こんにちは!アルメニア滞在もすでに4ヶ月!世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
首都のエレバンからすぐ近く。アルメニア中央部に位置するコタイク地方(Kotayk / Կոտայք)。
ガルニ神殿やゲガルド修道院など、アルメニアを代表する観光スポットが点在するものの、それ以外のコタイク地方の観光情報はかなり少なめです。
旅行者の99%が、エレバンからの日帰りで有名観光地へサクッと足をのばすくらいが関の山…
11の地域(Marz)に分かれるアルメニア地方部の中でも、なんとなくパッとしない地方かもしれません。
そんな日陰の存在であるコタイク地方で、のぶよが強くおすすめしたいのがメグラゾール村(Meghradzor / Մեղրաձոր)です。
アルメニア語で「はちみつの谷」を意味するメグラゾール村。
のんびりした村の雰囲気や、素朴で温かな人々との出会い、周辺に点在する穴場スポット…
この村の魅力はたくさんあるのですが、のぶよがイチオシする最大の理由が、メグラゾール村に一軒しかないゲストハウスにあります。
“Eco Guesthouse Meghradzor”というこのゲストハウス。
ある家族が自宅を旅行者向けに開放しているのですが、ここがとにかく素晴らしかったので記事にすることにしました。
「アルメニア地方部の昔ながらの飾らない生活にどっぷり浸かりたい!」という旅行者に、強くおすすめしたいです!
“Eco Guesthouse Meghradzor” 5つのおすすめポイント!
①まるで民俗博物館!築70年の民家で伝統文化に触れる
ツァグクニャッツ山脈の麓に位置する、人口1800人ほどのメグラゾール村。
昔ながらのアルメニア地方部の雰囲気を色濃く残したこの小さな村に、およそ70年前に建てられた民家があります。
この民家こそがEco Guesthouse Meghradzor。
ある家族が暮らしており、生活スペースのうちの一部屋を旅行者向けに開放しています。
旅行者向けに造られた「ゲストハウス」というよりも、そこで暮らす家族と同じ空間を共有する「民泊」に近い感じかもしれません。
個室は3部屋(うち2部屋は家族の寝室)あり、各部屋とつながる形で家の中央部にはリビングルームが。
典型的なアルメニア地方部の民家といった作りです。
かなり古い建物ではあるものの内部は綺麗にされており、明るく温かな雰囲気が漂っています。
家族が生活するスペース(=宿泊部分)だけを見ると、アルメニア地方部でよくある古民家といった感じですが、この宿がすごいのはここから。
70年前に建設された時からそのままのパン小屋が残っており、なんと現役で使用されているのです ▼
「パン小屋(հացի տուն)」とは、アルメニア伝統のパン作りを行うためのスペースのこと。
かつてのアルメニア地方部では、パンやヨーグルトなど日常的に食べる食品は自宅で一から作るのが当たり前でした。
そのパン作りに必要な竈や、乳製品を発酵させるための器具を備えた「炊事場」のような存在が、パン小屋なのです。
現在では市販のパンを購入することがポピュラーとなりましたが、Eco Guesthouse Meghradzorのパン小屋はいまだ現役。
パン作りはもちろん、「オギ(Oghi / Օղի)」と呼ばれるウォッカの蒸留や、バターやチーズなどの乳製品づくりなど幅広い用途でこのスペースが使われているのです。
ここでの作業は、すべてが昔ながらのやり方。
現代的な機械は用いずに伝統的な器具や設備を使い、じっくりと時間をかけて一つ一つの食材を作るのです。
パン小屋を代表する設備が、「トニール(Tonir / Թոնիր)」と呼ばれる地中に直接掘られた竈 ▼
地下1mほどの深さに掘られたトニール。
底の部分に炭火をおこして十分に内部を温めたあと、内壁に小麦粉生地を貼り付けて焼き上げるのです。
トニールはパンを焼くためだけでなく、ホロヴァツ(アルメニア風BBQ)作りやスープの調理にも利用される万能調理設備。
パン小屋には、実際に使用される調理器具がいくつもあり、もはや民俗博物館そのものです ▼
Eco Guesthouse Meghradzorでは、ラヴァシュ(アルメニアの薄いパン)作りやパン小屋を利用した調理の様子を見学(&お手伝い)することも可能。
いずれも観光客向けにやっているものではなく、家族の日常の一部。
そのため、特別な料金などはかかりません。
いっぽうで、不定期の開催(お母さんが「そろそろパンを焼こうかしら…」となるタイミング次第)となるので、宿泊すれば必ず体験できるものでもないようです。
②オール自給自足!田舎暮らし体験
Eco Guesthouse Meghradzorを経営する家族は、ほぼ100%自給自足の生活を送っています。
日用品の一部(トイレットペーパーや歯磨き粉など)くらいは市販のものを購入しているそうですが、食材はほぼ全て自宅の庭で採れた野菜や家畜の肉、それを加工したものを使用しているというのだから驚き。
宿泊客も家族のライフスタイルに合わせた自給自足の田舎暮らしが体験できる点も、なかなかできない経験で面白いと思います。
Eco Guesthouse Meghradzorでは、さまざまな種類の家畜が飼われています。
豚、羊、鶏、うさぎ、ガチョウ…乳製品や卵を得るためだったり、肉として食べるためだったり。
とにかく、自分たちの生活を成すために欠かせないものの一部として、家畜たちが身近にいる環境なのです。
羊の乳しぼりや、チーズやバターなどの乳製品づくりも、タイミングが合えば喜んで体験させてくれますよ!
春~秋にかけては、ゲストハウス敷地内の畑で農業体験も可能。
広大な畑では数々の野菜やフルーツが育てられており、季節によって種植えから収穫までの作業を見学(もしくはお手伝い)することが可能です。
のぶよが宿泊したのは、冬が間近に迫った11月頭のこと。
すでにこの年の農作業は全て終わっており、農業体験こそできなかったものの、冬の間の保存食づくりをお手伝いしました ▼
この地方では「キシリ・ラバシュ」と呼ばれる、紙のように薄いグミのようなお菓子。
フルーツの搾り汁に小麦粉を混ぜて薄くのばし、1週間ほど天日干しにしたものです。
野菜や果物が育たない冬場の貴重なビタミン源&保存食として手作りされており、砂糖不使用とは信じられないほどの甘さにビックリしました。
他にも、ピクルスづくりやじゃがいもの収穫、羊の毛を刈る作業など、お手伝いできることは多々。
アルメニア地方部の伝統的な暮らしにどっぷりと浸かることができますよ。
③食卓の上はすべて自家製!オーガニックフード
自給自足生活にこだわるEco Guesthouse Meghradzorでは、食卓にのぼるもの一つ一つがすべて自家製。
野菜、果物はもちろん畑でとれたもの。
チーズやサワークリームなどの乳製品、各種ジャムやジュースからパンにいたるまで。
肉や卵だって、自分たちの家畜の恵み100%なのです。
ゲストハウスのお母さんの自信作が、アルメニア名産のドライフルーツ。
アプリコット、洋ナシ、プラムなどの定番から、トマトやニンジンなどの野菜だって自家製ドライフルーツに変身してしまうのだから驚きです。
また、アルメニアにはいくつものパンの種類があるのですが、お母さんの手にかかればできないものは一つもなし。
紙のようにペラペラに薄いラヴァシュから、「マトナカシュ」と呼ばれるふっくらしたパン、デザート感覚の菓子パンまで…
作れないパンは一切ないのだとか。
「はちみつの谷」の名を持つメグラゾール村の名産・ハチミツも自家製。
これがまた、のぶよの知るハチミツとはもはや別の食材に感じたほどの美味しさでした ▼
食卓に並ぶ料理は宿泊者用に特別に用意されたものではなく、家族が毎日の食卓で食べるものを一緒にいただく。といった感じ。
おしゃれレストランのような豪華さこそありませんが、どれも限られた食材をふんだんに使用した素朴なもの。
自然の恵みに生かされていることを強く感じる瞬間でした。
④まるで家族の一員に!温かな雰囲気
のぶよ的に、Eco Guesthouse Meghradzorの大きな魅力の一つだと思うのが、一般的なゲストハウスでは体験できないような「家族の一員になった感じ」が体験できる点。
家族が生活するスペースの一部にお邪魔する形の滞在になり、「ここまでが宿泊客用スペース」といった区切りは存在しません。
家族の誰も英語は一切話さない(アルメニア語かロシア語のみ)なので、言葉ができないと不自由する場面はあるでしょう。
しかし、言葉の壁を超えた温かなおもてなしが受けられることは確かです。
家族の息子さんは、頼んでもいないのにメグラゾール村を案内してくれ、友達を紹介してくれたり秘密のスポットを教えてくれたりと至れり尽くせり。(もちろん無料で)
ガイド費用を払っているわけでもないのに…「自分が住む村を好きになってほしい」という気持ちが伝わってきました。
「ゲストハウスに宿泊する最大の魅力は、人とのコミュニケーションやホスピタリティーにこそある」とのぶよは思っているのですが、その理想のゲストハウス像を体現したかのような温かなおもてなしと楽しい会話の数々。
どんな有名観光地を訪れるよりも、こうした温かな雰囲気で過ごす時間の方が、後になっても思い出に残るものだと感じます。
⑤時が止まった村でスローライフ!見どころもたくさん
ゲストハウスがあるメグラゾール村は、一見しただけだと「アルメニア地方部によくある、くたびれた寒村」といった印象を持つ人もいるかもしれません。
しかしながら、こののんびりとした素朴な雰囲気こそがメグラゾール村の魅力。
特に何をするわけでもなく、自然のすぐそばで昔ながらの生活にひたりながらの滞在。
これが意外にもなかなか体験できないものなのです。
とはいえ、メグラゾール村やその周辺には、アクティブ派の旅行者でも満足のゆく見どころがいくつか点在しているのもポイント ▼
700年前の修道院や、ひっそりと流れ落ちる滝、山奥にある秘湯まで…
どうです?行きたくなってきたのでは?
メグラゾール村は渓谷沿いにひらけた地域であるため、どこを切り取っても美しい山々と谷間の風景が広がっている点も見逃せません。
観光情報こそほとんどない地域ですが、そのポテンシャルは無限大。
メグラゾール村を拠点にどこも日帰りで(&公共交通機関で)アクセスできるので、アクティブ派旅行者の拠点としてもEco Guesthouse Meghradzorはおすすめです!
メグラゾール村や周辺エリアの観光&アクセス情報に関しては、別記事にて解説する予定です!
おわりに
アルメニアの原風景が広がる村で、昔ながらの生活を体験できるEco Guesthouse Meghradzorを紹介しました。
魅力たっぷりなメグラゾール村での滞在を100%楽しむなら、もうここ一択です。
というか、このゲストハウスに宿泊することがメグラゾール村を訪れる最大の理由になると思います。
温かな家族と自然の中で過ごした数日間は、きっとこれからも忘れることのない大切な思い出。
今回は晩秋の滞在でしたが、次回は村が緑でいっぱいになる春~夏くらいに訪れたいなあと思っています。(誰か一緒に行く?笑)
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