲料水は必要ないと思います。
ハイキングコースの入口にあたるアルシャ村にはレストランがあるので、そちらで食事を済ませるのもアリかなと思います。
ベストシーズン・時間帯
アルシャの滝だけでなくカズベキ全体に言えることなのですが、観光に適したシーズンは限られています。
ハイキング目的なら、夏にあたる6月から9月にかけての4ヶ月間がベストです。
中でも個人的におすすめなのが6月末~7月初旬。
若い緑で覆われた山々に色とりどりの高山植物が咲き誇る、天国さながらの風景が広がるためです。 ▼
アルシャの滝を訪問するのにベストな時間帯は、午前10時~午後1時にかけて。
朝早すぎると、滝からのパノラマが完全に逆光となってしまいますし、午後1時半を過ぎると滝が影に入ってしまうためです。
午前10時~午前11時の間にハイキングをスタートすれば、ちょうど良いタイミングで滝に到着できるでしょう。
区間によって難易度が異なる
アルシャの滝のハイキングコースは3つの区間に分かれており、それぞれ難易度が異なる点に要注意。
・アルシャ村~第一の滝:初級(スニーカーOK / 子連れでもOK)
・第一の滝~第二の滝ビューポイント:初級(スニーカーOK / 子連れは厳しい)
・第二の滝ビューポイント~第二の滝:中級(トレッキングシューズが◎)
子連れや体力に自身がない人は、第一の滝までにしておくのが◎
(まあ子連れでこんな所に行く人などいないだろうけど)
第二の滝ビューポイント~第二の滝までのラストの区間は道なき道を登っていくことになるので、それ相応の覚悟と準備が必要だと思います。
アルシャの滝ハイキングレポート
アルシャ村~第一の滝
アルシャの滝ハイキングの拠点となるのが、トビリシ~カズベキを結ぶ幹線道路沿いにあるアルシャ村(Arsha / არშა)。
上の写真の“Tsanareti(წანარეთი)”というレストラン付近がスタート/ゴール地点となります。【マップ 赤】
レストランからは、幹線道路から西方向にのびる舗装道路を歩いて行きます。
一本道なので、迷うことはありません ▼
初夏の一面の緑と素朴な村の風景に感動しながら歩くこと800mほど。
一つ目の見どころである第一の滝が遠くに見えてきます。 ▼
舗装道路が途切れる場所にあるのが、分岐点。【マップ 黄色】
アルシャの滝を流れ落ちた水が川のようになっており、右岸と左岸のいずれにもハイキングコースらしき道が伸びています ▼
ここで選ぶべきは、滝を正面にして川の左側を登っていくコース。
右側のコースを選んでも第一の滝まではアクセス可能ですが、それ以降の第二の滝までは道がなくなってしまうのでご注意を。
分岐点を過ぎると、それまでの平坦な道のりが嘘のように上り坂が続きます。
▲ 途中には、崩れた崖から流れ落ちた岩が川のようになっている箇所もあるので、足元にはご注意を。
かつてこの地域に住む人はこうした岩を村まで運び、火で炙って四角形に切り取って石壁や家を作ったのだそうです。
麓のアルシャ村をはじめ「裏カズベキ」(カズベキエリア南側)一帯の村の民家には、赤味がかった色の石造りの家が多いのは、このためなのだとか。
上り坂が続くといっても、まだまだ余裕で歩けるレベル。
ハイキングコースも分かりやすく、轟々とした音を立てて流れる第一の滝を目指して歩いていくだけなので、難しいこともありません。
スタートしてからおよそ40分ほどで、アルシャの滝ハイキング一つ目の見どころである第一の滝に到着します。【マップ 青①】
第一の滝は、比較的幅が広く水量もかなりのもの。
周囲には一面の緑が広がり、水しぶきがとても気持ち良いです。
第一の滝~第二の滝ビューポイント
第一の滝を見学し終えたら、滝の左側に続く斜面を登っていきます。
勾配が一気に急になり、道もかなりわかりにくくなるので、ゆっくりと歩いていきましょう。
第一の滝の上まで登ると、ハイキングコースは完全に草に隠れてしまいます。
正面に見える岩山の間に第二の滝が流れ落ちているので、とにかく岩山を目指して真っすぐに進んでいきます ▼
第一の滝を出発してから10分ほどで傾斜は緩やかになり、第二の滝が遠くに見えてきます ▼
このあたり一帯が、第二の滝ビューポイント。【マップ 青②】
切り立った崖の間を流れ落ちる一筋の滝の優雅な姿には感動…!
周囲には人っ子ひとりおらず、遠くに聞こえる滝の轟音と鳥の鳴き声だけが響き渡る世界。
ここまででも大満足間違いなしですが、体力が許すならさらに先へと進み、第二の滝の滝壺を目指していきましょう!
第二の滝ビューポイント~第二の滝
写真を見る限りでは、そのまま川沿いに第二の滝の滝壺まで上っていけそうに思えますが、川沿いはかなりの急斜面で危険。
第二の滝を正面にして、ぐるりと左側に迂回するコース(上の写真左側の崖まで登り、崖沿いに滝を目指す)で歩くようにしましょう。
崖までの道のりはかなり険しく、草をかきわけながら道なき道を一歩一歩踏みしめていくようなコース。
立ち止まって後ろを眺めると、遥か下方にパノラマが広がっていることに気がついて感動するはず!(でも足元への注意は怠らずに!)
第二の滝ビューポイントから険しい道のりをゆっくりと歩くこと20分ほど。
アルシャの滝ラストの見どころである第二の滝に到着です。【マップ 青③】
太陽の光を受けてキラキラと輝く滝は、迫力と繊細さを同時に持ち合わせた美しい姿。
周囲は一面の緑で、切り立った崖の形も独特な雰囲気を演出します。
第二の滝自体もかなりの素晴らしさなのですが、ここからの眺めはとにかく極上のひとこと。
北側に見えるのがクロ山(Mt. Kuro / მთა ყურო)。
ロシアとの国境付近に位置する山で、雪をかぶった山頂がとても美しいです。
クロ山の手前の丘の頂上にあるのは、アルシャ城塞と呼ばれるかつての防衛拠点だった建造物。
古くからコーカサスの山を越えてたびたびやって来る異民族からカズベキ地域を守るための拠点として大きな役割をもっていましたが、現在ではその役割を終えて自然に還ろうとしています。
東側に目を向けると、こちらも残雪が美しいチャウヒ山(Mt. Chaukhi / მთა ჭაუხი)が正面に見えます。
そこに続くスノ・バレー(Sno valley / სნოს ხეობა)や、さらに奥に連なるジュタ・バレー(Juta valley / ჯუთას ხეობა)まで一望するパノラマが広がります。
実際に谷間のひらけた風景を目の当たりにすると、たとえ敵が侵攻してきてもすぐに見つけられたんだろうなあ…と思うはず。
現在でこそ平和でしかない風景が広がりますが、この土地の悠久の歴史にも思いが募っていきます。
誰も知らないカズベキの隠れた名瀑布・アルシャの滝。
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の翻訳してる人 (@nobuyo5696) July 3, 2022
優雅で繊細なフォルム。清々しい轟音と鳥の鳴き声だけが響く青空。ジュタ・バレーやスノ・バレーまで一望するパノラマ。非現実的なまでの緑の世界。
感動の大波に毎日ノックアウトされ続けていて、なんかもうボケそう。 pic.twitter.com/ew6NKksV7i
美しい滝の姿と極上のパノラマを堪能したなら、あとは来た道を下っていくだけ。
登りよりも下りの方がバランスを崩しやすいので、十分注意しながら下界へと帰還してくださいね!
アルシャの滝への行き方・アクセス情報
アルシャの滝ハイキングの拠点となるのが、同名のアルシャ村(Arsha / არშა)。
村の最北端に位置するTsanareti(წანარეთი)というレストラン付近がスタート/ゴール地点となります。【マップ 赤】
ほとんどの旅行者は、5kmほど先に位置するステパンツミンダ(カズベキ中心部)を拠点としてアクセスすることになるでしょうが、カズベキエリア内には公共交通手段がいっさい存在しないのがネック。
カズベキ(ステパンツミンダ)~アルシャ間のアクセス方法は、以下の2通りとなります。
①タクシー
最もスムーズなのは、ステパンツミンダ(カズベキ中心街)からタクシーでのアクセス。
ステパンツミンダ(カズベキ中心街)~アルシャ村の片道/1台で5GEL~10GEL(=¥230~¥460)ほどが相場ですが、外国人にはふっかけてくるドライバーも多い点にご注意を。
アルシャ村では流しのタクシーはつかまえにくいので、できれば往復 + ハイキング時の待機分で3時間ほどチャーターするのがベスト。
その場合は1台30GEL~50GEL(=¥1381~¥2303)と、時季や交渉次第で大きく料金が変わります。
②ヒッチハイク or 徒歩
ステパンツミンダ(カズベキ中心街)~アルシャ村間は5km強しか離れておらず平坦な道のりなので、徒歩でも片道1時間ほど。
体力がある人なら、滝へのトレッキング + カズベキ中心街からの徒歩往復をしても5時間ほどで終えられるでしょう。
公共交通手段が存在しないカズベキエリア内の地元民の間では、ヒッチハイクが最もポピュラーな移動手段。
外国人であっても難易度は変わらず、10分もあれば誰かしら停まってくれるはずです。
こればかりは好みの問題となりますが、びっくりするほど簡単に停車してくれるのがジョージア地方部の良いところ。
個人的には挑戦してみるのもアリかなと思います。
おわりに
「裏カズベキ」の知られざる名瀑布・アルシャの滝ハイキングコースを紹介しました。
はじめてのカズベキ旅行であれば旅程に組み込むのは難しいかもしれませんが、リピーターにはかなりおすすめです。
天気や季節が印象を大きく左右するスポットでもあるので、どうか夏場の晴れた日に訪れてほしいです!
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