こんにちは!アルメニアに5ヶ月滞在した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ)
当ブログを読んでいる人はご存じでしょうが、のぶよが有り余らんばかりの情熱を持って布教しようとしている国があります。
それが、コーカサス地方にあるアルメニア。
日本人にとって、アルメニアのイメージなど皆無である人がほとんど。
かく言う自分自身でも、実際に渡航する前にはアルメニアに関する知識など何一つありませんでした。
正直さほど期待もしていなかったので特に事前に旅行情報を調べることもせず、「小さい国だし、2週間くらい滞在して主な見どころをサクッとまわれば良いだろう」くらいに考えていました。
それが、気が付けば5ヶ月も滞在することになり、さらに今年の夏に再訪しようとしているなんて…人生とは分からないものです(笑)
どうして5ヶ月もの間アルメニアに滞在して、これを書いている現在もアルメニアを再訪する計画を立てているのか…
それはただ単に、アルメニアという国が素晴らしすぎたからです。
これまで60ヶ国以上に渡航したことがありますが、アルメニアは文句なしのBEST3に入る国。
…いや。お世辞抜きで、今までで一番良かった国かもしれません。
こんな底なし沼のような魅力あふれる国が、21世紀も4分の1が終わろうとしている現在でも「最後の秘境!」なんて使い古されたフレーズで表されることすらないほどに、旅行者から見向きもされていないなんて…もはや奇跡的なのではないかとさえ思います。
いったいぜんたい、何がここまでのぶよをアルメニアにはまらせたのか…
今回の記事では「アルメニア旅行を推す13の理由」と題して、その理由を考えていきたいと思います。
アルメニアを旅しようと考えている人は、絶対に期待が膨らむはず!
そうでない人にも、未知のベールに包まれたアルメニアという国を知るきっかけになれば嬉しいです。
「アルメニア、何もなさそうだし飛ばして良いかなあ」「ジョージアの方が人気みたいだし、アルメニアはまた今度で良いかあ…」なんて考えている人、まじで後悔します。いや、させてやります!
- アルメニア旅行を推す理由①:圧倒的な異世界感だから
- アルメニア旅行を推す理由②:計算しつくされた宗教建築が素晴らしいから
- アルメニア旅行を推す理由③:物価がとても安いから
- アルメニア旅行を推す理由④:アルメニア料理が美味しすぎるから
- アルメニア旅行を推す理由⑤:治安が良く安全に旅できるから
- アルメニア旅行を推す理由⑥:アルメニア語がもはや芸術だから
- アルメニア旅行を推す理由⑦:独特の美意識とセンスが根付いているから
- アルメニア旅行を推す理由⑧:小国なのに地域色が豊かだから
- アルメニア旅行を推す理由⑨:ぼったくりが(意外と)少ないから
- アルメニア旅行を推す理由⑩:とにかく観光客が少ないから
- アルメニア旅行を推す理由⑪:哀愁とレトロ感に国全体が支配されているから
- アルメニア旅行を推す理由⑫:人!人!人!
- アルメニア旅行を推す理由⑬:これ以上ない「旅してる感」が味わえるから
- おわりに
アルメニア旅行を推す理由①:圧倒的な異世界感だから
アルメニアを旅してまず驚いたのが、この世のものとは思えないような風景が至る所で見られること。
まるでジオラマのような自然風景や、宗教建築のこだわりつくされた立地やディテール、まるで3Dのようにそびえるアララト山…
アルメニアという国に存在する異世界感は、どれも本物です。
絶好のロケーションにたたずむ中世の修道院や、色彩豊かな自然の風景、怪しげな地下牢極や地下迷宮まで…
アルメニアを訪れた旅行者を、まるでRPGゲームの主人公になって冒険しているかのような気分にさせてくれます。
小さな国だとは信じられないほどに景観のバリエーションは豊富で、どれも色彩豊かなものばかり。
「ああ、今旅してるなあ…」と、毎日のように感じていました。
アルメニア旅行を推す理由②:計算しつくされた宗教建築が素晴らしいから
301年(1700年前)にキリスト教を受容したアルメニアは「世界初のキリスト教国」として知られる国。
その威厳や誇りは、小さな国土に点在する修道院や教会などの宗教建造物に色濃く反映されています。
アルメニアのキリスト教は、西洋のカトリックやプロテスタント、東欧地域の正教会とは異なる「アルメニア使徒教会」という独自の一派。
教義の違いが影響しているためか、1700年以上前から祈りの場としての役割を担ってきたアルメニアの修道院や教会の多くは、華麗な外観や色とりどりのフレスコ画とは無縁。
一見すると、無骨で地味な印象を与えるかもしれません。
しかしながら、建物内部に一歩立ち入れば誰もが驚くはず。
アルメニアの修道院は、一つ一つの装飾や自然光を取り入れるための窓の位置など、すべてにおいて緻密に計算しつくされた上で建設されているのですから。
細かな装飾へのこだわりはもちろん、立地に対する強いこだわりが感じられるのもアルメニアの宗教建造物の特徴です。
断崖絶壁にぽつりと建つものや、湖を見渡す高台に建つもの、深い森の奥で自然に呑み込まれそうになっているもの…
どれも数百年~千年以上前の建物がそのままに残されており、すべて手作業で一つ一つ石を運んで積み上げられたものばかり。
昔のアルメニアの人々が、どれほどの労力を聖地づくりに費やしたのかを考えると気が遠くなります。
全国に数えきれないほどの修道院がありますが、どれもディテールが異なっていて一つとして同じものはなし。
一つ一つ見比べながら訪問するのも、アルメニア旅行の醍醐味に違いありません。
アルメニア旅行を推す理由③:物価がとても安いから
観光的な魅力はいったん置いておくとして、どうしてアルメニアに5ヶ月間も滞在していたのかというと、やはり物価が安いことは大きな理由でした。
あんまり「○○国は物価がとにかく安くて天国ッ!」みたいなことばかり吹聴するのはいい大人としてみっともないなあと思うのですが、事実は事実として言います。
外食費や移動費、ホステル等の宿泊費など、旅行する上でのアルメニアの物価の安さは驚くべきものがあります。
2021年の7月~12月の5ヶ月間、バックパッカースタイルでアルメニアを旅しましたが、ザッと計算しても1日平均で6000AMD(=¥1350)ほどの出費で済みました。
…冷静に、すごくないですか?
1日1350円でこんなに色々食べて色々行けるんですから。
しかもこれ、「毎日例外なくビール1ℓ~2ℓ&タバコ1箱&そこまでケチケチせず好きなことをする」という不良バックパッカーのお手本のようなスタイルの旅での出費なので、健全で節約派な(?)旅行者ならさらに安く済ませることもできるはず。
まぎれもなく、ここまでの世界半周で訪れた国の中ではダントツNo.1の安さですし、世界的に見ても相当安く旅できる部類の国だと思います。(もしかすると2022年上半期の世界的な物価上昇の影響を受けているかもしれないですが)
また、アルメニアでは観光地の多くが無料なのも旅行者的に嬉しい点。
世界遺産に指定されているような有料の見どころであっても、最高で1500AMD(=¥335)ほどの入場料なので、ヨーロッパ諸国のように「色々と見学したいけど入場料が高すぎて…」といったことにはなりません。(おーいトルコ、聞いてるか~?)
旅行する上でのアルメニアの物価はやはりお得感がありますが、すべてにおいて激安!というわけではありません。
例えば、首都のエレバンでアパートを借りるような一ヶ所滞在型スタイルの旅は話が別。
エレバンの家賃相場はかなり高く、出費を大きく押し上げてしまうためです。
いっぽう、ホステルやゲストハウスなど短期の滞在であれば、エレバンであってもリーズナブルなところは見つけやすいです。(1泊400円台とかも普通にあった)
このように、アルメニアはどちらかというと一ヶ所滞在向きの国ではなく、色々と動き回る周遊スタイルの旅に向いている国と言えるかもしれません。移動費も激安ですし。
アルメニアに限った話ではありませんが、出費を抑えながら旅したいなら、地元の人にとっての適正価格を理解しておくのが最重要。
エレバンのお洒落レストランなんかに足を運べばそれなりの金額となりますし、山がちな国土を全てタクシーで移動しようとすれば、そりゃあある程度の出費となるもの。
エレバン中心街ど真ん中のスタイリッシュ店でシャウルマを食べれば1500AMD(=¥340)なんてザラですが、地下鉄で一駅移動しただけで同じものが800AMD(=¥179)で売られているのですから。
このように「どんな風に滞在しようともすべてがとにかく激安!」というわけではなく、「安く済ませようと思えばとことん安く済む」が、旅行する上でのアルメニアの物価に関する正しい理解かもしれません。
アルメニア旅行を推す理由④:アルメニア料理が美味しすぎるから
「アルメニア料理」と聞いて、何か具体的な料理名が頭に浮かぶ人はかなりの少数派でしょう。
かく言うのぶよも、ジョージアからアルメニアに渡航する前はいっさいのイメージがありませんでした。
「すぐ隣だし、ジョージアと似たような食文化だろう」と考えていたくらいですから…
しかし、実際にアルメニアに来てみてびっくりしました。
アルメニアの食文化はジョージアとは大きく異なるものだった&食べるものすべてがとっっっても美味しかったためです。
スパイスをあまり用いず、味付けも濃すぎないアルメニア料理。
のぶよのようにあっさりした味が好みの人にとっては、ピッタリはまるかもしれません。(逆にスパイス&油がっつりの濃い味が好みな人は、ジョージア料理の方が合うかも)
中世以降アルメニアを支配していたイランの食文化と、お隣トルコの食文化、近代の支配者であるロシアの食文化…
これらの異なる地域の料理の特徴が見事に混ざり合い、唯一無二の存在感を放つのがアルメニア料理です。
特に、アルメニア人の肉の調理法へのこだわりはこれまで訪れた国の中でも断トツNo.1。
アルメニア以上に肉を美味しく焼くことに命をかけている(?)国はこれまで一つもありませんでしたし、スーパーマーケットにBBQ用の炭火グリルがどーんと鎮座していてその場で肉を焼いてもらえる国を、のぶよはアルメニア以外に知りません。
地域ごとに異なる食文化が根付いているアルメニアでは、その土地独自のご当地グルメや郷土料理の類も豊富なのも、グルメ派旅行者には嬉しい点。
「アルメニア=美食大国」というイメージ、そのうち広まるのではないでしょうか。
アルメニア旅行を推す理由⑤:治安が良く安全に旅できるから
アルメニアと聞いて多くの人が思い浮かべるのが、2020年の第二次ナゴルノ=カラバフ戦争ではないでしょうか。
隣国のアゼルバイジャンとの間に勃発したこの戦争に負けてしまったアルメニア。
現在でもその影響は依然として残っており、立ち入らない方が良い地域はいくつか存在します。
しかしながら、旅行する上でのアルメニアの治安はかなり良好です。
テロ等が起こるリスクはかなり低いとされ、スリや置き引きなど旅行者が遭いやすい軽犯罪も多くはありません。(とはいえ、ないわけではないので気を抜くのはNG)
100万人都市である首都のエレバンでさえ、夜間の一人歩きも問題ないほど。
西ヨーロッパの大都市に比べると、治安面はかなり良好だと思います。
危険エリアや注意すべきことさえ把握しておけば、全く問題なく旅行できるアルメニア。
安全に一人旅がしやすいというのは、やっぱり嬉しい点です。
アルメニア旅行を推す理由⑥:アルメニア語がもはや芸術だから
これは完全なる好みの話となってしまうのですが、アルメニア語の響きはとにかく美しいです。
母音が多めで柔らかな発音に音楽的な抑揚が加わり、聞いていてとても心地よく感じられます。
また、401年(1600年前)に発明されて以降、形をほとんど変えずに使用され続けているアルメニア文字の美しさもかなりのもの。
アルメニアの人は手書きの文字にこだわりをもっている人も多いらしく、「はね」や「はらい」などでアレンジされた文字は一つの芸術作品のようにも思えます。(それが外国人的には読みにくくて苦労する原因ではあるのだけど…)
あいさつ程度のアルメニア語を覚えるだけで、とても喜んでくれる人が多い点も特徴的。
アルメニア語基本フレーズだけでもマスターしておくと、きっと旅がより印象深いものとなるはずです!
アルメニア旅行を推す理由⑦:独特の美意識とセンスが根付いているから
アルメニアを旅していて感じたのが、人々の美意識の高さと、ものづくりに関するセンスの良さ。
アルメニアの人々のお宅を訪ねてみると、古い調度品やエキゾチックなカーペットなどを用いた空間づくりに感動させられることもしばしばありました。
ミュージアムを訪問すれば、古い本の表紙に刻まれた細かな装飾や、装飾品のセンスの良さに驚かされるはず。
②宗教建築の緻密さの項でも触れましたが、アルメニアには手先が器用な人が多く、元来の職人気質なお国柄なのかもしれません。
アルメニアに根付くこうした美意識には「人に見える部分こそ、できる限り綺麗に」といった独特な側面があるようにも思います。(特にエレバンで顕著な気がする)
・建物の表側だけをモダンにリノベーションして、裏側はボロボロ
・お洒落なレストランは外から見えるような造り&テラス席が人気
・外見や身だしなみに対する意識の高さ
などなど。
必ずしも実態がともなった「美しさ」ではないのかもしれませんが、これもこの国に息づく気質の一つのように思えて興味深いです。
アルメニア旅行を推す理由⑧:小国なのに地域色が豊かだから
アルメニアは関東地方ほどの面積しかない小さな国。
しかしながら、国土のほとんどが標高1000m以上の高地に位置する山がちな地形で、各エリアが地理的に隔てられているため、地域による文化や景観の違いが想像以上に大きい点も見逃せません。
・一面の緑が美しいロリ地方
・どこまでも続く荒野が圧倒的なシラク地方
・内陸国とは思えない美しい水辺の風景が見られるセヴァン湖周辺
・少数民族の村が点在するコタイク地方やアルマヴィル地方
など、11エリアに区分された「マルス」(Marz=「地方」)はそれぞれ異なる表情を見せてくれるのです。
④料理の美味しさの項でも触れましたが、その地域でしか食べられない郷土料理を食すことも旅の楽しみ。
小国に息づく文化の豊かさを肌で感じられる点も、アルメニア旅の素晴らしさだと思います。
アルメニア旅行を推す理由⑨:ぼったくりが(意外と)少ないから
アルメニア渡航前には「アルメニア人はお金にシビアな人が多い」という噂を耳にしていました。
確かに、古くからシルクロード交易の中継地点として栄えた歴史もあってか、商人気質な人が多い点は事実かもしれません。
しかしながら、観光客に対するぼったくりの類は想像以上に少なかったように感じます。
タクシー料金や宿代など、外国人観光客だからと言ってふっかけられることはゼロではないでしょう。
しかし、初めに交渉した金額以上を後から請求される「ぼったくり」や「詐欺」は少ないです。
言い値が基本となるアルメニアでは、交渉文化が根付いているように感じる場面もしばしば。
タクシーをチャーターする場合や宿に宿泊する場合などは、上手に交渉をしてお互いwin-winの状態となるのが理想的だと思います。
正直、渡航前のイメージではもっとガッツリとぼったくりなどがあるのかと思っていたので(某イスタンブールのように)、逆に拍子抜けしてしまったほどでした。
アルメニア旅行を推す理由⑩:とにかく観光客が少ないから
⑨ぼったくりが意外に少ないの項で「観光客であってもぼったくられることはあまりない」と書きましたが、そもそもアルメニアには観光客が少ないからというのも理由の一つかもしれません。
「旅行者にまだ見つかっていない感」がここまで漂っている国は、もう世界中探そうともあまり残っていないような気もします。
近年観光ブームでノリにノッているお隣のジョージアとは対照的に、アルメニアはただひたすら日陰の国。(褒めてます)
お隣のトルコやアゼルバイジャンとの国境が閉鎖されており、アルメニアから別の国へとアクセスしにくい「どん詰まり感」もあいまって、世界一周旅行者にさえもスキップされてしまうこともしばしば…
「ジョージア=コーカサス山脈の大自然」
「トルコ=オスマン帝国の伝統香る町並み」
「アゼルバイジャン=イスラムの香りただようエキゾチックな町並み」
といった、隣国のようなわかりやすい特徴がアルメニアには少ないこともあり、なかなか人気の旅行先として名前が挙がりにくいのかもしれません。(というか、ただ単にアピールが絶望的に下手なんだと思う)
しかしながら、この絶望的なほどの観光客の少なさや、観光地化の波しぶきさえ到達していない感こそが、アルメニアの魅力なのかもしれません。
観光国によくある大型バスでの団体ツアーに遭遇することは珍しいですし、定番スポットとされる見どころや世界遺産スポットに行っても貸切状態であることもしばしば。(むしろ旅行者が居なすぎて心配になるレベル)
観光地化された国や町とは人の感じも大きく異なり、外国人がいまだに珍しい地方部では良くも悪くも注目を浴びる場面も多いです。
ひとことで言うなら「観光客にあぐらをかいたりしておらず、スレてない感じ」。
これは、アルメニアの大きな魅力と言えないでしょうか。
アルメニア旅行を推す理由⑪:哀愁とレトロ感に国全体が支配されているから
「そこはかとない哀愁が漂う国」といえばユーラシア大陸最西端のポルトガルが有名ですが、アルメニアに漂う哀愁だって負けていません。
エレバンの中心街だけを見ると、なんとも華やかで優雅で気品ある町並みに見えますが、少し郊外に出るだけで雰囲気は一変します。
さらに、アルメニアの地方都市に漂う哀愁は本物。
ソ連時代そのままの町並みに、ソ連製のクラシックカーがゴトゴトと走っているのですから…
こうしたある意味レトロな雰囲気が好きな人は、絶対に感動するはずです。
⑦独特な美意識の項で紹介した表向き文化とは対照的な「ぬぐい切れない場末感」(ベタ褒めワード)こそ、アルメニアの本質であり魅力的なものだと強く感じます。
そんなアルメニアという国全体を覆いつくす「哀愁」を象徴する存在だと思うのが、アララト山。
聖書に登場するノアの方舟が到達した地とされ、「アルメニア人の心のふるさと」と形容されるアララト山ですが、現在ではトルコ領となっています。
首都のエレバンからでも間近に見えるのに、手が届かない存在…
この国が辿ってきた哀しい歴史もあいまって、独特な哀愁を匂わせている。
そう考えるのは早計がすぎるでしょうか。
アルメニア旅行を推す理由⑫:人!人!人!
アルメニアという国の魅力を様々な観点から語ってきましたが、これまで紹介した11項は、いわば前座。
のぶよ的にアルメニアという国にここまで惹かれた最大の理由は、この国で暮らす人々にあります。
「アルメニア人」に対してどんな気質の人々なのか、どんな特徴があるのか、知識がある人は少数派だと思うので単刀直入に言いますね。
コミュニケーション能力お化けです。
・道を歩いていると停車して乗せてくれること数十回
・山奥の教会前でBBQしていた人たちに招かれ、たらふく飲み食いさせてもらう(もちろん無料で)
・ミニバス車内でものすごい勢いで話しかけられる(アルメニア語で)こと数十回
・知らないおじさんたちの家に招かれてそのまま泊まることに(もちろん無料で)
・目が合うと笑顔で手を振ってくる人たち数十人(だいたい「アルメニアは好きか?」の話になりウォッカが出てくる流れに)
…などなど。
今ざっと思い返しただけでもとてつもなく濃い思い出がたくさんあるのですが、アルメニア(特に地方部)では、概して他所から来た人に対してオープンで興味津々な人が多かったのがとても印象的でした。
大都会・エレバンにおいても、「マルシュルートカ」と呼ばれる乗り合いのミニバスに乗車する際には、知らない人同士で挨拶を交わすのはごく普通のこと。(ジョージアの首都トビリシではかなり珍しい光景なのですごくびっくりしたのを覚えてる)
そこから会話に発展することも数えきれないほどありました。
宿の近くの商店でも2回、3回と顔を出すうちに名前を尋ねられ、「のぶよジャン!」(ջան/jan=親しい間柄で名前につける表現。日本語の「~ちゃん/~くん」的な)と呼ばれたり、なぜかキュウリをおまけしてくれたり…なんてこともありました。
(これ、他所から来た外国人的には結構嬉しいことだと思う。)
とにかく、ラテン系というか、中東的というか、この国では人と人との距離がグッと近いように感じたのです。
「外国人=カモ」と下心を持って声をかけてくるわけではありません。
ただ単に興味津々だから/気になったら声をかけずにいられない というのも、アルメニアの人々の習性なのかもしれません。
また、他の国の地方部でよくあるような外国人を訝しむような空気をいっさい感じなかったのもアルメニア地方部七不思議の一つ。
場末感こそものすごいアルメニア地方部ですが、そこで暮らす人々の笑顔や人懐っこさはとても印象的でした。(あと、謎にさくらんぼやら、どうやって食べるのか不明な木の実やらくれる人が多かった気もする)
アルメニアの魅力を味わい尽くしたいなら、この国の人々との交流は不可欠。
英語こそまったく通じませんが、ロシア語や片言のアルメニア語が少し使えるだけでも大きく印象が変わると思います。
アルメニア旅行を推す理由⑬:これ以上ない「旅してる感」が味わえるから
最後に紹介するのは、アルメニアを旅していて毎日のように感じていたこと。
アルメニアでは、「ああ、今旅しているんだ…!」と実感する瞬間が本当に多かったです。
観光立国としての発展からは程遠いポジションの国なので、旅行者向けのインフラが整っているとは言えず、正直不便に感じる場面もかなり多いです。
来るはずのバスが来なかったり、乗せてもらった車の運転手が14歳の子供で(もちろん違法だと思う)死を覚悟したり、ソ連バスが走行中に限界を迎えて何もない荒野で2時間ほど待たされたり、国境警備隊の家に招かれて昼食をごちそうになったり、2021年なのにGoogleMapの行き先案内に非対応だったり、宿のオーナーが奥さんと喧嘩してのぶよの部屋に転がり込んで延々と愚痴りに来たり(早よ寝たかったわい)…
とにかく予期せぬことが普通に毎日起こる国。それがアルメニアです。
のぶよ全く知らないうちにアルメニアの地方紙にいつのまにか載ってるんだけど、この国いったいどうなってんの😂😂😂 pic.twitter.com/VGKFwrPRJO
— 小山のぶよ🇵🇹世界半周中の翻訳してる人 (@nobuyo5696) October 28, 2021
ヨーロッパ諸国をはじめ、ほとんどのことがインターネット上で完結してしまうことが多いのが現代の旅というもの。
そんな中で、一見すると不便でしかないように思えるアルメニア旅は、旅本来の魅力である「何が起こるかわからないワクワク感」が強く感じられるのです。
そう。コーカサスのミラクルなのです、アルメニアという国は。
また、⑩観光客の少なさの項で解説した通り、アルメニアにガッツリと滞在する旅行者は世界的に見ても多くはないため、情報が限られている点もポイント。
英語で検索してもヒットしない場所なんてザラにありますし、日本語での情報などもはやまったく期待できません。
だからこそ、自分の興味の赴くままに(半ば行き当たりばったりに)旅したり、現地で出会った各国の旅人の口コミで行き先を変えてみたりと、ひと昔前のようなアナログで宝探しのような旅が楽しめるのです。
のぶよの場合は、ポルトガルからヨーロッパ諸国を中心に旅してアルメニアに到達したので、ここに来て余計に「自分で面白い場所を発掘しながら旅するワクワク感」を強く感じたのかもしれません。
とにかく!
アルメニアという国は、旅することが本来持つ面白さを再確認させてくれる国です。
5ヶ月間そう感じてばかりいましたし、あの感情をまた味わいたいな…と、これを書いている今も強く思っています。
おわりに
アルメニアに5ヶ月滞在した経験から、この小さな国の素晴らしさをものすごい熱量で語ってきました。
…みなさん、ついて来られているでしょうか?(笑)
アルメニアは、どちらかというと「ある程度色々な場所に行ったよ!」という人におすすめしたい旅行先。
お隣のトルコやジョージアなんかに比べても、アルメニアを旅する上での難易度はやや高めだと思います。
観光地的なインパクトやヨーロッパのようなお洒落な町並みとは縁がない国かもしれませんが、飾らない素朴な雰囲気や垢抜けていない感じなどは、今では貴重になりつつあるもの。
きっと多くの人が、この「永遠に味がし続けるスルメ」のような国に癒され、気に入ってくれるのではないかと確信しています。
アルメニアを楽しむためには、タクシーを貸切って限られた時間でメインの見どころだけを順番にスタンプラリーしていくようなスタイルの旅はナンセンス。
ある程度の期間を設けて気の向くままに動き、「旅すること」それ自体を楽しむスタイルの方が合っているのかなと感じます。
…と、色々つらつらと書いてきましたが、言いたいことはただ一つ。
とにかく、行ってください。アルメニアに。
そしてこの国の素晴らしさを一緒に語り合いましょう(笑)
「これを読んでアルメニアに興味が出た!」「行ってみたくなった!」という人が一人でもいれば、この上なく嬉しいです!(観光大使の仕事、早よ)
コメント
この記事(とくに「人の良さ」)に惹かれ、アルメニアに行ってきました。本当に本当に良い国でした。まだ10か国も訪れた国はありませんが、今までで断トツで好きな国です。
人の温かさ、異世界感、旅をしてる感、ソ連感、、、どこをとってもパーフェクトでした。この記事が無ければ、恐らくジョージアだけにしていたと思います。きっかけを与えていただき、ありがとうございました。